説明

切粉等の再利用原料の減容装置

【課題】
鍔形突条が繞設されたロールを対で設け、2連のローラの鍔形突条を交互に配する構造で、コンベヤを介して切り屑を噛み込んで、圧力を掛けて減容化する構造で、固定ロールに移動ロールを接離することで、圧力の付加と、その開放をシリンダーで行なうことを特徴とする。しかし、水平方向に搬送されてくる、切り屑を噛み込む構造であり、スムーズな噛み込みが図れないと考えられること、両端部の切り屑の噛み込みは問題がある。
【解決手段】
ケーシングに傾斜したスクリューコンベヤを回転自在に設けたトラフ底面に透孔を開設し、透孔の下にホッパーと、吸引手段のホースを付設し、トラフの排出筒の下側に、固定側・移動側のローラを、回転自在に軸承し、かつスプリングで、二連のローラの圧接を確保し、かつ切粉の減容化と、切粉に付着した流体を分離する構成とした減容装置で、構造を簡単にし、動力の有効利用を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機械で発生するオイル付の切粉(切屑)等の再利用原料の減容装置に関するが、本発明は、その他、生活用・プラスチック・木屑等の廃棄物の減容化にも最適な構造を備えている。
【背景技術】
【0002】
この種の切粉等では、一部において、減容化が進んでいる。その主流は、動力式プレス(各種のシリンダー、リンク機構、又は歯車機構等の動力を使用するプレス)による圧縮及び/又は減容化である方法(減容化とする)。しかし、この減容化は、動力を必要とすること、又はオイルの分離が思わしくなく、その処理に難渋すること、等の問題を抱えている。そして、これらの動力式プレスは、大型となり易いことで、設置スペースを要すること、メンテナンス(保守管理)に思わない時間と費用を要すること、等の問題が考えられる。このような状況から、例えば、その設置スペースを要さず、工場の片隅において、誰でもが、簡易にでき、かつオイルの分離効率が良く、またメンテナンスの簡易化等の条件を備えた切粉等の再利用原料の減容装置(処理装置)が要望される処である。
【0003】
尚、本発明の別の使用例として、例えば、生活用・プラスチック等の廃棄物の場合において、前記動力式プレスによる減容化では、水分の分離が思わしくなく、その処理に難渋すること、場合により、粉塵の発生と、処理済み廃棄物の厚み・硬さを備えた減容化に困ること、等の問題を抱えている。そして、また、前記切粉の場合と同様に、動力・スペースの問題が考えられる。従って、この廃棄物において、その再利用原料の減容装置が要望される処である。
【0004】
以上のような状況に鑑み、参考文献を下記に例示し、前記課題を解決するための手段の一例を検討する。
【0005】
文献(1)は、特開2001−259958の「切り屑成形装置」であり、この発明は、鍔形突条が繞設されたロールを対で設けるとともに、対のロールの鍔形突条を交互に配置する構造であり、このコンベヤを介して搬送されてくる切り屑を噛み込んで、圧力を掛けて、減容化する構造であり、固定ロールに移動ロールを接離することで、圧力の付加と、その開放をシリンダーで行なうことを特徴とする。しかし、この文献(1)は、水平方向に搬送されてくる、切り屑を噛み込む構造であり、スムーズな噛み込みが図れないと考えられること、殊に、両端部の切り屑の噛み込みは問題があると考えられる。そして、この文献(1)の特徴である鍔形突条とロール間には噛み込まれた切り屑のみが固くなることは、切り屑の固さが不均一となるため、減容後の処理に、問題を残すと
考えられる。
【0006】
文献(2)は、特開平10−528号の「切屑処理装置」であり、この発明は、スクリューを備えた水平トラフと、この水平トラフの前進端に設けた、プレス加工機と、このプレス加工機の下端に設けた押出し用のシリンダーとで構成し、一連の加工を連続的に行う特徴がある。しかし、この文献(2)は、水平トラフ内の切屑を、スクリューで搬送し、プレス加工機で圧縮した後に、押出して、収容する構成であり、各工程が、連動するとともに、それぞれ個別に作動することから、正確な制御と、その制御についての管理が要求されること、又は構造が複雑となり、かつそのメンテナンスにも、気配りが必要となること、等の改良が考えられる。
【0007】
また、文献(3)は、特開2001−321988の「金属切り屑圧縮機」であり、この発明は、前記文献(2)と略同じ構造であるが、圧縮時に、振動を付与することと、切削油の回収を、同時にすることを特徴とする。しかし、この文献(2)と略同じ構造であるため、同様な課題を抱えている。また、この文献(3)は、ラムに、電動機と偏芯カム等を介して、振動と圧縮力を付与する構造であり、減容後の処理において、協働する特徴はあるが、圧縮力が不均一になり、品質の均一化に問題を残していると考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開2001−25995
