説明

分離膜エレメント、分離膜モジュール及び分離膜エレメントの製造方法

【課題】中空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形成する方法により製造できるものでありながら、中空糸状多孔質分離膜の根元部が柔軟性を有し、使用中における根元部の破損、気液の漏れが生じにくい分離膜エレメント、この分離膜エレメントを用いた分離膜モジュール、及びこの分離膜エレメントの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束する膜封止部を有する分離膜エレメントであって、前記膜封止部が、注型用樹脂により形成され、前記中空糸状多孔質分離膜の孔が、前記中空糸状多孔質分離膜と前記膜封止部との接触部において、孔充填樹脂により充填され、前記注型用樹脂と前記孔充填樹脂が強固に接着していることを特徴とする分離膜エレメント、この分離膜エレメントを用いた分離膜モジュール、及びこの分離膜エレメントの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸状多孔質分離膜を用いた分離膜エレメント、及びこの分離膜エレメントから構成され、半導体製造や食品工業等の分野で気液吸収、脱気、濾過用等として用いられる分離膜モジュールに関し、並びに、この分離膜エレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造や食品工業等の分野での、気液吸収、脱気、濾過用等の用途には、中空糸状多孔質分離膜を用いた分離膜エレメントをハウジング内に収容した分離膜モジュールが用いられている。この分離膜エレメントは、中空糸状多孔質分離膜を複数本集束して、その端末を樹脂製の膜封止部により封止して一体化してなるものであり、中空糸状多孔質分離膜としては、多孔質フッ素樹脂からなるものが広く用いられている。
【0003】
従来、この分離膜エレメントの製造における中空糸状多孔質分離膜の封止は、中空糸状多孔質分離膜の端末部を金型内にセットした後、金型内に樹脂液(液状の樹脂を言う。以下同じである。)を注型して中空糸状多孔質分離膜の端末部を前記樹脂液に浸漬し、その後、樹脂液の樹脂を硬化させて膜封止部を形成して行われていた。図3はこの注型(浸漬)の様子を示す断面図であり、図中、35は1本の中空糸状多孔質分離膜を示し、35’はその中空部を示す。図3(a)では金型(図示されていない。)内に注型されている樹脂液33に、中空糸状多孔質分離膜35の端末部32が浸漬されている様子が示されている。
【0004】
なお、注型(浸漬)の際には、中空糸の中空部に樹脂が流れ込まないよう、事前に中空糸端末にある中空部の開口部を、封止又は結束等の方法により塞いでおき(以後、開口閉塞部と言う。)、樹脂の硬化後に、この中空糸端末部分を、硬化樹脂(の前記中空糸端末部分の近傍部分)とともに切り落とし、中空部の開口部を端末に露出させる。図3(a)中の34は、この中空糸端末の開口閉塞部を示す。又、図3(b)は、中空糸端末の開口閉塞部34が、その近傍部分(図3(a)中の枠mにより囲まれた部分)にある硬化樹脂とともに切り落とされ、中空部35’の開口部が露出した膜封止部が形成された様子を示す。
【0005】
この方法によれば、樹脂液33が中空糸状多孔質分離膜の端末部32にある微細な多数の孔内(各孔は図示されていない。)に浸透する。そして、注型された樹脂液33と多孔内を充填する樹脂液33を硬化することにより、アンカー効果が発揮され、中空糸状多孔質分離膜を膜封止部に確実に一体化することができる(特許文献1)。
【0006】
他方、オールフッ素樹脂製分離膜エレメントでは、膜封止部は、フッ素樹脂で形成されている。このフッ素樹脂は溶融させても極めて高粘度であるため、中空糸状多孔質分離膜をセットした金型に樹脂液として注型できず、従って、オールフッ素樹脂製分離膜エレメントの製造では、前記の方法は採用できない。そこで、膜封止部を形成後、膜封止部に穴をあけ、この穴に中空糸状多孔質分離膜の端末を挿入した後、加熱して膜封止部と中空糸状多孔質分離膜を溶融接着して、一体化する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平3−106422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の製造方法には次に述べるような問題があった。即ち、図3に示すような方法(中空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形成する方法)では、浸漬の際に毛管現象により、樹脂液33が、中空糸状多孔質分離膜の、樹脂液33の液面部より上部にある根元部32aにまで上昇する。すると、この根元部32aに吸収された樹脂液33の硬化により、根元部32aの柔軟性が失われる。
