説明

分配装置用チャイルドプルーフクロージャ

【課題】本発明はバヨネット式固定手段を有する分配装置用チャイルドプルーフクロージャを提供する。
【解決手段】本発明は、クロージャ(40、50、80、100)は第1係合要素(43、70)を有するクロージャ要素(40、50)および少なくともクロージャ要素(40、50)の一部を覆い、第2係合要素(75、130)を有する固締キャップ(80、100)を有する。固締キャップ(80、100)およびクロージャ要素(40、50)が結合力をもって強力に接続され、かつ、形状整合要素(58、60、90、120)によって互いに回転できる。固締キャップ(80、100)は少なくとも部分的に弾力的に変形できるよう構成され、これにより第1および第2係合要素(43、70、75、130)はクロージャ要素(40、50)に向かって固締キャップ(80、100)を押し込むことで互いに係合できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バヨネット式固定手段を有する分配装置用チャイルドプルーフクロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
分配装置、特に、多成分材料を混合および排出する多成分カートリッジは、例えば、特許文献1により公知である。クロージャキャップまたは混合器要素は、バヨネット式クロージャにより分配装置に固定される。
【0003】
多くの場合において、多少化学的に侵襲性のある物質に対してこのような分配装置を使用し、摂取または皮膚との接触を防止する。防止しなければ、人間または動物への中毒または化学火傷を引き起こす場合もある。一般に、大人はこのような物質の正しい取扱いを把握しているのに対して、特に子供は、分配装置の内容物を食べられるもの、摂取するものと考える危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0730913号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、バヨネット式固定手段を有する分配装置用チャイルドプルーフクロージャであって、特に、子供が分配装置中に存在する物質に対して偶然に接することを防止する分配装置用チャイルドプルーフクロージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する分配装置によって達成される。本発明の利点および本発明の更なる発展の手段は従属項に規定される。
【0007】
本発明によるクロージャは、分配装置を開口するための力の付加作用を伴う種々の動作手順の調整を必要とし、子供、特に幼い子供によって開口することができない。結果、本クロージャが子供に対して安全である。
【0008】
チャイルドプルーフクロージャは、特に、複数の円筒形容器を含む多成分カートリッジに適している。チャイルドプルーフクロージャは、好ましくは二成分を分配する二重カートリッジに適している。容器は好ましくは円筒形チャンバを含む。チャンバ、すなわち、中空円筒形カートリッジ容器の内側空間は円筒形、楕円断面または多角断面の形状を有することがある。多成分カートリッジは排出プランジャも含み、排出プランジャーは各チャンバに対して形状整合ピストンを有する。
【0009】
多成分カートリッジは、円筒形チャンバに加えて、吐出部として使用する成形体も含む。この観点において、例えば、吐出部は個々のチャンバおよび/または円筒形接続部の管状成形体全体に関係する。吐出部はクロージャによって係合可能であり、クロージャ側にあらゆる成分に対する出口開口部を有する。すなわち、個々の成分はクロージャ側において吐出部まで互いに分離したままであり、これにより、成分が早々に混合することを防止する。
【0010】
多成分カートリッジの吐出部は、例えば第1バヨネット式固定手段を含む。クロージャは、例えば対応する第2バヨネット式固定手段を含む。二つのバヨネット式固定手段の一方はバヨネット式つばを有し、他方のバヨネット式固定手段の対応するソケット要素に挿入することができる。両バヨネット式固定手段はクロージャおよび分配装置または多成分カートリッジを予め整合するためのコード要素をも適宜に有する。
【0011】
