説明

分散視聴者測定システムおよび方法

【課題】視聴者測定のための匿名ピアツーピア(P2P)プライバシーパネルを動作させるシステムおよび方法を開示する。
【解決手段】複数の可搬装置が調査作業の参加者の調査データを記録および処理する構成である。各可搬装置に関連付けられたパネリストは各々、パネリストデータを中央サイトに提供する。パネリストデータは、人口統計情報、以前のメディア接触データおよび他のデヒタを含む。パネリストデータにより、カスタマイズされたP2Pネットワークが形成され、メディア接触データが難読化され、ネットワーク内の携帯装置間で通信される。P2Pネットワークを難読化技術と共に用いることにより、パネリストのプライバシーが大幅に高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者測定調査に参加しているパネリストへのアナログおよびディジタルのメディアコンテンツを識別するためのシステムおよび処理に関し、各パネリストに対して得られた測定結果におけるプライバシーの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
視聴者がネットワークまたは他の情報源を介してアクセスしたメディアデータの使用を測定することについて、大きな関心が寄せられている。視聴者の興味および視聴者が提供されているものを判定するために、インターネットのようなネットワークに接続されている間に、使用者のシステムを離散的な時間周期で監視することができる。十分な処理、帯域および蓄積のリソースを必要とするが、大量のデータを比較的短い時間の間に集めることができる。
【0003】
公告主やメディア配給者等に市場情報を提供し、視聴者のサイズに関する情報に加えて、そのような視聴者の人口統計学的特性を明らかにすることにもまた、大きな関心が寄せられている。さらに、広告主およびメディア配給者は、メディアのタイプ、使用者の人口統計、購買傾向等の特定のパラメータの範囲内で市場情報が明らかとなるようにあつらえられた特別注文のレポートを作成することができることを好むであろう。さらに、連続的かつ実時間でメディア視聴者を監視できることにも、大きな関心が寄せられている。これは、ストリーミングメディアデータを正確に測定するために、非常に重要になる。なぜなら、スナップショトやイベント生成は、ストリーミングデータの継続性および連続性の確保を損なうからである。
【0004】
メディアデータの受信および識別に基づいて、種々のウェブサイト、チャネル、および特定のメディアデータの評価あるいは評判が推定される。種々のウェブサイド、チャネルおよび特定のメディアデータの評判を、それらの視聴者の人口統計にしたがって、メディアデータの使用を表現するデータの使用者人口統計データとの正確な整合を取ることのできる方法で判定することが有利である。
【0005】
マルチメディアストリーミングは、ビデオおよび/またはオーディオの安定したストリームを、ネットワーク接続を介して配信する。たとえば、ストリームは、広告などの、複数の独立したマルチメディアのセグメントを含むことができる。さらに、ストリームは、ストリーミングメディアデータに結びつけられたコンテンツを提供するウェブページなど特定のネットワークリソースに関連付けられる。多数の異なるタイプのストリーミング符号化、サーバおよびプレーヤを生み出した多くのプロトコルおよび配信技術がある。また、ストリーミングメディアデータがしばしば、限定されるものではないが、HTML、電子メール、およびインスタントメッセージングのような多様なフォーマットを有する付加的メディアデータに関連付けられる。
【0006】
メディアデータへのアクセスおよび提供の選択に加え、メディアデータの配信手段も、かつてないほどの速度で発展、進歩している。長年にわたり、地上波のラジオおよびテレビ放送が、固定フォーマットおよび長く確定し良く定義されたチャンネルで、視聴データを配信してきた。最近では、メディーデータが、より多くのフォーマットで、断続的に発展する多数の通信システムおよびプロトコルを経由して配信される中で、メディアデータを測定するためのシステムおよび方法が開発されている。これらのシステムは、メディアデータにアクセスして提示するための多数の装置およびユーザーエージェントと共に、メディアデータの多数の提供源の監視を可能としている。典型的なシステムは、特許文献1〜3に開示されている。これらの各特許出願は、その全体がここに援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第10/205,510号、ヘベラー、「メディアデータ使用測定レポートシステムおよび方法」、2002年7月26日出願10/205,810
【特許文献2】米国特許出願第11/643,159号、ニューハウザー、「複数ソースからのメディアの調査データの収集方法およびシステム」、2006年12月20日出願
【特許文献3】米国特許出願第11/643,159号、ニューハウザー、「調査データの収集」、2007年5月21日出願
【特許文献4】US5,450,490、ジェンセン他
【特許文献5】US5,764,763、ジェンセン他
【特許文献6】US5,579,124、シイジャラ他
【特許文献7】US5,574,962、ファルデュー他
【特許文献8】US5,581,800、ファルデュー他
【特許文献9】US5,787,334、ファルデュー他
【特許文献10】US6,871,180、ニューハウザー他
【特許文献11】US6,862,355、ジェンセン他
【特許文献12】US6,845,360、ジェンセン他
【特許文献13】US5,319,735、プレウス他
【特許文献14】US5,687,191、リー他
【特許文献15】US6,175,627、ペトロヴィック他
【特許文献16】US5,828,325、ウォロセウィクツ他
【特許文献17】US6,154,484、リー他
【特許文献18】US5,945,932、スミス他
【特許文献19】US2001/0053190、スリニヴァサン
【特許文献20】US2003/0110485、ル他
【特許文献21】US5,737,025、ドーグハーティ他
【特許文献22】US2004/0170381、スリニヴァサン
【特許文献23】WO06/14362、スリニヴァサン
【特許文献24】US2005/0200476A1、デイビッド・パトリック・フォル、ジェイムス・エム・ジェンセン、ユジーン・エル・フラナガンIII、2004年3月15日出願、2005年9月15日公開
【特許文献25】US2005/0243784A1、ジョアン・フィッツジェラルド、ジャック・クリスタル、アラン・ネウハウザー、ジェイムス・エム・ジェンセン、デイビッド・パトリック・フォル、ユジーン・エル・フラナガンIII、2005年3月29日出願、2005年9月3日公開
【特許文献26】US2005/003798A1、ジェイムス・エム・ジェンセン、ユジーン・エル・フラナガンIII、2004年3月15日出願、2005年9月15日公開
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Collberg et al., ”A Taxonomy of Obfuscating Transformations”, Technical Report No. 148, Department of Computer Science, The University of Auckland (1997)
【非特許文献2】Hongying Lai, ”A Comparative Survey of JAVA Obfuscatiors”, 415.780 Project Report, Department of Computer Science, The University of Auckland (February 22, 2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなシステムは、メディア調査データの測定および収集を収集し、それをパネリストデータに関連付ける点で有効であることが示されているが、メディア調査データおよびパネリストデータの研究データがプライバシーに関して最適化されていないことに、重大な懸念がある。暗号のような従来の技術をこのようなデータの保護に利用することができる一方で、暗号化ハッシュ等の適用は、視聴者測定システムでは煩雑であることが示されている。さらに、ハッシュおよび/または証明を管理するために必要な処理パワーは、多くの可搬装置の能力を超えている。したがって、パネリストデータを確認されないように保護する処理を簡素化する技術が必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願においては、以下の用語および定義を用いるものとする。
【0011】