【0008】
分離膜エレメント(分離膜モジュール)の使用時には、処理気液の流量変動や圧力変動等によって中空糸状多孔質分離膜が揺動し中空糸状多孔質分離膜の根元部32aに曲げ応力等が作用するが、根元部32aの柔軟性が失われると、この曲げ応力等により根元部32aが破損して気液の漏れが生じるという問題があった。
【0009】
一方、膜封止部を形成後膜封止部に穴をあけ、この穴に中空糸状多孔質分離膜の端末を挿入し溶融接着させる方法では、分離膜エレメントの製造工程が増え、生産性が低いという問題があり、又、アンカー効果も期待できず、使用時に中空糸状多孔質分離膜が膜封止部から抜けやすくなるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、中空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形成する方法により製造できるものでありながら、中空糸状多孔質分離膜の根元部が柔軟性を有し、使用中における根元部の破損、気液の漏れが生じにくい分離膜エレメントを提供することを課題とする。本発明は更に、この分離膜エレメントを構成要素とする分離膜モジュール、及びこの分離膜エレメントの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、中空糸状多孔質分離膜の端末の、膜封止部との接触部分にある孔内のみを、樹脂硬化物により充填することにより、前記の課題を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明は、請求項1において、
複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントであって、
前記膜封止部が、注型用樹脂により形成され、
前記中空糸状多孔質分離膜の孔が、前記中空糸状多孔質分離膜と前記膜封止部との接触部において、孔充填樹脂により充填され、前記注型用樹脂と前記孔充填樹脂が接着していることを特徴とする分離膜エレメント、を提供する。
【0013】
本発明の分離膜エレメントは、複数の中空糸状多孔質分離膜及びその端末を集束し封止する膜封止部からなる点等は、半導体製造や食品工業等の分野で、気液吸収、脱気、濾過用等に用いられている従来の分離膜エレメントと同様である。又、中空糸状多孔質分離膜の形状や材質、その本数、膜封止部の形状等も、従来の分離膜分離膜エレメントの場合と同様なものとすることができる。
【0014】
ここで中空糸状多孔質分離膜とは、細い管状の多孔質分離膜であり、多孔質分離膜とは、微細な孔、特に膜両表面間を貫通する貫通孔を多数有する膜、特に樹脂製の膜であり、中空糸状多孔質分離膜の管の内側と外側間で、前記貫通孔を通して、濾過や気液の接触、脱気等が行われる。
【0015】
膜封止部とは、複数の中空糸状多孔質分離膜の端末を集束して封止する部分であり、通常、中空糸状多孔質分離膜の両方の端末に設けられるが、この膜封止部が樹脂の硬化物により形成されることも従来と同様である。更に、この膜封止部が、次に示す(1)〜(3)の工程を順次行うことにより形成できる点も、従来と同様である。
【0016】
(1)中空糸状多孔質分離膜の端末を金型内にセットする。
(2)金型内に樹脂液を注型する。
(3)樹脂液の樹脂を硬化させる。
【0017】
なお、樹脂液が中空糸状多孔質分離膜の中空部への浸入することを防ぐため、通常、さらに、(1)の前に、中空糸状多孔質分離膜の端末にある中空部の開口部を、封止又は結束等の方法によりを塞ぐ工程、及び、(3)の後に中空糸端末部分を、硬化樹脂の一部とともに切り落とし、中空部の開口部を端末に露出させる工程が行われる。
【0018】
前記注型用樹脂とは、この樹脂膜封止部を形成する樹脂の硬化物を意味し、注型、硬化による成形が容易な熱硬化性樹脂の硬化物が好ましく用いられる。従って、前記樹脂液としては、硬化前の液状の熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
【0019】
本発明の分離膜エレメントでは、中空糸状多孔質分離膜の孔が、実質的に、中空糸状多孔質分離膜と膜封止部との接触部のみにおいて、樹脂により充填されていることを特徴とする。孔充填樹脂とは、この孔を充填している樹脂を言う。接触部以外の部分にある孔は、孔充填樹脂により充填されていない。即ち、従来の分離膜エレメントの場合とは異なり、中空糸状多孔質分離膜の根元部(図3における32a等)において、樹脂が含浸されて硬化し柔軟性が失われている部分がほとんどなく、その結果、中空糸状多孔質分離膜の揺動による根元部の破損、気液の漏れが抑制されている。
【0020】
