説明

分散トランスコーダの制御方法および装置

【課題】 ワイヤレス通信システム(100)は、第2ネットワーク・エレメント(110)よりも上流側にある第1ネットワーク・エレメント(160)を含むインフラストラクチャ(180)を備えている。第1ネットワーク・エレメントは第1トランスコーダ(161)を備え、第2ネットワーク・エレメントは第2トランスコーダ(116)を備える。通信システムは、第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ形式を決定し、インフラストラクチャと、当該インフラストラクチャがサービスを提供する移動局(102)が双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定し、第1ベアラ・フォーマット形式および第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、第1トランスコーダおよび第2トランスコーダのうちの1つを選択することにより、音声のトランスコードを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、セルラ通信システムに関し、詳細には、セルラ通信システムにおけるトランスコード(transcoding)機能性に関する。
【背景技術】
【0002】
第2世代(2G)CDMA通信ネットワークのような、典型的な符号分割多元接続(CDMA)セルラ・ネットワークでは、トランスコーダ(transcoder)が無線アクセス・ネットワーク(RAN)内、特にRAN内に位置する基地局コントローラ(BSC)内に配置されている。トランスコーダは、移動局から圧縮音声パケットを受信し、音声パケットをパルス・コード変調(PCM)信号に変換し、セルラ・ネットワークに含まれる回路交換コア・ネットワークを通じて送信する。次いで、BSCは、PCM信号を回路交換コア・ネットワークを通じて上流側に、更にコア・ネットワークを通じて、オペレータのコア・ネットワークに結合されている公衆電話交換網(PSTN)に送信する。同様に、RANが応対する移動局を対象とするPSTNから2G CDMAセルラ・ネットワークが受信したPCM信号は、PCM信号として、回路交換コア・ネットワークを通じてRANに送信され、ここでRAN内にあるトランスコーダがPCM信号を圧縮音声パケットに変換する。次いで、RANは、圧縮音声パケットを移動局に送信する。
【0003】
cdma2000セルラ・ネットワークのような、次世代CDMAネットワークの開発によって、システム・オペレータは、パケット交換コア・ネットワークを回路交換コア・ネットワークと並列に敷設することにより、セルラ・ネットワークを通じて回路交換信号と並列にデータ・パケットを送信することが可能となった。このようなパケット交換コア・ネットワークの敷設により、システム・オペレータは、音声データをPCM信号として回路交換コア・ネットワークを通じて送信するのではなく、音声データを圧縮音声パケットとして、パケット交換コア・ネットワークを通じて送信することが可能となっている。データ・パケット・フォーマットで音声のセルラ・ネットワークを通じた送信を促進するために、cdma2000セルラ・ネットワークのオペレータは、トランスコーダをPSTNに近づけて配置し直すことに関心があることを表明した。加えて、トランスコーダをセルラ・ネットワーク内部の奥深くに一層集中した位置に再配置すると、広く分散したRAN系トランスコーダ機能とは逆に、トランスコーダの機能を一層集中させることにより、そして未圧縮フォーマットとは逆に、圧縮フォーマットでより多くの迂回ネットワーク(backhaul network)上で音声サービスを輸送することが可能となることによって、システムのコストを低減することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、旧来のCDMA通信システムを、トランスコーダ機能の再配置によって更新すると、その結果、トランスコード機能がコア・ネットワークおよびRANの各々に設けられることになる場合がある。更に、システムによっては、サービスを提供される移動局が、パケット交換コア・ネットワーク上での送信に適したフォーマットで音声を送信できない場合もあるため、RAN内にトランスコード機能が必要となる。その結果、音声信号の経路に沿って、多数のトランスコード機能が設けられることにもなり得る。そして、これら多数のトランスコード機能のどれが、受信した音声をエンコード/デコードすべきかという問題が生ずる。
【0005】
したがって、セルラ・システムにおいて、どこでトランスコード機能を実行するか、そして、どのトランスコード形式(複数のトランスコーディング形式)を提供ネットワーク・エレメントにおいて用いるべきかを制御する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
セルラ・システムにおいて、どこでトランスコード機能を実行し、どのトランスコード形式(複数の形式)を提供ネットワーク・エレメントにおいて用いればよいかを制御する方法および装置に対する要望に取り組むために、第2エレメントよりも上流にある第1ネットワーク・エレメントを有するインフラストラクチャを備えるワイヤレス通信システムを提供する。第1ネットワーク・エレメントは第1トランスコーダを備え、第2ネットワーク・エレメントは第2トランスコーダを備える。通信システムは、第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ形式を決定し、インフラストラクチャおよび当該インフラストラクチャがサービスを提供する移動局が双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定し、第1ベアラ・フォーマット形式および第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、第1トランスコーダおよび第2トランスコーダのうちの1つを選択することによって、音声のトランスコード処理を制御する。
【0007】
概して言えば、本発明の一実施形態は、第2エレメントよりも上流にある第1ネットワーク・エレメントを有するインフラストラクチャを備えるワイヤレス通信システムにおいて、音声のトランスコード処理を制御する方法を包含し、第1ネットワーク・エレメントは第1トランスコーダを備え、第2ネットワーク・エレメントは第2トランスコーダを備える。この方法は、第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を決定すること、移動局およびインフラストラクチャが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定すること、第1ベアラ・フォーマット形式および第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、第1トランスコーダおよび第2トランスコーダのうちの1つを選択することを含む。
【0008】
本発明の別の実施形態は、第1ネットワーク・エレメントに関連する第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を保持する少なくとも1つのメモリ・デバイスを備えるトランスコーダ・コントローラを包含する。トランスコーダ・コントローラは、更に、少なくとも1つのメモリ・デバイスに結合され、移動局と第2ネットワーク・エレメントに関連する第2トランスコーダが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を受信し、第1ベアラ・フォーマット形式および第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、第1トランスコーダおよび第2トランスコーダのうちの1つを選択するプロセッサを備える。
【0009】
