説明

分子インプリントポリマー及び診断デバイスにおけるその使用

標的分子の選択的捕獲又は放出を可能にする受容体部位を伴う少なくとも一つの合成ポリマーを含有する接着剤が提供される。ポリマーは、官能化モノマー又は官能化コポリマーを、標的又はテンプレート分子の存在中で重合し、そして架橋することによって合成され、ポリマーと標的分子間の可逆的相互作用を可能にする。標的分子はポリマーから抽出することができ、標的分子に対して相補的な受容体部位を作成することができる。また、標的分子は、ポリマーネットワーク中に残され、そして制御して放出されることができる。分子インプリントポリマーは、接着剤中に処方される。接着剤は、テンプレート分子を放出する、又は合成ポリマー中の空の受容体部位に標的分子を捕獲する、in-vitroの診断デバイス中の構成要素として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、分子インプリントポリマー(molecularly imprinted polymer)と、標的分子の分析のための診断デバイスにおけるその使用に関する。
【0002】
分子の認識は、生体系の機能のために重要である。生体系は、特異的機能を行う分子の認識に依存する。酵素−基質相互作用、抗体−抗原相互作用、DNA複製及び細胞複製のような分子認識系は、特異的分子相互作用に依存する生体系の例である。酵素及び抗体のような生体分子は、in-vitroの診断デバイスにおいて、具体的な疾病又は生物学的機能の表示である特異的標的分子を検出及び定量するために使用される。例えば、酵素グルコースオキシダーゼは、血液、血清及び間質液のような生物学的流体中のグルコースの濃度を定量するための診断試験片(diagnostic test strips)において使用される。グルコースオキシダーゼは、グルコースと特異的に反応する。糖尿病患者は、彼等の血液中のレベルをモニターするために、グルコース試験片を日常的に使用する。
【0003】
分子インプリントポリマー(MIP)は、標的化合物に対する選択性を示す受容体部位を伴って作製された合成化合物である。特異的な標的分子を認識するための官能基を伴うポリマーの合成は、ポリマーが、標的分子を捕獲し、そして濃縮することを可能にする。また、標的分子を含有する分子インプリントポリマーは、ポリマーネットワークからこれらの分子を制御して放出させることができる。
【0004】
分子インプリントポリマーの適用は:クロマトグラフ吸着剤、メンブラン、センサーと薬物放出系を含む。(参考文献:Molecular Imprinting at the edge of the Third Millennium, Sergey A. Piletsky et al., Trend in Biotechnology, vol 19(1), pages 9-12, January 2001,and “Polymers and Gels as Molecular Recognition Agents”, Nicholas A. Peppas and Yanbin Huang, Pharmaceutical Research, vol. 19(5), pages 578-587, May 2002; “Molecular Imprinting Science and Technology: A Survey of the Literature for the Years up to and including 2003”, Alexander et al, Journal of Molecular Recognition, 2006, Vol. 19, pp 106-180。)
分子インプリントポリマーの合成は、テンプレートのインプリントを取込むためのテンプレート分子の存在下での、官能化されたモノマーの重合と架橋を含む。テンプレート分子はポリマーから抽出され、ポリマーマトリックス内に、テンプレート分子のものと相補的である官能基を有する3次元部位を形成することができる。(参考文献:“Molecular Imprinting: State of the Art and Perspectives”, Jean Daniel Marty and Monique Mauzac, Advances in Polymer Science, vol. 172 pages 1-35, 2005)。
【0005】
高度に架橋されたポリマーネットワークは、標的分子に対して高度の特異性を示すことができる強固な構造である。この高度の特異性は、これらの強固なポリマーを、分子の官能基、及び標的分子上の基の位置と配向の正確な相補的合致を必要とする分析方法と分離技術のために理想的なものにする。従って、分子インプリントポリマーは、ラセミ混合物から鏡像体を分離するために使用されるクロマトグラフィーのカラム充填剤として使用することができる。
【0006】
強固なMIPは、単一の標的分子に対して高度に特異的であるという利点を有する。これらは、ポリマーと標的分子間の強い相補的相互作用のために、高度に架橋されたポリマーネットワークからテンプレート分子を抽出することが困難であるという不利な点を有する。更に、相補的官能性と配向の必要性は、反応の速度又はテンプレート分子がインプリントされた部位において吸着されるための時間を減少する。MIPの架橋密度を減少することは、捕捉部位の特異性を減少する。しかしながら、テンプレート捕捉の速度は増加する。
【0007】
多くの特許と文献は、バイオセンサーにおける特異的なポリマー−生体分子の分子間相互作用の使用を記載している。Per Bjork et alは、Biosensors & Bioelectronics 20 (2005) page 1764-1771中で、ポリチオフェンとオリゴヌクレオチド間の静電的及び水素結合相互作用に基づいたバイオセンサーを記載している。米国特許出願2004/0053425は、ペプチド又はタンパク質とモノクローナル抗体間の分子認識に基づくオンチップ分析を記載している。これらの適用は、分子インプリントポリマーではなく分子認識に基づいている。
【0008】
Green et alによる米国特許第6,638,498号は、毒素と結合し、そして胃腸管からそれを除去するためのMIPを記載している。
Chin-Shiou Huangは、米国特許第6,680,210号において巨大分子のためのインプリントされるポリマーを製造するための技術を教示している。MIPは、複雑な生物学的供給源の各巨大分子の量を検出し、そして定量するために使用することができる。
【0009】
Molecular Machines, Inc.に譲渡された米国特許第6,762,025号は、分子認識のためのオリゴヌクレオチドの使用を教示している。
米国特許第6,807,842号は、半伝導性ポリマーフィルムを使用する分析物を検出するための分子認識センサーを記載している。ポリマーフィルムは分析物でインプリントされ、そして分析物と干渉物質に暴露されたとき、フィルムの抵抗が変化する。
【0010】
Singh et alによる米国特許第6,582,971号は、タンパク質のような大きい生体分子でポリマーを分子インプリントするための方法を記載している。二相性重合を使用して、水と有機相間の界面で、標的生体分子をポリマー中に分子インプリントする。
【0011】
Catonia et alによる米国特許第6,461,873号は、試験片上の第1と第2の領域の少なくとも二つの分子インプリントポリマーを使用するカフェイン検出器を記載している。第1領域のMIPは、カフェインの分析に干渉することができる物質を除去する。第2の領域は、カフェインを選択的に吸着するMIPとカフェインの比色定量を得る発色試薬で被覆されている。
【0012】
発明の概要
標的分子の分子認識を可能にする相補的構造と化学部位を有する、受容体部位を含有するポリマーが提供される。このようなポリマーは、診断デバイスでの使用に有益で有り得る。
【0013】
分子インプリントされた部位を伴うポリマーは、接着剤に処方することができる。分子インプリントされた接着剤(molecularly imprinted adhesive)は、検出区域の標的分析物を濃縮するためのin-vitroの診断デバイス中で使用することができる。更に、分子インプリントされた接着剤は、干渉性化合物をこれらが接着剤と接触する流体から抽出し、又はこれと結合し、そしてバイオセンサー中のこれらの化合物を除去するために使用することができる。検出区域の分析物を濃縮又は干渉性化合物を除去することによって、デバイスの精度、感度及び検出レベルを改良することができる。
【0014】
