説明

分析用ストリップ及びその製造方法

【課題】基板とチャネル構造を有する分析用ストリップを開示すること。
【解決手段】基板は、平坦な表面を有し、チャネルは、所定のパターンに従って平坦な表面に形成される。チャネル構造の表面は、基板の表面よりも低くならない。チャネルは、中空マトリックス構造を有し、チャネルは、基板の平坦な表面よりも親水性を有する。ストリップは、中空マトリックスに形成された反応材料も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用ストリップに関し、特に、生化学的検定及び免疫学的検定のための分析用ストリップに関する。
【関連技術】
【0002】
分析用トリップは従来、生化学的テスト及び免疫学的テストにおいて用いられている。典型的な分析用ストリップには窪んだチャネル又はマイクロチャネルが形成され、親水性及び疎水性の表面処理を施された基板又はベースを有する。チャネルは、非吸収性の材料によって縁取られ、そして、テストする流体サンプルが通常、例えばタンパク質又は炭水化物を含む粘着性のある成分なので、チャネル内を流れる流体サンプルはチャネルの表面に付着する傾向にあり、そのため、十分に反応することができない。その結果、流体サンプルが無駄になるか、そうでなければ、テスト結果におけるエラーの誘因となってしまう。
【0003】
また、従来型分析用ストリップは、流体の引き渡しを促進するためのマイクロチャネルを備え、マイクロチャネルにより、チャネルを通して流体サンプルを反応/検出領域に引き寄せる毛管作用が起こる。或いは、例えば、加圧手段や真空又は陰圧発生手段による駆動力を用いて流体サンプルをチャネルに誘導することによって、流体サンプルをチャネル中で推進してもよい。流体の引き渡しを促進する別の手法として、流体サンプルが反応/検出領域に到達する前に連続的に通過する1つ以上のマイクロアクチュエータ又はマイクロバルブを備えるチャネルを提供するものがある。しかしながら、上述した手法は何れも、サンプルがチャネルに導入された後に、様々な大きさの気泡がテストする流体サンプルに発生する又は混入してしまう傾向にある。これらの気泡がチャネルを塞いでしまうと、テストでエラーが発生したり、テストが失敗してしまうおそれがある。また、マイクロアクチュエータ又はマイクロバルブを設けることで、全体の設計が困難となり、分析用ストリップのコストが増加してしまう。
【0004】
また、従来型分析用ストリップの製造では、チャネル又はマイクロ流体チャネルは、微細加工技術又はLIGA(英語の「Lithography Electroforming Micro Molding」である「Lithographie GalVanoformung Abformung」の頭文字の省略形)等の高価な金型製造方法を用いるマイクロ射出成形又はインプリントによって、通常基板の上に形成される。加えて鋳型の消耗が早く断裂が起こるため、分析用ストリップの製造において発生する全体のコストが増加する。
【0005】
よって、チャネル内の流体サンプルの残留物により、テストが不便になり、時間がかかってしまう。また、伝統的分析用ストリップの製造コストが通常、相当なものとなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した欠点を克服するため、基板とチャネルを含む分析用ストリップを提供する。前記基板は平坦な表面を有し、前記チャネルは所定のパターンで前記平坦な表面に形成される。前記チャネルの前記表面は、前記基板の前記表面よりも低くならない。前記チャネルは、中空マトリックス構造を有し、前記チャネルは、前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有する。前記ストリップは、前記中空マトリックス内に形成された反応材料も含有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明の第一の目的は、前記中空マトリックス構造を有する前記チャネルを含む分析用ストリップを提供することである。よって前記チャネルは、伝統的なマイクロ流体チャネルとは対照的に、サンプルの残留物が少なく、1回のテストにおける複数の分析物を検出するために必要なサンプルの量も少なくすることができる。
【0008】
本発明の他の目的は、一定容量の吸収能力を有する吸収性ニトロセルロース層を備えて、当該ニトロセルロース層の量を制御することによって定量的検定を行うことを可能とする分析用ストリップを提供することである。
【0009】
本発明の更に他の目的は、中空マトリックス構造を有する分析用ストリップを提供することであり、これにより、流体サンプルが中空マトリックスを通過する際に、流体サンプル中の気泡を壊すことができると共に、気泡が基板のチャネル又はマイクロ流体チャネルを塞いでしまうことを防止することができる。よって、定量的検定の結果の正確さが保証される。
