説明

分配装置

【課題】第1のシールディスクおよび第2のシールディスクが設けられており、第1のシールディスクと第2のシールディスクとの間に、制御装置が回動可能に配置されている、特に飲料を注出するための分配装置において、簡単に操作可能であり、液体または気体の媒体を分配するための必要な機能性が保証されたものを提供する。
【解決手段】シールディスク21,23に、液体または気体の媒体のための通路を形成するための複数の開口が設けられており、第1のシールディスク21および第2のシールディスク23における開口は、制御ディスク22の回動によって、選択的に閉鎖されるか、または流体を案内するために開放されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に飲料を注出するための分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5064097号明細書において、クリーニングおよび水を注出するための装置が公知であり、ここでは水を加熱および冷却するための手段ならびに水にCO2を混合するための炭酸化装置が設けられている。個々の装置は、多数の管路を介して相互に連結されており、管路に弁が設けられており、弁は、制御装置を介して操作される。多数の弁および管路による制御の構成は、比較的面倒であり、取付が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5064097号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、特に飲料を注出するための分配装置において、簡単に操作可能であり、液体または気体の媒体を分配するための必要な機能性が保証されたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、特に飲料を注出するための分配装置であって、第1のシールディスクおよび第2のシールディスクが設けられており、第1のシールディスクと第2のシールディスクとの間に、制御装置が回動可能に配置されており、シールディスクに、液体または気体の媒体のための通路を形成するための複数の開口が設けられており、第1のシールディスクおよび第2のシールディスクにおける開口は、制御ディスクの回動によって、選択的に閉鎖されるか、または流体を案内するために開放されるようになっている。
【0006】
有利には、制御ディスクおよびシールディスクは、制御ディスクに接する側で、セラミック材料から製作されている。
【0007】
有利には、制御ディスクは、外周面で、少なくとも部分的に歯列を備えており、歯列は、被駆動の歯車と係合する。
【0008】
有利には、第1のシールディスクに、CO2のための供給路が形成されており、供給路は、圧力下のCO2の貯蔵装置に接続されている。
【0009】
有利には、第1のシールディスクに、水のための供給路が形成されており、供給路は、水のための搬送路に接続されている。
【0010】
有利には、第2のシールディスクに、CO2のための搬出路および水のための搬出路が形成されており、両方の搬出路は、炭酸化装置と接続されている。
【0011】
有利には、第2のシールディスクに、水のための第2の搬出路が形成されており、第2の搬出路は、飲料注出部と接続されている。
【0012】
有利には、シールディスクおよび制御ディスクは、ハウジング内に配置されている。
【0013】
有利には、ハウジングに、複数の管片が形成されており、これらの管片は、流体を案内する通路を形成する。
【0014】
有利には、制御ディスクは、通路を備えており、通路は、制御ディスクの所定の位置で、CO2による水を案内する通路のクリーニングを実現する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、制御ディスクが回動され、したがって複数の通路が開閉されることによって、少ない構成部材で高い機能性が提供される。シールディスクおよび制御ディスクにおける通路の有利な配置構造によって、4つまたは5つ以上の弁に代用することができる。さらに制御ディスクは回動によって簡単に作動させることができる。
【0016】
本発明の有利な形態では、制御ディスクおよびシールディスクは、制御ディスクに接する側で、セラミック材料から製作されている。これによって制御ディスクにおけるシールディスクの位置正確な接触によって、追加的なシールを保証することができる。
【0017】
制御ディスクを簡単に運動させるために、制御ディスクは、外周面で、少なくとも部分的に歯列を備えており、歯列は、被駆動の歯車と係合する。これによって比較的正確に所定の角度位置が得られる。
【0018】
有利な形態では、分配装置は、飲料注出装置に使用される。したがって第1のシールディスクは、有利にはCO2のための供給路を備えており、供給路は、圧力下のCO2の貯蔵装置に接続されている。さらに第1のシールディスクに、水のための供給路が形成されており、供給路は、水のための搬送路に接続されている。これによって制御ディスクの適当な位置を介して、水のみならずCO2も第2のディスクにおける搬出路にガイドすることができ、第2のディスクは、CO2および水を炭酸化装置にガイドする。有利には、第2のシールディスクに、水のための第2の搬出路が形成されており、第2の搬出路は、飲料注出部と接続されているので、炭酸化装置の迂回によって、水は、自然の状態で、またはCO2と混合して飲料注出部に送ることができる。
【0019】
有利には、制御ディスクは、通路を備えており、通路は、制御ディスクの所定の位置で、CO2による水をガイドする通路のクリーニングを実現する。これによって分配装置は、衛生に関して運転することができ、使用状態または規則的なインターバルに応じて、通路のクリーニングが行われる。
【0020】