本発明の更に別の実施形態は、第1トランスコーダを備える第1ネットワーク・エレメントと、第2トランスコーダを備える第2ネットワーク・エレメントであって、第1ネットワーク・エレメントよりも下流側にある、第2ネットワーク・エレメントと、第1ネットワーク・エレメントおよび第2ネットワーク・エレメントの各々に結合されているトランスコーダ・コントローラとを備える、分散トランスコード・システムを包含する。トランスコーダ・コントローラは、第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を保持し、移動局および第2トランスコーダが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を受信し、第1ベアラ・フォーマット形式および第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、第1トランスコーダおよび第2トランスコーダのうちの1つを選択する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1から図3を参照しながら、本発明について更に詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態によるワイヤレス通信システム100のブロック図である。通信システム100は、多数の基地局(BS)110、120を備える無線アクセス・ネットワーク(RAN)106を含む。多数のBS110、120の各BSは、少なくとも1つの基地送受信局(BTS)112、122を含み、基地局コントローラ(BSC)114、124に動作可能にそれぞれ結合されている。各BSC114、124は、任意に、トランスコーダ116、126をそれぞれ含み、トランスコーダ116、126は、MS102から受信した音声データ・パケットを、SMV(IS−893)、EVRC(IS−127)、13k−QCELP(IS−733),8k−QCELP(IS−96C)、およびG.711のような多数のベアラ・フォーマットの少なくとも1つに変換し、公衆ネットワーク190または遠隔パケット音声ネットワーク192に伝達することができ、更に公衆ネットワーク190または遠隔パケット音声ネットワーク192から受信した多数のベアラ・フォーマットの1つの音声データを、音声データ・パケットにエンコードし、MS102に伝達することができる。
【0011】
更に、通信システム100は、エア・インターフェース104を介してRAN106のBS110のような、BSとワイヤレス通信する移動局(MS)102を備える。エア・インターフェース104は、1つ以上の順方向制御チャネル、1つ以上の順方向リンク・トラフィック・チャネル、および順方向リンク・ページング・チャネルのような多数の通信チャネルを有する順方向リンク(図示せず)、ならびに1つ以上の逆方向リンク制御チャネル、1つ以上の逆リンク・トラフィック・チャネル、および逆方向リンク・アクセス・チャネルのような、多数の通信チャネルを有する逆方向リンク(図示せず)を備える。
【0012】
各BS110、120、好ましくは、BS110、120のそれぞれのBSC114、124は、それぞれのシグナリング・インターフェース130、134およびそれぞれのベアラ・インターフェース132、136を介して、BS間パケット・トランスポート・ネットワーク140に結合されている。BS間パケット・トランスポート・ネットワーク140は、更に、シグナリング・インターフェース142を介してパケット交換コントローラ144に結合されており、これによって、多数のBS110、120の各BSとパケット交換コントローラとの間にシグナリング・リンクを設ける。BS間パケット・トランスポート・ネットワーク140は、更にまた、ベアラ・インターフェース150を介して、広域パケット・トランスポート・ネットワーク154にも結合されている。一方、広域パケット・トランスポート・ネットワーク154は、更に、ベアラ・トラフィック・インターフェース156を介してローカル・メディア・ゲートウェイ(MGW)160に結合され、これによって、多数のBS110、120の各BSとメディア・ゲートウェイ160との間にベアラ・トラフィック・リンクを設ける。広域パケット・トランスポート・ネットワーク154は、シグナリング・インターフェース148を介してパケット交換コントローラ144に、そしてシグナリング・インターフェース194およびベアラ・インターフェース196を介して、遠隔パケット音声ネットワーク192にも結合されている。好ましくは、シグナリング・インターフェース130、134、および142の各々は、パケット音声フォーマットのシグナリング・メッセージの交換に対応するように構成されたA1インターフェースを備える(このインターフェースは、図1ではA1インターフェースとして図示されている)。加えて、好ましくは、ベアラ・インターフェース132、136、150、および156の各々は、トラフィック音声フォーマットのベアラ・トラフィックの交換に対応するように構成されたA2インターフェースも備える(このインターフェースは、図1では、A2インターフェースとして図示されている)。
【0013】
メディア・ゲートウェイ160は、任意に、トランスコーダ161を含み、このトランスコーダ161は、トランスコーダ116および126と同様、MS102から受信した音声データ・パケットを、SMV、EVRC、13k−QCELP、8k−QCELP、およびG.711のような、多数のベアラ・フォーマットの少なくとも1つにデコードし、公衆ネットワーク190または遠隔パケット音声ネットワーク192に伝達することができ、更に、公衆ネットワーク190または遠隔パケット音声ネットワーク192から受信した、多数のベアラ・フォーマットの少なくとも1つの音声データを、音声データ・パケットにエンコードし、MS102に伝達することもできる。
【0014】
パケット交換コントローラ144は、多数のトランスコーダ116、161の内、MS102を伴う通信セッションの間音声トラフィックをエンコードおよびデコードする、通信システム100に可能なトランスコーダを決定するトランスコーダ・コントローラ145を含む。トランスコーダ・コントローラ145は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、これらの組み合わせ、または当業者には公知のその他のデバイスのようなプロセッサ146と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、および/またはリード・オンリ・メモリ(ROM)あるいはその同等物というような、1つ以上の連動するメモリ・デバイス147とを含む。メモリ・デバイス147は、データ、および対応するプロセッサが実行することができるプログラムを保持する。更に、1つ以上のメモリ・デバイス147は、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161およびBSC114のトランスコーダ116の1つ以上をサポートするベアラ・フォーマット形式も保持することができる。好ましくは、パケット交換コントローラ144は、イリノイ州、シャンバーグ(Schaumburg)のモトローラ社から入手可能であり、ここに記載する機能を実行するように構成された、パケット音声ソフト・スイッチを備える。
【0015】
更に、メディア・ゲートウェイ160は、公衆ネットワーク190、好ましくは、公衆電話交換ネットワーク(PSTN)にベアラ・インターフェース162、好ましくは、パルス・コード変調(PCM)インターフェースを介して結合され、更にシグナリング・インターフェース164を介してパケット交換コントローラ144に結合されている。更に、公衆ネットワーク190は、シグナリング・インターフェース152、好ましくは、ISDNユーザ・パート(ISUP)インターフェースを介して、パケット交換コントローラ144に結合されていれる。BS間パケット・トランスポート・インターフェース140、パケット交換コントローラ144、広域パケット・トランスポート・ネットワーク154、メディア・ゲートウェイ160、および相互接続インターフェース130、132、142、148、150、152、156、162、164、194、および196を、総称してパケット交換コア・ネットワークと呼ぶことができ、各BS110、120と公衆ネットワーク190および遠隔パケット音声ネットワーク192の各々との間に、パケット音声通信リンクを設けることができる。