本発明によるチャイルドプルーフクロージャは、第1係合要素を有するクロージャ要素、第2係合要素を有し、少なくとも部分的にクロージャ要素を覆う固締キャップを有する。また、固締キャップおよびクロージャ要素は形状整合要素を含み、クロージャ要素および固締キャップを結合力をもって強力に接続させる。これにより、固締要素がクロージャ要素に対して圧力のないまま、すなわち機械的圧力が外側から固締キャップにかからない限り、クロージャ要素および固締キャップは互いに対して自由に回転可能に支持されたままとなる。固締キャップは少なくとも部分的に弾力的に変形できるよう構成され、これにより、第1および第2係合要素が、クロージャ要素に対してキャップを押付けることにより互いに係合することができる。
【0012】
固締キャップは好ましくはビーカー状のまたはキャップ状の要素であり、固締キャップはクロージャ要素に押し込むことができるよう構成されている。この観点において、クロージャ要素および固締キャップは、好ましくはベースまたはカバーを有する中空円筒形要素であり、固締キャップはクロージャ要素より大きい断面を有する。これにより、固締キャップは、クロージャ要素の中空円筒部に固締キャップの中空円筒部を押し込むことができる。
【0013】
クロージャ要素は、好ましくは中空円筒部およびベースを有するビーカー状の要素であり、クロージャ要素はジャケット表面、すなわち中空円筒部の外側またはベースの外側に第1係合要素を有する。
【0014】
固締キャップは、好ましくはクロージャ要素に押し込むことが可能な要素であり、同様にビーカー状またはハット状であり、中空円筒部およびベースを有する。固締キャップは、好ましくは第2係合要素を内側、すなわち中空円筒部の内側またはベースの内側に有する。
【0015】
固締キャップは、クロージャ要素に押し込む固締キャップが、クロージャ要素に対して機械的に非ストレス状態、すなわち第1および第2係合手段が互いに係合していない状態で、自由に回転できるよう寸法が定められている。この観点において、「機械的に非ストレス状態」とは、クロージャ要素に押し込む固締キャップに外力を及ぼさないことを意味する。例えば、キャップを圧縮、または固締キャップをクロージャ要素に押し込むまたは押付けることにより生じる可能性がある外力を及ぼさないことである。
【0016】
クロージャ要素および固締キャップにおける係合要素は、好ましくは鋸歯構造部、すなわち鋸歯の形状を有するリブにより構成されている。ゆえに、クロージャ要素および固締キャップの係合要素は、ともに鋸歯結合を構成することが好ましい。
【0017】
固締キャップは、常にクロージャ要素に固定される必要があるが、無圧状態では自由に回転可能である。これは、さねはぎ継ぎ式接続(tongue and groove connection)要素の使用により行われることが好ましい。本目的のために、クロージャ要素は、例えば、同心状の長手方向軸に対して横方向に延在し、周方上または扇状に区切られた溝を有する。固締キャップは、例えば、ばね要素を有し、クロージャ要素の溝に弾力的に係合可能であり、固締キャップとして成形する。他方で、固締キャップも同心状の長手方向軸に対して横方向に延在し、周方上または扇状に区切られた溝を有する。クロージャ要素は、少なくとも一つのばね要素を有し、溝に弾力的に係合可能であり、クロージャ要素として成形する。
【0018】
分配装置またはクロージャ要素のソケット要素は、例えば随意に切下げ(undercut)を有するリング状または扇状の要素である。したがって、リング状または扇状の要素は、バヨネット式つばを受け入れるために少なくとも部分的に形状を整合させるために使用される。
【0019】
ソケット要素の切欠き、すなわち二つの扇状のソケット要素との間に位置する自由な空間、および対応して設計された異なる幅を有するバヨネット式つばは、ともに好ましくはコード要素として使用される。バヨネット式つばは、リング状または扇状のソケット要素の切欠きに対して、クロージャ要素または分配装置のバヨネット式つばが特定の位置にのみ挿入可能となるよう構成される。
【0020】
ソケット要素および分配装置は一体に、適宜、型成形体の形状で構成されることが好ましい。バヨネット式つばも同様に型成形体の形状でクロージャ要素と一体に成形されることが好ましい。または、ソケット要素もクロージャ要素と一体に型成形体の形状で構成され、バヨネット式つばは、型本体要素として分配装置と一体に成形できる。
【0021】
非常に好ましくは、クロージャ要素は、少なくともジャケット表面の一部において同心状の長手方向軸に平行に延在する鋸歯構造部を有する円筒形要素である。固締キャップは、中空円筒部およびベースを有するビーカー状の要素として構成され、ビーカー状の要素の内側は同心状の長手方向軸に平行に延在する鋸歯構造部を有し、クロージャ要素の鋸歯構造部と係合可能である。この観点において、クロージャ要素は、同心状の長手方向軸に対して横方向に分配装置に向けられたジャケット表面の縁に半径方向に突出した弓状のバヨネット式つば有する。
