説明

切削工具用ホルダおよび切削工具ならびにそれを用いた被削材の切削方法

【課題】 切屑排出性が良好で、切削中に撓みにくく、加工精度低下を抑制することができる切削工具用ホルダおよび切削工具を提供すること。
【解決手段】 本体部10は、外周面2および先端面2の少なくとも一方に開口した、切削インサートを装着可能なインサートポケット11と、外周面4に設けられてインサートポケット11後端側に位置する切屑排出溝12と、本体部10の先端面2から後端面3まで貫く複数の貫通孔5,5とを備えており、複数の貫通孔5,5はそれぞれ、側面視したときに切屑排出溝12の後端面3側の端部12Rと重なる位置を基点として、先端面2に向かうにつれて回転中心軸S1からの距離が短くなる第1の貫通孔51,51を有していることを特徴とする。このことによって、切屑排出性が良好で、切削中に撓みにくくなり、加工精度低下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具用ホルダおよび切削工具ならびにそれを用いた被削材の切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転工具、特に穴開け加工を行うドリルにおいては、切屑の排出を促進するために、被削材の表面に対して切削液を流出する機構が備えられている。例えば、特許文献1には、回転軸周りにねじれを伴う2本の切屑排出溝が形成され、本体部の内部には、ドリル本体の後端から先端に向かって、ドリル本体の回転軸に平行に穿設された2本の止まり穴からなる本管と、ドリル本体の先端部から本管のそれぞれに連通する枝管を備えた構成のツイストドリルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−19614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のドリルにおいては、2本の本管が形成される領域における本管の間の回転中心軸周りの肉厚が小さく形成される場合がある。一般に、切屑排出溝の後端部はドリル本体のうち応力が集中しやすい箇所であり、この場合には、ドリル本体の剛性が低くなって、切削中に切屑排出溝の後端部を起点としてドリル本体が撓み、加工精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、切屑排出性が良好で、切削中に撓みにくく、加工精度の低下を抑制することができる切削工具用ホルダおよび切削工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の切削工具用ホルダは、回転中心軸を有する円柱状の本体部を備えている、切削インサートを装着可能な切削工具用ホルダであって、
前記本体部は、外周面および先端面の少なくとも一方に開口した、前記切削インサートを装着可能なインサートポケットと、前記外周面に設けられて前記インサートポケットの後端側に位置する切屑排出溝と、前記本体部の前記先端面から後端面まで貫く複数の貫通孔とを備えており、該複数の貫通孔はそれぞれ、側面視したときに前記切屑排出溝の前記後端面側の端部と重なる位置を基点として、前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離が短くなる第1の貫通孔を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明の切削工具は、回転中心軸を有する円柱状の本体部と、該本体部の先端部に位置する切刃と、前記本体部の外周面に設けられた切屑排出溝と、前記本体部の先端面から後端面まで貫く複数の貫通孔とを備えており、
該複数の貫通孔はそれぞれ、側面視したときに前記切屑排出溝の前記後端面側の端部と重なる位置を基点として、前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離が短くなる第1の貫通孔を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の被削材の切削方法は、本発明の切削工具を回転させる工程と、回転している前記切削工具の前記切刃を被削材に接触させて前記被削材を切削する工程と、回転している
前記切削工具の前記切刃を前記被削材から離間させる工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の切削工具用ホルダおよび切削工具によれば、複数の貫通孔はそれぞれ、側面視したときに切屑排出溝の後端面側の端部と重なる位置を基点として、先端面に向かうにつれて回転中心軸からの距離が短くなる第1の貫通孔を有している。この構成によって、回転時に撓みの起点となる切屑排出溝の後端面側の端部において、第1の貫通孔間の回転中心軸周りの肉厚を大きく確保することができるため、切削時の負荷によっても、本体部が撓みにくくなり、加工精度が低下しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の切削工具用ホルダの実施形態の一例を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は領域Nの部分拡大図である。
【図2】図1に示す切削工具用ホルダを先端から視た図であり、内部構造についても模式的に示した図である。