【特許文献2】特開平10−528号
【特許文献3】特開2001−321988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した文献(1)〜(3)は、前述したような問題点があって、その改良と、現場に則した、簡便で、かつ小型な切粉等の再利用原料の減容装置(減容装置とする)が望まれている。
【0010】
殊に、切粉においては、切粉とオイルの分離を如何にするか、又は分離した切粉を、如何に減容化するかは、究極的な問題であり、その解決が希求される処である。
【0011】
尚、文献(1)〜(3)は、構造面で、複数台のモータを使用するとともに、他の機器(例えば、シリンダー)との併用が不可欠な構造であるので、昨今、企業側で要求される、例えば、動力源の単純化(モータの台数の減少化)と、前記単純化に伴う低コスト化を図るには、改良すべき要望である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1・2の発明は、切粉に付着等するオイル等の流体を、最初の投入段階(圧縮しない搬送状態)で分離及び吸引することで、その流体からの分離及び/又は流体の回収の効率化を図ること、また、この切粉を略乾燥状態にして、二連のローラの面に送り、この略均一な面圧による圧力状態(固定側のローラと移動側のローラの圧力状態)で、切粉の圧縮・減容を行うこと、又は流体の飛散防止、切粉の妄動防止及び確実な圧縮を図ること、等を意図する。また、この請求項1・2の発明は、トラフの底面に設けた透孔と、ホッパーに設けたブロアーを介して、外気を吸込み、搬送中の切粉に付着する流体を吸引可能とすることで、切粉の乾燥効果と、流体の吸収効果(分離効果)を達成することを意図する。
【0013】
請求項1は、 ケーシングの上方に、その高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、このトラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、このトラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、この透孔の低所側にホッパーを付設し、このホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
このトラフの排出筒の下側に、前記ケーシングに回転自在に軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、この固定側のローラの回転軸に設けた駆動手段と歯車を介して、前記移動側のローラの回転軸に設けた歯車を回転し、この固定側のローラの回転を、この移動側のローラに伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0014】
請求項2は、ケーシングの上方に、その高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、このトラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、このトラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、この透孔の低所側にホッパーを付設し、このホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
このトラフの排出筒の下側に、前記ケーシングに軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、この固定側のローラの回転軸に、駆動手段を設け、また、この固定側のローラの回転軸と、この移動側のローラの回転軸を第一伝達手段(歯車等)で連繋し、かつこの固定側のローラの回転軸と、前記スクリューコンベヤの回転軸を第二伝達手段(チェーン、歯車等)で連繋し、前記駆動手段の回転を、この第一伝達手段で前記移動側のローラの回転軸と、前記スクリューコンベヤの回転軸に伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1、又請求項2の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの構造と、この二連のローラを確実に支持する移動框の構造を提供することを意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1、又請求項2に