説明

分散型電源の運転制御装置

【課題】分散型電源の単独運転状態を確実に検出し防止する。
【解決手段】第1の送電線の所定区間を遮断する複数の第1の遮断器夫々に対応する複数の第1の遠隔監視制御装置から、前記複数の第1の遮断器の開閉状態を示す第1の監視情報を受信して保持する第1の受信部と、前記第1の受信部の前記第1の監視情報の中に、分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれているか否かを判定する判定部と、前記分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれていると前記判定部が判定した場合、前記第1の送電線と前記分散型電源との間を遮断する第2の遮断器を開放するための制御信号を送信する送信部と、前記制御信号に基づいて、前記第2の遮断器を開放状態となるように制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源の運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型電源が単独で負荷に対して電力を供給する状態(単独運転状態)を防止する装置として、例えば特許文献1に開示される単独運転検出装置が知られている。
【0003】
単独運転検出装置は、連系遮断器および位相検出器を含んで構成される。そして、単独運転検出装置は、送電線(又は配電線)に接続された分散型電源の単独運転状態を防止する。尚、当該分散型電源は、送電線に接続された交流電源と並列となるように接続されている。
【0004】
連系遮断器は、分散型電源と送電線との間に設けられ、分散型電源と送電線との間を遮断する。また、位相検出器は、分散型電源と送電線が接続される地点に設けられ、分散型電源と送電線が接続される地点の電圧位相を検出する。
【0005】
ここで、分散型電源は、送電線に接続された負荷が必要とする有効電力を供給するように運転される。そして、当該負荷が必要とする無効電力は送電線に接続された交流電源より供給される。
【0006】
送電線の事故により送電線と交流電源の間が遮断された場合、当該負荷が必要とする無効電力が当該負荷に供給されなくなる。よって、位相検出器により検出される電圧位相は、送電線と交流電源の間の遮断により供給されなくなった無効電力に相当する分だけ変化する。位相検出器により検出される電圧位相が、送電線と交流電源の間の遮断により供給されなくなった無効電力に相当する分だけ変化した場合、連系遮断器が開放される。
【0007】
従って、単独運転検出装置は、位相検出器により検出される電圧位相が、送電線と交流電源の間の遮断により供給されなくなった無効電力に相当する分だけ変化するか否かに応じて、分散型電源が単独運転状態であるか否かを判定していた。そして、単独運転検出装置は、分散型電源が単独運転状態であると判定した場合、連系遮断器を開放することにより分散型電源の単独運転状態を防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−82646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示される単独運転検出装置は、分散型電源による電力の供給および送電線に接続された負荷が必要とする電力が平衡している場合、送電線と交流電源の間が遮断されても位相検出器により検出される電圧位相は、分散型電源が単独運転状態であると判定される程変化しないことがある。この場合、単独運転検出装置は、分散型電源の単独運転状態を確実に検出し防止できない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1の送電線の所定区間を遮断する複数の第1の遮断器夫々に対応する複数の第1の遠隔監視制御装置から、前記複数の第1の遮断器の開閉状態を示す第1の監視情報を受信して保持する第1の受信部と、前記第1の受信部の前記第1の監視情報の中に、分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれているか否かを判定する判定部と、前記分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれていると前記判定部が判定した場合、前記第1の送電線と前記分散型電源との間を遮断する第2の遮断器を開放するための制御信号を送信する送信部と、前記制御信号に基づいて、前記第2の遮断器を開放状態となるように制御する制御部と、を備えることを特徴とする分散型電源の運転制御装置である。
【0011】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送電線に接続された分散型電源の単独運転状態を確実に検出し防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分散型電源の運転制御装置を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る判定部1bの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態および第2実施形態に係る中央装置1の運転制御動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る分散型電源の運転制御装置を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る判定部10b(11b)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0015】
[第1実施形態]
===送電系統===
図1は、本実施形態に係る分散型電源の運転制御装置を示す図である。
送電系統20は、発電所2、変電所21、変電所22および送電線L0を備えて構成される。
送電線L0は、発電所2に接続されている。
変電所21は送電線L0における発電所2からの線路長が変電所22よりも短い地点に設けられ、変電所22は送電線L0における発電所2からの線路長が変電所21よりも長い地点に設けられる。
【0016】
変電所21は、遮断器CB1a、CB1b、断路器LL1a、LL1b、BL1a、BL1b、配電線L1および変圧器(不図示)を備えて構成される。変電所22は、遮断器CB2a、CB2b、断路器LL2a、LL2b、BL2a、BL2b、配電線L2および変圧器を備えて構成される。
【0017】
変電所21(22)には送電線L0により送電された電力を降圧する変圧器が設けられ、配電線L1(L2)は、変圧器を介して送電線L0に接続される。尚、配電線L1(L2)が変圧器を介して送電線L0に接続される地点をa(b)地点とする。
