説明

切断装置

【課題】単位時間あたりの切断回数を増加させても耐久寿命の悪化を抑制可能な切断装置を提供する。
【解決手段】回転体駆動用モータ11から出力される回転駆動力によってオス刃14が取り付けられたカッタープレート13を回転させ、さらに、カッタープレート13の回転体側シャフト13bとクランクシャフト21aのクランク軸部21bをリンクレバー22にて連結する。これにより、回転軸と軸受部からなる回転系の機構で、回転しているカッタープレート13全体を切断対象物である扁平チューブCの長手方向に垂直な方向へ周期的に往復変位させることができるので、単位時間あたりの切断回数を増加させても耐久寿命の悪化を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の外周側に設けられた切断刃によって、切断対象物を切断する切断装置に関し、例えば、一定の速度で送られてくる熱交換器用の扁平チューブを所望の長さに切断する際に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、スピンドルと呼ばれる回転体の外周側に配置された切断刃によって、切断対象物である熱交換器用の扁平チューブを切断する切断装置が開示されている。この特許文献1の切断装置では、一定の速度で送られてくる熱交換器用の扁平チューブに対して、扁平チューブの長手方向に垂直な方向から切断刃を周期的に当てることによって、扁平チューブを所望の長さに切断している。
【0003】
より具体的には、特許文献1のスピンドルには、切断刃を径方向に往復動させるスライド機構が設けられており、このスライド機構がカム機構から伝達される駆動力によって切断刃を周期的に径方向に往復動させることによって、切断刃を扁平チューブに当てている。換言すると、スライド機構は、切断刃が回転した際に描く回転軌跡の径を、周期的に増減させることによって、扁平チューブを所望の長さに切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−46015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の扁平チューブの切断装置には、所望の長さの扁平チューブを製造する製造時間の短縮化を図るため、単位時間あたりの切断回数の増加が求められている。これに対して、特許文献1の切断装置では、単位時間あたりのスライド機構の往復動回数を増加させることによって、単位時間あたりの切断回数を増加させる手段が考えられる。
【0006】
しかし、単位時間あたりのスライド機構の往復動回数を増加させるためには、スライド機構およびこれを駆動するカム機構の高速作動が要求されるので、スライド機構やカム機構の摺動部の摩耗を招き、切断装置の耐久寿命を悪化させてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、単位時間あたりの切断回数を増加させても耐久寿命の悪化を抑制可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、予め定めた方向に移動する切断対象物を切断する切断装置であって、
外周側に切断対象物を切断する切断刃(14)が配置された回転体(13)と、回転体(13)を切断対象物の移動方向に垂直な方向に変位させる回転体変位手段(21a、22)とを備え、回転体変位手段は、回転軸に対して偏心したクランク軸部(21b)を有するクランクシャフト(21a)、および、クランク軸部(21b)と回転体(13)とを連結するリンクレバー(22)を有して構成され、
回転体(13)は、クランクシャフト(21a)の回転に連動して、切断刃(14)が切断対象物を切断する位置と切断刃(14)が切断対象物から離れた位置との間を往復変位することを特徴とする。
【0009】
これによれば、回転体変位手段(21a、22)が、切断刃(14)の配置された回転体(13)全体を往復変位させるので、切断刃(14)を切断対象物へ当てるスライド機構等を設ける必要がない。さらに、回転体変位手段(21a、22)を回転体と軸受からなる回転系機構で構成でき、スライド機構のように面接触する摺動部が存在しないことから、回転体(13)全体を高速で往復変位させたとしても摺動部の摩耗が少ない。
【0010】
