説明

分配ヘッドにピペットチップを装填するための手段を有する分配装置

【課題】従来のように個々のシリンダーを必要としない新しいピペット設計および分配装置を提供する。
【解決手段】一端に細長い上部のテイパー状部分、および他端に下部のテイパー状部分を含む分配ブロックヘッドを備える分配ヘッド装置における使用のためのピペットチップであって、該上部のテイパー状部分および下部のテイパー状部分は、下部表面および上部表面を有する円板形のリング部分によって分離されていて、該ピペットチップの該円板形のリング部分の該下部表面は、該下部表面に適用される上向きの軸方向力を有するように適合され、該軸方向力によって、該ピペットチップが該分配ブロックヘッドへ軸方向に装填される、ピペットチップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、固体分配ブロックから容器へ制御された量の液体を吸引および分配するための装置を提供し、この装置は、分配ブロックヘッド内の内部シリンダーへ、その外径上を密閉するために設計されたピペットチップを装填するための手段を備える。
【背景技術】
【0002】
(2.先行技術の記述)
1996年3月12日に発行された米国特許第5,497,670号(そこに記載される主題は、本発明の発明者によって発明された)(特許文献1)は、分配シリンダー上に、ピペットプレートによって運ばれるピペットチップを装填するための手段を含む、改良された分配ヘッド装置を開示し、その装填する力は、装置の操作サイクルの間に保持され、従って、ハーメチックシールを確実にする。ピペットチップは、チッププレート上に手で置かれ、プレートは、分配装置内をスライドする。
【0003】
前述の特許に記載されたピペットチッププレートホルダーは、その中に記載される装置と共に使用される場合、多くの利点を提供するが、その使用に関する特定の欠点がある。具体的には、ピペットチップスライドプレートが汚染され得るという可能性がある。最も重要なことは、ピペットチッププレート構成が、ロボット操作または自動化に容易に適合されない。
【0004】
1996年11月18日に出願された米国特許出願番号08/751,859(この中に記載される主題もまた、本発明の発明者によって発明された)(特許文献2)は、前述の特許に開示される装置と類似の、しかしある程度改変された自己収納ヘッド分配装置を提供し、この中で開示されるピペットチッププレートは、より高価ではなく、より汚染されにくいより従来のピペットチップキャリアで置換されており、そしてこのキャリアは、ロボット操作または自動化に容易に適応される。
【0005】
8×12の配列で中心間隔が9mmの96個のウェルを典型的に有するマイクロプレートは、ほとんどの分配装置と共に典型的に使用される。初期の先行技術の分配デバイスは、一つのディスペンサーで始まり、そして96個のウェルの各々に分配するためにX−Y方向に96回移動した。時間と共に、分配デバイスは、1列(1列あたり8または12ウェル)を含むように加えられ、その時は、全プレートを満たすために8回または12回のいずれか指標を付けた。一度に全プレートを満たすための96の分配装置デバイスは、例えば、上記の’670号の特許において開示される。
【0006】
マイクロプレートは、最近設計が変化した。より高い生産速度およびより大きな貯蔵ライブラリーは、より高い密度形式を必要とした。その9mmの間隔を有する96ウェル形式は、4.5mmの間隔を有する384まで増加した。384マイクロプレートは、864まで増加し、そして現在2.25mm間隔を有する1536まで増加した。これらの異なる密度プレートは、同じフットプリント(長さ、幅)を有する。
【0007】
’859号出願において開示される分配方法において、シリンダーの外側に合致し、そして小さな点へとテイパー状になるピペットが使用される。ほとんどのピペット分配システムは、ピペット内径(「ID」)からシリンダー外径(「OD」)への適切な流体シールを確実にするために、「O」リングを用いて分配ヘッドで使用されるシリンダーに連結
される。典型的なピペットは、そのID上で密閉し、従って、ピペットのODを形成する。典型的なODは、4.5mmより大きく、従って、384(4.5mm間隔)のような分配のより高い密度形式を有する使用を困難にする。なぜなら、384マイクロプレートは、4.5mmの間隔を有し−従って、384形式上で使用されるピペットは、4.5mmより小さなODを有しなければならないからである。
【0008】