【0018】
遮断器CB1aはa地点よりも発電所2側において送電線L0に接続され、遮断器CB1bはa地点よりも変電所22側において送電線L0に接続される。遮断器CB2aはb地点よりも変電所21側において送電線L0に接続され、遮断器CB2bはb地点よりも発電所2からの線路長が長い地点において送電線L0に接続される。
【0019】
断路器LL1a、BL1aは、a地点よりも発電所2側において遮断器CB1aを挟んだ状態で送電線L0に設けられる。断路器LL1aは遮断器CB1aよりも発電所2側において送電線L0に接続され、断路器BL1aは遮断器CB1aよりもa地点側において送電線L0に接続される。断路器LL1b、BL1bは、a地点よりも変電所22側において遮断器CB1bを挟んだ状態で送電線L0に設けられる。断路器LL1bは遮断器CB1bよりも変電所22側において送電線L0に接続され、断路器BL1bは遮断器CB1bよりもa地点側において送電線L0に接続される。
【0020】
遮断器CB2aはb地点よりも変電所21側において送電線L0に接続され、遮断器CB2bはb地点よりも発電所2からの線路長が長い地点において送電線L0に接続される。
【0021】
断路器LL2a、BL2aは、b地点よりも変電所21側において遮断器CB2aを挟んだ状態で送電線L0に設けられる。断路器LL2aは遮断器CB2aよりも変電所21側において送電線L0に接続され、断路器BL2aは遮断器CB2aよりもb地点側において送電線L0に接続される。
【0022】
断路器LL2b、BL2bは、b地点よりも発電所2からの線路長が長い地点において遮断器CB2bを挟んだ状態で送電線L0に設けられる。断路器LL2bは遮断器CB2bよりも発電所2からの線路長が長い地点において送電線L0に接続され、断路器BL2bは遮断器CB2bよりもb地点側において送電線L0に接続される。
【0023】
遮断器CB1aは、例えば送電線L0に短絡又は地絡などの故障が生じた場合、自動的に開状態となり遮断器CB1aが接続される位置において送電線L0を遮断する。そして、当該故障が復旧した場合、作業者が遮断器CB1aを閉状態とすることにより、遮断器CB1aが接続される位置において遮断された送電線L0は再閉路される。尚、遮断器CB1b、CB2a、CB2bの動作も遮断器CB1aの動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0024】
断路器LL1aは、例えば送電線L0が無負荷状態(電流が流れていない状態)の場合、断路器LL1aを開状態とし送電線L0を断路器LL1aが接続される位置において電気的に分断する際に用いられる。尚、断路器LL1b、BL1a、BL1b、LL2a、LL2b、BL2a、BL2bも断路器LL1aと同様に用いられるので、その説明は省略する。
【0025】
===分散型電源および遠隔監視制御装置===
分散型電源Gは、例えば風力発電所に設けられる電源であり、送電系統20に接続されている。
分散型電源Gは、遮断器CBを介して変電所22における変電所21の反対側の送電線L0に接続される。
遮断器CBの開閉は、後述する転送遮断装置3(制御部)により制御される。転送遮断装置3により遮断器CBが開とされた場合、分散型電源Gと送電系統20との間は遮断される。一方、転送遮断装置3により遮断器CBが閉とされた場合、分散型電源Gは送電系統20に接続されることとなる。
【0026】
遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、変電所21(22)内に設けられている。遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、後述する情報集配信装置DXにおける情報集配信部DX1(DX2)との間で通信が行われるように、例えば通信ケーブルT1(T2)により情報集配信部DX1(DX2)に接続される。
【0027】
遠隔監視制御装置TC1は、遮断器CB1a、CB1b、断路器LL1a、LL1b、BL1a、BL1b(以下、変電所21における遮断器CB1a等とする)の開閉を監視し制御する。尚、遠隔監視制御装置TC1が監視する、変電所21における遮断器CB1a等の開閉を示す情報を監視情報D1とする。また、遠隔監視制御装置TC2は、遮断器CB2a、CB2b、断路器LL2a、LL2b、BL2a、BL2b(以下、変電所22における遮断器CB2a等とする)の開閉を監視し制御する。尚、遠隔監視制御装置TC2が監視する、変電所22における遮断器CB2a等の開閉を示す情報を監視情報D2とする。そして、遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)より情報要求命令を受信した場合、監視情報D1(D2)および後述する自己情報D11(D22)を情報集配信部DX1(DX2)に送信する。
【0028】
ここで、遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)より開閉命令を受信した場合、変電所21(22)における遮断器CB1a(CB2a)等の開閉を制御する。また、遠隔監視制御装置TC1(TC2)に備えられた直接運転スイッチ(不図示)を入とすると、遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)からの開閉命令を受信しても変電所21(22)における遮断器CB1a(CB2a)等の開閉を制御しなくなる(以下、直接運転状態という)。そして、遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、自己が直接運転状態である否かを示す情報を含む自己情報D11(D22)を生成する。
【0029】
遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、例えば情報集配信部DX1(DX2)に正しく監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を送信できるか否かを判断するための診断機能を有する。後述する中央装置1が診断実行命令を遠隔監視制御装置TC1(TC2)に送信すると、遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)に正しく監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を送信できるか否かの診断を行うこととなる。遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、例えば情報集配信部DX1(DX2)に対してパリティビットを有するテスト信号を送信し、情報集配信部DX1(DX2)がパリティエラーチェックを行う。情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)より受信したテスト信号のパリティエラーチェック結果を遠隔監視制御装置TC1(TC2)に送信する。遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)からパリティエラーが検出されたという結果を受信した場合、故障状態であることを示す情報を含む自己情報D11(D22)を生成する。
