切開内にバルーンを含む創傷保護具
【課題】密閉アンカー部材を用いられる外科手術器具を提供すること。
【解決手段】外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。
【解決手段】外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2011年3月18日に出願した米国仮出願第61/454,113号の利益および優先権を主張する。上記出願の全内容が、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、密閉アンカー部材を用いられる外科手術器具に関する。特に、本開示は、低侵襲外科手術手順の間に、切開または他の自然の開口に対して追加の保護を提供し、大きさを変化する切開を通って標準大きさの外科手術アクセスポータルを使用することを可能にする密閉アンカー部材を有する、使用可能な切開または開口保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
多くの外科手術手順は、ますます、皮膚の小さい切開を通って行われている。従来の手順において典型的に必要とされたより大きな切開と比較されると、より小さな切開は、結果として患者に対して少ない外傷を与える。患者に対して外傷を減少させることによって、回復に必要とされる時間も減少される。概して、皮膚の小さな切開を通って行われる外科手術手順が、内視鏡術と呼ばれる。手順が患者の腹部に行われる場合に、手順が腹腔鏡術と呼ばれる。本開示を通して、用語、低侵襲は、内視鏡手順および腹腔鏡手順の両方を含むように理解されるべきである。
【0004】
典型的な低侵襲手順の間に、外科手術用物体、例えば、外科手術アクセスデバイス(例えば、トロカールおよびカニューレアセンブリ)または内視鏡は、組織の切開を通って患者の体内に挿入される。概して、患者の体内に外科手術用物体を導入する前に、通気気体は、より大きく、よりアクセス可能な作業エリアを生成するために、標的外科手術の部位を囲むエリアを拡大するように使用される。従って、実質的に流体の漏れない密閉のメンテナンスは、通気気体の漏れと、拡大された外科手術の部位の収縮または虚脱とを抑制することが望ましい。これに応じて、密閉する特徴を有するさまざまなアクセスデバイスは、低侵襲手順の進行の間に、患者の体内に進入するための外科手術用物体にアクセスを提供するために使用される。これらのデバイスの各々は、単一の切開または自然的に生じる開口(例えば、口、肛門、または膣)を通って使用すると同時に、複数の器具がデバイスを越えて作業スペースにアクセスするようにデバイスを通して挿入されることを可能にするために構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外科手術手順の間に単一の切開または自然的に生じた開口への損傷を最小にし、また大きさを変化する切開または開口を通って標準大きさの外科手術アクセスデバイスを使用することを可能にする保護システムに対して継続するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本明細書において、外科手術アクセスデバイスが開示された。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。少なくとも1つの膨張可能な部分はまた、部分的に膨張の状態を含み得る。少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングを完全に囲み得、ハウジングの外部表面、ハウジングの内部表面、または外部表面と内部表面との両方の上に配置され得る。
【0007】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり得る。ハウジングは、ハウジングの外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み得、少なくとも1つの膨張可能な部分は、スライド部材上に滑動可能に取り付けられている。スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み得、ガイドリングは、少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されており、チューブは、スライド部材に沿って近位および遠位へ少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合され得る。
【0008】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブを含み得、チューブは、チューブに接続された流体供給源から流体を少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている。チューブが、ハウジング内に配置され得、またはハウジング上に配置され得る。
【0009】
ハウジングはまた、近位端部に配置された三日月の形のリングを含み得、少なくともハウジングの一部分が、リングに包まれ、それにより、リングは、ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である。
【0010】
大きな切開のための外科手術アクセスシステムも開示され、外科手術アクセスシステムは、外科手術アクセスポータルと、前に開示されたような外科手術アクセスデバイスとを含み、外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、少なくとも1つの管腔は、少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。
【0011】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する。
【0012】
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供する方法も開示される。方法は、外科手術アクセスポータルと、前述のような外科手術アクセスデバイスとを提供することを含む。外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、少なくとも1つの管腔は、少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する。
【0013】
方法はまた、ハウジングを組織の切開内に挿入することと、ハウジングを組織の切開内に固定するために、少なくとも1つの膨張可能な部分を少なくとも部分的に膨張させることと、ハウジングの管腔を通して外科手術アクセスポータルを挿入することと、外科手術アクセスポータルを管腔内に固定するために、少なくとも1つの膨張可能な部分をさらに膨張させることとを含む。
【0014】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり得、方法は、ハウジングの外部表面に沿って近位または遠位へ少なくとも1つの膨張可能な部分を滑らせるステップを含み得る。
【0015】
外科手術アクセスデバイスは、ハウジングから近位へ延在し、少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブを含み得、方法は、流体供給源をチューブに取り付け、かつ少なくとも1つの膨張可能な部分に流体を分配することを含み得る。
【0016】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術アクセスデバイスであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている、外科手術アクセスデバイス。
(項目2)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、部分的に膨張の状態をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目3)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングを完全に囲む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目4)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目5)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの内部表面上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目6)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの上記外部表面と内部表面との両方の上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目7)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、3つの膨張可能な部分である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目8)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの上記外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目9)
上記ハウジングは、該ハウジングの上記外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み、上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該スライド部材上に滑動可能に取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目10)
上記ハウジングは、ユーザーが該ハウジングの一部分を巻くことによって選択的に短くされ得る創傷保護具である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目11)
上記スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み、該ガイドリングは、上記少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目12)
上記チューブは、上記スライド部材に沿って近位および遠位へ上記少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目13)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブをさらに含み、該チューブは、該チューブに接続された流体供給源から流体を該少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目14)
上記チューブが、上記ハウジング内に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目15)
上記チューブが、上記ハウジング上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目16)
上記ハウジングは、上記近位端部に配置された三日月の形のリングをさらに含み、少なくとも該ハウジングの一部分が、該リングに包まれ、該リングは、該ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目17)
大きな切開のための外科手術アクセスシステムであって、該外科手術アクセスシステムは、
外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を含み、
該外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されており、
該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、外科手術アクセスシステム。
