切断装置
【課題】より簡素な構成で矩形基板の4辺の被覆シートを切断することができる切断装置を提供すること。
【解決手段】矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、を備える。
【解決手段】矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を被覆する被覆シートの切断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板や半導体ウエハのような基板は、その表面を保護するために被覆シートで被覆される場合がある。例えば、太陽電池モジュール基板においては、受光面を保護すると供に、太陽電池モジュール基板を構成する複数の部材が複数層で構成され、これらの部材を一纏めに構成させるためにも被覆シートを使用している。被覆シートのうち、基板の周辺からはみ出た端縁部は不要であるため、これを切断する必要がある。そこで、被覆シートの端縁部を切断する装置が提案されている(特許文献1乃至3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−49189号公報
【特許文献2】特開2001−320069号公報
【特許文献3】特開2001−135840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する場合、矩形基板の4辺に沿って被覆シートを切断する必要があることから、一般には、切断ユニットを直交2方向に移動する機構が必要となる。また、基板を切断ユニットの切断に適した位置まで移動させる機構も必要となる。このため、装置が複雑化、大型化する傾向にある。
【0005】
本発明の目的は、より簡素な構成で矩形基板の4辺の被覆シートを切断することができる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、を備えたことを特徴とする切断装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より簡素な構成で矩形基板の4辺の被覆シートを切断することができる切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る切断装置Aの平面図。
【図2】切断装置Aの正面図。
【図3】切断装置Aの分解斜視図。
【図4】制御装置200のブロック図である。
【図5】切断装置Aの動作説明図。
【図6】切断装置Aの動作説明図。
【図7】切断装置Aの動作説明図。
【図8】切断装置Aの動作説明図。
【図9】切断装置Aの動作説明図。
【図10】切断装置Aの動作説明図。
【図11】切断装置Aの動作説明図。
【図12】切断装置Aの動作説明図。
【図13】切断装置Aの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<装置の概略>
図1は本発明の一実施形態に係る切断装置Aの平面図、図2は切断装置Aの正面図、図3は切断装置Aの分解斜視図である。なお、図1においては回収ユニット100、110を破線で表示した透視図としている。各図において、矢印X及びYは水平方向であって互いに直交する2方向を示し、矢印Zは垂直方向を示す。本実施形態の場合、X方向は後述する搬送ユニット8及び9による基板の搬送方向である。
【0010】
切断装置Aは、保持ユニット1と、移動ユニット2と、ヘッドユニット3と、移動ユニット4と、搬送昇降ユニット5及び基板昇降ユニット6と、位置決めユニット7と、搬送ユニット8及び9と、回収ユニット100及び110と、を備える。後述するように、切断装置Aは矩形の基板B(図5参照)を被覆する被覆シートb(図5参照)の端縁部(基板Bの周縁からはみ出した部分)を切断する装置である。
【0011】
<保持ユニット1>
保持ユニット1は、基板Bの片面(本実施形態の場合、基板の下面)を吸着して保持する。本実施形態の場合、保持ユニット1は複数設けられ、その各々が基板Bの片面を吸着する複数の真空吸着パッド10を備える。全ての真空吸着パッド10は、共通のX−Y平面(水平面)上に位置しており、基板を水平姿勢で保持することができる。各真空吸着パッド10は、不図示のバキュームポンプに接続されており、このバキュームポンプを作動することで基板を吸着して保持する。
【0012】
本実施形態の場合、保持ユニット1は、基板Bの4辺に沿うように配置されており、基板Bの周縁を保持する。基板Bの周縁を保持する構成とすることで、被覆シートbの切断時に基板周縁が振れることを防止できる。この結果、被覆シートbの端縁部を良好に切断することができる。なお、基板Bの中央部も保持するように保持ユニット1を配設してもよい。
【0013】
<移動ユニット2>
移動ユニット2は、一対の案内部材20、20と、一対の案内部材20、20間に架設された移動体21と、駆動部22、22と、を備える。
【0014】
一対の案内部材20、20は、互いにY方向に離間し、X方向に平行に延設されている。移動体21は、フレーム状をなし、複数の保持ユニット1を搭載して支持する。駆動部22、22はそれぞれ、移動体21の両端部の下面に設けられており、案内部材20、20とそれぞれ係合してその移動が案内されるスライダであって、移動体21を一対の案内部材20、20に沿ってX方向に移動させる移動機構を構成している。
【0015】
この移動機構としては、例えば、ボールネジ機構を挙げることができる。ボールネジ機構とした場合、案内部材20にはX方向に延設されたボールネジ軸が設けられ、駆動部22にはボールネジ軸と螺合するボールナット及びボールナットを回転させるモータ(例えば中空モータ)が設けられた構成を採用することができる。この構成の場合、各駆動部22のモータを同期的に駆動することで移動体21をX方向(基板の移送方向)に平行移動させることができる。また、その他の移動機構としては、ラック&ピニオン機構、歯付ベルト&プーリ機構やリニア機構が挙げられる。
【0016】
なお、2つの駆動部22、22のうちの一方には、モータ等の駆動源を設けず、単に案内部材20に沿って従動的に移動するように構成することも可能である。
【0017】
移動ユニット2は、移動体21をX方向に移動することで、移動体21に搭載された保持ユニット1を、X方向に連続した移載位置及び切断作業領域に渡って移動する。移載位置は、本実施形態の場合、案内部材20の一方端部の搬入位置(図3中では左下位置)と他方端部の搬出位置(図3中では右上位置)とを含み、切断作業領域は搬入位置から搬出位置までの間の領域である。つまり、本実施形態の場合、切断作業領域は、保持ユニット1の全移動範囲に設定されており、その両端部が搬入位置、搬出位置に設定されている。これは、切断装置Aの全長を短くする効果がある。
【0018】
搬入位置は、案内部材20の両端部のうち、搬送ユニット8側(一方端部側)の位置であり、ここで搬送ユニット8から保持ユニット1への基板B(被覆シートbの端縁部が未切断の基板B)の搬入を行う。搬出位置は、案内部材20の両端部のうち、搬送ユニット9側(他方端部)の位置であり、ここで保持ユニット1から搬送ユニット9への基板B(被覆シートbの端縁部を切断済の基板B)の搬出を行う。
【0019】
<ヘッドユニット3>
ヘッドユニット3は、被覆シートbの端縁部を切断する切断ユニット30と、切断ユニット30を昇降させると共に回動(旋回)させて切断方向を変更する昇降・回動ユニット31と、を備える。本実施形態の場合、ヘッドユニット3を2つ設けている。これにより、被覆シートbの端縁部を異なる部位において同時に切断することができ、切断効率を向上できる。無論、ヘッドユニット3は1つでもよい。
【0020】
切断ユニット30は、円板刃30aと、円板刃30aを回転させるモータ等の駆動機構とを備え、円板刃30aを回転させて被覆シートbの端縁部を切断する。本実施形態の場合、切断ユニット30として、円板刃30aを回転させて被覆シートbを切断する機構を採用しているがこれに限られない。例えば、固定の刃により被覆シートbを切断する機構や、レーザ光により被覆シートbを切断する機構等、他の種類の切断機構が採用可能である。
【0021】
昇降・回動ユニット31は、軸体32をその軸心(Z方向)周りに回転させると共に軸体32を昇降させる機構(不図示)を備える。本実施形態の場合、軸体32には切断ユニット30が連結されており、軸体32を回転させることで切断ユニット30が回動してその回動角度を維持することができると共に、軸体32を昇降させることで切断ユニット30がZ方向に昇降することができる。
【0022】