その結果、回転体変位手段(21a、22)が回転体(13)全体を高速で往復変位させて、単位時間あたりの切断回数を増加させても、耐久寿命の悪化を抑制可能な切断装置を提供できる。さらに、回転体変位手段(21a、22)を回転系機構で構成することにより、スライド機構等を採用する場合に対して、切断装置の作動時の摺動騒音の低減を図ることもできる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の切断装置において、さらに、回転体(13)を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、回転体駆動手段(11)の駆動側シャフト(11a)および回転体(13)の回転体側シャフト(13b)を連結するリンクプレート(15、16)とを備え、リンクプレート(15、16)には、駆動側シャフト(11a)を回転可能に支持する駆動側軸受部(15a)および回転体側シャフト(13b)を回転可能に支持する回転体側軸受部(15b)が設けられていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、駆動側シャフト(11a)の軸中心を支点として、回転体側シャフト(13b)を振り子状に変位させる構成、すなわち駆動側シャフト(11a)の軸中心を中心とする円弧に沿って、回転体側シャフト(13b)を変位させる構成を極めて容易に実現できる。その結果、回転している回転体(13)全体を往復変位させる構成を容易に実現できる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の切断装置において、さらに、回転体(13)を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、クランクシャフト(21a)を回転駆動するクランクシャフト駆動手段(21)とを備え、回転体駆動手段(11)が出力する回転駆動力の回転数とクランクシャフト駆動手段(21)が出力する回転駆動力の回転数は、互いに独立に調整可能であることを特徴とする。
【0014】
これによれば、回転体(13)の回転数によらず、回転体変位手段(21a、22)が回転体(13)全体を往復変位させる周期を容易に調整することができるので、切断された切断対象物の移動方向の長さを容易に調整できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の切断装置において、さらに、回転体(13)およびクランクシャフト(21a)の双方を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、回転体駆動手段(11)から出力された回転駆動力を変速させて、少なくともクランクシャフト(21a)へ伝達する変速機構を備えることを特徴とする。
【0016】
これによれば、回転体(13)およびクランクシャフト(21a)の双方を一つの回転体駆動手段(11)にて駆動できるとともに、変速手段によってクランクシャフト(21a)の回転数を容易に調整することができる。従って、切断された切断対象物の移動方向の長さを容易に調整できる。
【0017】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の切断装置の外観斜視図である。
【図2】(a)は、一実施形態の切断装置の正面図であり、(b)は、(a)の上面図であり、(c)は、(a)の側面図である。
【図3】(a)は、一実施形態の切断装置が切断対象物を切断する状態を示す説明図であり、(b)は、切断装置が切断対象物から離れた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜3により、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本実施形態の切断装置1の外観斜視図である。図2(a)は、この切断装置1の正面図であり、図2(b)は、(a)の上面図であり、図2(c)は、(a)の側面図である。また、本実施形態では、この切断装置1を、自動車用熱交換器の扁平チューブCを予め定めた一定の長さに切断するために用いている。
【0020】
ここで、自動車用熱交換器とは、エンジン冷却水を外気と熱交換させて冷却するラジエータ、自動車用空調装置の蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を凝縮させるコンデンサ、同じく蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて冷媒と車室内送風空気とを熱交換させて冷媒を蒸発させるエバポレータ等の各種熱交換器が含まれる。
【0021】
また、扁平チューブとは、長手方向垂直断面が扁平形状に形成されて、その内部に形成された通路に上述のエンジン冷却水や冷媒を流通させる管である。この種の扁平チューブには、1枚の板材を折り曲げることによって形成された単穴あるいは二穴のものや、押出加工等により成形された多穴のもの等がある。