【0022】
さらなる好ましい実施例において、クロージャ要素は中空円筒部およびベースを有するビーカー状の要素であり、少なくとも外側の底面の一部において、半径方向外側に延在する鋸歯構造部を有している。固締キャップは、同様に中空円筒部およびベースを有するビーカー状の要素を示す。固締キャップのベースの内側には半径方向外側に延在する鋸歯構造部を有し、クロージャ要素の鋸歯構造部と係合可能である。この観点において、さらにクロージャ要素は、同心状の長手方向軸に対して横方向に分配装置に向けられたジャケット表面の縁に半径方向に突出した弓状のバヨネット式つばを有する。
【0023】
さらに好ましくは、当接側面が、分配装置またはクロージャ要素において二つのバヨネット式固定手段の回転境界として存在し、クロージャ要素の長手方向軸に平行に延在し、バヨネット式つばに配置される。
【0024】
本発明によるクロージャは、分配装置を閉じるためのキャップを示すが、混合器要素、特に、分配装置の内容物と流体連通可能である、スタティックミキサー要素を有することが可能である。混合器要素は、クロージャ要素および固締キャップを貫通し、さらにクロージャ要素及び固締キャップは混合器に対して自由に回転可能に構成されるが、密閉されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】二重カートリッジの縦断面図である。
【図2】図1のカートリッジの平面図である。
【図3】クロージャ要素の第2バヨネット式固定手段の平面図である。
【図4】バヨネット式クロージャによって二重カートリッジに固定したクロージャの第1の実施形態の斜視図である。
【図5】図4に示したクロージャを部分的に開口した斜視図である。
【図6】クロージャ要素および図5に示したクロージャのクロージャ要素と整合する固締キャップの斜視図である。
【図7】バヨネット式クロージャによって二重カートリッジに固定したクロージャの第2の実施形態の斜視図である。
【図8】図7に示したクロージャを部分的に開口した斜視図である。
【図9】クロージャ要素および図8に示したクロージャのクロージャ要素と整合する固締キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
下記の図を例として本発明を以下に更に説明する。図面は以下のとおりである。
【0027】
図1は、分配装置5の縦断面図であり、二重カートリッジとして構成され、調量比1:1にするために断面積が同一の二つの円筒形容器を有する。容器8は、二つの別々の円筒状で相互に間隔を有する吐出口9および10に開口する。二成分用スタティックミキサーが分配装置に接続した場合、分配装置の吐出口9、10は混合器の注入口に取付けまたは嵌め込み、これにより、しっかりと固定接続することになる。分配装置5はさらに、ソケット要素25、27の形状で第1バヨネット式固定手段20を有する。ソケット要素は、第2バヨネット式固定手段を受け入れるための吐出口9、10の周囲に延在するリング状または弓状の溝を構成する。
【0028】
図2は、図1に示した、断面積が同一の二つの円筒形容器8を有する分配装置5の平面図を示す。吐出口9、10に加えて、分配装置5の前側6には二つの相互に向かい合った弓状のソケット要素25および27を有し、弓状の要素25は弓状の要素27よりも多少広い。弓状のソケット要素25および27は対応している弓状溝22を有し(図1参照)、クロージャ要素50のバヨネット式つば30、32を受け入れに使用する(図3および図4参照)。ソケット要素25、27は補強リブ7によって補強される。分配装置5の前側6は、さらに視覚的コード手段としてV字型ノッチ13を有する。弓状のソケット要素25は、半径方向内側にV字型に開口する凹所23を含み、クロージャ要素に成形されたコード突起35と協同できる(図3参照)。これにより、クロージャ要素50は一方向にのみ挿入でき、これは統合された混合器を備えたクロージャに特に重要である。二重カートリッジとして構成され、二つの容器8、吐出口9および10、弓状のソケット要素25および27、ならびに補強リブ7を有する分配装置5は、好ましくはともに鋳造プラスチック部品、特に射出ダイカスト部品として形成する。
【0029】
