説明

分析用デバイス駆動装置とこれを備えた分析装置

【課題】高速回転中に作用した外力によって分析用デバイスが外れる障害を回避できる分析用デバイス駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ターンテーブル(101)とで分析用デバイス(1)を挟持するクランパ(116)をターンテーブル(101)に近接する方向に押圧する付勢手段(117)と、クランパ(116)の軸心上に位置しクランパ(116)が付勢手段(117)の付勢力に抗してターンテーブル(101)から許容値を超えて浮き上がった場合に限って当接して分析用デバイス(1)がターンテーブル(101)から外れることを規制するストッパー手段(119)とを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物などから採取した液体の分析に使用する分析用デバイスなどがセットされる分析用デバイス駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生物などから採取した液体を分析する方法として、液体流路を形成した分析用デバイスを用いて分析する方法が知られている。分析用デバイスは、回転装置を使って流体の制御をすることが可能であり、遠心力を利用して、試料液の希釈、溶液の計量、固体成分の分離、分離された流体の移送分配、溶液と試薬の混合等を行うことができるため、種々の生物化学的な分析を行うことが可能である。
【0003】
遠心力を利用して溶液を移送する特許文献1に記載の分析用デバイス50は、図15に示すように注入口51からピペットなどの挿入器具によって試料液を計量室52へ注入し、計量室52の毛細管力で試料液を保持した後、分析用デバイス50の回転によって、試料液を分離室53へ移送するように構成されている。このような遠心力を送液の動力源とする分析用デバイスは、円盤形状にすることで送液制御を行うためのマイクロチャネルを放射状に配置でき、無駄な面積が発生しないため好ましい形状として用いられる。
【0004】
分析用デバイス50が着脱自在にセットされ、セットされた分析用デバイス50を回転駆動する分析用デバイス駆動装置として、図16と図17の構成を考えることができる。
これは図16に示すように、試料液をセットした分析用デバイス1をターンテーブル101にセットし、開閉蓋103を閉じた状態で分析用デバイス1をクランパ116とで挟持し、ターンテーブル101を回動させて前記試料液を分析用デバイス1の内部で移送して分析、または遠心分離する。
【0005】
図17は分析用デバイス1をターンテーブル101にセットして開閉蓋103を閉じた状態を示す。図17において開閉蓋103は支持軸114の回りに回動して開閉できる。
ターンテーブル101の上面に溝102を形成し、分析用デバイス1をターンテーブル101にセットした状態では分析用デバイス1の係合部15が溝102に係合している。ターンテーブル101に分析用デバイス1をセットして、ターンテーブル101を回転させる前に開閉蓋103を閉じると、セットされた分析用デバイス1は、開閉蓋103の側に設けられたクランパ116によって、ターンテーブル101の回転軸心上の位置がバネ105の付勢力でターンテーブル101の側に押圧し、分析用デバイス1を、回転駆動手段106によって回転駆動されるターンテーブル101と一体に回転させる。8はターンテーブル101の回転中の軸心を示している。
【特許文献1】特表平7−500910号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図17に挙げた構成では、高速回転中の分析用デバイス1に振動または衝撃などの外力が作用した場合には、分析用デバイス1がターンテーブル101から浮き上がって、分析用デバイス1がターンテーブル101から外れる障害が発生する。
【0007】
本発明は、運転中に外力が作用しても、高速回転中の分析用デバイスがターンテーブルから外れるような障害の発生を回避できる安全性の高い分析用デバイス駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1記載の分析用デバイス駆動装置は、試料液をセットした分析用デバイスをターンテーブルにセットし、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段と、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持した状態の前記クランパの軸心上に位置し前記クランパが前記付勢手段の付勢力に抗して前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に限って当接して前記分析用デバイスが前記ターンテーブルから外れることを規制するストッパー手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項1において、前記ターンテーブルへの分析用デバイスの着脱に際して開閉される開閉蓋を有し、前記付勢手段が、前記ターンテーブルの径方向に長く配設され先端が前記クランパの軸心に当接する板バネで構成され、前記ストッパー手段として、前記開閉蓋の内面に設けられ前記クランパが前記板バネの付勢力に抗して前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に前記板バネを介して前記クランパの軸心に当接する高さの凸部を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3記載の分析用デバイス駆動装置は、試料液をセットした分析用デバイスをターンテーブルにセットし、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、前記クランパが挿通される孔を有し、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持しない待機状態では前記クランパに係合して前記クランパを支持し、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持した状態ではクランパとの前記係合が解除される保持板と、前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段とを設け、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記分析用デバイスを挟持した状態における前記保持板の前記ターンテーブルの側の面と前記クランパとの対向面の隙間を、前記付勢手段の付勢力に抗して前記クランパが前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に限って当接する距離に設定したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項3において、前記保持板の前記ターンテーブルの側の面で前記孔の周囲に、前記クランパに向かって突出した突部を形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項3において、前記クランパの前記保持板との対向面に、前記クランパに向かって突出した突部を形成したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6記載の分析装置は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の分析用デバイス駆動装置を備え、分析用デバイスの内部の試料液と試薬との反応物にアクセスして特定成分を読み取るように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の分析用デバイス駆動装置とこれを備えた分析装置によれば、運転中に作用する外力によって前記クランパが許容値を超えて浮き上がろうとしても、回転中の前記クランパの軸心上にストッパー手段が当接するように構成したので、前記分析用デバイスが前記ターンテーブルから外れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の各実施の形態を図1〜図14に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図8は本発明の分析用デバイス駆動装置を備えた分析装置を示す。
【0016】
図1は本発明の実施の形態における分析用デバイス1を分析装置の分析用デバイス駆動装置のターンテーブル101にセットした状態を示し、図2(a)(b)は分析用デバイス1の保護キャップ2を閉じた状態と開いた状態を示している。図3は分析用デバイス1のターンテーブル101と接触している面を上側にして分解した状態を示している。
【0017】
分析用デバイス1は、試料液飛散防止用の保護キャップ2と、微細な凹凸形状を表面に有するマイクロチャネル構造が形成されたベース基板3と、ベース基板3の表面を覆うカバー基板4と、希釈液を保持している希釈ユニット5などの部品で構成されている。
【0018】
ベース基板3とカバー基板4は、希釈ユニット5などを内部にセットした状態で接合され、この接合された状態のものに保護キャップ2が取り付けられている。保護キャップ2の片側は、ベース基板3とカバー基板4に形成された軸6a,6bに係合して開閉できるように枢支されている。
【0019】
ベース基板3の上面に形成されている数個の凹部の開口をカバー基板4で覆うことによって、複数の収容エリアとその収容エリアの間を接続する流路などが形成されている(図3を参照)。収容エリアのうちの必要なものには各種の分析に必要な試薬が予め担持されている。
【0020】
この分析用デバイス1は、注入口7から試料液、例えば血液などの溶液を採取することができ、保護キャップ2を閉めて分析装置のターンテーブル101にセットすることで、試料液の成分分析を行うことができる。8はターンテーブル101の回転中の軸心を示している。
