説明

切換式ローイングマシン

【課題】
切換式ローイングマシンにおいて、左・右操作アームを連動・非連動に切り換える操作アーム連結部の操作がし易く、当該機器のその他の操作をし易くすること。
【解決手段】
ローイングマシン(43)において、運動者が動かす左・右操作アーム(5a)・(5b)の各延設中途部に操作アーム連結部(1)が設けられ、
該操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、他方の操作アーム(5)に設けられる嵌着部材(28)とからなり、
該嵌着部材(28)を移動操作することにより、該嵌着部材(28)が突起片(27)に係止状態又は非係止状態となると同時に、左操作アーム(5a)と右操作アーム(5b)は連動状態又は独立作動状態に切り換わることを特徴とする切換式ローイングマシンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要支援の者又は要介護の者(以下運動者という)の諸筋を増強するための切換式ローイングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1には、負荷抵抗と、2つの把持部材と、ピン部材でなる把持部材連動機構とから構成される運動用器具が開示されている。
【0003】
リハビリのための運動器具には、リハビリのための運動を効率的に行なうため、左右の手足を独立に動かすことのできる運動器具と、左右の手足に同一の運動を強制して運動機能低下側に運動刺激を与えリハビリを促進する左右連動型の運動器具の2種類ある。前記従来装置は、1台の運動用器具で2種類の運動用器具を兼ねることが出来るという効果がある。又、ピン部材に係る操作部材を引っ張って回転させるという極めて容易な操作により把持部材連動機構を操作することができる。
【0004】
しかし、前記操作部材は、操作アームの奥方に位置しており、又、水平外側方向へ引っ張って操作するものであるから、正面位置から操作部材を操作することは困難であり、その操作を運動者が自分で行なうことは困難であり、不便なものであった。
又、前記操作部材は、引っ張る方向に左右勝手があり、例えば、片麻痺疾患のある運動者の場合操作できないという問題があった。更に、介助者等の運動者以外の人が前記操作部材を操作する場合、操作できる側に回り込む必要があり面倒であった。
【特許文献1】特開2004−187723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、切換式ローイングマシンにおいて、左・右操作アームを連動・非連動に切り換える操作アーム連結部の操作がし易く、当該機器のその他の操作をし易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、左・右操作アームを連動・非連動に切り換える操作アーム連結部の操作がし易く、当該機器のその他操作がし易い切換式ローイングマシンを提供することである。
本発明は、ローイングマシン(43)において、運動者が動かす左・右操作アーム(5a)・(5b)の各延設中途部に操作アーム連結部(1)が設けられ、該操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、他方の操作アーム(5)に設けられる嵌着部材(28)とからなり、該嵌着部材(28)を移動操作することにより、該嵌着部材(28)が突起片(27)に係止状態又は非係止状態となると同時に、左操作アーム(5a)と右操作アーム(5b)は連動状態又は独立作動状態に切り換わることを特徴とする切換式ローイングマシンである。
又、操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、該突起片(27)に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム(5)に設けられる回動パイプ(29)とからなり、回動パイプ(29)は、切欠き(37)を有するパイプ部(30)と、パイプ部(30)を回動可能に他方の操作アーム(5)に取着する取着部(31)とからなり、係止状態では、突起片(27)がパイプ部(30)に囲まれ移動不自在となり、回動パイプ(29)を回動し非係止状態に切り換えると、突起片(27)が切欠き(37)を通過でき移動自在となりそのことによって、一方操作アーム5と他方操作アーム5とが互いに独立操作状態になる。