【0022】
本実施形態の切断装置1は、図1、図2に示すように、定盤Bに配置されたモータ支持部材10を有し、このモータ支持部材10には、2つの電動モータ11、21が取り付けられている。これらの2つの電動モータ11、21は、図示しない制御装置から供給される制御電圧によって、その作動(回転数)が制御されるもので、制御装置は、2つの電動モータ11、21の回転数をそれぞれ独立して調整することができる。
【0023】
さらに、2つの電動モータ11、21の回転軸(具体的には、後述する駆動側シャフト11aおよびクランクシャフト21a)は、互いに平行に配置され、水平方向に延びている。さらに、これらの回転中心軸は、切断対象物である扁平チューブCの長手方向(移動方向)に平行に延びている。
【0024】
まず、2つの電動モータ11、21のうち、扁平チューブCに近い側に配置される電動モータは、後述するカッタープレート13を回転させる回転駆動力を出力する回転体駆動用モータ11である。
【0025】
この回転体駆動用モータ11の回転軸である駆動側シャフト11aには、円盤状に形成されたギアプレート12の中心部が、駆動側シャフト11aに対して同軸上に締結固定されている。なお、駆動側シャフト11aとギアプレート12との締結固定には、ボルト締め、スプラインあるいはキー溝などの締結手段を用いることができる。
【0026】
ギアプレート12の外周側には平歯車からなるギア12aが形成されており、このギア12aは、カッタープレート13の外周側に形成された平歯車からなるギア13aに噛み合わされている。カッタープレート13は、ギアプレート12と同様の円盤状に形成され、その円形状の平面には、切断対象物である扁平チューブを切断するオス刃(切断刃)14がカッタープレート13の外周側に突出するように取り付けられている。なお、本実施形態では、カッタープレート13は、ギアプレート12と略同一平面上であって、かつ、ギアプレート12の下方側に配置されている。
【0027】
さらに、カッタープレート13の中心部には、駆動側シャフト11aと平行に延びる回転体側シャフト13bがカッタープレート13と同軸上に配置されている。
【0028】
駆動側シャフト11aおよび回転体側シャフト13bは、第1、第2リンクプレート15、16によって連結されている。まず、第1リンクプレート15は、ギアプレート12およびカッタープレート13の円形状平坦面の表側、すなわち、ギアプレート12およびカッタープレート13よりも、回転体駆動用モータ11から離れる側に配置された板状部材である。
【0029】
また、第1リンクプレート15には、駆動側シャフト11aを回転可能に支持する駆動側軸受部15aおよび回転体側シャフト13bを回転可能に支持する回転体側軸受部15bが設けられている。これらの軸受部15a、15bとしては、転がり軸受け(ボールベアリング)および滑り軸受けのいずれを採用してもよい。
【0030】
第2リンクプレート16は、第1リンクプレート15と同様の構成で、ギアプレート12およびカッタープレート13よりも、回転体駆動用モータ11に近い側に配置されている。換言すると、ギアプレート12およびカッタープレート13は、図2(c)に示すように、駆動側シャフト11aおよび回転体側シャフト13bの回転軸に垂直な方向からみたときに、第1、第2リンクプレート15、16によって挟まれるように配置されている。
【0031】
さらに、このようにギアプレート12およびカッタープレート13が、第1、第2リンクプレート15、16によって連結されていることにより、駆動側シャフト11aの回転中心と回転体側シャフト13bの回転中心との距離が一定の間隔に保たれ、ギアプレート12側のギア12aとカッタープレート13側のギア13aとの噛み合い状態が維持される。
【0032】
従って、駆動側シャフト11aが回転すると、ギアプレート12を介してカッタープレート13およびオス刃14が確実に回転する。さらに、駆動側シャフト11aおよび回転体側シャフト13bが、第1、第2リンクプレート15、16に回転可能に支持されていることから、回転体側シャフト13bおよびカッタープレート13は、駆動側シャフト11aの回転中心を支点として、振り子状に移動可能に支持されている。
【0033】
より詳細には、回転体側シャフト13bおよびカッタープレート13は、図2(a)の二点鎖線に示すように、駆動側シャフト11aの回転軸方向からみたときに、駆動側シャフト11aの回転中心を中心とし、駆動側シャフト11aの回転中心と回転体側シャフト13bの回転中心とを結ぶ距離を半径とする円弧に沿って移動可能な支持されている。