【0021】
分析用デバイス1は、注入口7から内部に取り込んだ試料液を、注入口7よりも内周にある前記軸心8を中心に分析用デバイス1を回転させて発生する遠心力と、分析用デバイス1内に設けられた毛細管流路の毛細管力を用いて、分析用デバイス1の内部で溶液を移送していくよう構成されており、保護キャップ2は注入口7の付近に付着した試料液が、分析中に遠心力によって外部へ飛散するのを防止するために取り付けられている。
【0022】
前記分析装置は、分析用デバイス1を透過した光を測定する光学的測定方法によって試料液の分析を行うため、ベース基板3およびカバー基板4の材料としては、PC、PMMA、AS、MSなどの透明性が高い樹脂が望ましい。
【0023】
ベース基板3とカバー基板4との接合は、前記収容エリアに担持された試薬の反応活性に影響を与えにくい方法が望ましく、接合時に反応性のガスや溶剤が出にくい超音波溶着やレーザー溶着などが望ましい。
【0024】
図5〜図7は分析用デバイス1がセットされる分析装置を示す。
図5において、分析用デバイス1は、分析装置100の前記軸心8を中心に回転するターンテーブル101の上に、ベース基板3とカバー基板4のうちのカバー基板4の側を下にして装着され、開閉蓋103を閉じた状態で分析が行われる。図1において開閉蓋103は支持軸114の回りに回動して開閉できる。
【0025】
ターンテーブル101の上面には図5に示すように溝102が形成されており、分析用デバイス1をターンテーブル101にセットした状態では分析用デバイス1のカバー基板4に形成された係合部15と保護キャップ2に形成された係合部16が溝102に係合してこれを収容している。
【0026】
図7に示すように、この分析装置100は、ターンテーブル101を回転させるための回転駆動手段106と、分析用デバイス1内の溶液を光学的に測定する光学測定手段109と、ターンテーブル101の回転速度や回転方向、および光学測定手段の測定タイミングなどを制御する制御手段108と、光学測定手段109によって得られた信号を処理し測定結果を演算する演算部110と、演算部110で得られた結果を表示する表示部111とで構成される。
【0027】
回転駆動手段106は、ターンテーブル101を介して分析用デバイス1を軸心8の回りに任意の方向に所定の回転速度で回転させるだけではなく、所定の停止位置で軸心8を中心に所定の振幅範囲、周期で左右に往復運動をさせて分析用デバイス1を揺動させることができるように構成されている。ここでは回転駆動手段106としてモータ104を使用してターンテーブル101を軸心8の回りに回転させている。
【0028】
なお、ここでは分析用デバイス1の回転動作と揺動動作を1つの回転駆動手段106で行う構成としているが、回転駆動手段106の負荷を軽減させるために、揺動動作用の駆動手段を別に設けてもかまわない。具体的には、ターンテーブル101の上にセットした分析用デバイス1に対して、モータ104とは別に用意したバイブレーションモータなどの加震手段を、直接または間接的に接触させることによって分析用デバイス1を揺動させて分析用デバイス1内の溶液に慣性力を付与する。
【0029】
光学測定手段109には、分析用デバイス1の測定部にレーザー光を照射するレーザー光源112と、レーザー光源112から照射されたレーザー光のうち、分析用デバイス1を通過した透過光の光量を検出するフォトディテクタ113とを備えている。
【0030】
開閉蓋103には、保持板115を介してクランパ116が保持されている。また、開閉蓋103には、クランパ116を押圧する付勢手段としての板バネ117が設けられており、ターンテーブル101に分析用デバイス1をセットした後に、ターンテーブル101の回転させる前に分析装置の開閉蓋103を図1に実線で示すように閉じると、ターンテーブル101の回転の軸心8の軸上で板バネ117がクランパ116に接触して、板バネ117の付勢力によってクランパ116がターンテーブル101の側に押し出されて、クランパ116とターンテーブル101とで分析用デバイス1を挟持して、分析用デバイス1と一体にターンテーブル101が高速回転する。
【0031】
このときに、ターンテーブル101の溝102と分析用デバイス1の係合部15との係合深さをX1とした場合、高速回転駆動中の分析用デバイス1がX1を超えてターンテーブル101から浮き上がらないように前記板バネ117の付勢力によってターンテーブル101の側に付勢されている。さらに、この実施の形態では、前記軸心8の上の位置での開閉蓋103と板バネ117との隙間118が、X1以下になる高さの凸部119が開閉蓋103の内面に形成されている。
【0032】
このように開閉蓋103にストッパー手段としての凸部119を、板バネ117との間に隙間118を設けて対向させたため、適正な付勢力が板バネ117から得られている場合には、凸部119と板バネ117とは接触するようなことがなく、クランパ116は板バネ117との軸心8上での点接触だけで高速回転する。
【0033】
