説明

切り屑除去機械加工用の穴あけ工具、穴あけ工具のルーズトップ及び基体

【課題】本発明は、切り屑除去機械加工用の穴あけ工具、穴あけ工具のルーズトップ及び基体を提供する。
【解決手段】ブランチ(15)はルーズトップ(2)にその接線方向接触表面(36)を介してトルクを伝達し、同時にブランチの内側支持表面(17)はルーズトップの外側接触表面(24)にそれをしっかりつかむために弾力的に押しつけられて保持される。ルーズトップの取り付けにおいて、ルーズトップはブランチ(15)の間に軸方向に挿入され、接線方向支持表面(20)がルーズトップの接線方向接触表面(36)と接触するまで回される。回し込みに関連してルーズトップを一時的に粗い精度で中心合わせするために、ルーズトップには凸のガイド表面(複数)(26)が形成されており、それらは軸方向で軸方向接触表面(11)と外側接触表面(24)の間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第一の様態で、本発明は切り屑除去機械加工のための、添付された独立請求項1の前文に定義されているようなタイプの穴あけ工具に関する。
【0002】
別の様態で、本発明はまた、ルーズトップ及び基体そのものに関する。
【0003】
問題としている種類の穴あけ工具は、鋼、鋳鉄、アルミニウム、チタン、イエローメタル、などの金属のワークピースの切り屑除去又は切削機械加工(特に穴あけ)に適する。また、この工具はいろいろなタイプの複合材料の機械加工にも使用できる。
【背景技術】
【0004】
10年以上前から、一体型のドリルと異なり、二つの部分から、すなわち基体又はドリルボディーとそれに着脱可能に結合された、したがって交換可能な、ヘッドから構成され、このヘッドに必要な切れ刃が含められた穴あけ工具が開発されてきた。こうすると、工具の大きな部分は小さな弾性率の比較的安価な材料、例えば鋼、で製造することができ、他方小さな部分、すなわちヘッド、はもっと硬い高価な材料、例えば超硬合金、サーメット、セラミックなど、から製造することができ、それによって切れ刃に、良い切り屑除去能力、高い加工精度、及び長い使用寿命が得られる。別の言い方をすると、ヘッドは摩耗した後で廃棄できる摩耗部分となり、基体は何回でも(例えば10回から20回取り替えて)再使用できる。このような切れ刃がついたヘッドは“ルーズトップ”という呼び名が現在では認められており、この明細書でも以下ではこの呼び方が用いられる。
【0005】
ルーズトップタイプの穴あけ工具には、複数の要求が課される。そのひとつは、ルーズトップを、駆動する機械から基体を取り外す必要なく、オペレーターが簡単かつ迅速な仕方で取り付けたり外したりできるということである。さらに、回転する駆動される基体からトルクが信頼できる仕方でルーズトップに伝達されなければならない。別の要求は、穴あけなどの動作中にルーズトップに加わる後方への軸方向の力に基体が問題なく耐えることができなければならないということである。さらに、ルーズトップは信頼できる仕方で基体に対して中心合わせされて保持されなければならない。さらに別の必要条件は、穴を開けているときだけでなく、穴あけ工具を穴から引き抜くときも、ルーズトップは基体に対して固定して保持されなければならないということである。さらに、工具は、特に高価な材料で作られるルーズトップは、低いコストで製造できなければならない。
【0006】
請求項1の前文で定義されるようなタイプの穴あけ工具は、特許文献1によって知られている。この穴あけ工具の特徴は、ルーズトップの包絡面がルーズトップの長さのほぼ半分にしか、すなわち、切れ刃をつけている前端から、弾性的に曲がるブランチの内側支持表面がルーズトップを弾力的にクランプするために押しつけられる二つの軸方向後方にある外側接触表面への移行部をなす一対の横方向ショルダー表面までしか延びていないことである。外側接触表面は、包絡面の後部ショルダー表面に対して軸方向後方に突出し最も後方で一対の凸のガイド表面を含むピン状の部分に形成される。基体からルーズトップへのトルクの伝達のために、最後にあげたものには一対のラグ(lug)が形成され、それが包絡面の後部ショルダー表面に対して短い距離後方に突出している。協働動作するブランチの前方の一対のフィンガー部分の接線方向支持表面をこれらのラグの接触表面に押しつけることができる。軸方向の力は、ショルダー表面と協働動作するブランチ前部の軸方向支持表面を介して、又はルーズトップの後端とブランチの間の底面部分を介してルーズトップから基体へ伝達できる。
【0007】
従来の穴あけ工具の欠点は製造技術的な性質のものであり、それは寸法精度に関する要求が高いということである。そのため、問題の工具デザインは、ブランチ内側支持表面とルーズトップの外側接触表面の協働動作する対の間だけでなく、ルーズトップの動作する最終ポジションへの回し込みに伴って係合するようになる、それぞれ、ジョーの底面と隣接して及びルーズトップ部分の後端に形成される凹と凸の協働動作するガイド表面の対の間でも、精細な又は狭いフィットを要求する。このことは、ガイド表面の間の(ルーズトップの回し込みを開始する前の)最初の面接触でもすでにかなりの回動抵抗が生ずること、それはその後、内側支持表面と外側接触表面の対の間で接触が確立するとさらに強められること、言い換えると、ルーズトップをその最終ポジションまで回し込むのに必要な手の力の全体が欠点といえるほど大きくなるということを意味する。もうひとつの欠点は、基体とルーズトップの間のトルクの伝達が、もっぱらルーズトップの包絡面の後端から後方へ突出した比較的短いラグによって行われるということである。言い換えると、接線方向支持表面と接線方向接触表面が必然的に小さくなり、高い表面圧力を生じて変形損傷が発生する危険がある、特にブランチの前方フィンガー部分で生ずる危険がある。これに関連して、問題の種類の穴あけ工具は直径が約8mmと限られたものであり、問題のトルクを伝達する表面はほんのミリメートルサイズになるということを銘記しておかなければならない。