ここで用いる「データ」という用語は、あらゆる兆候(indicia)、信号(signals)、印(marks)、表象(symbols)、領域(domains)、表象の集合(symbol sets)、説明(representations)および他のあらゆる情報を表現する物理的形態を意味し、恒久的なものでも一時的なものでもよく、可視、可聴、音響、電気、磁気、電磁気または他の方法のいずれで示されるものでもよい。「データ」という用語は、ひとつの物理形態におけるあらかじめ定められた情報を表現するために使用され、異なる単数または複数の物理形態における対応する情報について、どのようなものでも、すべての表現を包含するものとみなすことにする。
【0012】
ここで用いる「メディアデータ」および「メディア」という用語は、空中を経由して、または、ケーブル、衛星、ネットワーク、相互に接続されたネットワーク(インターネットを含む)を経由して広く利用できるデータを意味し、印刷物、展示物、記憶媒体で頒布された物、または何らかの他の人間が知覚できる手段または技術によるものであって、そのようなデータの形態または内容は考慮せず、音声(ここでいう「音声」は可聴帯域の信号を意味し、人間の声に限定されるものではない)、映像、音声/映像、文章、文字、心象、アニメーション、データベース、放送、展示(映像表示、ポスターおよび広告板を含むが、これらに限定されるものではない)、記号、信号、ウェブページ、印刷媒体およびストリーミングメディアデータを含むが、これらに限定されるものではない。
【0013】
ここで用いる「調査データ」という用語は、(1)メディアの使用に関するデータ、(2)メディアへの接触(exposure)に関するデータ、およびまたは(3)市場調査データを含むデータを意味する。
【0014】
ここで用いる「提示データ」という用語は、メディアデータ、メディアデータ以外のコンテンツ、または使用者に提示されるメッセージを意味する。
【0015】
ここで用いる「補助符号(ancillary code)」という用語は、メディアデータ内に符号化され、付加され、結合され、または埋め込まれたデータであり、メディアデータを識別、記述および/または特徴付ける情報、および/または調査データとして有用な他の情報を提供するデータを意味する。
【0016】
ここで用いる「読み取り」および「読み取る」という用語は、メディアデータに付加され、符号化され、結合され、または埋め込まれた調査データを再生するための処理を意味する。
【0017】
ここで用いる「データベース」という用語は、関連したデータの組織化された統一体を意味し、データまたはそれにより組織化された統一体が表現される方法にはこだわらない。たとえば、関連したデータの組織化された統一体は、テーブル、マップ、グリッドパケット、データグラム、フレーム、ファイル、電子メール、メッセージ、書類、リストの形態でもよく、また、他のどのような形態でもよい。
【0018】
ここで用いる「ネットワーク」という用語は、すべての種類のネットワークおよび相互に接続されたネットワークを含み、インターネットを含むが、どのような特定のネットワークあるいは相互接続されたネットワークにも限定されるものではない。
【0019】
「第1」、「第2」、「基本的」、「副次的」という用語は、ここでは、ひとつの要素、集合、データ、セット、対象、過程(ステップ)、処理(プロセス)、機能、活動、または他から物を区別するために用い、特に断らない限り、相対的な位置、時間的な配置または相対的な重要性を示すために用いるものではない。
【0020】
ここで用いる「結合した」、「に結合した」および「と結合した」という用語は、それぞれ、2またはそれ以上の装置(devices)、器具(apparatus)、ファイル、回路、要素、機能、動作、処理、プログラム、メディア、構成要素、ネットワーク、システム、サブシステム、およびまたは手段の関係を意味し、1以上の(a)直接あるいは1以上の他の装置、器具、ファイル、回路、要素、機能、動作、処理、プログラム、メディア、構成要素、ネットワーク、システム、サブシステム、または手段を経由する接続、(b)直接あるいは1以上の他の装置、器具、ファイル、回路、要素、機能、動作、処理、プログラム、メディア、構成要素、ネットワーク、システム、サブシステム、または手段を経由する通信関係、およびまたは(c)装置、器具、ファイル、回路、要素、機能、動作、処理、プログラム、メディア、構成要素、ネットワーク、システム、サブシステム、または手段のいずれか1以上の動作が、全体として、または部分的に、これらのうちの他の1以上の動作に依存する機能的関係、を意味する。
【0021】
ここで用いる「通信」あるいは「連絡」、および「通信する」あるいは「連絡する」という用語は、送信元から相手先へデータを運ぶことと、相手先にデータが運ばれるように、通信メディア、システム、チャンネル、ネットワーク、装置、電線、ケーブル、ファイバ、回路およびまたはリンクにデータを引き渡すこととの双方を意味する。ここで用いる「通信部」という用語は、通信メディア、システム、チャンネル、ネットワーク、装置、電線、ケーブル、ファイバ、回路およびリンクの1以上を含む。
【0022】
ここで用いる「処理装置」という用語は、処理を実行する装置、器具、プログラム、回路、構成要素、システムおよびサブシステムを意味し、ハードウェア、ソフトウェアまたはその双方で実施されるもののいずれでもよく、プログラム可能なものでも可能でないものでもよい。ここで用いる「処理装置」という用語は、1またはそれ以上のコンピュータに限定されるわけではなく、ハードウェアにより実現されている回路、信号加工装置およびシステム、システムを制御するための装置および機械、中央処理ユニット、プログラム制御可能な装置およびシステム、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SoC(Systems on a Chip)、個別要素およびまたは回路からなるシステム、ステートマシン、仮想機械、データ処理装置、処理設備およびこれらのいずれからの組み合わせを含む。
【0023】
ここで用いる「蓄積装置」および「データ蓄積装置」という用語は、一時的なものであれ恒久的なものであれ、データを保持し、そのような保持データを提供するために用いられるデータ蓄積装置、器具、プログラム、回路、構成要素、システム、サブシステムおよび蓄積媒体を意味する。
【0024】
「パネリスト」、「パネルメンバー」、「回答者」および「参加者」は、ここでは同じ意味で用い、承知のうえで、または知らないで、その人の活動性についての情報を電気的にあるいは他の手段で収集する調査に参加している人をいう。
【0025】
ここで用いる「世帯」という用語は、広く解釈するものとし、家族のメンバー、同じ居所に住む家族、同じ居所に住む互いに関連のあるまたは関連のない一群の人々、フラタニティハウス、共同住宅等の同様の構造または配置の共通の設備内にすむ一群の人々(関連のない人々の総数は所定数を超えることはない)を含むものとする。
【0026】
ここで用いる「活動」という用語は、限定するわけではないが、購買動向、買い物の傾向、視聴傾向、コンピュータやインターネットの使用、メディアへの接触、個人的な考え方、自覚、意見および信条、ならびにここで議論する他の形態の活動を含む。
【0027】
ここで用いる「調査装置」という用語は、(1)調査データの収集、保管、およびまたは通信を行うように構成された、またはそれらの動作が可能な、あるいは調査データを収集、蓄積、およびまたは通信する他の装置と組み合わせる可搬型使用者器具、およびまたは(2)調査データを収集、蓄積および/または通信する装置を意味するものとする。
【0028】
ここで用いる「可搬型使用者器具(portable user appliance)」(便宜上、ここでは略語で「PUA」ともいう)は、電気的または非電気的装置であり、使用者本人により、あるいは使用者本人に付随して携行することのできる、あるいは、使用者が携行する、あるいは使用者に付随して携行することのできる物理的な物(たとえばアタッシェケース、サイフ等)の外部または内部に配置され、あるいはそのような物により保持されて携行することができる装置であって、そのような使用者に基本的な利益をもたらす少なくともひとつの機能として、限定するわけではないが、携帯電話、PDA(携帯情報端末、Personal Digital Assistant)、BlackBerry(登録商標)装置、ラジオ、テレビ受像機、ゲームシステム(たとえばゲームボーイ(登録商標)装置)、ノートブック型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、GPS装置、パーソナルオーディオ装置(たとえばMP3プレーヤ)、DVDプレーヤ、双方向無線機(two−way radio)、パーソナル通信装置、テレマティクス装置、遠隔制御装置、無線ヘッドセット、腕時計、可搬型データ蓄積装置(たとえばThumb(商標)ドライブ)、カメラ、レコーダ、キーレスエントリデバイス、リング、櫛、ペン、鉛筆、ノート、札入れ、工具、懐中電灯、器具、眼鏡、服飾品、ベルト、ベルトバックル、時計入れ小ポケット、宝飾品、装飾品、靴または他の履物(たとえばサンダル)、ジャケット、および帽子、ならびに上述の物あるいはその機能のいずれかを組み合わせた装置を含むものをいう。
