刈取装置の穀稈引起装置
【課題】引起装置(8)の着脱作業の効率化を図る。
【解決手段】植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させる。
【解決手段】植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植立穀稈を引き起しながら刈り取る刈取装置の穀稈引起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、刈刃装置や掻込搬送装置等を点検したり、穀稈の詰りなどによるトラブル解消の際、着脱可能な穀稈引起装置を取り外し、刈刃装置や掻込搬送装置の前方を開放してメンテナンスなどの作業の容易化を図るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−75031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来構成のものでは、取り外した引起装置は、置き場所にもよるが、これを地面に直接置いた場合、引起し側駆動軸のカップリング部に泥が付着したり、スプライン穴の場合にはゴミや小石等が入り込み、装着時のドッキングに不具合が生じる問題があった。
【0005】
本発明の課題は、駆動軸のカップリング部を覆う開閉可能な蓋を設けることによって上記の問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、該駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、前記被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、該被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には前記開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には該開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させたことを特徴とする刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0007】
この構成により、引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける時には、閉じていた開閉蓋(33)が開く。そして、被駆動軸(29b)の端部に形成されたカップリング部(30b)を駆動軸(29a)の端部に係合させる。
【0008】
引起装置(8)を刈取装置(4)本体から取り外した時には、開閉蓋(33)が閉まり、被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が覆われる。このため、取り外した引起装置(8)は、そのまま地面に置いても、被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が覆われているため、ゴミや泥土等の異物の浸入が防止される。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記引起装置(8)の下部側が刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合することに連動して開閉蓋(33)を開かせる連動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0010】
この構成により、取り外していた引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける際に、この引起装置(8)の下部側を刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合させると、これに連動して開閉蓋(33)が開き、被駆動軸(29b)を駆動軸(29a)に係合できる状態となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記開閉蓋(33)を閉鎖状態に固定するマグネット(38)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
この構成により、開閉蓋(33)を磁力によって閉じた状態に固定することができるので、固定手段を簡素に構成でき、固定解除操作にも手間がかからない。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記開閉蓋(33)を、軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0013】
この構成により、開閉蓋(33)は自重によって閉じ方向に付勢されるため、連動機構を簡素に構成できる。
請求項5記載の発明は、前記開閉蓋(33)が開いた状態では、該開閉蓋(33)が後方上向きの傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0014】
この構成により、開いた状態の開閉蓋(33)によって駆動側の軸受体と被駆動側の軸受体(32)との接合部を上方からカバーすることができ、接合部からのゴミの浸入を防止することができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)を、前記開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0016】
この構成により、引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)が開閉蓋(33)が開閉作動する位置を避けた下方の部位に配置しているので、このロック手段(40)のロック及びロック解除操作が行い易く、簡単な構成で確実にロックすることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、引起装置(8)を取外した時には、引起装置(8)側の被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が開閉蓋(33)によって覆われるので、取外した引起装置(8)を地面に置いても、泥土などの異物がこのカップリング部(30b)に入り込みにくくなり、引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける時の伝動の接続が円滑に行え、引起装置(8)の着脱作業の効率化を図ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、引起装置(8)の下部側を刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