先行技術の分配デバイスは、’679号の特許に開示されるもののように、別のシリンダー(各ピペットに対して1つ)、合計96のシリンダーを使用する。これは、ピペットのIDに連結する最も簡単な方法である。そのOD上を密閉するピペットが設計される場合、新しい分配ヘッド設計が必要である。これは、密閉方法、装填方法、および脱着方法を含む。
【特許文献1】米国特許第5,497,670号
【特許文献2】米国特許出願番号08/751,859号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、所望されることは、装填および脱着の手段を伴い、その外径上を密閉させる新しいピペット設計を提供すること、および統合固体ブロックを基本的に含み、そして個々のシリンダーを必要としない新しい分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、自己収納分配ヘッド装置を提供し、ここで、ピペットチップボックストレイキャリアは、標準的なピペットチップボックス内に備えられるピペットチップをヘッド装置に備え付けるために利用され、そしてピペットチップがこの装置の対応する内部シリンダー(開口部)に装填される形式で、トレイキャリアを係合させるための手段が提供される。分配ブロックヘッドは、密閉配置にピペットチップを係合させるための複数の内部シリンダーを有する材料の固体ブロックを含む。
【0011】
ピペットチップは、円板形のリング部分がピペットの一端に隣接して配置され、上部のテイパー状の部分は、分配ヘッド内部シリンダーを、その部分と共にシールを形成させる点において、従来の設計から改変される。
【0012】
従って、本発明は、液体を第1のマイクロプレートから吸引し、そして種々のアレイ形式を用いて第2のマイクロプレートへ分配し得る分配ヘッド装置を提供し、分配ブロックヘッドは、一つの固体ブロックから形成され、従って、製造コストを実質的に減らす。分配ヘッドはまた、内部シリンダーの密なアレイを提供させ、従って、より高い密度形式のマイクロプレートを適合させる。
【0013】
1つの局面では、本発明は、一端に細長い上部のテイパー状部分、および他端に下部のテイパー状部分を含む分配ブロックヘッドを備える分配ヘッド装置における使用のためのピペットチップに関し、該上部のテイパー状部分および下部のテイパー状部分は、下部表面および上部表面を有する円板形のリング部分によって分離されていて、該ピペットチップの該円板形のリング部分の該下部表面は、該下部表面に適用される上向きの軸方向力を有するように適合され、該軸方向力によって、該ピペットチップが該分配ブロックヘッドへ軸方向に装填される。
【0014】
上記ピペットチップは、前記円板形のリング部分の前記上部表面に下向きの軸方向力を適用することによって、前記分配ブロックヘッドから前記ピペットチップを取り外すための手段をさらに包含し得る。
【0015】
上記分配ブロックヘッドにおいて、内部密閉表面を有する内部シリンダーは、前記ピペットチップが該分配ブロックヘッドヘ軸方向に装填される場合、該ピペットチップの前記上部のテイパー状部分に接触して、該上部のテイパー状部分と該内部密閉表面との間にハーメチックシールを形成し得る。
【0016】
上記ピペットチップは、プラスチック材料で成形され、該ピペットチップの前記上部のテイパー状部分は、前記内部シリンダーへ軸方向に押し込まれ、該上部のテイパー状部分が、ハーメチックシールを形成する該内部シリンダーの前記内部密閉表面に合致するような形式で配置され得る。
【0017】
本発明はまた、ピペットチップを、吸引および分配装置の一部として分配ブロックヘッドに形成された複数の内部シリンダーに密閉するための装置に関し、この装置は、ピペットチップボックスキャリアであって、該キャリアの上に、複数の該ピペットチップが中に配置されたピペットチップボックスを備える、ピペットチップボックスキャリア;ピペットチップボックストレイキャリアに連結した移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート;および該移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレートの上向きの移動をもたらすための手段であって、該手段によって、該分配ブロックヘッドに向かって該ピペットチップボックスキャリアを引っ張り、該ピペットボックスキャリアの該上向きの移動は、該ピペットチップに軸方向力を適用し、その結果、該ピペットチップは、該分配ブロックヘッドの内部シリンダーへと配置されて、該分配ブロックヘッド内の該ピペットチップと該対応する前記内部シリンダーとの間にハーメチックシールを形成する手段を備え得る。