【発明の効果】
【0029】
本開示は、視聴者測定のためのピアツーピアのプライバシーパネルを規定するためのシステムおよび方法を示す。以下に開示する種々の実施形態において、1以上の調査装置が、視聴者測定の方法論に関係するハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えている。装置は、所定の基準に従って、ピアツーピア構成の1以上のネットワークに接続される。ネットワーク内のピアノード間の視聴者測定データの伝送を操作し、実施形態におけるデータ難読化の概念を利用することにより、パネル調査の結果を確実に得ることができる一方で、調査に参加するパネリストや家族のプライバシーを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】視聴者測定データを収集および配信する代表的なシステムを示すブロック図である。
【図2】視聴者測定データをピアツーピア構成で配信する別の代表的なシステムを示すブロック図である。
【図3】各装置が視聴者測定データをネットワーク内に送信する代表的な構成を示すブロック図である。
【図4A】データのプライバシーを維持しながら視聴者測定データを配信する代表的なシステムおよび処理を示すブロック図である。
【図4B】データのプライバシーを維持しながら視聴者測定データを配信する別の代表的なシステムおよび処理を示すブロック図である。
【図4C】別の代表的な実施形態において、データのプライバシーを維持しながら視聴者測定データを配信する代表的なシステムおよび処理を示すブロック図である。
【図4D】別の代表的な実施形態において、データのプライバシーを維持しながら視聴者測定データを配信する別の代表的なシステムおよび処理を示すブロック図である。
【図5】付加的なプライバシーのために視聴者測定データが分割されてピアツーピア構成で配信される別の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、調査データ、特に視聴者測定調査のデータを収集および配信する代表的なシステム(100)を示す。システム100はユーザシステム101を備え、このユーザシステム101は、コンピュータ107、無線送信部106、衛星送信部105またはテレビジョン104を含む多数の情報源から送信された監視データを受信することのできる可搬調査装置103を有する。可搬調査装置103は、監視対象の情報源に据え付けられる単一または複数の装置を構成してもよく、あるいは、監視すべき複数の情報源に据え付けられる複数の装置を構成してもよい。可搬調査装置103はまた、個人により運ばれて個人の動きに合わせて種々の情報源を監視する可搬監視装置に組み込まれていてもよい。
【0032】
音声データなどのメディアデータを含む音響データを監視する場合、可搬調査装置103は、典型的には、メディアデータを音響エネルギーの形で受信してその音響エネルギーを電気データに変換する入力部を有するマイクロフォンのような音響変換器である。ビデオデータなどの光エネルギーの形のメディアデータを監視する場合、可搬調査装置103は、フォトダイオードなどの光感受性装置、またはビデオカメラの形態をとる。メディアデータを含む光エネルギーとは、たとえば、ビデオ表示装置により放射される光である。可搬調査装置103はまた、スピーカーと連携して磁気を感知する磁気ピックアップ、電界を検知する容量ピックアップ、あるいは電磁エネルギー用のアンテナの形態をとることができる。さらに別の実施形態において、可搬調査装置103は、テレビジョン、ラジオ、ケーブルコンバータ、衛星テレビジョンシステム、ゲームプレイングシステム、VCR、DVDプレーヤ、可搬プレーヤ、コンピュータ、ウェブ設備などの監視対象の装置に電気的に接続される形態をとってもよい。さらに別の実施形態において、可搬調査装置103を、コンピュータ上で動作しメディアデータを収集する監視ソフトウェアとして実施することもできる(たとえば、図1の109)。
【0033】
種々の監視技術が適している。たとえば、テレビジョンの視聴やラジオを聴く習慣について、その中のコマーシャルへの接触を含めて、種々の技術を用いて監視することができる。ある技術では、個人が接触する音響エネルギーが監視され、その個人が見ているまたは聞いている番組、歌、局、チャンネル、コマーシャルなどを識別または特徴付けるデータが生成される。音声メディアがそのような情報を提供する補助符号を含んでいる場合には、特許文献4〜特許文献23に開示されたような適切な復号化技術を用いて、符号化された情報を検出する。特許文献4〜特許文献23のすべてがここに援用される。
【0034】
他の技術カテゴリとして、歩行者により識別されるための技術では、音声を時間ドメインから他の変換ドメイン、たとえば周波数ドメインに変換し、その後、データを付加するか、さもなければ変換された音声を改変することにより、符号化する。ドメイン変換は、フーリエ、DCT、アダマール、ウェーブレットまたは他の変換、あるいはディジタルまたはアナログのフィルタリングにより実行することができる。変調された搬送波や他のデータ(雑音、擬似雑音データまたは変換ドメイン内の他のシンボル)を加えることで、あるいは、1以上の周波数帯、ビンまたはビンの組み合わせのノッチングまたは変更(altering)あるはそれらの方法の組み合わせにより、変換された音声を改変することで、符号化が達成される。さらに別の関連技術として、音声データの周波数分布を変換ドメイで改変して符号化する。心理音響マスク処理を採用して、符号を聞こえないようにするか、目立たないようにすることができる。このカテゴリの技術により符号化された音声データ内の補助符号を読み出すには、典型的には、符号化された音声を変換ドメインに変換し、その符号を表現する付加または他の改変を検出する。
【0035】
さらに別の技術カテゴリとして、歩行者により識別されるため技術では、圧縮(損失ありでもロスレスでも)のため、または他の目的のために、MP3形式や他のMPEGオーディオ形式、AC−3、DTS、ATRAC、WMA、RealAudio、Ogg Vorbis、APT XI00、FLAC、Shorten、Monkey’s Audioなどで符号化された音声データを改変する。復号化では、符号化計数および/または所定の判定閾値を改変するなど、符号化された音声データの改変を行う。符号を読み出すための音声の処理は、所定の音声符号化パラメータに関する知識を用いて、そのような改変を検出することにより行われる。
【0036】
種々の公知の符号化技術を、単独で、あるいは上述の技術と組み合わせて採用することができる。そのような公知の符号化技術としては、限定されるわけではないが、FSK、PSK(たとえば、BPSKなど)、振幅変調、周波数変調および位相変調がある。
【0037】
多くの種類の他の調査作業が可能であり、その中には、限定するわけではないが、テレビジョンおよびラジオの番組の視聴率測定、テレビジョン、ラジオ、印刷物および屋外広告による広告への接触を含み、中でも;消費者としての消費傾向;特定の小売店および買い物中に訪れる買い物以外の場所を含む消費者としての買い物傾向およびレクリエーション活動;家と仕事との間、および他の場所との間の特定の経路のような移動パターン;消費者としての考え方、信条、自覚および好み;等を含む。実施すべき所望のタイプのメディアおよび/または市場の調査作業として、特に、個々人の活動がモニタリングされる。調査作業では、上述の2以上に関する調査データを収集するが、そのようなデータの一種類のみを収集する場合もある。
【0038】
消費者としての購買動向、コンシューマ製品の返品動向、製品への消費者としての接触および商業施設の存在および/または近接に関する調査データを収集することができ、このような収集のために種々の技術を用いることができる。商業施設の存在およびまたは近接に関するデータを収集するために適切な技術は、特許文献24、25に、消費者の製品への接触に関するデータを収集するために適切な技術は、特許文献26に開示されている。
【0039】
さらに、パネルのメンバーを積極的に参加させる技術を、調査作業に利用することができる。たとえば、募集後のパネルメンバーのPUAを用いてパネルメンバーが質問されたときの調査を採用することができる。したがって、ここで議論される収集されるべき典型的なタイプの調査データと、ここで議論されるように調査データを収集する代表的な方法との双方が示されているが、他のタイプの調査データを収集し、調査データを収集するために他の技術を採用することもできることが理解される。
【0040】
