説明

切り込み付きサージカルテープ

【課題】 人体の湾曲した部分に伸縮性支持体の片面に接着剤層を有するサージカルテープを貼るとサージカルテープにヨレ、タワミなどの変形、隙間が生じることで剥がれやすくなり、皮膚に過剰な刺激が不均等に加わることで痒み、カブレの原因となるなどの問題点があった。
【解決手段】伸縮性支持体の片面に接着剤層を有するサージカルテープ(1)の両端に一定間隔で同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込み(2)を付ける。このサージカルテープを人体の湾曲した部分に貼付すると湾曲部分の曲率半径の大きい側のサージカルテープの二等辺三角形の形をした切り込みの頂点の角度が増大し、これに相対する曲率半径のより小さい側のサージカルテープの二等辺三角形の形をした切り込みの頂点の角度が小さくなる。これにより貼りつける対象の形状に適応してサージカルテープが柔軟に変形することで課題の解決とするための手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性支持体の片面に接着剤層を有するサージカルテープにおいて一定間隔に同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込みを設けた切り込み付きサージカルテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部などの湾曲した部分や関節部分などの可動部分に伸縮性支持体の片面に接着剤層を有するサージカルテープを貼るとサージカルテープにヨレ、タワミなどの変形、隙間が生じることで剥がれやすくなり、皮膚に過剰な刺激が不均等に加わることで痒み、カブレの原因となるなどの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-88130号公報
【特許文献2】特開平8-657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サージカルテープは従来、医療の分野において包帯、ガーゼ、シップ剤、カテーテル、輸液チューブ、点滴針、挿管チューブ、シーネなどの衛生材料を人体各部分に固定する目的や手術、治療時の手足のベッドへの固定、外科処置用として肋骨、鎖骨、四肢骨の骨折時の固定、止血処置における圧迫固定
、捻挫、肉ばなれの箇所の固定に使用されてきた。人体は平面的な部分ばかりではなく、湾曲した部分や凹凸のある部分、関節などの可動部分より構成されている。人体の湾曲した部分や凹凸のある部分、関節などの可動部分に従来のサージカルテープを貼るとサージカルテープの一部にヨレ、タワミなどの変形、隙間が生じることで剥がれやすくなり、皮膚に過剰な刺激が不均等に加わることで痒み、カブレの原因となるなどの問題点があった。
【0005】
解決しようとする課題はサージカルテープに切れ込みを設けることで関節など湾曲のある部分や凹凸のある部分、関節などの可動部分にサージカルテープを貼るときに貼りつける対象となる部分の形状に応じてヨレ、タワミなどの変形、隙間を生じさせることなく柔軟に使用することでテープを剥がれにくくし、高フィット性、皮膚への低刺激性、使用性能を高めることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として伸縮性支持体の片面に接着剤層を有するサージカルテープにおいて一定間隔に同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込みを対称的に設ける。
【発明の効果】
【0007】
人体の湾曲のある部分に本発明のサージカルテープを貼り付けると湾曲部分の曲率半径の大きい側のサージカルテープの二等辺三角形の形をした切り込みの頂点の角度が増大し、これに相対する曲率半径のより小さい側のサージカルテープの二等辺三角形の形をした切り込みの頂点の角度が小さくなる。このことにより貼りつける対象の形状に適応してサージカルテープが柔軟に変形することで従来のサージカルテープに比較し、ヨレ、タワミが少なくなり、剥がれにくく、高フィット性、皮膚への低刺激性、使用性能を高めることが可能となる。
また、両端の切れ込みが開くことによりテープの縦方向の伸展性が増すという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】切り込み付きサージカルテープ使用前の正面図。
【図2】切り込み付きサージカルテープを長軸方向に伸展した状態の正面図
【図3】切り込み付きサージカルテープを頭部に使用した状態の正面図。
【図4】切り込み付きサージカルテープを膝関節に使用した状態の正面図。
【図5】切り込み付きサージカルテープを耳介に使用した状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
適度な伸縮性をもたせた伸縮性支持体にアクリル系粘着剤を塗布し、この片面に接着剤層を有するサージカルテープ(1)の両端に一定の間隔で切り込み(2)を設けた形態。
【0010】
[形態1]
図1に示すように適度な伸縮性をもたせた綿布の片面にアクリル系粘着剤を塗布した接着剤層を有する厚さ0.05〜0.5mmのサージカルテープ(1)において両端に同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込み(2)を一定の間隔で対称的に設けられたもので、この時の二等辺三角形はサージカルテープの幅W:1に対して1〜0.1の間隔で設けられ、頂点の角度θが5〜40度でサージカルテープの幅W:1に対して高さTが0.01〜0.08の同じ大きさ、同じ形である。サージカルテープは離型紙が接着剤層に積層されたままロールに巻かれており、使用時にハサミにより必要な長さに切断し、離型紙を剥がして接着層を皮膚に貼付する。
[形態2]
さらに好ましくは、図1に示すように適度な伸縮性をもたせた綿布の片面にアクリル系粘着剤を塗布した接着剤層を有する厚さ0.08mmのサージカルテープ(1)において両端に同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込み(2)を一定の間隔で対称的に設けられたもので、この時の二等辺三角形はサージカルテープの幅W:1に対して0.35の間隔で設けられ、頂点の角度θが30度でサージカルテープの幅W:1に対して高さTが0.3の同じ大きさ、同じ形である。サージカルテープは離型紙が接着剤層に積層されたままロールに巻かれており、使用時にハサミにより必要な長さに切断し、離型紙を剥がして接着層を皮膚に貼付する。