【0018】
上記ピペットチップの各々は、上部表面および下部表面を有する円板形のリング部分によって分離される細長い上部のテイパー状部分および細長い下部のテイパー状部分を備え得。
【0019】
上記ピペットチップボックスキャリアは、前記円板形のリング部分の前記下部表面に力を適用し、これによって、前記上部の細長いテイパー状部分が、前記分配ブロックヘッド内の前記対応する内部シリンダーがハーメチックシールを形成する密閉アレイへ押し込められ得る。
【0020】
上記移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレートの前記下部表面は、傾斜した表面ポケットおよび浮動ストリッパープレートを、該移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレートに操作可能に係合して有し、そして前記円板形のリング部分の前記上部表面を係合させるように配置され得る。
【0021】
上記移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレートの下向きの移動によって、前記浮動ストリッパープレートは、該移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレートの前記底部表面上の前記傾斜した表面ポケットを係合させ、そして該傾斜した表面ポケットの角度に合致させ得る。
【0022】
上記浮動ストリッパープレートは、前記傾斜した表面ポケットの角度に従って、前記円板形のリング部分の各々の前記上部表面を係合させ、それによって、前記ピペットチップが、前記分配ブロックヘッドから、連続して、一度に1列取り外され得る。
【0023】
上記分配ブロックヘッドにおいて、前記内部シリンダーのアレイが、該ヘッド内に形成され、そして前記ピペットチップの対応するアレイと共にハーメチックシールされるように適合され得る。
【0024】
本発明はまた、多数の容器中に正確な量の流体を同時に分配するためのシステムであって、以下:単一の構成のシリンダーブロックであって、その中に該シリンダーブロックの上表面から該シリンダーブロックの下表面まで互いに少なくとも実質的に平行に延びる複数の孔を有し、各孔が、押し出し具を密閉して受容し、かつ該押し出し具を該シリンダーブロック内で軸方向に移動させる形態であり、各孔は、開口部内の下表面で終結し、各開口部は、環状の境界領域にある円錐台形状の下部分と交差する円筒形の上部分を有する、シリンダーブロック;および該シリンダーブロックと離脱可能に係合される複数のピペットチップであって、各チップの一部分が、該シリンダーブロックの孔の1つを貫通し、かつ該境界領域の開口部の1つを密封して係合し、該ピペットチップと該シリンダーブロックとの間の環状シールを生成する、ピペットチップを備えるシステムに関する。
【0025】
前記複数のシリンダーは、384のシリンダーのアレイを備え得る。
【0026】
上記システムは、前記シリンダーブロックと、前記ピペットチップの各々の高くなった中央部分との間に位置決めされるストリッパープレートをさらに備え、該ストリッパープレートがその中に複数の穴を有し、各穴が対応する該ピペットチップの上部分が妨害されないでそれを通過するには十分大きいが、各高くなった中央部分が、該ストリッパープレートの該シリンダーブロックから離れる移動が該ピペットチップを前記ブロックから離すようそれを通過するに小さすぎるような構成であり得る。
【0027】
上記システムは、前記シリンダーブロックと、前記ピペットチップの各々の高くなった中央部分との間に位置決めされるストリッパープレートをさらに備え、該ストリッパープレートがその中に複数の穴を有し、各穴が対応する該ピペットチップの上部分が妨害されないでそれを通過するに十分大きいが、各高くなった中央部分が、該ストリッパープレートの該シリンダーブロックからの移動が該ピペットチップを前記ブロックから離すようにそれを通過するには小さすぎ、該ストリッパープレートが、該ストリッパープレートが該シリンダーブロックから離れて移動するとき該ピペットチップが一度に小数で該シリンダーブロックから除去されるように、該シリンダーブロックの下表面に対し所定の角度で配向され得る。
【0028】