【0016】
BS110、好ましくは、BS110のBSC114は、更に、回路交換コントローラ174、好ましくは、回路交換MSCに、シグナリング・インターフェース170、好ましくはA1インターフェース、およびベアラ・インターフェース172、好ましくはA2インターフェースを介して結合されている。一方、回路交換コントローラ174は、公衆ネットワーク190に、ベアラ・インターフェース176、好ましくはPCMインターフェース、およびシグナリング・インターフェース178、好ましくはISUPインターフェースを介して結合されている。回路交換コントローラ174と、回路交換コントローラ174をBS110および公衆ネットワーク190に結合する、連携するインターフェース170、172、176、および178とを、総称的に、回路交換コア・ネットワークと呼び、BS110と公衆ネットワーク190との間に回路交換通信リンクを設けることができる。RAN160、BS110、パケット交換コントローラ144、メディア・ゲートウェイ160、トランスポート・ネットワーク140および154、ならびに回路交換コントローラ174は、ここでは、総称的に通信システム100のインフラストラクチャ180と呼ぶことにする。
【0017】
通信システム100は、ワイヤレス・パケット音声通信システムを備える。MS102がインフラストラクチャ180に接続されている外部ネットワーク190、192との音声通信に加入するために、BS110、パケット交換コントローラ144、メディア・ゲートウェイ160、トランスポート・ネットワーク140および154、ならびに回路交換コントローラ174の各々は、周知のワイヤレス遠隔通信プロトコルにしたがって動作する。周知のプロトコルにしたがって動作することにより、MS102のユーザは、MS102がインフラストラクチャ180と通信することができ、このインフラストラクチャを通じて外部ネットワーク190、192と通信リンクを確立できることの確証を得ることができる。好ましくは、通信システム100は、3GPP2およびTIA/EIA(Telecommunications Industry Association/Electronic Indusries Association)IS−2001、またはIOS(Inter Operability Specification)規格にしたがって動作する。この規格は、規格cdma2000またはlxEV−DOシステムとの互換性を設け、エア・インターフェース104の順方向リンクおよび逆方向リンクの各々の多数の通信チャネルの各通信チャネルはウォルシュ・コードのような1つ以上の直交コードを備える。この規格は、無線システム・パラメータおよび呼処理手順を含む、ワイヤレス遠隔通信システム動作プロトコルを指定する。しかしながら、通信システム100は、汎ヨーロッパ移動体通信方式(GSM)通信システム、時分割多元接続(TDMA)通信システム、周波数分割多元接続(FDMA)通信システム、または直交周波数分割多元接続(OFDM)通信システムのような種々のワイヤレス・パケット指向音声通信システムのいずれにしたがって動作してもよいことは、当業者には認められよう。
【0018】
MS102がインフラストラクチャ180との通信セッションを確立すると、このMSに伴う音声ベアラ経路に沿って位置する多数の直列に分散するトランスコーダ116、161のいずれの1つも、MSから発信された音声トラフィック、またはMSに宛てられた音声トラフィックをエンコードおよびデコードすることが可能となる。加えて、通信システム100は、通信セッションをトランスコーダ自由動作(TrFO)として確立することを決定することができ、その場合、音声トラフィックは、インフラストラクチャ180のいずれのトランスコーダ116、161によっても処理されることなく、通信システムを伝搬する。したがって、通信システム100は、音声トラフィックをインフラストラクチャによってトランスコードすべきとき、音声トラフィックをトランスコードする1つのトランスコーダを、多数の直列に分散するトランスコーダ116、161から選択することが可能となる。
【0019】
これより図2A、図2B、および図2Cを参照すると、通信システム100が、本発明の実施形態にしたがって、メディア・ゲートウェイ160におけるトランスコーダ161のような、第1ネットワーク・エレメントにある第1トランスコーダ、および第1ネットワーク・エレメントよりも下流にある、BS110におけるトランスコーダ116のような、第2ネットワーク・エレメントにある第2トランスコーダの内どちらが、音声トラフィックをトランスコードすればよいかを制御する方法を示す論理フロー図200が表されている。論理フロー図200が開始するのは、MS102がインフラストラクチャ180、具体的にはBS110にBTS112を介して、サービス要求、即ち、音声、または音声およびデータ、通信セッションを確立する要求を伝達したとき、ならびにBS110がMS102からサービス要求を受信したとき(202)である。好ましくは、サービス要求は、当技術分野では公知であるが、発信メッセージを備えており、この発信メッセージはサービスを要求し、レイヤ2の肯定応答を必要とする。
【0020】
サービス要求の受信に応答して、BS110は要求を承認し(204)、好ましくは、当技術分野では公知のように、基地局肯定応答指令(Base Station Acknowledgement Order)をMS102に伝達する。加えて、BS110は、エア・インターフェース104における順方向リンク・トラフィック・チャネルおよび逆方向リンク・トラフィック・チャネルのような通信資源が、要求された通信セッションに対応するために利用可能か否か判断する(206)。このような資源が利用可能であると判断すると、BS110は、パケット交換コントローラ144からのサービスを要求し、更にBSとメディア・ゲートウェイ160との間に通信リンクの割り当てを要求するサービス要求メッセージを組み立てる。好ましくは、サービス要求メッセージは、当技術分野では公知のCMサービス要求メッセージを備えており、このCMサービス要求メッセージは、完全レイヤ3情報メッセージの一部として伝達される。次に、BS110はパケット交換コントローラ144に伝達し(208)、パケット交換コントローラ、即ち、トランスコーダ・コントローラ145はBS110からサービス要求メッセージを受信する(212)。ここで、特に指定しない場合、トランスコーダ・コントローラ145が実行するようにここに記載する全ての機能は、トランスコーダ・コントローラのプロセッサ146が実行するものとする。サービス要求メッセージを伝達した後、BS110は、第1タイマT303を起動し(210)つつ、パケット交換コントローラ144からのサービス要求メッセージに対する応答を待つ。MS102は、エア・インターフェース104の順方向リンク・トラフィック・チャネルおよび逆方向リンク・トラフィック・チャネルのような、トラフィック・チャネルの割り当てを待っており、その間、電力制御されていないので、最少量の遅延で、要求された通信リンクの割り当てを行うことが望ましい。したがって、第1タイマは、BSがサービス要求メッセージに対する応答を待っても良い、容認可能な時間期間に対応する所定の第1時間期間をカウント・ダウンする。
【0021】