(項目18)
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供するシステムであって、該システムは、
外科手術アクセスポータルであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を備え、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成し、
該ハウジングは組織の該切開内に挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、該ハウジングを組織の該切開内に固定するために少なくとも部分的に膨張させることが可能であり、
該外科手術アクセスポータルは、該ハウジングの該管腔を通して挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分が、該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するためにさらに膨張させることが可能である、システム。
(項目19)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目20)
上記外科手術アクセスデバイスは、上記ハウジングから近位へ延在し、上記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、上記システムは、流体供給源を該チューブに取り付ける手段をさらに含み、流体が、該少なくとも1つの膨張可能な部分に分配されることが可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目18A)
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供する方法であって、該方法は、
外科手術アクセスポータルを提供するステップであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、ステップと、
外科手術アクセスデバイスを提供するステップであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、ステップと、
該ハウジングを組織の該切開内に挿入するステップと、
該ハウジングを組織の該切開内に固定するために、該少なくとも1つの膨張可能な部分を少なくとも部分的に膨張させるステップと、
該ハウジングの該管腔を通して該外科手術アクセスポータルを挿入するステップと、
該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するために、該少なくとも1つの膨張可能な部分をさらに膨張させるステップと
を含む、方法。
(項目19A)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり、該ハウジングの該外部表面に沿って近位または遠位へ該少なくとも1つの膨張可能な部分を滑らせるステップをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20A)
上記外科手術アクセスデバイスは、上記ハウジングから近位へ延在し、上記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、上記方法は、流体供給源を該チューブに取り付け、かつ該少なくとも1つの膨張可能な部分に流体を分配することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0017】
(摘要)
本明細書において、外科手術アクセスデバイスが開示された。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。
【0018】
本明細書の一部分において組み込まれ、本明細書の一部分を構成する添付の図面は、上に与えられた、本開示された外科手術アクセスデバイスの一般的説明と共に、本開示された外科手術アクセスデバイスの実施形態を例示する。以下に与えられる実施形態の詳細な説明は、本開示された外科手術アクセスデバイスの原理を説明するように役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本開示に従う外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図2】図2は、図1の外科手術アクセスデバイスを通して外科手術アクセスポータルを挿入した後の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図3】図3は、膨張可能な部分が膨張した後の図2の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図4】図4は、複数の膨張可能な部分を有する、図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図5】図5は、図4の外科手術アクセスデバイスの膨張可能な部分のうちの1つの詳細図である。
【図6】図6は、膨張可能な部分が膨張した後の図4の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図7】図7は、滑動可能に膨張可能な部分を有する図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図7A】図7Aは、図7の外科手術アクセスデバイスの近位アームの詳細図である。
【図8】図8は、スライド部材に沿って中間に位置決めされた膨張可能な部分を有する図7の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図9】図9は、スライド部材の遠位端部に位置決めされた膨張可能な部分を有する図7の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図10】図10は、管腔の内部表面上に膨張可能な部分を有する図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図11】図11は、膨張の状態の膨張可能な部分を有する図10の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本明細書に開示されるのは、低侵襲外科手術の間に、組織の切開または自然の開口を保護するための外科手術アクセスデバイスである。より具体的には、体の単一の切開または自然の開口内に挿入可能である外科手術アクセスデバイスが開示され、外科手術アクセスデバイスは、切開または自然の開口と、外科手術アクセスデバイスを通して挿入された外科手術用物体または外科手術アクセスポータルとの間に保護層を提供することが可能である。外科手術アクセスデバイスはまた、標準大きさの外科手術アクセスポータルが、大きさを変化する切開または自然の開口を通して使用されることを可能にし、特に、外科手術アクセスポータルが、外科手術アクセスポータルより大きな切開または自然の開口を通して使用されることを可能にする。
【0021】
本開示された外科手術アクセスデバイスの特定の実施形態が、図面を参照して詳細に説明される。同様の参照数字は、類似または同一の構成要素を識別する。本明細書において使用されるように、用語「遠位」は、ユーザーからより離れているその部分を指し、その一方で、用語「近位」は、ユーザーまたは外科医により近いその部分を指す。用語「切開」が、本開示された外科手術アクセスデバイスが挿入される組織の開口部を説明するように使用されるが、開口部は、代替的に、例えば、肛門、膣のような任意の自然の開口であり得ることが考えられる。
【0022】
ここで、図1〜3を参照すると、ハウジング110と、ハウジング110上に配置される膨張可能な部分130とを含む外科手術アクセスデバイス100が開示される。ハウジング110は、組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部112、遠位端部114、および実質的に流体の漏れない方式でハウジング110を通して外科手術アクセスポータル「S1」を受け取るためのハウジング110を通る管腔116を規定する。さまざまな形状および大きさの外科手術アクセスポータルが、管腔116を通して挿入され得、図1〜3に理解されるように、単一の近位フランジを有する外科手術アクセスポータル「S1」、図4および6〜9に理解されるように、近位フランジおよび遠位フランジの両方を有する外科手術アクセスポータル「S2」、または技術分野において既知であるような任意の他の外科手術アクセスポータルを含む。各外科手術アクセスポータル「S1」、「S2」は、外科手術用物体または外科手術器具を流体の漏れないように受け取りのための、外科手術アクセスポータルを通して延在する1つ以上の管腔をさらに含む。本開示を通して、外科手術アクセスポータル「S1」と「S2」は、完全に互換可能であることが考えられる。適切なアクセスポータルが、米国特許出願第12/244,024号に開示されている。上記出願が、ここで参照することによって本明細書において援用される。技術分野において既知であるように、管腔116も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。ハウジング110は、「U」字型の断面を規定し、膨張可能な部品130のための形状を提供し、かつ組織「T」の切開においてハウジング110を正しく位置決めすることを支援するための、近位端部112でのフランジ型の部分118および遠位端部114でのフランジ型の部分120を含む。膨張可能な部分130は、ハウジング110上に配置され、ハウジング110を完全に囲み得る。膨張可能な部分130は、近位端部133に配置された開口部132を含み、開口部132に流体の漏れない密閉を維持するために、開口部132内、または付近に配置された1つ以上のバルブ(示されていない)を含み得る。開口部132は、注射器または他の流体供給部「F」を受け取るように適合され、または技術分野において既知であるような他の流体提供システムに接続され得る。
【0023】
膨張可能な部分130は、組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように膨張可能なであり、実質的に流体の漏れない方式でハウジング110内に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するために膨張可能なである。膨張可能な部分130は、2つ以上の独立的に膨張可能な断面134および136を含み得、断面134は、ハウジング110の外側表面122上に配置されており、断面136は、ハウジング110の内側表面124上に配置されていることが考えられる。
【0024】
外科手術アクセスデバイス100は、膨張可能な部分130が収縮されており、ハウジング110が組織「T」の切開内に挿入可能である収縮の状態と、膨張可能な部分130が組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように十分に膨張されている膨張の状態とを有する。膨張の状態に必要とされた膨張の量は、切開の大きさと、ハウジングを通して挿入されるべきである外科手術アクセスポータルの大きさとに基づく。膨張可能な部分130はまた、組織「T」の切開内にハウジング110を固定することを支援するために、部分的に膨張の状態を有し得、ハウジング110の管腔116を通して外科手術アクセスポータル「S1」を挿入する際に、膨張可能な部分130は、適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するための減少した直径を有する管腔116を提供するために、膨張の状態までにさらに膨張され得ることが考えられる。独立的に膨張可能な断面134および136が提供される場合に、断面134は、組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように膨張され得、断面136は、適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するように個別に膨張され得ることが考えられる。