本発明はまた、多数の容器中に正確な量の流体を同時に分配する使い捨てピペットとの使用のためのシステムであって、このシステムは:シリンダーブロックであって、その中に該シリンダーブロックの上表面から該シリンダーブロックの下表面まで互いに少なくとも実質的に平行に延びる複数の孔を有し、各孔は、開口部内の下表面で終結し、各開口部は、環状の境界領域にある円錐台形状の下部分と交差する円筒形の上部分を有し、該開口部が、該開口部の境界領域がピペットチップを係合してそれらの間に環状のシールを生成するように、該シリンダーブロックの下表面の下から該ピペットチップをその中に受容するようなサイズであり、各孔が、該シリンダーブロックの上表面の上から押し出し具を受容し、かつ該押し出し具を該シリンダー内で軸方向に移動させ、正確な量の流体を選択的に吸収および分配する構成であり得る。
【0029】
前記シリンダーブロックは、単一の構成であり得る。
【0030】
前記複数のシリンダーは、384のシリンダーのアレイを備え得る。
【0031】
本発明はまた、複数の押し出し具および対応する複数のシリンダーを有するアセンブリと組み合わせて使用するためのピペットチップのシステムであって、多数の容器中に正確な量の流体を同時に分配し、各シリンダーが、円筒形の上部分および円錐台形状の下部分を備える開口部を有し、以下:それを通る複数の穴を備える上表面を有するボックス;お
よび該ボックスの穴内に保持される複数のピペットチップであって、各チップが、上部分、下部分、該上部分と下部分との間に位置する高くなった中央部分、および該上部分から下部分まで該ピペットチップを通って延びる孔を有し;該ピペットチップの各々の下部分は、該孔の少なくとも一部分中に、およびそれから流体を吸引および分配するために適合され;該ピペットチップの各々の上部分は、実質的に円錐台形状であり、そして該シリンダーの1つの開口部を部分的に貫通し、かつそれをシールして係合して環状シールを形成するサイズであり;該ピペットチップの各々の高くなった部分は、該ボックスの上表面に対し、該ピペットチップの下部分が該ボックス内に含まれるように、かつ該ボックスを該アセンブリに向かって該ピペットチップを該シリンダーと整列させて押すことが、該複数のピペットチップを個々のシリンダーに同時に装填することを生じるように位置決めされるピペットチップを備え得る。
【0032】
前記ピペットチップの各々の高くなった中央部分は、中実の環状構造の形態であり得る。
【0033】
前記ピペットチップの各々の高くなった中央部分は、単一の形態であり得る。
【0034】
前記ピペットチップの各々は、単一の形態であり得る。
【0035】
前記複数のピペットチップは、少なくとも384のピペットチップを備え得る。
【0036】
前記高くなった中央部分は、環状形態であり得る。
【0037】
前記穴の数は、前記ピペットチップの数に等しくても良い。
【0038】
前記ピペットチップの各々の高くなった中央部分は、その中に流体がトラップされることを防ぐよう適合され得る。
【0039】
本発明はまた、チップボックスにおける複数のその他のピペットチップとの貯蔵のため、および、複数の押し出し具と対応する複数のシリンダーとを有するアセンブリ中で該複数のその他のピペットチップとの、多数の容器内に正確な量の流体を同時に分配するための同時使用のためのピペットチップであって、各シリンダーは、円筒形の上部分および円錐台形状の下部分をもつ開口部を有し、該ピペットチップが:上部分、下部分、該上部分と下部分との間の高くなった中央部分、および該上部分から下部分まで該ピペットチップを通って延びる孔を有する一体型の本体であって;該ピペットチップの下部分が、該高くなった中央部分から下方に突出し、そして該チップボックスの上表面中の複数の穴の1つに挿入されるサイズであり;該孔が、流体を吸引および分配するように適合された単一チャンバーであって;該ピペットチップの上部分が、該高くなった中央部分から上方に突出し、そして対応する該シリンダーの開口部を少なくとも部分的に貫通するために実質的に円錐台形状であって、かつ該円筒形の上部分と円錐台形状の下部分との間の開口部と係合して、該シリンダーと該ピペットチップとの間の実質的に環状のシールを形成し;該ピペットチップの高くなった中央部分が、その中に腔のない中実の本体であって、かつ該ピペットチップのチップ下部分が、該穴に挿入されるときに、該ピペットチップが該チップボックス内に保持されるときピペットチップの上部分が該シリンダーとの係合のために該チップボックスの上に突出するように該ボックスの上表面に対して突き当たるサイズである本体を備え得る。
【0040】
前記ピペットチップの円錐台形状部分は、対応する前記円筒形開口部の円錐台形状部分より小さいテイパー状であり得る。