【0030】
遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、前述した診断を行っている場合、診断状態であることを示す情報を含む自己情報D11(D22)を生成する。
【0031】
上記したように自己情報D11(D22)は、遠隔監視制御装置TC1、TC2夫々が、直接運転状態か否か、故障状態か否か、診断状態か否か示す情報を含む情報である。尚、自己情報D11(D22)は、例えば最上位ビットから順に直接運転状態か否か、故障状態か否か、診断状態か否かを示す3ビットのバイナリデータが用いられる。そして、直接運転状態か否かを示すビットにおいて、1(論理値)は直接運転状態を示し、0(論理値)は直接運転状態でないことを示す。故障状態か否かを示すビットにおいて、1(論理値)は故障状態を示し、0(論理値)は故障状態でないことを示す。診断状態か否かを示すビットにおいて、1(論理値)は診断状態を示し、0(論理値)は診断状態でないことを示す。
【0032】
===分散型電源の運転制御装置===
分散型電源Gの運転制御装置8は、中央装置1、転送遮断装置3および情報集配信装置DXを備えて構成される。
【0033】
中央装置1は、命令送信部1aおよび判定部1bを有する。
命令送信部1aは、情報要求命令、開閉命令、遮断命令、診断実行命令を情報集配信装置DXに送信する。判定部1bについては後述する。
【0034】
情報集配信装置DXは、情報集配信部DX1ないしDX3を有する。情報集配信装置DXは、情報集配信部DX1ないしDX3を介して、中央装置1と遠隔監視制御装置TC1、TC2、転送遮断装置3の間の通信を中継する。
【0035】
情報集配信部DX1ないDX3は、例えば情報集配信装置DXとの間で通信可能に接続されるモジュールである。そして、情報集配信部DX1(DX2)は、前述したように遠隔監視制御装置TC1(TC2)との間で通信が行われるように、例えば通信ケーブルT1(T2)により接続される。情報集配信部DX3は、後述する転送遮断装置3との間で通信が行われるように、例えば通信ケーブルT3により接続される。そして、情報集配信部DX1(DX2)は、情報集配信装置DXが受信した情報要求命令、開閉命令および診断実行命令を遠隔監視制御装置TC1(TC2)に送信する。また、情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)が送信した監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を受信して保持する。情報集配信部DX3は、情報集配信装置DXが受信した遮断命令(制御信号)を転送遮断装置3へ送信する。
【0036】
ここで、分散型電源Gには、例えば分散型電源Gの出力電力量を表示し通信ネットワークを介して情報を受信できるようなモニタ端末(不図示)が備えられる。
【0037】
中央装置1は、情報集配信装置DXとの間で通信が行われるように、例えば通信ケーブルT0により情報集配信装置DXに接続される。また、中央装置1は、警報メッセージを分散型電源Gのモニタ端末に表示するための警報情報を分散型電源Gのモニタ端末に送信できるように、例えば通信ネットワーク(不図示)を介して分散型電源Gのモニタ端末に接続される。
【0038】
転送遮断装置3は、情報集配信部DX3より遮断命令を受信すると遮断器CBを開とする。
【0039】
===判定部1b===
図2は、本実施形態に係る判定部1bの一例を示す図である。
判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に分散型電源Gを単独運転状態とする監視情報D1、D2(以下、単独運転状態監視情報とする)が含まれているか否かを判定する。尚、変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等のうち、少なくとも1つが開とされる場合、分散型電源Gは、発電所2から分断される。その場合、分散型電源Gは、単独で送電線L0に対して電力を供給する単独運転状態となる。また判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に遠隔監視制御装置TC1、TC2が直接運転状態、故障様態又は診断状態であることを示す自己情報D11、D22(以下、異常状態自己情報とする)が含まれているか否かも判定する。
【0040】
ここで、監視情報D1は、遠隔監視制御装置TC1が監視する、変電所21における遮断器CB1a等の開閉を示す情報である。監視情報D1は、例えば最上位ビットから順に遮断器CB1a、断路器LL1a、BL1a、遮断器CB1b、断路器LL1b、BL1b夫々の開閉を示す6ビットのバイナリデータが用いられる。そして、遮断器CB1a、断路器LL1a、BL1a、遮断器CB1b、断路器LL1b、BL1b夫々のビットにおいて、1(論理値)は開を示し、0(論理値)は閉を示す。また監視情報D2は、遠隔監視制御装置TC2が監視する、変電所22における遮断器CB2a等の開閉を示す情報である。監視情報D2は、例えば最上位ビットから順に遮断器CB2a、断路器LL2a、BL2a、遮断器CB2b、断路器LL2b、BL2b夫々の開閉を示す6ビットのバイナリデータが用いられる。そして、遮断器CB2a、断路器LL2a、BL2a、遮断器CB2b、断路器LL2b、BL2b夫々のビットにおいて、1(論理値)は開を示し、0(論理値)は閉を示す。
【0041】
判定部1bは、論理和回路C1ないしC8、C13、C15、論理積回路C9、C11、C16、反転回路C10、C12、C14を含んで構成される。
【0042】
データDI10ないしDI18およびデータDI20ないしDI28が判定部1bに入力される。データDO1、DO2が判定部1bから出力される。
【0043】