合させると、これに連動して開閉蓋(33)が開くので、引起装置(8)の一連の取付け操作を容易に行なうことができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋(33)を磁力によって閉じ状態に固定できるので、固定手段を簡素化でき、固定解除操作も容易に行なうことができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋が軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成であるため、自重によって閉じ方向に付勢されることで、連動機構を簡素化することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋(33)が開き状態では後方上向きの傾斜姿勢となるため、この開き状態の開閉蓋(33)によって駆動側の軸受体と被駆動側の軸受体(32)との接合部を上方からカバーすることができ、接合部からのゴミの浸入を防止することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、上記請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明の効果を奏するうえに、引起装置(8)をロックするロック手段(40)が開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置されているので、ロック手段(40)によるロック及びロック解除操作が行い易く、簡単な構成で確実にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの側面図
【図2】4条分穀稈引起装置の正面図
【図3】中央側の引起装置を取り外し場合の要部の正面図
【図4】引起装置の取付け状態を示す側面図
【図5】引起装置を取り除いたばあいの引起し支持フレームの側面図
【図6】引起装置の要部の正面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】引起装置の要部の拡大正面図
【図9】同上要部の拡大側面図、
【図10】引起装置の要部の拡大正面図
【図11】同上要部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取装置4を設置し,刈取装置4の横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0025】
刈取装置4は、植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…、分草後の穀稈を引き起す4条分の穀稈引起装置8…、引起し後の穀稈を切断するバリカン式の刈刃装置9、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送し後方の脱穀装置3の脱穀フィードチェン12に搬送供給する刈取穀稈搬送装置11等からなり、刈取入力軸13を支点として上下に昇降可能で前後方向に沿わせて設けた刈取縦フレーム17及び該刈取縦フレームの先端に左右横方向に沿わせて設けた刈取横フレーム18に装備している。刈取縦フレーム17内には刈取縦伝動軸を内装し、前記刈取横フレーム18内の刈取横伝動軸を駆動すべく連動構成している。
【0026】
引起装置8は、図2に示すように、4条分の引起装置8a,8b,8c,8dが配置されてあり、これらの内、左右の引起装置9a,8dは、上部が刈取横フレーム18から立設する引起し縦伝動パイプ19、各引起装置上部に横架する引起し横伝動ケース20から動力伝達可能に装着支持されている。
【0027】
そして、中央側の引起装置8b,8cは、前記引起し横伝動ケース20の中間部から下方に延出する中伝動パイプ21、これより左右に分岐する分岐伝動パイプ22、分岐伝動パイプの左右側から下方に延出された引起し支持フレーム23等によって動力伝達可能に、且つ着脱自在に装着支持されるようになっている。また、この引起装置8b,8cの下部側は、前記分草体7の分草支持フレーム14から上方に突設する支持ステー15によって左右横方向に横架された支持パイプ16に係合保持されるようになっている。
【0028】
また、引起装置8は、前後の引起しケース24a,24bと、該ケース内に内装軸架される引起しラグ25付き無端チェン26と、該無端チェンを巻回する駆動スプロケット27及び従動輪体28からなり、前記分岐伝動パイプ22から前方に向けて突設する引起し駆動軸29によって回転駆動すべく連動構成している。そして、前記引起し駆動軸29は、駆動側の刈取装置側29a(駆動軸29a)と被駆動側の引起し側29b(被駆動軸29b)とに分離して、動力伝達可能で且つ嵌脱自在に構成している。実施例では駆動側の軸を角軸30aとし、被駆動側の軸を角穴(カップリング)30bとし、互いにドッキング可能に構成している。角軸30aと角穴30bのドッキング状態では、駆動側の軸受体31と被駆動側の軸受体32との対向面が密に接合されるようになっている。
【0029】
被駆動側の軸受体32上には、被駆動軸のカップリング部30bを閉塞する状態と開放する状態とに切り替えができる開閉蓋33が枢支ピン34を回動支点として上下に揺動開閉自在に設けられている。
【0030】
引起装置取付け時に、引起装置の下部側を支持パイプ16上に係合保持させると、該支持パイプ16に係合して上昇作動する昇降可能な昇降アーム35、昇降アーム35に連動して揺動作動する揺動アーム36、揺動アーム36によって下方に引き操作する開閉操作ワイヤー37等の連動機構を介して開閉蓋33が枢支ピン34を支点として後方上向きの傾斜角度になる位置まで大きく開くようになっている。そして、引起装置8の下部側を後記するロック手段によってロックした後、引起装置の上部側を下部側の支持パイプ16を支点として後方に回動させると、被駆動側軸のカップリング部30bが駆動側軸角軸部30aにドッキングされることになる。そして、ドッキング後は引起装置の上部側をロック手段をもってロックすればよく、また、ドッキング後の開閉蓋は、前後の軸受体31,32の接合部分を上方からカバーする状態となる。
【0031】
引起装置を取り外した時には、上記の開閉蓋33は、自重によって閉じるようになっており、マグネット38によって固定する構成としている。
ロック手段40は、引起装置の上下位置に設けられ、係合保持具41と、係止フック42とロックレバー43などからなり、引起装置を簡単にロックでき、ロックの解除も簡単に行えるようになっている。なお、引起装置の上部側のロック手段40は、開閉蓋33の存在位置よりも下方位置に配置されている。