切断ユニット30を回動させて切断方向を変更することで、基板Bの4辺に沿って被覆シートbの端縁部の切断を行うことができる。加えて、基板Bの各辺に対する円板刃30aの向きを調整することができる。より具体的には、基板Bの基板面に垂直な面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)と、円板刃30aが形成する平面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)との角度(交差角度)を調整することができる。この角度を調整し、維持することで、円板刃30aを基板Bの端縁に対して好適な角度で当接させるようにすることができ、被覆シートの切断時に基板Bの端縁が損傷することを防止できる。
【0023】
また、切断ユニット30を昇降させることで、基板Bの基板面における法線方向と平行な方向に垂直な面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)と、円板刃30aが形成する平面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)に対する円板刃30aの切断刃位置(高さ位置)を調整することができる。
【0024】
軸体32を回転・昇降させる機構としては公知の機構を採用できる。例えば、軸体32を回転させる機構としては、モータ等の駆動源と、歯車機構或いはベルト機構等の機構の組み合わせを挙げることができる。軸体32の回転角度を維持する機構としては、例えば、駆動源をサーボモータとした場合には、サーボモータの電磁ロック機能を利用することができるが、或いは、軸体32の回転を解除可能に規制するロック機構を別途設けてもよい。また、軸体32を昇降させる機構としては、モータ等の駆動源と、ラック−ピニオン機構等の機構の組み合わせを挙げることができる。
【0025】
<移動ユニット4>
移動ユニット4は、ヘッドユニット3をY方向に移動する。本実施形態の場合、移動ユニット4は、案内部材40と、案内部材40に沿って移動可能に案内部材40に取り付けられた移動体41と、移動体41を案内部材40に沿って移動させる不図示の移動機構と、を備える。
【0026】
案内部材40はY方向に延設されている。移動体41はヘッドユニット3の数に対応して2つ設けられており、案内部材40と係合してその移動が案内されるスライダである。本実施形態の場合、2つの移動体41に対して案内部材40を共通とした。これは、各移動体41毎に案内部材40を設ける場合に比べて、構成を簡素化できる。
【0027】
不図示の移動機構としては、例えば、ボールネジ機構を挙げることができる。ボールネジ機構とした場合、案内部材40にはY方向に延設されたボールネジ軸が設けられ、各移動体41にはボールネジ軸と螺合するボールナット及びボールナットを回転させるモータ(例えば中空モータ)が設けられた構成を採用することができる。
【0028】
各移動体41がそれぞれモータを備えることで、各移動体41を独立して移動制御することができ、その結果、2つのヘッドユニット3をそれぞれ独立して移動制御することができる。なお、ボールネジ軸は2つの移動体41に共通としてもよいし、移動体41毎に設けてもよい。
【0029】
本実施形態では、移動ユニット4が、移動ユニット2による保持ユニット1の移動範囲の中で、保持ユニット1に対して上下方向にずらして配置されている。とりわけ、案内部材40が、案内部材20、20に対して上下方向に離間し、かつ、交差する方向に配設されている。この構成によれば、案内部材20、40を上下に重ねて配置できるので、設備スペースを有効に活用でき、また、案内部材40の長手方向の範囲内に移動ユニット2の幅を収めることができるので、省スペース化を図れる。
【0030】
<搬送昇降ユニット5>
搬送昇降ユニット5は、搬送ユニット8、9におけるベルトコンベア80、90の一方端部(保持ユニット1と反対側の端部)を支持してそれぞれ設けられ、移載位置において保持ユニット1に対して搬送ユニット8、9を昇降する。これにより、保持ユニット1と、搬送ユニット8、9との間で、基板Bの受け渡しを行うことができる。搬送昇降ユニット5は、本実施形態の場合、搬送ユニット8、9を支持する支持フレーム51と、支持フレーム51をZ方向に移動自在に支持するガイドフレーム52と、を備える。ガイドフレーム52には、例えばZ方向に延びるレール部材が設けられ、支持フレーム51にはレール部材と係合してZ方向にスライドするスライダが設けられる。
【0031】
搬送昇降ユニット5は、また、モータ53と、モータ53の出力軸53aに設けられた偏心カム54と、を備える。偏心カム54の周面は支持フレーム51の下面に当接しており、偏心カム54を回転させることで、支持フレーム51をZ方向に昇降させることができる。その結果、搬送ユニット8、9を昇降することができる。
【0032】
本実施形態では、このようにモータ53を駆動源としたカム機構により搬送ユニット8、9を昇降する構成としたが、エアシリンダ等を駆動源としてもよく、その機構は種々の種類の機構を採用可能である。
【0033】
また、本実施形態では、搬送ユニット8、9を昇降する構成としたが、保持ユニット1側を昇降してもよく、保持ユニット1と搬送ユニット8、9とを相対的に昇降できれば、いずれを移動してもよいし、双方を移動してもよい。
【0034】
<基板昇降ユニット6>
基板昇降ユニット6は、保持ユニット1に対して基板Bを昇降する。本実施形態では、搬送ユニット8から保持ユニット1への基板の搬入に際して、位置決めユニット7により基板Bの位置決めを行う。基板昇降ユニット6は基板Bの位置決めの際に上昇して基板Bを保持ユニット1の各真空吸着パッド10から離間させる。基板Bの位置決めが完了すると基板Bを降下させて保持ユニット1の各真空吸着パッド10上にこれを載置し、保持させる。本実施形態の場合、基板昇降ユニット6はエアシリンダであるが、他の駆動機構を採用してもよい。
【0035】
<位置決めユニット7>
位置決めユニット7は、搬入位置において、基板BのY方向の位置決めを行う。位置決めユニット7は、互いにY方向に離間した一対の当接部材70と、一対の当接部材70をY方向に移動可能に支持する案内部材71と、一対の当接部材70を移動させる不図示の移動機構と、を備える。移動機構は、例えば、一方の当接部材70を移動させるエアシリンダ等の駆動源と、双方の当接部材70を連動させるリンク機構と、で構成できる。
【0036】
一対の当接部材70は、基板BのY方向に互いに対向する2辺に当接して基板Bの位置決めを行う位置決め位置と、位置決め位置よりも互いに離間した退避位置との間で移動される。一対の当接部材70はY方向に延設された板状の部材であるため、基板Bの互いに対向する2辺に当接してそのY方向の位置決めを行うと共に、基板Bの互いに対向する2辺をY方向と平行になるように、残りの2辺をX方向と平行として、基板Bの姿勢も整える。その結果、移動ユニット4によるヘッドユニット3の基板Bに対するY方向の移動や、移動ユニット2による保持ユニット1のX方向の移動によるヘッドユニット3の基板Bに対する相対移動が、基板Bの各辺に沿ったものとなる。
【0037】
<搬送ユニット8及び9>
搬送ユニット8及び9は、本実施形態の場合、いずれも、無端ベルト81、91をX方向に走行させるベルトコンベア80、90とされる。本実施形態の場合、ベルトコンベア80、90はそれぞれ、Y方向に離間して2列設けられており、基板Bを無端ベルト81、91上に載置して搬送する。搬送ユニット8は基板Bの搬入用、搬送ユニット9は基板Bの搬出用である。本実施形態では、搬送ユニット8及び9をベルトコンベアとしたが、ローラコンベアや多関節ロボット等、他の種類の搬送装置でもよい。また、本実施形態では搬入用、搬出用の双方の搬送ユニットを備える構成としたが、いずれか一方でもよい。
【0038】
このように搬送ユニット8、9は、その一方端部のみが支持された片持ち構造であり、その他方端部(保持ユニット1側の端部)は支持構造を有していない。このため、搬送ユニット8、9の他方端部側を、X方向に延設される保持ユニット1とX方向においてラップさせて(重畳させて)配置することができる。具体的には、後述するフレーム部材120内に、搬送ユニット8、9の他方端部側を進入させた状態で、搬送ユニット8、9が設けられる。その結果、搬送ユニット8、9と保持ユニット1との間における基板Bの受け渡しを可能にしている。
【0039】
<回収ユニット100及び110>
回収ユニット100及び110は、切断された被覆シートbの端縁部を回収する。これにより、切断された被覆シートbの端縁部が散乱することを防止できる。
【0040】