別の欠点は、ルーズトップの軸方向長さが直径に対してかなり大きくなる(2:1)ことであり、詳しく言うと、これは包絡面が延びる前方部分が全長の約50%を占め、残りの50%が後方ピン部分によって占められるということの結果である。このことは、ルーズトップの全体積が直径に対して大きくなり、製造での材料の消費が高価になるということを意味する。さらに別の欠点は、ルーズトップに対するブランチのつかみ又はグリップがルーズトップの後ろ半分に限られ、前半分は側方において支持されていないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6506003号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特許文献1によって知られる穴あけ工具の上述した欠点を軽減し、改良された穴あけ工具を提供することを目指している。したがって、本発明の第一の目的は、ルーズトップがその直径に対して最小の長さ - したがって最小の体積 - を有する穴あけ工具、そして寸法精度に課せられる要求を最小にして製造することができ、同時に基体の付随するジョーに簡単かつスムースに取り付けることができる穴あけ工具を提供することである。そのさい、ルーズトップを最初の位置に粗く中心合わせして保持し、次に動作するその最終ポジションに回し込むことができなければならないが、そのためにルーズトップの長さを増大させる特別なセンタリングピンを形成する必要がないようにしなければならない。さらに別の目的は、基体のブランチに全体がしっかりとクランプされて保持されるルーズトップを有する穴あけ工具を提供することである。本発明の目的は、さらに、基体とルーズトップが、それらの間で大きなトルクを伝達でき、変形損傷の明らかな危険がないように形成されている穴あけ工具を提供することである。さらに、穴あけ工具は、簡単なキーによってルーズトップを迅速かつシンプルに交換でき、基体を必ずしも駆動機械から取り外す必要がないようにしなければならない。スムースな交換を保証する重要な因子は、ルーズトップをブランチの間に間違いなく挿入できること、同時に、ルーズトップを動作する最終ポジションに回し込むことにブランチはできる限り小さな抵抗しか示さず、しかも穴あけの間ブランチがルーズトップをしっかりとクランプして保持する能力が損なわれないようにすること、である。ある特定の様態で、本発明はまた、ルーズトップの取り付けに関連して、オペレーターが - 触覚及び/又は聴覚によって - ルーズトップが動作する最終ポジションに到達したときに、それをはっきりと認知できる穴あけ工具を提供することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって、少なくとも第一の目的は、請求項1の特徴部分によって達成される。本発明による穴あけ工具の好ましい実施形態はさらに従属請求項2〜14に定義されている。
【0011】
第二の様態で、本発明はさらにルーズトップそのものに関する。このルーズトップの決定的な特徴は独立請求項15に見られる。
【0012】
第三の様態で、本発明はまた基体そのものに関し、それは独立請求項26に定義されている。
【0013】
本発明は、誰もが認める好適にコンパクトなルーズトップの限られた長さを、トルクの伝達に最適な仕方で利用し、同時に、ジョーに回し込むことに関連してルーズトップを暫定的に中心合わせするために必要な手段をルーズトップに組み込み、しかもその全長を不必要に増大させないようにするという考え方に基づいている。これは、ルーズトップの個々の接線方向接触表面がその後端から前端へ延び、外側接触表面、並びにガイド表面に、それらに共通するくぼんだ表面を介して変わってゆくことができるようにして実現される。このようにして、暫定的な中心合わせに必要なガイド表面が接線方向接触表面の軸方向背後に位置する必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による穴あけ工具の第一の実施形態を示す切断された斜視図であり、基体とルーズトップが組み立てられた状態で示されている。
【図2】ルーズトップが基体から分離された状態で示す分解斜視図である。
【図3】ルーズトップを下からの斜視図、基体を上からの斜視図で示す拡大分解図である。
【図4】基体とルーズトップを側面図で示す分解図である。
【図5】図4のV−V端面図であり、基体を前方から示す。
【図6】図4のVI−VI端面図であり、ルーズトップを後方から示す。
【図7】図4のVII−VII断面図である。
【図8】ルーズトップが基体のジョーに挿入され、その動作する最終ポジションへの回し込みが開始されようとする状態で示す部分斜視図である。
【図9】二対のガイド表面が互いに協働動作する様子を示す断面図である。
【図10】本発明による穴あけ工具の別の実施形態の基体とルーズトップを示す分解斜視図、詳しくは上からの斜視図である。
【図11】同じ基体とルーズトップを下からの斜視図で示す分解図である。
【図12】別の実施形態を示す分解斜視図であり、ルーズトップが下からの斜視図で示されている。
【図13】図12によるルーズトップを示す上からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明とクレームでは、基体とルーズトップのそれぞれの表面で協働動作するいくつかの対が記載される。これらの表面が基体に存在する場合、それは“支持表面”と呼ばれ、ルーズトップの対応する表面は“接触表面”と呼ばれる(例えば、それぞれ、“軸方向支持表面”と“軸方向接触表面”)。いろいろな表面をさらに互いに区別するために、その他に“軸方向”及び“接線方向” などの接頭語が、それぞれ、軸方向支持表面/軸方向接触表面及び接線方向支持表面/接線方向接触表面という表現で用いられている。しかし、これらの接頭語は、いろいろな表面が工具の中でどのように幾何的に位置しているかでなく、それぞれ、表面が力を伝達し担う方向に関係している。また、ルーズトップは後端を含み、実施形態ではそれが平面の形で、基体の軸方向支持表面に押しつけられる軸方向接触表面として働くことを指摘しておきたい。文脈によって、この表面は“後端”又は“軸方向接触表面”と呼ばれる。図面では、穴あけ工具の動作状態で互いに接触する協働動作する表面は同じような表面パタンで示されている。