また、特異的分子のためにインプリントして合成されたポリマーを使用して製造された接着剤は、標的分子を、必要に応じて制御して放出することができる。例えば、界面活性剤と共にインプリントされた接着剤は、界面活性剤を接着剤のネットワーク中に保持し、そして次いで診断デバイス中で、流体の表面張力を減少するためにその界面活性剤を放出することができる。界面活性剤をインプリントされた接着剤は、横方向流(lateral flow)デバイス中で使用して、血液又は痰のような生物学的流体の表面張力を減少して、流速を増加し、そしてセンサーの反応時間を減少することができる。
【0015】
更に、本発明は、素性及び/又は量に関して分析される成分を含有する液体試料の分析を行う方法を含んでなり、その方法は、該液体試料を、該成分でインプリントされている架橋ポリマーと接触させ、そして該分析を、該成分で前もってインプリントされている該ポリマーによって吸収された該成分の量に基づいて、該分析を行うことを含んでなる。
【0016】
また、素性及び/又は量に関して分析される成分を含有する液体試料の分析を行う方法を含んでなり、その方法は、該液体成分を、該成分でインプリントされている架橋ポリマーを含んでなる接着剤と接触させ、そして該分析を該成分で前もってインプリントされている該ポリマーによって吸収された該成分の量に基づいて、該分析を行うことを含んでなる。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも一つの分子インプリントポリマー(MIP)を含有するポリマー(接着剤のような)に関する。分子インプリントポリマーは、特異的分子認識部位を伴って作成された架橋ポリマーである。分子認識部位は、標的又は受容体分子の形状と官能性に相補的である。
【0018】
本発明は、標的分子、標的分子と相補的であるポリマー中の官能化モノマー使用と、架橋剤の使用の組合せ効果に基づいている。
標的分子は、分析物、干渉物質化合物、又は収集される化合物であることができる。更に、本発明の分子インプリントポリマーは、インプリントされた成分(抗細菌剤化合物のような)の化学的放出、又は速度プログラム(拡散)による薬物放出、活性化放出、又は制御放出を可能にするために使用することができる。MIPは、標的分子を収集し、又は標的分子を放出するために使用することができる。
【0019】
MIPの形成中に、官能化モノマーは、テンプレート分子の存在下で重合され、そして架橋されて、分子インプリントされた樹脂が製造される。
好都合には、ポリマー樹脂は、一つ又はそれより多い次の官能化モノマー、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、トリフルオロ−メタクリル酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4(5)−ビニルイミダゾール、4−ビニルベンジル−イミノ二酢酸、及び2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、から構成されることができる。この官能化モノマーの収載は、網羅的であることを意図したものではなく、そして他の官能化モノマーを、適当と見做される場合使用することができる。適した官能化モノマーの選択は、十分に当業者の技術内である。
【0020】
使用することができる他の例示的モノマーは、制約されるものではないが、メタクリル酸ヒドロキシエチル、1−ビニルイミダゾール、ビニル酢酸、アクリルアミド、及びジアセトンアクリルアミドを含む。
【0021】
架橋剤も、ポリマーマトリックスの形態を制御し、結合部位を安定化し、機械的安定性を与えるために更に使用され、そして一般的に、ポリマーを形成するために使用される反応物の全重量に基づいて、25〜90重量%の量で存在する。
【0022】
例示的な架橋剤は、制約されるものではないが、4−ジビニルベンゼン、N,N’−メチレン−ビスアクリルアミド、N,N’−フェニレン−ビスアクリルアミド、2,6−ビスアクリルアミドピリジン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ポリ(エチレングリコール)、及びトリメタクリル酸トリメチロールプロパンを含む。
【0023】
このようなモノマーは、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリピロール、ビニル酢酸、アクリルアミド及びアリルベンゼンのコポリマー、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリスチレン−コ−アクリルアミド、アクリルアミドと4−ビニルピリジンのコポリマー、のようなポリマーを得るために使用することができる。
【0024】
ポリマー反応物と架橋剤は、溶媒又はポロゲンの存在中で一緒に組合せることができる。溶媒又はポロゲンは、重合中にすべての反応物を一緒にし、ポリマー(非晶質であることができるゲル型ポリマー又はガラス状のいずれか)中に細孔、マクロ多孔質又はマイクロゲル粒子を形成するための要因である。典型的な溶媒は、制約されるものではないが、アセトニトリル又は水を含む。
【0025】
溶媒系又は水系の開始剤を、反応物の重合を促進するために更に使用することもできる。適した溶媒系の開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルであり、そして水系の開始剤は、2,2’−アゾビス−シアノ吉草酸である。
【0026】
各種の担体フィルム上に被覆することができる接着剤を処方するために、樹脂が使用される。テンプレート分子は、樹脂中に保持され、テンプレート分子が接着剤から制御して放出されることを可能にする。また、テンプレート分子は、接着剤中への処方の前に、樹脂から抽出することができる。
【0027】
接着剤は、複数の分子インプリントポリマーを含有するように処方することができる。複数のMIPを含有する接着剤は、異なったテンプレート分子(例えば干渉物質)を、流体中の干渉物質が接着剤表面に接触したときに、流体から抽出するために製造することができる。
【0028】
本発明のMIP組成物は、各種の異なった方法で使用することができる。MIP組成物は、一旦形成されると、粉末の大きさに粉砕することができる。次いでMIP粉末は、接着剤組成物中に混合されて、その中に均一に分散されたMIP成分を有する接着剤を形成することができる。MIP粉末は、更に接着剤溶液中に、固体又は溶媒/固体の溶媒和された混合物の形態のいずれかとしてブレンドされ、溶液中に懸濁(溶解されている、又はされていないのいずれか)され、そして接着剤表面のような表面に流延又は噴霧被覆して、接着剤の層の表面にも適用することができる。
【0029】
異なったMIP組成物を適した溶媒の存在中でブレンドし、そして次いで流延又は他の方法で固体に形成することができる。次いで固体を適した粒子の大きさに粉砕することができる。ポリマーは、更に二つ又はそれより多い分子の存在下で重合することもできる。
【0030】
また、得られるインプリントポリマーが、感圧接着剤として使用するために十分に柔らかい場合、分子インプリントポリマーは、それ自体接着剤層を構成することができる。
MIPとブレンドすることができる接着剤成分の素性は、重要ではない、熱密封性接着剤及び感圧接着剤等の各種の接着剤を使用することができ、その素性は当業者にとって既知である。
【0031】
例えば、各種の接着剤は、制約されるものではないが、ポリビニルエーテル、アクリル接着剤、ポリ−アルファ−オレフィン及びシリコーン接着剤を含み、同様にこれらのブレンドも使用することができる。例として、ポリビニルエーテル感圧接着剤は、一般的にビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル又はビニルイソ−ブチルエーテルのブレンド、或いはビニルエーテルとアクリレートのホモポリマーを含んでなる。アクリル感圧接着剤は、例えば、C3−12アルキルエステル成分と(メタ)アクリル酸、N−ビニルピロリドン等の極性成分を含んでなることができる。このような接着剤は、粘着性を付与することができる。ポリ−アルファ−オレフィン接着剤は、自己粘着性であるか又は粘着性付与剤を含むかのいずれかであることができる、所望により架橋されたC3−18ポリ(アルケン)ポリマーを含んでなることができる。シリコーン感圧接着剤は、ポリマー又はゴム状成分と粘着性付与樹脂を含んでなる。
【0032】
更に具体的には、アクリル感圧接着剤は、好ましくは少なくとも一つのアクリレートAと、Aモノマーとは異なるBモノマーの反応生成物から形成されるポリマーから構成される。
【0033】
