説明

分析装置

【課題】簡易かつ厳密にマイクロプレートの使用回数を管理できる分析装置を提供すること。
【解決手段】この発明は、検体および試薬が分注される複数の反応容器271を有するマイクロプレート27を用いて検体を分析する分析装置において、マイクロプレートに付され、付されたマイクロプレートの使用回数を記憶するRFIDタグと、RFIDタグから該RFIDタグが付されたマイクロプレート27の使用回数を取得するリーダライタ274と、リーダライタ274によってRFIDタグから読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該RFIDタグが付されたマイクロプレート27の使用を禁止し、リーダライタ274によってRFIDタグから読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値未満である場合には該RFIDタグが付されたマイクロプレート27の使用を許可するプレート管理部46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検体および試薬が分注される複数のウェルを有するマイクロプレートを用いて検体を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分析装置は、血液や尿などの多数の検体に対する分析処理を同時に行い、さらに、多成分を迅速に、かつ、高精度で分析できるため、免疫学検査、生化学検査、輸血検査などさまざまな分野での検査に用いられている。この中でも、たとえば輸血検査装置においては、表面に開口したウェルと称する孔を多数有するマイクロプレートを用いて検体を分析する分析装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。このような分析装置においては、検体および分析項目に対応した試薬が分注されたウェルにおける凝集反応パターンを撮像した画像をもとに検体が陰性であるか陽性であるかを判定する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−150808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このマイクロプレートは、分析処理後に洗浄装置で洗浄することによって繰り返し使用可能となっているものの、マイクロプレートを繰り返し使用することによって、ウェル側面の形状が徐々に劣化していく。そして、このウェル側面の形状劣化が進行した場合には、凝集パターン像が不鮮明になり、検体に対する判定が正確に行なえなくなってしまう。このため、一定の分析精度を保持するため、マイクロプレートの使用限度回数をたとえば100回と設定し、使用限度回数以上マイクロプレートを使用しないように運用している。
【0005】
従来、マイクロプレートの使用回数管理を行なうシステム自体がなかったため、分析装置の管理者が自らマイクロプレートの使用管理を行なっている。しかしながら、通常は1台の装置で数十枚ものマイクロプレートを使用しているため、数十枚ものマイクロプレートの使用回数を管理することは、管理者にとって大きな負担となっていた。さらに、分析装置が複数台設置されている場合や複数の装置間で同じマイクロプレートを使用する場合もあるため、全てのマイクロプレートの使用回数を厳密に管理しようとした場合には、管理者にとって大変な作業負担となってしまうという問題があった。
【0006】
したがって、たとえば従来では、管理者のマイクロプレートの管理負担を軽減するため、同じ検査室に設置された分析装置に対しては、使用されていた全数のマイクロプレートを廃棄し、廃棄した数量と同じだけの数量のマイクロプレートを補充して、一括してマイクロプレートの交換を行なっていた。しかしながら、マイクロプレートは、1枚当たりの単価が高いため、このような管理方法ではマイクロプレートに対するコスト負担が高くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、簡易かつ厳密にマイクロプレートの使用回数を管理できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、検体および試薬が分注される複数の反応容器を有するマイクロプレートを用いて前記検体を分析する分析装置において、所定周波数の電波を介して非接触で通信可能である情報媒体であって、前記マイクロプレートに付され、付されたマイクロプレートの使用回数を記憶する情報媒体と、前記情報媒体から該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用回数を読み取るとともに前記情報媒体に情報を書き込むリーダライタと、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を禁止し、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値未満である場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を許可するマイクロプレート使用管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記リーダライタは、前記検体および前記試薬が分注される前に前記マイクロプレートに付された情報媒体を読み取り、前記マイクロプレート使用管理手段は、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値に一致した場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートへの前記検体および前記試薬の分注を禁止することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記マイクロプレート使用管理手段は、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値未満である場