【図3】図1に示す切削工具用ホルダを側面から視た図であり、内部構造についても模式的に示した図である。
【図4】図1に示す切削工具用ホルダを後端から視た図である。
【図5】(a)は図3に示す切削工具用ホルダのA−A線における断面図であり、(b)は図3に示す切削インサートのB−B線における断面図であり、(c)は図3に示す切削工具用ホルダのC−C線における断面図であり、(d)は図3に示す切削工具用ホルダのD−D線における断面図であり、(d)は図3に示す切削工具用ホルダのE−E線における断面図である。
【図6】本発明の切削工具用ホルダの実施形態の他の例を示す図であり、(a)は側面から視た図であり、内部構造についても模式的に示した図であり、(b)先端から視た図である。
【図7】本発明の切削インサートの一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の切削工具の実施形態の一例を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は領域Mの部分拡大図である。
【図9】(a)は図8に示す切削工具を先端から視た図であり、(b)は側面から視た図であり、内部構造についても模式的に示した図であり、(c)は後端から視た図である。
【図10】本発明の被削材の切削方法の実施形態の一例を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<切削工具用ホルダ>
以下、図1〜図6を用いて、本発明の実施形態の例である切削工具用ホルダ1(以下、単にホルダ1と略す)について説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態の一例であるホルダ1は、図1に示すように、回転中心軸S1を有する円柱状の本体部10を備えている、切削インサート(後述する)が装着可能な切削工具
用ホルダである。すなわち、本体部10は、先端面2と後端面3とそれに連続する外周面4とを有している。本例において、本体部10は、直径が10mm〜100mmであり、長さが20mm〜300mmである。
【0013】
本体部10は、外周面4および先端面2の少なくとも一方に開口した、切削インサートが装着可能なインサートポケット11と、外周面4に設けられてインサートポケット11の後端側に位置する、切削インサートによって切削された切屑を排出する切屑排出溝12と、本体部10の先端面2から後端面3まで貫く複数の貫通孔5とを備えている。貫通孔5の数については特に制限されず、本体部10の寸法に応じて適宜設定すればよい。本例においては、図1〜図4に示すように、貫通孔5は2本設けられている。
【0014】
本体部10は、後端面3側を工作機械の主軸部に固定し、工作機械の主軸部の回転とともに回転する。この回転運動によって、インサートポケット11に装着された切削インサートの切刃は、被削材(後述する)を切削する。
【0015】
インサートポケット11は、図3に示すように、本体部10において、切削インサートを装着して固定するために設けられている。本例においては、切削インサートは、インサートポケット11に、切削インサートの切刃が先端面2および外周面3の少なくとも一方から突出するように装着されればよい。
【0016】
切屑排出溝12は、切削インサートの切刃から生成される切屑の排出方向を安定に保つために設けられている。本例においては、図3に示すように、切屑の排出方向の安定性向上の観点から、切屑排出溝12は、インサートポケット11の後端側に位置するように形成されている。
【0017】
貫通孔5,5は、工作機械から流出される切削液を先端面2へ送るために設けられる。切削液は、本体部10の先端面2側の冷却、切削インサートの切刃から生成された切屑と本体部10または被削材への溶着防止や切削インサートの切刃から生成された切屑の排出の促進を目的として流出される。
【0018】
貫通孔5,5はそれぞれ、図3に示すように、側面視したときに切屑排出溝12の後端面3側の端部12Rと重なる位置を基点として、先端面2に向かうにつれて回転中心軸S1からの距離が短くなる第1の貫通孔51,51を有している。ここで側面視とは、図2および図4に示す、外周面4に回転中心軸S1に平行に形成された基準面41を平坦な面に載置した場合に、平坦面の垂線に垂直な方向から外周面4を視ることをいう。この構成によって、回転時に本体部10が撓む際、撓みの起点となる切屑排出溝12の後端面3側の端部12Rと重なる位置において、第1の貫通孔51,51間の回転中心軸S1周りの肉厚を大きく確保することができるため、本体部10剛性が高くなって撓みにくくなり、加工精度の低下を抑制することができる。ここで、図5(d)および(e)に示すように、2つの第1の貫通孔51,51の間の肉厚は、第1の貫通孔51,51の中心軸(図示せず)同士を結ぶ線分w1で規定する。なお、第1の貫通孔51が3つ以上形成されている場合には、第1の貫通孔51の中心軸間を結んでできる多角形に対する仮想外接円の半径で規定すればよい。
【0019】
また、この構成によれば、切屑排出溝12の後端面3側の端部12Rから先端面2に向かうにつれて、第1貫通孔51と外周面4との離間距離が大きく確保されるので、回転時に本体部10が撓み、被削材と本体部10とが接触し損傷しても、第1の貫通孔51,51が外周面4に開口しにくくなり、切削工具寿命を長く確保できる。