本実施形態の場合、回収ユニット100は、案内部材40に沿う切断ユニット30の移動軌跡の下方に配置されたベルトコンベア101と、ベルトコンベア101の両側部に設けられた一対のガイド部材102と、を備える。
【0041】
ベルトコンベア101はY方向に延設され、無端ベルトがY方向に走行する。一対のガイド部材102は上方に向かって開放する(間隔が大きくなる)よう、それぞれ傾斜して配設されている。ベルトコンベア101の両端部(Y方向両端部)にはそれぞれ、回収箱103が配設されている。基板BのX方向の両端に位置する辺に沿って切断ユニット30が被覆シートbの端縁部を切断すると、切断された端縁部がベルトコンベア101上に落下する。端縁部が落下する際、一対のガイド部材102は端縁部をベルトコンベア101上に導くシューター(滑り台)として機能する。ベルトコンベア101が連続的或いは定期的に作動することで、その無端ベルトが走行され、切断された端縁部を回収箱103へ搬送することができる。
【0042】
回収ユニット110は、切断ユニット30の下方において、一対の案内部材20に沿ってそれぞれ設けられている。各回収ユニット110は、ベルトコンベア111と、ベルトコンベア111の両側部に設けられた一対のガイド部材112と、を備える。
【0043】
ベルトコンベア111はX方向に延設され、無端ベルトがX方向に走行する。一対のガイド部材112は上方に向かって間隔が大きくなって開放するよう、それぞれ傾斜して配設されている。ベルトコンベア111の一方端部(移送方向一方端部)には、回収箱113が配設されている。基板BのY方向の両端に位置する2辺に沿って切断ユニット30が被覆シートbの端縁部を切断すると、その切断片がそれぞれのベルトコンベア111上に落下する。切断片が落下する際、一対のガイド部材112は切断片をベルトコンベア111上に導く。ベルトコンベア111を連続的或いは定期的に作動することで、その無端ベルトを走行させ、切断片をそれぞれの回収箱113へ搬送することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、回収ユニット100、110としてベルトコンベア101、111を利用したが、他の構成も採用可能である。例えば、切断されて落下してくる切断片を受け取る樋状(略U字状)の部材と、樋内の切断片を吸引して回収箱へ排出する吸引装置と、を備える構成としてもよい。
【0045】
<フレーム部材120>
案内部材20、20、案内部材40、回収ユニット100、110は、いずれも共通のフレーム部材120に一体に支持されている。共通のフレーム部材120でこれらを支持することで、これらの相互間の位置決め精度を向上できる。
【0046】
案内部材40は、フレーム部材120の一対の梁部121間に架設されている。一対の梁部121は、互いにY方向に離間し、それぞれX方向に延設されている。案内部材20、20は、フレーム部材120の支持部122に搭載されて支持されている。回収ユニット100は、図2に示すように、フレーム部材120の支持部124、124に搭載されて支持されており、各回収ユニット110は、フレーム部材120の支持部123、123に搭載されて支持されている。
【0047】
<制御装置>
次に、切断装置Aを制御する制御装置200について説明する。図4は制御装置200のブロック図である。制御装置200は、CPU等の処理部201と、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶部202と、外部デバイスと処理部201とをインターフェースするインターフェース部203と、を備える。
【0048】
処理部201は、記憶部202に記憶された保持ユニット21の切断開始位置や切断終了位置、切断ユニット30の回動角度位置、ヘッドユニット3による切断開始位置や切断終了位置等を基にプログラムを実行して、各種センサ206の検出結果に基づいて、各種アクチュエータ207を制御する。各種センサ206には、例えば、ヘッドユニット3のY方向の位置を検出するセンサ、切断ユニット30の回動角度やZ方向の位置を検出するセンサ、搬送ユニット8により搬送される基板Bの位置を検出するセンサ、保持ユニット1(移動体21)のX方向の位置を検出するセンサ、が含まれる。
【0049】
各種アクチュエータ207には、真空吸着パッド10を作動するバキュームポンプや制御弁、移動ユニット2及び4の各移動機構のモータ等の駆動源、円板刃30aを回転するモータ、位置決めユニット7の駆動源、搬送昇降ユニット5のモータ53、基板昇降ユニット6の駆動源等が含まれる。入力部204は作業者の指示を受け付けるキーボード、マウス等であり、表示部205は各種の情報を表示する画像表示装置である。
【0050】
<動作例>
次に、切断装置Aによる被覆シートの端縁部の切断動作について図5乃至図13を参照して説明する。対象となる基板Bは、まず、不図示の搬送設備により搬送ユニット8に搬送され、搬送ユニット8から保持ユニット1に移載される。図5乃至図7は、被覆シートbで被覆された基板Bが搬送ユニット8から保持ユニット1に移載される際の切断装置Aの動作を示している。
【0051】
まず、図5の状態ST1に示すように、搬送ユニット8を駆動して基板BをX方向に搬送し、搬入位置に位置している保持ユニット1上に基板Bを搬送する。このとき、図6の状態ST11に示すように搬送ユニット8のベルトコンベア80は搬送昇降ユニット5により上昇した位置にある。また、基板昇降ユニット6も上昇して基板Bよりは低いが真空吸着パッド10から上方に突出した位置にある。
【0052】
基板Bが保持ユニット1上に到達すると搬送ユニット8の駆動を停止し、図6の状態ST12に示すように、搬送昇降ユニット5により搬送ユニット8のベルトコンベア80を降下させる。これによりベルトコンベア80から基板昇降ユニット6へ基板Bが移載される。
【0053】
続いて図7の状態ST13に示すように位置決めユニット7を作動して一対の当接部材70、70を退避位置から位置決め位置(図7中では互いに近づく方向)に移動する。これにより基板Bが位置決めされる。続いて図7の状態ST14に示すように、位置決めユニット7を作動して一対の当接部材70を位置決め位置から退避位置(図7中では互いに離間する方向)に移動し、基板昇降ユニット6を作動して基板Bを降下させる。これにより、基板昇降ユニット6から保持ユニット1の各真空吸着パッド10上へ基板Bが移載される。そして、各真空吸着パッド10を作動して基板Bを吸着して保持する。
【0054】
次に、被覆シートbの端縁部を切断する動作に移る。端縁部の切断は、基板BのX方向の一方端部の一辺、Y方向の両端部の二辺、X方向の他方端部の一辺の順に行う。
【0055】
基板BのX方向の一方端部の一辺についての被覆シートbの端縁部の切断動作に際しては、まず、基板Bの一辺と切断ユニット30の円板刃30aとの位置合わせを行うべく、移動ユニット2により基板Bを所定の位置(第1切断位置)に移動する。また、円板刃30aのY方向及びZ方向の位置、向き(第1切断開始位置)をセットする。これらの位置、向きを含む制御に必要な各種の情報は、事前のテスト結果(例えばティーチング結果)により記憶部202に記憶しておき、記憶内容にしたがって制御することができる。
【0056】
続いて被覆シートbの端縁部を切断する。図8の状態ST2及びST3は、基板BのX方向の一方端部の一辺(図8中では右辺)に沿って切断ユニット30を移動して被覆シートbの端縁部を切断する状態を示している。本実施形態の場合、2つの切断ユニット30の一方が、まず、基板Bの一辺の半分に沿って被覆シートbの端縁部を切断する。詳細には、図8の状態ST2に示すように、一方の切断ユニット30を基板Bの一辺の真中の位置(第1切断開始位置)に位置させ、ここから同図の矢印で示す方向(図8中の状態ST2では上方向)に切断ユニット30を移動して端縁部の切断を行う。このとき、他方の切断ユニット30は、適当な位置(退避位置)に退避させておく。切断された切断片は回収ユニット100により回収される。
【0057】
次に、図8の状態ST3に示すように、他方の切断ユニット30を基板Bの一辺の真中の位置に位置させ、ここから同図の矢印で示す方向(図8中の状態ST3では下方向)に切断ユニット30を移動して、残りの端縁部の切断を行う。このとき、一方の切断ユニット30は、適当な位置に退避させておく。以上により、基板BのX方向の一方端部の一辺について被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0058】