一方、運転中に外力が作用して、許容値であるX1を超えてターンテーブル101から分析用デバイス1が浮き上がろうとしても、クランパ116が板バネ117を介して凸部119に当接して分析用デバイス1がターンテーブル101から外れることを確実に規制できる。この場合の板バネ117と凸部119との接触点も、軸心8上での点接触だけであって、長期間にわたって安定した動作を期待できる。
【0034】
また、セットされた分析用デバイス1と対向して配置されている保持板115を、通電によって発熱するヒータープレートで構成したり、保持板115にヒータで間接的に加熱することによって、分析時間の短縮の実現、ならびに別の場所に加熱手段を配置する必要がなく分析装置の小型化を実現できる。
【0035】
前記X1を図8(a)(b)によって詳しく説明する。
図8(a)は分析用デバイス1をターンテーブル101に載置する直前を示しており、ターンテーブル101の溝102に分析用デバイス1をセットし易いように、ターンテーブル101に形成された溝102の開口部には外周側に向かって大径となる傾きの斜面120が形成され、分析用デバイス1のカバー基板4の係合部15ならびに保護キャップ2に形成された係合部16の最外周部の角部が無くなるようにそれぞれ面取り部121,122に加工されている。
【0036】
ターンテーブル101の溝102に対して少し横ずれした位置から分析用デバイス1をセットした場合であっても、ターンテーブル101の斜面120に分析用デバイス1の面取り部121,122が当接して、ターンテーブル101の斜面120によってガイドされながら分析用デバイス1の係合部15,16が溝102に図8(b)に示すように係合する。
【0037】
このとき、前記X1はターンテーブル101の斜面120の最小径の位置P1と、分析用デバイス1の面取り部121,122の基端位置P2との距離であって、運転中に外力が作用して分析用デバイス1がターンテーブル101からX1だけ浮き上がった状態では、分析用デバイス1の面取り部121,122がターンテーブル101の斜面120に乗り上げて、遠心力によって分析用デバイス1がターンテーブル101から外れてしまう事態が発生し、クランパ116が板バネ117の付勢力に抗してターンテーブル101から許容値のX1を超えて浮き上がらないように維持することが必要である。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1では開閉蓋103にストッパー手段としての凸部119を形成して分析用デバイス1のターンテーブル101からの浮き上がりを規制したが、図9に示した実施の形態2では、支持板115のクランパ116との対向面115Aとクランパ116との隙間123が、許容値のX1未満に設定されている。その他の構成は図1に示した実施の形態1と同じである。
【0039】
保持板115の中央には、クランパ116の大径部116Aならびに小径部116Bよりも小径の孔115Bが形成されている。クランパ116は大径部116Aと小径部116Bとの間の胴部116Cを孔115Bに挿通して支持されている。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態2ではクランパ116を保持板115の下面に直接に当接させて外力による分析用デバイス1のターンテーブル101からの浮き上がりを規制したが、図10に示す実施の形態3では、前記保持板115の前記ターンテーブル101の側の面で前記孔115Bの周囲に、クランパ116に向かって突出した突部124が形成されており、突部124とクランパ116との隙間125が、許容値のX1未満に設定されている。その他の構成は図1に示した実施の形態1と同じである。
【0041】
具体的には、突部124はPOM(ポリアセタール)、ナイロン等の保持板115よりも摩擦・磨耗特性に優れた材料で形成されている。
(実施の形態4)
実施の形態2ではクランパ116を保持板115の下面に直接に当接させて外力による分析用デバイス1のターンテーブル101からの浮き上がりを規制したが、図11に示す実施の形態4では、クランパ116の小径部116Bの前記保持板115との対向面に突部126を形成し、突部126と保持板115との対向面の隙間127が、許容値のX1未満に設定されている。その他の構成は図1に示した実施の形態1と同じである。
【0042】
具体的には、突部126は小径部116Bと一体に、POM(ポリアセタール)、ナイロン等の保持板115よりも摩擦・磨耗特性に優れた材料で形成されている。
(実施の形態5)
上記の各実施の形態では付勢手段が板バネ117であったが、コイルバネを使用して構成することもできる。
【0043】
図12は図9の変形例を示す。先の実施の形態と同様のものには同一の符号を付けて説明する。