【0032】
開閉蓋の開閉構成の別実施例として、軸受体の下部側を支点として揺動開閉するように構成するものであってもよく、また、蓋はスプリングにて常時閉じる側に付勢するものであってもよい。
【0033】
取り外した引起装置の支持方法として、引起しケースに折畳み可能なスタンドを設けたり、折畳み可能な3脚或は4脚の支持脚を設けることによって接地支持するようにし、カップリング部を汚さないように構成することもできる。
【0034】
また、引起装置の適所に吊下げフックを設けることによって、取り外した引起装置を本機の適所に吊下げてきるように構成することもできる。
引起装置を取り外すと、スイッチのON・OFFにより本機の操作を制限したり、エンジンがかからないようにするとか、また、刈取装置が駆動されないように構成しておくと、安全に対処することができる。
【符号の説明】
【0035】
4 刈取装置
8 穀稈引起装置
16 支持パイプ
29 引起し駆動軸
29a 駆動軸
29b 被駆動軸
30b 角穴部(カップリング部)
32 軸受体
33 開閉蓋
38 マグネット
40 ロック手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、植立穀稈を引き起しながら刈り取る刈取装置の穀稈引起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、刈刃装置や掻込搬送装置等を点検したり、穀稈の詰りなどによるトラブル解消の際、着脱可能な穀稈引起装置を取り外し、刈刃装置や掻込搬送装置の前方を開放してメンテナンスなどの作業の容易化を図るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−75031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来構成のものでは、取り外した引起装置は、置き場所にもよるが、これを地面に直接置いた場合、引起し側駆動軸のカップリング部に泥が付着したり、スプライン穴の場合にはゴミや小石等が入り込み、装着時のドッキングに不具合が生じる問題があった。
【0005】
本発明の課題は、駆動軸のカップリング部を覆う開閉可能な蓋を設けることによって上記の問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、該駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、前記被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、該被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には前記開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には該開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させたことを特徴とする刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0007】
この構成により、引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける時には、閉じていた開閉蓋(33)が開く。そして、被駆動軸(29b)の端部に形成されたカップリング部(30b)を駆動軸(29a)の端部に係合させる。
【0008】
引起装置(8)を刈取装置(4)本体から取り外した時には、開閉蓋(33)が閉まり、被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が覆われる。このため、取り外した引起装置(8)は、そのまま地面に置いても、被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が覆われているため、ゴミや泥土等の異物の浸入が防止される。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記引起装置(8)の下部側が刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合することに連動して開閉蓋(33)を開かせる連動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0010】
この構成により、取り外していた引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける際に、この引起装置(8)の下部側を刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合させると、これに連動して開閉蓋(33)が開き、被駆動軸(29b)を駆動軸(29a)に係合できる状態となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記開閉蓋(33)を閉鎖状態に固定するマグネット(38)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
この構成により、開閉蓋(33)を磁力によって閉じた状態に固定することができるので、固定手段を簡素に構成でき、固定解除操作にも手間がかからない。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記開閉蓋(33)を、軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0013】
この構成により、開閉蓋(33)は自重によって閉じ方向に付勢されるため、連動機構を簡素に構成できる。
請求項5記載の発明は、前記開閉蓋(33)が開いた状態では、該開閉蓋(33)が後方上向きの傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0014】
この構成により、開いた状態の開閉蓋(33)によって駆動側の軸受体と被駆動側の軸受体(32)との接合部を上方からカバーすることができ、接合部からのゴミの浸入を防止することができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)を、前記開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置とする。
【0016】