【0010】
本発明の更に他の目的は、鋳造、射出形成、インプリント又は、微細加工技術又は、LIGA等の高価な金型形成を用いる代わりに、基板の平坦な表面に所定のパターンで形成されたチャネルを含むことで分析用ストリップの大量生産にかかるコストを削減する分析用ストリップを提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、製造コストが削減され、測定の精度が向上した分析用ストリップを製造可能な製造方法を提供することである。
【0012】
前記チャネルの表面は、前記基板の前記平坦な表面よりも高い本発明の分析用ストリップ。
【0013】
前記チャネルの断面は、前記平坦な平面から隆起している本発明の分析用ストリップ。
【0014】
前記チャネルは、ニトロセルロース及び繊維ガラスから成る群から選択された材料から成る本発明の分析用ストリップ。
【0015】
前記チャネルは、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング、インクジェット又は浸漬から成る群から選択されたものに従って、前記平坦な表面に形成される本発明の分析用ストリップ。
【0016】
前記チャネルは、複数の分枝チャネルを更に含む本発明の分析用ストリップ。
【0017】
前記分枝チャネルの少なくとも1つは、ドーム形、長方形、アイランド形から成る群から選択した形状を有する拡張領域を更に含む本発明の分析用ストリップ。
【0018】
前記チャネルは、乾燥させ凝固させて前記中空マトリックス構造を形成する、ニトロセルロース溶液及び繊維ガラス溶液から成る群から選択される溶液から作られる本発明の分析用ストリップ。
【0019】
前記基板は、生体適合性の材料から成る本発明の分析用ストリップ。
【0020】
前記基板はフレキシブルである本発明の分析用ストリップ。
【0021】
前記反応材料は、反応溶液を前記チャネルに注入して、当該反応溶液を乾燥させることで前記中空マトリックス構造内に組み込まれる本発明の分析用ストリップ。
【0022】
前記反応溶液を乾燥させた後で風乾又は凍結乾燥させる本発明の分析用ストリップ。
【0023】
前記反応材料は、化学的試薬及び酵素試薬から選択される本発明の分析用ストリップ。
【0024】
前記反応材料は、抗体及び化学的試薬から選択される本発明の分析用ストリップ。
【0025】
前記平坦な表面と前記チャネルとの間に形成される1組の平板状の電極を更に含む本発明の分析用ストリップ。
【0026】
前記チャネルに形成される積層チャネルを更に含む本発明の分析用ストリップ。
【0027】
本発明の他の目的は、平坦な表面を有する基板を設け、所定のパターンに従って前記平坦な表面に溶液を適用し、その表面が前記平坦な表面よりも低くならないように前記適用した溶液を乾燥させて、中空マトリックス構造を有すると共に前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有するチャネルを前記所定のパターンに形成し、前記中空マトリックス構造内に組み込まれた反応材料を供給することを含む、分析用ストリップの製造方法を提供することである。
【0028】
本発明の更に他の目的は、平坦な表面を有する基板を設け、所定のパターンに彫られたマスクを設け、前記マスクを前記基板に取り外し可能に接着し、彫られた所定のパターン内に溶液を適用し、前記適用した溶液を乾燥させ、その表面が前記基板の前記平坦な表面よりも低くならないように前記マスクを取り除いて、中空マトリックス構造を有すると共に前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有するチャネルを前記所定のパターンに形成し、反応材料を供給して、前記反応材料を前記中空マトリックス構造内に組み込むことを含む、分析用ストリップの製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
前記チャネルの表面は、前記基板の前記平坦な表面よりも高い本発明の製造方法。
【0030】
前記チャネルの断面は、前記平坦な平面から隆起している本発明の製造方法。
【0031】
前記溶液は、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング、インクジェット/スプレー、鋳造又は浸漬によって適用することができる本発明の製造方法。
【0032】
前記チャネルは、複数の分枝チャネルを更に含む本発明の製造方法。
【0033】
前記分枝チャネルの少なくとも1つは、ドーム形、長方形、アイランド形から成る群から選択した形状を有する拡張領域を更に含む本発明の製造方法。
【0034】
前記チャネルは、乾燥させ凝固させて前記中空マトリックス構造を形成する、ニトロセルロース溶液及び繊維ガラス溶液から成る群から選択される溶液から作られる本発明の製造方法。
【0035】