図3は、クロージャ要素50およびクロージャ要素50の円筒部55の第2バヨネット式固定手段の平面図を示す。クロージャ要素50は、二つの弓状のバヨネット式つば30および32を有する。バヨネット式つば30はさらに、コード手段として外側に開口するV10字型ノッチ38を含み、これは、例えば分配装置5のノッチ13に相当する。これにより、クロージャ要素を分配装置5のソケット要素に係止するのではなく、押し込むことにより、ノッチ13および38は、例えば互いに重なるように位置する。クロージャ要素50は円筒部55に成形されたコード突起35を含み、これは、分配装置5のバヨネットソケット25、27にクロージャを導入するためのソケット要素25のV字型凹所23に相当する。分配装置5のノッチ13はさらにコード突起35に相当し、クロージャ要素50は分配装置5のソケット要素に完全に係止される。すなわち、コード突起35およびノッチ13は互いに重なるように位置する。バヨネット式つば30、32およびコード突起35は、好ましくはビーカー状のクロージャ要素50と一体に成形され、これにより、バヨネット式つばおよびコード突起を含むクロージャ要素が、好ましくは成形部品、特にプラスチック射出成形部品を構成する。
【0030】
図4は、バヨネット式クロージャによって二重カートリッジに固定されたクロージャの第1実施形態の斜視図を示す。二重カートリッジは二つの容器8を含み、弓状のソケット要素25、27はカートリッジの前側6に成形され、強化リブによって半径方向に安定化している。クロージャ要素50はソケット要素25、27の弓状溝22に導入されたバヨネット式つば30、32によって固定される。バヨネット式つば30、32はクロージャ要素50と一体に成形される。クロージャ要素50はさらに、コード突起35を有し、図に示したように、閉じた状態、すなわちクロージャ要素50のバヨネット式つば30、32がカートリッジのソケット要素に完全に押し込まれた状態で、コード突起35はカートリッジの前側6のV字型のノッチ13と揃う。クロージャ要素は、大部分が固締キャップ80に覆われ、すなわち、固締キャップが閉じた状態でソケット要素25、27まで到達し、これにより、カートリッジに向けられ、バヨネット式つば30、32およびコード突起35を含むクロージャ要素50の下部のみが露出し、外側から見ることができる。固締キャップ80はジャケット表面に波状部85を有し、固締キャップ80をより簡単に取扱うために使用される。波状部85は固締キャップ80の長手方向軸と平行に延在する多数のウェブから構成され、ウェブは固締キャップの周方上全体にわたって円周方向に配置されている。しかしながら、ウェブの長さは、固締キャップの長手方向軸における固締キャップのジャケット表面の長さより短く、波状部はカートリッジに向けられた固締キャップ80の下部マージンまで到達する。
【0031】
図5は、図4に示したクロージャを部分的に開口した斜視図を示す。図5から明らかにわかるように、クロージャ要素50は、上方の領域、すなわちバヨネット式フランジと反対方向に向けた領域において、中空円筒部55の内側に周方向ラッチ溝60を有し、固締キャップのばね要素90と係合する。図5に示した固締キャップ80は、カバーに三つの凹所61、62、63を有し、ばね要素90は各凹所に成形される。ラッチ溝60およびばね要素90はともにさねはぎ継ぎ式接続部またははめ込み接続部を形成する。クロージャ要素50および固締キャップ80は、さねはぎ継ぎ式ラッチ要素60、90により一体に形成し、固締キャップ80は、クロージャ要素50に対して機械的に非ストレス状態、すなわち半径方向に非加圧状態で、自由に回転可能である。しかし、固締キャップ80はクロージャ要素50と常に接続され、すなわちクロージャはクロージャ要素50とこれと結合力をもって強力に係止する固締キャップ80から構成されるが、回転可能に支持される。
【0032】
図5からわかるように、クロージャ要素50はジャケット表面に鋸歯構造部70を有し、鋸歯形状で、クロージャ要素50の長手方向に延在するリブから構成されている。固締キャップ80はこれに対応する鋸歯構造部75を有する。固締キャップ80が半径方向に加圧されない限り、クロージャ要素50および固締キャップ80の鋸歯構造部70、75は互いに係合しない、すなわち鋸歯構造部を有する固締キャップ80の内径は、鋸歯構造部を有するクロージャ要素の外径よりも大きい。固締キャップ80は弾性材料からなり、これにより、固締キャップ80に半径方向の圧力aを及ぼす場合、クロージャ要素50および固締キャップ80の鋸歯構造部70、75は互いに係合し、クロージャ要素50は、その結果、方向bに回転可能となる。カートリッジ5からクロージャ50、80の固定および取り外しは、結果として半径方向の圧運動aおよび対応する回転運動bを必要とする(図4参照)。