【0011】
図2は図1に示した切り込み付きサージカルテープ(1)を長軸方向に水平に伸展したもので、両端の二等辺三角形が同じようにその頂点角度θが大きくなることで底辺が大きくなり切り込みが開くことでサージカルテープ全体の長軸方向の伸展性が増した状態を示している。
【0012】
図3は切り込み付きサージカルテープを頭部に使用した状態の正面図である。図に示すように頭部のように湾曲した部分に本発明の切り込み付きサージカルテープ(1)を貼り付けると曲率半径の大きい前額A側の二等辺三角形の形をした切り込み(2)が頂点の角度が大きくなり、これに相対する曲率半径のより小さい頭頂部B側の二等辺三角形の形をした切り込み(2)の頂点の角度が小さくなる。このように力を加えることでサージカルテープ(1)全体を扇型に変形させ、サージカルテープの一部にヨレ、タワミなどの変形を生じることなく柔軟に使用することが可能となる。
【0013】
図4に示すよう膝関節のように可動部分に切り込み付きサージカルテープ(1)を貼り付けると膝関節の屈曲伸展に対応して二等辺三角形の切り込み(2)の頂点角度が増減することで柔軟に変形することができる。このように柔軟に変形が可能なため関節部分の可動に伴うヨレ、タワミなどの変形、剥がれにくくすることが可能となる。
【0014】
図5に示すように耳などの不規則に凹凸のある部分に切り込み付きサージカルテープ(1)を貼り付けると凹凸に対応して両端の切り込み(2)が開大、縮小することにより柔軟に変形して貼り付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0015】
1 サージカルテープ
2 二等辺三角形の形をした切り込み
3 頭部(Aが前額側、Bが頭頂部側)
4 膝関節(左が伸展時、右が屈曲時)
5 耳介



【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に一定間隔で同じ大きさ、同じ形の切り込みを対称的に設けたサージカルテープ。

【請求項2】
両端に同じ大きさ、同じ形の二等辺三角形の切り込みを一定の間隔で対称的に設けた請求項1記載 のサージカルテープ。

【請求項3】
サージカルテープは伸縮性支持体の片面に接着剤層を有することを特徴とする請求項1記載または請求項2記載のサージカルテープ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−160822(P2011−160822A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23075(P2010−23075)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(509133469)
【Fターム(参考)】