この実施の形態5ではクランパ116が、開閉蓋113に植設された軸128の先端にベアリング129を介して取り付けられている。130は抜け止め用のリングで、軸128からベアリング129が脱落しないように設けられている。開閉蓋113と片面が前記ベアリング129の内周側に当設したワッシャ131との間にはコイルバネ132が介装されており、開閉蓋113を仮想線位置のように開いた状態では、クランパ116はコイルバネ132によって軸128の先端のリング130に押し付けられている。なお、コイルバネ132の内側には軸128挿通されている。
【0044】
開閉蓋113を実線位置のように閉じてターンテーブル101とクランパ116とで分析用デバイス1を挟持した状態では、コイルバネ132の付勢に抗してベアリング129がリング130から離れている。したがって、クランパ116はターンテーブル101にセットされた分析用デバイス1にコイルバネ132の付勢力によって押し付けられて保持されている。
【0045】
一方、分析用デバイス1がターンテーブル101から許容値であるX1を超えて浮き上がろうとしても、開閉蓋103と一体に成形した突部133と前記ワッシャ131との通常運転中の隙間134が前記許容値のX1未満に設定されているため、運転中に外力が作用してターンテーブル101から分析用デバイス1が浮き上がると、ワッシャ131が開閉蓋103の突部133に先に衝突して、ターンテーブル101から分析用デバイス1が外れるような事態の発生を回避できる。なお、突部133は軸128の回りを取り囲むように開閉蓋103に形成されている。
【0046】
(実施の形態6)
上記の各実施の形態では開閉蓋103を開放してターンテーブル101に分析用デバイス1を載置し、その状態で開閉蓋103を閉じることによって、ターンテーブル101とクランパ116とで分析用デバイス1を挟持したが、分析用デバイス1を図13と図14に示すようにセンターローディング方式でターンテーブル101とクランパ116との間に分析用デバイス1を挟持させる場合にも同様に実施が可能である。
【0047】
この実施の形態では、分析装置の筐体137のフロントパネル135に形成された挿入口136から分析用デバイス1の始端を差し込むと、挿入口136から分析用デバイス1が差し込まれたことを検出したハンドリング手段(図示せず)が、挿入口136に挿入された分析用デバイス1を降下位置で待機中のターンテーブル101にセットする。
【0048】
なお、前記ハンドリング手段の構成としてはフロントローディング式光ディスクドライブ装置に見られるものと同一の構成であって、更に具体的には、特開平10−27407号公報などにこの種の構成が記載されている。
【0049】
ハンドリング手段によって図14(a)に示すように分析用デバイス1がターンテーブル101にセットし終わると、次いでターンテーブル101が図14(b)に示すように上昇してクランパ116とで分析用デバイス1を挟持する。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0050】
なお、実施の形態2から実施の形態5においても同様にフロントローディング式で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、生物などから採取した液体の成分分析に使用する分析用デバイスの移送制御手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1において分析用デバイスを分析装置にセットした状態の断面図
【図2】同実施の形態の分析用デバイスの保護キャップを閉じた状態と開いた状態の外観斜視図
【図3】同実施の形態の分析用デバイスの分解斜視図
【図4】同実施の形態の保護キャップを閉じた状態の分析用デバイスを背面から見た斜視図
【図5】同実施の形態の分析用デバイスを分析装置にセットする直前の斜視図
【図6】同実施の形態の分析装置の開閉蓋を開放した状態の斜視図
【図7】同実施の形態の分析装置の信号処理回路の構成図
【図8】分析用デバイスをターンテーブルへセットする直前とセットした状態の拡大断面図
【図9】本発明の実施の形態2において分析用デバイスを分析装置にセットした状態の断面図
【図10】本発明の実施の形態3において分析用デバイスを分析装置にセットした状態の断面図
【図11】本発明の実施の形態4において分析用デバイスを分析装置にセットした状態の断面図
【図12】本発明の実施の形態5において分析用デバイスを分析装置にセットした状態の断面図
【図13】本発明の実施の形態6において分析用デバイスの始端を分析装置の挿入口に差し込んだ状態の断面図
【図14】同実施の形態の分析用デバイスを挟持する過程におけるターテーブル上昇の前後の断面図
【図15】特許文献1の分析用デバイスの一部切り欠き斜視図
【図16】分析装置の開閉蓋を開放した状態の斜視図
【図17】分析用デバイスを分析用デバイス駆動装置にセットした状態の断面図
【符号の説明】
【0053】
1 分析用デバイス
2 保護キャップ
3 ベース基板
4 カバー基板
5 希釈ユニット
6a,6b 軸
7 注入口
8 ターンテーブル101の回転中の軸心
15,16 係合部
100 分析装置
101 ターンテーブル
102 溝
103 開閉蓋