【0016】
図1と2に示された穴あけ工具は、いわゆるツイストドリルの形をしており、基体1,並びにルーズトップ2を含み、ルーズトップ2に切れ刃3が含まれる。図1による構成された動作状態で、穴あけ工具はCと記された中心軸のまわりで、さらに詳しくは回転Rの方向に回転できる。図2で、基体1は前端と後端4,5を含み、その間に基体に固有の中心軸C1が延伸していることが見られる。前端4から後方へ、円筒状の包絡面6が延びており、そこに二つの切り屑フルート7が凹設され、この場合、それはヘリコイダル(らせん形)であるが、タップボーラーの場合のように真っ直ぐであってもよい。この例では、切り屑フルート7は、駆動機械(図示せず)に取り付けるための後部9に含まれるカラー8で終わっている。
【0017】
ルーズトップ2も前端と後端10,11、及び自身の中心軸C2を含み、この中心軸と二つの凸の包絡部分表面12(合わせて包絡面を構成する)が同心である。包絡部分表面12は二つのらせん形切り屑フルート13によって分離される(図3参照)。これらは、ルーズトップが基体に取り付けられたときに、基体の切り屑フルート7の延長になる。ルーズトップ2が基体1に対して正しく中心合わせされるならば、個々の中心軸C1とC2は構成された穴あけ工具の中心軸Cと一致する。
【0018】
基体1の主要部分は本発明に関連した興味が乏しいので、以下ではその前端部分だけをルーズトップ2と合わせて図示する、詳しくは拡大して図示する。
【0019】
次に図3〜9を参照すると、そのうち図3と4は基体1がその前端に二つの同一なブランチ15と中間底面16によって限られるジョー14を含む様子を示している。各ブランチ15は内側支持表面17を含み、この場合それは平面であり、前方端面18から軸方向後方に延びている。表面17,18は境界線19を介して互いに変わってゆく。さらに、個々のブランチは回転の方向Rで前方に向いている、すなわち先頭になっている、接線方向支持表面20を含む。反対側の、回転であとを追うブランチの表面は、二つのらせん状境界線22,23の間にあり、切り屑フルート7を画定する凹の表面21の軸方向前方部分21aとして含まれる。各ブランチ15は、ルーズトップを弾力的にクランプするために弾性的に曲がることができる。この曲がることができる性質又は弾力性は、実際には、材料が少なくとも基体の前部ではある程度の内在的な弾性を有することによって、適切には鋼であることによって、実現される。それに対し、ルーズトップ2は、従来の通り超硬合金(バインダー金属ちゅうの硬い炭化物粒子)、サーメット、セラミック、などから成る。
【0020】
ブランチ15の内側支持表面17は、ルーズトップ2の外側接触表面24に押しつけられるように配置されている。内側支持表面17の軸方向背後に、一対の凹のガイド表面25が形成され、それはルーズトップの外側接触表面24の軸方向背後に位置する凸のガイド表面26と協働動作するように配置される。個々の内側支持表面17は、移行表面27を介して凹のガイド表面25に変わってゆく。同様に、表面24と26は移行表面28を介して互いに変わってゆく。
【0021】
本発明による穴あけ工具の背後にある根本的なアイディアは、ガイド表面25,26が一時的にのみ、すなわち動作する最終ポジションへのルーズトップの最初の回し込みの間だけ、互いに協働動作するということである。図示された好ましい実施形態では、凹のガイド表面25と凸のガイド表面26はどちらも円筒状であり、それぞれの中心軸C1,C2と同心である。これらの表面は他の回転対称な基本形、例えば円錐形、であってもよい、又は円筒状の部分表面、並びに円錐状の部分表面で(個々に又は同時に)構成されていてもよい。
【0022】
図5と6で、IDは内径又は二つの凹のガイド表面25の間の直径寸法を表し、ODは外径又は凸のガイド表面26の間の直径寸法を表す。本発明によれば、内径IDは外径ODより少し大きい。実際には、IDとODの差はきわめて小さく、10分の1又は10分の数ミリメートルである。しかし、それでもこの差は、ガイド表面25,26が、一方では、ルーズトップが動作する最終ポジションに回し込まれたときに互いから離れていることを保証し、しかし他方において、回し込みを開始するときにルーズトップが暫定的に中心合わせされて、すなわちブランチの間の中間位置で、保持されることを保証するのに十分な大きさである。
【0023】
図3に見られるように、ルーズトップの後端は平面の表面11で表され、これは中心軸C2に垂直に延びて軸方向接触表面としての役目をし、それが基体のジョー14に位置して軸方向支持表面の役目をする底面16に押しつけられる。表面11は、この例では包絡部分表面12への直接の移行部を形成する二つの凹の境界線の間で直径方向に延び、表面11は§のような輪郭形状を有する。
【0024】
ルーズトップ2の前端10は、切れ刃3を含み、複数の部分表面から構成される端面によって表され(図4と8を参照)、それらはこの場合は対で同一であり、したがって個々に記載しない。個々の切れ刃3の背後に(回転方向から見て)、1次逃げ面30が形成され、それは小さな逃げ角を有し、もっと大きな逃げ角を有する2次逃げ面31に変わってゆく。さらに、表面31は、もっと大きな逃げ角を有する3次逃げ面32に変わってゆき、それは背後の切り屑フルート13への移行部を形成する。切れ刃3の付近で、切り屑フルート13の凹の限界表面は切り屑表面を形成し、それはルーズトップの中心の近くで凸の部分表面33に変わってゆく。さらに、包絡部分表面12に隣接して、穴あけ工具をガイドすることが主な任務であるガイドパッド34が形成されていることに注意しておきたい。あけられる穴の直径は、切れ刃3がガイドパッド34に出会う周縁の点3aの間の直径方向の距離によって決まる。また、二つの切れ刃3が先端35に収斂し、それがルーズトップのまさに最先端の部分になり、そこにいわゆるチゼルエッジと肉眼には見えない極小パンチングセンターが含まれるということも指摘しておかなければならない。