【0020】
本例において、図3に示すように、切屑排出溝12は、後端面3側に回転中心軸S1に
平行に延びる直線溝部122を備えており、第1の貫通孔51,51は、側面視したときに直線溝部122と重なる範囲に位置している。この構成によって、第1貫通孔51と外周面4との離間距離が先端に向かうにつれて大きくなるため、回転時に本体部10が撓んだことによって被削材と本体部10とが接触し損傷しても、第1の貫通孔51,51が外周面4に開口しにくくなり、切削工具寿命をより長く確保できる。
【0021】
本例において、図2および図3に示すように、複数の貫通孔5,5はそれぞれ、第1の貫通孔51,51に接続されて、先端面2に開口している、側面視したときに先端面2に向かうにつれて、回転中心軸S1からの距離が長くなる第2の貫通孔52,52を備えている。この構成によって、図5(a)および(b)に示すように、切削時に最も大きな切削衝撃を受ける本体部10の先端面2に近づくにつれて、第2の貫通孔52,52間の肉厚w2が大きくなるため、剛性を高めることができる。
【0022】
本例において、図3に示すように、側面視したときに、第1の貫通孔51,51および第2の貫通孔52,52はそれぞれ、回転中心軸S1に対して一定の傾斜角度を有しており、第1の貫通孔51,51の回転中心軸S1に対する傾斜角度θ1は、第2の貫通孔52,52の回転中心軸S1に対する傾斜角度θ2よりも小さい。具体的には、図3に示すように、第1の貫通孔51,51の回転中心軸S1と平行な線P1に対する傾斜角度をθ1とし、第2の貫通孔52,52の回転中心軸S1と平行な線P2に対する傾斜角度をθ2とすれば、θ1<θ2である。この構成によって、切削液の流出される方向が外方側へ向きやすくなるため、切削インサートの外周面4から突出する切刃の磨耗を抑制することができる。
【0023】
図3および図4に示すように、貫通孔5,5は、第1の貫通孔51,51に接続されてそれぞれ後端面3に開口している、側面視したときに先端面2に向かうにつれて回転中心軸S1からの距離がそれぞれ近づくように回転中心軸S1と平行な線P3に対して一定の傾斜角度θ3を有している第3の貫通孔54,54を有しており、傾斜角度θ3は、傾斜角度θ1と等しい。具体的には、図3に示すように、第2の貫通孔53,53の回転中心軸S1に対する傾斜角度をθ3とすれば、θ3=θ1である。この構成によって、図4に示す第3の貫通孔54,54の間の回転中心軸S1周りの肉厚w3が、図5(d)および(e)に示す第1の貫通孔51,51の間の回転中心軸S1周りの肉厚w1よりも大きく確保できるため、第3の貫通孔54,54が形成された領域の剛性が大きくなる。これによって、工作機械の回転駆動体の振動が、本体部10へ伝播しにくくなる。
【0024】
切屑排出溝12は、直線溝部122よりも先端面3側に位置して、回転中心軸S1に沿って螺旋状に設けられた、側面視したときに回転中心軸S1に対して一定の角度αで交差する螺旋溝部121を備えている。本例において、具体的には、図3に示すように、螺旋溝部121と外周面4との交差稜線上のある1点における接線L1と、回転中心軸S1とが角度α(α>0)で交差している。また、接線L1は、先端面2から離れるにつれて回転方向Xの後方へ向かうように傾斜している。この構成によって、生成された切屑の排出方向が回転方向Xの後方へ向うため、切屑排出性が良好になる。本例において、角度αはいわゆるドリル等の穴開け工具におけるねじれ角を指す。角度αは切削条件を考慮して適宜設定されればよく、本例においては、α=10°〜20°としている。
【0025】
さらに、切屑排出溝12は、螺旋溝部121と直線溝部122とを接続している、側面視したときに回転中心軸S1に対して角度αよりも小さい角度βで交差する中間溝部123とを備えている。具体的には、図3に示すように、中間溝部123と外周面4との交差稜線上のある1点における接線L2と、回転中心軸S1とが成す角度をβとすれば、α>βである。中間溝部123は、螺旋溝部121における回転中心軸S1に対する角度αから、直線溝部122における回転中心軸S1に対する0度への変化をより緩やかにするた
めに設けられる。この構成によって、螺旋溝部121から直線溝部122まで中間溝部123を介して切屑の排出方向が滑らかになるため、生成された切屑は、切屑排出溝12内に詰まったりすることがなく、切屑排出性についても維持することができる。
【0026】
本例において、図3に示すように、先端面2から後端面3に向かうにつれて、角度βは小さくなっている。この構成によって、螺旋溝部121と直線溝部122との接続がより滑らかになって、切屑排出性をより良好に維持することができる。
【0027】
また、本例において、図3に示すように、第1の貫通孔51と第2の貫通孔52との接続部53は、側面視したときに中間溝部123の回転中心軸S1方向における中央部123mに位置している。この構成によって、第1の貫通孔51と直線溝部122とを、また第2の貫通孔52と螺旋溝部121とを対応させやすくなって、第2の貫通孔52の方向の微調整が行ないやすくなる。また、図5に示すように、貫通孔52と切屑排出溝12との肉厚が極端に薄くなる領域が生じにくくなる。
【0028】