種々の可搬調査装置がすでに、調査作業中に用いられるべき所望の監視技術の実行が可能なほど、十分な能力を有している。一例として、携帯電話は、音声エネルギーを音声データに変換するマイクロフォンを備えている。種々の携帯電話がさらに、処理および蓄積の能力を有している。ある実施形態において、種々の既存の可搬調査装置は、ソフトウェアおよび/または小さなハードウェアの変更により少し改造することで、調査作業を実行することができる。ある他の実施形態では、可搬調査装置は、この目的のために、再設計され、実質的に改造される。ある実施形態では、可搬調査装置は、分離された調査データ収集システムと結合され、補助的または相補的な作業を提供する。
【0041】
図1に戻って説明すると、携帯調査装置103は、プロセッサを備え、監視されたデータを処理および蓄積するための蓄積装置(図3参照)に結合される。さらに、蓄積装置(図3参照)は、パネリストの年齢、性別、収入、婚姻状況、パネリストの人口統計、メディアへの接触、小売店への訪問、購入物、インターネットの使用状況、消費財およびサービスに対する信念および意見などの情報を含むパネリスト情報データを蓄える。さらに、パネリストデータを、同一世帯から参加している2人のパネリストから集めた情報を含む世帯情報データに関連付けることができる。可搬調査装置103はまた、全地球測位システム(GPS)、温度計、湿度センサなど、使用者の環境に関する情報を提供する付加的な装置装備を備えるか、またはそのように装置に結合されることができる。

【0042】
ひとつの実施形態のもとで、可搬調査装置103は、調査データを含むレポートの作成に使用する処理施設に処理済データを連絡するための通信ドック102に結合される。各ユーザーシステム(101、108、109)はネットワーク10に接続され、1以上のサーバ109内で処理されたデータを時間外に集めて、パネリストおよび世帯のレポートに有用なデータベースを生成する。
【0043】
図2は、複数の携帯装置(200A−200G)がピアツーピアネットワーク200に結合され、各装置がネットワーク内でアドホックノードを形成する代表的な実施形態を示す。ネットワークトポロジは、図2に示すようにバス型ネットワークの形態でもよく、スター型トポロジ、デイジーチェーン、またはこの分野で知られている他のトポロジでもよい。ピアツーピアネットワークは、好ましくはメインネットワーク220のサブネットワークであり、所定の基準に従って、あるいはアドホックに形成されていてもよい、1以上のサーバ(230−240)は、好ましくはネットワーク管理者250の指示により、サブネットワークの構成を制御することができる。
【0044】
ネットワークが形成されているとき、可搬装置ノードは、データを共有するために、お互いの間でリソースを活用することができる。ピアツーピアネットワーク関係では、ノード(200A−200G)は、互いを対等に扱う。これに対し、クライアントサーバネットワーク関係が形成されているときには、ひとつのノード(サーバ230−240)が情報の蓄積および共有を扱い,他のノード(クライアント)が蓄積されたデータにアクセスする。好ましい実施形態では、ピアツーピアネットワーク200が、ネットワーク全体でデータがエンドポイントからエンドポイントに伝えられる道筋を定義する論理トポリジを用いて構成される。この実施形態において、論理トポロジは、ノードが物理的にレイアウトされている道筋をなんら考慮するものではなく、どこに送るべきデータを取得するのかに関連している。
【0045】
好ましい実施形態において、各携帯装置(200A−200G)は、所定の方法により構成され、何のデータ/リソースを共有すべきかを確立し、そのデータ/リソースにアクセスする必要のあるノードにリソースが有効となることを保証する。また、各携帯装置がメモリストレージ(揮発性および/または非揮発性)を備えて構成されている一方で、ネットワーク200上で共有されるべきどのデータも、メモリの専用領域(たとえばパーティション)から、あるいは使用中のデータを蓄えて共有するように構成された別箇のメモリ装置(たとえばメモリカード)から得られる。このようにして、不注意な共有の可能性が最小限に抑えられる。
【0046】
共有データリソースのセキュリティは、それらを制御するピアの責任である。各可搬装置ノードは、データ/リソースのセキュリティポリシィを履行および維持し、究極的に、それらだけがデータ/リソースを使用できるように権威付けられることを確実にする。ピアツーピアネットワークの各ピアは、他のピアにどのように到達するか、どのリソースがどこで共有されるか、そしてセキュリティポリシィが守られているかに責任がある。
【0047】
ピアツーピア共有を実装するために必要なソフトウェアは、各携帯装置(200A−200G)に格納されているアプリケーションプログラムの形で具現化されている。アプリケーションプログラムは、各携帯装置に格納されているデータベースに結合され、それぞれの携帯装置の各ユーザの人口統計データをインポートするように構成されている。ソフトウェアコントロールが設けられ、ユーザが、インポートされた特定の人口統計データを制御できるように、あるいは、データの一部がピアツーピアネットワーク200で使用されることを防止できるようになっている。人口統計データがひとたび各携帯装置にインポートされると、各携帯装置は、そのデータを中央サイト(図2内のサーバ230−240として具現化)に転送する。別の実施形態では、携帯装置のユーザに関する人口統計データが中央サイトにあらかじめロードされる。なんらかのイベントがあると、中央サイトは、テーブル形式のデータを格納し、バス210またはこの技術分野で公知の他の手段を介するピアツーピアネットワークへの接続に適している調査作業のすべてのユーザを決定する。これとは別に、ソフトウェアをコンテンツと一緒に配信することもできる。このようなソフトウェアとしては、たとえば、JavaScript(登録商標)やActiveX(登録商標)コードがある。
【0048】
携帯装置200A-200Gは各々、匿名ネットワーク接続のためにピアツーピア(P2P)パネルが選択されるときには、ユニークな識別子(ID)を所有すべきことが好ましい。もしくは、携帯装置200A-200Gは各々、特別のパネルに対して形成される特定パネル用の同じIDをもつことができる。ひとつの実施形態では、ユーザIDが、ネットワーク管理者250により作成された専用パネルに従って選択され、P2Pパネル用の各メンバーのIDは、ユーザを実際に識別するものではなく、実行される調査のタイプに関連する。したがって、たとえば、男性、38歳以上、サッカーファンからなるパネルは、各メンバーが監視に適していると識別されるために、次の形式で割り当てられたカスタムIDを有することができる。
【数1】

【0049】
もちろん、別の構成も可能であり、上述した一意のユーザIDが使用されないような構成も可能である。一例として、ネットワークが既知のIPアドレスに基づいて構築されることもできる。また、パネリストソフトウェアが、専用P2Pネットワークと対話して接続を取得することもできる。パネリストデータ情報は、特定の人口統計と密接な関係のあるP2Pネットワークによって、収集、送信される。異なる人口統計グループからのパッケージが届いた場合には、正しい人口統計に到達するまで、次のノードに転送される。
【0050】
P2Pネットワークを形成するには、帯装置の名前登録および名前解決だけでなく、コネクション指向型通信のセッションサービスを提供する、適切なプロトコル(たとえば、NetBIOS、NBT)が選択される。信頼性の低いネットワークサービス(たとえば、UDP)が望まれている場合、データグラム配信のためのコネクションレス通信も同様に形成されることができる。携帯装置(200-A-200G)がP2Pネットワーク上でセッションを開始する前に、各携帯装置機器は、ネットワークのネームサービスを利用して、それぞれの名前を登録する。当業者に理解されるように、ネームサービスは、名前またはグループ名を与える機能に加え、名前またはグループ名を削除し、またはネットワーク上の名前を見つける機能を有する。好ましい実施形態において、ネームサービスプロトコルは、CP / IP接続上で実行され、携帯装置がそれらの間で通信を行うための接続を確立でいるようにする。
【0051】
ひとつの代表的処理において、セッションサービスプリミティブとして、以下のものがある:
Call:リモートサービスネットワーク名へのセッションを開くために。
Listen:サービスネットワーク名へのセッションを開くための試みを試行を聞く
Hang Up:セッションを閉じる。
Send:セッションのもう他端の携帯装置にパケットを送信する。
Send No ACK:Sendと似ているが、確認応答を必要としない
Receive:セッションのもう他端のSendから到着するパケットを待つ。
【0052】