【0041】
前記高くなった部分中央部分は、環状形状であり得る。
【0042】
前記ピペットチップは、一体形状であり得る。
【0043】
本発明はまた、ピペットチップであって、その中に複数の穴をもつ上表面を有するチップボックスにおける複数のその他のピペットとの貯蔵のため、および、複数の押し出し具と、対応する複数のシリンダーとを有するアセンブリ中で該複数のその他のピペットチップとの、多くの容器内に正確な量の流体を同時に分配するための同時使用のためのピペットチップであって、以下:上部分、下部分、該上部分と下部分との間に位置決めされた高くなった中央部分、および該上部分から下部分まで該ピペットチップを通って延びる単一チャンバーの孔を有する本体であって;該ピペットチップの下部分が、該高くなった中央部分から第1の方向に突出し、そして該チップボックスの上表面中の複数の穴の1つに挿入されるサイズであり;該孔が、流体を吸引および分配するように適合され;該ピペットチップの上部分が、該高くなった部分中央部分とは反対の第2の方向に突出し、そして該シリンダーの1つを少なくとも部分的に貫通し、かつその中に捕獲されて係合するようなサイズかつ形状であり;該ピペットチップの高くなった中央部分が、その中に腔のない中実の本体であって、かつ該ピペットチップのチップ下部分が、該穴に挿入されるときに、該ピペットチップが該チップボックス内に保持されるとき該ピペットチップの上部分が該シリンダーとの係合のために該チップボックスの上に突出するように該ボックスの上表面に対して突き当たるサイズである本体を備え得る。
【0044】
前記高くなった部分中央部分は、環状形状であり得る。
【0045】
前記ピペットチップは、一体形状であり得る。
【0046】
前記高くなった部分中央部分は、前記ピペットチップの全周縁の周りに延び得る。
【発明の効果】
【0047】
ピペットチップが貫通する開口部を有するシリンダーと、この開口部との間で密閉シールを形成するサイズ、すなわち、その外径でシリンダーの開口部を密閉するピペットチップを組み合わせが提供され、これによって、多数の容器中に正確な量の流体を同時に分配するためのシステムが提供される。この構成により、本発明は、従来技術の、ピペットチップの内径でシリンダーと液体シールを形成するシステムと異なり、個々のピペットサイズを小さくでき、例えば、従来の384マイクロプレートに必要な4.5mm間隔より小さいピペットチップの外径を達成することを可能にする。ピペットチップの内径でシリンダーと液体シールを形成する構成では、必然的にピペットチップの外径は大きくならざるを得ないからである。
【0048】
外径でシリンダーの開口部を密閉するピペットチップを基に、このような新しいピペットチップのために必要な新規に設計された分配ヘッドを含めた、シリンダーとのピペットチップの密閉方法、装填方法、および脱着システムが提供される。これによって、i)ロボット化または自動化に容易に適合する;ii)384フォーマット(4.5mm間隔)のマイクロプレート以上の高い密度形式を可能にする;iii)製造コストの減少がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(発明の説明)
基本的な液体分配装置、および特に、チップボックストレイキャリア22のような種々の成分を動かすために使用される装置は、1996年11月18日に出願された米国特許出願番号08/751,859に記載され、そして簡潔さのために、本明細書中で繰り返
さない。続く議論は、新しいピペットチップ設計および分配ヘッド装置に向けられ、両方とも384マイクロプレート(およびそれらの倍数)が、液体を受けそして分配するために使用することを可能にする。
【0050】
本発明は、外径(OD)で密閉し得、そして自動チップ装填および脱着(非装填)を可能とする新しいピペットチップに関する。さらに、分配ヘッド装置は、液体を一度に384のマイクロプレートへ、あるいは、複数の動作によって、1536のマイクロプレートへ分配または吸引し得る新しいピペット分配ブロックヘッドを組み込む。動作プレートは、本発明の主題ではないが、96から394、または384から1536のマイクロプレートの移動の反復のために指標を付けるために使用され得る。分配ブロックヘッドは、出願番号08/751,859に記載される設計に必要とされるような384の別のシリンダーではなく、一つの固体ブロックから組み立てられていて、従って、基本的に、シリンダーヘッドとして機能する。