【0033】
図6は、図5に示したクロージャ要素50およびクロージャ要素50と整合する固締キャップ80の斜視図を示す。図6に示したクロージャ要素50は、円筒部55の下端に弓状のバヨネット式つば30、32と、コード手段として外側に開口したV30字型ノッチ38と、二重カートリッジのソケット要素25の凹所23(図2、図4および図7を参照)に対応するコード突起35とを有する。クロージャ要素50の円筒部55のジャケット表面には鋸歯構造部70を示し、この構造部70が、鋸歯形状で、クロージャ要素50の長手方向に延在するリブから構成される。周方向ラッチ溝60は、クロージャ要素50の中空円筒部55の内側における上方の領域に位置している。
【0034】
図6は、さらに固締キャップ80のカバーに成形するばね要素90を有するクロージャ要素50に整合する固締キャップ80を示す。固締キャップ80の中空円筒部83の内壁には、クロージャ要素50の鋸歯構造部70に対応する鋸歯構造部75を有する。さらに、固締キャップ80のジャケット表面には、取扱いやすくするために波状部85を有する。
【0035】
図7は、バヨネット式クロージャによって二重カートリッジに固定したクロージャの第2実施形態の斜視図を示す。二重カートリッジは少なくとも一つの化学物質をそれぞれ受け入れるための二つの容器8を含む。弓状のソケット要素25、27は、カートリッジの前側6に成形され、補強リブ7によって半径方向に安定化される。クロージャ要素40はカップ状またはキャップ状であり、クロージャ要素の露出した縁は図4乃至6に示したクロージャ要素50に対応するフランジ構造を有する。すなわち、第2種のクロージャ要素40もバヨネット式固定手段を有する市販の二重カートリッジと適合するように、クロージャ要素40も弓状のバヨネット式つば30、32およびコード突起35を有する。その結果、クロージャ要素40は、分配装置5のソケット要素25、27の弓状溝22に導入されたバヨネット式つば30、32によって固定できる。バヨネット式つば30、32およびコード突起35はクロージャ要素40と好ましくは一体に成形される。図に示した閉じた状態、すなわちバヨネット式つば30、32がカートリッジのソケット要素に押し込まれた状態で、コード突起35は、カートリッジの前側6のV字型ノッチ13と整合する。クロージャ要素40は次に固締キャップ100によって大部分が覆われる。すなわち、固締キャップは、閉じた状態ではソケット要素25、27まで到達し、これにより、カートリッジに向けられ、バヨネット式つば30、32を含むクロージャ要素40の下部およびコード突起のみが露出し、外側から見ることができる。固締キャップ100には、カバー要素105に回転式フープ110を有し、固締キャップ100をより簡単に取扱うために使用される。
【0036】
図8は、図7に示したクロージャの部分的に開口した斜視図を示す。図8において、ラッチ溝48と呼ばれ、第2の実施形態における固締キャップのばね要素120との係合に使用される周方向溝は、クロージャ要素40の円筒部45のジャケット表面の上部、すなわちバヨネット式固定手段と反対方向に向けたクロージャ要素40のジャケット表面側、においてみることができる。図8に示した固締キャップ100は、露出した周方向の縁を有し、一つのばね要素120として全体を構成するか、または複数、特に三つの別々のばね要素120から構成するかのいずれかである。ばね要素120は好ましくはフック形突起として構成され、これにより、各フック形突起は随意にわずかに切下げラッチ溝48に係合できる。固締キャップ、特に固締キャップの露出した縁は、少なくとも部分的に弾性的に構成され、フック形状の突起を有する固締キャップ100は、クロージャ要素40に押し込むことができ、端位置において、フック形状の突起は周方向ラッチ溝48の後で係合し、これにより、固締キャップ100は常にクロージャ要素40に固定される。フック30形状の突起として構成されたラッチ溝48およびばね要素120は、ともにさねはぎ継ぎ式ラッチ接続部125またははめ込み式接続部を形成する。クロージャ要素40および固締キャップ100は、さねはぎ継ぎ式ラッチ接続部125により一体に形成し、固締キャップ100は、クロージャ要素40に対して機械的に非ストレス状態、すなわちクロージャ要素40および固締キャップ100の長手方向軸の方向に軸方向に非加圧状態で、自由に回転可能である。しかし、固締キャップ100はクロージャ要素40と常に接続され、すなわちクロージャはクロージャ要素40とこれと結合力をもって強力に係止する固締キャップ100から構成されるが、さねはぎ継ぎ式ラッチ接続部125により回転可能に支持される。