次に、基板BのY方向の両端部の二辺についての被覆シートbの端縁部の切断を行う。本実施形態の場合、2つの切断ユニット30により、Y方向の両端部の二辺についての被覆シートbの各端縁部の切断を同時に行う。端縁部の切断は、基板BにおけるY方向の両端部の二辺の中央から一端に向かって行った後、再び中央から他端へ向かって行う。
【0059】
したがって、まず、図9の状態ST4に示すように、2つの切断ユニット30が、それぞれ、基板BのY方向の両端部の二辺の中央の位置(第2切断位置)に位置するように、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向に移動する。保持ユニット1の移動の際には、切断ユニット30と基板Bとが干渉しないように、切断ユニット30を上昇させておくなど、適宜の位置(動作可能位置)に退避させておく。
【0060】
続いて、矢印d1で示すように切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、所定の位置(第2切断開始位置)に位置させて被覆シートbの端縁部の切断を開始する。まず、図10の状態ST5に示すように、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向の搬送ユニット8側へ移動させながら被覆シートbの端縁部の切断を半分行う。切断された切断片は回収ユニット110で回収される。続いて図11の状態ST6に示すように、切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、切断方向変更後、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向の搬送ユニット9側へ移動させながら被覆シートbの端縁部の残り半分の切断を行う。以上により、基板BにおけるY方向の両端部の二辺について、被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0061】
次に、基板BのX方向の他方端部の一辺(図12中では左辺)について、被覆シートbの端縁部の切断を行う。X方向の一方端部の一辺についての切断動作の場合と同様、まず、基板Bの一辺と切断ユニット30の円板刃30aとの位置合わせを行うべく、移動ユニット2により基板Bを所定の位置(第3切断位置)に移動する。続いて切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、所定の位置(第3切断開始位置)に位置させ、図12の状態ST7に示すように、2つの切断ユニット30の一方が、まず、基板Bの一辺の半分に沿って被覆シートbの端縁部を中央から一端(図12中では上方)に向かって切断する。その後、2つの切断ユニット30の他方が、被覆シートbの端縁部の残り半分を中央から他端に向かって切断する。切断された切断片は回収ユニット100により回収される。以上により、基板BのX方向の他方端部の一辺について被覆シートbの端縁部の切断が完了し、基板Bの4辺全てについて、被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0062】
続いて基板Bの搬出動作に移る。移動ユニット2により基板Bを搬出位置に移動し、真空吸着パッド10による基板Bの保持を解除する。その後、搬送ユニット9に設けた搬送昇降ユニット5によりベルトコンベア90を降下した位置から上昇させる。これにより基板Bが保持ユニット1からベルトコンベア90へ移載される。その後、図13の状態ST8に示すように、ベルトコンベア90を駆動して基板BをX方向に搬送し、不図示の搬送設備等へ渡す。
【0063】
以上により一単位の切断動作が完了する。本実施形態では、移動ユニット2により、搬送ユニット8から被覆シートbの切断に適した位置まで基板Bを移動することができるだけでなく、基板BのY方向両端部の2辺に沿う被覆シートbの端縁部の切断に際しての切断ユニット30と基板BとのX方向の相対移動を生じさせることができる。この結果、切断ユニット30をX方向に移動させる機構を不要とし、より簡素な構成で矩形基板の4辺に沿って被覆シートを切断することができる。また、搬送ユニット8から搬送ユニット9への基板Bの搬送過程で被覆シートbの端縁部の切断ができるので、作業効率の向上も図れる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を被覆する被覆シートの切断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板や半導体ウエハのような基板は、その表面を保護するために被覆シートで被覆される場合がある。例えば、太陽電池モジュール基板においては、受光面を保護すると供に、太陽電池モジュール基板を構成する複数の部材が複数層で構成され、これらの部材を一纏めに構成させるためにも被覆シートを使用している。被覆シートのうち、基板の周辺からはみ出た端縁部は不要であるため、これを切断する必要がある。そこで、被覆シートの端縁部を切断する装置が提案されている(特許文献1乃至3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−49189号公報
【特許文献2】特開2001−320069号公報
【特許文献3】特開2001−135840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する場合、矩形基板の4辺に沿って被覆シートを切断する必要があることから、一般には、切断ユニットを直交2方向に移動する機構が必要となる。また、基板を切断ユニットの切断に適した位置まで移動させる機構も必要となる。このため、装置が複雑化、大型化する傾向にある。
【0005】
本発明の目的は、より簡素な構成で矩形基板の4辺の被覆シートを切断することができる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、を備えたことを特徴とする切断装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より簡素な構成で矩形基板の4辺の被覆シートを切断することができる切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る切断装置Aの平面図。
【図2】切断装置Aの正面図。
【図3】切断装置Aの分解斜視図。
【図4】制御装置200のブロック図である。
【図5】切断装置Aの動作説明図。
【図6】切断装置Aの動作説明図。
【図7】切断装置Aの動作説明図。
【図8】切断装置Aの動作説明図。
【図9】切断装置Aの動作説明図。
【図10】切断装置Aの動作説明図。
【図11】切断装置Aの動作説明図。
【図12】切断装置Aの動作説明図。
【図13】切断装置Aの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<装置の概略>
図1は本発明の一実施形態に係る切断装置Aの平面図、図2は切断装置Aの正面図、図3は切断装置Aの分解斜視図である。なお、図1においては回収ユニット100、110を破線で表示した透視図としている。各図において、矢印X及びYは水平方向であって互いに直交する2方向を示し、矢印Zは垂直方向を示す。本実施形態の場合、X方向は後述する搬送ユニット8及び9による基板の搬送方向である。
【0010】
切断装置Aは、保持ユニット1と、移動ユニット2と、ヘッドユニット3と、移動ユニット4と、搬送昇降ユニット5及び基板昇降ユニット6と、位置決めユニット7と、搬送ユニット8及び9と、回収ユニット100及び110と、を備える。後述するように、切断装置Aは矩形の基板B(図5参照)を被覆する被覆シートb(図5参照)の端縁部(基板Bの周縁からはみ出した部分)を切断する装置である。
【0011】
<保持ユニット1>
保持ユニット1は、基板Bの片面(本実施形態の場合、基板の下面)を吸着して保持する。本実施形態の場合、保持ユニット1は複数設けられ、その各々が基板Bの片面を吸着する複数の真空吸着パッド10を備える。全ての真空吸着パッド10は、共通のX−Y平面(水平面)上に位置しており、基板を水平姿勢で保持することができる。各真空吸着パッド10は、不図示のバキュームポンプに接続されており、このバキュームポンプを作動することで基板を吸着して保持する。
【0012】
本実施形態の場合、保持ユニット1は、基板Bの4辺に沿うように配置されており、基板Bの周縁を保持する。基板Bの周縁を保持する構成とすることで、被覆シートbの切断時に基板周縁が振れることを防止できる。この結果、被覆シートbの端縁部を良好に切断することができる。なお、基板Bの中央部も保持するように保持ユニット1を配設してもよい。