【0025】
使用の間に、ハウジング110が組織「T」の開口または切開内に挿入されると同時に、膨張可能な部分130が収縮の状態にある。挿入した後に、医師または外科医は、膨張可能な部分130に流体を提供するために、流体供給源「F」を開口部132に挿入し、または流体供給源「F」を開口部132に取り付ける。外科医は、部分的膨張の状態を達成させ、それによって、適所にハウジング110を固定するために、少なくとも部分的に膨張可能な部分130を充填する。一旦ハウジング110が固定されると、外科手術アクセスポータル「S1」が管腔116を通して挿入される。次に、外科医は、膨張の状態を達成させ、実質的に流体の漏れない方式で適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するための減少した直径を有する管腔116を提供するために、膨張可能な部分130に追加の流体を提供する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルが、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。膨張可能な部材130の任意の膨張の前に、外科手術アクセスポータル「S1」は、ハウジング110内に挿入され得ることが考えられる。外科手術アクセスポータル「S1」が挿入され、そして/または取り外されることを可能にする動作の間に、膨張可能な部材130が、部分的に収縮され得ることが考えられる。これは、外科医が、ハウジング110を通して、外科手術アクセスポータル「S1」に対して大きすぎであり得る他の外科手術用物体または器具を使用することを可能にする。また、膨張可能な部分130の収縮または部分的収縮は、全体のハウジング110を取り外す必要なしに、被検体が切開を通して除去され、そして/または通過されること(例えば、病気の内部解剖物の永久的除去、および/または体内に戻される前に、体の外側に操作されるべきである結腸の一部分の一時的な肱置)を可能にし、それによって、癌細胞の散布等を介した伝染に対抗して、ハウジング110を通して切開に保護層を提供する。なおさらに、ユーザーが膨張可能な部分130を収縮させ、または部分的に収縮させることが可能であるので、ユーザーは、外科手術手順の進行の間に、切開の大きさを選択的に増大させ得る(例えば、外科医は、最初の比較的に小さな切開を作り得、それにより、外科手術アクセスポータルは、膨張可能な部分130が膨張されることなしに切開内に維持され、そしてその後、外科医は、行うのが正当であることを決心した場合に、より大きな切開を作り、それにより、外科手術アクセスポータルは、完全に、または部分的に膨張されている膨張可能な部分130を用いて切開内に維持される)。外科医が、彼または彼女が最初により小さな切開を用いて、彼または彼女の観察に基づいて切開を拡大することを決定するまでに、より大きな切開を作るのを待ち得るので、上記柔軟性は、外科医が、外科手術手順の間に作られた切開の大きさを最小にすることを可能にし得る。この柔軟性はまた、切開の大きさにかかわらず、外科医が最初に小さな切開を作るかまたは最初により大きな切開を作るかを選ぶことにかかわらず、外科医が同じの外科手術アクセスポータルを利用することを可能にし、それによって、異なる大きさの外科手術アクセスポータルに対するニーズを削除する。これらの前述の利点は、本明細書に説明される実施形態の全部に適用可能であることが留意されるべきである。動作の後に、外科医は、ハウジング110の管腔116から外科手術アクセスポータル「S1」を取り外し、そして組織「T」の切開からハウジング110を取り外すために、膨張可能な部材130を収縮させる。
【0026】
ここで、図4〜6を参照すると、前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス200は、ハウジング210と、ハウジング210上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分230とを含む。ハウジング210は、3つの膨張可能な部分230、240および250を含み得ることが考えられる。ハウジング210は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部212でのフランジ型の部分218と、遠位端部214でのフランジ型の部分220とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部212は、弓状または三日月の形のリング226を含み得、少なくともハウジング210の一部分がリング226に包まれ、それにより、リング226の回転は、ハウジング210の長さが近位端部212において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング210はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング210を通して延在する管腔216を含む。技術分野において既知であるように、管腔216も他の種類の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0027】
この実施形態において、膨張可能な部分230、240および250は、ハウジング210の外部表面222上に配置され得、しかしならが、膨張可能な部分230、240および250は、内部表面224上に、または外部表面222および内部表面224の両方の上に配置され得ることが考えられる。膨張可能な部分230、240および250は、互いから離れて間隔を空けられ得、または互いに対して近位または隣接であり得る。膨張可能な部分230、240および250は、収縮の状態にあるときに、最初に離れて間隔を空けられ得、膨張の状態にあるときに、互いに対して隣接または近位であり得ることも考えられる。各膨張可能な部分230、240および250は、独立的に膨張可能であり得、または膨張可能な部分230、240および250は、同時に膨張可能であり得る。
【0028】
ハウジング210は、膨張可能な部分230、240および250と流体連結であり、流体供給源「F」を受け取るための開口部262規定する1つ以上の膨張管腔260も含み得る。膨張管腔260が、ハウジング210内に配置され得、または代替的に、ハウジング210の外部表面222または内部表面224上に配置され得る。各膨張可能な部分230、240および250は、別個の膨張管腔260を有し得、各膨張管腔260は、別個の開口部262を有し得ることも考えられる。
【0029】
使用の間に、膨張可能な部分230、240および250は、最初に収縮の状態にある。外科医は、ハウジング210を組織「T」の切開内に挿入し、そして組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング226を回転することによってハウジング210の長さを調整する。一旦ハウジング210が組織「T」の切開内に位置決めされると、流体供給源「F」は、開口部262内に挿入され、または開口部262に取り付けられ、膨張可能な部分230、240および250を膨張の状態に変形させるために、流体が、膨張可能な部分230、240および250に提供される。膨張可能な部分230、240および250が拡張するので、膨張可能な部分230、240および250は、組織「T」の切開内に進入し、組織「T」の切開と接触し、それによって実質的に流体の漏れない方式で適所にハウジング210を固定する。膨張可能な部分230、240および250が、部分的にのみ膨張され得ることが考えられる。次に、外科医は、外科手術アクセスポータル「S2」をハウジング210の管腔216内に挿入し、さらに流体を膨張可能な部分230、240および250に充填し、そして管腔216の直径を減少させ、それによって、ハウジング210に外科手術アクセスポータル「S2」に押し付けさせる。これは、適所に外科手術アクセスポータル「S2」を固定し、ハウジング210と外科手術アクセスポータル「S2」との間に実質的に流体の漏れない密閉を生成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通って利用され得る。膨張可能な部分230、240および250のうちの1つのみ、またはそれらの任意の組み合わせが、膨張され得、または部分的に膨張され得、それにより、管腔216を通して挿入された外科手術アクセスポータル「S2」が、外科手術の間に動きのいくつかの自由度を可能にされ得ると同時に、なお管腔216との流体の漏れない密閉を維持することも考えられる。外科手術アクセスポータル「S2」を取り外すために、外科医は、膨張可能な部分230、240および250から流体を引き出し得、部分的に膨張の状態または収縮状態を達成させる。
【0030】
ここで、図7〜9を参照すると、前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス300は、ハウジング310、ハウジング310に取り付けられたスライド部材340、およびスライド部材340に滑動可能に取り付けられた膨張可能な部材330を含む。ハウジング310は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部312でのフランジ型の部分318と、遠位端部314でのフランジ型の部分320とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部312は、弓状または三日月の形のリング326を含み得、少なくともハウジング310の一部分がリング326に包まれ、それにより、リング326の回転は、ハウジング310の長さが近位端部312において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング310はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング310を通して延在する管腔316を含む。技術分野において既知であるように、管腔316も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0031】
スライド部材340は、ハウジング310から離れて間隔を空けられ、近位アーム342および遠位アーム344によってハウジング310の外部表面322に取り付けられる。膨張可能な部分330は、スライド部材340を受け取るための、膨張可能な部材を通して延在する管腔332を含み、近位アーム342と遠位アーム344との間にスライド部340に沿って滑動可能である。図7Aにおいてより詳細に理解され得るように、チューブ334は、膨張可能な部材330に接続され、膨張可能な部330へチューブ334をガイドするのを助けるための、スライド部材340の近位アーム342からまたは通して延在する取り付け部材(例えば、リング、ブラケット)346を通して挿入され得る。チューブ334は、近位アーム342と遠位アーム344との間に近位および遠位へ膨張可能な部材330を動かすように使用され得、加えて、膨張および収縮のために、膨張可能な部分330に流体連結を提供する。前の実施形態と同じように、膨張可能な部材330は、収縮の状態および膨張の状態を有し、また部分的にのみ膨張され得る。
【0032】
