説明

分岐した流出カニューレ

血液を動脈系内に導くための分岐したカニューレ(64)に関する。分岐したカニューレ(64)は進入管(68)と第一の退出管(70)及び第二の退出管(72)とを含む。第一の退出管(70)は、分岐したカニューレ(64)に入る血液の第一の部分を、動脈系へ第一の方向に導く。第二の退出管(72)は、分岐したカニューレ(64)に入る血液の第二の部分を、動脈系へ第一の方向に対向する方向に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年11月9日に出願された米国特許仮出願第61/259347号(係属中)の優先権を主張し、その開示が参照により本明細書に組み入れられている。
【0002】
本発明は一般に、心臓が身体を通じて血液を移動させることを補助する装置に関し、より具体的には本発明はポンプ流出カニューレ(pump outflow cannulae)に関する。
【背景技術】
【0003】
人体の循環系は、代謝産物、ホルモン及び細胞老廃物のような化学物質を含有した血液を、細胞から、及び細胞へ輸送している。この器官系は、心臓、血液及び脈管網を含んでいる。静脈は、心臓に向かって血液を運ぶ脈管であり、一方、動脈は心臓から血液を運び出す。人間の心臓は、2つの心房チャンバと2つの心室チャンバからなる。心房チャンバは血液を静脈から収容し、大きな筋肉壁を含む心室チャンバは血液を心臓から圧送する。血液の移動は以下の通りである。血液は上大静脈または下大静脈いずれかから右心房に入り、右心室内に移動する。右心室から、血液は肺動脈を介して肺に圧送され、酸素を付加された状態になる。血液に酸素が付加されるとすぐに、血液は、肺静脈を介して左心房に入ることにより心臓に戻り、左心室に流入する。最終的に、血液は左心室から大動脈、及び脈管網内に圧送される。
【0004】
場合によっては、脈管網との流体連通を保持することが必要になる。例えば、循環補助システムは、血液が脈管網を通じて移動することを支援するようにポンプを使用して、これによりうっ血性心不全(通常は心臓病と称される)に関連する症状を軽減する。循環補助システムのポンプは、流入カニューレと流出カニューレとを含む。流入カニューレは、心臓の左側をポンプに接続することが多く、流出カニューレは、ポンプを動脈網に接続することが多い。
【0005】
しかしながら、ポンプの流体出力は、流出カニューレを埋め込むために用いられる特定の動脈の、自然の流体限度容量を大幅に上回ることが多い。そのとき、静脈網が、増加した血液流入を直ちに補償することの不十分さが、結果的に、埋め込まれた流出カニューレ周辺の端部の浮腫を引き起こす場合がある。静脈網は時間をかけて適合し、補償することができるが、初期の腫脹発生を防ぐように、ポンプからの流体の流れをより良く分配する装置を有することは有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許11/627444号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一実施形態においては、本発明は、動脈系内に血液を導くための分岐したカニューレを対象にする。分岐したカニューレは、進入管、並びに第一及び第二の退出管を含んでいる。ポンプからの血液は、分岐したカニューレに進入管を通じて流入する。第一の退出管は、分岐したカニューレに入った血液の第一の部分を動脈系内へと、第一の方向に導く。第二の退出管は、分岐したカニューレに入った血液の第二の部分を動脈系内へと、第一の方向に対向する方向に導く。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】心臓が断面図として図示されている、分岐したカニューレによって右鎖骨下動脈に接続されているポンプからの流出物による循環補助システムの線図である。
【図2】右鎖骨下動脈に接続された分岐した流出カニューレと、埋め込み可能なポンプとの代表的な一実施形態の斜視図である。
【図3】図2に図示されている分岐した流出カニューレの断面図である。
【図4】分岐した流出カニューレを除去するとともにステントグラフトを接続する代表的方法の斜視図である。
【図5A】管取付部を有する分岐した流出カニューレの別の実施形態の断面図である。
【図5B】図5Aと同様であるが、分岐した流出カニューレと組み立てられた管取付部を図示している図である。
【図6】分岐した流出カニューレの追加の実施形態の断面図である。
【図7】分岐した流出カニューレの追加の実施形態の断面図である。
【図8】分岐した流出カニューレの追加の実施形態の断面図である。