【0025】
図4で、D1はルーズトップの直径(=あけられる穴の直径)を表し、Lは先端35と軸方向接触表面11の間の全長を表す。図示された好ましい実施形態では、長さLは直径よりかなり小さい。詳しく言うと、LはDのほぼ70%になる。このことは、ルーズトップがその直径に比して異常にコンパクトであり、その材料の消費が最小になるということを意味する。
【0026】
各包絡部分表面12から内側へ、トルクを担う接線方向接触表面36(図3と7を参照)が延び、それが境界線37に沿って包絡部分表面12に出会う。このように、接線方向接触表面36は包絡部分表面12の径方向内側に、しかし外側接触表面24の径方向外側に位置する。図7に見られるように、表面12,36は互いの方へ収斂の鋭角αで収斂し、それはこの例では50°になる。接線方向接触表面36と、この例では平面である側方支持表面24の間の角度βも鋭角であるが、αよりかなり大きい。この例では、βは約86°になる。
【0027】
図7で、さらにICはルーズトップのいわゆるコアを表し、それは互いに最も近く位置する凹の切り屑フルート表面13の部分の間の内接円で構成される。コアから径方向外側へ、二つのバー38が延び、それらは一般に表面13,12,36,及び24の間で画定される。図3と7に見られるように、個々の外側接触表面24は、図示された好ましい実施形態では、平面であってある厚さを有するウエブ又は物質部分39の存在によってコアICから間隔があいている。言い換えると、外側接触表面24は、コアICの外側の物質付加部分に含まれるということもできる。さらに、二つの外側接触表面24は、ルーズトップを断面で見ると互いに平行であるということを指摘しておきたい(図7を参照)。
【0028】
個々の接線方向接触表面36(図3を参照)はルーズトップの後端11から前端10へ延びる(小さなS字形の移行部又は逃げ面40を除く)。接線方向接触表面36の内側に、全体が41と符号で表される凹のくぼんだ表面があり、これは複数の凹の部分表面、すなわち外側接触表面24と境を接する前部部分表面42,及び凸のガイド表面26と境を接する後部部分表面43,を含む。二つの部分表面42,43の間に、第三の凹の部分表面44が形成され、それが接線方向接触表面36と表面24と26の間の移行表面28の間の径方向移行部を形成する。図示された好ましい実施形態では、接線方向接触表面36がルーズトップの軸方向接触表面11から前端10までの全体にわたって延びている。詳しく言うと、表面36は後方境界線45と前方境界線46の間に延び、あとであげたものは表面36とルーズトップの前端に含まれる逃げ面31の間の移行部を形成する。(図8を参照)。上からは、接線方向接触表面36の(境界線45,46の間の)軸方向長さは表面24,26及び28の軸方向の長さ又は延長の和と本質的に同じ大きさであることが見られる。言い換えると、接線方向接触表面36は外側接触表面24よりかなり長い。この理由により、コンパクトなルーズトップの認められる軸方向延長が最適に大きな接線方向接触表面36を設けるために利用される。
【0029】
図3にさらに見られるように、第一の凸の部分表面47が個々のブランチの内側支持表面17と接線方向支持表面20の間にある。同様の、凸の部分表面48,49が、凹のガイド表面25と接線方向支持表面20の間、及び移行表面27と接線方向支持表面20の間にも存在する。部分表面47,48,49は対応するルーズトップの凹の部分表面又は逃げ面42,43,44より一般に大きな曲率半径を有する逃げ面を形成する。このようにして、ルーズトップがジョー14で動作する最終ポジションをとったときに部分表面の対の間に隙間が形成される。同じ最終ポジションで軸方向支持表面16に隣接する凹の移行表面50も軸方向接触表面11に隣接する凸の移行表面40から離れている。
【0030】
続けて図3を参照して、さらに、個々の外側接触表面24はルーズトップの前端から軸方向後方へ延びていることを指摘しておかなければならない。詳しく言うと、表面24は前方及び後方境界線51,52の間で軸方向に画定され、そのうち前方のものは逃げ面31への移行部を形成する(図8参照)。側方で、表面24は、回転でそれぞれ先頭になる側方境界線及びあとを追う側方境界線53,54によって画定され、そのうちあとであげた方は三角形の中間表面55に隣接する限界エッジを形成又はそれに含まれる。
【0031】
軸方向接触表面11と同様に、軸方向支持表面16は二つの直径方向で対向するアーチ状境界線56の間に延びる。好適には、二つの表面11と16は同一の§状の輪郭形状を有し、ルーズトップが動作する最終ポジションをとるとそれらは完全に面接触する。
【0032】
次に図5〜7を参照すると、そこでDL1(図5参照)は、ブランチが負荷されていないとき、ブランチの平面で互いに平行な内側支持表面17の間の可能な最短距離で延びる想像上の第一の直径線を表す。言い換えると、直径線DL1はそれぞれの内側支持表面に垂直に延びる。内側支持表面17の間で延びる他のどんな直径線(すなわち、中心軸C1を通る直線)も直径線DL1より長くなることは自明である。これは、想像上の線が中心軸C1のまわりで時計方向に回るか、反時計方向に回るかに関わりなくあてはまる。
【0033】
図7で、DL2は二つの外側接触表面24の限界エッジ54の間に延びる第二の想像上の直径線を表す。直径線DL2は直径線DL1より少し長い。実際には、DL1とDL2の間の長さの差は、ほんの100分の1又は100分の数ミリメートルでしかなく、例えば0.02-0.10mmという範囲にある。さらに、ルーズトップの限界エッジ54の間の直径線DL2はそれぞれ外側接触表面24と鋭角γをなすということに注意しておかなければならない。この例では、γはほぼ85°になる。