BS110よりも上流ネットワーク・エレメントが、メディア・ゲートウェイ160およびトランスコーダ161のようなトランスコーダを含む場合、パケット交換コントローラ144、好ましくは、トランスコーダ・コントローラ145は、トランスコーダ・コントローラの1つ以上のメモリ・デバイス147を参照することによって、上流ネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイのトランスコーダ161がサポートするベアラ・フォーマット形式を決定することができる(214)。更に、サービス要求メッセージの受信に応答して、パケット交換コントローラ144、好ましくは、トランスコーダ・コントローラ145は、MS102を伴う通信セッションのためのBS110およびメディア・ゲートウェイ160間の通信リンクの割り当て、即ち、インターフェース130、132、142、150、および156の通信リンク、ならびにメディア・ゲートウェイ160または遠隔パケット音声ネットワーク192のベアラ・アドレス、好ましくはA2ベアラ・アドレスの割り当てを知らせる割り当てメッセージを、BS110に伝達する(216)。上流ネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイ160がトランスコーダ、即ち、トランスコーダ161を含む場合、割り当てメッセージは、更に、割り当てられたA2通信リンク上における音声データの伝達のための1つ以上の要求ベアラ・フォーマットを含むことができる。この要求ベアラ・フォーマット形式は、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダがサポートするベアラ・フォーマット形式に対応する。多数のベアラ・フォーマット形式に対する対応が存在する場合、優先順位を含ませるとよい。そのような場合、パケット交換コントローラ144は、1つ以上のメモリ・デバイス147を参照して、要求ベアラ・フォーマット形式を決定する。1つ以上のメモリ・デバイスは、上流ネットワーク・エレメントがサポートするベアラ・フォーマット形式を格納することができる。BSは、要求フォーマット形式の情報を用いて、サービス選択肢割り当てを決定しMSに伝達することができる。BSは、割り当てメッセージに含まれる要求ベアラ・フォーマット形式の1つに対応して、MSにサービス選択肢を優先的に割り当てることができる。好ましくは、割り当てメッセージは、当技術分野では公知の、割り当て要求メッセージの変更バージョンを備えており、この割り当て要求メッセージは、その中に情報を記述して任意に伝達するように変更されている。割り当てメッセージを伝達するとき、パケット交換コントローラ144、好ましくは、トランスコーダ・コントローラ145は、更に第2タイマT10を起動する(218)。第2タイマは、パケット交換コントローラ144が、伝達した割り当てメッセージに対するBS110からの応答を待ってもよい、容認可能な時間期間に対応する、所定の第2時間期間をカウント・ダウンする。
【0022】
BS110がパケット交換コントローラ144から割り当てメッセージを受信する前に、第1タイマが測定する第1時間期間が終了した場合(220)、論理フロー図200はステップ208に戻り、ここでBS110はサービス要求メッセージをパケット交換コントローラに伝達する。BS110が、第1時間期間の終了前に割り当てメッセージを受信した場合、BS110は第1タイマT303を停止する(222)。加えて、順方向および逆方向リンク・トラフィック・チャネルが、要求した呼に対してMS102に割り当てるために利用可能であるという判断に基づいて、BS110およびMS102は、周知の呼設定手順にしたがって、エア・インターフェース104を介して呼を設定する(224)。
【0023】
例えば、本発明の一実施形態では、呼を設定するステップ(224)は、以下のステップを含むことができるが、これらのステップは、単に呼を設定するための一方法を例示するために示すに過ぎず、本発明を限定する意図は全くない。呼を設定する方式は、数多くあることを当業者は認めよう。これらの方式は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、ここで用いることができる。MS102に割り当てるために順方向および逆方向リンク・トラフィック・チャネルが利用可能であると判断したなら、BS110はチャネル割り当てメッセージを、エア・インターフェース104の順方向リンク・ページング・チャネルを通じてMS102に伝達する。チャネル割り当てメッセージは、通信セッションに割り当てられる順方向および逆方向リンク・トラフィック・チャネルを知らせる。チャネル割り当てメッセージの受信に応答して、MS102はトラフィック・チャネル・プリアンブルを、割り当てられた逆方向リンク・トラフィック・チャネルを通じて、BS110に伝達する。BS110が割り当てられた逆リンク・トラフィック・チャネルを取得すると、BSは、割り当てられた順方向リンク・トラフィック・チャネルを通じて、そのようにMS102に知らせる。好ましくは、BS110は、基地局肯定応答指令をMSに伝達することによって、BSが割り当てられた逆方向リンク・トラフィック・チャネルを取得したことをMS102に知らせる。基地局肯定応答指令はレイヤ2肯定応答を必要とする。
【0024】
BS110が割り当てられた逆方向リンク・トラフィック・チャネルを取得したことを知らされると、MS102は、好ましくは、移動局肯定応答オーダをBSに伝達することによって、取得情報の受信を通知し、更にヌル・トラフィック・チャネル・データを、割り当てられた逆方向リンク・トラフィック・チャネルを通じてBSに伝達する。
【0025】
取得情報受信の肯定応答およびヌル・トラフィック・チャネル・データをMS102から受信すると、BS110は、MS102に、MS102が対応するサービス・コンフィギュレーションのリストを要求する情報を伝達する。好ましくは、サービス・コンフィギュレーションのリストを要求する情報は、ステータス要求/ステータス応答指令に含まれる。選択したベアラ・フォーマット形式情報をトランスコーダ・コントローラ145から受信すると、BS110は更に、要求したベアラ・フォーマット形式を含む、呼のサービス・コンフィギュレーションを指定する情報をMS102に伝達する。好ましくは、呼のサービス・コンフィギュレーションを指定する情報は、サービス接続メッセージ/サービス応答オーダに含まれる。呼のサービス・コンフィギュレーションを指定する情報を受信すると、MS102は、BS110に、好ましくは、サービス接続完了メッセージをBSに伝達することによって、要求したベアラ・フォーマット形式を含む、指定されたサービス・コンフィギュレーションに対応できることを知らせ、指定されたサービス・コンフィギュレーションにしたがってベアラ・トラフィックを処理し始める。
【0026】
無線トラフィック・チャネルが設定された後、即ち、エア・インターフェース104において順方向リンク・トラフィック・チャネルおよび逆リンク・トラフィック・チャネルが確立され完全に相互接続された後、BS110は、MSに割り当てられたサービス・オプションに部分的に基づいて、MS102およびBSC114のトランスコーダの各々が双方でサポートするベアラ・フォーマット形式を決定する(226)。BS110は、パケット交換コントローラ114に、そして特にトランスコーダ・コントローラ145に、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式に関する情報を伝達する(228)。この双方でサポートするベアラ情報は、BSによる優先度の順序でフォーマットすることができる。好ましくは、BS110は、パケット交換コントローラ144に、当技術分野では公知の割り当て完了メッセージの変更バージョン内において、サポートされたベアラ・フォーマット形式を知らせる。この割り当て完了メッセージは、ベアラ・フォーマット形式データ・フィールドの順序付けされた優先度を含むように変更されている。例えば、BS110は、変更割り当て完了メッセージのベアラ・フォーマット形式データ・フィールド内に、1つ以上の以下の値を埋め込むことによって、MS102およびBS110が双方でサポートするベアラ・フォーマット形式を知らせることができる。その値は、各々、以下のベアラ・フォーマット形式に対応する。
【0027】
「0001」=SMV,
「0010」=EVRC,
「0011」=13k−QCELP,
「0100」=8k−QCELP,および
「0101」=G.711
BS110は、割り当て要求メッセージにおいて既に受信されていることもある、利用可能なフォーマット形式に応じて、MS102およびBS110が双方でサポートするベアラ・フォーマット形式を認定する(qualify)ことができる。
【0028】