図5に示すように、第1の貫通孔51の大きさは、第2の貫通孔52の大きさよりも大きい。この構成によって、切削液の流出量を十分に確保することができる。また、第1の貫通孔の加工に径の太いドリルを利用できるので、製作が容易になり、コストを下げることができる。図5(a)および(b)に第2の貫通孔52の大きさを直径r2で示し、図5(c)〜(d)に第1の貫通孔の大きさを直径r1で示すと、r1>r2である。なお、本例においては、貫通孔の中心軸(図示せず)に垂直な方向の断面形状が円形であるため、大きさを直径で示したがこれに限定されない。例えば、三角形状の場合には、各頂点から対辺に向かって下ろした垂線の長さのうち最大のものを用いればよく、頂点が4つ以上の多角形状の場合には、各頂点を結ぶ直線のうち最大のものを用いればよい。また、楕円形状の場合には長軸の長さを用いればよい。
【0029】
第1の貫通孔51と第2の貫通孔52との接続部53は、螺旋溝部121よりも後端面3側に位置している。この構成によって、角度αに応じて、直線状の第2の貫通孔52,52の延びる方向を微調整しながら設計することができる、すなわち、螺旋溝部121と直線状の第2の貫通孔52,52の離間距離の調整がしやすくなるため、極端に離間距離が小さくなる領域が生じにくい。したがって、長期間使用したとしても破損が生じにくくなる。
【0030】
第1の貫通孔51と第2の貫通孔52との接続部53は、側面視したときに中間溝部123と重なる範囲に位置している。すなわち、図3に示すように、直線溝部122に重なる範囲には、回転中心軸S1に平行な第1の貫通孔51が位置し、中間溝部123に重なる範囲には、接続部53が位置している。この構成によって、第1の貫通孔51と直線溝部122とが対応し、中間溝部123に接続部53が対応するという、比較的単純な構成を実現することができる。そのため、切屑排出溝12と貫通孔5との離間距離が極端に小さくなる領域が生じにくくなり、長期間使用したとしても破損が生じにくくなる。
【0031】
また、本例においては、螺旋溝部121の回転中心軸S1方向の長さは、切屑排出溝12の先端部の直径の2〜3倍である。この構成によって、本体部10の先端部の直径に対応して、螺旋溝部121の回転中心軸S1方向の長さを好適に設定することができる。本例においては、本体部10の先端部の直径とは、先端面2の直径のうち最大のものとして規定する。具体的には、図2に示すように先端面2の直径のうち最大のものをr3とし、図3に示すように、螺旋溝部121の先端部121Fから螺旋溝部121の後端部121Rまでの回転中心軸S1に平行な線分をd1とすれば、2・r3≦d1≦3・r3である。
【0032】
直線溝部122の回転中心軸S1方向の長さは、本体部10の先端部の直径の1〜2倍である。すなわち、図3に示すように、直線溝部の先端部122F(中間溝部の後端部123R)から直線溝部の後端部122Rまでの回転中心軸S1に平行な線分をd2とすれば、r3≦d2≦2・r3である。この構成によって、螺旋溝部121の中心軸S1方向の長さが直線溝部122の中心軸S1方向の長さよりも長くなるため、切屑排出性がさらに良好に維持しやすくなる。
【0033】
本例において、中間溝部123の回転中心軸S1方向の長さは、本体部10先端部の直径の1/2〜3/2倍である。すなわち、図3に示すように、中間溝部の先端部123F(螺旋溝部の後端部121R)から中間溝部の後端部123Rまでの回転中心軸S1に平行な線分をd3とすれば、(1/2)・r3≦d3≦(3/2)・r3である。この構成によって、螺旋溝部121の回転中心軸方向S1の長さと、中間溝部123の回転中心軸S1方向の長さとのバランスが良好になって、切屑排出性が良好に維持しやすくなる。
【0034】
また、本例においては、螺旋溝部121の中心軸S1方向の長さは、切屑排出溝12の長さの半分以上である。すなわち、図3に示すように、切屑排出溝の先端部12Fからの後端部12Rまで回転中心軸S1に平行な線分をd0とすれば、d1≧1/2・d0である。この構成によって、切屑排出溝12において、螺旋領域121部が占める割合が半分以上になるため、切屑排出性を十分に良好に保つことができる。
【0035】
さらに、本例において、螺旋溝部121の回転中心軸S1方向の長さは、直線溝部122の回転中心軸S1方向の長さよりも長い。すなわち、図3に示すように、d1>d2である。この構成によって、切屑排出溝のうち螺旋溝部121をもっとも長く確保できるため、切屑排出性を良好に維持することができる。
【0036】
本例においては、直線溝部の後端部122Rに連続し、切屑排出溝の後端部12Rに接続される、螺旋溝部121の回転中心軸S1に対して傾斜する方向と同じ向きに傾斜し、傾斜角度αよりも大きな傾斜角度γを有する吐出溝部124を有している。具体的には、図3に示すように、吐出溝部124と外周面4の交差稜線上のある1点における接線L3は、回転中心軸S1に対して傾斜角γで傾斜している。そして、接線L3は、先端面2から離れるにつれて回転方向Xの後方へ向かうように傾斜している。すなわち、吐出溝部124と螺旋溝部121の傾斜の方向は同じ方向である。この構成によって、生成された切屑排出溝の後端部12Rまで進行した場合でも、本体部10の回転方向Xと逆向きに切屑を吐き出すことができるため、切屑排出性はより良好に維持される。
【0037】
インサートポケット11および切屑排出溝12は、それぞれ本体部10の回転方向Xに2つ設けられており、一方の切屑排出溝12aの深さは、他方の切屑排出溝12bの深さよりも深い。本例おいては、特にドリルとして使用されるため、図2に示すように、先端面2に開口し、本体部10の内方側に位置するインサートポケット11aと、先端面2および外周面3に開口し、本体部10の外方側に位置するインサートポケット11bを有している。さらに、インサートポケット11aの後端に切屑排出溝12aを、インサートポケット11bの後端に切屑排出溝12bを有している。そして、図5に示すように、切屑排出溝12aの深さをd4とし、切屑排出溝12bの深さをd5とすれば、d4>d5である。なお、本例においては、図5に示すように、切屑排出溝の深さは、それぞれの切屑排出溝12における仮想内接円の直径で規定する。切削の際には、インサートポケット11aに装着される切削インサートは内周側を切削し、インサートポケット11bに装着される切削インサートは外周側を切削するため、本体部10の内方側に位置する切屑排出溝12aには、生成された切屑が詰まりやすくなる。この構成によれば、切屑排出溝12aの深さは、他方の切屑排出溝12bの深さよりも深くなるため、切屑排出性が向上する。
【0038】
工作機械の主軸部への固定を良好にする観点から、本体部10には、後端面3側に、工作機械の工具保持部に装着するための保持部13が形成されている。
【0039】
ホルダ1の材質としては、例えば、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、工具鋼あるいはステンレス鋼などが挙げられる。機械構造用炭素鋼としては、例えば、炭素(C)、シリカ(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)および硫黄(S)を含む鋼が挙げられる。また、機械構造用合金鋼としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)などを含む鋼が挙げられる。また、工具鋼は、炭素工具鋼と合金工具鋼とに大別でき、機械構造用炭素鋼と機械構造用合金鋼とをそれぞれ熱処理を行なった鋼のことをいう。なお、ホルダ1の表面は、酸化防止や強度強化等を目的として、めっき等の表面加工処理が行なわれていてもよい。
【0040】
インサートポケット11は、図1に示すように、回転方向Xに対向するホルダ座面14と、ホルダ座面14の交差する方向に位置する拘束側面15とを有している。ホルダ座面14には、インサートをホルダ1に装着する際に取付けネジ(図示せず)を螺合させるネジ孔16が設けられている。ホルダ座面14および拘束側面15はインサートと当接することによって、インサートを確実に固定する。なお、より確実にインサートを固定するために、複数の拘束側面15が平面視で交差するように配置されている。本例においては、製造簡易性の観点から、図1に示すように、拘束側面15を2つ有している。
【0041】
インサートポケット11は、ホルダ座面14および複数の拘束面15の交差部に隅凹部17を有している。この構成によって、インサートポケット11が切削時に受ける衝撃が、ホルダ座面14および複数の拘束面15の交差部に集中しにくくなって、インサートポケット11が破壊することを抑制する。応力分散の観点から、隅凹部17の内面は、曲面で構成されていることが好ましい。すなわち、ホルダ座面14および複数の拘束面15の各交差部の延びる方向と垂直な方向の断面において、曲線状であることがよい。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の実施形態の他の例であるホルダ1’を図6に示す。以下、本例については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0043】
本例においては、図6に示すように、本体部10’は、外周面4’および先端面2’の少なくとも一方に開口した、複数の切削インサートが装着可能な複数のインサートポケット11’と、外周面4’に設けられて複数のインサートポケット11’の後端側に位置する、切削インサートによって切削された切屑を排出する切屑排出溝12’を1つ備えている。具体的には図6に示すように、切屑排出溝12’1つに対して2つのインサートポケット11’を備えている。この構成によって、比較的大きな直径の穴を開ける加工にも良好な効果を奏する切削工具ホルダを実現することができる。なお、切屑排出溝12’1つに対する切削インサートの数は、所望の直径に応じて適宜設定すればよい。
【0044】
また、本例においては、第1の貫通孔51’,51’と第2の貫通孔52’,52’が一体的に形成されている。
【0045】
なお、本例においては、図6に示すように、本体部10の回転中心軸S1方向の長さをできるだけ小さくすることを目的として、切屑排出溝12’は螺旋溝部121’のみで構成されている。
【0046】
<切削インサート>
本発明の実施形態の一例である切削インサート100(以下、単にインサート100と略す)は、図7に示すように、上面102と、下面103と、側面104と、上面102
と側面104との交差部の少なくとも一部に形成された切刃105とを有している。インサート100は、上述したように、ホルダ1に装着されて使用される。
【0047】
