説明

切り餅

【課題】従来小児や特に老人の場合は、歯が欠落していたりして、咀嚼力や嚥下力(食物を飲み下す力)が減弱しているので、気管・気管支に食魂が張りつくことがあり、窒息事故が多かった。本願発明では、一口量を噛み切り易く、したがって喉に詰まらないような切り餅を提供する。
【解決手段】切り餅100の上面1から下面2まで貫通した孔4を、長辺3Aと対向する長辺3Bの中間の長手方向に一若しくは複数形成配設した切り餅である。
【効果】軟らかくなった切り餅の孔の周辺の肉厚が少ないので、孔の近傍より薄くのびて噛み切りやすく、しかも食魂が唾液とよく混ぜられて飲み込み易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噛み切り易く、飲み込みやすい切り餅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理(煮る)した餅を食するとき、小児や、特に咀嚼、嚥下機能の低下による高齢者の窒息事故が多く発生している、改善する手段として下記の特許文献に開示されている技術が知られている。
【0003】
これらを簡単に説明すると(特許文献1)では、糯米と皮を外した小麦を材料とした餅食品の製造方法が開示されている。
【0004】
また、(特許文献2)では、アミログラムの糊開始温度を調整して2品種以上混米することで噛み切り易く、飲み込み易い餅の製造方法を開示している。
【0005】
また、(特許文献3)では、糯米にオカラや糠を混合することで、喉につまることのない餅が開示されている。
【0006】
また、(特許文献4)では、粳米と糯米を混米することで食味が改良されることが開示されている。
【0007】
また、(特許文献5)では、高分岐環状デキストリンを配合することで咀嚼、嚥下しやすい麺および餅等の製造方法を開示している。
【0008】
また、(特許文献6)では、寒天入りの餅とすることで粘り気の少なくノドにつかえることのない餅の製造方法を開示している。
【0009】
また、(特許文献7)では、糯米に粳米とα化うるち米を加えた餅様食品を開示している。
【0010】
また、(特許文献8)では、糯米と粒状のオオムギ、コンニヤク粒を混合した餅状低カロリー食品の製造方法を開示している。
【0011】
前記、(特許文献1〜8)に開示されている技術は糯米に他の食材を混合加工する餅食品である。
【0012】
また、(特許文献9)では、切り餅の上面部および下面部に切り込み部を設けて、手で簡単に小割する事のできる、手欠き切り餅である。
【0013】
また、(特許文献10)では、平面方形の餅体の上面及び下面に十字の切込みを入れて二側面に斜めの切込みを交叉させた切り餅である。
【0014】
また、(特許文献11)では、上面、下面に十字の切込みを入れて、きれいに整った外観に焼くことができ、調理する前の分割しやすさを考慮した切り餅が開示されている。
【0015】
また、(特許文献12)では、角形の切り餅や丸形の丸餅上側表面に週方向に溝部を設け、焼いた後の美感、食味また食べ易い餅が開示されている。
【0016】
前記、(特許文献9〜12)に示したように、噛み切り易くて、飲み込み易いという効果的な形状に改良された切り餅が無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平5-7466号公報
【特許文献2】特開2010-51275号公報
【特許文献3】特許第2981882号公報
【特許文献4】特開平5-227904号公報
【0018】
【特許文献5】特開2001-136898号公報
【特許文献6】特開2002-34479号公報
【特許文献7】特許第3779594号公報
【特許文献8】特許第3837321号公報
【0019】
【特許文献9】特開平10-165121号公報
【特許文献10】特開2010-94065号公報
【特許文献11】特許第3620045号公報
【特許文献12】特許第3817255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
古来より日本では、稲作信仰というものがあり正月などのハレの日の行事には欠かせない縁起物の食材となっているのが餅である。
【0021】
しかし、食品安全委員会の平成22年3月GW(ワーキンググループ)の評価書(案)によると、餅が窒息事故の最も多い食品であるとしている。たとえば、雑煮餅は次の要因等により、窒息事故が発生しやすくなっていると推測した。
【0022】
餅の物性は、口に入るとき50〜60℃では軟らかく、付着性が少ない(伸びやすい)が咀嚼しているうちに体温に近い40℃(程度)に低下すると硬くなり、付着性が増加して、噛み切り難く十分に破砕されず、唾液とよく混ぜられないままに飲み込むと、場合によっては、気管・気管支に食魂が張り付いて、窒息事故が発生する。
【0023】
そこで用心して欲しいのは餅を気道に引っ掛けないようにする事である、小児や特に老人の場合は歯が欠落していたりしていて、嚥下力(食物を飲み下す力)が減弱しているので、引っ掛けやすく、時には窒息死する危険さえもある。
【0024】
本発明は上記のような現状から煮て食べる餅の一口量を適切になるように形成して、噛み切りやすく嚥下し易く成ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0026】
上記課題を解決するために本発明の切り餅を、咽(ノド)に詰まらせないためのポイントは、前記、切り餅を食べやすい大きさで食べることである、即ち(すなわち)一口量を適切にする事である。
【0027】
前記、切り餅100の上面1から下面2まで貫通した孔4を設ける、前記貫通した孔4は前記切り餅100の長辺3Aと対向する長辺3Bの中間を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔4を形成配設したことを特徴とする切り餅に係るものである。
【0028】
また、前記上面1から下面2まで貫通した孔4を設けた、前記切り餅100の長辺側面5Aより対向する長辺側面5Bまで前記貫通した孔4を設けた、前記貫通した孔4は前記切り餅100の長辺側面を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔4を形成配設したことを特徴とする請求項1記載の切り餅に係るものである。
【0029】