更に、操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、該突起片(27)に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム(5)に設けられる摺動パイプ(39)とからなり、摺動パイプ(39)は、筒部(40)と、筒部(40)を摺動可能に保持し他方の操作アーム(5)に取着する摺動取着部(41)とからなり、係止状態では、突起片(27)が筒部(40)に囲まれ移動不自在となり、筒部(40)を摺動退却させ非係止状態に切り換えると、突起片(27)は移動自在となりそのことによって、一方操作アーム5と他方操作アーム5とが互いに独立操作状態になる。
更に又、伝導部(9)は、錘(14)に取着されるネジ式伸縮機構(34)と、ネジ式伸縮機構(34)に止着される動滑車(33)と、操作アーム(5)と動滑車(33)を繋ぐ索体(24)とからなり、前記索体(24)の基端は一方の操作アーム(5)に止着され、中間部は動滑車(33)に掛け回され、先端は他方の操作アーム(5)に止着されてなり、索体(24)の弛みをネジ式伸縮機構(34)の縮小操作で除去できる。
又、座部(3)と荷重部(7)を荷重部連結具(10)を用いて接近させて連結し、荷重部(7)を運動者の対面位置に配置し、前記荷重部(7)は、左・右柱(19a)・(19b)と、中桟(20b)とを有し、中桟(20b)に操作アーム(5)の移動に追従して吊り上げられる錘(14)が載設され、錘(14)の高さを、運動者の手の届く高さとする。
更に、荷重部(7)の錘(14)は、中桟(20b)上に積み重ねられてなる複数個の錘片(15)と、複数個の錘片(15)に上下方向に貫通する調節芯棒(16)と、各錘片(15)から調節芯棒(16)にわたって水平方向に貫通する差込ピン(17)とからなり、操作アーム(5)の移動に追従して引き上げられる錘片(15)の数はいずれの錘片(15)に差込ピン(17)を差し込むかによって決められ、差込操作は運動者によっても行える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、運動者が動かす左・右操作アーム5a・5bには操作アーム連結部1が設けられ、該操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、他方の操作アーム5に設けられる嵌着部材28とからなり、該嵌着部材28を操作することにより、左操作アーム5と右操作アーム5を連結した連動状態と、左操作アーム5と右操作アーム5の連結を解除した独立作動状態とに切り換えるものである。
従来器具では、操作アーム5の奥方に操作アーム5とは別にアーム部を設け該アーム部に把持部材連動機構を設けているので把持部材連動機構の操作がしにくいものであった。又、片麻痺疾患のある運動者の場合操作できないものであった。更に、介助者等の運動者以外の人が前記操作部材を操作する場合、操作できる側に回り込む必要があり面倒であった。上記本発明の構成では、操作アーム連結部1の連結・解除の操作が正面からし易く、座部3に座した運動者でも行なえ、好都合である。
【0008】
本発明に係る操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、該突起片27に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム5に設けられる回動パイプ29とからなり、回動パイプ29は、切り欠きを有するパイプ部30と、パイプ部30を回動可能に他方の操作アーム5に取着する取着部31とからなるから、左・右操作アーム5a・5bの連結・解除の操作が、正面からし易い上、回動操作のみで行なえ操作が簡単であり、好都合である。
【0009】
本発明に係る操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、該突起片27に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム5に設けられる摺動パイプ39とからなり、摺動パイプ39は、筒部40と、筒部40を摺動可能に他方の操作アーム5に取着する摺動取着部31とからなるから、左・右操作アーム5a・5bの連結・解除の操作が、正面から行い易い上、摺動パイプ39を水平方向に進出退却移動させるのみの簡単な操作で行なえ、好都合である。