ひとつの実施形態においてセッションを確立するには、”Open request”が携帯装置に送られ、その携帯装置が”Open acknowledgment”により応答する。次に、”Session Request” パケットが送られ、”Session Accept”または”Session Reject”パケットのいずれかを求める。データは、確立されたセッションの間に、データパケットにより送信され、それに対して、確認応答パケット(ACK)または否定応答パケット(NACK)のいずれかがで応答がなされる。好ましい実施形態では、NACKパケットは。データパケットの再送を求める。セッションは、クローズ要求を送ることにより閉鎖(クローズ)され、参加している携帯装置は、クローズ要求に応答し、最終セッションクローズドパケットを求める。
【0053】
別の実施形態において、”セッションモード”をネットワーク内で用いて、携帯装置が接続を確立できるようにし、エラー検出および復旧を提供する。セッションはパケット交換により確立され、TCP接続(ポート139)が携帯機器向けに試みられる。接続が確立されると、”Session Request”パケットが、そのセッションを確立しているアプリケーションの名前および確立するセッションの名前と共に送信される。セッションが確立されるべき携帯装置は、セッションが確立できることを示す”Positive Session Response”またはセッションを確立できない(セッションがその名前で確立されることを携帯装置が聞いていないことにより、あるいはセッションをその名前で確立できるリソースがないことにより)ことを示す”Negative Session Response”を返送する。ひとたびセッションが確立されると、データがセッションメッセージパケットにより送信される。TCPは、すべてのセッションサービスパケットのフロー制御および再送、およびパケットが送信されるデータストリームのリンク層パケットに収まるほど小さいIPデータグラムへの分割を取り扱う。セッションは、TCP接続を閉じることによって終了される。
【0054】
図3を参照すると、携帯装置200A-200Gは、好ましくは、携帯装置間でやりとりされるデータをデータ難読化可能にするソフトウェアを備える。図3は、図2で示したようなP2Pネットワークの一部となる2つの携帯装置(200A、200B)の代表的な実施形態を示す。この開示では、図2に示したものとは異なる別のネットワークも考えられると理解されるべきである。各携帯装置は、調査データの収集および/または調査作業に従う提示データを収集するためプロセッサ(315、325)およびメモリ(310、320)を備える。さらに、パネリストおよび/または世帯情報が、各装置に格納されている。
【0055】
各携帯装置は、パネリスト情報のセキュリティを保護するための難読化ツール(obfuscator)ソフトウェアを備えている。難読化ツールは、一般的にアルゴリズムOと呼ばれ、任意のデータDに対して、機能的にはデータDと等しいが、他人(すなわち、意図していない受信者)には非常に理解が難しい結果データ0(D)が送信される。換言すると、難読化ツールは、受信者への0(D)の通信が、彼/彼女に、Dを計算するブラックボックスを提供するという意味の仮想ブラックボックスを提供する。難読化プロセスは、プログラムの意味を維持するが、プログラムのデコンパイルを困難にする。好ましい実施形態において、難読化ツールは。Java(登録商標)ベースの難読化ツール(たとえば、KAVA(登録商標)、ProGuard(登録商標)、JAVAGuard(登録商標))として実現されており、限定するわけではないが、以下に示す多数の難読化タイプのいずれに基づいてもよい。
(1)語彙難読化(Lexical Obfuscation):典型的には識別子を分割することにより、プログラムの語彙構造を変形する。語彙難読化では、クラス、フィールドおよびメソッド名などJAVA(登録商標)プログラムの意味のある記号情報が、意味のない情報に置き換えられる(たとえばCrema obfuscation)。
(2)データ難読化:プログラム内の整数変数を2つの整数に置き換えるなど、プログラムフィールドを変形する。 データ集約難読化が用いられ、2次元配列を1次元配列に、またはその逆に変換するように、どのようにデータがグループ化されているかを切り替えることができる。データ順難読化は別の選択可能な技術であり、データがどのような順になっているかを変える。たとえば、整数のリストを格納するために使用される配列は、通常は、配列の位置iに、リストのi番目の要素を有しているが、その代わりに、リストのi番目の]要素の位置を決定するために、関数f(i)が用いられる。
(3)制御難読化:個々のプログラム機能の制御フローを難読化する。たとえば、不明瞭な述語を使用することにより、条件命令が、その述語が常にtrueまたはfalseとして伝えられるようにできる。評価により命令を枝分けし、ひとつの枝は意味のあるコードを構成し、他の枝は任意のコードを含む構成とすることもできる。
(4)レイアウト難読化:プログラムをプロシージャに分割する固有のロジックを曖昧にする。ひとつアプローチとして、プロシージャが呼び出されたすべての場所で、プロシージャのインライン展開を実行する。
難読化に関する追加情報は、非特許文献1,2に見られる。
【0056】
場合によって、パネルデータをそれがネットワーク200を越えてやりとりされているまま保護する願望がある。この例では、パネリストデータは、調査データと共に、図2に関連して上述したカスタム、匿名IDを伴っている。換字式暗号(すなわち、語彙の難読化)を用いることにより、パネリストデータが不正な視聴者から難読化される。代表的な換字式暗号の簡略化コードを以下に示す。
【数2】

【0057】
この代表的なアルゴリズムでは、パネリスト名のようなパネリストデータが、パネリストのプライバシーを守るために難読化される。したがって、
【数3】

が、
【数4】

となる。難読化は、データに対して提供される保護を高めるために、複数回にわたり反復実行することができる。テキストは、難読化に加えて、セグメントに分割して難読化に加えて再編成することができる。パネリストデータや他のデータの難読化のための付加的技術については、当業者には明らかである。
【0058】
図3の代表的な実施形態の実施形態に戻ると、調査データおよび/またはパネリストデータ(312、32)は、難読化されたコード(314、324)を生成するコンパイラ(313、323)に伝達される。JAVA(登録商標)で実施する場合について説明すると、JAVA(登録商標)のソースコードは、バイトコードにコンパイルされ、このバイトコードは、Java(登録商標)仮想マシン(JVM)によって解釈、実行される。この場合に、バイトコードはハードウェアに依存せず、本実施形態において好ましい。また、”デコンパイラ”としてもこの分野で知られている解読器(311、321)が携帯装置上に存在し、必要に応じて、難読化されたコードを処理および解釈する。図3に示す構成では、特に制御難読化が用いられる場合、各装置が、難読化コードの少なくとも一部を解読できる能力を有し、通信経路を判定する。他の難読化技術のための追加データも、特定のP2Pネットワークに要求される構成,およびセキュリティの要求レベルに応じて、逆コンパイルされる。解読器(131、321)は、携帯装置上に常駐しているものとして示されているが、単一の解読器を中央サーバ(230、240)に設け、解読を排他的に行うか、あるいは携帯装置レベルで実行される解読と組み合わせて実行することもできる。
【0059】
図4は、代表的な実施形態を示し、複数の携帯ユーザ装置(200A-200G)の各々が調査作業に参加し、人口統計P2Pネットワークが、上述の技術を用いて形成される。この例では、サッカーファンとして記載されている38歳の男性が一緒にサブネットワークに接続されており、調査報告がひとつのノードから次(たとえば200B)に順に(シリアルに)通過するように構成されている。セッションが開始されると、携帯装置の各々が、ラジオ、テレビジョン、ストリーミングメディア、または他のコンテンツに基づく調査報告を記録し、P2Pネットワークで利用できるようする。図4に示す携帯装置は各々、物理的に異なる場所でメディアコンテンツを受信することができ、また、局所化された場所(すなわち、コンサートスタジアム、キャンパスホールなど)でメディアコンテンツを受信することができる。
【0060】
コンテンツ410が、放送および/または送信されている場合、P2Pネットワークに対して選択された携帯装置(200A-200G)は各々、そのコンテンツを受信するように、または受信しないように構成される。図4の例では、装置200aが、”X”と”Y”として識別されるコンテンツが閲覧されたことを示す調査データ受信して記録する。難読化処理を行った後、装置200Aからの調査データに関する情報が装置200Bに送信401され、コンテンツ”X”(”Y”ではない)に対するメディア接触(exposure)があったと記録される。いずれか必要な難読解読を実行した後、装置200Bは、装置調査データをリストに加え、難読化処理を行って、リスト402を装置200Cに転送し、そこで、別の解読処理が実行される。装置200Cは、そのコンテンツ”Y”(”X”ではない)へのメディア接触を記録し、その結果をリストに加える。そのデータを難読化した後、リストが装置200Dに転送される。