略円形状の切り餅200を所定の長さに形成した前記切り餅200であって、前記切り餅200の長辺側面部6Aより対向する長辺側面部6Bまで前記貫通した孔4を設ける、前記貫通した孔4は、前記切り餅200の長辺側面部を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔4を形成配設したことを特徴とする請求項1または2記載の切り餅に係るものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は次のように、切り餅の上面より下面まで貫通する孔を設けたことによって、軟らかく煮えた餅は、貫通した孔の近傍で、餅の肉厚が少ないので箸(ハシ)で餅を持つと貫通した孔の近くより伸びて薄くなり噛み切りやすくなる、しかも貫通した孔は、餅の一口量が適切になるように配設されており、一口量の餅が咀嚼しやすく、食魂が唾液とよく混ぜられて嚥下し易くなる、切り餅に貫通した孔を設けたことにより、一口量ずつ容易に食することができ、窒息事故防止にも貢献できる切り餅を提供するものである。
【0031】
また、請求項2記載の発明においては、さらに噛み切りやすい効果のある切り餅である。
【0032】
即ち(すなわち)上面から下面まで貫通した孔を設けてある切り餅に、長辺側面より対向する長辺側面まで貫通する孔を設けておく、そのことで軟らかく煮えた切り餅が孔のところより垂れ下がるように伸び噛み切りやすく、またより噛み砕き易い切り餅を提供するものである。
【0033】
更に、請求項3記載の発明においては切り餅の製造工程で筒状にした出口より餅を取り出すことにより美感の良い切り餅となり貫通した孔を設けたことにより、咀嚼し易く嚥下しやすい切り餅を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施例を示す斜視図である。
【図2】第一実施例を示す断面斜視図である。
【図3】第一実施例を示す平面図である。
【図4】第一実施例を示す平面図である。
【図5】第二実施例を示す正面図である。
【図6】第二実施例を示す斜視図である。
【図7】第三実施例を示す斜視図である。
【図8】煮た切り餅を箸で持った様子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明における好ましい実施例について、添付図面に基づいて簡単に説明する。
【実施例1】
【0036】
本発明の、切り餅の第一実施例について、図1〜図4参照しながら説明する、
切り餅100は、厚さHが16mm、長辺の長さLが64mm、短辺の長さWが24mm、となっており、前記切り餅100の上面1から下面2まで貫通した孔4を設ける、前記貫通した孔4の直径は5mm、である、切り餅100の長辺3Aと対向する長辺3Bの中間を長手方向に一若しくは複数の貫通した孔4を形成配設する。
【0037】
前記、軟らかく煮えた、切り餅100は貫通した孔4の近傍で切り餅100の肉厚が少ないので、箸で、切り餅100を持つと貫通した孔4の近くより伸びて薄くなり噛み切りやすくなる、しかも貫通した孔4は、切り餅100の一口量が適切に成るように設定配設されており、一口量の餅が咀嚼しやすく食魂が唾液とよく混ぜられて嚥下し易くなる、切り餅100に貫通した孔4を設けたことで、一口量ずつ容易に食することができ、窒息事故の防止に貢献できる作用効果を生じる。
【0038】
また、図4のように切り餅100の短辺の長さが45mm位であれば上面1から下面2まで貫通する孔4を二列並びに長手方向に設けることもできる。
【実施例2】
【0039】
本発明の、切り餅の第二実施例について、図5・図6を参照しながら説明する。
【0040】
上面1から下面2まで貫通した孔4を設けた、前記切り餅100を長辺側面5Aより対向する長辺側面5Bまで貫通した孔4を設けた、前記貫通した孔4は、切り餅100の長辺側面を長手方向に一若しくは複数、形成配設したものである、煮えた、切り餅100が、前記貫通した孔4の所より伸び一口量が適切で、噛み切りやすい切り餅を食することが出来る。
【実施例3】
【0041】
本発明の、切り餅の第三実施例について、図7を参照しながら説明する。
【0042】
略円柱形状の切り餅200を所定の長さに形成した切り餅200であって、前記、切り餅200の長辺側面部6Aより対向する長辺側面部6Bまで貫通した孔4を設ける、前記、貫通した孔4は、前記、切り餅200の長辺側面部を長手方向に一若しくは複数の孔4を形成配設した切り餅200であって、切り餅の製造工程で筒状にした出口より取り出すことにより美感の良い切り餅となる、また、貫通した孔4を設けたことにより一口量の餅が噛み切り易く、唾液とよく混和(咀嚼)することで一口量が、容易に食することのできる作用効果がある。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、本発明の要旨の範囲において、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0044】
100,200 切り餅
1 上面
2 下面
3A,3B 長辺
4 孔
5A,5B 長辺側面
6A,6B 長辺側面部
H 厚さ
W 短辺の長さ
L 長辺の長さ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り餅の上面から下面まで貫通した孔を設ける、前記貫通した孔は、前記切り餅の長辺と対向する長辺の中間を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔を形成配設したことを特徴とする切り餅。
【請求項2】
前記上面から下面まで貫通した孔を設けた、前記切り餅の長辺側面より対向する長辺側面まで前記貫通した孔を設けた、前記貫通した孔は前記切り餅の長辺側面を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔を形成配設したことを特徴とする請求項1記載の切り餅。
【請求項3】
略円柱形状の切り餅を所定の長さに形成した前記切り餅であって、前記切り餅の長辺側面部より対向する長辺側面部まで前記貫通した孔を設ける、前記貫通した孔は、前記切り餅の長辺側面部を長手方向に一若しくは複数の前記貫通した孔を形成配設したことを特徴とする請求項1または2記載の切り餅。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217339(P2012−217339A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82373(P2011−82373)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(503243726)
【Fターム(参考)】