説明

分解可能なチューインガム材料

【課題】チューインガム材料を、前記の不利な随伴現象を引き起こさずにその生分解性を促進するように改変する。
【解決手段】エラストマー、ポリマー樹脂、充填剤及び他の添加物を含有する分解可能なチューインガム材料であって、充填剤成分が全体的に又は部分的に光学活性充填剤に交換されていることを特徴とするチューインガム材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分解可能なチューインガム材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チューインガム用途における大きな問題は、チューインガムが使用後に環境に差し障らないようにゴミ箱又はくずかご中に棄てられず、不注意に例えば歩道に吐き捨てられるという事実である。そのようにして棄てられたチューインガムは、その粘着性のためほこりをくっつけ、黒く色づき、そして醜い黒い汚れとなる。今日に、合成ポリマーを基礎として製造されたチューインガム材料は、通常の天候条件下に腐朽せず、そしてまた従来の道路清掃法では除去できない。
【0003】
従って、久しい以前から既に、チューインガム材料を、簡単に除去できるように改変するか(除去容易性ガムベース)又はチューインガム材料を、化学的に分解できるように改変する(生分解性ガムベース)ことのいずれかが要求されていた。先行技術からは、生分解性の促進のためにチューインガム材料をポリエステルで変性することが知られている(EP−A711506号、WO−A02/76232号)。US−B6599542号では、生分解性の促進のためにチューインガム材料をタンパク質で変性させている。US−A5366740号では、チューインガム材料の生分解性の改善のためにグルテンが添加されている。
【0004】
その場合に、前記の添加物は通常チューインガム材料中に含まれていないので、処方の変更を余儀なくされるという欠点がある。更に、味覚及び噛みごごちに関して悪影響を及ぼすことがある。
【特許文献1】EP−A711506号
【特許文献2】WO−A02/76232号
【特許文献3】US−B6599542号
【特許文献4】US−A5366740号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、チューインガム材料を、前記の不利な随伴現象を引き起こさずにその生分解性を促進するように改変することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の対象は、エラストマー、ポリマー樹脂、充填剤及び他の添加物を含有する分解可能なチューインガム材料であって、充填剤成分が全体的に又は部分的に光学活性充填剤に交換されていることを特徴とするチューインガム材料である。
【0007】
光学活性充填剤とは、この場合、UV照射により光触媒反応によって有機分子の分解を誘導し、ひいてはチューインガム材料中のエラストマー成分及びポリマー成分の分解を促進する充填剤を表す。
【0008】
適当な光活性充填剤は、アナターゼ変態の二酸化チタンである。有利には2nm〜15nmの粒度を有するアナターゼであるナノ−アナターゼ(nano-Anatas)が特に有利である。
【0009】
チューインガム材料のための適当なエラストマーは、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン−コポリマー、スチレン−ブタジエン−コポリマー並びに天然ゴムである。エラストマー割合は、一般に、チューインガム材料の全質量に対して10〜50質量%である。
【0010】
ポリマー樹脂のための例は、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート−ビニルラウレート−コポリマー並びにエチレン−ビニルアセテート−コポリマーである。ポリマー樹脂の割合は、一般にチューインガム材料の全質量に対して10〜60質量%である。
【0011】
適当な充填剤は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、二酸化チタン、リン酸カルシウム並びにセルロースエーテルである。該配合物中の充填剤割合は、一般にチューインガム材料の全質量に対して10〜40質量%である。
【0012】
充填剤成分は、本発明によれば全体的に又は部分的に光学活性充填剤に交換されている。有利には充填剤成分は部分的に光学活性充填剤に交換されている。特に有利には光学活性充填剤の割合は、チューインガム材料の全質量に対して1〜20質量%、最も有利には5〜15質量%である。
【0013】
他の添加物は、蝋、例えばパラフィン蝋又はポリエチレンワックス、可塑剤、例えばコロホニウム樹脂又はテルペン樹脂、硬化脂又は三酢酸グリセリン、酸化防止剤、矯味剤及び着色料である。前記の添加物の使用量は当業者に公知である。
【0014】
処方において質量%で示されるチューインガム材料の成分の使用量はそれぞれ100質量%に合算されることを指摘する。
【0015】
チューインガム材料の製造は、それについて慣用の方法で行われる。一般に、チューインガム材料の成分を、場合により前接続された顆粒化工程又は粉末化工程の後に混合し、次いで該混合物を通常は70〜150℃に、一般には溶融するまで加熱し、引き続きチューインガム材料を押出するか又は注型する。
【0016】
以下の実施例は本発明を更に説明するために役立つものである。
【実施例】
【0017】
以下の組成のチューインガム材料を製造した:
比較例1:
【0018】
【表1】

