説明

分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品

【課題】 分岐鎖アミノ酸の苦味がなく,長期保存安定性,取扱性に優れ,分岐鎖アミノ酸と共に他の栄養成分を含有する,継続して摂取可能な分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の提供.
【解決手段】 イソロイシン,ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸と共に,糖質,脂質を含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって,分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcalあたり2.0〜4.5gであり,乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,ソルビトール,トレハロース,マルトースの少なくとも1種の甘味料を更に含有する,焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品により上記課題が解決される.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,分岐鎖アミノ酸,糖質,脂質を含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に関する.より詳細には,本発明は,分岐鎖アミノ酸に起因する苦みがなく,しかも焼菓子の形態をなしていることにより,従来の分岐鎖アミノ酸含有製剤に比べて,摂取性が大幅に向上していて且つ長期保存安定性に優れる分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に関する.
【背景技術】
【0002】
イソロイシン,ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸は,いずれも体内でつくることができないために外部から補給しなければならない必須アミノ酸であって,蛋白合成促進作用と筋蛋白崩壊抑制作用を有している.これら3種類の分岐鎖アミノ酸は,筋でまずケト酸にアミノ基転移され,肝やその他の組織でインスリン依存性に代謝され,エネルギー基質となる.これら3種類の分岐鎖アミノ酸は,侵襲時や感染時には効率の良いエネルギー源となることから,術後早期や肝障害,腎障害などの場合にはこれら3種類の分岐鎖アミノ酸を含む製剤が良く使用される(非特許文献1,2).
【0003】
例えば,肝硬変患者は,(1)エネルギー需要の亢進に伴う分岐鎖アミノ酸酸化の亢進,(2)高インスリン血症による筋肉組織への分岐鎖アミノ酸の取り込みの増加,(3)高アンモニア血症による筋肉組織での分岐鎖アミノ酸代謝の亢進などが原因となり,血中分岐鎖アミノ酸濃度が低下する.分岐鎖アミノ酸は,蛋白代謝におけるanticatabolic作用のあることが報告されており,分岐鎖アミノ酸の供給は肝硬変患者の筋肉における蛋白質代謝を改善する.
【0004】
従来,肝硬変患者に対しては,食事の一部分をアミノ酸,糖質および脂質などを配合した市販の製剤で置き換えることによって栄養状態の改善が行われてきた.しかしながら,市販の製剤の多くは,粉末状の製剤を水で溶解して液剤にして患者に給与するため,液剤の調製の手間がかかり,しかも摂取形態が液状であることから,摂取後に腹部膨満感あるいは胃もたれがあり,所定量を摂取できない場合がある.市販の製剤に含まれるアミノ酸が分岐鎖アミノ酸である場合には,分岐鎖アミノ酸の苦味を強く感じて服用しにくいという問題があった(非特許文献3).
【0005】
そこで,本発明者らは,これらの課題を解決する手段としては分岐鎖アミノ酸を含有する固形食品,中でも,患者が通常の菓子類を食するのと同じ感覚で,楽しみながら継続して摂取できる焼菓子形態が最適と考えて研究を行ってきた.しかしながら,本発明者らの検討によって,分岐鎖アミノ酸を含有する焼菓子は,一般的な焼菓子の焼成条件によって製造すると保存中に水分活性が上昇する現象が認められることが明らかになった.これは,分岐鎖アミノ酸を大量に含有しているため,焼成直後には半結合状態として存在する水が,保存中に自由水へと遷移することが原因と考えられる.すなわち,分岐鎖アミノ酸を含有する焼菓子は,一般的な焼菓子の製法によっては,十分な保存性を確保することが不可能であった.
【0006】
ここで,水分活性とは,食品衛生検査指針理化学編(2005年 社団法人日本食品衛生協会発行)の水分活性試験法電気抵抗式機器による方法で測定した食品中の自由水の割合を示す指標である.食品の腐敗は,ある種の微生物が原因であるが,微生物の増殖には適当な栄養素や温度のほかに,適量な水の存在が不可欠である.食品中の水は,大きく自由水と結合水に分類される.自由水とは分子が自由に動き回ることのできる水であり,これに対して,結合水は分子の動きが束縛されている水である.微生物が利用できるのは,食品に含まれる水のうち自由水のみであるため,水分活性が高いほど保存中に微生物が繁殖しやすい.多くの食中毒菌の生育最低水分活性は0.94以上,黄色ブドウ球菌は0.86,酵母は0.88,カビは0.80以上である.微生物の生育がみられるもっとも低い水分活性は0.61である(非特許文献4).水分活性を0.60以下にすると,ほとんどすべての微生物の生育を防ぐことが可能であり,食品の保存性が向上する.
【0007】
分岐鎖アミノ酸含有焼菓子の保存中における水分活性の上昇を抑制するには,焼成条件をきつくして焼成直後の水分活性を低くする方法が考えられる.本発明者らの検討によれば,焼成後の水分活性が0.35未満になるように焼成条件を設定すれば,その後の水分活性の上昇が抑制できることが明らかになっている.
【0008】
しかし,水分活性が0.35未満になるような焼成条件で分岐鎖アミノ酸含有焼菓子を製造すると,苦味が強くなる,固くなりすぎる等の問題が生じる.また,高温下で化学反応が進行して配合成分に変動が生じる可能性もある.従って,長期間の保存に耐え,かつ風味及び食感が良好な焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造するための有効な手段はこれまで存在しなかった.
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「タンパク質・アミノ酸の新栄養学」,第1刷,株式会社講談社,2007年3月20日,p.172−175