【0013】
<移動ユニット2>
移動ユニット2は、一対の案内部材20、20と、一対の案内部材20、20間に架設された移動体21と、駆動部22、22と、を備える。
【0014】
一対の案内部材20、20は、互いにY方向に離間し、X方向に平行に延設されている。移動体21は、フレーム状をなし、複数の保持ユニット1を搭載して支持する。駆動部22、22はそれぞれ、移動体21の両端部の下面に設けられており、案内部材20、20とそれぞれ係合してその移動が案内されるスライダであって、移動体21を一対の案内部材20、20に沿ってX方向に移動させる移動機構を構成している。
【0015】
この移動機構としては、例えば、ボールネジ機構を挙げることができる。ボールネジ機構とした場合、案内部材20にはX方向に延設されたボールネジ軸が設けられ、駆動部22にはボールネジ軸と螺合するボールナット及びボールナットを回転させるモータ(例えば中空モータ)が設けられた構成を採用することができる。この構成の場合、各駆動部22のモータを同期的に駆動することで移動体21をX方向(基板の移送方向)に平行移動させることができる。また、その他の移動機構としては、ラック&ピニオン機構、歯付ベルト&プーリ機構やリニア機構が挙げられる。
【0016】
なお、2つの駆動部22、22のうちの一方には、モータ等の駆動源を設けず、単に案内部材20に沿って従動的に移動するように構成することも可能である。
【0017】
移動ユニット2は、移動体21をX方向に移動することで、移動体21に搭載された保持ユニット1を、X方向に連続した移載位置及び切断作業領域に渡って移動する。移載位置は、本実施形態の場合、案内部材20の一方端部の搬入位置(図3中では左下位置)と他方端部の搬出位置(図3中では右上位置)とを含み、切断作業領域は搬入位置から搬出位置までの間の領域である。つまり、本実施形態の場合、切断作業領域は、保持ユニット1の全移動範囲に設定されており、その両端部が搬入位置、搬出位置に設定されている。これは、切断装置Aの全長を短くする効果がある。
【0018】
搬入位置は、案内部材20の両端部のうち、搬送ユニット8側(一方端部側)の位置であり、ここで搬送ユニット8から保持ユニット1への基板B(被覆シートbの端縁部が未切断の基板B)の搬入を行う。搬出位置は、案内部材20の両端部のうち、搬送ユニット9側(他方端部)の位置であり、ここで保持ユニット1から搬送ユニット9への基板B(被覆シートbの端縁部を切断済の基板B)の搬出を行う。
【0019】
<ヘッドユニット3>
ヘッドユニット3は、被覆シートbの端縁部を切断する切断ユニット30と、切断ユニット30を昇降させると共に回動(旋回)させて切断方向を変更する昇降・回動ユニット31と、を備える。本実施形態の場合、ヘッドユニット3を2つ設けている。これにより、被覆シートbの端縁部を異なる部位において同時に切断することができ、切断効率を向上できる。無論、ヘッドユニット3は1つでもよい。
【0020】
切断ユニット30は、円板刃30aと、円板刃30aを回転させるモータ等の駆動機構とを備え、円板刃30aを回転させて被覆シートbの端縁部を切断する。本実施形態の場合、切断ユニット30として、円板刃30aを回転させて被覆シートbを切断する機構を採用しているがこれに限られない。例えば、固定の刃により被覆シートbを切断する機構や、レーザ光により被覆シートbを切断する機構等、他の種類の切断機構が採用可能である。
【0021】
昇降・回動ユニット31は、軸体32をその軸心(Z方向)周りに回転させると共に軸体32を昇降させる機構(不図示)を備える。本実施形態の場合、軸体32には切断ユニット30が連結されており、軸体32を回転させることで切断ユニット30が回動してその回動角度を維持することができると共に、軸体32を昇降させることで切断ユニット30がZ方向に昇降することができる。
【0022】
切断ユニット30を回動させて切断方向を変更することで、基板Bの4辺に沿って被覆シートbの端縁部の切断を行うことができる。加えて、基板Bの各辺に対する円板刃30aの向きを調整することができる。より具体的には、基板Bの基板面に垂直な面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)と、円板刃30aが形成する平面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)との角度(交差角度)を調整することができる。この角度を調整し、維持することで、円板刃30aを基板Bの端縁に対して好適な角度で当接させるようにすることができ、被覆シートの切断時に基板Bの端縁が損傷することを防止できる。
【0023】
また、切断ユニット30を昇降させることで、基板Bの基板面における法線方向と平行な方向に垂直な面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)と、円板刃30aが形成する平面(本実施形態の場合、Z方向の垂直面)に対する円板刃30aの切断刃位置(高さ位置)を調整することができる。
【0024】
軸体32を回転・昇降させる機構としては公知の機構を採用できる。例えば、軸体32を回転させる機構としては、モータ等の駆動源と、歯車機構或いはベルト機構等の機構の組み合わせを挙げることができる。軸体32の回転角度を維持する機構としては、例えば、駆動源をサーボモータとした場合には、サーボモータの電磁ロック機能を利用することができるが、或いは、軸体32の回転を解除可能に規制するロック機構を別途設けてもよい。また、軸体32を昇降させる機構としては、モータ等の駆動源と、ラック−ピニオン機構等の機構の組み合わせを挙げることができる。
【0025】
<移動ユニット4>
移動ユニット4は、ヘッドユニット3をY方向に移動する。本実施形態の場合、移動ユニット4は、案内部材40と、案内部材40に沿って移動可能に案内部材40に取り付けられた移動体41と、移動体41を案内部材40に沿って移動させる不図示の移動機構と、を備える。
【0026】
案内部材40はY方向に延設されている。移動体41はヘッドユニット3の数に対応して2つ設けられており、案内部材40と係合してその移動が案内されるスライダである。本実施形態の場合、2つの移動体41に対して案内部材40を共通とした。これは、各移動体41毎に案内部材40を設ける場合に比べて、構成を簡素化できる。
【0027】
不図示の移動機構としては、例えば、ボールネジ機構を挙げることができる。ボールネジ機構とした場合、案内部材40にはY方向に延設されたボールネジ軸が設けられ、各移動体41にはボールネジ軸と螺合するボールナット及びボールナットを回転させるモータ(例えば中空モータ)が設けられた構成を採用することができる。
【0028】
各移動体41がそれぞれモータを備えることで、各移動体41を独立して移動制御することができ、その結果、2つのヘッドユニット3をそれぞれ独立して移動制御することができる。なお、ボールネジ軸は2つの移動体41に共通としてもよいし、移動体41毎に設けてもよい。
【0029】
本実施形態では、移動ユニット4が、移動ユニット2による保持ユニット1の移動範囲の中で、保持ユニット1に対して上下方向にずらして配置されている。とりわけ、案内部材40が、案内部材20、20に対して上下方向に離間し、かつ、交差する方向に配設されている。この構成によれば、案内部材20、40を上下に重ねて配置できるので、設備スペースを有効に活用でき、また、案内部材40の長手方向の範囲内に移動ユニット2の幅を収めることができるので、省スペース化を図れる。
【0030】
<搬送昇降ユニット5>
搬送昇降ユニット5は、搬送ユニット8、9におけるベルトコンベア80、90の一方端部(保持ユニット1と反対側の端部)を支持してそれぞれ設けられ、移載位置において保持ユニット1に対して搬送ユニット8、9を昇降する。これにより、保持ユニット1と、搬送ユニット8、9との間で、基板Bの受け渡しを行うことができる。搬送昇降ユニット5は、本実施形態の場合、搬送ユニット8、9を支持する支持フレーム51と、支持フレーム51をZ方向に移動自在に支持するガイドフレーム52と、を備える。ガイドフレーム52には、例えばZ方向に延びるレール部材が設けられ、支持フレーム51にはレール部材と係合してZ方向にスライドするスライダが設けられる。
【0031】
搬送昇降ユニット5は、また、モータ53と、モータ53の出力軸53aに設けられた偏心カム54と、を備える。偏心カム54の周面は支持フレーム51の下面に当接しており、偏心カム54を回転させることで、支持フレーム51をZ方向に昇降させることができる。その結果、搬送ユニット8、9を昇降することができる。