論理和回路C1には、データDI10ないしDI12が入力される。論理和回路C2には、データDI13ないしDI15が入力される。論理和回路C3には、データDI16ないしDI18が入力される。論理和回路C4には、データDI20ないしDI22が入力される。論理和回路C5には、データDI23ないしDI25が入力される。論理和回路C6には、データDI26ないしDI28が入力される。論理和回路C7には、論理和回路C1、C2の出力が入力される。論理和回路C8には、論理和回路C4、C5の出力が入力される。反転回路C10には、論理和回路C3の出力が入力される。論理積回路C9には、論理和回路C7の出力および反転回路C10の出力が入力される。反転回路C12には論理和回路C6の出力が入力される。論理積回路C11には、論理和回路C8の出力および反転回路C12の出力が入力される。論理和回路C13には、論理和回路C3、C6の出力が入力される。論理和回路C15には、論理積回路C9、C11の出力が入力される。反転回路C14には論理和回路C13の出力が入力される。論理積回路C16には、論理和回路C15および反転回路C14の出力が入力される。論理積回路C16の出力がデータDO1となる。論理和回路C13の出力がデータDO2となる。
【0044】
ここで、判定部1bにおけるデータDI10ないしDI18およびデータDI20ないしDI28とデータDO1、DO2について、異常状態、単独運転状態、非単独運転状態に分けて説明する。
【0045】
データDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28として、監視情報D1、D2および自己情報D11、D22の各ビットのバイナリデータが入力される。データDI10ないしDI15として夫々、監視情報D1におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。データDI16、DI17、DI18として夫々、自己情報D11におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。データDI20ないしDI25として夫々、監視情報D2におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。データDI26、DI27、DI28として夫々、自己情報D22におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。
【0046】
<異常状態>
異常状態とは、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれる場合をいう。つまり、遠隔監視制御装置TC1、TC2のうち、少なくとも何れかが直接運転状態、故障状態または診断状態である場合である。よって、データDI16、DI17、DI18、DI26、DI27、DI28の少なくとも1つに1が入力され、データDI10ないしDI15およびデータDI20ないしDI25に1又は0が入力される。そして、データDO1は0となり、データDO2は1となる。
以下、異常状態でない場合について説明する。
【0047】
<単独運転状態>
単独運転状態とは、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれている場合をいう。つまり、単独運転状態は、前述のしたように変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等のうち、少なくとも1つが開とされる場合である。よって、データDI10ないしDI15およびデータDI20ないしDI25の少なくとも1つに1が入力され、データDI16、DI17、DI18、DI26、DI27、DI28全てに0が入力される。よって、データDO1は1となり、データDO2は0となる。
【0048】
<非単独運転状態>
非単独運転状態とは、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていない場合をいう。つまり、非単独運転状態は、変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等が全て閉とされる場合である。よって、データDI10ないしDI18およびデータDI20ないしDI28全てに0が入力される。よって、データDO1は0となり、データDO2は0となる。
【0049】
従って、判定部1bにおけるデータDO1に応じて、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれているか否かが判定される。つまり、データDO1が1の場合、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていると判定される。一方、データDO1が0の場合、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていないと判定される。
【0050】
判定部1bにおけるデータDO2に応じて、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれているか否かが判定される。つまり、データDO2が1の場合、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていると判定される。一方、データDO2が0の場合、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていないと判定される。
【0051】
===分散型電源の運転制御装置の動作===
図3は、本実施形態に係る中央装置1の運転制御動作を示すフローチャートである。
中央装置1に備えられた運転制御動作スイッチを入とし、中央装置1が運転制御動作を開始したところから説明する。中央装置1は、遠隔監視制御装置TC1、TC2の監視情報D1、D2および自己情報D11、D22を要求する(ステップS11)。つまり、命令送信部1aが、情報集配信装置DXに情報要求命令を送信する。情報集配信部DX1(DX2)は、情報集配信装置DXが受信した情報要求命令を遠隔監視制御装置TC1(TC2)に送信する。遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)より情報要求命令を受信すると、情報集配信部DX1(DX2)に対して監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を送信する。情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)から受信した監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を保持する。
【0052】