【0010】
本発明に係る伝導部9は、錘14に取着されるネジ式伸縮機構34と、ネジ式伸縮機構34に止着される動滑車33と、操作アーム5と動滑車33を繋ぐ索体24とからなり、前記索体24の基端は一方の操作アーム5に止着され、中間部は動滑車33に掛け回され、先端は他方の操作アーム5に止着されてなるから、索体24の弛みをネジ式伸縮機構34の容易な縮小操作で除去でき、好都合である。索体24の弛みを除去した後は、操作アーム5が移動すると同時に確実に錘14が動き運動がし易く、好都合である。
【0011】
本発明は、座部3と荷重部7を荷重部連結具10で接近させて連結し、荷重部7の位置を運動者の対面位置に配置してなり、更に、前記荷重部7は、左・右柱19a・19bと、中桟20bとを有し、中桟20bに錘14を載設し、錘14を、運動者の手の届く高さに設けたから、荷重部7が好適距離に接近して有り、運動者が座部3に座ったまま楽な姿勢で容易に、好適な負荷に変更操作でき、その結果、好適な負荷で意欲的に運動ができ、好都合である。
【0012】
本発明は、荷重部7の錘14は、中桟20b上に積み重ねられてなる複数個の錘片15と、錘片15を連結する調節芯棒16と、錘片15を調節芯棒16に掛止する差込ピン17とからなり、操作アーム5の移動に追従して引き上げられる錘片15の数は差込ピン17の差込位置(複数個の錘片15の内どの錘片15に差込ピン17を差し込むか)により変更され、差込ピン17は運動者によって差込操作できるから、差込ピン17を運動者が座部3に座った状態で容易に操作でき、無理のない適切な負荷で運動でき、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
運動者は、本発明の切換式ローイングマシン2を用いて上体の広背筋その他の筋群のパワーアップを図る。運動者は、座部3に腰掛け、足をステップ4に乗せる。操作アーム連結部1を操作し操作アーム5を連動にする。差込ピン17を抜き差し操作し負荷重量を決める。胸を胸当6に当てる。手を少し前に伸ばし操作アーム5を握る。上肢に力を入れ操作アーム5を引き寄せる。
【0014】
操作アーム5が引き寄せられる時、操作アーム5の移動と共に荷重部7の錘14が引き上げられ、その錘14が上肢の移動に負荷となって掛かり、背筋群を強化する。操作アーム連結部1の嵌着部材28を所定位置へ操作することによって、操作アーム5を、連動状態から独立作動状態へ切り換えることができる。この切り換え操作は座部3に座した運動者でも行なえる。差込ピン17の差込位置によって錘片15の数(=負荷重量の値)は適宜に増減変更され設定される。前記変更に係る差込ピン17の抜き差し操作は運動者によっても行なえる。
【実施例1】
【0015】
図1〜5に本発明の実施例1を示す。実施例1の切換式ローイングマシン2は、ローイングマシン43に操作アーム連結部1を設けたものである。図1は左側前方向から見た斜視図、図2は左側面図、図3は正面図、図4は平面図、図5は操作アーム連結部1を示す図である。
【0016】
運動者は、実施例1のローイングマシン43の座部3に腰掛け、ステップ4に足を乗せ、上肢を屈曲させながら操作アーム5を引き寄せ、次に伸展するという動作を複数回繰り返し、広背筋その他の筋の訓練を行なう。
【0017】
実施例1は、運動者が座る座部3と、胸当6と、運動者が足を乗せるステップ4と、操作アーム5の移動に抗して荷重を掛ける荷重部7と、操作アーム取付枠8と、操作アーム5と、伝導部9と、座部3と荷重部7とを連結し荷重部7を座部3の前方へ配設する荷重部連結具10とからなる。
【0018】
座部3は、運動者が座るものであって、伸縮支柱11と、調節ハンドル12とからなる。運動開始に際し、座部3の上下方向の高さを運動者毎に適切な高さに決める。
【0019】
胸当6は運動者の胸に当てるものである。運動開始に際し、胸当6を運動者毎に適切な位置に決める。
【0020】
ステップ4は、運動者が足を乗せる棒である。機器の中央に位置する荷重部連結具10から水平方向へ左右に突設される。
【0021】
荷重部7は、操作アーム5が移動の始点から終点へ進行する時に、該操作アーム5の移動に負荷を掛けるものである。