【非特許文献2】「全科に必要な栄養管理Q&A」,株式会社総合医学社,2008年2月20日,p.14−15,68−69および184−185
【非特許文献3】沖田極,「栄養−評価と治療」,株式会社メディカルレビュー社,2007年6月15日,第24巻,第3号,p.64−73
【非特許文献4】「食品と水分活性」,株式会社学会出版センター,1981年12月10日,p102−103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は,保存安定性に優れていて,長期間にわたって変質などを生ずることなく,安全に且つ安定して保存することができるとともに,外観及び食感が良好な分岐鎖アミノ酸含有製品を提供することである.
さらに,本発明の目的は,分岐鎖アミノ酸と共に,糖質,脂質などの他の栄養成分を患者に同時に給与することのできる,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養製品を提供することである.
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は,下記(1)から(6)の本発明により達成される.
(1)イソロイシン,ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸と共に,糖質,脂質を含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって;
分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcalあたり2.0〜4.5gであり;
乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,ソルビトール,トレハロース,マルトースの少なくとも1種の甘味料を含有し;且つ
焼菓子形態をなしている;
ことを特徴とする分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【0012】
(2)焼成後,40℃で30日間密封保存した後の水分活性が0.45〜0.60である(1)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【0013】
(3)乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノースの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.25〜0.75重量部である(1)または(2)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【0014】
(4)キシリトール,ソルビトールの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.25〜1.00重量部である(1)または(2)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【0015】
(5)トレハロース,マルトースの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.30〜1.00重量部である(1)または(2)に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【0016】
(6)イソロイシン,ロイシンおよびバリンの含有比率が,イソロイシン:ロイシン:バリン=1:1.6〜2.4:0.8〜1.2の質量比である(1)〜(5)のいずれかに記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように,本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は,甘味料として乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,ソルビトール,トレハロースまたはマルトースの少なくとも1種を含有することにより,保存中の水分活性の上昇を抑制し,長期保存が可能で,かつ食感及び外観が良好な焼菓子形態の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を提供するものである.
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品およびその製造方法を詳細に説明する.
本発明に示される「焼菓子」とは,生地を混合して賦型後,加熱焼成したものを意味する.
【0019】
生地に使用する原料は,従来,焼菓子を調製する際に使用されているものはいずれも可能である.例えば,小麦粉,糖類,食用油脂,卵を主原料とし,必要に応じて食塩,乳製品,膨張剤などを加えたものである.限定されるものではないが,焼菓子形態をなす本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の具体例としては,クッキー,サブレ,ビスケット,ウエハース,パフパイ,ロシアケーキなどを挙げることができる.
【0020】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の水分活性は,焼成後および25℃6ヶ月保存後に相当する条件である40℃30日間アルミ密封包装保存後において,0.45〜0.60にしておくことが好ましい.焼成後の水分活性が0.45以下であると,食感が粗悪になる.また,高温下の化学反応により配合成分に変動が生じる可能性がある.保存中に水分活性が0.60を超えると微生物が増殖する可能性があり,保存安定性が悪くなる.
【0021】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の形状,サイズ,重さなどは特に制限されるものでなく,喫食し易い形状であればいずれでもよく,一般的に分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品1個の重さが約20〜30g,特に22〜27g程度にしておくことが,喫食性,各種栄養成分の摂取量の調整容易性,携帯性などの点から好ましい.
また,本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品のカロリーとしては,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品1g当りのカロリーが3.2〜4.8kcal,特に3.6〜4.4kcalにしておくことが,カロリー摂取量の調整の容易性の点から好ましい.