少なくとも一つのAモノマーは、好ましくはアルコール部分が1ないし30個の炭素原子を有する非第三アルコールの単量体(メタ)アクリル酸エステルを含んでなる。例示的なAモノマーは、制約されるものではないが、アクリル酸又はメタクリル酸の、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、等のような非第三アルコールとのエステルを含む。このようなモノマーは、当業者にとって周知である。少なくとも一つのAモノマー成分(一つより多いAモノマーが存在する場合)は、好ましくは3ないし16個の、全アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルのアルコール部分の炭素原子の平均の数を示すものである。
【0034】
Aモノマーとは異なった一つ又はそれより多い重合可能なBモノマーを、BモノマーがAモノマーと共重合可能であるポリマー中に組込むことができる。このような更なるBモノマーは、親水性又は疎水性のいずれかであることができる。
【0035】
例示的な任意成分であるBモノマーは、少なくとも一つの窒素原子を有するビニルモノマーを含む。このようなモノマー(そのそれぞれがT>20℃を示す)は、制約されるものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びジアセトンアクリルアミドのようなN−モノ置換されたアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−アミノエチルアクリルアミド、N−エチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド及びN,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミドのようなN,N−二置換されたアクリルアミドを含む。
【0036】
他の任意成分であるBモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸グリセロール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベータ−カルボキシエチル、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム及びアクリル酸カプロラクタムのような各種のビニルモノマーを含むことができる。一つ又はそれより多いBモノマーを使用することができる。
【0037】
このような感圧接着剤は、当業者にとって周知であり、そして本発明において使用するために当業者によって容易に選択することができる。
都合よくは、このようなMIPは、以下で考察される図に描写されているような横方向流又は他の種類の診断デバイスのような診断デバイスにおいて使用することができる。診断デバイスと接触する流体中に存在する常在性の干渉物質が、正確な診断結果の獲得に干渉することができることが見出されている。例えば、以下で考察されるように、血液中の干渉物質の尿酸及び/又はアスコルビン酸の存在は、血液中に存在するグルコースの量の正確な決定を得ることに干渉する。尿酸及び/又はアスコルビン酸でインプリントされたMIPの使用によって、尿酸及び/又はアスコルビン酸は、診断中に流体から除去され、従って流体中のグルコースの決定の精度を向上する。同様な利点は、存在することができる他の干渉物質に関して存在する。
【0038】
標的分子は、インプリントポリマーの形成のために使用される重合反応の条件下で非反応性でなければならない。使用される標的分子の量は本発明の実施に対して重要ではないが、モノマー/標的分子の典型的な重量比は4:1である。
【0039】
グルコース認識部位を有する分子インプリントポリマーの製造のための方法は、参照としてそのすべてが本明細書に組込まれる、Journal Biomaterial Science Polymer Education, Vol. 13(6), pages 637-649 (2002)中にHasoo Seong et al.によって記載されている。
【0040】
グルコースでインプリントされたポリマーは、現時点で感圧接着剤を製造するために使用されている官能化モノマーを使用して合成される。実施例1−7は、グルコースでインプリントされたMIPを製造するために使用される各種の処方と条件、並びに対照系を記載する。架橋剤と架橋剤濃度は、グルコース受容体部位の強固さを制御するために選択された。
【0041】
本発明は、本発明の単なる例示とみなされ、そして本質として制約されるものではない以下の実施例に関連して更に記載される。
実施例1は、グルコース剤の存在なしで製造された慣用的なポリマーの処方であり、そして対照組成物として製造される。
【0042】
実施例1
13%固体、DMSO溶媒
ビニル酢酸 4.89%(重量)
アクリルアミド 4.03%
アリルベンゼン 6.71%
ジアクリル酸1,4−ブタンジオール 84.37%
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0043】
実施例2は、実施例1の処方と同じポリマー成分を含有し、しかし更にD−グルコース成分を含む。
実施例2
13%固体、DMSO溶媒
ビニル酢酸 5.34%(重量)
アクリルアミド 4.41%
アリルベンゼン 7.33%
D−グルコース 11.18%
ジアクリル酸1,4−ブタンジオール 71.74%
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0044】
重合反応の完了後、実施例1と2のポリマーを乾燥して、溶媒を除去し、そして微細な粉末に粉砕した。
実施例2のポリマー粉末を、水で洗浄して、いかなるグルコースも除去した。水洗後、ポリマーを再乾燥した。インプリントされた部位の、D−グルコースを抽出し、そして濃縮する能力を決定するために、ポリマーを10%のグルコースを含有する水溶液に暴露した。TA instrumentsから入手したUniversal V2.6Dを使用する熱重量分析を、ポリマーによるグルコースの吸着によって起こるポリマーの熱安定性の変化を測定するために使用した。グルコースを含む又は含まないポリマーの分解温度の変化を測定することによって、理論的部位の70%が重合中に形成され、そしてグルコースの除去後、これらの部位の50%がグルコースの捕捉を実行可能なままであることが見出された。
【0045】
実施例3は、グルコース剤の存在を伴わずに製造された、もう一つの慣用的なポリマーの処方であり、そして対照組成物として製造される。
実施例3
13%固体、DMSO溶媒
ビニル酢酸 4.89%(重量)
アクリルアミド 4.03%
アリルベンゼン 6.71%
N,N−メチレン−ビス−アクリルアミド 84.37%
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0046】
実施例4は、実施例3の処方と同じポリマー成分を含有し、しかし更にD−グルコース成分を含む。
実施例4
13%固体、DMSO溶媒
ビニル酢酸 5.34%(重量)
アクリルアミド 4.41%
アリルベンゼン 7.33%
D−グルコース 11.18%
N,N−メチレン−ビス−アクリルアミド 71.74%
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0047】
先に記載したように、実施例3において合成したポリマーは、グルコースでインプリントされた部位を含有せず、そして対照として使用した。実施例4は、同様なポリマーである。しかしながら、重合と架橋は、テンプレート分子としてのグルコースの存在中で行われた。
【0048】
熱重量分析は、ポリマー分解の変化がグルコースと同様であったために、実施例3と4に対して使用することができなかった。実施例4におけるグルコースのインプリントを測定するために、WAKO Chemical USA Inc.から、Glucose G2 Autokitグルコースキットを入手した。このキットは、ムタロターゼとグルコースオキシダーゼを使用する酵素的方法を用いて、グルコースの酸化中に過酸化水素を発生させる。次いで過酸化水素は、ペルオキシダーゼの存在下で、フェノールと4−アミノアンチピリン間の酸化的縮合を誘導して、赤色を作りだす。赤色の吸光度を測定することによって、グルコースの濃度を決定することができる。
【0049】
実施例1及び実施例2と同様な洗浄と乾燥方法を続けて行った。実施例3及び実施例4からのポリマーを、10%のグルコース水溶液に暴露し、次いで洗浄し、そして対照とインプリントポリマーからの水抽出物の試料を収集した。水の試料をグルコースキットの説明書に従って製造し、そして吸光度をPerkin Elmerから入手のLambda 9000 UV/VIS/NIR分光計で試験した。キットに含まれている既知の濃度標準を使用して、水試料中のグルコース濃度を決定した。この値をポリマー中の理論的にインプリントされたグルコース部位に関連させた。理論部位の80%が実施例4の重合中に形成され、そしてグルコースの除去後、これらの部位の70%がグルコースの捕捉を実行可能なままであることが計算された。