【0061】
この例の装置200Dは、いずれのメディアコンテンツにも接触していないか、少なくとも”X”または”Y”として識別されたメディアコンテンツには接触していなかった。この場合、携帯装置200Dは、調査データを(用いられる難読化技術に応じて)解読/難読化するか、または、単純に調査データを通過させ、装置200Eに送る404。装置200Dと同様に、装置200Eは、いずれの識別可能なメディアコンテンツにも接触していなかった。再び、装置200Eは、調査データの解読/難読化を行い、または単純に調査データを装置200Fに送り405、メディアコンテンツ”X”への接触が記録される。前と同様に、コンテンツ接触が加えられ、処理され、いずれの識別可能なメディアコンテンツにも接触しておらず、P2Pネットワーク上の最後のノードとして設定されている装置200Gに送られる。いずれか必要な難読解読を実行した後、装置200Gは、最終的な結果を、処理および集計のため、中央サイトへ転送する。
【0062】
従来のシステムとは異なり、調査作業の最終結果は、いずれの特定ユーザにも追跡可能ではない。これは。主に、P2Pパネルとデータの難読化によるものである。図4Aの例では、最終結果を受け取った後、調査作業営管理者は、38歳男性のサッカーファンについて、P2Pパネルの3人のメンバーがコンテンツ”X”に接触し、P2Pパネルの2人のメンバーが、コンテンツ”Y”に接触したことを示すデータをまとめるであろう。さらに、接続されたP2Pノードの数がセッションの開始前に既知である必要があるので、調査データは、容易に、特定の人口統計パネルに対する参加者のパーセンテージを表すことができる。すなわち、パネリストの42%(7人中3人)がコンテンツ”X”に接触し、パネリストの29%(7人中2人)がコンテンツ”Y”に接触したと表される。
【0063】
図4Aに示す構成およびデータの流れは単なる一例であり、本開示のもとで他の多くの構成が可能であることが理解されるべきである。そのような構成のひとつが図4Bに示されており、ここでは、図4Aと同様に、P2Pネットワークが、特定の人口統計のための多数の装置(200A-200G)に対して形成されている。しかしながら、図4Bにおいては、調査データ(ならびにパネリストデータ)の配信がシリアルに行われるのではなく、コントロール難読化またはやレイアウト難読化を使用して、ネットワーク全体に配信する。セッションが確立されると、ネットワーク内の携帯装置は、ノード割当が与えられ、各装置に形成された調査報告のための制御フローを確立する。また、好ましい実施形態において、ノードのひとつ(図4B内で星で示されている)は、調査データ集計者として指定され、P2Pセッションの調査データのすべてが、中央サイトに送られる前に転送される。別の実施形態において、携帯装置(200A-200G)の各々は、その収集した調査データを個別に中央サイトへ送ることができる。
【0064】
図4Bの実施形態では、装置200Aはメディアコンテンツ”X”および”Y”に接触しており、調査データの一部分が装置200Bに伝達441され、他の部分は装置200Gに伝達417される。装置200Bもまたメディアコンテンツ”X”および”Y”に接触しており、調査データの一部分が装置200Cに送られ、他の部分は装置200Eに伝達418される。装置200Cも同様にメディアコンテンツ”X”および”Y”に接触しており、調査データの一部分が装置200Fに伝送419され、他の部分は装置200Dに伝達413される。装置200Dは、この例では、いずれの識別可能なメディアコンテンツにも接触していない。装置200Eはメディアコンテンツ”X”に接触しており、装置200Fに伝送415する。装置200Fはいずれの識別可能なメディアコンテンツにも接触していない。
【0065】
図4の代表的な実施形態では、接触データのフローが、どのような数の構成もとることができる。ひとつの実施形態において、各携帯装置は難読化された接触データを他の装置に個々に転送しているだけであり、中央サイトに送るために、セッションに対してあらかじめ設定された時間に、各携帯装置が格納された接触データを単一の装置(たとえば装置200G)に押し出している。格納された接触データは、好ましくは、装置自身の接触データではなく、その代わりに、ネットワーク内の他の1以上の装置から送られた接触データである。このようにして、接触データに関連しているユーザの身元がさらに保護される。別の代表的な実施形態では、ひとつの難読化技術、あるいは難読化技術を組み合わせて、ユーザのデータも含むことができる。さらに別の代表的な実施形態では、各装置が接触データを局所的に収集および/または付加し、全文字列を他の装置に送ることができる。
【0066】
図4B内のセッションに接触データが含まれている場合、調査データ集計ノード(450)が、収集された調査データを、さらなる処理のために中央サイトに転送する。図に見られるように、特定の調査セッションの結果は、特定の人口統計P2Pネットワークに対して、4つの装置がメディアコンテンツ”X”に接触し、3つの装置がメディアコンテンツ”Y”に接触したことを示している。上述したように、調査セッションの結果がわかる一方で、調査パネリスト/参加者の身元はわからない。
【0067】
図5を参照すると、別の代表的な実施形態が示され、調査データに対する分割技術を用いて、調査データ自体が難読化されている。この技術において、データが構文解析されてデータのソフトウェアトークンを決定し、データのすべての変数が調査される。このとき、特定の変数が難読化のために選択され、難読変換を実行するときに変数が拡張または分離される。分離技術を用いる場合には、多数の異なるアプローチが用いられる。すなわち、(1)「構文解析ツリー」を用い、長単語変数を算術関数を用いて短単語変数に分離する、(2)順列の順番リストを用い、特定のデータを順列で表現し、難読化パラメータを用いてデータ要素のサイズを制御し、マッピング関数を実行して順列を再構成する(たとえば、使用される識別子123456を{123}{456}と順列化し、さらに{12}{34}{56}と順列化する、(3)モジュール法を用いる、(4)ブール演算子を用いて変数を分離する(たとえばNOT,XOR,AND等)、または、(5)配列を再構成し、特定の配列を複数のサブ配列に分割し、2以上の配列をひとつの配列に結合し、配列を折りたたんで次元の数を増やす、または配列を平坦化して次元の数を減らす。
【0068】
図5に、携帯装置200Aに対する調査データがその装置がメディアコンテンツ「X」に接触したことを示している場合の代表的な実施形態を示す。難読化関数が調査データ「X」に実行されるとき、データが2つの別々の部分「X1」、「X2」に順列化される。これらの部分の各々は別々に異なるノード(200C,200B)に送信(501,502)され、各ノードは次に、それらの部分(503,504)をP2Pネットワーク500内の別のノードに転送する。各ノードの部分に対して選択される経路により、双方の部分が続いて集計ノード200Dに転送505される。これとは別に、各部分を別々に別々のノードから中央サイトに送信し、中央サイトでマッピングを行って、調査データ順列に再構成することもできる。また、図4Aおよび図4Bを参照して上述したように、各携帯装置は、他のノード/場所に調査データを送信する前に、自分自身(および/または他の)調査データ部分を他のノードから受信した部分に付加することもできる。
【0069】
別の代表的な実施形態において、上述したシステムは、匿名P2Pプロトコル(http://anonymous-p2p.org/参照)、MUTE(http://mute-net.sourceforge.net/参照)、Freenet(http://freenetproject.org/参照)、 Anonymous Routing with Hierarchical Rings (ARHR)、Onion Routing、CliqueNet、あるいは他の任意の適切なアーキテクチャなどを用いて、非集中ネットワーク上で実現できる。この場合、メッセージを送信したノードがそのメッセージの最初の送信元か、あるいは別のノードに代わって転送しただけなのかを判定することが、不可能ではないものの困難となるように、アーキキクチャが修正されるべきである。このような構成において、匿名P2Pネットワーク内のすべてのノードは、一般的な送信者および一般的な受信者として動作し、匿名性を維持する。
【0070】