ここで,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品のカロリー量は,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中に含まれる成分の種類および量に基づいて,五訂増補日本食品標準成分表に対応したエクセル栄養君Ver.4.5(株式会社建帛社)にしたがって算出したカロリー量をいう.
【0022】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は,イソロイシン,ロイシンおよびバリンという3種類の分岐鎖アミノ酸を含有している.本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に含有されているイソロイシン,ロイシンおよびバリンは,いずれもL−アミノ酸であり,天然物から得られたものであってもよいし,合成により得られたものであってもよいし,または天然物から得られたものと合成により得られたものを併用してもよい.
【0023】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合される分岐鎖アミノ酸の配合量は,100kcalあたり2.0〜4.5gであり,好ましくは2.5〜4.3g,より好ましくは3.5〜4.2gの範囲である.分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲であることによって,患者に必要な量の分岐鎖アミノ酸を供給することができる.分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲よりも少ないと,患者に必要な量の分岐鎖アミノ酸を供給できにくくなり,一方分岐鎖アミノ酸の含有量が前記範囲よりも多いと,アミノ酸の苦味を強く感じるようになり,患者が継続して摂取しにくくなる.
【0024】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品における,イソロイシンとロイシンとバリンの含有比率は,一般的には,イソロイシン:ロイシン:バリン=1:1.6〜2.4:0.8〜1.2の質量比であることが好ましく,1:1.8〜2.2:0.9〜1.1であることがより好ましい.イソロイシン:ロイシン:バリンの含有比率を前記範囲にすることによって,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中でのそれら3種類の分岐鎖アミノ酸の含有比率が,人体を構成しているタンパク質におけるイソロイシンとロイシンとバリンの比率に近い値となり,人体にとって必要なそれぞれの分岐鎖アミノ酸を過度に多くなったり,過度に少なくなったりせずに,適切な量で供給することができる.
【0025】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に,水分活性上昇抑制の目的で配合する甘味料は,乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,ソルビトール,マルトース,トレハロースである. キシロオリゴ糖,エリスリトール,ガラクトオリゴ糖,イソマルトオリゴ糖を配合した場合は,ある程度水分活性の上昇は抑制されるものの,焼成により褐変反応を起こし(焦げ),また焼成後の食感が悪くなるため好ましくない.
【0026】
水分活性上昇抑制の目的で配合される上記甘味料の配合量は,各々の甘味料で異なるが,分岐鎖アミノ酸1重量部に対して1重量部以下であることが好ましい.甘味料の配合量が,分岐鎖アミノ酸1重量に対し1重量部より多くなると,生地のまとまりがなくなり調製が難しく,また,焦げやすく焼成作業が困難になる,食感が悪くなる等の問題があり好ましくない.
【0027】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合する糖質としては,医薬,栄養剤,食品で従来利用されている公知の糖質のいずれもが使用できる.例えば,小麦粉,ライ麦粉,米粉,トウモロコシ粉などの穀粉類,小麦澱粉,トウモロコシ澱粉,米澱粉,タピオカ澱粉などの澱粉類,デキストリン,砂糖・ブドウ糖などの単糖類・二糖類などが挙げられ,これらの1種または2種以上を使用できる.
【0028】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合する脂質としては,従来,食品で利用されている公知の各種の食用油脂類が単独または2種以上混合して使用できる.例えば,アマニ油,エゴマ油,オリーブ油,ゴマ油,米油,米糠油,サフラワー油,シソ油,大豆油,コーン油,ナタネ油,胚芽油,パーム油,パーム核油,ヒマワリ油,綿実油,ヤシ油,ナッツ油,落花生油,カカオ脂などの植物性油脂やラード,牛脂,魚油,乳脂などの動物性油脂,中鎖脂肪酸,高度不飽和脂肪酸,DHA,EPA,ジアシルグリセロールなどの加工油脂,また,これら油脂を含有するバター,マーガリン,ショートニングなどの油脂加工品が挙げられる.
【0029】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を製造する際には,製品の種類に応じて通常用いられる適当なビタミン類やミネラル類などの成分を配合することができる.
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合することができるビタミン類としては,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,ナイアシン,パントテン酸,葉酸,ビオチン,ビタミンC,ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンKなどが挙げられる.これら複数をできるだけ組み合わせて配合するのが好ましい.ビタミンとしてビタミン誘導体を用いてもよい.本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品中には,複数のビタミンを組み合わせて含有させることが,各種ビタミン類を同時に摂取できることから好ましい.
【0030】
ビタミンの配合量としては,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcalあたり,下記の範囲が適当である.