パケット交換コントローラ144、および特にトランスコーダ・コントローラ145が、第2タイマが測定する第2時間期間の終了前に、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式に関する情報を受信し損ねた場合(230)、論理フロー図200はステップ216に進み、パケット交換コントローラ、および特にトランスコーダ・コントローラは割り当てメッセージを再度BS110に伝達する。トランスコーダ・コントローラが、第2時間期間の終了前に、MS102およびインフラストラクチャ180、更に具体的には、BS110が、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式に関する情報を受信すると、トランスコーダ・コントローラ145は、第2タイマT10を停止し(232)、BS110から受信した、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式を、トランスコーダ・コントローラ145の1つ以上のメモリ・デバイス147に、そして更にBSC109、またはBS110と関連付けて格納する(234)。
【0029】
BS110から受信した、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式に関する情報に部分的に基づいて、トランスコーダ・コントローラ145は、通信セッションの間に、パケット交換コア・ネットワークを通じて、即ち、BS110とメディア・ゲートウェイ160との間で音声パケットを輸送するためのベアラ・フォーマット形式を決定、即ち、選択する(236)。パケット交換コア・ネットワークを通じた音声パケットの輸送のためのベアラ・フォーマット形式の選択は、更に、メディア・ゲートウェイ160、即ち、メディア・ゲートウェイのトランスコーダ161がサポートするベアラ・フォーマット形式にも基づくことができる。このベアラ・フォーマット形式は、トランスコーダ・コントローラにはわかっており、BS110に伝達される割り当てメッセージ内に含ませ、後にBSによってパケット交換コントローラ144に伝達される、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式において反映することができる。少なくとも部分的に、BS110から受信した、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式、ならびにBS110のトランスコーダ116およびメディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161の1つ以上がサポートするベアラ・フォーマット形式に基づいて、トランスコーダ・コントローラ145は、更に、インフラストラクチャ180のどこでトランスコードすべきか決定する。即ち、トランスコーダ・コントローラ145は、MS102が関与する通信セッションの間に音声をトランスコードするためのBSC114/BS110のトランスコーダ116およびメディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161のうちの1つのトランスコーダを選択する。
【0030】
本発明の一実施形態では、トランスコーダ・コントローラ145は、ベアラ相互作用機能の数を最少にすることに基づいて、即ち、ベアラ・トラフィックに適用する別個のトランスコード機能の量を最少にすることに基づいて、ベアラ・フォーマット形式を選択することができる。次いで、トランスコーダ・コントローラ145は、優先的に、またはデフォルトで、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ位置、即ち、トランスコーダ161を選択することができ、更に、選択したベアラ・フォーマット形式がメディア・ゲートウェイ160においてサポートされていない即ち利用可能でない場合、BS110のトランスコーダ位置、即ち、トランスコーダ116を選択することができる。本発明の別の実施形態では、トランスコーダ・コントローラ145は、SMV、EVRC、13k、または8kのような1つ以上の圧縮ベアラ・フォーマット形式、あるいは遠隔パケット音声ネットワーク192のトランスコーダまたは遠隔パケット音声ネットワーク192がサービスを提供する宛先MS(図示せず)のトランスコーダがサポートする、G.711等の1つ以上の非圧縮ベアラ・フォーマット形式のようなベアラ・フォーマット形式に基づいて、ベアラ・フォーマット形式を決定するとともに、インフラストラクチャ180のどこで音声データをトランスコードすべきか決定することができる。本発明の更に別の実施形態では、トランスコーダ・コントローラ145は、パケット交換コア・ネットワーク192に対するベアラ・フォーマット形式の優先度に基づいて、ベアラ・フォーマット形式およびインフラストラクチャ180において、どこで音声をトランスコードすべきかを決定することができる。この優先度は、トランスコーダ・コントローラの1つ以上のメモリ・デバイス147に保持されている。しかしながら、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、ベアラ・フォーマット形式およびインフラストラクチャ180内のどこでトランスコードすべきかを決定するためには、ここでは多くのアルゴリズムが使用可能であることは、当業者には認められよう。
【0031】
例えば、本発明の一実施形態において先に注記したように、ステップ238の実行に関して、トランスコーダ・コントローラ145は、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダが、パケット交換コア・ネットワークを通じた音声パケットの輸送に用いられるトランスコーダ・コントローラによって決定されたベアラ・フォーマット形式をサポートする場合はいつでも、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161を選択するように構成することができる。上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダが、決定したベアラ・フォーマット形式に対応せず、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、BS110のトランスコーダ116が、決定したベアラ・フォーマット形式をサポートする場合、トランスコーダ・コントローラ145は下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダを選択する。
【0032】
本発明の別の実施形態では、ステップ238の実行に関して、トランスコーダ・コントローラ145は、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダが、パケット交換コア・ネットワークを通じた音声パケットの輸送に用いられるトランスコーダ・コントローラによって決定されたベアラ・フォーマット形式をサポートする場合はいつでも、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、BS110のトランスコーダ116を選択するように構成することができる。下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダが、決定したベアラ・フォーマット形式に対応せず、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161が、決定したベアラ・フォーマット形式をサポートする場合、トランスコーダ・コントローラ145は上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダを選択することができる。
【0033】