【0034】
図8で、Vはルーズトップ2が動作する最終ポジションに到達するために回される方向を表す。回す方向Vは穴あけ工具の回転の方向Rと反対である。
【0035】
図3に最も良く見られるように、ガイド表面26は外側接触表面24に対して接線方向に部分的にずれている、詳しく言うと、切り屑フルート13の境界線26は、外側接触表面24の限界エッジ54に対して、回転の方向Rで後方へ、すなわち図3で左の方へずれている。したがって、ルーズトップを回し込みの方向Vに回し込むとき、境界線26aは限界エッジ54の前へ動く。その実際の結果として、ガイド表面26は、限界エッジ54がブランチ15の内側支持表面17と接触する前にすでに、ルーズトップを暫定的に粗く中心合わせする目的でガイド表面25と協働動作し始めることができる。言い換えると、ルーズトップは、その軸方向接触表面11が軸方向支持表面16に押しつけられるとすぐに、ジョー14から側方へ押し出されることができなくなる。
【0036】
ジョー14の後部の二つの凹のガイド表面25は、ブランチ15の他の部分に対して内側へ厚くなっている境界部分に形成されていることに注意しておきたい。その結果、個々の接線方向接触表面20(図3を参照)は、それが研削されたときL字形になる。したがって、接線方向支持表面20は、幅が一様でなく、ブランチ15の厚くなった後部の境界部分で前部より幅が広くなる。境界部分が厚くなった利点は、ブランチが全体として非常に堅牢になり、大きな接線方向の力を変形することなく伝達できるということである。ここで、ブランチが曲がってルーズトップにクランプ力を加えることができるために必要な曲がる性質又は弾性的な弾力性はブランチの前半分に集中させることができるということに特に注意しておきたい。すなわち、クランプ力はルーズトップ2の前半分にある外側接触表面24で発生し、ブランチ15の後半分は本質的に非弾力的であってもよい。
【0037】
図8に、ルーズトップ2が初期位置で示されている。この位置でルーズトップは基体のブランチ15の間のジョーに軸方向に挿入されているが、まだ動作する最終ポジションに回されていない。この初期位置ですでに、凸のガイド表面26はブランチ15の内側の凹のガイド表面25の間に部分的に挿入されている。このようにして、外側接触表面24がブランチ15の内側支持表面17と接触する前にすでに、ルーズトップがジョーに対して粗く中心合わせされること、すなわちブランチの間で中間ポジションに保持されることが(これによって、基体の中心軸C1に対して正確に中心合わせされることなく)保証される。回し込み(turning in)がスタートすると、二つの外側接触表面24の限界エッジ54はやがて内側支持表面17と接触し、ブランチに張力又はスプリング力を加えながらそれをたわませ、詳しくはDL1とDL2の長さの差によってそれをたわませる。まさに二つの直径線DL1とDL2が互いに一致したとき、ルーズトップはデッドポジションを通過し、そこでブランチにおけるスプリング力が最大になり、そのあとルーズトップはさらに、接線方向接触表面36がブランチの接線方向支持表面20に押しつけられるまで、短い距離回される。この位置で、ルーズトップが動作する最終ポジションをとると、スプリング力はデッドポジションにおける最大値に比べて減少するが、消えてなくなることはない。言い換えると、動作する最終ポジションでは、スプリング力はまだ十分にルーズトップをブランチの間にしっかりと信頼できる仕方でつかむことができる。回し込みの最終段階で、すなわちデッドポジションから最終ポジションまでの短い弧長で、オペレーターは、指における触覚で又は耳に聞こえるクリック音で(又はこれらの両方の発現の組み合わせで)、ルーズトップが目標としていた最終ポジションに到達したことを感知する。
【0038】
図9で、ルーズトップが動作する最終ポジションをとると、詳しくは前述したODとIDの間の直径の差の結果として、ガイド表面のペアの間にアーチ状の間隙57が生ずることが見られる。
【0039】
ルーズトップの取り外しは、それを回し込みの方向Vと反対方向に回して行われる。取り付け並びに取り外しで、必要なトルクは、逃げ面31と包絡部分表面12の間の移行部にある切り欠きと係合するようにしたキー(図示せず)によって加えられる(図8を参照)。
【0040】
本発明の根本的な利点は、工具、特に大量シリーズで製造されるルーズトップを、寸法精度に関して打ち勝つことができないような高い要求なしに生産できること、詳しく言うと、精密加工、例えば研削、が必要な表面の数を最小に減らすことによってそれを可能にしたことである。本発明によるルーズトップの表面で、ルーズトップの良いクランピングと良い中心合わせのために精密加工が必要なものは、容易にアクセスでき、外側接触表面と接線方向接触表面の対だけであり、他方、ガイド表面はルーズトップの回し込みを開始することに関連して一時的に活性化されるだけなので、精密加工する必要がない。しかし、ルーズトップの動作する最終ポジションで、協働動作する凸及び凹のガイド表面の対は互いに接触しない。本発明の別の利点は、米国特許US 6506003 B1によって知られるルーズトップと比較するとルーズトップがコンパクトで短いにもかかわらず、ルーズトップにたっぷりした接線方向接触表面を形成できることである。こうして比較的大きなトルクを基体のブランチからルーズトップに変形損傷のリスクなしに伝達できる。ブランチの後部が厚く堅牢になったこともそれに寄与している。さらに、ルーズトップを最終ポジションにするために打ち勝たなければならないスプリング力は短い時間、瞬間的にしか発生せず、回し込みの全体にわたって一様に発生することはない。ブランチとルーズトップの間のつかみ(pinch)がルーズトップの軸方向前部に沿って確立され、後部にではないことも利点である。したがって、ブランチがクランプされる二つの外側接触表面は、前端に含まれる逃げ面のすぐ近くに位置する。