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を許可するとともに、前記リーダライタに対して該情報媒体に記憶される使用回数を新たな使用回数に書き替えさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる分析装置によれば、所定周波数の電波を介して非接触で通信可能である情報媒体であって、マイクロプレートに付され、付されたマイクロプレートの使用回数を記憶する情報媒体と、情報媒体から該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用回数を取得するリーダライタと、リーダライタによって情報媒体から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を禁止し、リーダライタによって情報媒体から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値未満である場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を許可するマイクロプレート使用管理手段と、を備えることによって、簡易かつ厳密にマイクロプレートの使用回数を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、血液を検体として分析する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置1の内部構成の一例を示す概略斜視図である。この分析装置1は、免疫学的凝集反応を用いて被検血液の抗原抗体反応等の免疫学的検査を行う装置であり、検体ラック搬送部11と、検体分注部15と、希釈検体ラック搬送部17と、希釈液分注部21と、希釈検体分注部23と、プレート搬送部25と、試薬分注部29と、試薬格納部31と、測定部33と、プレート回収部35とを備える。
【0014】
検体ラック搬送部11は、後述する制御部4の制御のもと、ラックフィーダ111に配列した検体ラック13を搬送する。検体ラック13には、検体(血液)を収容した複数の検体容器131が搭載されており、検体ラック搬送部11は、検体ラック13を順次移送して検体容器131を所定の検体吸引位置に搬送する。検体吸引位置に搬送された検体容器131内の検体は、検体分注部15によって希釈検体容器191に分注される。
【0015】
検体分注部15は、検体の吸引および吐出を行うノズルを備える。この検体分注部15は、制御部4の制御のもと、検体吸引位置に搬送された検体容器131内の検体をノズルによって吸引し、所定の検体吐出位置に移送する。この検体吐出位置には、複数の希釈検体容器191が搭載された希釈検体ラック19が載置されており、検体分注部15は、各希釈検体容器191内に吸引した検体を順次吐出して分注を行う。
【0016】
希釈検体ラック搬送部17は、制御部4の制御のもと、希釈検体ラック19を所定の希釈液分注位置に搬送し、続いて所定の希釈検体吸引位置に搬送する。希釈液分注位置に搬送された希釈検体ラック19上の各希釈検体容器191には、希釈液分注部21によってそれぞれ希釈液が分注される。そして、希釈検体吸引位置に搬送された希釈検体ラック19上の各希釈検体容器191内の希釈検体は、希釈検体分注部23によって所定の希釈検体吐出位置に移送される。
【0017】
希釈液分注部21は、希釈液の吐出を行う複数のノズルを備える。この希釈液分注部21は、希釈液分注位置に搬送された希釈検体ラック19上の各希釈検体容器191内に各ノズルによってそれぞれ所定量の希釈液を分注する。
【0018】
希釈検体分注部23は、希釈検体の吸引および吐出を行う複数の検体ノズルを備える。この希釈検体分注部23は、制御部4の制御のもと、希釈検体吸引位置に搬送された希釈検体ラック19上の各希釈検体容器191から各検体ノズルによってそれぞれ希釈検体を吸引し、希釈検体吐出位置に移送する。この希釈検体吐出位置には、マイクロプレート27が載置されており、希釈検体分注部23は、このマイクロプレート27の各反応容器271内に、各希釈検体を吐出して分注を行う。
【0019】
図2に示すように、マイクロプレート27は、側面に位置決めのためのツメ272が設けられるとともに、ウェルと呼ばれる複数の反応容器271がマトリクス状に配設されて構成される。そして、マイクロプレート27には、マイクロプレート周縁近傍の撮像処理に関与しない領域に、所定周波数の電波を介して非接触で外部と通信可能であるRFIDタグ273が付されている。RFIDタグは、RFID(Radio Frequency Identification)システムにおいて用いられるタグ形状の情報記憶媒体である。RFIDタグ273が記憶する各種情報は、書き込みおよび読み取りを指示する所定周波数の電波を介して、読出しが可能であるとともに、書き込み、書き換えが可能である。
【0020】
このRFIDタグ273は、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27を識別するIDとともに、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用回数を記憶する。
【0021】
そして、希釈検体分注部23においては、図1および図2に示すように、所定周波数の電波を介して、このRFIDタグ273の情報を読み取るとともに、このRFIDタグ273に情報を書き込み、または、RFIDタグ273の情報を書き換えるリーダライタ274とが設けられている。リーダライタ274は、希釈検体分注部23によって検体が分注される前および後述する試薬分注部29によって試薬が分注される前に、希釈検体分注対象および試薬分注対象であるマイクロプレート27に付されたRFIDタグ273の情報を読み取り、RFIDタグ273から読み取った情報を制御部4に出力する。リーダライタ274は、RFIDタグ273から、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用回数を読み取る。そして、リーダライタ274は、制御部4の制御のもと、RFIDタグ273に記憶される使用回数を新たな使用回数に書き替える。