使用の間に、外科医は、収縮の状態にあり、かつ外部表面322と組織「T」の切開との間に配置された膨張可能な部分330を用いて、ハウジング310を組織「T」の切開内に挿入する。外科医は、組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング326を回転することによってハウジング310の長さを調整し得、スライド部材340に沿って近位または遠位へ膨張可能な部材330を動かすために、取り付けリング346を介して近位または遠位へチューブ334を滑らせることによって膨張可能な部分330の位置を調整し得る。一旦膨張可能な部材330が所望の位置にあると、外科医は、組織「T」の切開内にハウジング310を固定するために、収縮の状態から膨張の状態まで膨張可能な部分330を変形させるように、チューブ334を通して膨張可能な部分330に流体を提供し得る。外科医は、膨張可能な部分330を部分的にのみ膨張させ得ることが考えられる。次に、外科医は、ハウジング310の管腔316を通して外科手術アクセスポータル「S2」を挿入し、さらに膨張可能な部分330を膨張させ、管腔316の直径を減少させ、それにより、管腔316は、外科手術アクセスポータル「S2」に押し付け、外科手術アクセスポータル「S2」との実質的に流体の漏れない密閉を形成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。一旦手術が完成されると、外科医は、ハウジング310から外科手術アクセスポータル「S2」を取り外し、開口または組織「T」の切開からハウジング310を取り外すために、膨張可能な部分330を完全に、または部分的に空にし得る。
【0033】
ここで、図10〜11を参照すると、なお前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス400は、ハウジング410、およびハウジング410上に配置された膨張可能な部材430を含む。ハウジング410は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部412でのフランジ型の部分418と、遠位端部414でのフランジ型の部分420とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部412は、弓状または三日月の形のリング426を含み得、少なくともハウジング410の一部分がリング426に包まれ、それにより、リング426の回転は、ハウジング410の長さが近位端部412において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング410はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング410を通して延在する管腔416を含む。技術分野において既知であるように、管腔416も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0034】
膨張可能な部分430は、ハウジング410の近位端部412と遠位端部414と間に、管腔416の内部表面424に沿って延在する。膨張可能な部分430は、内部表面424の全長まで延在し得、または内部表面424の一部分にわたってのみ延在し得る。膨張可能な部分430は、内部表面424から間隔を空けられ、実質的に半円形の断面を規定する中央部分432を含む。中央部分432は、大きさを変化する外科手術用物体また外科手術アクセスポータル「S2」を収容するために、膨張の際に管腔416の直径を減少させる。収縮の状態にある場合に、中央部分432は、内部表面424に対して近位または隣接にあり得ることが考えられる。ハウジング410は、膨張可能な部分430と流体連結であり、かつ流体供給源「F」を受け取るための開口部462を規定する膨張管腔460を含み得る。膨張管腔460は、ハウジング410内に配置され得、または代替的にハウジング410の内部表面424または外部表面422上に配置され得る。
【0035】
使用の間に、外科医は、収縮の状態にある膨張可能な部分430を用いて、ハウジング410を組織「T」の切開内に挿入する。外科医は、組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング426を回転することによってハウジング410の長さを調整し得る。一旦ハウジング410が正しく位置決めされると、外科医は、流体供給源「F」を開口部462に取り付け、また管腔416を通してアクセスポータル「S2」を挿入する。次に、外科医は、収縮の状態から膨張の状態まで膨張可能な部分430を変形させるために、膨張管腔460を介して流体供給源「F」から流体を膨張可能な部分430に提供する。これは、中央部分432に、内部表面424から離させ、外科手術アクセスポータル「S2」に押し付けさせ、そして外科手術アクセスポータル「S2」との実質的に流体のもれない密閉を生成する。膨張可能な部分430の膨張はまた、組織「T」の切開に対してハウジング410の外側表面422に押すように作用し、切開との実質的に流体の漏れない密閉を形成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。一旦手術が完成されると、外科医は、ハウジング410から外科手術アクセスポータル「S2」を取り外し、開口または組織「T」の切開からハウジング410を取り外すために、膨張可能な部分430を完全に、または部分的に空にし得る。
【0036】
本開示は、好ましい実施形態に対して説明しているが、変化および変更が対象デバイスの精神または範囲から逸脱することなしに、本開示に加えられ得ることが当業者にとって容易に明白である。
【符号の説明】
【0037】
100 外科手術アクセスデバイス
110 ハウジング
112 近位端部
114 遠位端部
116 管腔
118、120 フランジ型の部分
122 外側表面
124 内側表面
130 膨張可能な部分
132 開口部
133 近位端部
134、136 膨張可能な断面
S1 外科手術アクセスポータル
T 組織
F 流体供給源
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2011年3月18日に出願した米国仮出願第61/454,113号の利益および優先権を主張する。上記出願の全内容が、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、密閉アンカー部材を用いられる外科手術器具に関する。特に、本開示は、低侵襲外科手術手順の間に、切開または他の自然の開口に対して追加の保護を提供し、大きさを変化する切開を通って標準大きさの外科手術アクセスポータルを使用することを可能にする密閉アンカー部材を有する、使用可能な切開または開口保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
多くの外科手術手順は、ますます、皮膚の小さい切開を通って行われている。従来の手順において典型的に必要とされたより大きな切開と比較されると、より小さな切開は、結果として患者に対して少ない外傷を与える。患者に対して外傷を減少させることによって、回復に必要とされる時間も減少される。概して、皮膚の小さな切開を通って行われる外科手術手順が、内視鏡術と呼ばれる。手順が患者の腹部に行われる場合に、手順が腹腔鏡術と呼ばれる。本開示を通して、用語、低侵襲は、内視鏡手順および腹腔鏡手順の両方を含むように理解されるべきである。
【0004】
典型的な低侵襲手順の間に、外科手術用物体、例えば、外科手術アクセスデバイス(例えば、トロカールおよびカニューレアセンブリ)または内視鏡は、組織の切開を通って患者の体内に挿入される。概して、患者の体内に外科手術用物体を導入する前に、通気気体は、より大きく、よりアクセス可能な作業エリアを生成するために、標的外科手術の部位を囲むエリアを拡大するように使用される。従って、実質的に流体の漏れない密閉のメンテナンスは、通気気体の漏れと、拡大された外科手術の部位の収縮または虚脱とを抑制することが望ましい。これに応じて、密閉する特徴を有するさまざまなアクセスデバイスは、低侵襲手順の進行の間に、患者の体内に進入するための外科手術用物体にアクセスを提供するために使用される。これらのデバイスの各々は、単一の切開または自然的に生じる開口(例えば、口、肛門、または膣)を通って使用すると同時に、複数の器具がデバイスを越えて作業スペースにアクセスするようにデバイスを通して挿入されることを可能にするために構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外科手術手順の間に単一の切開または自然的に生じた開口への損傷を最小にし、また大きさを変化する切開または開口を通って標準大きさの外科手術アクセスデバイスを使用することを可能にする保護システムに対して継続するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本明細書において、外科手術アクセスデバイスが開示された。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。少なくとも1つの膨張可能な部分はまた、部分的に膨張の状態を含み得る。少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングを完全に囲み得、ハウジングの外部表面、ハウジングの内部表面、または外部表面と内部表面との両方の上に配置され得る。
【0007】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり得る。ハウジングは、ハウジングの外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み得、少なくとも1つの膨張可能な部分は、スライド部材上に滑動可能に取り付けられている。スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み得、ガイドリングは、少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されており、チューブは、スライド部材に沿って近位および遠位へ少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合され得る。
【0008】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブを含み得、チューブは、チューブに接続された流体供給源から流体を少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている。チューブが、ハウジング内に配置され得、またはハウジング上に配置され得る。
【0009】
ハウジングはまた、近位端部に配置された三日月の形のリングを含み得、少なくともハウジングの一部分が、リングに包まれ、それにより、リングは、ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である。
【0010】
大きな切開のための外科手術アクセスシステムも開示され、外科手術アクセスシステムは、外科手術アクセスポータルと、前に開示されたような外科手術アクセスデバイスとを含み、外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、少なくとも1つの管腔は、少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。
【0011】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する。
【0012】
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供する方法も開示される。方法は、外科手術アクセスポータルと、前述のような外科手術アクセスデバイスとを提供することを含む。外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、少なくとも1つの管腔は、少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する。
【0013】
方法はまた、ハウジングを組織の切開内に挿入することと、ハウジングを組織の切開内に固定するために、少なくとも1つの膨張可能な部分を少なくとも部分的に膨張させることと、ハウジングの管腔を通して外科手術アクセスポータルを挿入することと、外科手術アクセスポータルを管腔内に固定するために、少なくとも1つの膨張可能な部分をさらに膨張させることとを含む。
【0014】
少なくとも1つの膨張可能な部分は、ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり得、方法は、ハウジングの外部表面に沿って近位または遠位へ少なくとも1つの膨張可能な部分を滑らせるステップを含み得る。
【0015】