前記基板は、生体適合性の材料から成る本発明の製造方法。
【0036】
前記基板は、フレキシブルである本発明の製造方法。
【0037】
前記反応材料は、反応溶液を前記チャネルに注入して、当該反応溶液を乾燥させることで前記中空マトリックス構造内に組み込まれる本発明の製造方法。
【0038】
前記反応溶液を乾燥させた後で風乾又は凍結乾燥させる本発明の製造方法。
【0039】
前記反応材料は、化学的試薬及び酵素試薬から選択される本発明の製造方法。
【0040】
前記反応材料は、抗体及び化学的試薬から選択される本発明の製造方法。
【0041】
前記平坦な表面と前記チャネルとの間に形成される1組の平板状の電極を設けることを更に含む本発明の製造方法。
【0042】
前記チャネルに形成される積層チャネルを設けることを更に含む本発明の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る分析用ストリップの概略図である。
【図1B】図1Bは、図1AのAA線に沿った分析用ストリップの断面図である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施形態の他の形態に係る分析用ストリップの概略図である。
【図1D】図1Dは、本発明の第1の実施形態の更に他の形態に係る分析用ストリップの概略図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る、分析用ストリップの製造方法のフローチャートである。
【図3A】図3Aは、本発明の第3の実施形態に係る、分析用ストリップの製造方法のフローチャートである。
【図3B】図3Bは、本発明の第3の実施形態に係る製造方法の過程における分析用ストリップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、分析用ストリップ及びその製造方法を提案するものであるが、本明細書で実施された、物理的原理、化学的原理及び解決法を適用する技術は、当業者には公知であるので、本明細書においてその詳細は議論しないものとする。一方、以下の説明において参照する添付図は、説明のために提供されるものであり、縮尺通りである必要はない。
【0045】
本発明の第1の実施形態に係る分析用ストリップについて、図1Aを参照されたい。分析用ストリップ1は、基板10とチャネル構造11を含む。基板10は、平坦な表面100を有し、チャネル11は、所定のパターン12に従って基板10の平坦な表面100に形成される。チャネル11の表面は、基板10の平坦な表面100よりも低くならない。また、チャネル11は、中空マトリックス構造を有し、チャネル11は、基板10の平坦な表面100よりも親水性を有する。チャネル11を作るために、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング、インクジェット/スプレー、鋳造又は、浸漬等によって、高親水性の溶液を基板10の平坦な表面100に適用する。
【0046】
基板10の平坦な表面100に適用された溶液は、ニトロセルロース又は繊維ガラスを含有してもよいので、乾燥させ凝固させると中空マトリックス構造を有するチャネル11がそこに形成されて、テストする流体サンプルを吸収するので、チャネル11における流体サンプルの残留物が最小となる。また、流体サンプルがチャネル11に沿って通過する際に、中空マトリックス構造が、流体サンプル中の気泡を破壊するため、気泡がチャネル11を塞いでしまうことを防止する。更に、本発明の分析用ストリップ1には、流体サンプルの電気化学的反応により発生する電気信号を検出するために、基板10の平坦な表面100とチャネル11との間に配置された1組の平板状の電極13が更に含まれる。基板10は、フレキシブルな生体適合性の材料から構成されることが好ましい。
【0047】
図1AのAA線に沿った分析用ストリップ1の断面図について、図1Bを参照されたい。ニトロセルロース溶液を乾燥させ凝固させる過程では、溶液の粘着性により、チャネル11がその断面において平坦な表面100から隆起している。更に、チャネル11は、基板10の平坦な表面100に形成されるので、チャネル表面110と基板10の平坦な表面100との間の高さに差hが存在する。すなわち、チャネルの表面110は、基板10の平坦な表面100よりも低くならない。
【0048】
また、チャネル11の中空マトリックス構造には、成分が流体サンプル中のテストされる物質と関連した反応材料が含まれる。
【0049】
チャネル11を形成するための溶液は、以下の説明の通り調製される。ニトロセルロースの粉末をエステル及びケトンを含有する有機溶剤と混ぜ合わせて混合溶液を形成する。または、混合溶液は、繊維ガラスを特定の溶剤の中で溶解させることで調製することもできる。
【0050】