荷重部7は、錘フレーム13と、錘フレーム13に収容される錘14と、錘14を構成する錘片15同士を連結する調節芯棒16及び差込ピン17と、錘14を保持する保持ロッド18とからなる。
【0022】
錘フレーム13は、左・右支柱19a・19bと、上・中・下桟20a・20b・20cと、カバー21とからなる
【0023】
錘14は、左・右支柱19a・19bの間に有って中桟20bに載設されるものである。
錘14は、積み重ねられて収容される多数個の錘片15からなる。
調節芯棒16は錘片15の全個を串刺し状に上下方向に貫通している。
【0024】
錘片15及び調節芯棒16に、差込ピン17が差し込まれる穴22が水平方向に開設される。
差込ピン17は、前記穴22に差し込み、調節芯棒16に錘片15を連結させるものである。
調節芯棒16が上昇する時、差込ピン17が差し込まれた錘片15及びその錘片15より上にある錘片15(零個乃至複数個の錘片15)が、調節芯棒16に適宜連結され、上昇する。
【0025】
操作アーム5の移動に追従して引き上げられる錘片15の数はいずれの錘片15に差込ピン17を差し込むかによって決められ、差込操作は運動者によっても行える。
【0026】
保持ロッド18は錘14を貫通して支持している。保持ロッド18の上部適宜位置に錘14の上方移動を制限する制限具23が設けられる。
支柱19の上部及び上桟20aには操作アーム取付枠8が斜上昇状に取着される。操作アーム取付枠8の先端を高くして、運動者の頭上の空間を広く取っている。
操作アーム取付枠8の先端に操作アーム5の上端がアーム軸26で軸支される。操作アーム5は前記軸支部分から垂下状に設けられ、該操作アーム5の中途部には、索体24の両端が止着され更に操作アーム連結部1が取着され、下部には垂直状に握り部25が形成される。
前記下部には水平方向に分岐した横握り部38が設けられる。
【0027】
前記操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、他方の操作アーム5に設けられる嵌着部材28とからなる。
前記嵌着部材28を移動操作することにより、該嵌着部材28は突起片27に係止状態又は非係止状態となると同時に、左操作アーム5と右操作アーム5は連動状態又は独立作動状態となる。
【0028】
即ち、嵌着部材28を突起片27に嵌着させると、該嵌着部材28は突起片27に係止状態となり、左操作アーム5aと右操作アーム5bは連動状態となる。又、嵌着部材28を突起片27から外すと該嵌着部材28は突起片27から離れ、両者は非係止状態となり、左操作アーム5aと右操作アーム5bは独立作動状態となる。
【0029】
操作アーム連結部1の具体例は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、該突起片27に係止状態又は非係止状態となり他方の操作アーム5に設けられる回動パイプ29とからなる。
回動パイプ29は、切欠き37を有するパイプ部30と、パイプ部30を回動可能に他方の操作アーム5に取着する取着部31と、パイプ部30を取着部31の所定位置に止める止め具42とからなる。
係止状態では、突起片27はパイプ部30に囲まれ移動不自在となり、非係止状態では、突起片27は切欠き37を通過でき移動自在となる。回動パイプ29を略90度正回動又は逆回動させれば、係止状態から非係止状態へ又は非係止状態から係止状態へ切り換わる。
【0030】
伝導部9は、上桟20aの中央部に設けられるプーリー32と、プーリー32に掛け回され操作アーム5と錘14を連結する前記索体24と、調節芯棒16の上端に取着される動滑車33とから構成される。
調節芯棒16には上向きにネジ式伸縮機構34が突設される。前記動滑車33はネジ式伸縮機構34の上端に設けられる。
索体24の基端は一方の操作アーム5の延設中途部に止着され、索体24の先端は他方の操作アーム5の延設中途部に止着され、索体24の中途部は、プーリー32に掛け回され吊下され、更に、動滑車33に掛け回される。索体24の具体例は、平ベルトであるがこれをロープ又はワイヤーロープに代えてもよい。
【0031】
前記ネジ式伸縮機構34は、ターンバックルの原理を応用したものでありこれを縮小操作し動滑車33を下方へ移動させ、索体24の弛みを除去するものである。
【0032】