ここで、中空糸状多孔質分離膜の孔とは、中空糸状多孔質分離膜が有する前記貫通孔及び他の微細孔である。又、接触部とは、中空糸状多孔質分離膜の、膜封止部内に埋め込まれている部分(即ち、注型時における注型用樹脂液の液面より下の部分)を意味するが、この埋め込まれている部分のみではなく、その近傍(前記の液面よりわずかに上の部分)も含む意味である。しかし、根元部の破損、気液の漏れをより効果的に防ぐためには、埋め込まれている部分にある孔のみが孔充填樹脂により充填されていることが好ましく、前記近傍の部分は可能な限り小さいことが好ましい。
【0021】
又、本発明の分離膜エレメントでは、接触部において、孔充填樹脂と膜封止部を構成する注型用樹脂が強固に接着していることを特徴とする。孔充填樹脂と注型用樹脂が強固に接着(例えば融着)していることにより、中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の接着も強固になる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、注型用樹脂及び孔充填樹脂が、熱硬化性樹脂の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜エレメントである。前記のように、注型用樹脂としては、熱硬化性樹脂の硬化物が好ましく用いられる。又、孔充填樹脂は、分離膜エレメント(分離膜モジュール)の使用環境において固形であり劣化しないものであれば特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂の場合は、中空糸状多孔質分離膜の孔への充填が容易であるので好ましい。即ち、硬化前の樹脂液に、中空糸状多孔質分離膜の端末を浸漬して樹脂液を孔に含浸させ、この後この樹脂液を硬化することにより、容易に充填できるので好ましい。
【0023】
請求項3に記載の発明は、注型用樹脂と孔充填樹脂が、同種の樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離膜エレメントである。ここで同種の樹脂とは、例えば、化学組成が同じ又は近似な樹脂を言い、例えば、一方がエポキシ樹脂であれば他方もエポキシ樹脂であり(より好ましくは、一方がビスフェノールA型エポキシ樹脂であれば他方もビスフェノールA型エポキシ樹脂であるような場合であり)、分子量のみが異なるような関係にある樹脂を言う。注型用樹脂と孔充填樹脂を同種の樹脂とすることにより、中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の接着がより強固になり、使用時における中空糸状多孔質分離膜の引抜等が抑制される。
【0024】
請求項4に記載の発明は、注型用樹脂の硬度が40度以上であり、かつ孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメントである。膜封止部の耐圧性等の機械的強度を確保し、中空糸状多孔質分離膜の引抜等を低減するためには、注型用樹脂の硬度は高い方が好ましく、中でも注型用樹脂の硬度が40度以上の場合が好ましい。
【0025】
ここで硬度とは、JIS K7215のプラスチックの硬さ試験方法に準拠した方法により測定した値である。
【0026】
一方、中空糸状多孔質分離膜の揺動による根元部の破損、気液の漏れを防ぐためには、孔充填樹脂は柔軟でありその硬度は小さいことが好ましい。特に、注型用樹脂の硬度が40度以上の場合は、注型用樹脂が硬いことにより、中空糸状多孔質分離膜の揺動に際して裂けが生じやすいので、柔らかい孔充填樹脂によって揺動した際の中空糸状多孔質分離膜の裂けを防ぐことが望まれ、従って、孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度より小さいことが好ましい。請求項4に記載の発明は、この好ましい態様に該当する。
【0027】
請求項5に記載の発明は、注型用樹脂の硬度が40度未満であり、孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度と同一又は注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメントである。注型用樹脂の硬度が40度未満であっても、中空糸状多孔質分離膜の揺動による根元部の破損、気液の漏れを防ぐためには、孔充填樹脂の硬度は、注型用樹脂の硬度と同一又は注型用樹脂の硬度より小さいことが好ましい。
【0028】
前記のように、本発明の分離膜エレメントでは、中空糸状多孔質分離膜を形成する材質や、これらの形態等は従来の分離膜エレメントと同様なものが用いられる。例えば、中空糸状多孔質分離膜の材質としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン等が考えられる。中でも、フッ素樹脂から形成されているものが、耐薬品性、柔軟性、機械的強度等の観点から好ましく用いられる。請求項6は、この好ましい態様に該当する。