そして、混合溶液を所定のパターンで基板10の平坦な表面100に適用する。溶液が乾燥すると、結果として得られたチャネル11は、流体を吸収する中空マトリックス構造を有する。そのため、流体サンプルを分析用ストリップ1に導入すると、中空マトリックス構造を有するチャネル11は、流体サンプルを吸収して生化学又は免疫学的反応が起こる反応領域(図示せず)に運ぶことができる。
【0051】
また、本実施形態のチャネル11は、全体的に中空マトリックス構造を有し、チャネル11の容量単位は、一定の吸収性の能力を有するので、チャネル11を形成するために必要な混合溶液の容量は、吸収されて分析される流体サンプルの所望の容量から導き出すことができる。その結果、分析用ストリップ1の液体サンプルの必要な量が固定して設定されるので、結果として得られる分析用ストリップ1は、少量での検定に適している。
【0052】
反応材料は、以下の説明のようにチャネル11の中空マトリックス構造に形成されることが好ましい。基板10に適用した混合溶液が乾燥し凝固してチャネル11を形成すると、反応材料を含有する反応溶液をチャネル11に注入し、その後、風乾又は凍結乾燥させる。チャネル11において乾燥された反応材料は、粉末状となる。
【0053】
本発明の分析用ストリップ1は、生化学的検定又は免疫学的検定に適用することができる。生理学的流体の異なる分析物を検知するためには、異なる検定が必要であり、異なるカテゴリの検定には、異なるカテゴリのシグナルを出す異なる種類の反応材料が必要となる。例えば、通常生化学の定量的検定は、生物学的流体サンプル中の分析物と化学発光試薬が、適切な酵素によって触媒される酵素反応によって行われ、検知用の特定の波長の光学的信号を発生させる。従って、分析用ストリップ1の反応材料は、生化学の定量的検定に適用する際、主に酵素及びそれに対応する化学試薬を含む。一方、生理学的流体サンプル中のα−フェトプロテイン等のあるタンパク質の定量的検知を行う場合、分析的検定では、通常対象となるタンパク質及び他の対応する化学試薬を特定して認知することで検知可能なシグナルを発生させることができる抗体を利用する。従って、分析用ストリップ1の反応材料は、定量的な免疫学的検定法に適用する際、主に抗体及びそれに対応する試薬を含む。よって、本発明の分析用ストリップ1は、異なる種類の生理学的な流体検体(例えば、尿や血液)中の様々な分析物の定量的検知に適用可能である。
【0054】
図1Cは、本発明において開示した分析用ストリップの他の形態を描く図である。チャネル11は、少なくとも1つの分枝チャネル111と拡張領域112とを更に備えることができるので、異なる流体(テストする流体サンプルや反応に必要な試薬等)が異なる分枝チャネル111に沿って流れることができ、拡張領域112において完全に混ざることができる。拡張領域112は、チャネルの中で反応材料と反応する流体サンプルに対して十分な反応時間を提供して、検定結果の精度を向上させるように、ドーム形、長方形又はアイランド形であってもよい。
【0055】
図1Dに示したように、基板10の平坦な表面100は、積層チャネル113を更に含んでもよい。積層チャネル113は、第1のチャネル1131、第2のチャネル1132及び第3のチャネル1133を備える。積層チャネル113において、チャネルのパターンは、実施する検定及びテストする流体サンプルのカテゴリに従って同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
本発明は、第1の実施形態の上述した分析用ストリップに加えて、以下に説明する第2及び第3の好適な実施形態として、分析用ストリップの製造方法も提供する。
【0057】
本発明の第2の実施形態に係る分析用ストリップの製造方法のフローチャートについて、図2を参照されたい。なお、本実施形態において言及する分析用ストリップは、第1の実施形態のものと同じ構造的特徴を有し、図1Aから1Cまでに示した同じ数字をここでは用い、その説明は繰り返さないものとする。
【0058】
本実施形態の分析用ストリップの製造方法は、主に以下のステップを含む。
ステップ21:まず、平坦な表面100を有する基板1を設ける。
ステップ22:所定のパターン12に従って平坦な表面100に溶液を適用する。
ステップ23:適用した溶液を乾燥させ、所定のパターン12を有するチャネル11を形成する。乾燥させたチャネル構造11の表面と基板10との間には、高さの差hが存在し、溶液は、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング又はインクジェット/スプレーによって適用することができる。
【0059】
本発明の第3の好適な実施形態は、分析用ストリップの代替的な製造方法に関する。図3A及び図3Bを参照されたい。図3Aは、本発明の第3の実施形態の製造方法のフローチャートである。図3Bは、本実施形態の製造方法の過程における分析用ストリップを示す。
【0060】
本実施形態の分析用ストリップの製造方法は、主に以下のステップを含む。