【0034】
次に、2つの電動モータ11、21のうち、扁平チューブCから離れた側に配置される電動モータは、クランクシャフト21aを回転駆動するクランクシャフト駆動用モータ21である。さらに、クランクシャフト駆動用モータ21は、定盤Bからクランクシャフト21aの回転中心へ至る距離(高さ)が、定盤Bから回転体側シャフト13bの回転中心へ至る距離(高さ)と略同等になるように配置されている。
【0035】
クランクシャフト21aは、その回転軸中心に対して偏心したクランク軸部21bを有している。クランク軸部21bとカッタープレート13の回転体側シャフト13bは、リンクレバー22によって連結されている。
【0036】
このリンクレバー22の長手方向両端側には、それぞれクランクシャフト21aのクランク軸部21bおよび回転体側シャフト13bを回転可能に支持する軸受部が設けられている。なお、これらの軸受部としては、第1、第2リンクプレート15、16の軸受部と同様の構成のものを採用することができる。
【0037】
このようにクランク軸部21bと回転体側シャフト13bとがリンクレバー22を介して連結されていることにより、クランクシャフト21aが回転すると、リンクレバー22が扁平チューブCの長手方向に垂直な方向に揺動する。そして、振り子状に移動可能な状態となっている回転体側シャフト13bおよびカッタープレート13が、リンクレバー22の揺動に伴って、扁平チューブCの長手方向に垂直な方向に往復変位する。
【0038】
さらに、本実施形態のクランクシャフト21aにおけるクランク軸部21bの偏心量は、カッタープレート13が最も扁平チューブC側へ移動した際に、カッタープレート13が回転することで、オス刃14が扁平チューブCを切断可能な位置へ移動するように調整されている。従って、カッタープレート13は、クランクシャフト21aの回転に連動して、オス刃14が扁平チューブCを切断する位置と、オス刃14が扁平チューブCから離れた位置との間を往復変位する。
【0039】
上記説明から明らかなように、本実施形態の回転体駆動用モータ11は特許請求の範囲に記載された回転体駆動手段を構成し、カッタープレート13は特許請求の範囲に記載された回転体を構成し、クランクシャフト駆動用モータ21は特許請求の範囲に記載されたクランクシャフト駆動手段を構成している。さらに、クランクシャフト21a、リンクレバー22は特許請求の範囲に記載された回転体変位手段を構成している。
【0040】
扁平チューブCは、図示しないチューブ製造装置にて製造され、その長手方向に沿って、一定の速度で送り出される。さらに、扁平チューブCは、定盤Bに固定されたガイドレール31に支持された状態で、図1、図2に示すように、駆動側シャフト11a、回転体側シャフト13bおよびクランクシャフト21aに対して平行な方向に移動する。
【0041】
このガイドレール31のカッタープレート13側の端部には、オス刃14とともに扁平チューブCを切断する、凹形状に形成されたメス刃32が配置されている。なお、図1、図2では、図示の明確化のためメス刃32の一部を破線で示している。
【0042】
次に、図3を用いて上記構成における本実施形態の切断装置1の作動を説明する。なお、図3(a)は、クランクシャフト21aの回転に連動してオス刃14が扁平チューブCを切断する位置へ移動した状態を示す説明図であり、(b)は、オス刃14が扁平チューブCから離れた位置へ移動した状態を示す説明図である。
【0043】
また、図3(a)、(b)は、いずれも図2(a)に対応する図面であり、図3に示す太線矢印は、各シャフトの回転方向を示している。さらに、図3の二点鎖線は、オス刃の最外周端がカッタープレート13とともに回転した際に描く回転軌跡を示している。
【0044】
チューブ製造装置が作動して扁平チューブCが切断装置1へ送られてくる状態で、制御装置が回転体駆動用モータ11を予め定めた回転数で回転させると、カッタープレート13とともにオス刃14が回転する。この状態では、オス刃14を扁平チューブCに当たる位置へ移動させることで、扁平チューブCを切断することができる。
【0045】
さらに、制御装置がクランクシャフト駆動用モータ21を予め定めた回転数で回転させると、リンクレバー22が周期的に揺動して、カッタープレート13全体が扁平チューブCの長手方向に対して垂直な方向に往復変位する。
【0046】