この構成により、引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)が開閉蓋(33)が開閉作動する位置を避けた下方の部位に配置しているので、このロック手段(40)のロック及びロック解除操作が行い易く、簡単な構成で確実にロックすることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、引起装置(8)を取外した時には、引起装置(8)側の被駆動軸(29b)のカップリング部(30b)が開閉蓋(33)によって覆われるので、取外した引起装置(8)を地面に置いても、泥土などの異物がこのカップリング部(30b)に入り込みにくくなり、引起装置(8)を刈取装置(4)本体に取付ける時の伝動の接続が円滑に行え、引起装置(8)の着脱作業の効率化を図ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、引起装置(8)の下部側を刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合させると、これに連動して開閉蓋(33)が開くので、引起装置(8)の一連の取付け操作を容易に行なうことができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋(33)を磁力によって閉じ状態に固定できるので、固定手段を簡素化でき、固定解除操作も容易に行なうことができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋が軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成であるため、自重によって閉じ方向に付勢されることで、連動機構を簡素化することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果を奏するうえに、開閉蓋(33)が開き状態では後方上向きの傾斜姿勢となるため、この開き状態の開閉蓋(33)によって駆動側の軸受体と被駆動側の軸受体(32)との接合部を上方からカバーすることができ、接合部からのゴミの浸入を防止することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、上記請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明の効果を奏するうえに、引起装置(8)をロックするロック手段(40)が開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置されているので、ロック手段(40)によるロック及びロック解除操作が行い易く、簡単な構成で確実にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの側面図
【図2】4条分穀稈引起装置の正面図
【図3】中央側の引起装置を取り外し場合の要部の正面図
【図4】引起装置の取付け状態を示す側面図
【図5】引起装置を取り除いたばあいの引起し支持フレームの側面図
【図6】引起装置の要部の正面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】引起装置の要部の拡大正面図
【図9】同上要部の拡大側面図、
【図10】引起装置の要部の拡大正面図
【図11】同上要部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取装置4を設置し,刈取装置4の横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0025】
刈取装置4は、植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…、分草後の穀稈を引き起す4条分の穀稈引起装置8…、引起し後の穀稈を切断するバリカン式の刈刃装置9、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送し後方の脱穀装置3の脱穀フィードチェン12に搬送供給する刈取穀稈搬送装置11等からなり、刈取入力軸13を支点として上下に昇降可能で前後方向に沿わせて設けた刈取縦フレーム17及び該刈取縦フレームの先端に左右横方向に沿わせて設けた刈取横フレーム18に装備している。刈取縦フレーム17内には刈取縦伝動軸を内装し、前記刈取横フレーム18内の刈取横伝動軸を駆動すべく連動構成している。
【0026】
引起装置8は、図2に示すように、4条分の引起装置8a,8b,8c,8dが配置されてあり、これらの内、左右の引起装置9a,8dは、上部が刈取横フレーム18から立設する引起し縦伝動パイプ19、各引起装置上部に横架する引起し横伝動ケース20から動力伝達可能に装着支持されている。
【0027】
そして、中央側の引起装置8b,8cは、前記引起し横伝動ケース20の中間部から下方に延出する中伝動パイプ21、これより左右に分岐する分岐伝動パイプ22、分岐伝動パイプの左右側から下方に延出された引起し支持フレーム23等によって動力伝達可能に、且つ着脱自在に装着支持されるようになっている。また、この引起装置8b,8cの下部側は、前記分草体7の分草支持フレーム14から上方に突設する支持ステー15によって左右横方向に横架された支持パイプ16に係合保持されるようになっている。
【0028】
また、引起装置8は、前後の引起しケース24a,24bと、該ケース内に内装軸架される引起しラグ25付き無端チェン26と、該無端チェンを巻回する駆動スプロケット27及び従動輪体28からなり、前記分岐伝動パイプ22から前方に向けて突設する引起し駆動軸29によって回転駆動すべく連動構成している。そして、前記引起し駆動軸29は、駆動側の刈取装置側29a(駆動軸29a)と被駆動側の引起し側29b(被駆動軸29b)とに分離して、動力伝達可能で且つ嵌脱自在に構成している。実施例では駆動側の軸を角軸30aとし、被駆動側の軸を角穴(カップリング)30bとし、互いにドッキング可能に構成している。角軸30aと角穴30bのドッキング状態では、駆動側の軸受体31と被駆動側の軸受体32との対向面が密に接合されるようになっている。
【0029】
被駆動側の軸受体32上には、被駆動軸のカップリング部30bを閉塞する状態と開放する状態とに切り替えができる開閉蓋33が枢支ピン34を回動支点として上下に揺動開閉自在に設けられている。
【0030】
引起装置取付け時に、引起装置の下部側を支持パイプ16上に係合保持させると、該支持パイプ16に係合して上昇作動する昇降可能な昇降アーム35、昇降アーム35に連動して揺動作動する揺動アーム36、揺動アーム36によって下方に引き操作する開閉操作ワイヤー37等の連動機構を介して開閉蓋33が枢支ピン34を支点として後方上向きの傾斜角度になる位置まで大きく開くようになっている。そして、引起装置8の下部側を後記するロック手段によってロックした後、引起装置の上部側を下部側の支持パイプ16を支点として後方に回動させると、被駆動側軸のカップリング部30bが駆動側軸角軸部30aにドッキングされることになる。そして、ドッキング後は引起装置の上部側をロック手段をもってロックすればよく、また、ドッキング後の開閉蓋は、前後の軸受体31,32の接合部分を上方からカバーする状態となる。