【図9】心臓が断面図として図示されている、循環補助システムを埋め込む別の方法の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、埋め込まれた循環補助システム10を図示している。例示を目的として、所定の生体構造が、右心房16、左心房18、右心室20、及び左心室22を有する、患者14の心臓12を含んで図示されている。左鎖骨下静脈24及び右鎖骨下静脈26、並びに左頸静脈28及び右頸静脈30からの血液は、右心房16に上大静脈32を通じて入り、一方で身体の下部部位からの血液は、右心房16に下大静脈34を通じて入る。血液は、右心房16から右心室20へ、そして肺(図示されていない)へ圧送されて、酸素を付加される。肺から戻った血液は左心房18に肺静脈36を介して入り、次いで左心室22内に圧送される。左心室22を出た血液は大動脈38に入り、左鎖骨下動脈40、左総頸動脈42、並びに右鎖骨下動脈46及び右総頸動脈48を含む腕頭動脈44に流入する。
【0010】
埋め込まれた循環補助システム10については、可撓性を有するカニューレ本体50が、左心房18内から、心房内隔壁52を通じ、経皮的に右鎖骨下静脈26の脈管アクセスサイト54に延在している。可撓性を有するカニューレ本体50は、埋め込み可能なポンプ58の流入口56に取り付けられている。図示されていないが、代替的に、可撓性を有するカニューレ本体50を心臓12内に外科的に埋め込んで、胸腔を通じてポンプ58に延在させることができる。
【0011】
ポンプ58は、羽根車(図示されていない)を有する軸方向駆動ポンプ(axially−driven pump)とすることができる。しかしながら当業者は、別のタイプのポンプが別の実施形態において用いられ得るが、参照によって全体を本明細書に組み込まれる、第2007/0197854号として公開された特許文献1に記載されているようなポンプを含み得ることを認識する。循環補助システム10とともに用いるために適切なポンプ58は、血液を圧送する能力を有することができる。
【0012】
ケーブル60は、ポンプ58から腹部の所定の位置に経皮的に延出することが可能であり、この位置でケーブル60は患者14から出て、電源(図示されていない)に接続することができる。適切な電源は、ポンプ58にケーブル60を介して動力を送る任意の普遍的なタイプの電源とすることができ、且つ限定されるわけではない再充電可能なバッテリパックを含むことができる。
【0013】
医師は、埋め込み可能なポンプ58を、脈管アクセスサイト54付近に位置付けられたポンプポケット62内に、少なくとも皮下に、任意には筋肉下に配置することができるか、又は代替的にポンプ58を外部に保持することができる。
【0014】
分岐した流出カニューレ64は、埋め込み可能なポンプ58の排出口66を、ここでは右鎖骨下動脈46として図示されている適切な動脈に接続する。当業者は、分岐した流出カニューレ64が右鎖骨下静脈26を越えて右鎖骨下動脈に延在するように図示されているが、実際には分岐した流出カニューレ64は右鎖骨下静脈26の下に存在し得ることを理解する。
【0015】
図2及び図3は、進入管68並びに第一及び第二の退出管70、72を有するY字状コネクタとして形成されている、分岐した流出カニューレ64を図示している。図示されているように、第一の退出管70は血液を右鎖骨下動脈46内へ、第一のステントグラフト74を介して、且つ矢印75によって図示されているこの右動脈46の自然の血流方向に対向する(即ち逆行する)方向に導く。図示されているように、第二の退出管72は血液を動脈46内へ、第二のステントグラフト76を介して、且つこの右鎖骨下動脈46の自然の血流方向に等しい方向(即ち放射方向)に導く。ステントグラフト74、76は、Bard Peripheral Vascular社(アリゾナ州テンペ)によって製造されたFLAIR、又はBoston Scientific社(マサチューセッツ州ナティック)による、被覆されたWALLSTENTのような、任意の市販の自己拡張型脈管内カバードステントグラフトとすることができる。図示されているように、ステントグラフト74、76のサイズは、分岐した流出カニューレ64への接続のための、脈管構造内での最小約5cmの係合と脈管構造の外側での最大約10cmの長さとを可能にするように選択されるが、ステントグラフト74及び76のサイズ及び長さは、これら特定的に示された値に限定されるべきではない。
【0016】
図3は、分岐した流出カニューレ64のさらなる詳細を断面図として図示している。分岐した流出カニューレ64は金属材料、例えばチタンから機械加工され、血栓形成の発生率を最小化するように研磨されてもよく、或いは、分岐した流出カニューレ64はシリコーン又はウレタンのような高分子材料からモールド成型されてもよい。
【0017】