ひとつの実施形態において、各ユーザが、ネットワークに蓄積空間を提供する。調査データがネットワークに(ひとつまたは複数のファイルとして)加えられると、ユーザの装置は、ネットワークに、割り当てられた場所に依存しない全体的にユニークな識別子(GUID)と共に調査データを含む挿入メッセージを付加し、それがいくつかのノードの組で蓄積されるファイルとなる。調査作業の間に、各ユーザの調査データは他のノードに移動、または他のノードに複製される。1以上のファイルを検索するために、要求メッセージがGUID鍵を含んで送信される。ファイルが蓄えられているノードのひとつに要求が到達すると、そのノードはデータを要求者に送る。GUID鍵は、SHA-1セキュアハッシュを使用して計算することができ、ネットワークは、ユーザおよびデータの匿名性を維持するため、コンテンツハッシュ鍵および署名部分空間鍵(signed-subspace key)を用いる。
【0071】
ひとつの実施形態において、GUIDは、P2Pネットワーク内のノードが一時的なものであることを識別するために使用される。メッセージがひとつのノードから次のノードに伝えられた後、メッセージが追跡不可能となるように、GUIDが変化するように構成されることができる。新しいGUIDが生成されると、P2Pネットワークは、隣接ノードがネットワーク内でハッキングされている場合でも、送信ノードが識別されないように動作する。
【0072】
図4Cに説明を戻すと、この実施形態は、ある装置(200C,200D,200F)のユーザがP2Pネットワーク内の異なる人口統計グループに加入していることを除いて、図4Aの実施形態と実質的に対応している。上述した技術を用いて、目的のユーザ(たとえば、男性、38歳、サッカーファン)からの情報が、他の人口統計グループのノードを匿名で通過する。好ましくは、アプリケーション層が、ノードが目的のグループに対応していか、およびユーザ情報が付加されるべきかどうかを判定する。同様に、図4Dは、実質的に図4Bの実施形態と対応しており、異なる人口統計グループ(円および四角の囲み線で示される)のデータの通過を示す。
【0073】
コンテンツハッシュ鍵(CHK)は、低レベルのデータ蓄積鍵であり、蓄積されるべきファイルのコンテンツをハッシュすることにより生成される。この処理は、すべてのファイルに素早く検証可能なユニークで絶対の識別子を与える。好ましくは、各CHK参照は、ひとつのファイルまたは1人のユーザの調査データを指し示す。CHKはまた、同じ鍵が各ファイルまたは各調査データに対して使用されるので、異なる人々により挿入されて自動的に結合されたファイルの同一コピーを許容する。署名空間鍵(SSK)は、ネットワークのどのメンバーも読むことのできるが、その所有者のみが書き込むことのできる個人名前空間を提供する。たとえば、特定の調査作業に対して、部分空間が生成され、それを識別するためにランダムな公開・秘密鍵対が生成される。このとき、調査データファイルが生成され(たとえば”Arbitronpanell/StationXYZ/Showl23”)、そのファイルのSSKは、副空間鍵の公開されたもの、および記述的文字列を、それらが連接され再びハッシュされる前に、個別にハッシュすることにより計算される。
【0074】
部分空間からファイルを取得するには、副空間の公開鍵が用いられ、記述的文字列から、SSKが再生成される。SSKは、データファイルを直接蓄積するためではなく、CHKのポインタを含む間接的ファイルを蓄積するために使用される。間接的ファイルはまた、大きなファイルを複数の部分に分割するために使用される。各部分は個別のCHKのもとで挿入され、すべての部分を指し示す間接ファイルが生成される。間接ファイルはまた、調査作業に関係する他のファイルおよびディレクトリを指し示すディレクトリファイルから階層的名前空間を生成するために使用される。SSKはまた、アドレスを頻繁に変更するノードのための代替ドメイン名システムの実現に使用することができる。そのような各ノードは、自分の副空間を有し、その公開鍵(アドレス解決鍵)を参照して現在のアドレスを検索することができる。
【0075】
ネットワークの数十万のノードのうちどれかがエンドポイントであるが、チェーン内の各ノードは、すぐ隣についてしか知らので、解読できないメッセージを交換し続ける。送信者の直後のノードでさえ、前のものがメッセージの発起者なのか、単に他のノードからのメッセージを転送しているのかを伝えることができない。同様に、受信者の直前のノードは、その後続者が本当の受信者なのか、または継続して転送しているのかを伝えることはできない。
【0076】
実施形態について続けると、すべてのノードは、他のノードのアドレスと、それらが保持している考えるGUID鍵とを一覧する経路表(routing table)を保持していることが好ましい。ノードは、質問を受けると、最初に自己の記憶装置を検査し、ファイルが見つかったときには、自分がデータ保持者であることを識別するタグを返送する。さもなされば、ノードは、その要求をテーブル内の最も近い鍵を有するノードを要求されているノードしとして、要求を転送する。次のノードは、そのとき、自己の記憶装置を検査し、同様にする。要求が成功すると、チェーン内の各ノードは、ファイルを上流に戻し、自分の経路表に新しいエントリを生成して、データ保持者を要求された鍵に関連付ける。保持者からの距離によって、各ノードはコピーを自分の所にキャッシュすることができる。GUIDおよび経路表は動的であり、ランダムに、あるいは所定のイベント/トリガまたはコマンドにしたがって、変化することができる。
【0077】
データの保有者の身元を隠すために、ノードは時折、メッセージをチェーンに返送する前に、自分自身を指定するように保持者タグを設定して、応答メッセージを切り替えることができる。ノードは自分の経路表に真実のデータ保持者の同一性を保っており、正しい保持者への質問を転送するので、保持者タグが設定変更された後でも、要求はデータ保持者の所に届く。経路表は他のノードには明らかにされていない。リソース使用を制限するため、要求者は、各質問に、各ノードで減分される生存時間(TTL:time-to-live)制限を与える。TTLの期限が切れた場合には、質問が失敗する。このとき、ユーザは、ある最大値までのより高いTTLで、再び質問を試みることができる。
【0078】
ノードがチェーン内にすでに存在する受信者に質問を送信する場合、メッセージが返送されると、ノードは代わりに次に近い鍵を用いようとする。候補者が不足した場合には、チェーンの前のノードに障害の報告を返送し、生涯の報告を受けたノードが次の選択を試し、以下同様にする。
【0079】
このアプローチでは、鍵が見つかるまで、要求が各ホップを送信元に近づくように戻される。この鍵に対する後続の質問は、最初の要求の進路に近づく傾向があり、2つの進路の収束の後に、局所的にキャッシュされたコピーが質問を満たすことができる。同一の鍵に対する後続の質問はまた、中間ノードを飛び越して、前もって供給された同様のデータを有するノードに送られる。質問に確実に回答するノードは、さらに多くの経路表が付加され、その結果、そうではないノードよりも頻繁にコンタクトされる。
【0080】
調査作業中にファイルを挿入するため、ユーザの装置はファイルにGUID鍵を割り当て、蓄積するコピー数を表すTTL値付きの新しい鍵を含む挿入メッセージをユーザ自身のノードに送る。挿入を受け取る、ノードはそのデータ蓄積装置を調べ、鍵が既に存在するかを確認する。鍵が存在する場合には、ファイルが既にネットワーク内にある(CHKに対して)、あるいは、ユーザが既に同じ記述の他のファイルを挿入している(SSKに対して)ので、挿入は失敗する。後者の場合、装置は、異なる記述を選択するか、あるいは挿入ではなく更新を実行する。上述したように、GUIDは静的でも動的でもよい。
【0081】
鍵がすでにノードのデータ蓄積装置に存在しない場合、ノードは、質問の場合と同様に、もっとも近い鍵を見つけ、メッセージを対応するノードに転送する。TTLが衝突せずに時間切れになる場合は、最後のノードが「全クリア」メッセージを返す。その後、装置は、最初の挿入メッセージによって確立された進路の下にデータを送信する。進路に沿った各ノードは、そのGUIDに対してデータを検証し、それを蓄積し、このチェーン内の最後のノードとして、データ保持者を載せた経路表エントリを生成する。要求の場合と東洋に、挿入がループまたは行き止まりに遭遇した場合には、同じ経路で2番目に近い鍵に戻り、次に3番目に近い鍵に戻り、以下同様にして、成功するまで繰り返す。
【0082】
別の代表的な実施形態において、P2Pネットワーク(たとえば、図2および図4A-5参照)内のノードのIPアドレスは、ハッシュで置き換えることできる。この場合、ノード(ピア)は、他のピアのハッシュだけを知っているが、IPアドレスは必ずしも知らなくて良い。したがって、ネットワーク内の各ノードは、その公開鍵から導かれるオーバーレイアドレスを有している。このオーバーレイアドレスはノードのペンネームとして機能し、メッセージがそこに宛てて送られるようにすることができる。
【0083】
この実施形態において、TCP/IPトラフィックの経路を設定するため、および直接ノード接続を防止するため、隣接ノードのアドレスだけが知られていることが好ましい。しばしば「アリに触発された」と呼ばれる経路設定では、ノードハッシュが「仮想」アドレスとして提供される。この場合に、ネットワーク内の各ノードは、開始時にそれぞれランダムに生成された仮想アドレスを有している。ネットワーク内で隣接していても互いの仮想アドレスを知らないため、ノードに接続されたユーザの同一性を判断することは、非可能ではないものの、困難となる。
