説明

分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器

分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器(1)であって、一方の端部が閉じられている管(2)から成っており、該管(2)の他方の開放されている端部が、採取カニューレの先端によって突差し可能な閉鎖キャップ(3)によりシールされて閉鎖可能である形式のものにおいて、外側のフラットで平坦なトップ壁(5)と、該トップ壁(5)の内面に接触して下方から挿入され、そこで支持されて保持されるダイヤフラムディスク(7)を備えた閉鎖キャップ(3)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器であって、一方の端部が閉じられている管から成っており、該管の他方の開放されている端部が、採取カニューレの先端によって突差し可能な閉鎖キャップによりシールされて閉鎖可能である形式のものに関する。
【0002】
DE10340538A1により、この種の試料容器もしくは試料管が種々異なる構成において公知である。開放している端部を閉鎖するキャップは、全体的に突差し可能な閉鎖栓体である。これらの閉鎖栓体は円筒形のシール区分で管の開放している端部内に延びていて、そこで管の内壁部に対してシールされている。閉鎖栓体は分析試料を全自動で採取することに適している。このために閉鎖栓体の内側には、上方から組付けられ、採取カニューレの先端によって突差し可能な、ゴム/天然ゴム又はエラストマ性のプラスチックから成るインサートが、閉鎖栓体の内側に配置されている。完全に弾性的に戻り変形する材料から成る、閉鎖栓体のインサートは、分析装置の採取カニューレにとって難なく突差し可能である。この場合、一時的に形成された貫通開口は、カニューレの引抜き後に再び完全に閉鎖される。
【0003】
別の栓体キャップがEP0445707B1から公知である。試料容器、特に採血管の開放した端部を閉鎖する閉鎖装置は、上方から組み付けられる特別なシール栓体を備えた栓体キャップを有している。キャップ内のシール栓体を確実に保持するために、キャップ内に外側の自由端面から保持リングもしくは位置固定ディスクが取り付けられる。
【0004】
いわゆるこれらの閉鎖されるシステムは、生物学的な起源の試料物を使った作業時には有利である。なぜならば前記システムは使用者にとっての感染の危険性(たとえば病原菌の伝染)を減じるか、または使用者による試料の汚染(たとえば分子生物学的な汚染)を回避するからである。試料は認識マークを付けられ、頻繁に冷凍された状態で長距離にわたって搬送される。試料認識マークは、多数の試料容器が支承のために窮屈にスタンド内に格納されている場合にも、理想的には可視であるように貼り付けることができるようにしたい。
【0005】
先行技術に含まれる閉じられるシステムは、たとえば採血の領域において使用され、大量の血液、少なくとも2mlで、たいていは明らかにそれ以上を収容する主容器を有している。ダイレクトアダプション(Direktadaption)時には、閉鎖されたシステムから数μlの僅かな量の試料が採取される。この主容器においては、これらの主容器のためにねじり閉鎖部材に突差し可能で、再閉鎖可能なダイヤフラムを備え付けられているということは、同様に既に公知である(DE3049503C参照)。この公知の、採取管の前方の端部を閉じているキャップは、円筒状の、軸線方向で突出しているドーム状部材を有している。このドーム状部材は上方から取り付けられた突差し可能な閉鎖栓体を有している。この閉鎖栓体は中間孔を備えたドーム状部材の端面板に載置されていて、折り曲げられたつばによって保持される。いずれにしてもこの突出部により、タグ付け部もしくは試料認識マーク部を備えたカバー面を備えることができる、ということが除外されてしまう。
【0006】
大きなフル体積量を備えた主容器の前記閉じられるシステムは、明らかに2ml以下の副容器内の試料量の試料取扱いのためには提供されていない。従ってクロマトグラフでの分析のために、原容器から試料と試薬とをピペットによって、ひいては自由にクロマトグラフの分析容器内に搬入することが一般的である。このために分子生物学的な作業時には、試薬を付加するために又は試料の一部を採取するために試料容器を繰り返し開放しなければならない。
【0007】
前記3つの全システムは、使用されるエラストマから製造された閉鎖栓体は、上方から、つまり端面側から挿入されて取り付けられる、という欠点を有している。これにより閉鎖部材の、試料認識マークに適した平坦な端面は提供されない。
【0008】
従って本発明の課題は、冒頭で述べた形式の試料容器を改良して、小さな液体量であっても閉じられるシステムを可能にし、特に同時に可視の試料認識マークも可能にする試料容器を提供することである。
【0009】
本発明によればこの課題は、外側のフラットで平坦なトップ壁と、このトップ壁の内面に接触するように下方から挿入され、そこで支持されて保持されるダイヤフラムディスクを備えた閉鎖キャップとが形成されていることにより解決される。これによって市販の試料容器に適した閉鎖部材が得られ、この閉鎖部材はねじりキャップ閉鎖部材又は栓体キャップ閉鎖部材として構成することができる。ねじりキャップ閉鎖部材又は栓体キャップ閉鎖部材の場合には、キャップ外面もしくはトップ壁外面は制限されずに常に全面的に提供され、これによって妨害されることなく、ラベル又はシート等を備え付けることができる。この妨害は、対応する大きさの開口に通常上方より挿入されるダイヤフラムディスクの場合には不可避の事例である。下方もしくは内側より挿入され、突差し可能なダイヤフラムディスクにより、外側から、場合によっては直径で小さな差込み貫通開口を介して、採取カニューレは邪魔されずに接近可能である。これにより簡単な試料・試薬進入もしくは進出が可能になる。この場合、1回の採取過程の再三の繰返しの場合であってもダイヤフラムディスクは閉鎖部材から押し出されることはない。なぜならばダイヤフラムディスクはその支持された保持により、閉鎖部材キャップにてダイヤフラムディスクのポジションに確実に保持されるからである。
【0010】