上面102の少なくとも切刃105に沿う領域はすくい面として機能し、側面104の少なくとも切刃105に沿う領域は逃げ面として機能する。そして、下面103は、ホルダ1に形成されたインサートポケット11に当接する着座面として機能する。そのため、少なくとも、中心軸S2に対して垂直な面を備えていればよく、下面103の形状は特に限定されない。
【0048】
切刃105は、ドリルホルダ装着時に、ホルダ1の内周側に位置する第1の切刃105aと、外周側に位置する第2の切刃105bと、を有している。第1の切刃105aは、穴の底面内周側を切削する切刃(内刃)として機能し、第2の切刃105bは、穴底面外周側を切削する切刃(外刃)として機能する。
【0049】
本例においては、インサート貫通孔106が上面102から下面103に貫通して設けられている。インサート貫通孔106は、ホルダ1に取り付けるために取付けネジを挿通する孔である。そして、インサート100は、インサート貫通孔106の中心軸S2に対して、180度回転対称な形状をなす。したがって、本例のインサート100は、第1の切刃105aと第2の切刃105bがそれぞれ2つずつ形成されている。この構成によって、インサート100をインサート貫通孔106の周りに回転させて、複数の切刃をそれぞれ切削に用いることができ、経済性が良好となる。
【0050】
インサート100は、平面視において、略四角形状(略平行四辺形形状)である。ここで平面視とは、以下においては特記しない限り、上面102側からインサート100を視ることをいう。なお、インサート100の形状は略四角形状に限定されるものではなく、平面視において、例えば三角形、五角形、六角形、八角形などの略多角形の板状とすることができる。インサート100は、平面視における略四角形状の一辺の長さを例えば5mm〜25mm程度とすればよく、また、上面102から下面103までの厚みを例えば2mm〜10mm程度とすればよい。ここで、厚みとは、側面視で、上面102のうち最も上方に位置する部位と下面103のうち最も下方に位置する部位までの距離のうち、中心軸S2に平行な線分を意味することとする。
【0051】
なお、上面102の形状については、切削条件に応じて適宜設計すればよく、特に限定されない。例えば、本例においては、図6に示すように、第2の切刃105bに沿う領域においては、生成された切屑を分断するために隆起部102bを設けている。そして、第1の切刃105aに沿う領域においては、生成された切屑を螺旋状に形成するために、第1の切刃105aから離れるにつれて下面103に近づくように傾斜する傾斜面102aを設けている。
【0052】
インサート100の材質としては、例えば、超硬合金あるいはサーメットなどが挙げられる。超硬合金の組成としては、例えば、炭化タングステン(WC)にコバルト(Co)の粉末を加えて焼結して生成されるWC−Co、WC−Coに炭化チタン(TiC)を添加したWC−TiC−Co、あるいはWC−TiC−Coに炭化タンタル(TaC)を添加したWC−TiC−TaC−Coがある。また、サーメットは、セラミック成分に金属を複合させた焼結複合材料であり、具体的には、炭化チタン(TiC)、または窒化チタン(TiN)を主成分としたチタン化合物がある。
【0053】
インサート100の表面は、化学蒸着(CVD)法または物理蒸着(PVD)法を用いて被膜でコーティングされていてもよい。被膜の組成としては、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)またはアルミナ(Al)などが
挙げられる。
【0054】
<切削工具>
本発明の実施形態の一例である切削工具110は、図8に示すように、切削工具用ホルダと、切削工具用ホルダ1のインサートポケット11に装着された切削インサート100とを備えている。いわゆる、切削工具110は切刃部を本体部に着脱可能となるように形成された、スローアウェイタイプの切削工具である。インサート100の切刃105は、ホルダ1の先端面2および外周面4の少なくとも一方から突出して装着されている。具体的には、図8(b)に示すように、内方側に位置するインサートポケット11aには、第1の切刃105aが先端面2から突出するように装着され、外方側に位置するインサートポケット11bには、第2の切刃105bが外周面4から突出し、第1の切刃105aが先端面2から突出するように装着される。この構成によって、上述したように、第1の切刃105aは、穴の底面内周側を切削する切刃(内刃)として機能し、第2の切刃105bは、穴底面外周側を切削する切刃(外刃)として機能し、良好に効果を奏することができる。
【0055】
本例においては、図8(b)に示すように、インサート100は取付けネジ111によってインサートポケット11に装着されている。すなわち、インサート100のインサート貫通孔106に取付けネジ111を挿入し、この取付けネジ111の先端をインサートポケット11に形成されたネジ孔15に挿入してネジ状の溝部(図示せず)同士を螺合させることによって、インサート100がホルダ1に装着されている。
【0056】
また、本例においては、図9に示すように、インサート100は、ホルダ1の回転中心軸S1に対して、第2の切刃105bが正のアキシャルレーキφを有するようにホルダ1に装着されている。すなわち、図9に示すように、側面視で、ホルダ1の外周面側に配置されたインサート100の第2の切刃105bは、ホルダ1の先端側から後端側に向かうにつれて、ホルダ1の回転中心軸S1から遠ざかるように傾斜している。このような構成によって、切削時にかかる切削抵抗の低減を図ることができ、びびリ振動を抑制することができる。