104 モータ(回転駆動手段)
106 回転駆動手段
108 制御手段
109 光学測定手段
110 演算部
111 表示部
112 レーザー光源
113 フォトディテクタ
114 開閉蓋103の支持軸
115 保持板
115A 支持板のクランパとの対向面
115B 支持板のクランパが挿通される孔
116 クランパ
116A 大径部
116B 小径部
116C 胴部
117 板バネ(付勢手段)
118,123,125 隙間
119 凸部(ストッパー手段)
120 斜面
121,122 面取り部
124,126 突部
127 隙間
128 軸
129 ベアリング
130 抜け止め用のリング
131 ワッシャ
132 コイルバネ
133 突部
134 隙間
135 フロントパネル
136 挿入口
137 分析装置の筐体
X1 溝102と係合部15との係合深さ(許容値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液をセットした分析用デバイスをターンテーブルにセットし、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、
前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、
前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段と、
前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持した状態の前記クランパの軸心上に位置し前記クランパが前記付勢手段の付勢力に抗して前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に限って当接して前記分析用デバイスが前記ターンテーブルから外れることを規制するストッパー手段と
を設けた分析用デバイス駆動装置。
【請求項2】
前記ターンテーブルへの分析用デバイスの着脱に際して開閉される開閉蓋を有し、
前記付勢手段が、前記ターンテーブルの径方向に長く配設され先端が前記クランパの軸心に当接する板バネで構成され、
前記ストッパー手段として、前記開閉蓋の内面に設けられ前記クランパが前記板バネの付勢力に抗して前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に前記板バネを介して前記クランパの軸心に当接する高さの凸部を設けた
請求項1記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項3】
試料液をセットした分析用デバイスをターンテーブルにセットし、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、
前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、
前記クランパが挿通される孔を有し、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持しない待機状態では前記クランパに係合して前記クランパを支持し、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持した状態ではクランパとの前記係合が解除される保持板と、
前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段と
を設け、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記分析用デバイスを挟持した状態における前記保持板の前記ターンテーブルの側の面と前記クランパとの対向面の隙間を、前記付勢手段の付勢力に抗して前記クランパが前記ターンテーブルから許容値を超えて浮き上がった場合に限って当接する距離に設定した
分析用デバイス駆動装置。
【請求項4】
前記保持板の前記ターンテーブルの側の面で前記孔の周囲に、前記クランパに向かって突出した突部を形成した
請求項3記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項5】
前記クランパの前記保持板との対向面に、前記クランパに向かって突出した突部を形成した
請求項3記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の分析用デバイス駆動装置を備え、
分析用デバイスの内部の試料液と試薬との反応物にアクセスして特定成分を読み取るように構成した分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−216395(P2009−216395A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57113(P2008−57113)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】