次に、判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれているか否かを判定する(ステップS12)。つまり、前述したように、判定部1bにデータDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28として、監視情報D1、D2および自己情報D11、D22の各ビットのバイナリデータが入力される。そして、判定部1bから出力されるデータDO1が1であるか否かが判定される。また判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれているか否かを判定する(ステップS12)。つまり、前述したように、判定部1bにデータDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28として、監視情報D1、D2および自己情報D11、D22の各ビットのバイナリデータが入力される。そして、判定部1bから出力されるデータDO2が1であるか否かが判定される。
【0053】
次に、判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていると判定した場合(ステップS13のYES)、命令送信部1aは、遮断命令を情報集配信装置DXに送信する。情報集配信部DX3は、情報集配信装置DXが受信した遮断命令を転送遮断装置3へ送信する。転送遮断装置3は、遮断命令を情報集配信部DX3より受信すると、遮断器CBを開とする(ステップS14)。そして、中央装置1の運転制御動作は終了する。
【0054】
一方、判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていないと判定した場合(ステップS13のNO)、中央装置1は、自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれているか否かにより、以下のように動作する。
【0055】
判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていると判定した場合(ステップS15のYES)、命令送信部1aは、分散型電源Gのモニタ端末に対して警報情報を送信する。分散型電源Gのモニタ端末は、命令送信部1aより警報情報を受信すると、分散型電源Gのモニタ端末に警報メッセージを表示させる(ステップS16)。そして、中央装置1の運転制御動作は終了する。
【0056】
一方、判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていないと判定した場合(ステップS15のNO)、中央装置1は、再び遠隔監視制御装置TC1、TC2に監視情報D1、D2および自己情報D11、D22を要求する(ステップS11)。
【0057】
[第2実施形態]
===分散型電源の運転制御装置===
図4は、本実施形態に係る分散型電源の運転制御装置を示す図である。尚、前述した構成については同じ番号を付すのみで、その説明は省略する。
【0058】
送電系統20とは別の送電系統である送電系統20aが送電系統20に接続されている。
送電系統20aは、発電所5、変電所24および送電線L0aを備えて構成される。
送電線L0aの一端は発電所5に接続され、送電線L0aの他端は発電所2からの線路長が変電所22よりも長いc地点で送電線L0に接続されている。
【0059】
変電所24は、送電線L0aにおける発電所5とc地点の間に設けられる。変電所24は、遮断器CB4a、CB4b、断路器LL4a、LL4b、BL4a、BL4b、配電線L4および変圧器(不図示)を備えて構成される。
変電所24には送電線L0aにより送電された電力を降圧する変圧器が設けられ、配電線L4は、変圧器を介して送電線L0aに接続される。尚、配電線L4が変圧器を介して送電線L0aに接続される地点をd地点とする。
遮断器CB4aはd地点よりもc地点側において送電線L0aに接続され、遮断器CB4bはd地点よりも発電所5側において送電線L0aに接続される。
【0060】
断路器LL4a、BL4aは、d地点よりもc地点側において遮断器CB4aを挟んだ状態で送電線L0aに設けられる。断路器LL4aは遮断器CB4aよりもc地点側において送電線L0aに接続され、断路器BL4aは遮断器CB4aよりもd地点側において送電線L0aに接続される。断路器LL4b、BL4bは、d地点よりも発電所5側において遮断器CB4bを挟んだ状態で送電線L0aに設けられる。断路器LL4bは遮断器CB4bよりも発電所5側において送電線L0aに接続され、断路器BL4bは遮断器CB4bよりもd地点側において送電線L0aに接続される。
分散型電源Gは、遮断器CBを介してc地点で送電線L0、L0aに接続される。
【0061】
遠隔監視制御装置TC4は、変電所24内に設けられる。遠隔監視制御装置TC4は、情報集配信装置DXaにおける情報集配信部DX4との間で通信が行われるように、例えば通信ケーブルT4により情報集配信部DX4に接続される。
【0062】
遠隔監視制御装置TC4は、遮断器CB4a、CB4b、断路器LL4a、LL4b、BL4a、BL4b(以下、変電所24における遮断器CB4a等とする)の開閉を監視し制御する。尚、遠隔監視制御装置TC4が監視する、変電所24における遮断器CB4a等の開閉を示す情報を監視情報D4とする。監視情報D4は、遠隔監視制御装置TC1における監視情報D1と同様であるので、その説明は省略する。そして、遠隔監視制御装置TC4は、情報集配信部DX4より情報要求命令を受信した場合、監視情報D4および自己情報D44を情報集配信部DX4に送信する。尚、自己情報D44は、遠隔監視制御装置TC1における自己情報D11と同様であるので、その説明は省略する。
【0063】
本実施形態に係る分散型電源Gの運転制御装置8aは、中央装置10、11、転送遮断装置3および情報集配信装置DX、DXaを備えて構成される。
中央装置10(11)は、命令送信部10a(11a)および判定部10b(11b)を有する。尚、中央装置10、11は同様な構成であり、同様な動作を行う。
命令送信部10a(11a)は、情報要求命令、開閉命令、診断実行命令を情報集配信装置DX、DXaに送信する。また、命令送信部10a(11a)は、遮断命令を情報集配信装置DXに送信する。尚、判定部10b(11b)については後述する。
【0064】
情報集配信装置DXaは、情報集配信部DX4を有する。情報集配信装置DXaは、情報集配信部DX4介して、中央装置10(11)と遠隔監視制御装置TC4の間の通信を中継する。
【0065】