【0029】
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の種々のフッ素樹脂を1種あるいは複数種の組み合わせ等により用いることができる。成形加工性に優れ、更に機械的強度にも優れる点よりPTFEが特に好ましい。
【0030】
本発明の分離膜エレメントは、
複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末を、熱硬化性樹脂の溶液に含浸し、
その後、含浸された樹脂溶液を乾燥して樹脂含浸部を形成し、
硬化前の液状の熱硬化性樹脂を注型し、
前記熱硬化性樹脂液に、前記で形成された樹脂含浸部を浸漬し、
これらの熱硬化性樹脂を硬化して前記中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する方法により製造することができる。
【0031】
本発明は、前記の分離膜エレメントに加えて、この分離膜エレメントを用いることを特徴とする分離膜モジュールを提供する。すなわち、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の分離膜エレメント及び前記分離膜エレメントを収容するハウジングからなり、前記分離膜エレメントとハウジングが一体化されていることを特徴とする分離膜モジュールである(請求項7)。
【0032】
本発明の分離膜モジュールについては、分離膜エレメントとこれを収容するハウジングからなる点、分離膜エレメントの膜封止部とハウジングの接着、パッキングシール等により分離膜エレメントとハウジングが一体化されている点、ハウジングの種類やその形態等は、従来の分離膜モジュールと同様なものとすることができる。
【0033】
本発明はさらに、請求項8として、前記分離膜エレメントの製造方法を提供する。すなわち、
複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部からなる分離膜エレメントの製造方法であって、
複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末に、熱硬化性樹脂bの溶液を含浸させた後乾燥して、樹脂含浸部を形成する工程、
硬化前の熱硬化性樹脂aを注型し、かつ注型された熱硬化性樹脂aに、前記樹脂含浸部を浸漬する工程、及び
熱硬化性樹脂a及び熱硬化性樹脂bを硬化し、前記中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメントの製造方法、である。
【0034】
ここで、熱硬化性樹脂aとは、膜封止部を形成する熱硬化性樹脂(即ち、硬化後は前記注型用樹脂となる。)の硬化前の樹脂液であり、又熱硬化性樹脂bとは、中空糸状多孔質分離膜の膜封止部との接触部にある孔を充填する孔充填樹脂の硬化前の樹脂液である。熱硬化性樹脂aと熱硬化性樹脂bは同一であっても異なっていてもよいが、前記のように同種の樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂bの溶液とは、熱硬化性樹脂bを溶剤に溶解したものであり、溶剤としては、熱硬化性樹脂bを溶解するものであれば限定されないが、生産性の観点からは、乾燥しやすいものが好ましい。
【0035】
この製造方法では、先ず、複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末に、熱硬化性樹脂bの溶液を含浸した後、含浸された樹脂溶液を乾燥して樹脂含浸部が形成される。乾燥のときには、樹脂溶液を構成する溶剤を蒸発させるための加熱を行ってもよいが、熱硬化性樹脂bを硬化するための加熱はこの段階では行わない。なお、中空部への熱硬化性樹脂aの浸入を防ぐため、熱硬化性樹脂aへの浸漬の前に、封止又は結束等の方法による中空部の開口部の閉塞が望まれるが、この封止又は結束等は、熱硬化性樹脂bの中空部への樹脂液の浸入を防ぐため、熱硬化性樹脂bへの含浸の前に行うことが好ましい。
【0036】
次に、前記のようにして形成された樹脂含浸部を有する中空糸状多孔質分離膜の端末を、型(金型等)にセットし、この型に硬化前の熱硬化性樹脂aを注型することにより、前記樹脂含浸部が熱硬化性樹脂aに浸漬される。本発明の分離膜エレメントの製造方法においては、この浸漬(注型)の工程において、樹脂含浸部の上縁(中空糸状多孔質分離膜の樹脂含浸部と非含浸部の境界)が、注型された樹脂液の液面と同じ高さ又は該液面よりも僅かに高くなるように、樹脂含浸部の長さを、樹脂含浸部の形成の工程等において調整することができる。
【0037】