本発明の更に別の実施形態では、ステップ238の実行に関して、トランスコーダ・コントローラ145は、ネットワーク・エレメントの処理負荷に基づいて、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダおよび下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダのうちの1つを選択することができる。例えば、上流ネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイ160の処理負荷が処理負荷閾値を超過した場合、トランスコーダ・コントローラ145は、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、BS110のトランスコーダ116を選択することができる。それ以外の場合、トランスコーダ・コントローラ145は、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダを選択する。本発明の更に別の実施形態では、ステップ238の実行に関して、トランスコーダ・コントローラ145は、ネットワーク負荷が高い、即ち、ネットワーク負荷閾値を超過している場合、パケット交換コア・ネットワークを通じて圧縮フォーマットで音声データを確実に輸送するために、パケット交換コア・ネットワークの負荷に基づいて、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダおよび下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダのうちの1つを選択することができる。
【0034】
パケット交換コア・ネットワークを通じた音声パケットの輸送のためのベアラ・フォーマット形式の決定、更にインフラストラクチャ180において、どこでトランスコードを実行するかについての決定に応答して、トランスコーダ・コントローラ145は、トランスコーダ116に関してはBS108またはBSC110、またはトランスコーダ161に関してはメディア・ゲートウェイ160のような、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントに、対応するシグナリング・インターフェースを介して、通信セッションのベアラ経路をトランスコードするように命令する(240)。トランスコード命令の受信に応答して、ネットワーク・エレメントは、選択トランスコーダをベアラ経路に挿入し(242)、選択トランスコーダは音声をトランスコードする。次いで、論理フロー200は終了する。本発明の別の実施形態では、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントにトランスコードするように命令する代わりに、トランスコーダ・コントローラ145が、選択トランスコーダに関連しないネットワーク・エレメントに、通信セッションのベアラ経路をトランスコードしないように命令してもよい(244)。トランスコードしない命令の受信に応答して、ネットワーク・エレメントは、選択トランスコーダのみが音声をトランスコードするように、選択トランスコーダをベアラ経路から除去する(246)。
【0035】
通信セッション中に音声のトランスコード処理のためにベアラ・フォーマット形式を決定し、それぞれのネットワーク・エレメント110、161に関連する多数のトラスコーダ116、161のうちの1つのトランスコーダを選択して、多数のトランスコーダの1つ以上がサポートする、決定されたベアラ・フォーマット形式および複数のベアラ・フォーマット形式に基づいて音声をトランスコードすることによって、通信システム100は、システムにおいて、どこでトランスコード機能を実行し、提供ネットワーク・エレメントにおいてどのトランスコード形式(複数の形式)を用いるべきかを制御することが可能になる。BS110のような、下流ネットワーク・エレメントが、通信セッションにおいて関与する下流ネットワーク・エレメントおよびMS102が双方でサポートする1つ以上のベアラ・フォーマット形式を決定する。下流ネットワーク・エレメントは、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式をトランスコーダ・コントローラ145に伝達し、トランスコーダ・コントローラ145は、少なくとも部分的に、双方でサポートするベアラ・フォーマット形式に基づいて、パケット交換コア・ネットワークを通じた音声パケットの輸送のためのベアラ・フォーマット形式を決定する。双方でサポートするベアラ・フォーマット形式は、メディア・ゲートウェイ160のような、上流ネットワーク・エレメントがサポートする1つ以上のベアラ・フォーマット形式を反映することができる。決定したベアラ・フォーマット形式に基づいて、トランスコーダ・コントローラ145は、次に、トランスコードをどこで実行するか、即ち、下流ネットワーク・エレメントまたは上流ネットワーク・エレメントのどちらでトランスコードするか、更に特定すれば、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、または上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダのどちらでトランスコードするかを決定する。次いで、選択されたエレメントのトランスコーダが、トランスコード機能を実行する。
【0036】
例えば、上流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161を選択して、通信セッションをトランスコードする場合、トランスコーダ・コントローラ145は、メディア・ゲートウェイ160に、トランスコーダ161をベアラ・トラフィックの経路に挿入するように、即ち、通信セッションの間に交換された音声パケットをトランスコードするように命令すること、および/またはBS110にトランスコーダ116をベアラ・トラフィックの経路、即ち、音声データに挿入しないように命令することができる。別の例として、下流ネットワーク・エレメントのトランスコーダ、即ち、BS110のトランスコーダ116を選択して通信セッションをトランスコードする場合、トランスコーダ・コントローラ145は、トランスコーダ116をベアラ・トラフィックの経路に挿入すること、および/またはメディア・ゲートウェイ160に、トランスコーダ161をベアラ・トラフィックの経路に挿入しないように、BS110に命令することができる。更に、トランスコーダ・コントローラ145がインフラストラクチャ180内ではトランスコードしないと決定した場合、トランスコーダ・コントローラは、メディア・ゲートウェイ160およびBS110の各々に、それらそれぞれのトランスコーダ116、161をベアラ・トラフィックの経路に挿入するように命令しなくてよく、またはメディア・ゲートウェイ160およびBS110の各々に、それらそれぞれのトランスコーダ116、161をベアラ・トラフィックの経路に挿入しないように命令してもよい。
【0037】
本発明の更に別の実施形態では、パケット交換コントローラ144、そして特にトランスコーダ・コントローラ145は、通信セッションの過程中に、トランスコード機能を、メディア・ゲートウェイ160のトランスコーダ161のような、選択トランスコーダから、BS110のトランスコーダ116のような、選択しなかったトランスコーダに移行することを決定することもできる。ここで図3を参照すると、本発明の別の実施形態にしたがって、通信システムによるインフラストラクチャ180内におけるトランスコード機能の移行を示す論理フロー図300が用意されている。論理フロー図300が開始するのは、アクティブな通信セッションの過程中に、トランスコーダ・コントローラ145がトランスコード機能を、音声をトランスコードするために選択した、メディア・ゲートウェイ160におけるトランスコーダ161のような、第1トランスコーダから、第2トランスコーダ、即ち、BS110におけるトランスコーダ116のような、音声をトランスコードするために選択されなかった、非選択トランスコーダに移行することを決定したとき(302)である。ここでは、選択トランスコーダは、非選択トランスコーダの上流または下流のいずれかである。
【0038】