【0032】
本実施形態では、このようにモータ53を駆動源としたカム機構により搬送ユニット8、9を昇降する構成としたが、エアシリンダ等を駆動源としてもよく、その機構は種々の種類の機構を採用可能である。
【0033】
また、本実施形態では、搬送ユニット8、9を昇降する構成としたが、保持ユニット1側を昇降してもよく、保持ユニット1と搬送ユニット8、9とを相対的に昇降できれば、いずれを移動してもよいし、双方を移動してもよい。
【0034】
<基板昇降ユニット6>
基板昇降ユニット6は、保持ユニット1に対して基板Bを昇降する。本実施形態では、搬送ユニット8から保持ユニット1への基板の搬入に際して、位置決めユニット7により基板Bの位置決めを行う。基板昇降ユニット6は基板Bの位置決めの際に上昇して基板Bを保持ユニット1の各真空吸着パッド10から離間させる。基板Bの位置決めが完了すると基板Bを降下させて保持ユニット1の各真空吸着パッド10上にこれを載置し、保持させる。本実施形態の場合、基板昇降ユニット6はエアシリンダであるが、他の駆動機構を採用してもよい。
【0035】
<位置決めユニット7>
位置決めユニット7は、搬入位置において、基板BのY方向の位置決めを行う。位置決めユニット7は、互いにY方向に離間した一対の当接部材70と、一対の当接部材70をY方向に移動可能に支持する案内部材71と、一対の当接部材70を移動させる不図示の移動機構と、を備える。移動機構は、例えば、一方の当接部材70を移動させるエアシリンダ等の駆動源と、双方の当接部材70を連動させるリンク機構と、で構成できる。
【0036】
一対の当接部材70は、基板BのY方向に互いに対向する2辺に当接して基板Bの位置決めを行う位置決め位置と、位置決め位置よりも互いに離間した退避位置との間で移動される。一対の当接部材70はY方向に延設された板状の部材であるため、基板Bの互いに対向する2辺に当接してそのY方向の位置決めを行うと共に、基板Bの互いに対向する2辺をY方向と平行になるように、残りの2辺をX方向と平行として、基板Bの姿勢も整える。その結果、移動ユニット4によるヘッドユニット3の基板Bに対するY方向の移動や、移動ユニット2による保持ユニット1のX方向の移動によるヘッドユニット3の基板Bに対する相対移動が、基板Bの各辺に沿ったものとなる。
【0037】
<搬送ユニット8及び9>
搬送ユニット8及び9は、本実施形態の場合、いずれも、無端ベルト81、91をX方向に走行させるベルトコンベア80、90とされる。本実施形態の場合、ベルトコンベア80、90はそれぞれ、Y方向に離間して2列設けられており、基板Bを無端ベルト81、91上に載置して搬送する。搬送ユニット8は基板Bの搬入用、搬送ユニット9は基板Bの搬出用である。本実施形態では、搬送ユニット8及び9をベルトコンベアとしたが、ローラコンベアや多関節ロボット等、他の種類の搬送装置でもよい。また、本実施形態では搬入用、搬出用の双方の搬送ユニットを備える構成としたが、いずれか一方でもよい。
【0038】
このように搬送ユニット8、9は、その一方端部のみが支持された片持ち構造であり、その他方端部(保持ユニット1側の端部)は支持構造を有していない。このため、搬送ユニット8、9の他方端部側を、X方向に延設される保持ユニット1とX方向においてラップさせて(重畳させて)配置することができる。具体的には、後述するフレーム部材120内に、搬送ユニット8、9の他方端部側を進入させた状態で、搬送ユニット8、9が設けられる。その結果、搬送ユニット8、9と保持ユニット1との間における基板Bの受け渡しを可能にしている。
【0039】
<回収ユニット100及び110>
回収ユニット100及び110は、切断された被覆シートbの端縁部を回収する。これにより、切断された被覆シートbの端縁部が散乱することを防止できる。
【0040】
本実施形態の場合、回収ユニット100は、案内部材40に沿う切断ユニット30の移動軌跡の下方に配置されたベルトコンベア101と、ベルトコンベア101の両側部に設けられた一対のガイド部材102と、を備える。
【0041】
ベルトコンベア101はY方向に延設され、無端ベルトがY方向に走行する。一対のガイド部材102は上方に向かって開放する(間隔が大きくなる)よう、それぞれ傾斜して配設されている。ベルトコンベア101の両端部(Y方向両端部)にはそれぞれ、回収箱103が配設されている。基板BのX方向の両端に位置する辺に沿って切断ユニット30が被覆シートbの端縁部を切断すると、切断された端縁部がベルトコンベア101上に落下する。端縁部が落下する際、一対のガイド部材102は端縁部をベルトコンベア101上に導くシューター(滑り台)として機能する。ベルトコンベア101が連続的或いは定期的に作動することで、その無端ベルトが走行され、切断された端縁部を回収箱103へ搬送することができる。
【0042】
回収ユニット110は、切断ユニット30の下方において、一対の案内部材20に沿ってそれぞれ設けられている。各回収ユニット110は、ベルトコンベア111と、ベルトコンベア111の両側部に設けられた一対のガイド部材112と、を備える。
【0043】
ベルトコンベア111はX方向に延設され、無端ベルトがX方向に走行する。一対のガイド部材112は上方に向かって間隔が大きくなって開放するよう、それぞれ傾斜して配設されている。ベルトコンベア111の一方端部(移送方向一方端部)には、回収箱113が配設されている。基板BのY方向の両端に位置する2辺に沿って切断ユニット30が被覆シートbの端縁部を切断すると、その切断片がそれぞれのベルトコンベア111上に落下する。切断片が落下する際、一対のガイド部材112は切断片をベルトコンベア111上に導く。ベルトコンベア111を連続的或いは定期的に作動することで、その無端ベルトを走行させ、切断片をそれぞれの回収箱113へ搬送することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、回収ユニット100、110としてベルトコンベア101、111を利用したが、他の構成も採用可能である。例えば、切断されて落下してくる切断片を受け取る樋状(略U字状)の部材と、樋内の切断片を吸引して回収箱へ排出する吸引装置と、を備える構成としてもよい。
【0045】
<フレーム部材120>
案内部材20、20、案内部材40、回収ユニット100、110は、いずれも共通のフレーム部材120に一体に支持されている。共通のフレーム部材120でこれらを支持することで、これらの相互間の位置決め精度を向上できる。
【0046】
案内部材40は、フレーム部材120の一対の梁部121間に架設されている。一対の梁部121は、互いにY方向に離間し、それぞれX方向に延設されている。案内部材20、20は、フレーム部材120の支持部122に搭載されて支持されている。回収ユニット100は、図2に示すように、フレーム部材120の支持部124、124に搭載されて支持されており、各回収ユニット110は、フレーム部材120の支持部123、123に搭載されて支持されている。
【0047】
<制御装置>
次に、切断装置Aを制御する制御装置200について説明する。図4は制御装置200のブロック図である。制御装置200は、CPU等の処理部201と、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶部202と、外部デバイスと処理部201とをインターフェースするインターフェース部203と、を備える。
【0048】
処理部201は、記憶部202に記憶された保持ユニット21の切断開始位置や切断終了位置、切断ユニット30の回動角度位置、ヘッドユニット3による切断開始位置や切断終了位置等を基にプログラムを実行して、各種センサ206の検出結果に基づいて、各種アクチュエータ207を制御する。各種センサ206には、例えば、ヘッドユニット3のY方向の位置を検出するセンサ、切断ユニット30の回動角度やZ方向の位置を検出するセンサ、搬送ユニット8により搬送される基板Bの位置を検出するセンサ、保持ユニット1(移動体21)のX方向の位置を検出するセンサ、が含まれる。
【0049】
各種アクチュエータ207には、真空吸着パッド10を作動するバキュームポンプや制御弁、移動ユニット2及び4の各移動機構のモータ等の駆動源、円板刃30aを回転するモータ、位置決めユニット7の駆動源、搬送昇降ユニット5のモータ53、基板昇降ユニット6の駆動源等が含まれる。入力部204は作業者の指示を受け付けるキーボード、マウス等であり、表示部205は各種の情報を表示する画像表示装置である。
【0050】
<動作例>