荷重部7は、座部3に接近した前方位置に、荷重部連結具10で該座部3に連結配置される。この配置により、錘14及び差込ピン17は座部3の前方の接近した位置に在る。
運動者の対面位置に荷重部7を配置し、中桟20bに錘14が運動者の手の届く適宜高さに載設される。錘14を載置する好適な高さ範囲は、座部3の座面より下方250ミリから座面より上方600ミリである。
座部3の中心と差込ピン17の距離は、運動者の手が差込ピン17に充分に届く離間距離とし、その距離は600ミリが好適である。
この値は、座部3に乗った運動者が差込ピン17の抜き差し操作を行ない易い好適な値である。
【0033】
差込ピン17は、施療者又は運動者によって抜き差し操作されるものである。
前記好適離間距離値を大幅に超えると、座部3に乗った運動者の手が差込ピン17に届き難い事態や、差込ピン17を確実に差し込めない事態が起こり、不都合である。
又、前記好適離間距離値に大幅に満たないと、近過ぎて差込ピン17の抜き差し操作を行ない難くい事態が起こり、不都合である。
【0034】
荷重部連結具10は具体例では角パイプである。
前記荷重部連結具10及び荷重部7の下面の適宜箇所(=具体例では3箇所)にはこれらの部材を支持する脚35が設けられ、荷重部連結具10及び荷重部7は床面から僅か(=具体例では15ミリ)離間する。脚35の下面には適宜なゴム板36が貼られる。
【0035】
実施例1を使用する際には、先ず、運動者は切換式ローイングマシン2の座部3に腰掛ける。
荷重部7は座部3の前方に配置されている。
嵌着部材28に係る回動パイプ29を突起片27に被せ、回動パイプ29に対して突起片27を移動不自在とし、操作アーム連結部1を係止状態になし、左・右操作アーム5a・5bを互いに一体的に動く連動状態にする。
【0036】
座部3の高さを、調節ハンドル12で個人毎に、訓練に好適な高さに調節し決める。
胸当6の位置を、適宜位置に調節し決める。
【0037】
錘14を、中桟20bで適宜高さに支持し、座部3に座した運動者が荷重調節出来るように、荷重連結具10で座部3に接近した距離に設ける。
座部3上の運動者又は施療者は、負荷の大きさを設定するために差込ピン17を操作する。
調節芯棒16で引き上げられる錘片15の数は負荷の値に対応する。錘片15の側壁に開けられた穴22へ差込ピン17の差し込むことにより錘片15が調節芯棒16に固定される。
【0038】
負荷となる錘片15の数は差込ピン17をどの錘片15に差し込むかにより加減される。下位の錘片15の穴22へ差込ピン17を差し込めば、当該錘片15の上に積まれる錘片15の数が多く、負荷は大きい。上位の錘片15の穴22へ差込ピン17を差し込めば当該錘片15の上に積まれる錘片15の数が少なく負荷は小さい。
【0039】
運動者は、座部3に腰掛けた後、握り部25を掴み、足を上段ステップ4又は下段ステップ4に乗せる。握り部25の代わりに横握り部38を掴んでもよい。
運動者は、肘関節を屈曲し操作アーム5を引き寄せ(=往動)訓練を開始する。操作アーム5がその上端のアーム軸26を中心に回動し運動者に接近する。
この肘関節の屈曲運動により広背筋その他の背筋群が強化される。
【0040】
操作アーム5が回動すると該操作アーム5により索体24が引かれ、該索体24により荷重部7の錘14が引き上げられ、上肢に錘14による負荷が掛かる。プーリー32は索体24の張設中途部を支え索体24を所定通路に支持し移動させる。
索体24で調節芯棒16を吊り上げ、該調節芯棒16で零個(=調節芯棒16のみ吊り上げ)乃至複数個の錘片15を吊り上げる。この時、錘14は保持ロッド18に沿って上方向に移動する。
【0041】
次に、肘関節を伸展状態に戻す(=復動)。この復動で操作アーム5は運動者とは離間する方向へ回動し元位置へ戻り、又、錘14も下降し元位置へ戻り着地する。
錘14が着地するまでは肘関節が伸展する方向へ重量が掛かっており、錘14が着地すると索体24の張力は無くなり前記重量は零となる。
【0042】
次に、再び上肢に力を入れ、握り部25を引き寄せ、操作アーム5を運動者に接近する方向へ回動させ、肘関節を屈曲させる。
運動者は、前記往動と復動の動作を所定回数行ない又は所定時間繰り返し行ない、広背筋その他の背筋群の増強訓練を行なう。肘関節の伸展・屈曲に伴い錘14は錘フレーム13内を上下方向に移動する。