そして、図3(a)に示すように、オス刃14が扁平チューブCに当たる位置へ移動すると、扁平チューブCのうちオス刃14とメス刃32とによって挟まれた部位が切断される。一方、図3(b)に示すように、オス刃14が扁平チューブCから離れた位置へ移動すると、オス刃14は扁平チューブCに当たることなく空振り状態となって、扁平チューブCは切断されない。
【0047】
つまり、制御装置がクランクシャフト駆動用モータ21を回転させ、図3(a)に示す状態と、図3(b)に示す状態が周期的に繰り返されることによって、チューブ製造装置から一定の速度で送られてくる扁平チューブCが一定の長さに切断される。
【0048】
本実施形態の切断装置1では、上記の如く作動して、カッタープレート13の往復変位の周期に応じて、扁平チューブCを一定の長さに切断することができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
【0049】
まず、本実施形態では、クランクシャフト21aおよびリンクレバー22によってカッタープレート13を扁平チューブCの移動方向に垂直な方向に変位させる回転体変位手段を構成しているので、回転体変位手段を回転軸と軸受部からなる回転系の機構で構成できる。従って、スライド機構のような面接触する摺動部が存在せず、カッタープレート13全体を高速で往復変位させたとしても摺動部の摩耗が少ない。
【0050】
その結果、所望の長さの扁平チューブCの製造時間を短縮化させるために、回転体変位手段がカッタープレート13全体を高速で往復変位させて、単位時間あたりの切断回数を増加させても、切断装置1の耐久寿命の悪化を抑制することができる。さらに、回転体変位手段を回転系機構で構成することにより、スライド機構を採用する場合に対して、切断装置の作動時の摺動騒音の低減を図ることもできる。
【0051】
また、本実施形態の切断装置1では、駆動側シャフト11aおよび回転体側シャフト13bをリンクプレート15、16で連結する構成を採用しているので、駆動側シャフト11aの軸中心を支点として、回転体側シャフト13bを振り子状に変位させる構成、すなわち駆動側シャフト11aの軸中心を中心とする円弧に沿って、回転体側シャフト13bを変位させる構成を極めて容易に実現できる。その結果、回転体変位手段が回転しているカッタープレート13全体を往復変位させる構成を容易に実現できる。
【0052】
また、本実施形態の切断装置1では、制御装置が、回転体駆動用モータ11およびクランクシャフト駆動用モータ21の回転数をそれぞれ互いに独立に調整可能であるので、それぞれの回転数を適切に調整することができる。
【0053】
従って、例えば、回転体駆動用モータ11の回転数を高速化することによって、切断された扁平チューブCの切断面を、より扁平チューブCの長手方向に垂直に近づけることができる。また、クランクシャフト駆動用モータ21の回転数を適切に調整することによって、切断された扁平チューブCの長さを任意の所望の長さに調整することができる。
【0054】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0055】
(1)上述の実施形態では、回転体駆動用モータ11(回転体駆動手段)によってカッタープレート13を回転駆動し、クランクシャフト駆動用モータ21(クランクシャフト駆動手段)によってクランクシャフト21aを回転駆動する例を説明したが、カッタープレート13およびクランクシャフト21aの双方を一つの駆動手段で回転駆動するようにしてもよい。
【0056】
例えば、本実施形態と同様の回転体駆動用モータ11を設けてカッタープレート13を回転駆動するとともに、駆動側シャフト11aにギア機構によって構成される変速機構を連結しておき、この変速機構によって回転数が調整された回転駆動力によってクランクシャフト21aを駆動してもよい。
【0057】
この場合は、変速機構の変速比を調整することによって、切断された扁平チューブCの長さを任意の所望の長さに調整することができる。これに加えて、切断された扁平チューブCの長さを調整するために、扁平チューブCの送り速度を調整してもよい。
【0058】
(2)上述の実施形態では、ギアプレート12のギア12aとカッタープレート13のギア13aとを噛み合わせることによって、回転体駆動用モータ11から出力される回転駆動力をカッタープレート13側へ伝達しているが、回転体駆動用モータ11から出力される回転駆動力の伝達はこれに限定されない。例えば、ベルトを介して、回転駆動力を伝達するようにしてもよい。
【0059】