外科手術アクセスデバイスは、ハウジングから近位へ延在し、少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブを含み得、方法は、流体供給源をチューブに取り付け、かつ少なくとも1つの膨張可能な部分に流体を分配することを含み得る。
【0016】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術アクセスデバイスであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている、外科手術アクセスデバイス。
(項目2)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、部分的に膨張の状態をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目3)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングを完全に囲む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目4)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目5)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの内部表面上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目6)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの上記外部表面と内部表面との両方の上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目7)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、3つの膨張可能な部分である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目8)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの上記外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目9)
上記ハウジングは、該ハウジングの上記外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み、上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該スライド部材上に滑動可能に取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目10)
上記ハウジングは、ユーザーが該ハウジングの一部分を巻くことによって選択的に短くされ得る創傷保護具である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目11)
上記スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み、該ガイドリングは、上記少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目12)
上記チューブは、上記スライド部材に沿って近位および遠位へ上記少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目13)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブをさらに含み、該チューブは、該チューブに接続された流体供給源から流体を該少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目14)
上記チューブが、上記ハウジング内に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目15)
上記チューブが、上記ハウジング上に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目16)
上記ハウジングは、上記近位端部に配置された三日月の形のリングをさらに含み、少なくとも該ハウジングの一部分が、該リングに包まれ、該リングは、該ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスデバイス。
(項目17)
大きな切開のための外科手術アクセスシステムであって、該外科手術アクセスシステムは、
外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を含み、
該外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されており、
該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、外科手術アクセスシステム。
(項目18)
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供するシステムであって、該システムは、
外科手術アクセスポータルであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を備え、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成し、
該ハウジングは組織の該切開内に挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、該ハウジングを組織の該切開内に固定するために少なくとも部分的に膨張させることが可能であり、
該外科手術アクセスポータルは、該ハウジングの該管腔を通して挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分が、該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するためにさらに膨張させることが可能である、システム。
(項目19)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目20)
上記外科手術アクセスデバイスは、上記ハウジングから近位へ延在し、上記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、上記システムは、流体供給源を該チューブに取り付ける手段をさらに含み、流体が、該少なくとも1つの膨張可能な部分に分配されることが可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目18A)
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供する方法であって、該方法は、
外科手術アクセスポータルを提供するステップであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、ステップと、
外科手術アクセスデバイスを提供するステップであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、ステップと、
該ハウジングを組織の該切開内に挿入するステップと、
該ハウジングを組織の該切開内に固定するために、該少なくとも1つの膨張可能な部分を少なくとも部分的に膨張させるステップと、
該ハウジングの該管腔を通して該外科手術アクセスポータルを挿入するステップと、
該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するために、該少なくとも1つの膨張可能な部分をさらに膨張させるステップと
を含む、方法。
(項目19A)
上記少なくとも1つの膨張可能な部分は、上記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能であり、該ハウジングの該外部表面に沿って近位または遠位へ該少なくとも1つの膨張可能な部分を滑らせるステップをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20A)
上記外科手術アクセスデバイスは、上記ハウジングから近位へ延在し、上記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、上記方法は、流体供給源を該チューブに取り付け、かつ該少なくとも1つの膨張可能な部分に流体を分配することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0017】
(摘要)
本明細書において、外科手術アクセスデバイスが開示された。外科手術アクセスデバイスは、組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分とを含む。ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、ハウジングを通して延在する管腔を有する。少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、少なくとも1つの膨張可能な部分が収縮の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開内に挿入可能である。少なくとも1つの膨張可能な部分が膨張の状態にあるときに、ハウジングは、組織の切開との実質的に流体の漏れない密閉と、ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている。
【0018】
本明細書の一部分において組み込まれ、本明細書の一部分を構成する添付の図面は、上に与えられた、本開示された外科手術アクセスデバイスの一般的説明と共に、本開示された外科手術アクセスデバイスの実施形態を例示する。以下に与えられる実施形態の詳細な説明は、本開示された外科手術アクセスデバイスの原理を説明するように役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本開示に従う外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図2】図2は、図1の外科手術アクセスデバイスを通して外科手術アクセスポータルを挿入した後の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図3】図3は、膨張可能な部分が膨張した後の図2の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図4】図4は、複数の膨張可能な部分を有する、図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図5】図5は、図4の外科手術アクセスデバイスの膨張可能な部分のうちの1つの詳細図である。
【図6】図6は、膨張可能な部分が膨張した後の図4の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図7】図7は、滑動可能に膨張可能な部分を有する図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図7A】図7Aは、図7の外科手術アクセスデバイスの近位アームの詳細図である。
【図8】図8は、スライド部材に沿って中間に位置決めされた膨張可能な部分を有する図7の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図9】図9は、スライド部材の遠位端部に位置決めされた膨張可能な部分を有する図7の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【図10】図10は、管腔の内部表面上に膨張可能な部分を有する図1の外科手術アクセスデバイスの代替的な実施形態の側面の断面図である。