選択トランスコーダから非選択トランスコーダへのトランスコード機能の移行を決定すると、トランスコーダ・コントローラ145は、要求されたベアラ・フォーマット形式に関する情報を備えた第1トランスコーダ移行メッセージを、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、BS110に伝達する(304)。要求されたベアラ・フォーマット形式は、新しいベアラ・フォーマット形式でもよい。即ち、現在音声通信に適用されているベアラ・フォーマット形式と同じベアラ・フォーマット形式でも、そうでなくてもよい。要求ベアラ・フォーマット形式を、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントに伝達することによって、トランスコーダ・コントローラ145は、進展中の通信セッションにおけるベアラ・フォーマット形式、およびトランスコード位置を変更することが可能になる。好ましくは、トランスコーダ・コントローラ145は、非選択トランスコーダ、即ち、トランスコーダ116が対応し、1つ以上のメモリ・デバイス147に格納されているベアラ・フォーマット形式に基づいて、要求されたベアラ・フォーマット形式を決定する。しかしながら、本発明の別の実施形態では、トランスコーダ・コントローラ145は、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントが、トランスコーダ・コントローラが、要求されたベアラ・フォーマット形式の受入をネットワーク・エレメントから受信するまで、要求されたベアラ・フォーマット形式をサポートしていることを知らなくてもよい。第1トランスコーダ移行メッセージは、更に、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイ160のベアラ・アドレス、即ち、A2アドレス、およびフレーム・カウント、タイム・スタンプ、または変更するベアラ・フォーマット形式でのデータ・パケットの受信というような、移行を実施する時期の指示を含むことができる。好ましくは、トランスコーダ移行メッセージは、ベアラ変更要求メッセージから成る。
【0039】
第1トランスコーダ移行メッセージの受信に応答して、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、BS110は、トランスコーダ移行応答メッセージ、好ましくは、ベアラ変更応答メッセージをトランスコーダ・コントローラ145に伝達し(306)、要求されたベアラ・フォーマット形式の受入を知らせる。トランスコーダ移行応答メッセージは、更に、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、BS110のベアラ・アドレス、好ましくは、A2アドレスも知らせるとよい。第1トランスコーダ移行メッセージの受信に応答して、そして移行時点を示す指示時点において、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、BS110は、非選択トランスコーダ、即ち、トランスコーダ116をベアラ・トラフィック、即ち、音声データのベアラ経路に挿入し(308)、非選択トランスコーダは音声データのトランスコードを開始する。
【0040】
更に、トランスコーダ・コントローラ145は、第2トランスコーダ移行メッセージを、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイ160に伝達し(310)、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントに、選択トランスコーダ、即ち、トランスコーダ160をベアラ・トラフィックの経路から除去するように命令する。本発明の一実施形態において、トランスコーダ・コントローラ145が、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントが、要求したベアラ・フォーマット形式をサポートしていることを知らない場合には、トランスコーダ・コントローラが、非選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメントから要求されたベアラ・フォーマット形式の受入を受信するまで、トランスコーダ・コントローラは、第2トランスコーダ移行メッセージを伝達しなくてもよい。第1トランスコーダ移行メッセージと同様、第2トランスコーダ移行メッセージは、いつ移行を実施するかの指示を含むことができる。第2トランスコーダ移行メッセージを受信したとき、または移行時点を示す指示時点において、選択トランスコーダに関連するネットワーク・エレメント、即ち、メディア・ゲートウェイ160は、選択トランスコーダ、即ち、トランスコーダ161をベアラ・トラフィックの経路から除去する(312)。次いで、論理フロー300は終了する(314)。
【0041】
トランスコーダ・コントローラ145にベアラ・フォーマット形式およびトランスコード位置を、進展中の通信セッションの過程中に変更させることにより、通信システム100は、コンファレンス・ブリッジ(conference bridge)、アナウンスメント・サーバ(announcement server)等のような、他のコア・ネットワーク・エレメントとのベアラ相互作用の変化に適合することが可能となる。したがって、通信システム100は、各々が通信セッション中に音声をトランスコードすることができる多数のネットワーク・エレメントを備えた分散トランスコード・システムを提供する。通信システムは、通信セッションに対するベアラ・フォーマット形式およびトランスコード位置を決定すること、および望ましいときに通信セッションに対するベアラ・フォーマット形式およびトランスコード位置を変更することの双方が可能である。
【0042】
以上、特定的な実施形態を参照しながら、本発明について特定的に示し、説明したが、特許請求の範囲に明記されている発明の範囲から逸脱することなく、その構成要素に対して種々の変更が可能であり、均等物で置換できることは、当業者には理解されよう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で解釈することとし、このような変更および置換は全て、本発明の範囲に含まれることを意図している。
【0043】
以上では、利点、その他の便益、および問題に対する解決手段について、具体的な実施形態に関して説明した。しかしながら、効果、利点、問題に対する解法、およびかかる効果、利点、または解法をも生じさせる、または一層顕著にすることができるあらゆる構成要素(複数の構成要素)は、いずれのまたは全ての請求項の重要な、必要な、または本質的な特徴または要素として解釈しないこととする。ここで用いる場合、「備える」またはそのいずれの変形も、非排他的包含を含むことを意図しており、構成要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置が、これらの構成要素のみを含むのではなく、明示的にリストされていない、あるいはかかるプロセス、方法、物品、または装置に固有のその他の構成要素を含み得るものとする。更に、第1および第2、上および下等の相対的な用語の使用がある場合、単に1つの実体または作用を別の実体または作用から区別するためにのみ用いるのであり、必ずしもそのような実体または作用の実際のそのような関係または順序を要求も暗示もする訳ではないことも言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信システムのブロック図。
【図2A】本発明の一実施形態にしたがって、第1ネットワーク・エレメント内にある第1トランスコーダと、第1ネットワーク・エレメントよりも下流にある第2ネットワーク・エレメント内にある第2トランスコーダの内どちらのトランスコーダが音声トラフィックをトランスコードすればよいかを制御する際に、図1の通信システムが実行する方法の論理フロー図である。
【図2B】図2Aの論理フロー図の続きであり、本発明の一実施形態にしたがって、第1ネットワーク・エレメント内にある第1トランスコーダと、第1ネットワーク・エレメントよりも下流にある第2ネットワーク・エレメント内にある第2トランスコーダの内どちらのトランスコーダが音声トラフィックをトランスコードすればよいかを制御する際に、図1の通信システムが実行する方法を示す。
【図2C】図2Aおよび図2Bの論理フロー図の続きであり、本発明の一実施形態にしたがって、第1ネットワーク・エレメント内にある第1トランスコーダと、第1ネットワーク・エレメントよりも下流にある第2ネットワーク・エレメント内にある第2トランスコーダの内どちらのトランスコーダが音声トラフィックをトランスコードすればよいかを制御する際に、図1の通信システムが実行する方法を示す。