別の形態によれば、シールディスクおよび制御ディスクは、共通のハウジング内に配置されている。ハウジングは、複数部分から形成されていてよく、複数の管片を備えており、管片は、流体をガイドする通路の接続部を形成する。各管片は、シールディスクにおける開口と密に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】飲料注出装置の概略図である。
【図2】図1に示した飲料注出装置のための、本発明による分配装置の展開図である。
【図3A】図2に示した分配装置を示す図である。
【図3B】図2に示した分配装置を示す図である。
【図3C】図2に示した分配装置を示す図である。
【図3D】図2に示した分配装置を示す図である。
【図3E】図2に示した分配装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面に基づいて、本発明を詳説する。
【0023】
飲料注出装置1は、水タンク2を備えており、水タンク2は、注水するために取外可能に形成することができ、特に飲料注出装置1が家庭用の分野で使用される場合に取外可能に形成することができる。水タンク2は、管路3を介して、ポンプ4と連結されており、ポンプ4は、水を水タンク2から管路5を介して容器10に搬送する。管路5に、分岐6が形成されており、分岐6は、逆止弁7と管路8とを介して炭酸化装置9と接続されている。
【0024】
炭酸化装置9は、搬送された水にCO2を添加するのに用いられる。このために炭酸化装置9は、圧力下にあるCO2の貯蔵装置17に接続されており、CO2貯蔵装置17は、減圧装置18と管路19とを介して炭酸化装置9と接続されている。さらに炭酸化装置9に略示した充填状態検出装置11が設けられており、充填状態検出装置11によって、炭酸化装置9における液状の媒体の充填状態が検出可能である。
【0025】
炭酸化装置9は、管路12を介して切換可能な弁13と接続されており、弁13は、飲料注出部14に接続されている。これに平行して、非炭酸水を包含する容器10は、管路15を介して、切換可能な弁16と接続されており、弁16も同様に飲料注出部14に接続されている。弁13,16の切換を介して、利用者は、炭酸化装置9からの炭酸水または容器10からの炭酸を含まない水を受け取るか決定することができる。
【0026】
図2および図3A〜図3Eには、本発明による分配装置20を示しており、分配装置20は、中央切換エレメントとして、CO2貯蔵装置に通じる管路19と供給側の管路5と管路8とに接続されている。このためにハウジング上部30に、複数の管片32,33,34が形成されており、接続部としての管片32,33,34は、管路に接続されている。ハウジング下部31に、別の管片35,36が形成されており、管片35,36は、搬出路として用いられる。
【0027】
ハウジング内に、第1のシールディスク21および第2のシールディスク23が設けられており、第1のシールディスク21と第2のシールディスク23との間に制御ディスク22が回動可能に支承されている。シールディスク21,23ならびに制御ディスク22は、全体的または部分的に、セラミック材料から製作することができ、これによって確実なシールが達成される。シールディスク21,23には、通路を形成するための複数の開口が設けられており、通路は、ハウジング上部30における接続部32,33,34と接続されているか、ハウジング下部31における管片35,36と接続されている。シールディスク21,23は、ハウジング上部30もしくはハウジング下部31に定位置に密に保持されている。ハウジング上部30とシールディスク21との間に、ディスク状の保持体29が設けられており、これに対してハウジング下部31とシールディスク23との間に、ディスク状の保持体36が配置されている。保持体29は、流れ通路としての開口39を備えており、開口39は、シールディスク21における開口と整合し、管片32,33,34と接続されている。同様に保持体36に開口37が流れ通路として形成されており、開口37は、管片35,36と接続されている。管片32〜36の数および対応する開口の数は、使用状況に関連していて、個々に構成することができる。
【0028】
これに対して制御ディスク22は、回動可能に支承されており、制御ディスク22は、外周面で、歯付リング24と相対回動不能に、つまり一緒に回動するように連結されており、歯付リング24は、歯車25を介して駆動装置26と係合する。制御ディスク22の回動によって、分配装置は、様々な機能を及ぼすことができ、特に制御ディスク22における開口27は、ディスク23における所属の開口28と係合するか、または閉じられる。制御ディスク22の回動に関して、制御装置が設けられており、制御装置は、複数のエンドスイッチ29と連結されている。制御ディスクにおける開口27は、貫通孔、長孔または溝状の通路として形成することができるので、制御ディスク22の回動によって様々な機能を実現することができる。
【0029】
シールディスク21,23ならびに制御ディスク22の機能を、以下に、様々な機能位置に関して説明する。
【0030】
機能位置「冷水提供」
−ポンプに通じる空気供給閉鎖
−ポンプに通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続閉鎖
−CO2提供閉鎖
−クリーニング冷水閉鎖
【0031】
機能位置「CO2水提供」
−ポンプに通じる空気供給閉鎖
−ポンプに通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続開放(ずらして、先ず炭酸化装置9にCO2が充填される)
−クリーニング冷水閉鎖
−冷水提供閉鎖
【0032】
機能位置「CO2領域吹出」
−ポンプに通じる空気供給開放
−ポンプに通じる水供給閉鎖
−出口に通じる通路開放
−CO2接続閉鎖
−CO2提供開放
−クリーニング冷水閉鎖
−冷水提供閉鎖
【0033】
機能位置「冷水領域吹出」
−ポンプ4に通じる空気供給開放
−ポンプ4に通じる水供給閉鎖