【0041】
次に図10と11を参照する。ここには前述の実施形態と異なる実施形態、特に、ルーズトップ2の外側接触表面24が凸であり、ブランチ15の内側支持表面17が凹であって、平面でないという点で異なる別の実施形態が示されている。さらに、ブランチ15の自由な前端に、軸方向背後にある接線方向支持表面20から回転の方向で径方向前方に突出するブラケット又はリップ59が形成される。最後にあげたものは、この場合、基体の中心軸C1と本質的に平行に延びる。リップ59は、例えばあけた穴からドリルを引き出そうとしてジョー14からルーズトップが意図せずに外れることに対抗するロック手段を構成する。個々のリップ59はくさび形であり、後ろに向いた傾斜したストップ表面60を有し、それがルーズトップの前端に含まれる同じように傾斜した表面61と向き合う。しかし、ルーズトップが外れることを防止するのに十分大きなスプリング力によってルーズトップがしっかりとつかまれている限り、これらの表面60,61は互いに接触しない。しかし、ルーズトップを外そうとする力がブランチにおけるスプリング力に勝った場合も、表面61はストップ表面60に押しつけられてルーズトップのそれ以上の動きを防止する。これに関連して、あけた穴から引き出すときの穴あけ工具は、やはり回転の方向Rに回転するようになるということを言っておきたい。こうして、接線方向支持表面20はリップ59の背後で接線方向接触表面36と継続的に接触して保持され、したがってリップ59がフールプルーフな仕方で外れを防止する。
【0042】
図1〜9による実施形態では、ルーズトップ2の同様の軸方向ロッキングは、協働動作する接線方向支持表面20と接線方向接触表面36が、表面の間の任意の前方接触点が背後にある各接触点に対して回転で先になるような仕方で傾斜することによって保証される。個々の接線方向支持表面20が、穴あけ工具の引き抜きと同時回転のさいに付随する接線方向接触表面36に押しつけられた状態で保持されるとき、ルーズトップには軸方向接触表面11を軸方向支持表面16に押しつけようとする力が作用し、それがルーズトップの意図しない軸方向引き抜きに効果的に対抗する。
【0043】
図12と13には、ルーズトップの軸方向ロッキングのための別のタイプの手段を有する別の実施形態が示されている。この場合、ロック手段はブランチ15の後端に形成されたシート62,並びにルーズトップ上の二つのロック部材63を含む。個々のシート62は個々のブランチ15に凹設された、ブランチの接線方向支持表面20と基体の軸方向支持表面16の間に位置する樋である。これに対し、個々の雄部材63は、ルーズトップの接線方向接触表面36の軸方向背後に位置し、軸方向接触表面11に結合する隆起である。言い換えると、隆起63は、接線方向接触表面36に対し側方に突出し、その後部は軸方向接触表面11に変わってゆく。ルーズトップが動作する最終ポジションに回し込まれると、隆起63は樋62と係合するが、隆起は樋と面接触しない。前述した実施形態と同様に、隆起63はルーズトップへのネガティブな軸方向の力がブランチのスプリング力に打ち勝った場合にのみ活性化される。
【0044】
図12には、さらに、基体1がどのようにルーズトップの切れ刃及びそれに結合した表面の冷却のための冷却液ダクト64を含むかが示されている(他の実施形態のもあてはまる)。冷却液ダクト64はブランチ15の前端表面18に開口している。
【0045】
本発明は、上で説明し図面で示した実施形態だけに限定されない。だから、例えば、ルーズトップの軸方向接触表面及び/又は基体の軸方向支持表面は共通の平面に位置する二つ以上の互いに離れた部分表面から構成されるように変更できる。しかし、図に例示されたようなタイプの連続した平面の表面の方が好ましい。それらの実施形態の軸方向接触表面は二つの直径方向に対向する端の境界線を介して直接に包絡部分表面に変わってゆくが、個々の端の境界線と包絡部分表面の間に、狭い移行表面があってもよい。ルーズトップの接線方向接触表面がルーズトップの軸方向接触表面の後端から前端までずっと延びていることも必要ではない。しかし、接線方向の力又はトルクの伝達の要求が大きい場合、例示された実施形態の方が好ましい。協働動作するガイド表面の対に関して、一方のタイプだけを、例えば凹のガイド表面を真正に円筒状及び/又は円錐状基本形で形成し、他方のタイプは中心軸から等しい大きさの径方向距離に位置するひとつ以上の部分表面で形成することも可能である。例示されたいろいろな実施形態によって明らかにされたように、本発明はブランチの内側支持表面とルーズトップの外側接触表面が平面であるかアーチ状であるかに関わりなく適用可能である。これに関連して、ルーズトップの軸方向接触表面は直接プレスすることも、精密加工する、例えば研削することもできるということを指摘しておきたい。ここで、基体のジョーに含まれルーズトップの表面と協働動作する支持表面は、通常、切り屑除去機械加工によって形成されることに関連してすでに高い精度が得られるということも指摘しておきたい。言い換えると、通常の場合、これらの表面は仕上げを必要としない。さらに、個々の切れ刃の背後には、いくつかの逃げ面でなく、ひとつの逃げ面だけを形成してもよい。最後に、問題の穴あけ工具は - 他の任意の穴あけ工具と同様 に- 回転されることによって、動いていないワークピースを機械加工するように使用することも、クランプされることによって、回転しているワークピースを機械加工するように使用することもできることを言っておかなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り屑除去機械加工用の穴あけ工具であって、