【0050】
実施例2と4は、硬質ないし軟質のポリマーを形成し、これは接着剤に処方され、そしてポリエステル担体に被覆された。接着剤フィルムは、検出区域下のニトロセルロースメンブランを支持するために、横方向流デバイスにおいて使用された。ニトロセルロースメンブラン上の検出区域は、グルコースに反応する比色試薬で処理された。1滴の1%グルコース水溶液を、メンブランを通して通過させ、そして検出区域の色は、2秒以内に反応した。同様な横方向流デバイスを、実施例1と3の対照を使用してMIP接着剤を含まずに構築し、そして検出区域の比色試薬は、10秒までに反応しなかった。
【0051】
実施例5も、実施例2の処方と同じポリマー成分を含有するが、しかしD−グルコース成分の代わりに尿酸成分を含む。尿酸は、上記で考察したように、グルコース決定における既知の干渉物質である。
【0052】
実施例5
13%固体、DMSO溶媒
ビニル酢酸 5.34%(重量)
アクリルアミド 4.41%
アリルベンゼン 7.33%
尿酸 11.18%
N,N−メチレン−ビス−アクリルアミド 71.74%
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0053】
実施例5は、得られたポリマーからの徹底的水洗による尿酸の除去による、尿酸のためにインプリントされたMIPポリマーを示す。尿酸は、血糖試験片の反応と干渉することが報告されている。尿酸MIPは、接着剤中に処方され、そして接着テープを、Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, INによって製造されたAccu-Chek Comfort Curve血糖試験片の血液チャンネルのカバーとして使用した。130mg/デカリットルのグルコースと8mg/デカリットルの尿酸を含有する試験溶液を、血液チャンネルを通して毛管作用で運ばせた。
【0054】
チャンネルが尿酸でインプリントされた接着剤によって囲まれた場合、MIP接着剤を含有しない対照試験片と比較して、より正確なグルコースの測定が得られた。
アセトアミノフェン及びアスコルビン酸のような他の化合物も、血糖分析を干渉することが知られている。インプリントすることができる他の分子は、制約されるものではないが、カフェイン、メラトニン、モルヒネ又は他の乱用薬物等を含む。実施例5と同様なMIPは、これらの干渉物質化合物をテンプレート分子として使用して製造することができる。例えば、それぞれの干渉物質のための個々のポリマーを、先に記述したものと同様な方法で製造することができる。また、複数の干渉物質化合物に対するインプリントされた部位を伴う一つのポリマーを、異なった干渉物質を単一の反応バッチに組込むことによって合成することができる。
【0055】
実施例6は、対照として使用するための、もう一つの慣用的な、溶媒を含まない光硬化性感圧接着剤ポリマーの処方を含有する。
実施例6
アクリル酸2−エチルヘキシル 56.15%
アクリル酸n−ブチル 14.99
酢酸ビニル 19.98
アクリル酸 5.61
ジアクリル酸ポリエチレングリコール 2.50
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン 0.77
上記の反応物を、モノマー重量の1重量%の開始剤2,2’−アゾビス(ジメチルペンタンニトリル)と共に混合し、そして4時間60℃で窒素雰囲気下、重合した。
【0056】
実施例7は、実施例6の処方と同じポリマー成分を含有するが、しかし更に界面活性剤成分−即ち、Cytec Industriesから得たアニオン性界面活性剤Aerosol OTを含む。
実施例7
アクリル酸2−エチルヘキシル 55.74%(重量)
アクリル酸n−ブチル 14.88
酢酸ビニル 19.83
アクリル酸 5.57
ジアクリル酸ポリエチレングリコール 2.48
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン 0.76
Aerosol OT 0.74
フリーラジカル光硬化後、実施例7は、親水性感圧接着剤を与えた。界面活性剤分子は、接着剤マトリックス内にインプリントされた部位を作成するためのテンプレートとして使用される。界面活性剤分子は、使用中に接着剤と接触する流体の表面張力を減少するために、接着剤から制御して放出することができる。界面活性剤分子が、ポリマーマトリックス内に捕捉されているために、これらは、より不安定ではなく、そして接着剤は、水道水の流れ下で接着剤を洗浄した後でさえ、その親水性の特性を保持する。
【0057】
感圧接着テープは、実施例7からのインプリントポリマーを約0.08mm(3ミル)のポリエステルフィルム上に被覆することによって製造することができる。界面活性剤でインプリントされたテープを、ポリエチレン基質に成形された流体チャンネルを密封するために使用した。水はチャンネルを通して流れたが、一方実施例6の対照ポリマーを使用して製造した感圧接着剤テープを使用して製造した同様な構築物は、そうではなかった。チャンネルを通る水の流れは、複数回繰返すことができ、インプリントされた接着剤ポリマー中の界面活性剤の保持を示した。
【0058】
本発明の分子インプリントポリマーは、PCT出願公開WO02/085185で開示されているもののような、診断デバイスと共に利益を伴って使用することができる。このようなデバイスは、横方向流デバイス、マイクロ流体in-vitro診断デバイス、及び、そこに複数のマイクロ孔又は空洞と、該マイクロ孔又は空洞と密封関係に置かれた少なくとも一つのカバーを配置した基盤プレートを有するマイクロプレートを含んでなるin-vitro診断デバイスを含む。
【0059】
PCT出願公開WO02/085185は、親水性ポリマーを得るための界面活性剤のポリマー組成物との組合せを教示している。しかしながら、その出願公開は、単に界面活性剤と溶媒和されたポリマーとを混合することを教示している。これは、界面活性剤がモノマーの混合物と混合され、次いでこれを、界面活性剤の存在中で共重合し、そして架橋して、インプリントポリマーを形成する本発明と対照的である。
【0060】
図1Aと1Bに示した横方向流デバイスは、典型的には生物学的流体を受入れるための試料入口区域を有する。試料入口区域又は開口部は、分析試験法に対して特異的な試薬を保持する結合パッドに対して近位であることができる。試料検体が入口区域から試薬区域に流れるに従って、特異的な化学反応又は複合体の形成が起こる。反応生成物又は複合体は、検出区域に流れ続け、ここで分析物がモニターされる。検体流体は流れ続け、そして吸収剤パッドで収集される。具体的な分析物の濃度の決定のために必要な時間は、流体の流速と分析物と特異的試験試薬間の反応速度に依存する。
【0061】
接着剤支持体は、典型的には、図1Aと1Bに示すように、結合パッド、特異的試薬を伴うマイクロ多孔質メンブラン及び吸収剤パッドを含むデバイスの各種構成要素を支持するための横方向流デバイスの構築物において使用される。接着剤層は、感圧性又は熱密封性のいずれかであることができ、そしてポリエステルフィルムのような支持体フィルム上に存在することができる。試料流体の流速は、典型的にはマイクロ多孔質メンブランを通る毛管流によって制御される。
【0062】
本発明は、図3〜8の横方向流速型のデバイスを含む、横方向流と毛管流型の両方の、各種のin-vitroの診断デバイスにおいて利益を伴って使用することができる。図6に示すような本発明の横方向流デバイスの一つの態様において、デバイスは、容器カバー1、分析される試料をデバイスに導入するための容器内の手段(開口部)3、流体収集のための手段(吸収剤パッド)5と、第1と第2の末端に離れて置かれた支持体片(backing strip)7を含んでなる。試料流体収集のための手段は、支持体片の第1の末端で支持体に接着され、試料を導入するための手段は、支持体片の第2の末端で支持体に接着される。マイクロ多孔質又は多孔質メンブラン9は、第1と第2の末端間の試料の移動のための路を与え、また同時に、流体試料と接触するために存在することができ、この時間中に試料が試薬と接触し、それとの反応又は接触が起こるいずれかの試薬物質のためのマトリックスを与えるために、第1と第2の末端間に所望により置かれる。
【0063】
好都合には、本発明によれば、第1と第2の末端間の支持体片は、特性として接着剤であることができる、分子インプリントポリマーフィルムであることができる。支持体片7は、例えば熱密封性であるか又は感圧接着特性を示すことができる。支持体片7が、感圧接着特性を示し、そして界面活性剤で分子インプリントされている場合、物質の親水性の特徴は、メンブランへの接着剤の移入が起こった場合、支持体片に接続されたいずれかのメンブラン9の有効性が減少することを回避する。