【図11】図11は、膨張の状態の膨張可能な部分を有する図10の外科手術アクセスデバイスの側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本明細書に開示されるのは、低侵襲外科手術の間に、組織の切開または自然の開口を保護するための外科手術アクセスデバイスである。より具体的には、体の単一の切開または自然の開口内に挿入可能である外科手術アクセスデバイスが開示され、外科手術アクセスデバイスは、切開または自然の開口と、外科手術アクセスデバイスを通して挿入された外科手術用物体または外科手術アクセスポータルとの間に保護層を提供することが可能である。外科手術アクセスデバイスはまた、標準大きさの外科手術アクセスポータルが、大きさを変化する切開または自然の開口を通して使用されることを可能にし、特に、外科手術アクセスポータルが、外科手術アクセスポータルより大きな切開または自然の開口を通して使用されることを可能にする。
【0021】
本開示された外科手術アクセスデバイスの特定の実施形態が、図面を参照して詳細に説明される。同様の参照数字は、類似または同一の構成要素を識別する。本明細書において使用されるように、用語「遠位」は、ユーザーからより離れているその部分を指し、その一方で、用語「近位」は、ユーザーまたは外科医により近いその部分を指す。用語「切開」が、本開示された外科手術アクセスデバイスが挿入される組織の開口部を説明するように使用されるが、開口部は、代替的に、例えば、肛門、膣のような任意の自然の開口であり得ることが考えられる。
【0022】
ここで、図1〜3を参照すると、ハウジング110と、ハウジング110上に配置される膨張可能な部分130とを含む外科手術アクセスデバイス100が開示される。ハウジング110は、組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部112、遠位端部114、および実質的に流体の漏れない方式でハウジング110を通して外科手術アクセスポータル「S1」を受け取るためのハウジング110を通る管腔116を規定する。さまざまな形状および大きさの外科手術アクセスポータルが、管腔116を通して挿入され得、図1〜3に理解されるように、単一の近位フランジを有する外科手術アクセスポータル「S1」、図4および6〜9に理解されるように、近位フランジおよび遠位フランジの両方を有する外科手術アクセスポータル「S2」、または技術分野において既知であるような任意の他の外科手術アクセスポータルを含む。各外科手術アクセスポータル「S1」、「S2」は、外科手術用物体または外科手術器具を流体の漏れないように受け取りのための、外科手術アクセスポータルを通して延在する1つ以上の管腔をさらに含む。本開示を通して、外科手術アクセスポータル「S1」と「S2」は、完全に互換可能であることが考えられる。適切なアクセスポータルが、米国特許出願第12/244,024号に開示されている。上記出願が、ここで参照することによって本明細書において援用される。技術分野において既知であるように、管腔116も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。ハウジング110は、「U」字型の断面を規定し、膨張可能な部品130のための形状を提供し、かつ組織「T」の切開においてハウジング110を正しく位置決めすることを支援するための、近位端部112でのフランジ型の部分118および遠位端部114でのフランジ型の部分120を含む。膨張可能な部分130は、ハウジング110上に配置され、ハウジング110を完全に囲み得る。膨張可能な部分130は、近位端部133に配置された開口部132を含み、開口部132に流体の漏れない密閉を維持するために、開口部132内、または付近に配置された1つ以上のバルブ(示されていない)を含み得る。開口部132は、注射器または他の流体供給部「F」を受け取るように適合され、または技術分野において既知であるような他の流体提供システムに接続され得る。
【0023】
膨張可能な部分130は、組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように膨張可能なであり、実質的に流体の漏れない方式でハウジング110内に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するために膨張可能なである。膨張可能な部分130は、2つ以上の独立的に膨張可能な断面134および136を含み得、断面134は、ハウジング110の外側表面122上に配置されており、断面136は、ハウジング110の内側表面124上に配置されていることが考えられる。
【0024】
外科手術アクセスデバイス100は、膨張可能な部分130が収縮されており、ハウジング110が組織「T」の切開内に挿入可能である収縮の状態と、膨張可能な部分130が組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように十分に膨張されている膨張の状態とを有する。膨張の状態に必要とされた膨張の量は、切開の大きさと、ハウジングを通して挿入されるべきである外科手術アクセスポータルの大きさとに基づく。膨張可能な部分130はまた、組織「T」の切開内にハウジング110を固定することを支援するために、部分的に膨張の状態を有し得、ハウジング110の管腔116を通して外科手術アクセスポータル「S1」を挿入する際に、膨張可能な部分130は、適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するための減少した直径を有する管腔116を提供するために、膨張の状態までにさらに膨張され得ることが考えられる。独立的に膨張可能な断面134および136が提供される場合に、断面134は、組織「T」の切開内にハウジング110を固定するように膨張され得、断面136は、適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するように個別に膨張され得ることが考えられる。
【0025】
使用の間に、ハウジング110が組織「T」の開口または切開内に挿入されると同時に、膨張可能な部分130が収縮の状態にある。挿入した後に、医師または外科医は、膨張可能な部分130に流体を提供するために、流体供給源「F」を開口部132に挿入し、または流体供給源「F」を開口部132に取り付ける。外科医は、部分的膨張の状態を達成させ、それによって、適所にハウジング110を固定するために、少なくとも部分的に膨張可能な部分130を充填する。一旦ハウジング110が固定されると、外科手術アクセスポータル「S1」が管腔116を通して挿入される。次に、外科医は、膨張の状態を達成させ、実質的に流体の漏れない方式で適所に外科手術アクセスポータル「S1」を固定するための減少した直径を有する管腔116を提供するために、膨張可能な部分130に追加の流体を提供する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルが、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。膨張可能な部材130の任意の膨張の前に、外科手術アクセスポータル「S1」は、ハウジング110内に挿入され得ることが考えられる。外科手術アクセスポータル「S1」が挿入され、そして/または取り外されることを可能にする動作の間に、膨張可能な部材130が、部分的に収縮され得ることが考えられる。これは、外科医が、ハウジング110を通して、外科手術アクセスポータル「S1」に対して大きすぎであり得る他の外科手術用物体または器具を使用することを可能にする。また、膨張可能な部分130の収縮または部分的収縮は、全体のハウジング110を取り外す必要なしに、被検体が切開を通して除去され、そして/または通過されること(例えば、病気の内部解剖物の永久的除去、および/または体内に戻される前に、体の外側に操作されるべきである結腸の一部分の一時的な肱置)を可能にし、それによって、癌細胞の散布等を介した伝染に対抗して、ハウジング110を通して切開に保護層を提供する。なおさらに、ユーザーが膨張可能な部分130を収縮させ、または部分的に収縮させることが可能であるので、ユーザーは、外科手術手順の進行の間に、切開の大きさを選択的に増大させ得る(例えば、外科医は、最初の比較的に小さな切開を作り得、それにより、外科手術アクセスポータルは、膨張可能な部分130が膨張されることなしに切開内に維持され、そしてその後、外科医は、行うのが正当であることを決心した場合に、より大きな切開を作り、それにより、外科手術アクセスポータルは、完全に、または部分的に膨張されている膨張可能な部分130を用いて切開内に維持される)。外科医が、彼または彼女が最初により小さな切開を用いて、彼または彼女の観察に基づいて切開を拡大することを決定するまでに、より大きな切開を作るのを待ち得るので、上記柔軟性は、外科医が、外科手術手順の間に作られた切開の大きさを最小にすることを可能にし得る。この柔軟性はまた、切開の大きさにかかわらず、外科医が最初に小さな切開を作るかまたは最初により大きな切開を作るかを選ぶことにかかわらず、外科医が同じの外科手術アクセスポータルを利用することを可能にし、それによって、異なる大きさの外科手術アクセスポータルに対するニーズを削除する。これらの前述の利点は、本明細書に説明される実施形態の全部に適用可能であることが留意されるべきである。動作の後に、外科医は、ハウジング110の管腔116から外科手術アクセスポータル「S1」を取り外し、そして組織「T」の切開からハウジング110を取り外すために、膨張可能な部材130を収縮させる。
【0026】
ここで、図4〜6を参照すると、前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス200は、ハウジング210と、ハウジング210上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分230とを含む。ハウジング210は、3つの膨張可能な部分230、240および250を含み得ることが考えられる。ハウジング210は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部212でのフランジ型の部分218と、遠位端部214でのフランジ型の部分220とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部212は、弓状または三日月の形のリング226を含み得、少なくともハウジング210の一部分がリング226に包まれ、それにより、リング226の回転は、ハウジング210の長さが近位端部212において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング210はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング210を通して延在する管腔216を含む。技術分野において既知であるように、管腔216も他の種類の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0027】
この実施形態において、膨張可能な部分230、240および250は、ハウジング210の外部表面222上に配置され得、しかしならが、膨張可能な部分230、240および250は、内部表面224上に、または外部表面222および内部表面224の両方の上に配置され得ることが考えられる。膨張可能な部分230、240および250は、互いから離れて間隔を空けられ得、または互いに対して近位または隣接であり得る。膨張可能な部分230、240および250は、収縮の状態にあるときに、最初に離れて間隔を空けられ得、膨張の状態にあるときに、互いに対して隣接または近位であり得ることも考えられる。各膨張可能な部分230、240および250は、独立的に膨張可能であり得、または膨張可能な部分230、240および250は、同時に膨張可能であり得る。
【0028】
ハウジング210は、膨張可能な部分230、240および250と流体連結であり、流体供給源「F」を受け取るための開口部262規定する1つ以上の膨張管腔260も含み得る。膨張管腔260が、ハウジング210内に配置され得、または代替的に、ハウジング210の外部表面222または内部表面224上に配置され得る。各膨張可能な部分230、240および250は、別個の膨張管腔260を有し得、各膨張管腔260は、別個の開口部262を有し得ることも考えられる。