【0037】
図8に明らかにわかるように、固締キャップ100の回転式フープ110および固締キャップ100に成形するばね要素120は、固締キャップと一体に成形される。すなわち、好ましくはプスチック鋳造要素を示す鋳造片として成形する。
【0038】
図9は、図8に示したクロージャ要素40およびクロージャのクロージャ要素に整合する固締キャップ100の斜視図を示す。
【0039】
図9に示したクロージャ要素40は円筒部45の下端に弓状のバヨネット式つば30および32を有する。バヨネット式つばの上面には、この箇所において、面取り部28を有し、これによりバヨネット式つば30、32の、分配装置のソケット要素25および27への最初の導入を容易にすることができる。
【0040】
他方、クロージャ要素40における円筒部45のジャケット表面には、周方向ラッチ溝48を有し、カバー領域は半径方向に延在する鋸歯構造部43を有する。クロージャ要素40のカバーの外側における鋸歯構造部43は、鋸歯形状で、半径方向に延在するリブによって形成され、リブの長さは、カバー領域の半径全体を覆うことはないが、カバーの外側領域の約1/2乃至2/3のみを覆っている。
【0041】
図9は、さらに、クロージャ要素40と整合し、周方向自由端の領域においてクロージャ要素100の円筒部115の内側表面に成形されたばね要素120を有する、固締キャップ100を示す。固締キャップ100のカバー部105の内側には、クロージャ要素の鋸歯構造部43に対応する鋸歯構造部130を有し、鋸歯形状で、半径方向に延在するリブから構成される。固締キャップ100はさらに、回転式フープ110を有し、クロージャをより簡単に取扱うために使用する。
【0042】
クロージャ要素40および固締キャップ100は、クロージャ要素40および固締キャップ100が非加圧状態の固締キャップと相互に係止され自由に回転できるように構成されている。すなわち、鋸歯構造部43および130は互いに係合せず、つまり、ねじ要素120はラッチ溝48に対して特定の間隔を有している。固締キャップ100に対する軸圧力の影響、すなわち二重カートリッジを有する分配装置の方向への圧力の影響下、二つの鋸歯構造部43および130が互いに係合することで鋸歯結合部140を形成する。噛合状態において、b方向に固締キャップ100を回転させることでクロージャ要素40も回転でき、これにより、クロージャはクロージャ要素40から構成され、固締キャップ100は分配装置5のソケット要素30、32の取付けまたは取り外しのために回転できる。カートリッジからクロージャの固定および取り外しは、結果として、軸圧力の圧運動aおよび対応する回転運動bを必要とする。
【符号の説明】
【0043】
5 分配装置(カートリッジ)
6 前側
7 補強リブ
8 容器
9 吐出口
10 吐出口
13 コード要素(ノッチ)
20 バヨネット式固定手段
21 バヨネット式固定手段
22 弓状溝
23 V字型凹所(コード要素)
25 ソケット要素(弓状部)
27 ソケット要素(弓状部)
28 面取り部
30 バヨネット式つば(フック)
32 バヨネット式つば
35 コード要素(コード突起)
38 コード要素(V10字型ノッチ、V30字型ノッチ)
40 クロージャ要素(クロージャ)
41 ベース
43 第1係合要素(鋸歯構造部)
45 円筒部
48 形状整合要素(ラッチ溝)
50 クロージャ要素(クロージャ)
55 ジャケット表面(円筒部)
57 ベース
58 形状整合要素
60 形状整合要素(ラッチ溝、ラッチ要素)
61 凹所
62 凹所
63 凹所
70 鋸歯構造部(第1係合要素)
75 鋸歯構造部(第2係合要素)
80 クロージャ(固締キャップ)
82 ベース
83 中空円筒部
85 波状部
90 形状整合要素(ばね要素)
100 クロージャ(固締キャップ、形状整合要素)
105 ベース(カバー要素、カバー部)
110 回転式フープ
115 円筒部
120 形状整合要素(ばね要素)
125 さねはぎ継ぎ式ラッチ接続部
130 鋸歯構造部(第2係合要素)
140 鋸歯結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バヨネット式固定手段(20)を有する分配装置(5)用チャイルドプルーフクロージャにおいて、クロージャ(40、50、80、100)が第2バヨネット式固定手段(21)を有し、前記二つのバヨネット式固定手段(20、21)のうちの一つが他方のバヨネット式固定手段(20、21)の対応するソケット要素(25、27)に挿入できるバヨネット式つば(30、32)を有し、両バヨネット式固定手段(20、21)が前記クロージャ(40、50、80、100)および前記分配装置(5)を予め位置合せするためのコード要素(13、23、35、38)を有する分配装置(5)用チャイルドプルーフクロージャであって、