【0064】
更なる利点として、支持体片が界面活性剤でインプリントされている場合、メンブラン9の使用を回避することが可能であり、代わりに試料を試料入口点から試料収集点まで毛管作用で運搬するために、支持体片自体の親水性の特質のみに頼ることができる。このような態様において、試料がそれと接触又は反応しなければならない試薬は、試料と接触するために支持体片に直接適用されるか、又は支持体片に慣用的な方法で接続された貯蔵所から、支持体片の表面に導入されるかのいずれかであるものである。
【0065】
開口部11は、吸収剤パッド13に適用される緩衝液のような他の物質のための接近を与えるために使用することができる。一旦開口部3に加えられた試料は、吸収剤パッド15と接触する。支持体片とそれに伴う接続された構成要素の組立て体は、容器の底部分17内に位置することができる。容器カバー1は、デバイス中に存在する試料と試薬間の反応の視覚的結果を観察するための観察開口部20を含む。
【0066】
図3と4は、本発明による横方向流試験片を示す。試験片は、試料吸収剤パッド19、メンブラン21及び試料収集パッド23を含む。支持体片25は、表面27を含み、これは本発明による性質として熱密封性又は感圧性であることができ、そしてMIPであることができる。メンブラン21上の区域29は、試料との反応のための試薬を含有する。また、メンブランを省略することができ、そしてその機能は、支持体片25が界面活性剤でインプリントされている場合、その親水性表面によって提供される。このような態様において、区域29は、試験試料と反応するための試薬を、なお含有することができ、そして更に支持体片の区域29を、支持体片の残りの表面より疎水性に(又はより少なく親水性に)することもできる。このような区域の存在は、支持体片を通る試料の通過速度を遅くして、区域29中の試薬との接触時間を最大化するために役立つものである。
【0067】
本発明のデバイスのもう一つの態様は、図5に示されている。図5のデバイスは、試料パッド37と収集パッド35を含むデバイスのそれぞれの末端のためのカバー31、33を含み、試験領域41は、インプリントされた表面43を有する支持体片39の両端の中間にある。上記で考察したように、試験領域41は、支持体片の残りの部分より少なく親水性に(又はより疎水性に)された、又は所望の成分でインプリントすることができる、支持体片の部分に位置することができる。
【0068】
各種の変更を、このような態様において利益を伴って行うことができる。上記で考察したように、親水性/疎水性表面の特質の選択的区域を、試料を流体収集点に向かって支持体片に沿って横方向に向けるか、又は流体試料を隣接する親水性/疎水性区域と接触させて、支持体片に沿った流体試料の流速を遅くすることを起こすかのいずれかによって、流体試料の流れ特性を変更するために分子インプリントすることによって支持体物質の表面に与えることができる。このような場合、例えば、試薬は、流体試料の毛管作用による運搬がより遅いものである疎水性部分に置いて、流体試料と試薬間のより長い接触時間を可能にすることができる。この考察に関連して、用語、疎水性、は、支持体の部分が完全に疎水性であるものであることを意味することを意図するものではなく、しかし、この区域が支持体片の隣接する親水性部分よりも疎水性であることを意味することができる(すなわち、両方の部分は、異なった程度の親水性を有するものであり、従って流体試料の毛管作用による運搬は、なお試料入口から試料収集区域まで移動することを促進されるものである)。
【0069】
従って、図3〜6の状況において、支持体フィルム(例えば図1のようなポリエステルフィルム)の表面は、上記で考察したように分子インプリントによって親水性にし、そして吸収剤パッドと試料パッド/結合パッドに結合するための熱密封可能な層として使用することができる。所望により、メンブランも、更に熱密封可能な親水性支持体片に結合することができる。また、メンブランの使用を省略し、そして試薬を支持体片の親水性表面に直接適用し、そして試料と試薬は、支持体片の表面を通って直接吸収剤パッドに向かって毛管作用で運搬することを起こすことができる。また、支持体層は、上記で考察したように他の種類の分子で分子インプリントすることができる。
【0070】
上記で考察したように、支持体片が親水性感圧接着剤層を含んでなる態様において、メンブランは、接着剤の親水性の特性のために、接着剤の移入のためにメンブランが機能する能力の喪失の恐れを伴わずになお利益を伴って使用することができる。しかしながら、試料パッドから吸収剤パッドへの試料のための運搬媒体として役立つ親水性接着剤層により、メンブランの使用を省略することがなお可能である。試料と接触することが所望されるいずれかの試薬は、親水性接着剤層の表面に直接適用することができる。支持体片の接着性の特性は、更にそれぞれの試料/結合/吸収剤パッドを支持体片に結合するために、利益を伴って使用することができる。これは、デバイスの製造を容易にする。このようなデバイスは、典型的には一般的に試料と試薬の反応の程度を決定する(例えば、色の形成又は形成された色の強度により反応の程度を決定する)ための観察窓を有する、適した容器中に含まれるものである。
【0071】
分析方法中に流体試料の毛管運搬を使用するマイクロ流体診断デバイスの状況において、このようなデバイスは、典型的には適したポリマー基板中に成形されたマイクロ流体チャンネルを含む(図7及び図16を参照)。マイクロ流体デバイスは、一般的に一つ又はそれより多い流体チャンネル、通路、流体試料がその中を入口開口部から検出領域に通過する0.1μmないし500mm間の少なくとも一つの内部断面寸法(幅又は深さ)を有するチャンバー又は導管を有するデバイスを指す。
【0072】
マイクロ流体診断デバイスは、一般的に一つ又はそれより多いマイクロ流体チャンネル、通路、その中のチャンバー又は導管を有する実質的に平面の基盤部分を含んでなる。ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリスルホンのようなポリマー物質、及びガラス、水晶、ケイ素及びポリシリコンのようなシリカ系基板、並びに他の慣用的に使用される基板物質を含む各種の物質が基盤部分を構成することができる。
【0073】
このような基板は、射出成形、型押し又は打抜き、等のような慣用的な手段によって製造される。マイクロ流体通路又はチャンネルは、制約されるものではないが、フォトリソグラフィー、湿式化学エッチング、レーザー切断、エアアブレージョン技術、射出成形、型押しと、他の技術を含む当業者にとって既知の慣用的なマイクロ製造技術によって基盤部分に製造することができる。基板物質は、所望の製造方法との適合性、並びにpH、温度、塩濃度の極限と、電場の適用を含む、物質と条件に対する予期される暴露との適合性に基づいて選択される。基板物質は、更に透明度とスペクトル特性を含む所望による特性に対しても選択することができる。
【0074】
密閉容器の表面(enclosure surface)、又はカバーは、基盤の上部部分に置かれて、マイクロ流体通路又はチャンネルを囲い又は他の方法として密封する。本発明の状況において、チャンネル又は通路は本発明によれば、表面が分子インプリントされている基質で被覆され、基盤中の通路又はチャンネルを被覆する。界面活性剤でインプリントされたカバーを使用して、マイクロ流体通路とチャンネルを通る液体の流れを向上することができる。
【0075】
このようなデバイスは、典型的には、検出窓に隣接して位置する光学検出手段を含み、これによって検出器は、通路を通る液体試料又は試料の流れから得られるマイクロ流体通路又はチャンネル内からの、光学的特性の存在又は非存在を感知する。光学検出器は、蛍光、比色又はビデオ検出装置のような各種の検出器手段のいずれかを含んでなることができ、これは励起光源(レーザー又はLED)、等を含む。光学的に検出可能な特性を得るために、色ラベル、コロイドラベル、蛍光ラベル、スペクトル特性と化学発光ラベルのような各種の光学的に検出可能なラベルを使用することができる。
【0076】
上記で考察したように、チャンネルが、流体試料が毛管に沿って移動することを起こすために十分な親水性を保有することを確実にしなければならないことに対する別の方法は、本発明による界面活性剤で分子インプリントされた親水性物質で、チャンネルの上部部分を被覆することである。すなわち、親水性表面特性を有する熱密封可能なフィルムを、チャンネルを密閉し、そして流体試料がチャンネルを湿潤化することを起こすものであるように、必要な親水性の特性を与える両方のために、チャンネルの開放空洞上に適用することができる。別の方法として、ポリマーのフィルムは、これも更に特性として親水性である感圧接着剤被覆を含んで、界面活性剤で分子インプリントされることによって、流体試料がチャンネルを湿潤化することを起こすために必要な親水性を与えることができる。マイクロ流体診断デバイスの構築におけるこのような物質の使用は、更にデバイスの製造を単純化するためにも役立つ。本発明の状況において、被覆層のすべての仕上げ表面(facing surface)が親水性である必要はなく、代わりに、マイクロ流体チャンネル又は通路を密封するために役立つ被覆層の部分のみが親水性であることが必要である。勿論、横方向流デバイスの場合のように、マイクロ流体チャンネル又は通路を密封する被覆層のある部分を、流体試料の流速を変更するために他の部分より少なく親水性にすることができる。