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記二連のローラは、前記ケーシングの一方の内面より突出した、対のブラケットに軸承する回転軸に設けた固定側のローラと、このケーシングに差渡し設けた対の支持杆と、この支持杆に設けたスリーブを介して、この支持杆間に架承した移動框と、この移動框に突設したブラケットに軸承する回転軸に設けた移動側のローラとで構成し、この移動框と、前記ケーシングの他方の内面との間に設けたスプリングを介して、前記移動側のローラを、前記固定側のローラに圧接(接触)する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの圧接(圧着)が確保できる構造を提供することを意図する。
【0018】
請求項4は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記移動框の押圧をスプリングで担持し、前記固定側のローラと、前記移動側のローラの圧接を確保する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0019】
請求項5の発明は、請求項3の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの遮蔽構造(軸受けの保護)を提供することを意図する。
【0020】
請求項5は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記二連のローラの回転軸は、前記ブラケットの軸受けに軸承するとともに、この回転軸の端部は、このブラケットの外方に延設し、この延設基部に軸受けカバーを取付け、この軸受けカバーで、この延設基部をカバーする構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0021】
請求項6の発明は、請求項3の目的を達成し、かつこの目的を達成するに最適な、トラフに設けたスクリューコンベヤの回転機構及び伝達機構の構造を提供すること、又は動力源の単純化(モータの台数の減少化)等を意図する。
【0022】
請求項6は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記トラフに設けたスクリューコンベヤの回転軸の回転機構及び伝達機構は、前記ケーシングに設けたモータと、このモータの減速機の出力軸にカップリングを介して連結した前記固定側のローラの回転軸と、この回転軸に設けた駆動側の歯車と、この駆動側の歯車に懸架したチェーンと、このチェーンが懸架される差動歯車機構の入力側の歯車と、この差動歯車機構の出力側の歯車に懸架したチェーンと、このチェーンが懸架される前記トラフの高所側に設けた従動側の歯車とでなる構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、ケーシングの上方に、高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、トラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、トラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、透孔の低所側にホッパーを付設し、ホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
トラフの排出筒の下側に、ケーシングに回転自在に軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、固定側のローラの回転軸に設けた駆動手段と歯車を介して、移動側のローラの回転軸に設けた歯車を回転し、固定側のローラの回転を、移動側のローラに伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0024】
請求項2の発明は、ケーシングの上方に、高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、トラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、トラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、透孔の低所側にホッパーを付設し、ホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