a)前端と後端(4,5)及び包絡面(6)を含む基体(1)であって、包絡面は二つの凹設された切り屑フルート(7)を含み、第1の中心軸(C1)と同心であり、第1の中心軸(C1)のまわりで与えられた回転方向(R)に回転可能である基体と、
b)前端と後端(10,11)を含むルーズトップ(2)であって、後端は軸方向接触表面(11)及び第2の中心軸(C2)と同心な一対の包絡部分表面(12)を形成し、ルーズトップはさらに一対の包絡部分表面(12)に対して凹設された二つの切り屑フルート(13)を含み、一対の包絡部分表面(12)の間に中心コア(IC)から突出する二つのバー(38)が画定され、前端(10)に各切れ刃(3)を含み、少なくともひとつの逃げ面(30,31,32)が切れ刃(3)の回転方向後方に位置するルーズトップと、
c)二つの対向する外側接触表面(24)と、
d)外側接触表面(24)の軸方向背後に位置する一対の凸のガイド表面(26)であって、中心軸(C2)と同心で、中心軸(C2)と個々の外側接触表面(24)の間の径方向距離より小さな距離で中心軸(C2)から径方向に間隔があいているガイド表面と、
e)径方向で包絡部分表面(12)の内側かつ一対の外側接触表面(24)の外側に位置するトルクを伝達する一対の接線方向接触表面(36)と、
を備え、
基体(1)の前端(4)はジョー(14)を含み、ジョーはルーズトップ(2)の軸方向接触表面(11)を押しつけることができる軸方向支持表面として働く底面(16)及び二つの周縁に位置するブランチ(15)によって画定され、ブランチは底面(16)から軸方向に突出し、弾性的に曲がることができ、ジョー(14)に対してルーズトップを動作する最終ポジションにクランプし、詳しくは一対のブランチ(15)の内側支持表面(17)をルーズトップの外側接触表面(24)に弾力的に押しつけ、回転方向で先行する一対のブランチの接線方向支持表面(20)をルーズトップの接線方向接触表面(36)に押しつけることによってクランプし、
内側支持表面(17)の軸方向背後に凹のガイド表面がルーズトップの二つの凸のガイド表面(26)と協働動作するように配置され、ルーズトップは基体のジョー(14)に軸方向に挿入でき、動作する最終ポジションへ及び動作する最終ポジションから回すことができ、最終ポジションではブランチ(15)の接線方向支持表面(20)がルーズトップの接線方向接触表面(36)に押しつけられる、穴あけ工具において、
ルーズトップの軸方向接触表面(11)がルーズトップの中心軸(C2)に垂直に、詳しくは二つの包絡部分表面(12)に隣接する境界線(29)の間に延び、
ブランチ(15)の凹のガイド表面(25)の対の間の最大直径(ID)がルーズトップ(2)の凸のガイド表面(26)の対の間の同様の直径(OD)より大きく、
ガイド表面は、一方において、動作する最終ポジションの方への回し込みの間、ルーズトップを中間ポジションに暫定的に保持するが、他方において、動作する最終ポジションで互いに接触しないようになっている、
ことを特徴とする穴あけ工具。
【請求項2】
ルーズトップの個々の接線方向接触表面(36)が、その軸方向接触表面(11)から前端(10)の方へ延び、凹んだ表面(41)を介して外側接触表面(24)及びガイド表面(26)に移行し、個々のブランチ(15)の接線方向支持表面(20)の軸方向拡がりが内側支持表面(17)の軸方向拡がりより大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の穴あけ工具。
【請求項3】
ルーズトップ(2)の個々の接線方向接触表面(36)が軸方向接触表面(11)から前端(10)に含まれる逃げ面(31)までずっと延びている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の穴あけ工具。
【請求項4】
軸方向支持表面(16)が基体(1)の中心軸(C1)と垂直に、詳しくは対向する境界線(56)の間で基体の包絡面(6)の方へ延びる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のの穴あけ工具。
【請求項5】
基体(1)の軸方向支持表面(16)とルーズトップ(2)の軸方向接触表面(11)が同一の輪郭形状を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の穴あけ工具。
【請求項6】
ブランチ(15)の内側の二つの凹のガイド表面(25)が円筒状及び/又は円錐状である、ことを特徴とする先請求項1〜5のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項7】
ルーズトップ(2)の二つの凸のガイド表面(26)が円筒状及び/又は円錐状である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項8】
ブランチ(15)が負荷を受けていないとき、ブランチ(15)の内側支持表面(17)の間の可能な最短距離を延びる想像上の第1の直径線(DL1)が、ルーズトップの外側接触表面(24)に沿った一対の直径方向に対向する限界エッジ(複数)(54)の間の同様の第2の直径線(DL2)の長さより小さな長さを有する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項9】
ブランチ(15)の内側支持表面(17)及びルーズトップ(2)の外側接触表面(24)が平面であり、限界エッジ(54)が真っ直ぐである、ことを特徴とする請求項8に記載の穴あけ工具。
【請求項10】
ルーズトップ(2)の個々の接線方向接触表面(36)及び外側に位置する包絡部分表面(12)が互いの方へ鋭角の収斂角(α)で収斂する、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項11】
ルーズトップ(2)がその軸方向長さ(L)よりも大きい直径(D1)を有する、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項12】