【0077】
本発明によって製造された典型的なマイクロ流体デバイスを、図7と8に示す。図7のデバイスは、基盤部分45、基盤45の上部の凹所47、開放マイクロ流体チャンネル49、流体貯蔵所51及び観察窓53を含む。図7のデバイスにおいて、マイクロ流体チャンネル49は、デバイスの内部を描写するためにカバーが取られている。図16のデバイスの断面図において(図8において)、基盤部分45は、カバー部分55によって密封されていることを示すマイクロ流体チャンネル49を含む。カバー部分55は、分子インプリントされた仕上げ表面57を含み、これによってマイクロ流体チャンネル49に入る流体試料は、仕上げ表面と接触し、そして試料がチャンネルの長さに沿って運搬されるようにするものである。カバー55の仕上げ表面57は、親水性感圧接着剤の存在によるように、カバー自体の表面を分子インプリントによって親水性にすることによって、本発明によって親水性にすることができる。例えば、カバー55は、基盤45の内部部分に熱密封又は接着的に接続することができる。
【0078】
図9と10に示された別の態様において、マイクロ流体in-vitro診断デバイスは、接着剤スペーサー71によって分離された、向かい合った基盤層69、75から構成されることができる。流体チャンネル73を描写するために、図9には単一の基盤層のみを示しているが、図10には、両方の基盤層を示している。スペーサー層71は、分析される流体が貯蔵所から収集点までその中を通過する流体チャンネル73をその中に有することができる。基盤層69、75の表面の少なくとも一部と流体チャンネルの境界を区別するスペーサー層は、分子インプリントすることができる。
【0079】
スペーサー層71は、好ましくはスペーサー層の感圧接着特性の結果として、又はそれぞれの基盤層に熱密封された結果としてのいずれかで、向かい合った基盤層に結合された接着剤層である。感圧である場合、スペーサー層は、転写フィルムの形態で、又は二面構造として使用することができる。上記で考察したように、基盤層が特性として親水性でない場合、スペーサー層は、流体試料による流体チャンネルの湿潤化を援助するために、要求される親水性の特性を保有することができる。スペーサー層中の流体チャンネル73は、スペーサー層に打抜くか、又は要求される流体チャンネルをスペーサー層に提供するために有効ないずれかの他の手段によって得ることができる。このような構造の一つの利益は、マイクロ流体デバイスが、図7の態様のように基盤層に流体チャンネルを成形する必要を伴わずに、容易に構築することができることである。
【0080】
本発明のマイクロプレートは、図11と12に示すようなマイクロウェルを含有するマイクロプレートのような各種の形態を含む。図に示すように、マイクロプレートは、その中に多数のマイクロウェル63が形成された基盤部分61を含む。マイクロウェル63は、六角形のような又は描写したように円筒形のいずれかの適した形態であることができる。図11は、マイクロウェルを密封するための基盤部分61の上部のカバープレート又はシート65の存在を示している。カバープレート又はシートは、分子インプリントされた熱密封性フィルムを含んでなることができ、或いは感圧特性を有することができる。図11に描写されているように、プレート又はシートの内部表面が感圧接着特性を示す場合、又は他の接着手段を使用することによって、凍結乾燥された基質のような適した物質、等を、所望に応じて、カバープレート又はシートの内部表面に接着することができる。本発明の状況において、カバープレート又はシートは、少なくとも、マイクロウェルを被覆するその内部表面が分子インプリントされる。このような特性は、感圧接着剤の使用、又は熱密封可能なフィルムの使用によって上記で教示した方法で与えることができる。
【0081】
別のマイクロプレートの態様を、図13と14に示し、これはそこに切込まれ又は成形され、そして基盤部分77を完全に通して通過する複数のマイクロホール79を含有する基盤部分77を有する開放ウェルマイクロプレートを含んでなる。それぞれの液体試料がその中に置かれるように、それぞれのマイクロホール79を密封するために、基盤部分77には仕上げカバープレート又は層があってもよい。ホールに隣接する基盤部分又はカバー部分(示されていない)のいずれか又は両方は、分子インプリントすることができる。カバープレート又は層は、感圧接着剤のような適した接着手段、或いはカバープレート又は層の熱密封性接着特性によって基盤プレートに接続することができる。
【0082】
本発明は、望む特性を得るために分子インプリントすることができる多数のポリマーフィルムを使用することができる。この方法で変更することができるポリマーは、当技術において周知である。このようなポリマーの例は、制約されるものではないが、以下のポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(2−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、1,2−ポリ−1,3−ブタジエン、1,4−ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、エチレン−アクリル酸イソブチルコポリマー、並びに二つ若しくはそれより多いポリオレフィン又はポリオレフィンと非オレフィンのランダム或いはブロックコポリマーを含むポリオレフィンである。同様に、二つ又はそれより多いポリマーのブレンドも、更に使用することができる。
【0083】
ポリマーは、更にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート、ポリ−(1,4−シクロヘキサンジメチレン)テレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン)イソフタレートのコポリマーと、イソフタレート−テレフタレートコポリマー;ポリ(1,4−フェニレン)テレフタレートとイソフタレート及びコポリマー;ポリ(1,4−フェニレン)−4,4’ジフェニルジカルボキシレート;マレイン酸、アジピン酸及びセバシン酸のような脂肪族二塩基酸と、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、グリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール及びセルロースのようなポリヒドロキシ化合物から誘導されたポリエステルのようなポリエステルを含んでなることもできる。好ましくは、本発明に使用されるフィルム形成ポリマーは、ポリマーがフィルム形成であることを可能にするために、及び、得られたポリマーフィルムが十分に低い温度(例えば70ないし100℃の範囲)で熱密封性であることを可能にするために、十分なTg又はTcを示す。
【0084】
各種の界面活性剤を、ポリマーを分子インプリントするために使用することができる。本発明において使用するために適している界面活性剤は、疎水性ポリマーフィルムに親水性の表面特性を有効に与えるいずれかの界面活性剤を含む。このような界面活性剤の素性は、本発明の実施に対して重要ではないが、アニオン性界面活性剤が好ましい。しかしながら、このような界面活性剤の例は(非制約的に)、アルキルフェノキシ(ポリエチレンオキシ)エタノールのアンモニウム塩又はナトリウム塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム、等である。例示的な界面活性剤は、好ましくは一つ又はそれより多いヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸、アミン官能基を含む。Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technologies, 2ndEdition, Vol. 19, pages 512-564中に属する界面活性剤の詳細な考察は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