退出管70、72は、ラジアル方向の血流と、逆行方向の血流との望ましい相対量を可能とするように構成されている。図示されているように、第二の退出管72は第一の退出管70の先端で分岐しているが、別の配置を用いることができる。退出管70、72は相対的な断面積を有する管腔78、80によって構築されており、この相対的な断面積は、ポンプ58からの血流を計量するように、約80:20である逆行流量:ラジアル流量の比を提供するように選択されている。従って、第一の退出管70を通じた逆行方向の第一の流れは大容量であり、一方で第二の退出管72を通じたラジアル方向の第二の流れは小容量である。特に図示されないが、必要に応じて比が50:50になるように、又は別の比となるように断面積を構成することが可能であるが、通常、逆行方向に導かれる容量はラジアル方向に導かれる容量に合致するか、又はこれを上回る。
【0018】
ここで図1、図2及び図3を参照すると、使用の際に、医師は第一及び第二の脈管切開部82、84を、ここでは右鎖骨下動脈46として図示されている適切な脈管構造に作成する。当業者に周知であるとともに、分岐した流出カニューレ64の配置に適合する方法で、第一及び第二のステントグラフト74、76は右鎖骨下動脈46内に導かれて配置展開される。
【0019】
次いで、医師はステントグラフト74、76の近位端を、分岐した流出カニューレ64の退出管70、72それぞれの外表面上に配置する。この外表面を、ステントグラフト74、76の望ましくない除去に対する抵抗力を提供するための、1つ以上の返し86、88を含むように構成することができる。次いで、グラフトコレット90、92を、ステントグラフト74、76を退出管70、72上に既知の方法でクランプして固定させるために用いることができる。
【0020】
必要に応じて、医師は延長チューブ94を進入管68とポンプ58の流出口66との間に接続することができる。このようにして、ポンプ58を、右鎖骨下動脈46からの望ましい距離に配置することができる。延長チューブ94を、生体耐久性を有する、低デュロメータ硬度の熱可塑性材料又は熱硬化性エラストマ材料から構成することができる。延長チューブ94の進入管68への連結は、延長チューブ94の遠位端を進入管68の外表面上に導くことを含むことができ、この進入管68は、1つ以上の返し96をも含むことができる。次いで、延長チューブ94を、コレット98によって、且つ上述した方法と同様に、固定することができる。別のコレット100を、ポンプ58の流出口66に延長チューブ94を固定するために用いることができる。
【0021】
流体連結を完了することにより、循環補助システム10を、心臓12が患者の血液を図1に示されたような脈管ネットワークを通じて圧送することを支援するために用いることができる。これにより、血流は自然な形で進み、酸素を付加された血液は、左心房18から左心室22内に、そして大動脈38に移動することができる。大動脈38から、血液は左鎖骨下動脈40、左総頸動脈42及び腕頭動脈44内に移動する。また、血流は、左心房18から可撓性を有するカニューレ本体50に入り可撓性を有するカニューレ本体50の管腔を通じてポンプ58に移動することによる人工的な経路に沿って、進むこともできる。
【0022】
ポンプ58から、血液は分岐した流出カニューレ64に流入し、次いでこの血液は、選択された逆行:ラジアル比に一致する形で分配される。例えば、図示されている、80:20の逆行:ラジアル比を有する分岐した流出カニューレ64によって、大部分の血液は逆行する方向に導かれる。ポンプは通常、約2L/min〜約3L/minの範囲内で動作し、且つ右鎖骨下動脈46の自然の流量は約0.5L/minであるので、逆行する方向に圧送される血液は、右鎖骨下動脈46内への自然の流れを圧倒する。従って、第一の退出管70の先端である右鎖骨下動脈46内の正味の血流は、逆行する方向に、腕頭動脈44内へ、さらに大動脈38へ入る。そこから血液は、例えば総頸動脈42、48及び椎骨動脈104のような別の動脈内に再分配される。血流の他の20%は放射方向に、右鎖骨下動脈46の自然の血流方向に導かれ、従って右腕112の腋窩動脈106及び上腕動脈108に入る。このようにして、血液は、患者の右腕112、即ち選択された動脈の下流端に供給されるが、血液を移動させるための静脈の限度容量を圧倒することはなく、従って浮腫を解消する。
【0023】
幾らかの患者には、循環補助システム10を最早必要としない手術後の期間が有り得る。従って、埋め込み可能なポンプ58及び可撓性を有するカニューレ本体50のような不必要なコンポーネントを除去することは有益である。しかしながら、右鎖骨下動脈46の、ステントグラフト74とステントグラフト76との間の部位における血流の減少は、脈管に完全に血栓を引き起こし、循環補助システム10が埋め込まれてから短期間の間に閉塞した状態になる。この処置を元に戻し、且つ右鎖骨下動脈46を通じた血流を継続させる一つの例示的な方法が図4に図示されている。
【0024】