【図3】本発明の別の実施形態にしたがって、第1ネットワーク・エレメント内にある第1トランスコーダと、第1ネットワーク・エレメントよりも下流にある第2ネットワーク・エレメント内にある第2トランスコーダの内どちらのトランスコーダが音声トラフィックをトランスコードすればよいかを制御する際に、図1の通信システムが実行する方法の論理フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2ネットワーク・エレメントよりも上流側にある第1ネットワーク・エレメントを備えるインフラストラクチャを有するワイヤレス通信システムにおいて音声のトランスコードを制御する方法であって、前記第1ネットワーク・エレメントが第1トランスコーダを備え、前記第2ネットワーク・エレメントが第2トラスコーダを備えており、
前記第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を決定すること、
移動局および前記インフラストラクチャが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定すること、
音声をトランスコードするために、前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択すること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、第2ベアラ・フォーマット形式を決定することは、移動局および前記第2ネットワーク・エレメントが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定することを含み、選択は、
前記第1ベアラ・フォーマット形式が前記第2ベアラ・フォーマット形式と同一であると判断すること、
音声をトランスコードするために、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、第2ベアラ・フォーマット形式を決定することは、移動局および前記第2ネットワーク・エレメントが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を決定することを含み、選択は、
前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、前記第1トランスコーダが前記第2ベアラ・フォーマット形式をサポートしていないと判断すること、
音声をトランスコードするために前記第2トランスコーダを選択することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、
トランスコーダを変更することを決定すること、
前記非選択トランスコーダに関連する前記ネットワーク・エレメントに、要求ベアラ・フォーマット形式を伝達すること、
前記要求ベアラ・フォーマット形式の受信に応答して、前記非選択トランスコーダによって音声をトランスコードすること、
を更に備える、方法。
【請求項5】
トランスコーダ・コントローラであって、
第1ネットワーク・エレメントに関連する第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を保持する少なくとも1つのメモリ・デバイスと、
前記少なくとも1つのメモリ・デバイスに結合され、移動局と第2ネットワーク・エレメントに関連する第2トランスコーダが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を受信し、前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択するプロセッサと、
を備える、トランスコーダ・コントローラ。
【請求項6】
請求項5記載のトランスコーダ・コントローラにおいて、前記プロセッサは、前記第1ベアラ・フォーマット形式が、前記第2ベアラ・フォーマット形式と同一であると判断し、音声をトランスコードするために前記第1トランスコーダを選択することにより、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択して音声をトランスコードする、トランスコーダ・コントローラ。
【請求項7】
請求項5記載のトランスコーダ・コントローラにおいて、前記プロセッサは、前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、前記第1トランスコーダが前記第2ベアラ・フォーマット形式をサポートしていないと判断し、音声をトランスコードするために前記第2トランスコーダを選択することにより、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択して音声をトランスコードする、トランスコーダ・コントローラ。
【請求項8】
請求項5記載のトランスコーダ・コントローラにおいて、前記プロセッサは、更に、トランスコーダを変更することを決定し、要求ベアラ・フォーマット形式を、前記非選択トランスコーダに関連する前記ネットワーク・エレメントに伝達する、トランスコーダ・コントローラ。
【請求項9】
分散トランスコード・システムであって、
第1トランスコーダを備える第1ネットワーク・エレメントと、
第2トランスコーダを備える第2ネットワーク・エレメントであって、前記第1ネットワーク・エレメントよりも下流側にある、第2ネットワーク・エレメントと、
前記第1ネットワーク・エレメントおよび前記第2ネットワーク・エレメントの各々に結合され、前記第1トランスコーダがサポートする第1ベアラ・フォーマット形式を保持し、移動局および前記第2トランスコーダが双方でサポートする第2ベアラ・フォーマット形式を受信し、前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、音声をトランスコードするために、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択するトランスコーダ・コントローラと、
を備える、分散トランスコード・システム。
【請求項10】
請求項9記載の分散トランスコード・システムにおいて、前記トランスコーダ・コントローラは、前記第1ベアラ・フォーマット形式が、前記第2ベアラ・フォーマット形式と同一であると判断し、音声をトランスコードするために前記第1トランスコーダを選択することにより、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択して音声をトランスコードする、分散トランスコード・システム。
【請求項11】
請求項9記載の分散トランスコード・システムにおいて、前記トランスコーダ・コントローラは、前記第1ベアラ・フォーマット形式および前記第2ベアラ・フォーマット形式に基づいて、前記第1トランスコーダが前記第2ベアラ・フォーマット形式をサポートしていないと判断し、音声をトランスコードするために前記第2トランスコーダを選択することにより、前記第1トランスコーダおよび前記第2トランスコーダのうちの1つを選択して音声をトランスコードする、分散トランスコード・システム。
【請求項12】
請求項9記載の分散トランスコード・システムにおいて、前記トランスコーダ・コントローラは、前記選択したトランスコーダを備える前記ネットワーク・エレメントに音声をトランスコードするように更に命令する、分散トランスコード・システム。
【請求項13】
請求項12記載の分散トランスコード・システムにおいて、前記選択したトランスコーダが音声をトランスコードする、分散トランスコード・システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535194(P2007−535194A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520253(P2006−520253)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/022331
【国際公開番号】WO2005/009059
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】