−出口に通じる通路開放
−CO2接続閉鎖
−CO2提供閉鎖
−クリーニング冷水閉鎖
−冷水提供開放
【0034】
機能位置「冷水領域クリーニング」
−ポンプ4に通じる空気供給閉鎖
−ポンプ4に通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続閉鎖
−CO2提供閉鎖
−クリーニング冷水開放
−冷水提供開放
【0035】
機能位置「CO2水領域クリーニング」
−ポンプに通じる空気供給閉鎖
−ポンプに通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続開放
−CO2提供開放
−クリーニング冷水閉鎖
−冷水提供閉鎖
【0036】
機能位置「冷水提供洗浄」
−ポンプに通じる空気供給閉鎖
−ポンプに通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続閉鎖
−CO2提供閉鎖
−クリーニング冷水閉鎖
【0037】
機能位置「CO2水提供洗浄」
−ポンプに通じる空気供給閉鎖
−ポンプに通じる水供給開放
−出口に通じる通路開放
−CO2接続開放(ずらして、先ず炭酸化装置9にCO2が充填される)
−クリーニング冷水閉鎖
−冷水提供閉鎖
【符号の説明】
【0038】
1 飲料注出装置、 2 水タンク、 3 管路、 4 ポンプ、 5 管路、 6 分岐点、 7 逆止弁、 8 管路、 9 炭酸化装置、 10 容器、 11 充填状態検出装置、 12 管路、 13 弁、 14 飲料注出装置、 15 管路、 16 弁、 17 CO2貯蔵装置、 18 減圧装置、 19 管路、 20 分配装置、 21 第1のシールディスク、 22 制御ディスク、 23 第2のシールディスク、 24 歯付リング、 25 歯車、 26 駆動装置、 27 開口、 28 開口、 29 エンドスイッチ、 30 ハウジング上部、 31 ハウジング下部、 32 管片、 33 管片、 34 管片、 35 管片、 36 管片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に飲料を注出するための分配装置であって、
第1のシールディスク(21)および第2のシールディスク(23)が設けられており、第1のシールディスク(21)と第2のシールディスク(23)との間に、制御装置(22)が回動可能に配置されており、シールディスク(21,23)に、液体または気体の媒体のための通路を形成するための複数の開口が設けられており、第1のシールディスク(21)および第2のシールディスク(23)における開口は、制御ディスク(22)の回動によって、選択的に閉鎖されるか、または流体を案内するために開放されるようになっていることを特徴とする、分配装置。
【請求項2】
制御ディスク(22)およびシールディスク(21,23)は、制御ディスク(22)に接する側で、セラミック材料から製作されている、請求項1記載の分配装置。
【請求項3】
制御ディスク(22)は、外周面で、少なくとも部分的に歯列を備えており、歯列は、被駆動の歯車(25)と係合する、請求項1または2記載の分配装置。
【請求項4】
第1のシールディスク(21)に、CO2のための供給路が形成されており、該供給路は、圧力下のCO2の貯蔵装置(17)に接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の分配装置。
【請求項5】
第1のシールディスク(21)に、水のための供給路が形成されており、該供給路は、水のための搬送路(5)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の分配装置。
【請求項6】
第2のシールディスク(23)に、CO2のための搬出路および水のための搬出路が形成されており、両方の搬出路は、炭酸化装置(9)と接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の分配装置。
【請求項7】
第2のシールディスク(23)に、水のための第2の搬出路が形成されており、該第2の搬出路は、飲料注出部(14)と接続されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の分配装置。
【請求項8】
シールディスク(21,23)および制御ディスク(22)は、ハウジング(30,31)内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の分配装置。
【請求項9】
ハウジング(30,31)に、複数の管片(32,33,34,35,36)が形成されており、これらの管片(32,33,34,35,36)は、流体を案内する通路を形成する、請求項8記載の分配装置。
【請求項10】
制御ディスク(22)は、通路を備えており、該通路は、制御ディスク(22)の所定の位置で、CO2による水を案内する通路のクリーニングを実現するようになっている、請求項1から9までのいずれか1項記載の分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【公開番号】特開2010−241506(P2010−241506A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86280(P2010−86280)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(390014155)メリタ ハウスハルツプロドウクテ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Melitta Haushaltsprodukte GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Ringstrasse99,D−32427 Minden,Germany
【Fターム(参考)】