ステップ31:まず、平坦な表面300を有する基板30を設ける。
ステップ32:所定のパターン32で彫られたマスク33を設ける。
ステップ33:マスク33を取り外し可能に基板30に接着させる。
ステップ34:溶液を供給し、この溶液で、彫られた所定のパターン32を満たす。
ステップ35:所定のパターン32に満たした溶液を乾燥させる。
ステップ36:マスク33を取り除き、所定のパターン32を有するチャネル31を形成する。乾燥させたチャネル31の表面は、基板30の平坦な表面300よりも低くならず、チャネル31は、中空マトリックス構造を有する。また、チャネル31は、基板30の平坦な表面300よりも親水性を有する。
ステップ37:反応材料を供給し、チャネル31の中空マトリックス構造内に反応材料を組み込む。
【0061】
本実施形態において、チャネル31の形成、溶液の組成及び、反応材料を中空マトリックス構造に組み込む方法は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので、ここでは省略する。
【0062】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明してきたが、実施形態は、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。更に、本明細書に開示した内容は、当業者であれば容易に理解し実施することができるものであり、本発明の概念から逸脱しない同等な修正又は変更の全ては、添付した請求項により含まれるものとする。
【符号の説明】
【0063】
1 分析用ストリップ
10 基板
11 チャネル
12 所定のパターン
13 電極
100 平坦な表面
110 チャネル表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とチャネルを有する分析用ストリップであって、
前記基板は平坦な表面を有し、
前記チャネルは、当該チャネルの表面が前記基板の前記平坦な表面よりも低くならないように、前記平坦な表面に所定のパターンに従って形成され、中空マトリックス構造を有すると共に前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有し、
反応材料が、前記中空マトリックス構造内に組み込まれることを特徴とする分析用ストリップ。
【請求項2】
前記チャネルの表面は、前記基板の前記平坦な表面よりも高い請求項1の分析用ストリップ。
【請求項3】
前記チャネルの断面は、前記平坦な平面から隆起している請求項2の分析用ストリップ。
【請求項4】
前記チャネルは、ニトロセルロース及び繊維ガラスから成る群から選択された材料から成る請求項1の分析用ストリップ。
【請求項5】
前記チャネルは、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング、インクジェット又は浸漬から成る群から選択されたものに従って、前記平坦な表面に形成される請求項1の分析用ストリップ。
【請求項6】
前記チャネルは、複数の分枝チャネルを更に含む請求項1の分析用ストリップ。
【請求項7】
前記分枝チャネルの少なくとも1つは、ドーム形、長方形、アイランド形から成る群から選択した形状を有する拡張領域を更に含む請求項6の分析用ストリップ。
【請求項8】
前記チャネルは、乾燥させ凝固させて前記中空マトリックス構造を形成する、ニトロセルロース溶液及び繊維ガラス溶液から成る群から選択される溶液から作られる請求項1の分析用ストリップ。
【請求項9】
前記基板は、生体適合性の材料から成る請求項1の分析用ストリップ。
【請求項10】
前記基板はフレキシブルである請求項1の分析用ストリップ。
【請求項11】
前記反応材料は、反応溶液を前記チャネルに注入して、当該反応溶液を乾燥させることで前記中空マトリックス構造内に組み込まれる請求項1の分析用ストリップ。
【請求項12】
前記反応溶液を乾燥させた後で風乾又は凍結乾燥させる請求項11の分析用ストリップ。
【請求項13】
前記反応材料は、化学的試薬及び酵素試薬から選択される請求項1の分析用ストリップ。
【請求項14】
前記反応材料は、抗体及び化学的試薬から選択される請求項1の分析用ストリップ。
【請求項15】
前記平坦な表面と前記チャネルとの間に形成される1組の平板状の電極を更に含む請求項1の分析用ストリップ。
【請求項16】
前記チャネルに形成される積層チャネルを更に含む請求項1の分析用ストリップ。
【請求項17】
平坦な表面を有する基板を設け、
所定のパターンに従って前記平坦な表面に溶液を適用し、
その表面が前記平坦な表面よりも低くならないように前記適用した溶液を乾燥させ、中空マトリックス構造を有すると共に前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有するチャネルを前記所定のパターンに形成し、