【0022】
プレート搬送部25は、マイクロプレート27の各反応容器271内に希釈検体および試薬を分注し、各反応容器271内での希釈検体および試薬の混合液の測定を行うため、制御部4の制御のもと、希釈検体吐出位置のマイクロプレート27を移送して各反応容器271を試薬吐出位置に搬送し、続いて測定位置に搬送する。試薬吐出位置に搬送された反応容器271には、試薬分注部29によって試薬が分注される。
【0023】
試薬分注部29は、それぞれ試薬の吸引および吐出を行う試薬ノズルを備える。この試薬分注部29は、制御部4の制御のもと、試薬格納部31の各試薬容器311内の試薬を各試薬ノズルによってそれぞれ吸引して試薬吐出位置に移送し、プレート搬送部25によって試薬吐出位置に搬送されたマイクロプレート27の反応容器271内に吐出する。試薬格納部31には、検体と抗原抗体反応を起こす所定の試薬をそれぞれ収容した複数の試薬容器311が配列されて収納されている。
【0024】
マイクロプレート27は、希釈検体分注部23によって各反応容器271内に希釈検体が分注され、試薬分注部29によって各反応容器271内に試薬が分注され、必要な反応時間が経過して反応容器271内の検体の抗原抗体反応が完了した後、プレート搬送部25によって測定位置に搬送される。この抗原抗体反応によって、各反応容器271の底面に凝集反応パターンが形成される。
【0025】
測定部33は、測定位置の上方に設けられて測定位置に搬送されたマイクロプレート27を上方から撮像するCCDカメラ等の撮像部331と、測定位置に下方に設けられてマイクロプレート27の各反応容器271に照明光を照射する光源333とを備え、撮像部331は、各反応容器271を透過した光量を受光して各反応容器271の底面に形成された凝集反応パターンを撮像する。得られた測定結果(画像情報)は制御部4に出力される。なお、一般的に、陽性である検体では検体と試薬との凝集が発生し、陰性である検体では検体と試薬との凝集が発生しない。なお、測定部33は、マイクロプレート27に付されたRFIDタグ273の情報を読み書きするリーダライタ275を有しており、リーダライタ275に対して測光前にRFIDタグ273の情報を読み取らせることによって、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27が測光対象のマイクロプレートであるか否かを確認した上で測光処理を行なっている。
【0026】
プレート回収部35は、測定部33による測定が終了したマイクロプレート27を回収する。回収されたマイクロプレート27は、図示しない洗浄部で洗浄され、再利用される。
【0027】
また、分析装置1は、装置を構成する各部への動作タイミングの指示やデータの転送等を行って各部の制御を行い、装置全体の動作を統括的に制御する制御部4を備える。制御部4は、分析結果の他、分析装置1の動作に必要な各種情報を保持するメモリを内蔵したマイクロコンピュータ等で構成され、装置内の適所に収められる。この制御部4は、分析部41と接続されており、測定部33による測定結果を分析部41に出力する。分析部41は、測定部33による測定結果をもとに抗原抗体反応を分析し、分析結果を制御部4に出力する。例えば、分析部41は、測定部33によって得られた画像情報を画像処理し、各反応容器271の底面に形成された凝集反応パターンを検出・判定する。また、制御部4は、検体数や分析項目等、分析に必要な情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力装置で構成される入力部43、情報を磁気的に記憶するハードディスク等を用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する記憶部44や、分析結果画面や警告画面、各種設定入力のための入力画面等を表示するLCDやELD等の表示装置、プリンタ、スピーカー等によって構成される出力部45と接続されている。
【0028】
さらに、制御部4は、分析装置1において使用される各マイクロプレート27の使用回数を管理するプレート管理部46を有する。プレート管理部46は、リーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用を禁止し、リーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値未満である場合には該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用を許可することによって、各マイクロプレート27の使用回数を管理している。
【0029】
つぎに、図3を参照して、図1に示す分析装置1におけるマイクロプレート27の使用回数の管理処理について説明する。まず、制御部4は、プレート搬送部25に対して、検体分注対象となるマイクロプレート27をリーダライタ274近傍の所定の読取位置に搬送させる(ステップS2)。そして、制御部4は、リーダライタ274に対して、検体分注対象となるマイクロプレート27に付されたRFIDタグ273の情報のうち、このマイクロプレート27の使用回数を読み取らせるマイクロプレート使用回数読取処理を行なう(ステップS4)。リーダライタ274は、所定周波数の電波を介して読み取ったマイクロプレートの使用回数を制御部4に出力する。
【0030】
次いで、プレート管理部46は、リーダライタ274が読み取ったマイクロプレート27の使用回数が、マイクロプレート27に対する所定の上限回数と一致するか否かを判断する(ステップS6)。この上限回数は、マイクロプレート27の種別や分析装置1における分析精度に対応させて予め設定されたものである。
【0031】