トラフの排出筒の下側に、ケーシングに軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、固定側のローラの回転軸に、駆動手段を設け、また、固定側のローラの回転軸と、移動側のローラの回転軸を第一伝達手段で連繋し、かつ固定側のローラの回転軸と、スクリューコンベヤの回転軸を第二伝達手段で連繋し、駆動手段の回転を、第一伝達手段で前記移動側のローラの回転軸と、スクリューコンベヤの回転軸に伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0025】
従って、請求項1・2は、切粉に付着等するオイル等の流体を、最初の投入段階(圧縮しない搬送状態)で分離及び吸引することで、その流体からの分離及び/又は流体の回収の効率化が図れること、また、この切粉を略乾燥状態にして、二連のローラの面に送り、この略均一な面圧による圧力状態(固定側のローラと移動側のローラの圧力状態)で、切粉の圧縮・減容が行われること、又は流体の飛散防止、切粉の妄動防止及び確実な圧縮が図れること、等の特徴がある。また、この請求項1・2は、トラフの底面に設けた透孔と、ホッパーに設けたブロアーを介して、外気を吸込み、搬送中の切粉に付着する流体を吸引可能とすることで、切粉の乾燥効果と、流体の吸収効果(分離効果)を達成できること、等の特徴を有する。
【0026】
請求項3の発明は、二連のローラは、ケーシングの一方の内面より突出した、対のブラケットに軸承する回転軸に設けた固定側のローラと、ケーシングに差渡し設けた対の支持杆と、支持杆に設けたスリーブを介して、支持杆間に架承した移動框と、移動框に突設したブラケットに軸承する回転軸に設けた移動側のローラとで構成し、移動框と、ケーシングの他方の内面との間に設けたスプリングを介して、移動側のローラを、固定側のローラに圧接する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0027】
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの構造と、この二連のローラを確実に支持する移動框の構造を提供できること、等の特徴を有する。
【0028】
請求項4の発明は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
移動框の押圧をスプリングで担持し、固定側のローラと、移動側のローラの圧接を確保する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0029】
従って、請求項4は、請求項3の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの圧接が確保できる構造を提供できる特徴を有する。
【0030】
請求項5の発明は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
二連のローラの回転軸は、ブラケットの軸受けに軸承するとともに、回転軸の端部は、ブラケットの外方に延設し、延設基部に軸受けカバーを取付け、軸受けカバーで、延設基部をカバーする構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0031】
従って、請求項5は、請求項3の目的を達成し、かつ、この目的を達成するに最適な、二連のローラの遮蔽構造(軸受けの保護)を提供できること、等の特徴を有する。
【0032】
請求項6の発明は、請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
トラフに設けたスクリューコンベヤの回転軸の回転機構及び伝達機構は、ケーシングに設けたモータと、モータの減速機の出力軸にカップリングを介して連結した固定側のローラの回転軸と、回転軸に設けた駆動側の歯車と、駆動側の歯車に懸架したチェーンと、チェーンが懸架される差動歯車機構の入力側の歯車と、差動歯車機構の出力側の歯車に懸架したチェーンと、チェーンが懸架されるトラフの高所側に設けた従動側の歯車とでなる構成とした切粉等の再利用原料の減容装置である。
【0033】
従って、請求項6は、請求項3の目的を達成し、かつこの目的を達成するに最適な、トラフに設けたスクリューコンベヤの回転機構及び伝達機構の構造を提供すること、又は動力源の単純化(モータの台数の減少化)等を提供できること、等の特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一例を示した全体の要部を断面視した側面図
【図2】本発明の一例を示した全体の一部を断面視した平面図
【図3】図1の要部の右側端面図
【図4】図1の要部の右側端面図
【図5】二連のローラと、フレーム、並びに移動框と、ブラケット等の関係を示した拡大した要部の平面図
【図6】本発明の他の一例を示した全体の要部を断面視した側面図
【図7−1】鉄の切粉を処理した状態の拡大俯瞰図