注型の工程の段階では、既に中空糸状多孔質分離膜の孔が熱硬化性樹脂bにより充填されているので、熱硬化性樹脂aの中空糸状多孔質分離膜への浸透が妨げられ、図3における根元部32aのような熱硬化性樹脂aが浸透した部分の形成を防ぐことができる。その結果、この部分に吸収された熱硬化性樹脂aの硬化により根元部の柔軟性が失われて破損、気液の漏れが生じる、との問題を防ぐことができる。なお、熱硬化性樹脂aの液面からの樹脂含浸部の上縁の位置は、せいぜい5mm高い位置までとし、好ましくは3mmまでとし、更に好ましくは1mmまでとする。一方低い場合は、中空糸状多孔質分離膜の孔内への熱硬化性樹脂aの浸透が生じやすくなるので好ましくない。
【0038】
注型工程の後、熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bが硬化され、前記中空糸状多孔質分離膜の端末が封止され、膜封止部と一体化されて分離膜エレメントが形成される。熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bの硬化は、これらを加熱することにより行うことができる。本発明の製造方法では、前記の浸漬工程後、熱硬化性の樹脂a及び熱硬化性樹脂bを同時に硬化することを特徴とする。同時に硬化することにより、中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の間の強固な接着が形成され、使用時における中空糸状多孔質分離膜の引抜等が抑制される。
【発明の効果】
【0039】
本発明の分離膜エレメント、分離膜モジュールは、中空糸状多孔質分離膜の端末部を樹脂液に浸漬した後、樹脂を硬化させて膜封止部を形成するとの生産性に優れた方法により製造できるものでありながら、中空糸状多孔質分離膜の根元部が柔軟性を有し、分離膜エレメント、分離膜モジュールの使用中における根元部の破損、気液の漏れが生じにくく、又中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の間の接着性に優れたものである。又、この優れた特徴を有する分離膜エレメントは、本発明の分離膜エレメントの製造方法により容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例等を示しながら説明するが、本発明の範囲はこの形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
【0041】
図1は、処理液の濾過に用いられる分離膜モジュールXの断面を模式的に示す断面図である。
【0042】
分離膜モジュールXは、複数のPTFE製の中空糸状多孔質分離膜1を互いに間隔を設けて略平行に配置し、その軸線方向の両端末を集束してエポキシ樹脂製の膜封止部2、2’で一体化してなる分離膜エレメント3と、円筒状の筒材4及び該筒材の両端開口を閉じるキャップ5、6を有する耐圧性のハウジング7とを備えている。膜封止部2、2’の外側端面には中空糸状多孔質分離膜1の端末が開口しているが、膜封止部2’の外側端面の開口部はキャップ6により塞がれている。
【0043】
一方のキャップ5には処理液の流入口8及び透過液の排出口9が設けられている。また、キャップ5と分離膜エレメント3の膜封止部2との間には集液室10が設けられている。なお、膜封止部を形成する材質としては、エポキシ樹脂の他に、ウレタン樹脂等の他の熱硬化性樹脂を挙げることができるが、機械的強度、耐薬品性等の観点、及びコスト面からエポキシ樹脂が好ましい。
【0044】
このように構成される分離膜モジュールXにおいて、処理液は、矢印イで示すようにキャップ5の流入口8から分離膜モジュールXの内側に導入され、中空糸状多孔質分離膜1を透過してその貫通孔により濾過が行われる。透過液は、各中空糸状多孔質分離膜1の管内を通って集液室10に集液され、矢印ロで示すように排出口9から分離膜モジュールXの外側に排出される。
【0045】
次に、分離膜エレメント3の製造方法を図2に基づいて説明する。図2は、この製造方法の各工程を示す断面図であり、分離膜エレメント3を構成する複数の中空糸状多孔質分離膜1の中の1本について、その端末部分を拡大して示す。
【0046】
まず、図2(a)に示すように、中空糸状多孔質分離膜1の端末を、エポキシ樹脂を溶剤に溶解してなる熱硬化性樹脂b12中に浸漬する。このとき中空糸状多孔質分離膜1の中空部1’内に、熱硬化性樹脂b12(及び後述する熱硬化性樹脂a)が浸入しないように、予め、中空部1’の開口部を封止して、開口閉塞部11を形成しておく。
【0047】
この浸漬により、中空糸状多孔質分離膜1の有する多数の孔内(各孔は図示されていない。)に熱硬化性樹脂b12が浸透する。この浸透した部分を浸透部13’とするが、毛管現象により、浸透部13’は、図2(a)に示すように実際に浸漬された部分より通常は大きくなる。熱硬化性樹脂bとしては、エポキシ樹脂の他にウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられるが、前記のように硬化後も柔軟性を有する樹脂が好ましい。又熱硬化性樹脂bを構成する溶剤としては、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。