図示されているように、ポンプ58(図1)及び可撓性を有するカニューレ本体50(図1)が除去されるとすぐに、延長チューブ94(図2)及び分岐した流出カニューレ64(図2)も取り除かれる。次いでステントグラフト74、76は、U字形状のアダプタ114を用いて互いに連結される。このU字形状のアダプタ114は、分岐した流出カニューレ64(図3)と同様の方法、即ち金属材料から機械加工して研磨するか又は高分子材料からモールド成型する方法によって構成することができる。アダプタ114は、第一及び第二ステントグラフト74、76を取り付けるための、進入開口部及び退出開口部に近接して位置付けられた返し(図示されていない)を、分岐した流出カニューレ64(図3)と同様に含むことができる。次いで、コレット116、118を、ステントグラフト74、76をアダプタ114に固定するために用いることができる。
【0025】
循環補助システム10(図1)が取り除かれた状態で、血液は、上に詳細に記載された自然の経路にのみ従って流れる。右鎖骨下動脈46に入る血液は、脈管の、ステントグラフト74とステントグラフト76との間に存在する部位を越えることはできない。その代わりに、血液はステントグラフト74、76及びU字形状のアダプタ114を通じて流れ、次いで腋窩動脈106(図1)に流れる。
【0026】
処置を元に戻す方法が、U字形状のアダプタ114及び右鎖骨下動脈46によって示されたが、別の形状を有するアダプタを別の脈管構造において用いることも可能であることが理解される。
【0027】
図5A及び図5Bは、別のY字形状構造を有する分岐した流出カニューレ120を図示しており、ここで退出管121、122は、進入管123の遠位の同じ場所から角度を有して枝分かれするように構成されている。別の分岐した流出カニューレ120の構造は、前述された方法に従ったものとすることができる。進入管123は、延長チューブ94(図2)を受けるための返し124を含むことができるが、この進入管123は、コレットの使用の有無にかかわらず、ポンプ58(図1)の排出口66(図1)に直接連結することもできることが理解される。望ましい逆行流量:ラジアル流量比を達成するために、管取付部126、128を構成し、退出管121、122それぞれに嵌入することができる。管取付部126、128それぞれは、逆行流量:ラジアル流量の比を決定するための内部断面積を有する内部管腔130、132を含む。管取付部126、128は、退出管121、122それぞれに連結するための返し134、136を含むことができる。管取付部126、128を固定するために、接着剤、エポキシ又は溶着を用いることができる。ステントグラフト74、76(図1)を受けるために、付加的な返し138、140を管取付部126、128に含めることができる。
【0028】
図6及び図7は、分岐した流出カニューレ120を構成する、さらなる2つの付加的な方法を図示しており、ここでは望ましい逆行:ラジアル比が、フローセレクタ(flow selector)を含むことにより選択される。図6におけるフローセレクタは、異なる内径を有する絞り141、142を含み、図7におけるフローセレクタは、異なる内径を同様に有するリング144、146を含む。これら図面は退出管121、122内のフローセレクタを特定的に図示しているが、フローセレクタを代替的又は付加的に、進入管123内に、進入管123と退出管121、122のうちの1つとの間の位置に、又はこれら位置を組み合わせて、配置可能であることが理解される。さらに、フローセレクタを、分岐した流出カニューレの様々な実施形態のうちのいずれか一つに配置してもよく、且つ個々の機能に適合させるために混成することができることが理解される。
【0029】
図8は、T字状コネクタとして形成されている、分岐した流出カニューレ148のさらなる別の代替的な構造を図示している。この特定の構造において、退出管150、152は、進入管154に対して90度の角度を形成するとともに、これら退出管150と退出管152との間に180度の角度を形成している。モールド成型又は機械加工された例示的な実施形態が、80:20の比を有して図示されているが、図5A及び図5Bの管取付部126、128を代替的に使用可能であることが理解される。前述されたように、1つ以上の管150、152、154を、ステントグラフト74、76(図2)を固定するために、返し156、158、160を有して構成することができる。
【0030】
退出管が、同じ動脈血管内に血液を導くことを必ずしも必要としないことが、当業者によって理解される。図9は、分岐したカニューレ64を用いる別の方法を図示しており、この場合、第一のステントグラフト74は第一の脈管切開部82aにおいて大動脈38に入り、第二のステントグラフト76は第二の脈管切開部84aにおいて左鎖骨下動脈40に入る。このようにして、小容量の血流は左腕162のための左鎖骨下動脈40内に導かれ、一方で大容量の血流は、左鎖骨下動脈40、左総頸動脈42及び腕頭動脈44への分配のための大動脈38内に導かれる。また、図9は、左心房18内に外科的に配置されている、可撓性を有するカニューレ本体50を図示している。