前記クロージャ(40、50、80、100)が第1係合要素(43、70)を有するクロージャ要素(40、50)および少なくとも前記クロージャ要素(40、50)の一部を覆い、第2係合要素(75、130)を有する固締キャップ(80、100)を有し、前記固締キャップ(80、100)および前記クロージャ要素(40、50)が結合力をもって強力に接続されるが、形状整合要素(48、60、90、120)によって互いに回転可能であり、前記固締キャップ(80、100)は少なくとも部分的に弾力的に変形できるよう構成されることにより、前記第1および第2係合要素(43、70、75、130)が前記クロージャ要素(40、50)に向かって前記固締キャップ(80、100)を押し込むことにより互いに係合でき、前記クロージャ要素(40、50)および前記固締キャップ(80、100)の前記形状整合要素(48、60、90、100)がさねはぎ継ぎ式接続要素であることを特徴とする分配装置(5)用チャイルドプルーフクロージャ。
【請求項2】
請求項1に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記固締キャップ(80、100)がビーカー状の要素であり、前記固締キャップが前記クロージャ要素(40、50)に押し込むことができるよう構成されていることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記クロージャ要素(40、50)が中空円筒部(45、55)およびベース(41、57)を有するビーカー状の要素であり、前記クロージャ要素(40、50)はジャケット表面(55)または前記ベース(41)の外側に第1係合要素(43、70)を有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記固締キャップ(80、100)が前記クロージャ要素(40、50)に押し込む可能なビーカー状の要素であり、中空円筒部およびベースを有し、前記固締キャップ(80、100)は前記固締キャップの内側に第2係合要素(75、130)を有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記固締キャップ(80、100)は、前記クロージャ要素(40、50)に押し込む前記固締キャップ(80、100)が、前記クロージャ要素(40、50)に対して機械的に非ストレス状態で自由に回転できるよう寸法が定められることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記係合要素(43、70、75、130)が鋸歯構造部を有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項7】
請求項1に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記クロージャ要素(40、50)は同心状の長手方向軸に対して横方向に延在する周囲上または扇状に区切られたラッチ溝(48、60)を有し、前記固締キャップ(80、100)は前記クロージャ要素(40、50)の前記ラッチ溝(48、60)に弾力的に係合可能で、前記固締キャップ(80、100)に成形される少なくとも一つのばね要素(90、120)を有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項8】
請求項1に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記固締キャップ(80、100)は同心状の長手方向軸に対して横方向に延在する周囲上または扇状に区切られた溝を有し、前記クロージャ要素(40、50)は、前記固締キャップの溝に弾力的に係合可能であり、前記クロージャ要素(40、50)に成形される少なくとも一つのばね要素を有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記分配装置(5)が多成分カートリッジ、特に二成分カートリッジであることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記ソケット要素(25、27)は、前記バヨネット式つば(30、32)を受け入れるために少なくとも部分的に形状を整合させるための切下げを有する、リング状のまたは扇状の要素であることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項11】