【0048】
その後、中空糸状多孔質分離膜1を引き上げて、浸透部13’にある熱硬化性樹脂b12を乾燥させて中空糸状多孔質分離膜1の端末に樹脂含浸部13を形成する(図2(b))。次に、複数の中空糸状多孔質分離膜1を集束した状態で、樹脂含浸部13を下に向けて下側に位置する金型(図示は省略されている。)内にセットする。
【0049】
その後、熱硬化性樹脂a(以後封止用樹脂液14という。)を金型内に注入して中空糸状多孔質分離膜1の束の周囲部及び中空糸状多孔質分離膜1の隙間に行き渡らせ、中空糸状多孔質分離膜1の端末を封止用樹脂液14に浸漬する(図2(c))。封止用樹脂液14は、膜封止部を形成するための樹脂液であるので、前記のように、硬化前のエポキシ樹脂液、ウレタン樹脂液等が用いられる。
【0050】
図2(c)に示すように、封止用樹脂液14を金型内に注入するときは、樹脂含浸部13の上縁の位置を、注入完了後の封止用樹脂液14の液面と同じ高さ又は該液面よりも僅かに高くなるように設定する。この状態で樹脂含浸部13を封止用樹脂液14中に浸漬する。中空糸状多孔質分離膜1の孔にはすでに熱硬化性樹脂b12が浸透しているので、中空糸状多孔質分離膜1の根元部の孔内に、封止用樹脂液14が毛管現象により浸透することはなく、熱硬化性樹脂aの根元部への浸透、硬化により根元部の破損、気液の漏れを生じやすくなるとの問題を抑制することができる。
【0051】
前記の浸漬の後、加熱により、樹脂含浸部13にある熱硬化性樹脂bと、金型内に注型されている熱硬化性樹脂a(封止用樹脂液14)の硬化がされる。この硬化により両樹脂の界面が接着され、中空糸状多孔質分離膜1と膜封止部2が一体化する。次に、脱型を行い、開口閉塞部11を含む中空糸状多孔質分離膜1の端末及びその近傍の膜封止部2(図2(d)中のm’部分)を切り取ることにより(図2(d))中空糸状多孔質分離膜1の中空部1’が膜封止部2の端面から開口する(図2(e))。このようにして、膜封止部2と中空糸状多孔質分離膜1とが一体化し、かつ、中空糸状多孔質分離膜1の根元部1aの柔軟性が確保された分離膜エレメント3が作製され、これをハウジング7内に収容することにより、本発明の分離膜モジュールXを得ることができる。
【0052】
図4は、本発明の分離膜モジュールの他の実施形態である分離膜モジュールYの断面図を示す。分離膜モジュールYは、オゾン溶解等の気液吸収に用いられる分離膜モジュールである。
【0053】
分離膜モジュールYも分離膜モジュールXと同様に、複数のPTFE製の中空糸状多孔質分離膜21を互いに間隔を設けて略平行に配置し、その軸線方向の両端末を集束してエポキシ樹脂製の膜封止部22、22’で一体化してなる分離膜エレメント23と、円筒状の筒材24及び該筒材の両端開口を閉じるキャップ25、26を有する耐圧性のハウジング27とを備えている。膜封止部22、22’の外側端面には中空糸状多孔質分離膜21の端末が開口し、中空糸状多孔質分離膜21の一端開口から他端開口への処理液の流通を可能としている。一方のキャップ26には気体の流入口28及び処理液の排出口29が設けられ、他方のキャップ25には気体の排出口30及び処理液の流入口31が設けられている。
【0054】
処理液は、流入口31から中空糸状多孔質分離膜21の管内に導入され、中空糸状多孔質分離膜21の内側に接触しながら流れて排出口29から分離膜モジュールYの外側に排出される。気体は、流入口28から分離膜モジュールYのハウジング27内に導入され、中空糸状多孔質分離膜21の外側に接触しながら流れて排出口30から分離膜モジュールYの外側に排出される。この間に、中空糸状多孔質分離膜21の貫通孔を通して、気液吸収が行われる。
【0055】
なお、分離膜モジュールYの製造方法は、分離膜モジュールXと同様なのでその説明は省略する。又、分離膜モジュールX、Yの流入口及び排出口の配置場所などについては処理気液や処理内容などにより適宜設計変更されるものである。
【実施例】
【0056】
[熱硬化性樹脂a(以後、封止用樹脂とする)の準備]
表1に示す組成で、主剤及び硬化剤を混合して封止用樹脂A、B、C及びDのそれぞれを得た。なお、表1中の数字(硬度以外)は、組成割合(重量部)を示す。
【0057】
[熱硬化性樹脂b(以後、含浸用樹脂とする)の準備]
表2に示す組成で、主剤及び硬化剤を混合して含浸用樹脂I、II、IIIのそれぞれを得た。なお、表2中の数字(硬度以外)は、組成割合(重量部)を示す。
【0058】
[含浸用樹脂の硬化物及び封止用樹脂の硬化物の硬度の測定]