【0031】
少数の特定の構造のみが示されているが、様々な構成が単一の進入管及び2つの退出管を有して可能であることが理解される。
【0032】
本発明は様々な好ましい実施形態の記載によって説明され、且つこれら実施形態は幾分細部に亘って記載されたが、添付の特許請求の範囲の技術的範囲をこのような細部に制限する、又は何らかの形で限定することは、出願人の意図ではない。さらなる利点及び修正が、当業者には容易に明らかとなる。本発明の様々な特徴は、使用者の必要及び選択に応じて、単独又は任意の組み合わせの形で用いることができる。本明細書に、本発明が、現在知られているような本発明を実施する好ましい方法とともに詳細に説明された。しかしながら、本発明それ自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0033】
10 循環補助システム
12 心臓
16 右心房
18 左心房
20 右心室
22 左心室
24 左鎖骨下静脈
26 右鎖骨下静脈
28 左頸静脈
30 右頸静脈
32 上大静脈
34 下大静脈
36 肺静脈
38 大動脈
40 左鎖骨下動脈
42 左総頸動脈
44 腕頭動脈
46 右鎖骨下動脈
48 右総頸動脈
50 可撓性を有するカニューレ本体
52 心房内隔壁
54 脈管アクセスサイト
56 流入口
58 埋め込み可能なポンプ
60 ケーブル
62 ポンプポケット
64、120 分岐した流出カニューレ
66 排出口
68 進入管
70 第一の退出管
72 第二の退出管
74 第一のステントグラフト
76 第二のステントグラフト
82 第一の脈管切開部
84 第二の脈管切開部
86、88、96、124、134、136、138、140 返し
90、92、98 グラフトコレット
94 延長チューブ
100、116、118 コレット
104 椎骨動脈
106 腋窩動脈
108 上腕動脈
114 U字形状アダプタ
121、122、150、152 退出管
123 進入管
126、128 管取付部
130、132 内部管腔
141、142 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向への血流を有する動脈系内に血液を導くための分岐したカニューレであって、
ポンプからの血流を収容するための進入管と、
前記血液の第一の部分を前記進入管から前記動脈系内へと、前記第一の方向に導くように構成された第一の退出管と、
前記血液の第二の部分を前記進入管から前記動脈系内へと、前記第一の方向に対向する方向に導くように構成された第二の退出管と、
を備えている分岐したカニューレ。
【請求項2】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管それぞれの断面積が、前記第一の退出管及び前記第二の退出管を貫流する血液の前記第一の部分及び前記第二の部分を決定することを特徴とする請求項1に記載の分岐したカニューレ。
【請求項3】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管の断面積は、前記血液の第一の部分が前記血液の第二の部分よりも少なくなるようなサイズであることを特徴とする請求項2に記載の分岐したカニューレ。
【請求項4】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管の断面積は、前記血液の前記第一の部分及び前記第二の部分が、それぞれ前記進入管を貫流する血液の50%となるようなサイズであることを特徴とする請求項2に記載の分岐したカニューレ。
【請求項5】
第一のステントグラフト及び第二のステントグラフトが、流体連通するように前記第一の退出管及び前記第二の退出管にそれぞれ連結され、且つ前記動脈系に接続するようにさらに適合されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐したカニューレ。
【請求項6】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管それぞれの外表面が、前記ステントグラフトそれぞれを保持するための返しを含んでいることを特徴とする請求項5に記載の分岐したカニューレ。
【請求項7】
延長チューブが、流体連通するように前記進入管に連結され、且つ前記ポンプに接続するようにさらに適合されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐したカニューレ。
【請求項8】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管いずれかの断面積を減少させるように構成されたフローセレクタをさらに備える請求項1に記載の分岐したカニューレ。
【請求項9】
前記フローセレクタは、2つ以上の枢動可能なブレードを有する絞りであることを特徴とする請求項8に記載の分岐したカニューレ。