プレート管理部46は、リーダライタ274が読み取ったマイクロプレート27の使用回数が、所定の上限回数と一致すると判断した場合(ステップS6:Yes)、リーダライタ274によって読み取られたRFIDタグ273が付されたマイクロプレートは、所定の上限回数に達し、使用によって分析精度の劣化を招くおそれがあるため、このマイクロプレート27の使用を禁止する(ステップS7)。すなわち、プレート管理部46は、希釈検体分注部23および試薬分注部29に対し、このマイクロプレート27への検体および試薬の分注を禁止する。このように、分析装置1においては、このマイクロプレート27への検体および試薬の分注を禁止することによって、使用禁止であると判断されたマイクロプレート27の分析処理の使用を確実に回避して、分析精度の保持を確保している。
【0032】
そして、プレート管理部46は、このマイクロプレート27をスキップし(ステップS8)、制御部4は、プレート搬送部25に対して、次のマイクロプレート27の搬送を指示し(ステップS10)、ステップS2に戻って、次のマイクロプレート27を読み取り位置に搬送させる。なお、検体および試薬が分注されていないマイクロプレート27は、検体および試薬が分注され凝集反応パターンが各反応容器271底面に形成されたマイクロプレート27と比較し、凝集反応パターンが画形成されていないため、目視で容易に判別可能である。分析装置1の操作者は、プレート回収部35によって回収されたマイクロプレート27を洗浄する前に、各マイクロプレート27の凝集反応パターンの有無を確認することによって、プレート管理部46によって使用が禁止されたマイクロプレート27を簡易に判別でき、廃棄のために取り除くことが可能である。また、制御部4は、分析装置1の操作者が廃棄対象のマイクロプレート27の発生を認識できるように、出力部45に対して、使用回数が所定の上限回数と一致するマイクロプレート27があったこと、すなわち廃棄対象のマイクロプレート27があったことを報知するメッセージを出力させてもよい。
【0033】
これに対し、プレート管理部46は、リーダライタ274が読み取ったマイクロプレート27の使用回数が、所定の上限回数と一致しないと判断した場合(ステップS6:No)、すなわち、リーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られたマイクロプレート27の使用回数が所定の上限回数未満であると判断した場合には、このマイクロプレート27は使用可能であるとして、このマイクロプレート27の使用を許可する(ステップS11)。そして、プレート管理部46は、リーダライタ274に対して、このRFIDタグ273に記憶される使用回数1を加算した新たな使用回数に書き替えさせる使用回数加算処理を行なう(ステップS12)。なお、マイクロプレート27に付されたRFIDタグ273には、使用回数の初期値として予め「1」が書き込まれている。このように、プレート管理部46によって、リーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値未満であると判断した場合には、該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用を許可するとともに、リーダライタ274に対して該RFIDタグ273に記憶される使用回数を新たな使用回数に書き替えさせている。したがって、分析装置1においては、RFIDタグ273内の使用回数に関する情報を常に最新のものとすることができることから、RFIDタグ273内の情報を用いて行なわれるマイクロプレート27の使用回数管理処理の常に正確に行なうことができる。
【0034】
そして、制御部4の制御のもと、希釈検体分注部23および試薬分注部29は、このマイクロプレート27に対し、検体および試薬を分注する分注処理を行なう(ステップS14)。このマイクロプレート27は、リーダライタ275の読み取り位置まで搬送された後に、リーダライタ275によって検体情報を読み取られる測光前読取処理が行なわれる(ステップS16)。
【0035】
制御部4は、リーダライタ275によって読み取られた検体情報をもとに、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27が測光対象のプレートであるか否かを判断する(ステップS18)。
【0036】
制御部4は、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27が測光対象のプレートであると判断した場合(ステップS18:Yes)、測光対象のマイクロプレート27が正しく測光位置に搬送されたものと判断して、測光部33に対して測光処理を行わせる(ステップS20)。そして、分析部41は、測光部33による測光結果をもとに、このマイクロプレート27に分注された検体の分析処理を行なう(ステップS22)。
【0037】
これに対し、このRFIDタグ273が付されたマイクロプレート27が測光対象のプレートでないと判断した場合(ステップS18:No)、測光対象のマイクロプレート27が正しく搬送されておらずプレート搬送部25による搬送エラーと判断し(ステップS24)、所定のエラー対応処理を行なう。
【0038】
そして、制御部4は、分析処理が終了したか否かを判断する(ステップS26)。制御部4は、分析処理が終了していないと判断した場合には(ステップS26:No)、ステップS2に戻り、プレート搬送部25に対し、次の分析対象である検体を分注するマイクロプレート27をリーダライタ274の読取位置にまで搬送させる。これに対し、制御部4は、分析処理が終了したと判断した場合には(ステップS26:Yes)、そのまま分析処理を終了する。
【0039】
このように、実施の形態にかかる分析装置1は、所定周波数の電波を介して非接触で通信可能であるとともに付されたマイクロプレートの使用回数を記憶するRFIDタグ273と、該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用回数を取得するリーダライタ274とを備えるとともに、プレート管理部46において、自動的にリーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用を禁止し、リーダライタ274によってRFIDタグ273から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値未満である場合には該RFIDタグ273が付されたマイクロプレート27の使用を許可している。このため、分析装置1によれば、分析装置1の管理者の手を煩わすことなく簡易な方法で、1台の装置で数十枚ものマイクロプレートを使用している場合や、複数台の分析装置間においてマイクロプレートが使用される場合であっても、使用される全マイクロプレートの使用回数を厳密に管理して、分析精度の保持およびマイクロプレートのコスト負担の抑制を図ることができる。