【図7−2】アルミの切粉を処理した状態の拡大俯瞰図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい一実施例を説明する。
図中1はフレームM上に設けた箱形のケーシングで、このケーシング1の下面1aには、開口100を設ける。この開口100は、後述する2連のローラの接触面の直下に開設する。そして、このケーシング1には、傾斜して設けた(斜設した)トラフ2の高所側2a(傾斜した場合における上側)を設けるとともに、この斜設したトラフ2の高所側2aの先端の底面2cに突設した排出筒3を設け、かつ、この排出筒3の開口300は、2連のローラの接触面の直上に設けられる。尚、このトラフ2の底面2cには、その低所側2b(傾斜例の下側)から、高所側2aにおける基端部(低所側2bに向かう方向)に亘り、かつ曲面方向で、このスクリューコンベヤ7(後述する)の略半円弧分の大きさでなる多数個の透孔5が穿設される。この透孔5は、例えば、その低所側2bにおける略1/2を、このトラフ2の底面2cの下側に設けたホッパー6の開口600に設けるとともに、その他の略1/2を大気中に設ける。尚、この透孔5は、トラフ2の底面2cを低所側2bから高所側2aにおける基端部に亘る長方形状の開口200を形成し、この開口200を、パンチング板(図示の例)で閉塞することも可能である。そして、このパンチング板の例では、取替えが可能となる、メンテナンスがよいこと、流体の分離と捕集効率がよいこと、或いは開口200端部とパンチング板の段差を利用することで、透孔5への流れが確保できる、等の利点がある。また、透孔5とホッパー6の開口600の関係は一例である。
【0036】
そして、このトラフ2には、その長手方向にスクリューコンベヤ7が軸承(枢支)され、このスクリューコンベヤ7には、搬送用の羽根7aを有している。従って、高所側2aに投入された切粉(廃棄物の一例)を(トラフ2の曲面方向で、略1/3程度とし、オイル等の流体の落下と、切粉の詰り防止を図る)、順次、所定のスピードで搬送し、この搬送の課程で、切粉と流体を分離する。この分離を促進するために、切粉の投入量を調整する。尚、トラフ2は、高所側2aから低所側2bに亘って、順次、高くなったガード部201を設け、切粉及び/又は、仮に、搬送中に飛散物が発生した場合の飛散、拡散、溢出防止を図る(また、この飛散、拡散、溢出防止は、後述する透孔の構造と、ブロアーとの協働も可能である)。
【0037】
前記ケーシング1は、二連のローラが設けられているが、この一方のローラが固定側のローラ10で、他方側のローラが移動側のローラ20である。好ましい一例を説明すると、この固定側のローラ10は、ケーシング1の右側(図1において、スクリューコンベヤ7の低所側2bである。以下同じ)に設けられている。この一例では、固定側のローラ10は、ケーシング1の一方の内面に連結部材を介して突設した一組のブラケット11(一組の場合は、一方で説明する)に、それぞれ埋設した軸受け12に架承した回転軸13に固止されている。従って、この固定側のローラ10は、回転軸13に固止した駆動側の大歯車16(大歯車は、他の歯車と区別するために使用する)が、後述する移動側のローラ20の回転軸24に設けた従動側の大歯車50に動力が伝達されることで、この移動側のローラ20が回転する構造である。尚、ブラケット11の端面には、円板形状の軸受けカバー15を設け、回転軸13の延設基部(ブラケット11より延設した基部)をカバーし、この軸受け12への切粉の侵入防止を図る。そして、この軸受けカバー15は、対峙面を垂直に切欠いた垂直切欠き15aは、後述する移動側のローラ20の軸受けカバー30の対峙面に設けた垂直切欠き30aに接離可能とする。この移動側のローラ20は、移動框21に設けたブラケット22に軸承されており、この例では、ブラケット22に設けた軸受け23と、この軸受け23に貫設した回転軸24に架承されている。そして、この移動側のローラ20は、この移動框21の前後動(図1において、左右方向「Xで示す」であり、換言すると、スクリューコンベヤ7の軸芯方向)に伴って、前進後退(移動)する構造である。この移動構造を説明すると、ケーシング1の左右方向X、及び/又は移動框21に差渡し設けた上下方向Y(図1参照)において二本で、かつ対の支持杆25(図2において、左右方向「X1で示す」、以下、一方側、かつ一本で説明する)と、この支持杆25に被嵌し、かつ移動框21に固止したスリーブ26と、このスリーブ26とケーシング1の他方の内面に設け、かつ支持杆25に捲装したスプリング27で構成される。本発明は、このスプリング27の押圧で、支持杆25にスリーブ26を介して支持された移動框21を押圧する(支持杆25に遊嵌されているスリーブ26も同様に押圧する)。この一連の押圧を介して、移動側のローラ20を、固定側のローラ10に圧接する構造である。