【0029】
使用の間に、膨張可能な部分230、240および250は、最初に収縮の状態にある。外科医は、ハウジング210を組織「T」の切開内に挿入し、そして組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング226を回転することによってハウジング210の長さを調整する。一旦ハウジング210が組織「T」の切開内に位置決めされると、流体供給源「F」は、開口部262内に挿入され、または開口部262に取り付けられ、膨張可能な部分230、240および250を膨張の状態に変形させるために、流体が、膨張可能な部分230、240および250に提供される。膨張可能な部分230、240および250が拡張するので、膨張可能な部分230、240および250は、組織「T」の切開内に進入し、組織「T」の切開と接触し、それによって実質的に流体の漏れない方式で適所にハウジング210を固定する。膨張可能な部分230、240および250が、部分的にのみ膨張され得ることが考えられる。次に、外科医は、外科手術アクセスポータル「S2」をハウジング210の管腔216内に挿入し、さらに流体を膨張可能な部分230、240および250に充填し、そして管腔216の直径を減少させ、それによって、ハウジング210に外科手術アクセスポータル「S2」に押し付けさせる。これは、適所に外科手術アクセスポータル「S2」を固定し、ハウジング210と外科手術アクセスポータル「S2」との間に実質的に流体の漏れない密閉を生成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通って利用され得る。膨張可能な部分230、240および250のうちの1つのみ、またはそれらの任意の組み合わせが、膨張され得、または部分的に膨張され得、それにより、管腔216を通して挿入された外科手術アクセスポータル「S2」が、外科手術の間に動きのいくつかの自由度を可能にされ得ると同時に、なお管腔216との流体の漏れない密閉を維持することも考えられる。外科手術アクセスポータル「S2」を取り外すために、外科医は、膨張可能な部分230、240および250から流体を引き出し得、部分的に膨張の状態または収縮状態を達成させる。
【0030】
ここで、図7〜9を参照すると、前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス300は、ハウジング310、ハウジング310に取り付けられたスライド部材340、およびスライド部材340に滑動可能に取り付けられた膨張可能な部材330を含む。ハウジング310は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部312でのフランジ型の部分318と、遠位端部314でのフランジ型の部分320とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部312は、弓状または三日月の形のリング326を含み得、少なくともハウジング310の一部分がリング326に包まれ、それにより、リング326の回転は、ハウジング310の長さが近位端部312において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング310はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング310を通して延在する管腔316を含む。技術分野において既知であるように、管腔316も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0031】
スライド部材340は、ハウジング310から離れて間隔を空けられ、近位アーム342および遠位アーム344によってハウジング310の外部表面322に取り付けられる。膨張可能な部分330は、スライド部材340を受け取るための、膨張可能な部材を通して延在する管腔332を含み、近位アーム342と遠位アーム344との間にスライド部340に沿って滑動可能である。図7Aにおいてより詳細に理解され得るように、チューブ334は、膨張可能な部材330に接続され、膨張可能な部330へチューブ334をガイドするのを助けるための、スライド部材340の近位アーム342からまたは通して延在する取り付け部材(例えば、リング、ブラケット)346を通して挿入され得る。チューブ334は、近位アーム342と遠位アーム344との間に近位および遠位へ膨張可能な部材330を動かすように使用され得、加えて、膨張および収縮のために、膨張可能な部分330に流体連結を提供する。前の実施形態と同じように、膨張可能な部材330は、収縮の状態および膨張の状態を有し、また部分的にのみ膨張され得る。
【0032】
使用の間に、外科医は、収縮の状態にあり、かつ外部表面322と組織「T」の切開との間に配置された膨張可能な部分330を用いて、ハウジング310を組織「T」の切開内に挿入する。外科医は、組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング326を回転することによってハウジング310の長さを調整し得、スライド部材340に沿って近位または遠位へ膨張可能な部材330を動かすために、取り付けリング346を介して近位または遠位へチューブ334を滑らせることによって膨張可能な部分330の位置を調整し得る。一旦膨張可能な部材330が所望の位置にあると、外科医は、組織「T」の切開内にハウジング310を固定するために、収縮の状態から膨張の状態まで膨張可能な部分330を変形させるように、チューブ334を通して膨張可能な部分330に流体を提供し得る。外科医は、膨張可能な部分330を部分的にのみ膨張させ得ることが考えられる。次に、外科医は、ハウジング310の管腔316を通して外科手術アクセスポータル「S2」を挿入し、さらに膨張可能な部分330を膨張させ、管腔316の直径を減少させ、それにより、管腔316は、外科手術アクセスポータル「S2」に押し付け、外科手術アクセスポータル「S2」との実質的に流体の漏れない密閉を形成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。一旦手術が完成されると、外科医は、ハウジング310から外科手術アクセスポータル「S2」を取り外し、開口または組織「T」の切開からハウジング310を取り外すために、膨張可能な部分330を完全に、または部分的に空にし得る。
【0033】
ここで、図10〜11を参照すると、なお前の実施形態に類似する別の実施形態において、外科手術アクセスデバイス400は、ハウジング410、およびハウジング410上に配置された膨張可能な部材430を含む。ハウジング410は、開口または組織「T」の切開内に挿入可能であり、近位端部412でのフランジ型の部分418と、遠位端部414でのフランジ型の部分420とを含む「U」字型の断面を規定する。近位端部412は、弓状または三日月の形のリング426を含み得、少なくともハウジング410の一部分がリング426に包まれ、それにより、リング426の回転は、ハウジング410の長さが近位端部412において延ばされ、または減少されることを可能にすることがさらに考えられる。ハウジング410はまた、実質的に流体の漏れない方式で外科手術アクセスポータル「S2」を受け取るために、ハウジング410を通して延在する管腔416を含む。技術分野において既知であるように、管腔416も他の外科手術用物体を受け取り得ることが考えられる。
【0034】
膨張可能な部分430は、ハウジング410の近位端部412と遠位端部414と間に、管腔416の内部表面424に沿って延在する。膨張可能な部分430は、内部表面424の全長まで延在し得、または内部表面424の一部分にわたってのみ延在し得る。膨張可能な部分430は、内部表面424から間隔を空けられ、実質的に半円形の断面を規定する中央部分432を含む。中央部分432は、大きさを変化する外科手術用物体また外科手術アクセスポータル「S2」を収容するために、膨張の際に管腔416の直径を減少させる。収縮の状態にある場合に、中央部分432は、内部表面424に対して近位または隣接にあり得ることが考えられる。ハウジング410は、膨張可能な部分430と流体連結であり、かつ流体供給源「F」を受け取るための開口部462を規定する膨張管腔460を含み得る。膨張管腔460は、ハウジング410内に配置され得、または代替的にハウジング410の内部表面424または外部表面422上に配置され得る。
【0035】
使用の間に、外科医は、収縮の状態にある膨張可能な部分430を用いて、ハウジング410を組織「T」の切開内に挿入する。外科医は、組織「T」の切開の深さに依存して時計回りまたは逆時計回りにリング426を回転することによってハウジング410の長さを調整し得る。一旦ハウジング410が正しく位置決めされると、外科医は、流体供給源「F」を開口部462に取り付け、また管腔416を通してアクセスポータル「S2」を挿入する。次に、外科医は、収縮の状態から膨張の状態まで膨張可能な部分430を変形させるために、膨張管腔460を介して流体供給源「F」から流体を膨張可能な部分430に提供する。これは、中央部分432に、内部表面424から離させ、外科手術アクセスポータル「S2」に押し付けさせ、そして外科手術アクセスポータル「S2」との実質的に流体のもれない密閉を生成する。膨張可能な部分430の膨張はまた、組織「T」の切開に対してハウジング410の外側表面422に押すように作用し、切開との実質的に流体の漏れない密閉を形成する。この方法において、標準大きさの外科手術アクセスポータルは、外科手術アクセスポータルより大きな直径を有する組織の切開または自然的に生じた開口を通して利用され得る。一旦手術が完成されると、外科医は、ハウジング410から外科手術アクセスポータル「S2」を取り外し、開口または組織「T」の切開からハウジング410を取り外すために、膨張可能な部分430を完全に、または部分的に空にし得る。
【0036】
本開示は、好ましい実施形態に対して説明しているが、変化および変更が対象デバイスの精神または範囲から逸脱することなしに、本開示に加えられ得ることが当業者にとって容易に明白である。
【符号の説明】
【0037】
100 外科手術アクセスデバイス
110 ハウジング
112 近位端部
114 遠位端部
116 管腔
118、120 フランジ型の部分
122 外側表面
124 内側表面
130 膨張可能な部分
132 開口部
133 近位端部
134、136 膨張可能な断面
S1 外科手術アクセスポータル
T 組織
F 流体供給源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術アクセスデバイスであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている、外科手術アクセスデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、部分的に膨張の状態をさらに含む、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングを完全に囲む、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの外部表面上に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの内部表面上に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの前記外部表面と内部表面との両方の上に配置されている、請求項4に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、3つの膨張可能な部分である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの前記外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、請求項4に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングは、該ハウジングの前記外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み、前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該スライド部材上に滑動可能に取り付けられている、請求項8に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングは、ユーザーが該ハウジングの一部分を巻くことによって選択的に短くされ得る創傷保護具である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項11】