[分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当りのビタミン類の好ましい含有量]
ビタミンB1 0.1〜40mg,好ましくは0.1〜25mg
ビタミンB2 0.1〜20mg,好ましくは0.1〜12mg
ビタミンB6 0.1〜60mg,好ましくは0.1〜10mg
ビタミンB12 0.1〜100μg,好ましくは0.20〜60μg
ナイアシン 1〜300mg,好ましくは1.0〜60mg
パントテン酸 0.1〜55mg,好ましくは0.5〜30mg
葉酸 10〜1000μg,好ましくは20〜200μg
ビオチン 1〜1000μg,好ましくは3〜500μg
ビタミンC 10〜2000mg,好ましくは8〜1000mg
ビタミンA 0〜3000μg,好ましくは60〜600μg
ビタミンD 0.1〜50μg,好ましくは0.4〜5.0μg
ビタミンE 1〜800mg,好ましくは0.7〜150mg
ビタミンK 0.5〜1000μg,好ましくは2〜700μg
【0031】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品に配合することができるミネラル類としては,ナトリウム,カルシウム,カリウム,マグネシウム,リンおよび亜鉛などが挙げられる.これらをできるだけ組み合わせて配合するのが好ましい.これらは,無機電解質成分として配合されてもよいし,有機電解質成分として配合されてもよい.無機電解質成分としては,例えば,塩化物,硫酸化物,炭酸化物,リン酸化物などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩類が挙げられる.また,有機電解質成分としては,有機酸,例えばクエン酸,乳酸,アミノ酸,アルギン酸,リンゴ酸またはグルコン酸が挙げられる.
【0032】
ミネラルの配合量としては,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcalあたり下記の範囲が適当である.