前記のようにして調整された含浸用樹脂及び封止用樹脂(液状)を、金型に注型し、100℃で4時間加熱して30mm角、厚さ10mmの大きさの評価用ブロックを作製し、各評価用ブロックを、デュロメーターD型(テクロック社製)により、JIS K 7215プラスチック硬さ試験方法に準拠して、25℃環境下で硬度測定を行った。その測定値も表1、2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
なお、上記表1及び表2において使用した略号の意味を、それぞれ以下に示す。
ビスA : ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ社製エピクロン850)
ビスF : ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ社製エピクロン830)
PPG : ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(東都化成社製PG−201N)
芳香族 : 芳香族ポリアミン(PTI社製アンカミンZ)
脂肪族D: 脂肪族ポリアミン(PTI社製ジェファーミンD−400)ジアミン
脂肪族T: 脂肪族ポリアミン(PTI社製ジェファーミンT−403)トリアミン
【0062】
[分離膜エレメント3の作製]
分離膜エレメント3を、図2に示された製造方法に基づいて作製した。なお以下の説明において、各部材については図2と同じ番号を用いている。
【0063】
(1)中空糸状多孔質分離膜1の準備
外形2.3mm、内径1.1mm、孔径2μmのPTFE製中空糸状多孔質分離膜1(住友電気工業社製ポアフロンチューブ)を10本準備した。
(2)熱硬化性樹脂b(含浸用樹脂液)の準備
表2に記載した含浸用樹脂のそれぞれ10gを、メチルエチルケトン100gに溶解して熱硬化性樹脂b12を作製した。
(3)中空糸状多孔質分離膜1の樹脂含浸部13の形成
中空糸状多孔質分離膜1の一端末を結束して封止した後、熱硬化性樹脂b12に10分間浸漬し、中空糸状多孔質分離膜1の孔内に十分に浸透させた。中空糸状多孔質分離膜1を熱硬化性樹脂b12から引き上げ、室温で乾燥させてメチルエチルケトンを揮散させて樹脂含浸部13を形成した。中空糸状多孔質分離膜1の他端末も同じ処理によって樹脂含浸部13を形成した。
【0064】
(4)封止用樹脂(熱硬化性樹脂a)液の注型
前記のようにして得られた10本の中空糸状多孔質分離膜1を、間隔をあけた状態で集束し、樹脂含浸部13を下に向けて金型内にセットした。表1に記載した封止用樹脂の液(封止用樹脂液14)を、40℃に加熱して粘度を下げ、中空糸状多孔質分離膜1の樹脂含浸部13がセットされた金型内に注入し、中空糸状多孔質分離膜1の束の周囲部及び中空糸状多孔質分離膜1の隙間に行き渡らせた。その際、樹脂含浸部13の上縁が、注入完了後の封止用樹脂液14の液面から1mm以内の高さに位置するようにして樹脂含浸部13を封止用樹脂液14中に浸漬した。
(5)中空糸状多孔質分離膜1の端末の封止
その後、100℃で4時間加熱して、金型内の樹脂含浸部13の含浸用樹脂と封止用樹脂液14を同時に硬化させて両樹脂の界面を接着させた。
(6)硬化後脱型し、さらにその後、図2(d)(e)に示すように、中空糸状多孔質分離膜1の端末近傍にある膜封止部2を、前記端末部とともに切り落として中空糸状多孔質分離膜1の中空部を開口させ、中空糸状多孔質分離膜1の両端末と樹脂製膜封止部2とが一体構造となった分離膜エレメント3を作製した。
【0065】
[耐薬品性評価]
次の(i)から(v)までの各薬品液に、このようにして製造した分離膜エレメント3を1000時間、浸漬した状態で、膜封止部2をエアーバブリングで曝気し、中空糸状多孔質分離膜1を、根元部分を中心とした角度2〜5度の範囲で少なくとも1分間に3回以上振動させた。
(i)4%硫酸水溶液、(ii)4%水酸化ナトリウム水溶液、(iii)有効塩素3000ppm相当の次亜塩素酸ナトリウム水溶液、(iv)イソプロピルアルコール、(v)メチルエチルケトン
【0066】
その後、以下に示す水中でのエアー漏れ試験を行い、中空糸状多孔質分離膜1の根元部での漏れの発生を測定し、根元部の破損や気液の漏れの生じにくさを評価した。又以下に示す引抜試験を行い、その結果に基づき膜封止部2と中空糸状多孔質分離膜1の接着性を評価した。その結果を表3に示す。
【0067】
[水中でのエアー漏れ試験]
前記で製造された分離膜エレメント3の一端に図1の6で示すようなキャップをはめて、中空糸状多孔質分離膜1の開口部を塞ぎ、他方の端には、図1の5で示すようなキャップをはめ、キャップ5の排出口には空気吹き込み管を装着する。その後、この分離膜エレメント3を水中に漬けて、空気吹き込み管から空気を圧入し、中空糸状多孔質分離膜1の根元部から空気(泡)がリークする圧力を測定し、以下の基準で評価した。
【0068】