界面活性剤は、例えばポリマーと界面活性剤の全重量に基づいて、0.05ないし15重量%のような、約15重量%までの量で混合することができる。好ましくは、界面活性剤は、約3ないし6重量%の範囲の量で、ポリマーと混合される。
【0086】
従って、分子インプリントされた接着剤が、例えば、向上した親水性表面特性を与えるための分子インプリントされた界面活性剤、分析される液体からの特異的干渉物質を収集するためにインプリントされた分子インプリントされた接着剤表面、又は分析が行われる特異的成分を収集するための分子インプリント接着剤表面を含む表面を与えることによって、先に記載したデバイスにおいて利益を伴って使用することができることは明白である。好都合には、接着剤層の分子インプリント特性は、本発明の目的と一致する所望の最終結果に合致するために容易に合わせることができる。図15〜17は、これに関する本発明の実施の利益を証明する。
【0087】
図15は、尿酸とアスコルビン酸のためにインプリントされたMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフ的な描写である。図16は、尿酸とアスコルビン酸のために全体の感圧接着剤中にインプリントされた、5重量%のMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフ的な描写である。図17は、尿酸とアスコルビン酸のために感圧接着剤の表面にインプリントされた、5重量%のMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフ的な描写である。
【0088】
“全体”の態様に関して、MIPの濃度は、接着剤の全体の5%である。接着剤固体に対する5重量%のMIPが、接着剤が担体フィルム上に被覆される前に接着剤溶液に混合される。
【0089】
“表面”の態様に関して、MIPの濃度は、接着剤固体に対して5重量%のMIPを溶媒中に懸濁し、そして懸濁液を放出フィルム上に被覆することにより、接着剤の表面上の5%である。接着剤溶液は、担体フィルム上に被覆され、そして乾燥と硬化後、接着剤フィルムは、MIPで被覆されたライナー上の表面に積層される。別の方法として、接着剤は、MIP被覆されたライナーの上部に定方向被覆することができる。別の方法として、MIP懸濁液は、接着剤の被覆の上部に直接、被覆又は噴霧することができる。
【0090】
図15〜17の結果は、グルコースに対して分析される流体からの尿酸及び/又はアスコルビン酸の除去が、グルコース分析の感度を有意に向上することが可能なことを確認している。
【0091】
例えば、図15は、グルコース定量の効率が、対照試験(MIPなし)に対する92.7%から尿酸インプリントされたMIPに対する98%、そしてアスコルビン酸インプリントされたMIPに対する99.3%に増加することを示している。
【0092】
図16は、グルコース定量の効率が、対照試験(MIPなし)に対する96%から尿酸インプリントされたMIPに対する97.1%、そしてアスコルビン酸インプリントされたMIPに対する98.7%に増加することを示している。
【0093】
図17は、グルコース定量の効率が、対照試験(MIPなし)に対する96.5%から尿酸インプリントされたMIPに対する98.1%、そしてアスコルビン酸インプリントされたMIPに対する99.1%に増加することを示している。
【0094】
従って、分析に使用される液体試料中に存在する干渉物質でインプリントされた、分子インプリントポリマーの使用によって、分析の効率の有意な増加を達成することができる、液体試料の分析のための方法を提供することが、本発明の実施の利益である。
【0095】
図15〜17の更なる例として、150mg/dlのグルコース、10mg/dlの尿酸及び10mg/dlのアスコルビン酸を含有する水性原液を製造した。グルコースは、実施例4に記載した方法によって、WAKO Chemicals USA, Inc.から入手のGlucose G2 Autokitグルコースキットを使用して分析した。図15において、5グラムのインプリントされていないポリマー(対照)を、100グラムの原液と1分間混合した。0.2mlのアリコート試料を混合物から採取し、そしてグルコースに対して分析した。139mg/dlグルコースの値が見出され、これは尿酸とアスコルビン酸の存在がグルコース測定の精度を減少していることを示した。この実験を、尿酸でインプリントされたMIPを使用して繰り返した場合、147mg/dlのグルコース値が測定された。同様に、実験を、アスコルビン酸でインプリントされたMIPを使用して繰り返し、そして149mg/dlのグルコース値が測定された。これらの結果は、尿酸とアスコルビン酸のためのMIPが、それらの干渉性化合物の影響を減少し、そしてグルコース測定の精度を増加したことを示す。
【0096】
図16において、管状の流体チャンネルを全体の接着剤中に5%のインプリントされていないポリマーを含有する接着剤被覆を使用して作成した(対照)。1mlの上記の原液を接着剤を通して通過させ、次いでGlucose G2 Autokitによるグルコース分析のために収集した。144.1mg/dlのグルコース値が溶出された流体中で測定された。この実験を全体の接着剤中に尿酸でインプリントされた5%のMIPを含有する接着剤を使用して繰り返した。145.7mg/dlのグルコース値が測定された。同様に、実験を全体の接着剤中にアスコルビン酸でインプリントされた5%のMIPを含有する接着剤を使用して繰り返した。148.0mg/dlのグルコース値が測定された。これらの結果は、流体チャンネルとして使用された尿酸とアスコルビン酸のためのMIPを含有する接着剤が、グルコース測定の精度を増加したことを示す。
【0097】
図17において、図16のための実験と同様に、接着剤の表面に5%のインプリントポリマーを含有する接着剤を使用して、管状の流体チャンネルを作成した。接着剤の表面上のインプリントされていないポリマーによる対照でのグルコース濃度は、144.7mg/dlであった。接着剤表面上の尿酸インプリントMIPの使用は、147.1mg/dlのグルコース濃度を与えた。接着剤表面上のアスコルビン酸インプリントMIPは、148.6mg/dlを与えた。これらの結果は、干渉性成分を除去するためにインプリントされたMIPを含有する接着剤を使用するグルコース精度の増加を示している。分子インプリントポリマーは、接着剤の全体中に又は表面上にあることができる。複数の干渉性成分を除去するために、一つの接着剤中の二つ又はそれより多いMIPの組合せが、多くのアッセイにおいて利益を与えるものであることが予期される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1aは、横方向流診断デバイスの平面図である、図1bは、図1aの横方向流診断デバイスの略図である。
【図2】図2は、in-vitroの試料分析に使用される、マイクロ流体デバイスを示す。
【図3】図3は、本発明の横方向流診断デバイスの側面図である。
【図4】図4は、図3の横方向流診断デバイスの平面図である。
【図5】図5は、本発明の横方向流診断試験片の展開図である。
【図6】図6は、本発明の横方向流試験片のもう一つの態様の展開図である。
【図7】図7は、本発明によるマイクロ流体診断デバイスの斜視図である。
【図8】図8は、図7のデバイスの断面図である。
【図9】図9は、基盤部分に接続された接着剤のスペーサー部分を有する、マイクロ流体デバイスのもう一つの態様の斜視図である。
【図10】図10は、両方の基盤部分が存在する図9のマイクロ流体デバイスの断面図である。
【図11】図11は、カバーシートを伴わないマイクロプレートの斜視図である。
【図12】図12は、カバーシートを伴う図9のマイクロプレートの斜視図である。
【図13】図13は、複数の開口部をそこに有する開放ウェルマイクロプレートの平面図である。
【図14】図14は、図13の開放ウェルマイクロプレートの断面図である。
【図15】図15は、尿酸とアスコルビン酸のためにインプリントされたMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフである。
【図16】図16は、全体の感圧接着剤中で、尿酸とアスコルビン酸のためにインプリントされた5重量%のMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフである。
【図17】図17は、感圧接着剤の表面で、尿酸とアスコルビン酸のためにインプリントされた5重量%のMIPを使用した、規定されたグルコース濃度に対する影響のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの分子インプリントされた架橋ポリマーを含んでなる接着剤。
【請求項2】