【0051】
図1は、本発明の分配ヘッド装置10の簡略化した正面図である。分配ヘッド装置10は、新しい分配ブロックヘッド26およびピペットチップ20を除いて、’859号出願に記載される装置と基本的に同一である。特に、分配ヘッド装置10は、ピストンプレート12、蹄鉄形プレート14、移動可能ピペットチップボックスキャリアを装填するプレート16、384ピペットチップボックス18、ピペットチップ20、ピペットチップボックストレイキャリア22、ピペットチップボックストレイキャリアを装填するピン24、および分配ブロックヘッド26を備える。浮動ストリッパープレート30は、本明細書に後でより詳細に記載されるが、これもまた、分配ヘッド装置10にとって新しい。
【0052】
図6および図7は、図1に示される分配ブロックヘッド26と共に装填されるべき位置に配置されたピペットチップ20の上部のテイパー状部分2を図示する。ピペットチップ20は、プラスチック材料で形成され、分配ブロックヘッド26に装填される場合、図7に示されるような密閉境界7を形成するように適合される上部のテイパー状部分2を備える。上部のテイパー状部分2はまた、図2に示されるようなチップ装填の間、ピペットチップ20を分配ブロックヘッド26に形成された内部シリンダー13へ中心を合わせるように機能する(例示される図において、分配ブロックヘッド26は、384の内部シリンダーを含み;384の穴の1つの内部シリンダーのみが例示される)。上部のテイパー状部分2の中心合わせ機能はまた、ピペットチップ変動に順応し、この変動は、形成プロセスにおいて通常起こるが、使用する384のピペットチップに対して利用可能なハーメチックシールをなお提供する(使用されるピペットチップの数は、分配ブロックヘッド26における内部シリンダーの数と一致する)。円板形のリング部分3は、上部のテイパー状部分2を、下部のテイパー上の部分4から分離し、円板形のリング部分3は、上部表面5および下部表面6を有する。チップ装填順序の間、円板形のリング部分3の下部表面6は、ピペットチップボックス18に止まり、そしてピペットチップボックス18が、(前述の特許出願におけるプロセスと同様に)装填順序の間に引っ張られる場合、ピペットチップ20は、分配ブロックヘッド26へと空気の作用によって引き込まれ、上部のテイパー状部分2および内部シリンダー13と共にハーメチックシールを形成する。軸の装填力は、ピペットチップ20を取り換え、シールが、内部シリンダー13の上部のテイパー状部分の外径と共になされ、そして吸引および分配の間、摩擦的に捕捉して保持されることを保証する。
【0053】
ピペットチップ装填順序は、ピペットチップ20を、ピペットチップボックス18から移動させ、そして上向きの力によって、それらを示されるように分配ブロックヘッド26へ軸に沿って装填する。x、y、zの動作で分配ブロックヘッドを移動させることによって、ピペットチップ20を装填する機械的方法は、分配ヘッド装置10へ組込まれた浮動ストリッパープレート30を加えた、前述の出願に記載されるものと同じである。装填順
序が開始する場合、移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16は、浮動ストリッパープレートガイドピン35によって提供される整列と共に、ピペットチップボックストレイキャリア22、およびピペットチップ20を有するピペットチップボックス18を、分配ブロックヘッド26に向かって嵌合するまで上げ(それと共に引っ張り)、浮動ストリッパープレート戻りバネ32を移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16に対して押し付ける。これは、分配ブロックヘッド26の移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16を介する自由な通過を可能とし、一方、同時に、浮動ストリッパープレート30と分配ブロックヘッド26との間にゼロギャップ条件を形成する。ピペットチップボックス18は、上昇しつづけ、円板形のリング部分3の下部表面6に力を適用することによって、ピペットチップ20を、図7に示されるように分配ブロックヘッド26およびその密閉境界7へと押す。浮動ストリッパープレート30は、ここで、分配ブロックヘッド26と円板形のリング部分3の間に配置される。ピペットチップ20は、ここで、密閉され、そして分配ブロックヘッド26の内部シリンダー13内でハーメチックシールされる(hermeticallysealed)。図4は、ピペットチップボックストレイキャリア22に対するチップボックストレイキャリアを装填するプレート16に係合したピペットチップボックスキャリア22を図示する。図5は、ピペットチップボックス18が、移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16から外れているピペットチップボックスキャリア22を図示する。分配ブロックヘッド26は、ここで、自由に移動する。ピペットチップ20を、脱着する場合、反対の順序が、前述の出願に記載される形式で行われる。