基体(1)とルーズトップ(2)が、ジョーからのルーズトップの意図しない軸方向抜け出しを防止するための協働動作するロック手段(60,61;62,63)を含む、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の穴あけ工具。
【請求項13】
ロック手段が個々のブランチ(15)の後端に凹設されたシートを含み、ルーズトップ(2)の軸方向接触表面(11)に隣接して位置する雄部材(63)がそれに挿入可能である、ことを特徴とする請求項12に記載の穴あけ工具。
【請求項14】
シートはブランチ(15)の接線方向支持表面(20)の背後に位置する樋(62)であり、雄部材はルーズトップの接線方向接触表面(36)の背後に位置する隆起(63)である、ことを特徴とする請求項13に記載の穴あけ工具。
【請求項15】
穴あけ工具のためのルーズトップであって、
a)前端及び後端(10,11)であって、後端は軸方向接触表面(11)及び中心軸(C2)と同心の一対の包絡部分表面(12)を構成し、一対の包絡部分表面(12)に対して二つの切り屑フルート(13)が凹設され、その間に中心コア(IC)から径方向に突出する二つのバー(38)が画定され、二つのバー(38)は前端(10)でそれぞれの切れ刃(3)及び切れ刃(3)の回転方向後方に位置する少なくともひとつの逃げ面(30,31,32)を含む、前端及び後端(10,11)と、
b)工具基体の曲げることができるブランチを押しつけることができる二つの対向する外側接触表面(24)と、
c)外側接触表面(24)の軸方向背後に位置する一対の凸のガイド表面(26)であって、中心軸(C2)と同心であり、中心軸(C2)と個々の外側接触表面(24)の間の径方向距離より小さな距離でそれから径方向に間隔があいている、ガイド表面(26)と、
d)径方向で包絡部分表面(12)の内側及び外側接触表面(24)の外側に位置するトルクを伝達する一対の接線方向接触表面(36)と、
を含み、
軸方向接触表面(11)が中心軸(C2)と垂直に、詳しくは二つの包絡部分表面(12)に隣接する境界線(29)の間に延びている、ことを特徴とするルーズトップ。
【請求項16】
個々の接線方向接触表面(36)が軸方向接触表面(11)からルーズトップの前端(10)の方へ延び、凹んだ表面(41)を介して外側接触表面(24)及びガイド表面(26)に移行する、ことを特徴とする請求項15に記載のルーズトップ。
【請求項17】
接線方向接触表面(36)が軸方向接触表面(11)から前端(10)に含まれる逃げ面(31)までずっと延びている、ことを特徴とする請求項16に記載のルーズトップ。
【請求項18】
軸方向長さ(L)よりも大きな直径(D1)を有する、ことを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項19】
個々の外側接触表面(24)が、二つの切り屑フルート(13)の凹の限界表面の間に内接する円によって表されるコア(IC)に対して厚くなっている材料部分(39)に形成されている、ことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項20】
二つのガイド表面が円筒状及び/又は円錐状である、ことを特徴とする請求項15〜19のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項21】
個々の外側接触表面(24)が平面であり、回転で後行する限界エッジ(54)によって画定される、ことを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項22】
二つの外側接触表面(24)に沿った直径方向で対向する限界エッジ(54)の間の想像上の直径線(DL2)が個々の外側接触表面と鋭角(γ)をなす、ことを特徴とする請求項21に記載のルーズトップ。
【請求項23】
個々の接線方向接触表面(36)と外側に位置する包絡部分表面(12)が互いの方へ鋭角の収斂角(α)で収斂する、ことを特徴とする請求項15〜22のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項24】
軸方向接触表面(11)に隣接してルーズトップの軸方向ロッキングのための雄部材(63)が形成されている、ことを特徴とする請求項15〜23のいずれか1項に記載のルーズトップ。
【請求項25】
雄部材が接線方向接触表面(36)の背後に位置する隆起(63)である、ことを特徴とする請求項24に記載のルーズトップ。
【請求項26】
切り屑除去機械加工用の穴あけ工具のための基体であって、
前端と後端(4,5)及び包絡面(6)を含み、包絡面は二つの凹設された切り屑フルート(7)を含み、中心軸(C1)と同心であり、基体がその中心軸のまわりで与えられた回転方向(R)に回転でき、
さらに、前端(4)に形成されるジョー(jaw)(14)を含み、ジョーは軸方向支持表面(16)として働く底面及び二つの周縁に位置するブランチ(15)によって画定され、ブランチは軸方向に突出し、弾性的に曲げることができ、個々に内側支持表面(17)及び接線方向支持表面(20)をルーズトップへのトルクの伝達のために含み、中心軸(C1)と同心の凹のガイド表面(25)が個々の内側支持表面(17)の軸方向背後に形成され、
軸方向支持表面(16)が中心軸(C1)と垂直に、詳しくは包絡面(6)に隣接する境界線(複数)(56)の間に延びている、ことを特徴とする基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−5629(P2011−5629A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142816(P2010−142816)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】