前記スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み、該ガイドリングは、前記少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されている、請求項9に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項12】
前記チューブは、前記スライド部材に沿って近位および遠位へ前記少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合されている、請求項11に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブをさらに含み、該チューブは、該チューブに接続された流体供給源から流体を該少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項14】
前記チューブが、前記ハウジング内に配置されている、請求項13に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項15】
前記チューブが、前記ハウジング上に配置されている、請求項13に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記近位端部に配置された三日月の形のリングをさらに含み、少なくとも該ハウジングの一部分が、該リングに包まれ、該リングは、該ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項17】
大きな切開のための外科手術アクセスシステムであって、該外科手術アクセスシステムは、
外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を含み、
該外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されており、
該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、外科手術アクセスシステム。
【請求項18】
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供するシステムであって、該システムは、
外科手術アクセスポータルであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を備え、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成し、
該ハウジングは組織の該切開内に挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、該ハウジングを組織の該切開内に固定するために少なくとも部分的に膨張させることが可能であり、
該外科手術アクセスポータルは、該ハウジングの該管腔を通して挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分が、該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するためにさらに膨張させることが可能である、システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記外科手術アクセスデバイスは、前記ハウジングから近位へ延在し、前記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、前記システムは、流体供給源を該チューブに取り付ける手段をさらに含み、流体が、該少なくとも1つの膨張可能な部分に分配されることが可能である、請求項18に記載のシステム。
【請求項1】
外科手術アクセスデバイスであって、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成するように適合されている、外科手術アクセスデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、部分的に膨張の状態をさらに含む、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングを完全に囲む、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの外部表面上に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの内部表面上に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの前記外部表面と内部表面との両方の上に配置されている、請求項4に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、3つの膨張可能な部分である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの前記外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、請求項4に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングは、該ハウジングの前記外部表面に取り付けられたスライド部材をさらに含み、前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該スライド部材上に滑動可能に取り付けられている、請求項8に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングは、ユーザーが該ハウジングの一部分を巻くことによって選択的に短くされ得る創傷保護具である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項11】
前記スライド部材は、近位端部に配置されたガイドリングをさらに含み、該ガイドリングは、前記少なくとも1つの膨張可能な部分に向かってチューブをガイドするように適合されている、請求項9に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項12】
前記チューブは、前記スライド部材に沿って近位および遠位へ前記少なくとも1つの膨張可能な部分を作動させるように適合されている、請求項11に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、該少なくとも1つの膨張可能な部分から近位へ延在するチューブをさらに含み、該チューブは、該チューブに接続された流体供給源から流体を該少なくとも1つの膨張可能な部分に提供するように適合されている、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項14】
前記チューブが、前記ハウジング内に配置されている、請求項13に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項15】
前記チューブが、前記ハウジング上に配置されている、請求項13に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記近位端部に配置された三日月の形のリングをさらに含み、少なくとも該ハウジングの一部分が、該リングに包まれ、該リングは、該ハウジングの長さを増加させ、または減少させるように回転可能である、請求項1に記載の外科手術アクセスデバイス。
【請求項17】
大きな切開のための外科手術アクセスシステムであって、該外科手術アクセスシステムは、
外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を含み、
該外科手術アクセスポータルは、少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されており、
該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成する、外科手術アクセスシステム。
【請求項18】
組織の大きな切開を通して外科手術アクセスを提供するシステムであって、該システムは、
外科手術アクセスポータルであって、該外科手術アクセスポータルは、該外科手術アクセスポータルを通して延在する少なくとも1つの管腔を含み、該少なくとも1つの管腔は、該少なくとも1つの管腔を通して外科手術用物体を密閉的に受け取るために適合されている、外科手術アクセスポータルと、
外科手術アクセスデバイスと
を備え、該外科手術アクセスデバイスは、
組織の切開内に挿入するために適合されているハウジングと、
該ハウジング上に配置された少なくとも1つの膨張可能な部分と
を含み、
該ハウジングは、近位端部と遠位端部とを規定し、外科手術アクセスポータルを受け取るために、該ハウジングを通して延在する管腔を規定し、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、収縮の状態と膨張の状態とを有し、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該収縮の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開内に挿入可能であり、該少なくとも1つの膨張可能な部分が該膨張の状態にあるときに、該ハウジングは、組織の該切開との実質的に流体の漏れない密閉と、該ハウジングを通して挿入された外科手術アクセスポータルとの実質的に流体の漏れない密閉とを形成し、
該ハウジングは組織の該切開内に挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分は、該ハウジングを組織の該切開内に固定するために少なくとも部分的に膨張させることが可能であり、
該外科手術アクセスポータルは、該ハウジングの該管腔を通して挿入されるように構成され、
該少なくとも1つの膨張可能な部分が、該外科手術アクセスポータルを該管腔内に固定するためにさらに膨張させることが可能である、システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの膨張可能な部分は、前記ハウジングの外部表面に沿って近位および遠位へ滑動可能である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記外科手術アクセスデバイスは、前記ハウジングから近位へ延在し、前記少なくとも1つの膨張可能な部材と流体連結であるチューブをさらに含み、前記システムは、流体供給源を該チューブに取り付ける手段をさらに含み、流体が、該少なくとも1つの膨張可能な部分に分配されることが可能である、請求項18に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−196446(P2012−196446A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60246(P2012−60246)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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