【0054】
ピペットチップ20を分配ブロックヘッド26から脱着するために、以下の順序が起こる:
1.分配ブロックヘッド26を、固定位置に置き、そして移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16を下に動かす(基本的に、分配ブロックヘッド26は、シリンダーブロックとして機能する)。
【0055】
2.移動可能なピペットチップボックスキャリア装填プレート16は、その底部表面に傾斜した表面ポケット51を有し;傾斜した表面ポケット51は、浮動ストリッパープレート30と嵌合し、浮動ストリッパープレート30をまた下方への移動の際傾斜させる。浮動ストリッパープレート整列ピン32は、移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16のテイパー状の穴を通過する。テイパーは、浮動ストリッパープレート30が、移動可能なピペットチップボックストレイキャリア装填プレート16の傾斜した表面ポケット51に一致するのを可能にする。
【0056】
3.浮動ストリッパープレート30の引き続く下方への移動によって、最終的に、円板形のリング部分3の上部表面5に接触する。
【0057】
4.分配ブロックヘッド26は、固定位置にあるので、移動可能なピペットトレイキャリア装填プレート16および浮動ストリッパープレート30の動作によって、ピペットチップ20が連続する形式で脱着する。図9は、浮動ストリッパープレート30、係合しそして完全に展開された移動可能なピペットチップボックスキャリア装填プレート16、および分配ブロックヘッド26から脱着したピペットチップ20を図示する。図10(a)および図10(b)は、分配ブロックヘッド26からの一つのピペットチップ20の排出における2つの段階を図示する。図10(a)において、移動可能なチップボックスピペットトレイキャリア装填プレート16は、浮動ストリッパープレート30に向かって下方へ移動し;図10(b)において、移動可能なピペットチップボックスキャリアプレート16は、浮動ストリッパープレート30と係合している。端ぐり33は、浮動ストリッパープレート30に形成され、ピペットチップ20の円板形のリング部分が、分配ブロックヘッド26に装填される場合そこに配置され、そして代わりに、浮動ストリッパープレー
ト30によって脱着させることを可能とする。
【0058】
傾斜したポケット51は、一度に分配ブロックヘッド26から全てのピペットチップ20を無理に通させないことによって、滑らかな操作を保証し、代わりに、一度に1列のチップの脱着を可能とする。脱着機能は、全てがピペットチップボックス18に落ちてしまうまで、ピペットチップ20上の円板形のリング部分3の上部表面5に適用される軸方向力によって提供される。一旦、ピペットチップ20が、ピペットチップボックス18に装填し戻されると、ピペットチップボックス18およびピペットチップボックストレイキャリア22は、分配ヘッド装置10の「X」、「Y」、「Z」動作を用いて台に戻される。
【0059】
図8は、384のマイクロプレート60から吸引するために使用されている分配装置を図示する。
【0060】
従って、本発明は、改良された分配ヘッド、および現在利用可能なより高い密度のマイクロプレートと共に使用可能な関連するピペットチップを提供し、ここで、分配ヘッドの製造コストは、実質的に減少する。
【0061】
本発明は、その好ましい実施形態の参考と共に記載されたが、種々の変化がなされ得、そして、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、等価物がその要素を置換し得ることが、当業者に理解される。さらに、改変が、特定の状況または材料を本発明の基本的な教示から逸脱することなく本発明の教示に適応させるために、成され得る。
【0062】