[分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品100kcal当りのミネラルの好ましい含有量]
ナトリウム 5〜6000mg,好ましくは10〜3500mg
カルシウム 10〜2300mg,好ましくは60〜600mg
カリウム 1〜3500mg,好ましくは15〜1800mg
マグネシウム 1〜740mg,好ましくは25〜1800mg
リン 1〜2300mg,好ましくは25〜1500mg
亜鉛 0.1〜30mg,好ましくは1〜15mg
【0033】
また,本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には,分岐鎖アミノ酸特有の苦味を緩和するため,乳化剤を添加することが望ましい.このような乳化剤としては,パーム硬化油モノグリセリド,オレイン酸モノグリセリド,モノ・ジオレイン酸ジグリセリン,ペンタオレイン酸デカグリセリン,レシチンなどが挙げられ,好ましくは縮合リシノレイン酸ペンタグリセリン,縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンまたはレシチンが用いられる.
【0034】
なお,本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品には,食塩,イースト,膨張剤などを必要に応じて添加することもできる.膨張剤としては,食品業界で汎用されている例えば炭酸水素ナトリウム,炭酸水素アンモニウムが挙げられ,その代表例としては市販のベーキングパウダーが挙げられる.これら食塩,イースト,膨張剤などの添加量は約1重量%までとすることができる.
【0035】
本発明に係る分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の製造方法においては,まず上記各成分を含有する生地を作製する.各成分の混合,混練による生地の調製は,得られる生地が均一になるように適宜通常の装置,機器などを利用して行う.まず,粉末状の各原料成分を秤量する.脂質源,全卵,糖質および乳化剤を混合し,クリームを形成した後,その他の原料成分を混合する.
【0036】
本発明では,次いで上記で得られる生地を任意の形状に賦型する.この賦型は,通常の方法に従い,例えば麺棒あるいはデポジター,圧延ローラーなどの機械を用いて生地を延ばした後に型抜きする.また,搾り出し(ワイヤーカット),ロータリーモルダー,ステンシルモルダーなどの方法も挙げられる.これら賦型物の大きさおよび長さは最終製品の食べやすさ,取扱いの容易さなどを考慮し適宜定めればよい.
【0037】
本発明においては,上記生地を加熱焼成することを不可欠とし,これによって分岐鎖アミノ酸を含有する焼菓子形態の総合栄養食品を得ることができる.加熱焼成の条件は,使用した原料素材,生地の水分含量などに応じて適宜選択でき,一般に製菓製造において採用されているそれらの条件と特に異なるものではない.通常,加熱温度範囲は約60〜250℃の範囲から選ばれ,加熱時間は約2〜60分の範囲から選ばれる.好ましい温度および時間は,約130〜220℃および8〜45分程度である.
上記加熱焼成のための熱源としては,特に制約はなく熱水,蒸気,電気ヒーター,ガスオーブンなどの燃焼熱を利用するもの,電子レンジなどのマイクロ波,遠赤外線,赤外線などの各種のものを用いることができる.
【0038】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の水分量は3〜10重量%,好ましくは4〜8重量%である.分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の水分量が3重量%より少ないと,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品が硬くなり,食べにくくなるため好ましくない.また,水分量が10重量%を超えると長期保存に適さなくなり好ましくない.
【0039】
このようにして得られた分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は,甘味料として乳糖果糖オリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,フラクトオリゴ糖,ソルビトール,マルトース,トレハロースの少なくとも1種を配合することにより,保存中の水分活性の上昇を抑制し,長期保存が可能なものである.
【実施例】
【0040】
次に,実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが,本発明はこれらに限定されるものではない.
【0041】
(実施例1)
表1に示す配合に基づき,調製法1の方法により分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.アミノ酸含有量は,100kcalあたり4.0g,甘味料として乳糖果糖オリゴ糖(乳果オリゴ糖LS−90P,塩水港製糖株式会社)を,分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.45重量部になるように配合した.結果を表3に示す. 評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
(調製法1)
マーガリン(ブロンテ,株式会社ADEKA),砂糖,乳糖果糖オリゴ糖および乳化剤(縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン,サンソフトNo.818H,太陽化学株式会社)を4.8L容ステンレスボウルに入れ,ミキサー(KitchenAid 型式:KSM5,平面ビーター,株式会社エフ・エム・アイ)を用い,速度目盛り2で2分間ミキシングした.次に凍結全卵(製菓用,キユーピータマゴ株式会社)を加えて速度目盛り2で5分間ミキシングした.
さらに,ミクロカルマグS,ビタミンミックス,グルコン酸亜鉛,ロイシン,イソロイシン,バリン(L−ロイシン,L−イソロイシン,L−バリン,いずれも協和発酵バイオ株式会社),食物繊維(グアガム酵素分解物,サンファイバーR,太陽化学株式会社),濃縮大豆たんぱく(ARCON S,日本新薬株式会社)および乳清たんぱく(Lacprodan DI−9224,アーラーフーズイングレディエンツジャパン株式会社)を加えて速度目盛り1で30秒間,速度目盛り2で30秒間ミキシングした.最後に小麦粉(日清フラワー薄力小麦粉,日清フーズ株式会社)を加えて,速度目盛り1で30秒間,速度目盛り2で1分間ミキシングして分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品用生地を調製した.得られた生地を麺棒で7mm厚の均一な板状に延ばし,直径6cmの型により型抜きした.その後,型抜きした生地をオーブンレンジ(品番:NE−M250,松下電器産業株式会社)で170℃,11分間焼成し,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.