請求項1に記載の接着剤であって、複数の分子インプリントポリマーを含んでなる接着剤。
【請求項3】
請求項1に記載の接着剤であって、一つ又はそれより多い標的化合物のためのインプリント部位を有する分子インプリントポリマーを含んでなる接着剤。
【請求項4】
請求項1に記載の接着剤であって、該接着剤が、感圧接着剤である接着剤。
【請求項5】
請求項1に記載の接着剤であって、該接着剤が、熱密封接着剤である接着剤。
【請求項6】
請求項1に記載の接着剤であって、該ポリマーが、界面活性剤でインプリントされる接着剤。
【請求項7】
請求項1に記載の接着剤であって、該ポリマーが、血液由来成分でインプリントされる接着剤。
【請求項8】
請求項7に記載の接着剤であって、該ポリマーが、尿酸、アセトアミノフェン又はアスコルビン酸の少なくとも一つでインプリントされる接着剤。
【請求項9】
請求項1に記載の接着剤であって、該ポリマーが、界面活性剤でインプリントされる接着剤。
【請求項10】
請求項1に記載の接着剤であって、該ポリマーが、グルコースでインプリントされる接着剤。
【請求項11】
請求項1に記載の接着剤であって、該分子インプリントポリマーが、粉末の形態で該接着剤中にそれと共に混合物として存在する接着剤。
【請求項12】
請求項1に記載の接着剤であって、該分子インプリントポリマーが、該接着剤の表面に存在する接着剤。
【請求項13】
少なくとも一つの分子インプリントされた架橋ポリマーを含んでなる接着剤を製造する方法であって、分子インプリントされる所望のポリマーを形成するために必要な重合可能なモノマーを用意する工程、該重合可能なモノマーを、該ポリマーをインプリントするために適合され、そして該モノマーと混和性である成分と組合せる工程、該重合可能なモノマーを共重合し、そして架橋して、該ポリマーをインプリントするために適合された該成分との混合物中でインプリントされたポリマーを形成する工程、及び該分子インプリントされた架橋ポリマーを接着剤と組合せる工程、を含んでなる方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、該ポリマーが、尿酸、アセトアミノフェン又はアスコルビン酸成分の少なくとも一つでインプリントされ、そして該成分が洗浄によって除去される方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、該ポリマーが、界面活性剤でインプリントされる方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、該ポリマーが、グルコースでインプリントされ、そして該グルコースが、該ポリマーから洗浄によって除去される方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、該分子インプリントされた接着剤が、該接着剤と粉末の形態で組合わせられる方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、該粉末が、該接着剤内に分散される方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、該粉末が、該接着剤の表面に分散される方法。
【請求項20】
容器、デバイス中で分析される試料を該デバイスに導入するための該容器内の手段、流体収集のための該容器内の手段、及び第1と第2の末端から離れて置かれた支持体片を含んでなる横方向流in-vitro診断デバイスにおいて、ここにおける改良が、該支持体片が、分子インプリントされた架橋ポリマーから構成される接着剤から構成される、デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の横方向流デバイスであって、更に該第1と第2の末端間の該支持体片に接続されたマイクロ多孔質又は多孔質メンブランを含んでなる横方向流デバイス。
【請求項22】
請求項20に記載の横方向流デバイスであって、該接着剤が、熱密封性である横方向流デバイス。
【請求項23】
請求項20に記載の横方向流デバイスであって、該接着剤が、感圧接着特性を示す横方向流デバイス。
【請求項24】
その中で分析される流体試料が入口開口部から検出領域へ通過する、少なくとも一つの流体チャンネルを有する基盤から構成されるマイクロ流体のin-vitro診断デバイスにおいて、ここにおける改良が、該少なくとも一つの流体チャンネルが、密閉容器の表面によって密封され、流体チャンネルの少なくとも一つの表面が分子インプリントされた架橋ポリマーから構成される、デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載のマイクロ流体デバイスであって、該少なくとも一つの密閉容器の表面が、該少なくとも一つの流体チャンネルを密封するために該基盤と熱密封されるマイクロ流体デバイス。
【請求項26】
請求項24に記載のマイクロ流体デバイスであって、該少なくとも一つの流体チャンネルに面する、該少なくとも一つの密閉容器の表面が、感圧接着特性を示すマイクロ流体デバイス。
【請求項27】
請求項24に記載のマイクロ流体デバイスであって、該少なくとも一つの流体チャンネルに面する、該少なくとも一つの密閉容器の表面が、界面活性剤で分子インプリントされたマイクロ流体デバイス。
【請求項28】
請求項24に記載のマイクロ流体デバイスであって、該流体チャンネルが、該接着剤層に打抜きされるマイクロ流体デバイス。
【請求項29】
多数のマイクロ孔又は空洞が形成された基盤プレートと該マイクロ孔又は空洞と密封関係におかれた少なくとも一つのカバーを有するマイクロプレートから構成されるin-vitroの診断デバイスにおいて、ここにおける改良が、該マイクロ孔又は空洞を密封する少なくとも一つの該カバーの表面が、分子インプリントされた架橋ポリマーから構成される診断デバイス。
【請求項30】
請求項29に記載の診断デバイスであって、該少なくとも一つのカバー部分が、該マイクロ孔又は空洞を密封するために該基盤と熱密封される診断デバイス。
【請求項31】
請求項29に記載の診断デバイスであって、該マイクロ孔又は空洞に面する該少なくとも一つのカバーの表面が、感圧接着特性を示す診断デバイス。
【請求項32】
請求項29に記載の診断デバイスであって、該マイクロ孔又は空洞に面する該少なくとも一つのカバーの表面が、界面活性剤で分子インプリントされる診断デバイス。
【請求項33】
素性及び/又は量に関して分析される成分を含有する液体試料の分析を行う方法であって、該液体試料を、該成分でインプリントされた架橋ポリマーと接触させ、そして該成分で前もってインプリントされた該ポリマーによって吸収された該成分の量に基づく該分析を行うこと含んでなる方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、複数の分子インプリントポリマーを含んでなる方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法であって、一つ又はそれより多い標的化合物のためのインプリント部位を含有する分子インプリントポリマーを含んでなる方法。
【請求項36】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、感圧接着剤である接着剤を含んでなる方法。
【請求項37】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、界面活性剤でインプリントされる方法。
【請求項38】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、血液由来成分でインプリントされる方法。
【請求項39】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、尿酸、アセトアミノフェン又はアスコルビン酸の少なくとも一つでインプリントされる方法。
【請求項40】
請求項33に記載の方法であって、該ポリマーが、グルコースでインプリントされる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−544282(P2008−544282A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518365(P2008−518365)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/024219
【国際公開番号】WO2007/002237
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507417879)アドヒーシブズ・リサーチ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】