さらに、上述の実施形態では、回転体駆動手段およびクランクシャフト駆動手段として電動モータを採用した例を説明したが、各駆動手段はこれに限定されない。例えば、回転体駆動手段およびクランクシャフト駆動手段としてエンジン(内燃機関)を採用してもよい。
【0060】
(3)上述の実施形態では、切断装置1を熱交換器用の扁平チューブCを切断するために用いた例を説明したが、切断対象物はこれに限定されない。例えば、長手方向垂直断面が円形状の丸管チューブを切断するために用いてもよいし、その他のものを切断するために用いてもよい。
【0061】
(4)上述の実施形態では、カッタープレート13の回転体側シャフト13bを回転体駆動用モータ11の駆動側シャフト11aの下方側に配置し、回転体側シャフト13bの定盤Bからの高さとクランクシャフト21aの定盤Bからの高さとを略同等の高さとしているが、これらのシャフト11a、13b、21aの配置関係はこれに限定されない。
【0062】
(5)上述の実施形態において、さらに、駆動側シャフト11aおよびギアプレート12と同様に、回転体側シャフト13bとカッタープレート13とを締結固定してもよい。これにより、回転体駆動用モータ11の回転駆動力がカッタープレート13に伝達された際に、カッタープレート13とともに回転側シャフト13bを回転させることができる。
【0063】
従って、例えば、回転体駆動用モータ11の回転駆動力を回転側シャフト13bを介して第1リンクプレート15の外側(回転体駆動用モータ11から離れる側)に伝達することができるので、さらに、カッタープレート13およびオス刃14を第1リンクプレート15の外側に配置することができる。
【符号の説明】
【0064】
11 回転体駆動用モータ
11a 駆動側シャフト
13 カッタープレート
13b 回転体側シャフト
14 オス刃
15、16 第1、第2リンクプレート
15a 駆動側軸受部
15b 回転体側軸受部
21 クランクシャフト駆動用モータ
21a クランクシャフト(回転体変位手段)
21b クランク軸部
22 リンクレバー(回転体変位手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた方向に移動する切断対象物を切断する切断装置であって、
外周側に前記切断対象物を切断する切断刃(14)が配置された回転体(13)と、
前記回転体(13)を前記切断対象物の移動方向に垂直な方向に変位させる回転体変位手段(21a、22)とを備え、
前記回転体変位手段は、回転軸に対して偏心したクランク軸部(21b)を有するクランクシャフト(21a)、および、前記クランク軸部(21b)と前記回転体(13)とを連結するリンクレバー(22)を有して構成され、
前記回転体(13)は、前記クランクシャフト(21a)の回転に連動して、前記切断刃(14)が前記切断対象物を切断する位置と前記切断刃(14)が前記切断対象物から離れた位置との間を往復変位することを特徴とする切断装置。
【請求項2】
さらに、前記回転体(13)を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、
前記回転体駆動手段(11)の駆動側シャフト(11a)および前記回転体(13)の回転体側シャフト(13b)を連結するリンクプレート(15、16)とを備え、
前記リンクプレート(15、16)には、前記駆動側シャフト(11a)を回転可能に支持する駆動側軸受部(15a)および前記回転体側シャフト(13b)を回転可能に支持する回転体側軸受部(15b)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
さらに、前記回転体(13)を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、
前記クランクシャフト(21a)を回転駆動するクランクシャフト駆動手段(21)とを備え、
前記回転体駆動手段(11)が出力する回転駆動力の回転数と前記クランクシャフト駆動手段(21)が出力する回転駆動力の回転数は、互いに独立に調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の切断装置。
【請求項4】
さらに、前記回転体(13)および前記クランクシャフト(21a)の双方を回転駆動する回転体駆動手段(11)と、
前記回転体駆動手段(11)から出力された回転駆動力を変速させて、少なくとも前記クランクシャフト(21a)へ伝達する変速機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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