【0045】
(評価法1)
焼成後の外観を観察し,色調を確認した.均一に焼色がついているものを『○』,焼色がまだらになったものを『△』,焦げたものを『×』と判断した.
【0046】
(評価法2)
焼成後,十分に冷却した分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品の一部を用いて水分活性の初期値を測定した.水分活性の測定は,水分活性測定装置(ノバシーナ社製 LabMaster−aw Standard)を用いた.焼成後の水分活性の初期値は0.42から0.52の範囲であった.その後,アルミ包装して40℃の恒温槽に30日間保存し,保存後の水分活性を測定した.40℃に30日間保存したサンプルは室温180日保存に相当する.水分活性が0.60以下を『適』,0.61以上を『不適』と判断した.
【0047】
(評価法3)
焼成後の食感について,パネラー10名により官能評価を行った.評価は,『良い』あるいは『悪い』の2段階とした.10名中8名以上が『良い』と回答したものを『○』,10名中8名以上が『悪い』と回答したものを『×』,前記に該当しないものを『△』と判断した.評価法2において,『不適』と判断されたサンプルについては,評価法3は行わなかった.比較例6以降は,評価法1で『×』と判断されたサンプルについては,食感に関する官能評価は行わなかった.
【0048】
(実施例2)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をフラクトオリゴ糖(メイオリゴ,株式会社明治フードマテリア)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0049】
(実施例3)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をグリセリン(食添用グリセリン,花王株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0050】
(実施例4)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をラクチュロース(ミルクオリゴ糖MLC−97,森永乳業株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『△』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0051】
(実施例5)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をラフィノース(明治ビートオリゴ,株式会社明治フードマテリア)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0052】
(実施例6)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をキシリトール(キシリトールC,ダニスコジャパン株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『△』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0053】
(実施例7)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をソルビトール(ソルビトールFP,物産フードサイエンス株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0054】
(実施例8)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をマルトース(サンマルト,株式会社林原商事)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0055】
(実施例9)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をトレハロース(トレハ,株式会社林原商事)に変えた.また,調製法1において,生地を調製後,幅21mm,長さ83mm,厚さ15mmの棒状とし,140℃,37分間焼成した以外は同じ調製法を繰り返して,分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0056】
(比較例1)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をグラニュー糖に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『○』,評価法2は『不適』,評価法3は行わなかった.
【0057】
(比較例2)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をキシロオリゴ糖(キシロオリゴ95P,サントリーウエルネス株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『×』,評価法2は『不適』,評価法3は行わなかった.
【0058】
(比較例3)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をエリスリトール(エリスリトール,物産フードサイエンス株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『×』,評価法2は『不適』,評価法3は行わなかった.
【0059】
(比較例4)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をガラクトオリゴ糖(オリゴメイト55NP,ヤクルト薬品工業株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『×』,評価法2は『適』,評価法3は『×』であった
【0060】
(比較例5)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をイソマルトオリゴ糖(イソマルト900P,昭和産業株式会社)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表3に示す.評価法1は『×』,評価法2は『適』,評価法3は『×』であった.
【0061】
【表3】