【0031】
引起装置を取り外した時には、上記の開閉蓋33は、自重によって閉じるようになっており、マグネット38によって固定する構成としている。
ロック手段40は、引起装置の上下位置に設けられ、係合保持具41と、係止フック42とロックレバー43などからなり、引起装置を簡単にロックでき、ロックの解除も簡単に行えるようになっている。なお、引起装置の上部側のロック手段40は、開閉蓋33の存在位置よりも下方位置に配置されている。
【0032】
開閉蓋の開閉構成の別実施例として、軸受体の下部側を支点として揺動開閉するように構成するものであってもよく、また、蓋はスプリングにて常時閉じる側に付勢するものであってもよい。
【0033】
取り外した引起装置の支持方法として、引起しケースに折畳み可能なスタンドを設けたり、折畳み可能な3脚或は4脚の支持脚を設けることによって接地支持するようにし、カップリング部を汚さないように構成することもできる。
【0034】
また、引起装置の適所に吊下げフックを設けることによって、取り外した引起装置を本機の適所に吊下げてきるように構成することもできる。
引起装置を取り外すと、スイッチのON・OFFにより本機の操作を制限したり、エンジンがかからないようにするとか、また、刈取装置が駆動されないように構成しておくと、安全に対処することができる。
【符号の説明】
【0035】
4 刈取装置
8 穀稈引起装置
16 支持パイプ
29 引起し駆動軸
29a 駆動軸
29b 被駆動軸
30b 角穴部(カップリング部)
32 軸受体
33 開閉蓋
38 マグネット
40 ロック手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、該駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、前記被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、該被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には前記開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には該開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させたことを特徴とする刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項2】
前記引起装置(8)の下部側が刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合することに連動して開閉蓋(33)を開かせる連動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項3】
前記開閉蓋(33)を閉鎖状態に固定するマグネット(38)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項4】
前記開閉蓋(33)を、軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項5】
前記開閉蓋(33)が開いた状態では、該開閉蓋(33)が後方上向きの傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項6】
前記引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)を、前記開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項1】
植立穀稈を引き起す引起装置(8)駆動用の引起し駆動軸(29)を、刈取装置(4)本体側の駆動軸(29a)と引起装置(8)側の被駆動軸(29b)とに分割すると共に、該駆動軸(29a)と被駆動軸(29b)とを係合および離脱自在に構成し、前記被駆動軸(29b)を引起装置(8)側に軸受する軸受体(32)には、該被駆動軸(29b)の端部に形成したカップリング部(30b)を閉塞する状態と開放する状態とに切り替える開閉蓋(33)を設け、刈取装置(4)本体に引起装置(8)を取付ける時には前記開閉蓋(33)が開き、刈取装置(4)本体から引起装置(8)を取外した時には該開閉蓋(33)が閉じるように、引起装置(8)の着脱操作と開閉蓋(33)の開閉作動とを連動させたことを特徴とする刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項2】
前記引起装置(8)の下部側が刈取装置(4)本体側の支持パイプ(16)に係合することに連動して開閉蓋(33)を開かせる連動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項3】
前記開閉蓋(33)を閉鎖状態に固定するマグネット(38)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項4】
前記開閉蓋(33)を、軸受体(32)の上部側を支点として上下に揺動開閉する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項5】
前記開閉蓋(33)が開いた状態では、該開閉蓋(33)が後方上向きの傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【請求項6】
前記引起装置(8)を刈取装置(4)側に取付けた状態でロックするロック手段(40)を、前記開閉蓋(33)よりも下方の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の刈取装置の穀稈引起装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−157251(P2012−157251A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17331(P2011−17331)
【出願日】平成23年1月29日(2011.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月29日(2011.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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