請求項10に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記コード要素が、異なる幅を有する前記ソケット要素(25、27)および前記バヨネット式つば(30、32)の切欠きによって形成され、前記クロージャ要素(40、50)または前記分配装置(5)の前記バヨネット式つば(30、32)がリング状のまたは扇状の前記ソケット要素(25、27)の切欠きに対して、特定の位置にのみ挿入可能となることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記ソケット要素(25、27)および前記分配装置(5)が成形体として一体に構成され、前記バヨネット式つばは前記クロージャ要素(40、50)と成形体として一体に成形されることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記ソケット要素および前記クロージャ要素(40、50)は成形体として一体に構成され、前記バヨネット式つば(30、32)は前記分配装置(5)に対して成形体として一体に成形されることを特徴とするたチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記クロージャ要素(50)は円筒形要素であり、少なくともジャケット表面(55)の一部において同心状の長手方向軸に平行に延在する鋸歯構造部(70)を有し、前記固締キャップ(80)は中空円筒部(83)およびベース(82)を有するビーカー状の要素であって、前記固締キャップ(80)の中空円筒部の内側が同心状の長手方向軸に平行に延在する鋸歯構造部(75)を有し、前記クロージャ要素(50)の鋸歯構造部(70)と係合可能となり、前記クロージャ要素(50)は同心状の長手方向軸に対して横方向に前記分配装置に向けたジャケット表面の縁に半径方向に突出した弓状のバヨネット式つば(30、32)有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記クロージャ要素(40)は中空円筒部(45)およびベース(41)を有するビーカー状の要素であり、少なくとも底部の外面の一部において、半径方向外側に延在する鋸歯構造部を有し、前記固締キャップ(10)は中空円筒部(115)および底部(105)を有するビーカーのような要素であり、前記固締キャップ(100)の底部の内側には、前記クロージャ要素(40)の鋸歯構造部(43)と係合可能な半径方向外側に延在する鋸歯構造部(130)を有し、前記クロージャ要素(40)は同心状の長手方向軸に対して横方向に前記分配装置に向けたジャケット表面の縁に半径方向に突出した弓状のバヨネット式つば(30、32)有することを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、当接側面が、前記分配装置(5)または前記クロージャ要素(40、50)において前記二つのバヨネット式固定手段(20、21)の回転境界として存在し、前記クロージャ要素(40、50)の長手方向軸と平行に延在し、前記バヨネット式つば(30、32)上に配置されることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載のチャイルドプルーフクロージャにおいて、前記クロージャが混合器、特に、スタティックミキサー要素であり、前記混合器は分配装置(5)の内容物と流体連通状態にでき、ほぼ中央で前記クロージャ要素(40、50)および前記固締キャップ(80、100)を貫通し、前記クロージャ要素(40、50)および前記固締キャップ(80、100)が前記混合器に対して自由に回転可能、かつ、密封状態に構成されることを特徴とするチャイルドプルーフクロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56635(P2012−56635A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177966(P2011−177966)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(509287946)ズルツァー ミックスパック アーゲー (14)
【Fターム(参考)】