【0038】
尚、この移動手段は、前述の例に限定されず、移動框21を、リンク機構、シリンダー等のアクチュエータ機構で前進後退(前後動)する構成、又はスプリング27を、シリンダー等のアクチュエータ機構で、前後動する構成、等も可能である。また、スプリング27を設ける構造においても、移動框21とケーシング1の他方の内面の間で、支持杆25とは関係なく設ける構造、等も可能である。即ち、移動框25が常時、所定の位置に存在し、固定側のローラ10と移動側のローラ20の圧接を、常時、確保する構造であれば、限定されない。尚、移動側のローラ20に、異常な荷重が掛かった場合には、スプリング27を圧縮して後退するが、その開放で前進し、前記圧接を確保する。この移動側のローラ20の構造は、好ましい一例である。尚、支持杆25は、ケーシング1を貫設した後に、ケーシング1の外部に設けたナット28で固定される。図中30は移動側のローラ20の軸受け23をカードする軸受けカバー30で、この軸受けカバー30は、ブラケット22の外側に固止されており、垂直切欠き30aを有する。そして、この軸受けカバー30の構造は、前述の軸受けカバー15の構造に準ずる。また、前記垂直切欠き30aは、固定側のローラ10の軸受けカバー15に設けた前記垂直切欠き15aに、常時、接触する構造であって、この接触で、この固定側のローラ10と移動側のローラ20の圧接を、常時、確保する。また、この固定側のローラ10と移動側のローラ20の表面には、凹凸、ローレット、梨子地等の細工31をすることで、例えば、減容精度の向上と、この固定側のローラ10と移動側のローラ20の間における、切粉の巻き込み・付着防止と、切粉が常時介在する異常な状態(無用な接触状態)回避と、又は荷重の異常発生回避と、耐久性の向上等を図る。そして、前述の如く、移動側のローラ20をスプリング27で押圧することで、その押圧に対して、動力、又は複雑な構造の採用をなくことを意図する。従って、本願発明は、例えば、構造の簡略化と、低コスト化、合理化等が図れる特徴がある。
【0039】
図中35はカップリングで、このカップリング35は、フレームMの側面に取付けたモータ36に設けた減速機37の軸37aと、前記固定側のローラ10の回転軸13の一方とを接続する(駆動手段)。
【0040】
次に、スクリューコンベヤ7の回転軸700の回転機構及び伝達機構を説明すると、このスクリューコンベヤ7の回転軸700の回転機構は、モータ36の減速機37の軸37aにカップリング35を介して連結した固定側のローラ10の回転軸13の他方に設けた駆動側の歯車40と、駆動側の歯車40に懸架したチェーン41と、このチェーン41が懸架される差動歯車機構42の入力側の歯車42aと、この差動歯車機構42の出力側の歯車42bに懸架したチェーン43と、このチェーン43が懸架されるトラフ2の高所側2aに設けた従動側の歯車44とで構成されている(第二伝達手段の一例)。この回転機構及び伝達機構の流れについて説明すると、固定側のローラ10の回転軸13は、その一方に設けたカップリング35を介して、減速機37とモータ36に連繋されている。このモータ36の回転を動力源とし、固定側のローラ10を駆動する。この固定側のローラ10の回転軸13の回転は、その他方に設けた駆動側の歯車40を回転する。そして、この駆動側の歯車40に懸架したチェーン41と、このチェーン41が懸架される差動歯車機構42の入力側の歯車42aと、この差動歯車機構42の出力側の歯車42bに懸架したチェーン43とを介して、減速されてトラフ2の高所側2aに設けた従動側の歯車44を回転する構造である。また、前記固定側のローラ10の回転軸13の回転は、この回転軸13に固定する従動側の大歯車14に伝達されると、この駆動側の大歯車16に噛合する移動側のローラ20の回転軸24に設けた従動側の大歯車50に伝達される(第一伝達手段の一例)。そして、この伝達機構を介して、固定側のローラ10と、移動側のローラ20が対峙方向に回転する。この回転で、切粉を、巻き込み、押圧等して減容する。
【0041】
以上で詳細に説明したワンモータ方式(モータ36)でなる構造(一例)は、装置の簡略化、動力の軽減化等に有効であり、実用に即し得る。しかし、このワンモータ方式でなる構造は、一例であり、限定されない。従って、例えば、スクリューコンベヤ7の回転軸700と、固定側のローラ10の回転軸13を個別に回転する方法、例えば、図6に示した、スクリューコンベヤ7の回転軸700は、他のモータ36a及び減速機37b、並びに図示しない歯車、チェーン等の他の駆動手段を介して回転するとともに、固定側のローラ10の回転軸13は、前述と同様にモータ36等を介して回転する構造がある。さらには、このスクリューコンベヤ7の回転軸700の回転を、固定側のローラ10の回転軸13に伝達する方法、等が考えられる。これらの他の一例は、装置の他の箇所での簡略化、故障時の対応、騒音の減少化、又は作業時の一層の安全性の向上等に寄与できることが考えられる。