情報集配信部DX4は、例えば情報集配信装置DXaとの間で通信可能に接続されるモジュールである。情報集配信部DX4は、情報集配信装置DXaが受信した情報要求命令、開閉命令および診断実行命令を遠隔監視制御装置TC4に送信する。また、情報集配信部DX4は、遠隔監視制御装置TC4が送信した監視情報D4および自己情報D44を受信して保持する。中央装置10、11は、情報集配信装置DX、DXaとの間で通信が行われるように、例えば通信ネットワークNを介して情報集配信装置DX、DXaに接続される。中央装置10、11は、警報メッセージを分散型電源Gのモニタ端末に表示するための警報情報を分散型電源Gのモニタ端末に送信できるように、例えば通信ネットワーク(不図示)を介して分散型電源Gのモニタ端末に接続される。
【0066】
===判定部10b、11b===
図5は、本実施形態に係る判定部10b(11b)の一例を示す図である。
判定部10b(11b)は、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれているか否かを判定する。尚、変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等のうち少なくとも1つが開とされ、かつ変電所24における遮断器CB4a等のうち少なくとも1つが開とされる場合、分散型電源Gは、発電所2、5から分断される。その場合、分散型電源Gは、単独で送電線L0およびL0aに対して電力を供給する単独運転状態となる。また判定部10b(11b)は、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれているか否かも判定する。
【0067】
判定部10b(11b)は、論理和回路C1ないしC8、C13、C15、C17ないしC20、論理積回路C9、C11、C16、C22、C23、反転回路C10、C12、C14、C21を含んで構成される。
データDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28およびデータDI40ないしDI48が判定部10b(11b)に入力される。データDO11、DO22が判定部10b(11b)から出力される。
【0068】
論理和回路C17には、データDI40ないしDI42が入力される。論理和回路C18には、データDI43ないしDI45が入力される。論理和回路C19には、データDI46ないしDI48が入力される。論理和回路C20には、論理和回路C17、C18の出力が入力される。反転回路C21には、論理和回路C19の出力が入力される。論理積回路C22には、論理和回路C20の出力および反転回路C21の出力が入力される。論理積回路C23には、論理和回路C15の出力および論理積回路C22の出力が入力される。論理和回路C13には、論理和回路C3、C6、C19の出力が入力される。論理積回路C16には、論理積回路C23の出力および反転回路C14の出力が入力される。論理積回路C16の出力がデータDO11となる。論理和回路C13の出力がデータDO22となる。尚、論理和回路C1ないしC8、C15、論理積回路C9、C11、反転回路C10、C12、C14に入力されるデータは判定部1bと同様である。
【0069】
判定部10b(11b)におけるデータDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28およびデータDI40ないしDI48とデータDO11、DO22について、異常状態、単独運転状態、非単独運転状態に分けて説明する。
【0070】
ここで、データDI40ないしDI48として、監視情報D4および自己情報D44の各ビットのバイナリデータが入力される。データDI40ないしDI45として夫々、監視情報D4におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。データDI46、DI47、DI48として夫々、自己情報D44におけるバイナリデータが最上位ビットから最下位ビットの順に入力される。
【0071】
<異常状態>
異常状態とは、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれる場合をいう。つまり、遠隔監視制御装置TC1、TC2、TC4のうち、少なくとも何れかが直接運転状態、故障状態または診断状態である場合である。よって、データDI16、DI17、DI18、DI26、DI27、DI28、DI46、DI47、DI48の少なくとも1つに1が入力され、データDI10ないしDI15、データDI20ないしDI25およびデータDI40ないしDI45に1又は0が入力される。そして、データDO11は0となり、データDO22は1となる。
以下、異常状態でない場合について説明する。
【0072】
<単独運転状態>
単独運転状態とは、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれている場合をいう。つまり、単独運転状態は、前述のしたように変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等のうち少なくとも1つが開とされ、かつ変電所24における遮断器CB4a等のうち少なくとも1つが開とされる場合である。よって、データDI10ないしDI15およびデータDI20ないしDI25の少なくとも1つに1が入力され、かつDI40ないしDI45の少なくとも1つに1が入力され、データDI16、DI17、DI18、DI26、DI27、DI28、DI46、DI47、DI48全てに0が入力される。よって、データDO11は1となり、データDO22は0となる。
【0073】
<非単独運転状態>
非単独運転状態とは、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていない場合をいう。つまり、非単独運転状態は、少なくとも変電所21における遮断器CB1a等および変電所22における遮断器CB2a等または変電所24における遮断器CB4a等が全て閉とされる場合である。つまり、少なくともデータDI10ないしDI18およびデータDI20ないしDI28全てに0が入力されるか、データDI40ないしDI48全てに0が入力される。よって、データDO11、DO22は0となる。
【0074】
従って、データDO11が1の場合、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていると判定される。一方、データDO11が0の場合、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていないと判定される。データDO22が1の場合、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれていると判定される。一方、データDO22が0の場合、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれていないと判定される。