本発明のより良い理解ならびに他の目的およびそのさらなる特徴のために、参照を以下の記述に対してなし、これは、本明細書中に添付される図面と組み合わせて読まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
固体分配ブロックから容器に、制御された量の液体を吸引および分配するための装置が提供される。
(要約)
自己収納分配ヘッド装置(10)であって、ここで、改変されたピペットチップボックストレイキャリア(22)が、標準ピペットチップボックス(18)内に備えられたピペットチップ(20)をヘッド装置にピペットチップボックストレイキャリアによって取り付けるために利用され、そしてピペットチップが、分配ブロックヘッド(26)に形成された対応する内部シリンダー(13)へと装填される形式でピペットチップボックストレイキャリアを係合させるための手段が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、ピペットチップボックスがピペットチップボックストレイキャリアから装填される分配ヘッド装置の側面図である。
【図2】図2は、分配ヘッドブロックにピペットチップを装填する工程を図示する。
【図3】図3は、ピペットチップボックスからのピペットチップの除去を図示する。
【図4】図4は、ピペットボックストレイキャリアを装填するプレートに係合するトレイキャリアの断面図である。
【図5】図5は、ピペットチップボックスが、チップボックストレイキャリアを装填するプレートから除去されている、図4のトレイキャリアを図示する。
【図6】図6は、密閉係合のために配置された分配ブロックヘッドおよびピペットチップの拡大部分断面図である。
【図7】図7は、分配ブロックヘッドに係合した図6のピペットチップを図示する。
【図8】図8は、384ウェルマイクロプレートから吸引する分配ヘッド装置を図示する。
【符号の説明】
【0065】
2 上部テイパー状部分
3 リング部分
4 下部テイパー状部分
5 リング部分の上部表面
6 リング部分の下部表面
10 分配ヘッド装置
12 ピストンプレート
13 内部シリンダー
14 蹄鉄形プレート
16 装填プレート
18 ピペットチップボックス
20 ピペットチップ
22 チップボックストレイキャリア
24 ピン
26 分配ブロックヘッド
30 浮動ストリッパープレート
32 浮動ストリッパープレート戻りバネ
35 浮動ストリッパープレートガイドピン
51 傾斜表面ポケット
60 マイクロプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の容器中に正確な量の流体を同時に分配するためのシステムであって、以下:
単一の構成のシリンダーブロックであって、その中に該シリンダーブロックの上表面から該シリンダーブロックの下表面まで互いに少なくとも実質的に平行に延びる複数の孔を有し、各孔が、押し出し具を密閉して受容し、かつ該押し出し具を該シリンダーブロック内で軸方向に移動させる形態であり、各孔は、開口部内の下表面で終結し、各開口部は、環状の境界領域にある円錐台形状の下部分と交差する円筒形の上部分を有する、シリンダーブロック;および
該シリンダーブロックと離脱可能に係合される複数のピペットチップであって、各チップの一部分が、該シリンダーブロックの孔の1つを貫通し、かつ該境界領域の開口部の1つを密封して係合し、該ピペットチップと該シリンダーブロックとの間の環状シールを生成する、ピペットチップ、を備えるシステムであって、
該シリンダーブロックと、該ピペットチップの各々の高くなった中央部分との間に位置決めされるストリッパープレートをさらに備え、該ストリッパープレートがその中に複数の穴を有し、各穴が対応する該ピペットチップの上部分が妨害されないでそれを通過するには十分大きいが、各高くなった中央部分が、該ストリッパープレートの該シリンダーブロックから離れる移動が該ピペットチップを前記ブロックから離すようそれを通過するに小さすぎる、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−300968(P2006−300968A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220864(P2006−220864)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【分割の表示】特願2001−538772(P2001−538772)の分割
【原出願日】平成12年11月13日(2000.11.13)
【出願人】(502178399)
【Fターム(参考)】