ダイヤフラムディスクの位置確実な嵌合いもしくは保持及び支持は、たとえば内方に折り曲げられた、閉鎖キャップの内部つばの縁部、及び/又は内部つば内に挿入され、これによって保持され、穴あけされるディスクがダイヤフラムディスクを支持することにより達成することができる。この事例ではダイヤフラムディスクは、有利にはゴムから成っていて、内部つばから下方に押し出されることはない。この場合、有利には折曲げ部は内部つばの端部縁部の熱変形加工により製造することができる。
【0011】
本発明の有利な構成は、閉鎖キャップのトップ壁の差込み貫通開口をカバーするプラスチックダイヤフラムを備えた閉鎖キャップのトップ壁を形成することを提案している。従ってこの構成でも、試料認識マークにとって制限されていない平坦でフラットな、閉鎖キャップの全面的な外面が存在し、薄いシートにより同時に汚染防護部が備え付けられている。
【0012】
本発明に係る試料容器は、分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器であって、一方の端部が閉じられている管から成っており、該管の他方の開放されている端部が、採取カニューレの先端によって突差し可能な閉鎖キャップによりシールされて閉鎖可能である形式のものにおいて、前記閉鎖キャップが、外側においてフラットで平坦なトップ壁と、該トップ壁の内面に接触するように下方から挿入され、そこで支持保持されるダイヤフラムディスクとを備えて形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらなる詳細な構成及び特徴は、図面において極めて拡大した寸法で示した本発明の実施例の、以下の記載から明らかになる。
【0014】
図1に示した試料容器1は僅かな液体量を収容するための、当該試料容器1の下側の端部において最初から閉じられた管2から成っている。当該試料容器1の上側の端部において管2は、シールするようにねじり被せ可能な閉鎖キャップ3(以下、ねじりキャップ閉鎖部材と呼称)により一時的に閉鎖可能である。
【0015】
ねじりキャップ閉鎖部材3は内部つば4と、この内部つば4に対して同心的に、ねじりキャップ閉鎖部材3のトップ壁5において小さく寸法設定された差込み貫通開口6とを有している。内部もしくは下方からねじりキャップ閉鎖部材3内へと、突差し可能なダイヤフラムディスク7がトップ壁5の内面に接触するようにして内部つば4内に装入されている。ダイヤフラムディスク7はその組込み位置において、熱変形加工により折曲げられた内部つば4の縁部8によって確実に保持される。
【0016】
ねじりキャップ閉鎖部材3のシールのために、シール隆起部を設けることができる。このシール隆起部は、たとえば試薬の付加により発生することがある、状況による軽度の正圧の場合でも、閉鎖部材の液密な嵌合い(Sitz)を保証する。択一的には、たとえばOリング、シールリップ又はシールディスク等の使用により、液密な閉鎖の達成を可能にする。
【0017】
図2に示したねじりキャップ閉鎖部材3は前記実施例とは、差込み貫通開口6が肉薄なプラスチックダイヤフラム10によってカバーされる点で異なっている。プラスチックダイヤフラム10はシート厚さしか有しておらず、たとえば0,1mmの厚さである。
【0018】
ねじりキャップ閉鎖部材3に関しては、僅かな試料量のための管2を閉鎖する、という点が共通している。管2は試料の一部分もしくは一部分量の再三の採取のために、又は複数回の試薬の付加のために開放する必要はない。高弾性的で、可撓性があり、カニューレによって容易に突差し可能なダイヤフラムディスク7の組込み位置は、カニューレもしくは試料採取針の再三の突差し及び引抜き時でも不密にはならず、ダイヤフラムディスク7はねじりキャップ閉鎖部材3から押し出されることはない。とりわけ下方からダイヤフラムディスク7を取り付けることにより、トップ壁のフラットで平坦な外面、ひいては試料認識マークを妨げられることなく貼り付けるために、常に十分に大きな面が提供される。このことは、プラスチックダイヤフラムによりカバーすることができる差込み貫通開口6を備えたねじりキャップ閉鎖部材3の実施例においても言えることである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】僅かな液体量のための試料容器を縦断面した全体図であり、この場合、シールされたキャップ、ここではねじりキャップにより閉鎖されていて、内部に配置され、保持されている突差し可能なダイヤフラムディスクが設けられている。
【図2】ねじりキャップ閉鎖部材の別の実施例の細部の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器(1)であって、一方の端部が閉じられている管(2)から成っており、該管(2)の他方の開放されている端部が、採取カニューレの先端によって突差し可能な閉鎖キャップ(3)によりシールされて閉鎖可能である形式のものにおいて、
前記閉鎖キャップ(3)が、外側においてフラットで平坦なトップ壁(5)と、該トップ壁(5)の内面に接触するように下方から挿入され、そこで支持保持されるダイヤフラムディスク(7)とを備えて形成されていることを特徴とする、分析用の僅かな液体量を収容するための試料容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526210(P2009−526210A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553605(P2008−553605)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000082
【国際公開番号】WO2007/090362
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(597154612)ザルシュテット アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】Sarstedt AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Rommelsdorfer Strasse, D−51588 Nuembrecht, Germany
【Fターム(参考)】