評価法1:『○』とは均一に焼色がついている,『△』とは焼色がまだらになった,『×』とは焦げたものである.
評価法2:『適』とは水分活性が0.60以下,『不適』とは水分活性が0.61以上である.
評価法3:『○』とは食感が良い,『×』とは食感が悪いものである.『−』は評価を行わなかった.
【0062】
(実施例10)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖の配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.30重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表4に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0063】
(実施例11)
実施例10において,乳糖果糖オリゴ糖の配合量を60g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.60重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表4に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0064】
【表4】

【0065】
(実施例12)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をフラクトオリゴ糖(メイオリゴ,株式会社明治フードマテリア)に,配合量を36g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.36重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表5に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0066】
(実施例13)
実施例12において,フラクトオリゴ糖の配合量を60g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.60重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表5に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0067】
【表5】

【0068】
(実施例14)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をグリセリン(食添用グリセリン,花王株式会社)に,配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.30重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表6に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0069】
(実施例15)
実施例14において,グリセリンの配合量を60g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.60重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表6に示す.評価法1は『△』,評価法2は『適』,評価法3は『△』であった.
【0070】
【表6】

(実施例16)
【0071】
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をラクチュロース(ミルクオリゴ糖MLC−97,森永乳業株式会社)に,配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.30重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表7に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
(実施例17)
【0072】
実施例16において,ラクチュロースの配合量を60g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.60重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表7に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0073】
【表7】

(実施例18)
【0074】
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をラフィノース(ニッテンラフィノースFP,日本甜菜製糖株式会社)に,配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.30重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表8に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
(実施例19)
【0075】
実施例18において,ラフィノースの配合量を60g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.60重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表8に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0076】
【表8】

【0077】
(実施例20)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をキシリトール(キシリトールC,ダニスコジャパン株式会社)に,配合量を30g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.30重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表9に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0078】
(実施例21)
実施例20において,キシリトールの配合量を90g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.90重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表9に示す.評価法1は『△』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0079】
【表9】

【0080】
(実施例22)
実施例1において,乳糖果糖オリゴ糖をトレハロース(トレハ,株式会社林原商事)に,配合量を36g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.36重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表10に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0081】
(実施例23)
実施例22において,トレハロースの配合量を90g(分岐鎖アミノ酸1重量部に対して0.90重量部)に変えた以外は,実施例1と全く同じ調製法を繰り返して分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品を得た.結果を表10に示す.評価法1は『○』,評価法2は『適』,評価法3は『○』であった.
【0082】
【表10】

























【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品は,焼菓子の形態をなしているため,患者などが,菓子類を食べる感覚で,楽しみながら継続して喫食することができ,さらに分岐鎖アミノ酸と共に糖質,脂質,ビタミンおよびミネラルを含有しているため,患者に分岐鎖アミノ酸と同時に,糖質,脂質,ビタミンおよびミネラルを同時に給与することができ,しかも保存時の水分活性の上昇を抑えた焼菓子の形態になっていて長期保存安定性,取り扱い性に優れているので,総合栄養食として極めて有効である.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソロイシン,ロイシンおよびバリンからなる3種類の分岐鎖アミノ酸と共に,糖質,脂質を含有する分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品であって;
分岐鎖アミノ酸の含有量が100kcalあたり2.0〜4.5gであり;
乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノース,キシリトール,ソルビトール,トレハロース,マルトースの少なくとも1種の甘味料を含有し;且つ
焼菓子形態をなしている;
ことを特徴とする分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【請求項2】
焼成後,40℃で30日間密封保存した後の水分活性が0.45〜0.60である請求項1に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【請求項3】
乳糖果糖オリゴ糖,フラクトオリゴ糖,グリセリン,ラクチュロース,ラフィノースの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.25〜0.75重量部である請求項1または2に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【請求項4】
キシリトール,ソルビトールの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.25〜1.00重量部である請求項1または2に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【請求項5】
トレハロース,マルトースの少なくとも1種の甘味料を含有し,該甘味料の総量が分岐鎖アミノ酸1重量部に対し,0.30〜1.00重量部である請求項1または2に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.
【請求項6】
イソロイシン,ロイシンおよびバリンの含有比率が,イソロイシン:ロイシン:バリン=1:1.6〜2.4:0.8〜1.2の質量比である請求項1〜5のいずれか1項に記載の分岐鎖アミノ酸含有総合栄養食品.

【公開番号】特開2011−250768(P2011−250768A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128472(P2010−128472)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】