【0075】
===分散型電源の運転制御装置の動作===
中央装置10、11に夫々備えられた運転制御動作スイッチ(不図示)を入とされた中央装置10又は中央装置11の何れかが、後述する運転制御動作を行う。
【0076】
中央装置10,11は、図3におけるフローチャートに従って運転制御動作を行う。尚、中央装置10、11夫々が行う運転制御動作は同様であるので、中央装置11の運転制御動作の説明は省略し中央装置10の運転制御動作についてのみ説明する。
【0077】
中央装置10に備えられた運転制御動作スイッチを入とし、中央装置10が運転制御動作を開始したところから説明する。中央装置10は、遠隔監視制御装置TC1、TC2、TC4の監視情報D1、D2、D4および自己情報D11、D22、D44を要求する(ステップS11)。つまり、命令送信部10aが、情報集配信装置DX、DXaに情報要求命令を送信する。情報集配信部DX1(DX2)は、情報集配信装置DXが受信した情報要求命令を遠隔監視制御装置TC1(TC2)に送信する。また、情報集配信部DX4は、情報集配信装置DXaが受信した情報要求命令を遠隔監視制御装置TC4に送信する。遠隔監視制御装置TC1(TC2)は、情報集配信部DX1(DX2)より情報要求命令を受信すると、情報集配信部DX1(DX2)に対して監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を送信する。また、遠隔監視制御装置TC4は、情報集配信部DX4より情報要求命令を受信すると、情報集配信部DX4に対して監視情報D4および自己情報D44を送信する。情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)から受信した監視情報D1(D2)および自己情報D11(D22)を保持する。情報集配信部DX4は、遠隔監視制御装置TC4から受信した監視情報D4および自己情報D44を保持する。
【0078】
次に、判定部10bは、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれているか否かを判定する(ステップS12)。つまり、前述したように、判定部10bにデータDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28、データDI40ないしDI48として、監視情報D1、D2、D4および自己情報D11、D22、D44の各ビットのバイナリデータが入力される。そして、判定部10bから出力されるデータDO1が1であるか否かが判定される。また判定部10bは、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれているか否かを判定する(ステップS12)。つまり、前述したように、判定部10bにデータDI10ないしDI18、データDI20ないしDI28、データDI40ないしDI48として、監視情報D1、D2、D4および自己情報D11、D22、D44の各ビットのバイナリデータが入力される。そして、判定部10bから出力されるデータDO2が1であるか否かが判定される。
【0079】
次に、判定部10bが、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていると判定した場合(ステップS13のYES)、命令送信部10aは、遮断命令を情報集配信装置DXに送信する。情報集配信部DX3は、情報集配信装置DXが受信した遮断命令を転送遮断装置3へ送信する。転送遮断装置3は、遮断命令を情報集配信部DX3より受信すると、遮断器CBを開とする(ステップS14)。そして、中央装置10の運転制御動作は終了する。
【0080】
一方、判定部10bが、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていないと判定した場合(ステップS13のNO)、中央装置10は、自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれているか否かにより、以下のように動作する。
【0081】
判定部10bが、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれていると判定した場合(ステップS15のYES)、命令送信部10aは、分散型電源Gのモニタ端末に対して警報情報を送信する。分散型電源Gのモニタ端末は、命令送信部10aより警報情報を受信すると、分散型電源Gのモニタ端末に警報メッセージを表示させる(ステップS16)。そして、中央装置10の運転制御動作は終了する。
【0082】
一方、判定部10bが、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された自己情報D11、D22、D44に異常状態自己情報が含まれていないと判定した場合(ステップS15のNO)、中央装置10は、再び遠隔監視制御装置TC1、TC2、TC4に監視情報D1、D2、D4および自己情報D11、D22、D44を要求する(ステップS11)。
【0083】
前述したように、情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)が送信する監視情報D1(D2)を受信し保持する。そして、判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれているか否かを判定する。判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された監視情報D1、D2に単独運転状態監視情報が含まれていると判定した場合、情報集配信部DX3は、遮断命令を転送遮断装置3へ送信する。転送遮断装置3は、遮断命令を情報集配信部DX3より受信すると、遮断器CBを開とする。よって、分散型電源の運転制御装置8は、送電線L0に接続された分散型電源Gの単独運転状態を確実に検出し防止することができる。
【0084】
また、情報集配信部DX1(DX2)は、遠隔監視制御装置TC1(TC2)が送信する自己情報D11(D22)を受信し保持する。判定部1bは、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれているか否かを判定する。判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていると判定した場合、情報集配信部DX3から転送遮断装置3への遮断命令の送信が禁止される。よって、分散型電源の運転制御装置8は、遠隔監視制御装置TC1、TC2が、直接運転状態、故障状態または診断状態の場合、遮断器CBを開としない。従って、遠隔監視制御装置TC1、TC2が直接運転状態、故障状態又は診断状態であることに起因して誤った監視情報D1、D2に基づいて、分散型電源の運転制御装置8が、遮断器CBを開とするのを防止することができる。