【0084】
ここで説明した技術を用いることで、P2Pネットワーク内のノードは、受信した情報を容易に逆方向にたどることはできず、調査データに接するだけである。さらに、パネリストのグループに対する情報が保護され、パネルの人口統計構成だけがわかるようになっている。上述した実施形態のための実行可能コードは、可搬装置のチップ、ファームウェア、または他のソフトウェアアプリケーション、可搬装置のオペレーティングシステムにインストールされ、あるいはブラウザ、ツールバー、メディアプレーヤまたはプラグインに埋め込まれる。さらに、実行可能コードは、アプリケーション、アプレット、ウィジェットに埋め込まれ、あるいはネットワークからダウンロードされるコンテンツに付加されてもよい。
【0085】
本発明の種々の実施形態について、部品、特徴等の特定の構成を参照して説明したが、これらは、すべての可能な構成または特徴の網羅を意図したものではなく、当業者であれは、他の実施形態、修正および派生を確認できる。たとえば、実施形態ではメディアデータおよびコンテンツに関して開示したが、パネリストの購買データ、パネリストのメタデータ、および上述したネットワークで処理される個別化された同一性を有することができる他の形式のデータを別の実施形態も想定できる。データの他の形式他の形式
【0086】
要約書は、読者がすぐに技術的開示の性質を把握することができる要約を要求する37C.F.R. sctn.1.72(b)を遵守して設けられている。これは、それが特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解した上で提出されている。さらに、前述の詳細な説明では、種々の機能が、開示を合理化する目的のために単一の実施形態にまとめられていることがわかる。この開示の方法は、主張した実施形態は、各請求項に記載されているよりも多くの機能を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるものではない。以下の請求項が表すように、発明の主題は、単一の開示された実施形態のすべての機能より少ない部分にある。したがって、以下の請求項は、ここに、発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々の実施形態として、それ自身に立脚している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の所定の特性を有するパネリストデータを識別するため各携帯装置に関するパネリストデータを処理し、
1以上の所定の特性を有する関連するパネリストデータを有していると識別された前記携帯装置の各々に対してピアツーピアネットワーク接続のためのセッションを要求し、
前記要求に応答する携帯装置に、その携帯装置の各々がノードとして動作し互いに通信を行うように構成されたピアツーピアネットワークを形成し、
形成されたネットワークから、ノードの各々でメディアデータに接触したレベルを反映する接触データを受信する
ステップを含むことを特徴とする複数の携帯装置間で調査データを配信するコンピュータを基礎とするネットワークを形成する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記接触データは、少なくとも部分的に難読化されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記パネリストデータは、年齢、性別、収入、結婚状態、パネリスト人口統計、メディアへの接触、小売店への訪問、購買物、インターネットの使用状況、消費材およびサービスに対する信念および意見を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、接触データは、パネリストが見ているまたは聞いている番組、歌、局、チャンネルおよびコマーシャルの少なくともひとつを識別または特徴づける変換された音響エネルギーを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、前記変換された音響エネルギーは補助符号を含み、この補助符号は、パネリストが見ているまたは聞いている番組、歌、局、チャンネルおよびコマーシャルの少なくともひとつを識別または特徴づけるデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記接触データは、所定の音声符号化パラメータによって改変された音声データから検出される符号を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記難読化は、語彙難読化、データ難読化、制御難読化およびレイアウト難読化の少なくとも1つに基づくことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記難読化は、前記携帯装置の各々からのネットワークを流れるデータを変換して読めないようにすることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、前記難読化は、前記形成装置の各々からのパネリストデータを変換して読めないようにすることを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記録され機械読み出し可能な実態のあるメディアを含む物であり、前記コンピュータプログラムは、複数の携帯装置を含むピアツーピアネットワークシステムに含まれるコンピュータにより実行され、前記コンピュータプログラムが前記コンピュータにより実行されて、
1以上の所定の特性を有するパネリストデータを識別するため各携帯装置に関するパネリストデータを処理し、
1以上の所定の特性を有する関連するパネリストデータを有していると識別された前記携帯装置の各々に対してピアツーピアネットワーク接続のためのセッションを要求し、
前記要求に応答する携帯装置に、その携帯装置の各々がノードとして動作し互いに通信を行うように構成されたピアツーピアネットワークを形成し、
形成されたネットワークから、ノードの各々でメディアデータに接触したレベルを反映する接触データを受信する
処理を実行することを特徴とする物。
【請求項11】
請求項10記載の物において、前記接触データは、少なくとも部分的に難読化されることを特徴とする物。
【請求項12】
請求項10記載の物において、前記パネリストデータは、年齢、性別、収入、結婚状態、パネリスト人口統計、メディアへの接触、小売店への訪問、購買物、インターネットの使用状況、消費材およびサービスに対する信念および意見を含むことを特徴とする物。
【請求項13】
請求項10記載の物において、接触データは、パネリストが見ているまたは聞いている番組、歌、局、チャンネルおよびコマーシャルの少なくともひとつを識別または特徴づける変換された音響エネルギーを含むことを特徴とする物。
【請求項14】
請求項10記載の物において、前記変換された音響エネルギーは補助符号を含み、この補助符号は、パネリストが見ているまたは聞いている番組、歌、局、チャンネルおよびコマーシャルの少なくともひとつを識別または特徴づけるデータを含むことを特徴とする物。
【請求項15】
請求項10記載の物において、前記接触データは、所定の音声符号化パラメータによって改変された音声データから検出される符号を含むことを特徴とする物。
【請求項16】
請求項11記載の物において、前記難読化は、語彙難読化、データ難読化、制御難読化およびレイアウト難読化の少なくとも1つに基づくことを特徴とする物。
【請求項17】
請求項16記載の物において、前記難読化は、前記携帯装置の各々からのネットワークを流れるデータを変換して読めないようにすることを特徴とする物。
【請求項18】
請求項16記載の物において、前記難読化は、前記形成装置の各々からのパネリストデータを変換して読めないようにすることを特徴とする物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515326(P2013−515326A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546138(P2012−546138)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061486
【国際公開番号】WO2011/084779
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(501453880)アービトロン インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】