【0019】
成分1、2及び4を120℃で均質に混練し、そして成分3の添加後に100℃に調整した。次いで成分5を均質に混練導入し、引き続き成分6及び7を100℃で均質に混練導入した。混練時間は全体で1.5時間であった。
【0020】
実施例2:
【0021】
【表2】

【0022】
チューインガム材料の製造を比較例1と同様に実施した。
【0023】
実施例3:
【0024】
【表3】

【0025】
チューインガム材料の製造を比較例1と同様に実施した。
【0026】
実施例4:
【0027】
【表4】

【0028】
チューインガム材料の製造を比較例1と同様に実施した。
【0029】
実施例5:
【0030】
【表5】

【0031】
チューインガム材料の製造を比較例1と同様に実施した。
【0032】
(比較例)実施例1〜5からのチューインガム材料の分解性試験:
(比較例)実施例からのチューインガム材料を、2mmの厚さの板状に圧延し、そして引き続き6cm×20cmの寸法を有する金属板上に貼り付けた。耐候性をDIN EN ISO4892と同様に試験するが、その際、40℃での2時間の湿潤化と45℃でのQ−UVBによる6時間の照射という周期を行った。全体として、2500時間の照射に達するまで周期を行った。
【0033】
チューインガム材料の分解は、表面の粉化の増大を伴った。従って耐候前の試験板の表面の粉化と耐候性試験後のそれをそれぞれ視覚的に測定し、そして1から6までの学業成績系で定性的に評価した、その際、1=激しく粉化、そして6=粉化なし、である。
【0034】
結果を第1表にまとめる:
【0035】
【表6】

【0036】
試験結果は、光活性充填剤が存在しないとチューインガム材料の分解が生じない(比較例1)ことを示している。アナターゼで変性されたチューインガム材料の場合には、明らかな粉化、すなわち明らかなチューインガム材料の分解が確認できた。最良の結果はナノ−アナターゼで得られた(実施例2/3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー、ポリマー樹脂、充填剤及び他の添加物を含有する分解可能なチューインガム材料であって、充填剤成分が完全に又は部分的に光学活性充填剤によって交換されていることを特徴とする分解可能なチューインガム材料。
【請求項2】
光活性充填剤としてアナターゼ変態の二酸化チタンが使用される、請求項1記載の分解可能なチューインガム材料。
【請求項3】
光活性充填剤としてナノ−アナターゼが使用される、請求項1記載の分解可能なチューインガム材料。
【請求項4】
光学活性充填剤の割合が、チューインガム材料の全質量に対して1〜20質量%である、請求項1から3までのいずれか1項記載の分解可能なチューインガム材料。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の分解可能なチューインガム材料の製造方法であって、チューインガム材料の成分を、場合により前接続された顆粒化工程又は粉末化工程の後に混合し、該混合物を加熱し、そして引き続き該チューインガム材料を押出するか、又は注型する方法。

【公開番号】特開2006−223295(P2006−223295A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175597(P2005−175597)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(300006412)ワッカー ポリマー システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johannes−Hess−Strasse 24, D−84489 Burghausen, Germany
【Fターム(参考)】