【0057】
本例においては、回転工具として用いられ、特に、ホルダ1の先端面2および外周面4の少なくとも一方から突出する複数の切刃を備えるため、被削材に穴を開ける加工形態に適するドリルとして用いられる。
【0058】
本発明は、スローアウェイタイプの切削工具を例にして説明したが、切刃部と本体部が一体的に形成された、いわゆるソリッドタイプの切削工具であってもよい。具体的には、切削工具110’’は、回転中心軸S1を有する円柱状の本体部10’’と、本体部10’’の先端部に位置する切刃105’’と、本体部10’’の外周面4’’に設けられた切屑排出溝12’’と、本体部10’’の先端面2’’から後端面3’’まで貫く複数の貫通孔5’’,5’’とを備えており、複数の貫通孔5’’,5’’はそれぞれ、側面視したときに切屑排出溝12’’の後端面3側の端部12’’Rと重なる位置を基点とする、先端面2’’に向かうにつれて回転中心軸S1からの距離が短くなる第1の貫通孔51’’,51’’を有している。この構成によって、切削時に本体部10’’が撓む際、撓みの起点となる切屑排出溝12’’の後端面3側の端部12’’Rと重なる位置において、第1の貫通孔51’’,51’’間の回転中心軸S1周りの肉厚を大きく確保することができるため、本体部10剛性が高くなって撓みにくくなり、加工精度の低下を抑制することができる。
【0059】
なお、本例のようなソリッドタイプの切削工具110’’においては、本体部10’’の先端部の直径は、本体部10’’の先端視における回転中心軸S1’’から切刃105
a’’の外周側端部までの距離として測定すればよい。
【0060】
<被削材の切削方法>
図10を用いて、本発明の実施形態の一例である被削材の切削方法について、切削工具110を用いた場合を例示して説明する。本例の被削材の切削方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を含む。
(i)図10(a)に示すように、切削工具110をホルダ1の回転中心軸S1を中心に矢印X方向に回転させる工程、および矢印Y1方向に動かし、被削材200に切削工具110の切刃105を近づける工程。
(ii)図10(b)に示すように、インサート100の切刃105を被削材200の表面に接触させ、回転している切削工具110を、例えば矢印Z方向に動かし、被削材200を切削し、穴を開ける工程。
(iii)図10(c)に示すように、回転している切削工具110を矢印Y2方向に動かし、被削材200から切削工具110を離間させる工程。
【0061】
なお、(i)の工程では、切削工具110と被削材200とは相対的に近づければよく、例えば被削材200を切削工具110に近づけてもよい。これと同様に、(iii)の工程では、被削材200と切削工具110とは相対的に遠ざければよく、例えば被削材200を切削工具110から遠ざけてもよい。切削加工を継続する場合には、切削工具110を回転させた状態を保持して、被削材200の異なる箇所にインサート100の切刃105を接触させる工程を繰り返せばよい。本例においては、上述のとおりインサート100の切刃105は上面側および下面側に2つずつ有しているので、使用している切刃105が摩耗した際には、インサート100をインサート貫通孔106の中心軸に対して回転させたり、インサート100をひっくり返したりして、未使用の切刃105を用いればよい。
【0062】
さらに、被削材200の材質の代表例としては、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、鋳鉄または非鉄金属などが挙げられる。
【符号の説明】
【0063】
1,1’,1’’ ホルダ
2,2’,2’’ 先端面
3,3’,3’’ 後端面
4,4’,4’’ 外周面
5,5’,5’’ 貫通孔
51,51’,51’’ 第1の貫通孔
52,52’,52’’ 第2の貫通孔
53,53’,53’’ 接続部
54,54’,54’’ 第3の貫通孔
10,10’,10’’ 本体部
11,11’ インサートポケット
12,12’,12’’ 切屑排出溝
12F 切屑排出溝の先端部
12R 切屑排出溝の後端部
121 螺旋溝部
121F 螺旋溝部の先端部
121R 螺旋溝部の後端部
122 直線溝部
122F 直線溝部の先端部
122R 直線溝部の後端部
123 中間溝部
123F 中間溝部の先端部
123R 中間溝部の後端部
124 吐出溝部
13 保持部
14 着座面
15 拘束側面
16 ネジ孔
17 隅凹部
100 切削インサート(インサート)
102 上面
103 下面
104 側面
105,105’’ 切刃
105a 第1の切刃(内刃)
105b 第2の切刃(外刃)
106 インサート貫通孔
110,110’’ 切削工具
111 取付けネジ
200 被削材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸を有する円柱状の本体部を備えている、切削インサートを装着可能な切削工具用ホルダであって、