【0040】
また、バーコード記号をRFIDタグの代替とした場合には、マイクロプレート27の洗浄処理によってバーコード記号を印刷したシールが剥がれてしまうため、マイクロプレート27の洗浄処理ごとに新たな使用回数を示すバーコード記号を貼付しなおさなければならないという煩雑な処理を行なう必要がある。これに対し、本実施の形態にかかる分析装置1においては、RFIDタグ273の使用回数をリーダライタ274によって新たな使用回数に書き替えるだけで足り、バーコード記号を貼付した場合に要する煩雑な処理を行なう必要がないため、分析装置1の管理者の作業負担を格段に軽減することが可能になる。また、光学的に読み取るバーコード記号を貼付した場合には、バーコード記号表面に汚れが付着した場合には読み取りエラーが発生するおそれがある。これに対し、本実施の形態にかかる分析装置1においては、所定周波数の電波を介して読み書きするRFIDタグ273を用いるため、表面の汚れの有無に関係なく正確にRFIDタグ273の情報を読み書きすることができるため、マイクロプレート27の使用回数を正確に行なうことができる。
【0041】
なお、マイクロプレート27においては、種別によって反応容器271底部の形状が異なっており、分析項目によってマイクロプレート27を使い分けている。したがって、分析装置1においては、各RFIDタグ273に対して、それぞれ付されたマイクロプレート27の種別情報を書き込んでおき、検体分注前にこのRFIDタグ273の種別情報を読み取り、分析項目に対応した正しい種別のマイクロプレート27を使用しているか否かを検証して、さらに正確な分析処理を行なえるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態にかかる分析装置1の内部構成の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示すマイクロプレートおよびリーダライタを説明する図である。
【図3】図1に示す分析装置におけるマイクロプレートの使用回数の管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 分析装置
4 制御部
11 検体ラック搬送部
13 検体ラック
15 検体分注部
17 希釈検体ラック搬送部
19 希釈検体ラック
21 希釈液分注部
23 希釈検体分注部
25 プレート搬送部
27 マイクロプレート
29 試薬分注部
31 試薬格納部
33 測定部
35 プレート回収部
41 分析部
43 入力部
44 記憶部
45 出力部
46 プレート管理部
131 検体容器
191 希釈検体容器
271 反応容器
272 ツメ
273 RFIDタグ
274,275 リーダライタ
311 試薬容器
331 撮像部
333 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体および試薬が分注される複数の反応容器を有するマイクロプレートを用いて前記検体を分析する分析装置において、
所定周波数の電波を介して非接触で通信可能である情報媒体であって、前記マイクロプレートに付され、付されたマイクロプレートの使用回数を記憶する情報媒体と、
前記情報媒体から該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用回数を読み取るとともに前記情報媒体に情報を書き込むリーダライタと、
前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が所定の使用回数の上限値に一致した場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を禁止し、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値未満である場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を許可するマイクロプレート使用管理手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記リーダライタは、前記検体および前記試薬が分注される前に前記マイクロプレートに付された情報媒体を読み取り、
前記マイクロプレート使用管理手段は、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値に一致した場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートへの前記検体および前記試薬の分注を禁止することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記マイクロプレート使用管理手段は、前記リーダライタによって前記情報媒体から読み取られた使用回数が前記所定の使用回数の上限値未満である場合には該情報媒体が付されたマイクロプレートの使用を許可するとともに、前記リーダライタに対して該情報媒体に記憶される使用回数を新たな使用回数に書き替えさせることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−121818(P2009−121818A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292505(P2007−292505)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】