【0043】
索体24が弛んだため操作アーム5が往動しても同時に錘14が上昇開始しない時には、ネジ式伸縮機構34を縮小操作し動滑車33を下げ、前記弛みを除去する。
左・右操作アーム5a・5bを非連動状態(=独立作動状態)にして運動を行なう場合は、嵌着部材28に係る回動パイプ29を回動操作し、パイプ部30の切欠き37を突起片27が通過できるようにする。
この操作を行なって操作アーム連結部1を非係止状態とし、左・右操作アーム5a・5bを非連動状態にすれば、左・右操作アーム5a・5bのそれぞれは独立状に動かせる。
【0044】
例えば、左腕で左操作アーム5aを引き動かすと、左操作アーム5aが索体24の一端を引く。索体24の他端は動かないので、前記一端を引くことにより動滑車33が回動しつつネジ式伸縮機構34を引き上げ、ネジ式伸縮機構34は調節芯棒16と共に錘14を引き上げる。引き上げられた錘14の重量が左腕に負荷となって掛かり、左腕及び左側の広背筋等の筋力トレーニングが実施できる。
右腕に付いても左右が逆となるが前述の左腕の場合と同様な作動がなされる。
【0045】
訓練を終了する時は、運動者は上肢の力を緩め、肘関節を伸展させる。操作アーム5は錘14の下降作用により初期位置に戻る。運動者は、握り部25を放し座部3から降り、訓練を終了する。
【実施例2】
【0046】
図6に示す実施例2は、実施例1の操作アーム連結部1に係る回動パイプ29を、摺動パイプ39に代えたものである。
実施例2に係る操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、該突起片27に係止状態又は非係止状態となり他方の操作アーム5に設けられる摺動パイプ39とからなる。
摺動パイプ39は、筒部40と、筒部40を摺動可能に保持し他方の操作アーム5に取着され摺動取着部41とからなる。
【0047】
筒部40を突起片27の方へ進出摺動させ筒部40を突起片27に被せた係止状態では、突起片27が筒部40に囲まれ移動不自在となり、左・右操作アーム5a・5bは連動状態となる。
筒部40を摺動退却させ操作アーム連結部1を非係止状態に切り換えると、突起片27は移動自在となり、左・右操作アーム5a・5bはそれぞれ独立して作動する独立作動状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の切換式ローイングマシン2は、運動者が乗る座部3と、運動者が動かす操作アーム5と、操作アーム5の移動に対して負荷を掛ける荷重部7と、座部3と荷重部7を連結する荷重部連結具10と、操作アーム5の移動量を荷重部7へ伝導する伝導部9とからなり、前記操作アーム5は左・右操作アーム5a・5bからなり、操作アーム5の各延設中途部に操作アーム連結部1が設けられ、該操作アーム連結部1は、一方の操作アーム5に突設される突起片27と、他方の操作アーム5に設けられる嵌着部材28とからなり、該嵌着部材28を移動操作することにより、該嵌着部材28は突起片27に係止状態又は非係止状態となると同時に、左操作アーム5aと右操作アーム5bは連動状態と独立作動状態とに切り換わる。本発明は、左・右操作アーム5a・5bを互いに連動・非連動に切り換える操作アーム連結部1の操作をし易く、当該機器のその他の操作をし易くする為に作られることが要求される切換式ローイングマシン2に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の左側面図である。
【図3】本発明の実施例1の正面図である。
【図4】本発明の実施例1の平面図である。
【図5】本発明の実施例1の操作アーム連結部を示す図である。
【図6】本発明の実施例2の操作アーム連結部を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 操作アーム連結部
2 切換式ローイングマシン
3 座部
5 操作アーム
5a左操作アーム
5b右操作アーム
7 荷重部
9 伝導部
10 荷重部連結具
14 錘
15 錘片
17 差込ピン
19 支柱
20b中桟
24 索体
27 突起片
28 嵌着部材
29 回動パイプ
30 パイプ部
31 取着部
33 動滑車
34 ネジ式伸縮機構
37 切欠き
39 摺動パイプ
40 筒部
41 摺動取着部