前記本体部は、外周面および先端面の少なくとも一方に開口した、前記切削インサートを装着可能なインサートポケットと、前記外周面に設けられて前記インサートポケットの後端側に位置する切屑排出溝と、前記本体部の前記先端面から後端面まで貫く複数の貫通孔とを備えており、
該複数の貫通孔はそれぞれ、側面視したときに前記切屑排出溝の前記後端面側の端部と重なる位置を基点とする、前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離が短くなる第1の貫通孔を有していることを特徴とする切削工具用ホルダ。
【請求項2】
前記切屑排出溝は、前記後端面側に前記回転中心軸に平行に延びる直線溝部を備えており、前記第1の貫通孔は、側面視したときに前記直線溝部と重なる範囲に位置していることを特徴とする請求項1に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項3】
前記複数の貫通孔はそれぞれ、前記第1の貫通孔に接続されて前記先端面に開口している、側面視したときに前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離が長くなる第2の貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項4】
側面視したときに、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔はそれぞれ前記中心軸に対して一定の傾斜角度を有しており、前記第1の貫通孔の前記回転中心軸に対する傾斜角度θ1は、前記第2の貫通孔の前記回転中心軸に対する傾斜角度θ2よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項5】
前記第1の貫通孔に接続されてそれぞれ前記後端面に開口している、側面視したときに前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離がそれぞれ近づくように前記回転中心軸に対して一定の傾斜角度θ3を有している第3の貫通孔を有しており、前記傾斜角度θ3は、前記傾斜角度θ1と等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項6】
前記切屑排出溝は、前記直線溝部よりも前記先端面側に位置する、前記回転中心軸に沿って螺旋状に設けられた、側面視したときに前記回転中心軸に対して一定の角度αで交差する螺旋溝部と、該螺旋溝部と前記直線溝部とを接続している、側面視したときに前記回転中心軸に対して前記角度αよりも小さい角度βで交差する中間溝部とを備えており、
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔との接続部は、側面視したときに前記中間溝部と重なる範囲に位置していることを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項7】
前記角度βは、前記先端面から前記後端面に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項6に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項8】
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔との前記接続部は、側面視したときに前記中間溝部における前記回転中心軸方向における中央部に位置していることを特徴とする請求項6または7に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項9】
前記第1の貫通孔の大きさは前記第2の貫通孔の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれかの項に記載の切削工具用ホルダ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかの項に記載の切削工具用ホルダと、該切削工具用ホルダの前記インサートポケットに装着された前記切削インサートとを備えていることを特徴とする切削工具。
【請求項11】
回転中心軸を有する円柱状の本体部と、該本体部の先端部に位置する切刃と、前記本体部の外周面に設けられた切屑排出溝と、前記本体部の先端面から後端面まで貫く複数の貫通孔とを備えており、
該複数の貫通孔はそれぞれ、側面視したときに前記切屑排出溝の前記後端面側の端部と重なる位置を基点とする、前記先端面に向かうにつれて前記回転中心軸からの距離が短くなる第1の貫通孔を有していることを特徴とする切削工具。
【請求項12】
請求項10または11に記載の切削工具を回転させる工程と、
回転している前記切削工具の前記切刃を被削材に接触させて前記被削材を切削する工程と、
回転している前記切削工具の前記切刃を前記被削材から離間させる工程とを含むことを特徴とする被削材の切削方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−27962(P2013−27962A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166677(P2011−166677)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】