【0042】
また、図中51はブロアーで、このブロアー51はホース52を介して、前記ホッパー6の側面に連結されている。従って、このブロアー51の吸引で、トラフ2に設けた透孔5を介して、空気とオイル、又は粉塵等を吸引し、ホッパー6に導いた後、このホッパー6内において、オイルを比重分離する。そして、このオイルを、ホッパー6の底面に溜め、ドレン開口601より排出する構造であり、また、空気は、ブロアー51より排気する。尚、前記ドレン開口601には、図示しないが、流体を排出するコック付きのドレン管を設ける。
【0043】
続いて、切粉の処理方法を説明すると、トラフ2の低所側2bに供給された切粉は、スクリューコンベヤ7により、順次、高所側2aに向って、上方に搬送されているとともに、この搬送過程で、切粉及び/又は底面2cに付着した流体を、ブロアー51と、この吸引手段で設けられたホース52とで、このブロアー51の吸引により、透孔5を介して吸引し、ホッパー6に導く。この透孔5が、一部開放されていることで、ブロアー51の吸込み量を調整しつつ、かつホッパー6内での比重分離(吸込み空気との)を図る。そして、スクリューコンベヤ7の高所側2aに至った流体と分離した切粉は、押込みスクリュー701を介して、トラフ2の排出筒3から、固定側・移動側のローラ10、20の圧接箇所に向って落下した後、この固定側・移動側のローラ10、20の面圧を介して、巻き込みながら、押し潰し処理されて減容化される。この減容化された、扁平小片の切粉、又は板状の切粉は、固定側・移動側のローラ10、20の下端より落下した後、ケーシング1の開口100より排出される。この処理済の切粉(切粉)の状態を示した一例では、例えば、図7−1は、鉄の処理済の切粉を、また、図7−2は、アルミの処理済の切粉である。この処理済み切粉は、資源として再利用できる。
【0044】
そして、本発明の特徴は、固定側・移動側のローラ10、20の圧接面に、固定側・移動側のローラ10、20の細工31でできる僅かな巻き込み代を介して、切粉が巻き込まれながら、順次、押し潰されて減容化される。そして、この減容化した、形状及び/又は大きさは、トラフ2への投入量と、スクリューコンベヤ7の搬送量と、スピード調整等で決定される。そして、常時、この固定側・移動側のローラ10、20の圧接状態が、スプリング27の反発力で確保される。
【0045】
また、本発明の他の特徴は、本減容装置を、加工ライン中にセットすることで、加工に続いて、かつ連続的な切粉処理と、効率的な処理が図れ、重宝する。また、この切粉をためるスペース(ヤード)の節約化と、この切粉の搬送に要する手数の省略と、搬送コストの低廉化が図れ、又は搬送に伴う、CO2の削減化等に役立ち有効である。また、時代に則した減容化に有効な発明である。尚、必要により、切粉を予め予備処理(例えば、荒切り処理等)をした後に、本減容装置を設けることも可能であり、使用と、前記セットに関しては、限定されない。
【0046】
前述の如く、本発明の好ましい、一実施例を、切粉を一例として説明したが、この切粉に限定されるものではなく、他の一実施例としては、例えば、生活用・プラスチック・木屑等の廃棄物の減容化においても、本発明は、最適な構造を備えている。そして、この廃棄物の減容化は、切粉の実施例の効果に準ずる。
【符号の説明】
【0047】
1 ケーシング
1a 下面
100 開口
2 トラフ
2a 高所側
2b 低所側
2c 底面
200 開口
201 カード部
3 排出筒
300 開口
5 透孔
6 ホッパー
600 開口
601 ドレン開口
7 スクリューコンベヤ
7a 羽根
700 回転軸
701 押込みスクリュー
10 固定側のローラ
11 ブラケット
12 軸受け
13 回転軸
15 軸受けカバー
15a 垂直切欠き
16 駆動側の大歯車
20 移動側のローラ
21 移動框
22 ブラケット
23 軸受け
24 回転軸
25 支持杆
26 スリーブ
27 スプリング
28 ナット
30 軸受けカバー
30a 垂直切欠き
31 細工
35 カップリング
36 モータ
36a モータ
37 減速機
37a 軸
37b 減速機
40 駆動側の歯車
41 チェーン
42 差動歯車機構
42a 入力側の歯車
42b 出力側の歯車
43 チェーン
44 従動側の歯車
50 従動側の大歯車
51 ブロアー
52 ホース
M フレーム
X 左右方向
X1 左右方向