【請求項10】
前記第一の退出管によって受けられる第一の管取付部であって、前記第一の管取付部を通じる管腔の断面積が前記第一の退出管の断面積よりも小さい第一の管取付部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の分岐したカニューレ。
【請求項11】
前記第二の退出管によって受けられる第二の管取付部であって、前記第二の管取付部を通じる管腔の断面積が前記第二の退出管の断面積よりも小さい第二の管取付部
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の分岐したカニューレ。
【請求項12】
請求項1に記載の分岐したカニューレを除去する方法であって、第一のステントグラフト及び第二のステントグラフトが前記第一の退出管及び前記第二の退出管を前記動脈系に連結しており、
前記ポンプを前記進入管から係脱するステップと、
前記ポンプを除去するステップと、
前記分岐したカニューレを除去するステップと、
前記第一の方向に流れる前記血液が、前記第二のステントグラフトに入り、前記第一のステントグラフトへ前記第一の方向に流入し、次いで前記動脈系内へ前記第一の方向に還流するように、前記第一のステントグラフトと前記第二のステントグラフトとを流体連結するステップと、
を備えている方法。
【請求項13】
血液を、ポンプから、第一の方向への血流を有する動脈系へ、進入管と第一の退出管及び第二の退出管とを備えている分岐したカニューレによって導く方法であって、
前記血液を、前記ポンプから前記分岐したカニューレの前記進入管内へ導くステップと、
前記血液の第一の部分が前記動脈系へ前記第一の方向に入るように、前記血液の第一の部分を、前記第一の退出管を通じて且つ前記動脈系内に導くステップと、
前記血液の第二の部分が前記動脈系へ前記第一の方向に対向する方向に入るように、前記分岐したカニューレに前記進入管から入る前記血液の第二の部分を、前記第二の退出管を通じて且つ前記動脈系内に導くステップと、
を備えた方法。
【請求項14】
前記第一の部分と前記第二の部分とを導くステップが、前記第一の退出管及び前記第二の退出管それぞれの相対断面積によって決定されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の部分と前記第二の部分とを導くステップがフローセレクタによって決定され、前記フローセレクタは前記第一の退出管及び前記第二の退出管いずれかの断面積を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の退出管及び前記第二の退出管を、第一のステントグラフト及び第二のステントグラフトによって、流体連通するように前記動脈系にそれぞれ連結するステップ
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第一の方向に流れる血液を有する、患者の動脈系から循環補助システムを係脱する方法であって、前記循環補助システムは、患者の心臓の左側をポンプに連結している可撓性を有するカニューレ本体と、分岐したカニューレであって、前記ポンプからの血液を収容するための進入管と、前記血液の第一の部分を前記進入管から、前記動脈系に連結された第一のステントグラフト内に導くように構成され、前記血液は前記第一の方向に移動する第一の退出管と、前記血液の第二の部分を前記進入管から、前記動脈系に連結された第二のステントグラフト内に導くように構成され、前記血液は前記第一の方向に対向する方向に移動する第二の退出管と、を備える分岐したカニューレとを含み、前記方法は、
前記第一の退出管及び前記第二の退出管を、前記第一のステントグラフト及び前記第二のステントグラフトから係脱するステップと、
前記第一のステントグラフト及び前記第二のステントグラフトを、前記第一の方向に流れる前記血液が前記第二のステントグラフトに入り、前記第一のステントグラフトへ前記第一の方向に流入し、次いで前記動脈系内へ前記第一の方向に還流するように流体連結するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−509945(P2013−509945A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537876(P2012−537876)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046793
【国際公開番号】WO2011/056280
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508226322)サーキュライト・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】