【0085】
また、判定部1bが、情報集配信部DX1、DX2に保持された自己情報D11、D22に異常状態自己情報が含まれていると判定した場合、命令送信部1aは、分散型電源Gのモニタ端末に対して警報情報を送信する。そして、分散型電源Gのモニタ端末に警報メッセージが表示される。よって、分散型電源Gの制御を行う作業員に遠隔監視制御装置TC1、TC2が直接運転状態、故障状態又は診断状態であり、分散型電源Gが単独運転状態となっても遮断器CBは開とされないことを知らせることができる。従って、分散型電源Gの制御を行う作業員に、自己の判断で分散型電源Gを停止させて分散型電源Gが単独運転状態となることを未然に防止することができる。
【0086】
また、情報集配信部DX4は、遠隔監視制御装置TC1、TC2が監視する送電系統20とは別系統の送電系統20aを監視する遠隔監視制御装置TC4が送信する監視情報D4を受信し保持する。判定部10b(11b)は、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれているか否かを判定する。判定部10b(11b)が、情報集配信部DX1、DX2、DX4に保持された監視情報D1、D2、D4に単独運転状態監視情報が含まれていると判定した場合、情報集配信部DX3は、遮断命令を転送遮断装置3へ送信する。転送遮断装置3は、遮断命令を情報集配信部DX3より受信すると、遮断器CBを開とする。よって、分散型電源の運転制御装置8aは、別電力系統に共通に接続された分散型電源Gの単独運転状態を確実に検出し防止することができる。
【0087】
尚、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0088】
第1実施形態における判定部1bは、監視情報D1、D2、自己情報D11、D22を入力データとし、入力データに単独運転状態監視情報および異常状態自己情報が含まれているか否かのデータDO1、DO2を出力するような、例えば論理回路を用いたハードウエアでもよいし、プログラムを用いたソフトエアでもよい。また、第2実施形態における判定部10b、11bは、監視情報D1、D2、D4、自己情報D11、D22、D44を入力データとし、入力データに単独運転状態監視情報および異常状態自己情報が含まれているか否かのデータDO11、DO22を出力するような、例えば論理回路を用いたハードウエアでもよいし、プログラムを用いたソフトエアでもよい。
【符号の説明】
【0089】
1、10、11 中央装置
1a、10a、11a 命令送信部
1b、10b、11b 判定部
2、5 発電所
3 転送遮断装置
8、8a 分散型電源の運転制御装置
CB、CB1a、CB1b、CB2a、CB2b、CB4a、CB4b 遮断器
DX、DXa 情報集配信装置
DX1、DX2、DX3、DX4 情報集配信部
G 分散型電源
L0、L0a 送電線
TC1、TC2、TC4 遠隔監視制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送電線の所定区間を遮断する複数の第1の遮断器夫々に対応する複数の第1の遠隔監視制御装置から、前記複数の第1の遮断器の開閉状態を示す第1の監視情報を受信して保持する第1の受信部と、
前記第1の受信部の前記第1の監視情報の中に、分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記分散型電源を単独運転状態とする前記第1の監視情報が含まれていると前記判定部が判定した場合、前記第1の送電線と前記分散型電源との間を遮断する第2の遮断器を開放するための制御信号を送信する送信部と、
前記制御信号に基づいて、前記第2の遮断器を開放状態となるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする分散型電源の運転制御装置。
【請求項2】
前記第1の受信部は、前記複数の第1の遠隔監視制御装置夫々から前記第1の遠隔監視制御装置の動作状態を示す自己情報を受信して保持し、
前記判定部は、前記第1の受信部の前記自己情報の中に、前記第1の遠隔監視制御装置が故障状態であることを示す前記自己情報が含まれているか否かを判定し、
前記送信部は、前記第1の受信部の前記自己情報の中に、前記第1の遠隔監視制御装置が故障状態であることを示す前記自己情報が含まれていると前記判定部が判定した場合、前記制御信号の送信を禁止することを特徴とする請求項1に記載の分散型電源の運転制御装置。
【請求項3】
前記第1の受信部の前記自己情報の中に、前記第1の遠隔監視制御装置が故障状態であることを示す前記自己情報が含まれていると前記判定部が判定した場合、該当する前記第1の遠隔監視制御装置が故障状態であることを示す警報を発生する警報部、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の分散型電源の運転制御装置。
【請求項4】
前記第1の送電線に接続される当該第1の送電線とは別電力系統の第2の送電線の所定区間を遮断する第3の遮断器に対応する第2の遠隔監視制御装置から、前記第3の遮断器の開閉状態を示す第2の監視情報を受信して保持する第2の受信部、
を備え、
前記判定部は、前記第1および第2の受信部の前記第1および第2の監視情報の中に、前記第1および第2の送電線の双方に接続された前記分散型電源を単独運転状態とする前記第1および第2の監視情報が含まれているか否かを判定し、
前記判定部が、前記第1および第2の受信部の前記第1および第2の監視情報の中に、前記分散型電源を単独運転状態とする前記第1および第2の監視情報が含まれていると判定した場合、前記送信部が、前記第1および第2の送電線と前記分散型電源との間を遮断する前記第2の遮断器を開放するための制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の分散型電源の運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−19664(P2012−19664A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157123(P2010−157123)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】