前記中空マトリックス構造内に組み込まれた反応材料を提供することを含む、分析用ストリップの製造方法。
【請求項18】
前記チャネルの表面は、前記基板の前記平坦な表面よりも高い請求項17の製造方法。
【請求項19】
前記チャネルの断面は、前記平坦な平面から隆起している請求項17の製造方法。
【請求項20】
前記溶液は、リソグラフィック印刷、グラビア印刷、アナスタチック印刷、スクリーン印刷、ラインマーキング、インクジェット/スプレー、鋳造又は浸漬によって適用することができる請求項17の製造方法。
【請求項21】
前記チャネルは、複数の分枝チャネルを更に含む請求項17の製造方法。
【請求項22】
前記分枝チャネルの少なくとも1つは、ドーム形、長方形、アイランド形空成る群から選択した形状を有する拡張領域を更に含む請求項21の製造方法
【請求項23】
前記チャネルは、乾燥させ凝固させて前記中空マトリックス構造を形成する、ニトロセルロース溶液及び繊維ガラス溶液から成る群から選択される溶液から作られる請求項17の製造方法。
【請求項24】
前記基板は、生体適合性の材料から成る請求項17の製造方法。
【請求項25】
前記基板は、フレキシブルである請求項17の製造方法。
【請求項26】
前記反応材料は、反応溶液を前記チャネルに注入して、当該反応溶液を乾燥させることで前記中空マトリックス構造内に組み込まれる請求項17の製造方法。
【請求項27】
前記反応溶液を乾燥させた後で風乾又は凍結乾燥させる請求項26の製造方法。
【請求項28】
前記反応材料は、化学的試薬及び酵素試薬から選択される請求項17の製造方法。
【請求項29】
前記反応材料は、抗体及び化学的試薬から選択される請求項17の製造方法。
【請求項30】
前記平坦な表面と前記チャネルとの間に形成される1組の平板状の電極を設けることを更に含む請求項17の製造方法。
【請求項31】
前記チャネルに形成される積層チャネルを設けることを更に含む請求項17の製造方法。
【請求項32】
平坦な表面を有する基板を設け、
所定のパターンに彫られたマスクを設け、
前記マスクを前記基板に取り外し可能に接着し、
前記彫られた所定のパターン内に溶液を適用し、
前記適用した溶液を乾燥させ、
その表面が前記基板の前記平坦な表面より低くならないように前記マスクを取り除いて、中空マトリックス構造を有すると共に前記基板の前記平坦な表面よりも親水性を有するチャネルを前記所定のパターンに形成し、
反応材料を供給して、前記反応材料を前記中空マトリックス構造内に組み込むことを含む分析用ストリップの製造方法。
【請求項33】
前記チャネルの表面は、前記基板の前記平坦な表面よりも高い請求項32の製造方法。
【請求項34】
前記チャネルの断面は、前記平坦な平面から隆起している請求項32の製造方法。
【請求項35】
前記チャネルは、複数の分枝チャネルを更に含む請求項32の製造方法。
【請求項36】
前記分枝チャネルの少なくとも1つは、ドーム形、長方形、アイランド形空成る群から選択した形状を有する拡張領域を更に含む請求項32の製造方法。
【請求項37】
前記チャネルは、乾燥させ凝固させて前記中空マトリックス構造を形成する、ニトロセルロース溶液及び繊維ガラス溶液から成る群から選択される溶液から作られる請求項32の製造方法。
【請求項38】
前記基板は、生体適合性の材料から成る請求項32の製造方法。
【請求項39】
前記基板は、フレキシブルである請求項32の製造方法。
【請求項40】
前記反応材料は、反応溶液を前記チャネルに注入して、当該反応溶液を乾燥させることで前記中空マトリックス構造内に組み込まれる請求項32の製造方法。
【請求項41】
前記反応溶液を乾燥させた後で風乾又は凍結乾燥させる請求項40の製造方法。
【請求項42】
前記反応材料は、化学的試薬及び酵素試薬から選択される請求項32の製造方法。
【請求項43】
前記反応材料は、抗体及び化学的試薬から選択される請求項32の製造方法。
【請求項44】
前記平坦な表面と前記チャネルとの間に形成される1組の平板状の電極を設けることを更に含む請求項32の製造方法。
【請求項45】
前記チャネルに形成される積層チャネルを設けることを更に含む請求項32の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2012−521543(P2012−521543A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501106(P2012−501106)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/CN2009/070941
【国際公開番号】WO2010/108310
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508099254)紅電醫學科技股▲分▼有限公司 (13)
【Fターム(参考)】