次に、切断装置Aによる被覆シートの端縁部の切断動作について図5乃至図13を参照して説明する。対象となる基板Bは、まず、不図示の搬送設備により搬送ユニット8に搬送され、搬送ユニット8から保持ユニット1に移載される。図5乃至図7は、被覆シートbで被覆された基板Bが搬送ユニット8から保持ユニット1に移載される際の切断装置Aの動作を示している。
【0051】
まず、図5の状態ST1に示すように、搬送ユニット8を駆動して基板BをX方向に搬送し、搬入位置に位置している保持ユニット1上に基板Bを搬送する。このとき、図6の状態ST11に示すように搬送ユニット8のベルトコンベア80は搬送昇降ユニット5により上昇した位置にある。また、基板昇降ユニット6も上昇して基板Bよりは低いが真空吸着パッド10から上方に突出した位置にある。
【0052】
基板Bが保持ユニット1上に到達すると搬送ユニット8の駆動を停止し、図6の状態ST12に示すように、搬送昇降ユニット5により搬送ユニット8のベルトコンベア80を降下させる。これによりベルトコンベア80から基板昇降ユニット6へ基板Bが移載される。
【0053】
続いて図7の状態ST13に示すように位置決めユニット7を作動して一対の当接部材70、70を退避位置から位置決め位置(図7中では互いに近づく方向)に移動する。これにより基板Bが位置決めされる。続いて図7の状態ST14に示すように、位置決めユニット7を作動して一対の当接部材70を位置決め位置から退避位置(図7中では互いに離間する方向)に移動し、基板昇降ユニット6を作動して基板Bを降下させる。これにより、基板昇降ユニット6から保持ユニット1の各真空吸着パッド10上へ基板Bが移載される。そして、各真空吸着パッド10を作動して基板Bを吸着して保持する。
【0054】
次に、被覆シートbの端縁部を切断する動作に移る。端縁部の切断は、基板BのX方向の一方端部の一辺、Y方向の両端部の二辺、X方向の他方端部の一辺の順に行う。
【0055】
基板BのX方向の一方端部の一辺についての被覆シートbの端縁部の切断動作に際しては、まず、基板Bの一辺と切断ユニット30の円板刃30aとの位置合わせを行うべく、移動ユニット2により基板Bを所定の位置(第1切断位置)に移動する。また、円板刃30aのY方向及びZ方向の位置、向き(第1切断開始位置)をセットする。これらの位置、向きを含む制御に必要な各種の情報は、事前のテスト結果(例えばティーチング結果)により記憶部202に記憶しておき、記憶内容にしたがって制御することができる。
【0056】
続いて被覆シートbの端縁部を切断する。図8の状態ST2及びST3は、基板BのX方向の一方端部の一辺(図8中では右辺)に沿って切断ユニット30を移動して被覆シートbの端縁部を切断する状態を示している。本実施形態の場合、2つの切断ユニット30の一方が、まず、基板Bの一辺の半分に沿って被覆シートbの端縁部を切断する。詳細には、図8の状態ST2に示すように、一方の切断ユニット30を基板Bの一辺の真中の位置(第1切断開始位置)に位置させ、ここから同図の矢印で示す方向(図8中の状態ST2では上方向)に切断ユニット30を移動して端縁部の切断を行う。このとき、他方の切断ユニット30は、適当な位置(退避位置)に退避させておく。切断された切断片は回収ユニット100により回収される。
【0057】
次に、図8の状態ST3に示すように、他方の切断ユニット30を基板Bの一辺の真中の位置に位置させ、ここから同図の矢印で示す方向(図8中の状態ST3では下方向)に切断ユニット30を移動して、残りの端縁部の切断を行う。このとき、一方の切断ユニット30は、適当な位置に退避させておく。以上により、基板BのX方向の一方端部の一辺について被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0058】
次に、基板BのY方向の両端部の二辺についての被覆シートbの端縁部の切断を行う。本実施形態の場合、2つの切断ユニット30により、Y方向の両端部の二辺についての被覆シートbの各端縁部の切断を同時に行う。端縁部の切断は、基板BにおけるY方向の両端部の二辺の中央から一端に向かって行った後、再び中央から他端へ向かって行う。
【0059】
したがって、まず、図9の状態ST4に示すように、2つの切断ユニット30が、それぞれ、基板BのY方向の両端部の二辺の中央の位置(第2切断位置)に位置するように、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向に移動する。保持ユニット1の移動の際には、切断ユニット30と基板Bとが干渉しないように、切断ユニット30を上昇させておくなど、適宜の位置(動作可能位置)に退避させておく。
【0060】
続いて、矢印d1で示すように切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、所定の位置(第2切断開始位置)に位置させて被覆シートbの端縁部の切断を開始する。まず、図10の状態ST5に示すように、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向の搬送ユニット8側へ移動させながら被覆シートbの端縁部の切断を半分行う。切断された切断片は回収ユニット110で回収される。続いて図11の状態ST6に示すように、切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、切断方向変更後、移動ユニット2により保持ユニット1をX方向の搬送ユニット9側へ移動させながら被覆シートbの端縁部の残り半分の切断を行う。以上により、基板BにおけるY方向の両端部の二辺について、被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0061】
次に、基板BのX方向の他方端部の一辺(図12中では左辺)について、被覆シートbの端縁部の切断を行う。X方向の一方端部の一辺についての切断動作の場合と同様、まず、基板Bの一辺と切断ユニット30の円板刃30aとの位置合わせを行うべく、移動ユニット2により基板Bを所定の位置(第3切断位置)に移動する。続いて切断ユニット30を回動させてその切断方向を変更し、所定の位置(第3切断開始位置)に位置させ、図12の状態ST7に示すように、2つの切断ユニット30の一方が、まず、基板Bの一辺の半分に沿って被覆シートbの端縁部を中央から一端(図12中では上方)に向かって切断する。その後、2つの切断ユニット30の他方が、被覆シートbの端縁部の残り半分を中央から他端に向かって切断する。切断された切断片は回収ユニット100により回収される。以上により、基板BのX方向の他方端部の一辺について被覆シートbの端縁部の切断が完了し、基板Bの4辺全てについて、被覆シートbの端縁部の切断が完了する。
【0062】
続いて基板Bの搬出動作に移る。移動ユニット2により基板Bを搬出位置に移動し、真空吸着パッド10による基板Bの保持を解除する。その後、搬送ユニット9に設けた搬送昇降ユニット5によりベルトコンベア90を降下した位置から上昇させる。これにより基板Bが保持ユニット1からベルトコンベア90へ移載される。その後、図13の状態ST8に示すように、ベルトコンベア90を駆動して基板BをX方向に搬送し、不図示の搬送設備等へ渡す。
【0063】
以上により一単位の切断動作が完了する。本実施形態では、移動ユニット2により、搬送ユニット8から被覆シートbの切断に適した位置まで基板Bを移動することができるだけでなく、基板BのY方向両端部の2辺に沿う被覆シートbの端縁部の切断に際しての切断ユニット30と基板BとのX方向の相対移動を生じさせることができる。この結果、切断ユニット30をX方向に移動させる機構を不要とし、より簡素な構成で矩形基板の4辺に沿って被覆シートを切断することができる。また、搬送ユニット8から搬送ユニット9への基板Bの搬送過程で被覆シートbの端縁部の切断ができるので、作業効率の向上も図れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、
前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、
前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、
前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、