43 ローイングマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローイングマシン(43)において、運動者が動かす左・右操作アーム(5a)・(5b)の各延設中途部に操作アーム連結部(1)が設けられ、
該操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、他方の操作アーム(5)に設けられる嵌着部材(28)とからなり、
該嵌着部材(28)を移動操作することにより、該嵌着部材(28)が突起片(27)に係止状態又は非係止状態となると同時に、左操作アーム(5a)と右操作アーム(5b)は連動状態又は独立作動状態に切り換わることを特徴とする切換式ローイングマシン。
【請求項2】
操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、該突起片(27)に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム(5)に設けられる回動パイプ(29)とからなり、
回動パイプ(29)は、切欠き(37)を有するパイプ部(30)と、パイプ部(30)を回動可能に他方の操作アーム(5)に取着する取着部(31)とからなり、
係止状態では、突起片(27)がパイプ部(30)に囲まれ移動不自在となり、回動パイプ(29)を回動し非係止状態に切り換えると、突起片(27)が切欠き(37)を通過でき移動自在となりそのことによって、一方操作アーム5と他方操作アーム5とが互いに独立操作状態になることを特徴とする請求項1記載の切換式ローイングマシン。
【請求項3】
操作アーム連結部(1)は、一方の操作アーム(5)に突設される突起片(27)と、該突起片(27)に係止状態又は非係止状態となることができ他方の操作アーム(5)に設けられる摺動パイプ(39)とからなり、
摺動パイプ(39)は、筒部(40)と、筒部(40)を摺動可能に保持し他方の操作アーム(5)に取着する摺動取着部(41)とからなり、
係止状態では、突起片(27)が筒部(40)に囲まれ移動不自在となり、筒部(40)を摺動退却させ非係止状態に切り換えると、突起片(27)は移動自在となりそのことによって、一方操作アーム5と他方操作アーム5とが互いに独立操作状態になることを特徴とする請求項1記載の切換式ローイングマシン。
【請求項4】
伝導部(9)は、錘(14)に取着されるネジ式伸縮機構(34)と、ネジ式伸縮機構(34)に止着される動滑車(33)と、操作アーム(5)と動滑車(33)を繋ぐ索体(24)とからなり、
前記索体(24)の基端は一方の操作アーム(5)に止着され、中間部は動滑車(33)に掛け回され、先端は他方の操作アーム(5)に止着されてなり、
索体(24)の弛みをネジ式伸縮機構(34)の縮小操作で除去できることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の切換式ローイングマシン。
【請求項5】
座部(3)と荷重部(7)を荷重部連結具(10)を用いて接近させて連結し、荷重部(7)を運動者の対面位置に配置し、
前記荷重部(7)は、左・右柱(19a)・(19b)と、中桟(20b)とを有し、中桟(20b)に操作アーム(5)の移動に追従して吊り上げられる錘(14)が載設され、
錘(14)の高さを、運動者の手の届く高さとしたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の切換式ローイングマシン。
【請求項6】
荷重部(7)の錘(14)は、中桟(20b)上に積み重ねられてなる複数個の錘片(15)と、複数個の錘片(15)に上下方向に貫通する調節芯棒(16)と、各錘片(15)から調節芯棒(16)にわたって水平方向に貫通する差込ピン(17)とからなり、
操作アーム(5)の移動に追従して引き上げられる錘片(15)の数はいずれの錘片(15)に差込ピン(17)を差し込むかによって決められ、差込操作は運動者によっても行えることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の切換式ローイングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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