Y 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの上方に、その高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、このトラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、このトラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、この透孔の低所側にホッパーを付設し、このホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
このトラフの排出筒の下側に、前記ケーシングに回転自在に軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、この固定側のローラの回転軸に設けた駆動手段と歯車を介して、前記移動側のローラの回転軸に設けた歯車を回転し、この固定側のローラの回転を、この移動側のローラに伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。
【請求項2】
ケーシングの上方に、その高所側に排出筒を備えたトラフを傾斜し、このトラフにスクリューコンベヤを回転自在に架承し、また、このトラフの底面であって、搬送方向の高所側から低所側に向かって透孔を開設し、この透孔の低所側にホッパーを付設し、このホッパーには、吸引手段のホースと、ドレン管を付設し、
このトラフの排出筒の下側に、前記ケーシングに軸承した、固定側のローラと移動側のローラでなる二連のローラを圧接して設け、この固定側のローラの回転軸に、駆動手段を設け、また、この固定側のローラの回転軸と、この移動側のローラの回転軸を第一伝達手段で連繋し、かつこの固定側のローラの回転軸と、前記スクリューコンベヤの回転軸を第二伝達手段で連繋し、前記駆動手段の回転を、この第一伝達手段で前記移動側のローラの回転軸と、前記スクリューコンベヤの回転軸に伝達する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記二連のローラは、前記ケーシングの一方の内面より突出した、対のブラケットに軸承する回転軸に設けた固定側のローラと、このケーシングに差渡し設けた対の支持杆と、この支持杆に設けたスリーブを介して、この支持杆間に架承した移動框と、この移動框に突設したブラケットに軸承する回転軸に設けた移動側のローラとで構成し、この移動框と、前記ケーシングの他方の内面との間に設けたスプリングを介して、前記移動側のローラを、前記固定側のローラに圧接する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。
【請求項4】
請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記移動框の押圧をスプリングで担持し、前記固定側のローラと、前記移動側のローラの圧接を確保する構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。
【請求項5】
請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記二連のローラの回転軸は、前記ブラケットの軸受けに軸承するとともに、この回転軸の端部は、このブラケットの外方に延設し、この延設基部に軸受けカバーを取付け、この軸受けカバーで、この延設基部をカバーする構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。
【請求項6】
請求項3に記載の切粉等の再利用原料の減容装置であって、
前記トラフに設けたスクリューコンベヤの回転軸の回転機構及び伝達機構は、前記ケーシングに設けたモータと、このモータの減速機の出力軸にカップリングを介して連結した前記固定側のローラの回転軸と、この回転軸に設けた駆動側の歯車と、この駆動側の歯車に懸架したチェーンと、このチェーンが懸架される差動歯車機構の入力側の歯車と、この差動歯車機構の出力側の歯車に懸架したチェーンと、このチェーンが懸架される前記トラフの高所側に設けた従動側の歯車とでなる構成とした切粉等の再利用原料の減容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2010−284663(P2010−284663A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138581(P2009−138581)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(593191235)大誠工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】