を備えたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記移載位置において、前記保持手段への前記矩形基板の搬入及び前記保持手段からの前記矩形基板の搬出の少なくともいずれか一方を行う搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記移載位置において、前記保持手段と前記搬送手段とを相対的に昇降する昇降手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記移載位置が、前記保持手段への前記矩形基板の搬入を行う搬入位置を含み、
前記搬入位置において、前記矩形基板の前記第1方向の位置決めを行う位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記第1移動手段が、前記第2移動手段による前記保持手段の移動範囲の中で、前記保持手段に対して上下方向にずらして配置されたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第2移動手段が、
前記第1方向に互いに離間し、前記第2方向に延設された一対の案内部材と、
前記一対の案内部材間に架設され、前記保持手段を支持する移動体と、
前記移動体を前記一対の案内部材に沿って移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第1移動手段が、
前記第1方向に延設された案内部材と、
前記案内部材に沿って移動可能に前記案内部材に取り付けられ、前記ヘッドユニットを支持する移動体と、
前記移動体を前記案内部材に沿って移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項8】
前記第1移動手段が、
前記第1方向に延設された第1案内部材と、
前記第1案内部材に沿って移動可能に前記第1案内部材に取り付けられ、前記ヘッドユニットを支持する第1移動体と、
前記第1移動体を前記案内部材に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第2移動手段が、
前記第1方向に互いに離間し、前記第2方向に延設された一対の第2案内部材と、
前記一対の第2案内部材間に架設され、前記保持手段を支持する第2移動体と、
前記第2移動体を前記一対の第2案内部材に沿って移動させる第2移動機構と、を備え、
前記第1案内部材が、
前記一対の第2案内部材と上下方向に離間し、かつ、交差して配設されたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1案内部材に沿う前記切断ユニットの移動軌跡の下方において、前記第1方向に延設され、切断された前記被覆シートの端縁部を回収する第1回収手段と、
前記切断ユニットの下方において、前記一対の第2案内部材に沿って前記第2方向に延設され、切断された前記被覆シートの端縁部を回収する1対の第2回収手段と
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
前記ヘッドユニットと前記移動体と前記移動機構とを2組設け、
2つの前記移動体を共通の前記案内部材に取り付けたことを特徴とする請求項7に記載の切断装置。
【請求項11】
前記一対の第2案内部材と、前記第1案内部材と、前記第1及び第2回収手段と、を一体に支持するフレーム部材を備えたことを特徴とする請求項9に記載の切断装置。
【請求項12】
前記移載位置が、
前記切断作業領域の前記第2方向の一端の、前記保持手段への前記矩形基板の搬入を行う搬入位置と、
前記切断作業領域の前記第2方向の他端の、前記保持手段からの前記矩形基板の搬出を行う搬出位置と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項1】
矩形基板を被覆する被覆シートの端縁部を切断する切断装置において、
前記矩形基板の片面を吸着して前記矩形基板を保持する保持手段と、
前記被覆シートの端縁部を切断する切断ユニット、及び、前記切断ユニットを回動して切断方向を変更する回動ユニットを備えたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを前記矩形基板の一辺と平行な第1方向に移動する第1移動手段と、
前記保持手段を前記矩形基板の前記一辺と直交する他辺と平行な第2方向に移動し、前記保持手段を前記第2方向に連続した前記基板の移載位置及び切断作業領域に渡って移動する第2移動手段と、
を備えたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記移載位置において、前記保持手段への前記矩形基板の搬入及び前記保持手段からの前記矩形基板の搬出の少なくともいずれか一方を行う搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記移載位置において、前記保持手段と前記搬送手段とを相対的に昇降する昇降手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記移載位置が、前記保持手段への前記矩形基板の搬入を行う搬入位置を含み、
前記搬入位置において、前記矩形基板の前記第1方向の位置決めを行う位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記第1移動手段が、前記第2移動手段による前記保持手段の移動範囲の中で、前記保持手段に対して上下方向にずらして配置されたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第2移動手段が、
前記第1方向に互いに離間し、前記第2方向に延設された一対の案内部材と、
前記一対の案内部材間に架設され、前記保持手段を支持する移動体と、
前記移動体を前記一対の案内部材に沿って移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第1移動手段が、
前記第1方向に延設された案内部材と、
前記案内部材に沿って移動可能に前記案内部材に取り付けられ、前記ヘッドユニットを支持する移動体と、
前記移動体を前記案内部材に沿って移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項8】
前記第1移動手段が、
前記第1方向に延設された第1案内部材と、
前記第1案内部材に沿って移動可能に前記第1案内部材に取り付けられ、前記ヘッドユニットを支持する第1移動体と、
前記第1移動体を前記案内部材に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第2移動手段が、
前記第1方向に互いに離間し、前記第2方向に延設された一対の第2案内部材と、
前記一対の第2案内部材間に架設され、前記保持手段を支持する第2移動体と、
前記第2移動体を前記一対の第2案内部材に沿って移動させる第2移動機構と、を備え、
前記第1案内部材が、
前記一対の第2案内部材と上下方向に離間し、かつ、交差して配設されたことを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1案内部材に沿う前記切断ユニットの移動軌跡の下方において、前記第1方向に延設され、切断された前記被覆シートの端縁部を回収する第1回収手段と、
前記切断ユニットの下方において、前記一対の第2案内部材に沿って前記第2方向に延設され、切断された前記被覆シートの端縁部を回収する1対の第2回収手段と
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
前記ヘッドユニットと前記移動体と前記移動機構とを2組設け、
2つの前記移動体を共通の前記案内部材に取り付けたことを特徴とする請求項7に記載の切断装置。
【請求項11】
前記一対の第2案内部材と、前記第1案内部材と、前記第1及び第2回収手段と、を一体に支持するフレーム部材を備えたことを特徴とする請求項9に記載の切断装置。
【請求項12】
前記移載位置が、
前記切断作業領域の前記第2方向の一端の、前記保持手段への前記矩形基板の搬入を行う搬入位置と、
前記切断作業領域の前記第2方向の他端の、前記保持手段からの前記矩形基板の搬出を行う搬出位置と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−171057(P2012−171057A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36308(P2011−36308)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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