◎ リークする圧力が50kPa以上
○ リークする圧力が20〜50kPa
× リークする圧力が20kPa未満
【0069】
[引抜試験]
前記で製造された分離膜エレメント3の中空糸状多孔質分離膜1の1本をインストロンのチャックに挟んで膜封止部2よりの引抜きを行い、引抜きが発生するときの引抜き力を測定した。
【0070】
比較例
比較として、前記分離膜エレメント3の作製における工程(2)及び(3)を行わなかった以外は同様にして、中空糸状多孔質分離膜1の両端末と樹脂製膜封止部2とが一体構造となった分離膜エレメント3を作製し、同様にして耐薬品性評価を行った。その結果も表3に示す。
【0071】
【表3】

【0072】
比較例は硬度85度の封止用樹脂を用いたが、すべての水漏れ試験で水漏れが発生し、引抜試験でも、80Nをかけた時点で中空糸膜が破断(分離膜切れ)が発生した。一方、実施例1〜5では、水漏れ試験、引抜試験とも良好な結果が得られており、分離膜モジュール使用中における根元部の破損、気液の漏れが生じにくく、又中空糸状多孔質分離膜と膜封止部の間の接着性に優れたものであることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の分離膜モジュールの一例の概略断面図である。
【図2】分離膜エレメントの製造工程を示す概略図である。
【図3】従来の分離膜エレメントの製造方法を示す概略図である。
【図4】本発明の分離膜モジュールの他の一例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
X、Y 分離膜モジュール
1、21、35 中空糸状多孔質分離膜
1’、35’ 中空部
1a、32a 根元部
2、2’、22、22’ 膜封止部
3、23 分離膜エレメント
4、24 筒材
5、6、25、26 キャップ
10 集液室
7、27 ハウジング
8、28、31 流入口
9、29、30 排出口
11、34 開口閉塞部
12 熱硬化性樹脂b
13 樹脂含浸部
13’ 浸透部
14 封止用樹脂液
32 端末部
33 樹脂液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部を有する分離膜エレメントであって、
前記膜封止部が、注型用樹脂により形成され、
前記中空糸状多孔質分離膜の孔が、前記中空糸状多孔質分離膜と前記膜封止部との接触部において、孔充填樹脂により充填され、前記注型用樹脂と前記孔充填樹脂が接着していることを特徴とする分離膜エレメント。
【請求項2】
注型用樹脂及び孔充填樹脂が、熱硬化性樹脂の硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜エレメント。
【請求項3】
注型用樹脂と孔充填樹脂が、同種の樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離膜エレメント。
【請求項4】
注型用樹脂の硬度が40度以上であり、かつ孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
【請求項5】
注型用樹脂の硬度が40度未満であり、孔充填樹脂の硬度が、注型用樹脂の硬度と同一又は注型用樹脂の硬度より小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
【請求項6】
中空糸状多孔質分離膜が、フッ素樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の分離膜エレメント。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の分離膜エレメント及び前記分離膜エレメントを収容するハウジングからなり、前記分離膜エレメントとハウジングが一体化されていることを特徴とする分離膜モジュール。
【請求項8】
複数の中空糸状多孔質分離膜、及びその端末を集束して封止する膜封止部からなる分離膜エレメントの製造方法であって、
複数の前記中空糸状多孔質分離膜の端末に、熱硬化性樹脂bの溶液を含浸させた後乾燥して、樹脂含浸部を形成する工程、
硬化前の熱硬化性樹脂aを注型し、かつ注型された熱硬化性樹脂aに、前記樹脂含浸部を浸漬する工程、及び
熱硬化性樹脂a及び熱硬化性樹脂bを硬化し、前記中空糸状多孔質分離膜の端末を封止する工程、
を有することを特徴とする分離膜エレメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−165913(P2009−165913A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4171(P2008−4171)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】