説明

刈取装置

【課題】7条分の刈幅を備えて刈取作業の能率を高めると共に、この刈取装置の伝動機構を簡素化する。
【解決手段】7つの穀稈導入経路(44)ごと掻込輪体(53)を設け、このうちの最も右側の第1掻込輪体(53a)に連動する第1株元搬送チェン(59)の上側から引継搬送装置(67)の上側に亘る搬送経路を有した穂先搬送装置(200)を、前側の第1穂先搬送装置(200a)と後側の第2穂先搬送装置(200b)とに前後に分割して設け、該第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部を第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部の上側に重合させて配置する。また、第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを、刈取支持フレーム(25)における第1駆動スプロケット(58)への出力部(201)に支持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに備える刈取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、商品化されている自脱型コンバインは、一行程で6条の植立穀稈を刈り取る6条刈の刈取装置を備えたものが最大とされている。
しかしながら、近年、刈取作業の更なる高能率化を目的として、7条刈または8条刈まで刈幅を拡大した営農業者向けのコンバインの商品化が要望されている。
【0003】
このようなコンバインに搭載される刈取装置として、例えば特許文献1に記載された8条刈の刈取装置がある。
この8条刈の刈取装置は、右側4条分の刈取穀稈を後方へ搬送する長尺の右側株元搬送チェンの搬送終端部と、左側4条分の刈取穀稈を後方へ搬送する左側株元搬送チェンの搬送終端部との間に穀稈合流部を形成し、この穀稈合流部の後側に、刈取穀稈を引き継いで後方へ搬送して脱穀装置のフィードチェンへ受け渡す引継搬送装置を設け、右側株元搬送チェンの上側から引継搬送装置の上側に亘る搬送経路を有した単一の穂先搬送装置を設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−44991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された刈取装置では、右側株元搬送チェンの上側から引継搬送装置の上側に亘る長尺の穂先搬送装置を設けた構成である。仮に、この穂先搬送装置を直線状に形成した場合には、この穂先搬送装置の背面側(非搬送作用側)とコンバインの操縦部との干渉を避けるために、刈取装置全体をコンバインの機体から前方へ遠ざけて配置せねばならず、コンバインの全長が長くなってしまう問題が生じる。このため、上記特許文献1に記載された刈取装置では、この穂先搬送装置を搬送経路の途中部で屈曲させ、この屈曲によって穂先搬送装置の背面側に形成された凹部に、コンバインの操縦部の前部左角部が入り込み得る構成とし、刈取装置を機体側に接近させた構成としている。
【0006】
しかしながら、このように長尺の穂先搬送装置を搬送経路の途中部で屈曲させるためには、内部の穂先搬送ラグを備えた無端チェンの軌跡も、チェンレール等によって屈曲させねばならない。このように無端チェンの軌跡を屈曲させた場合、この屈曲部でのチェンレールとの摺動抵抗等によって、無端チェン自体やチェンレールの摩耗が早まり、耐久性が低下する問題がある。
【0007】
また、この穂先搬送装置における穀稈合流部までの搬送速度と、穀稈合流部から後方の搬送経路での搬送速度とが同一であるため、穀稈合流部で8条分に増加した刈取穀稈を円滑に搬送することが困難となり、搬送中やフィードチェンへの受け渡し時に穀稈の詰まりを生じ易くなる問題がある。
【0008】
また、通常、刈取装置の各分草フレームの間に夫々形成される穀稈導入経路には、該穀稈導入経路ごとに1つの掻込輪体を必要とする。このため、刈幅を拡大するほどこの掻込輪体が増え、各掻込輪体を駆動するための伝動機構が複雑化し、この伝動機構が刈取穀稈の搬送の妨げとなって刈取作業の能率が低下する問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
請求項1記載の発明は、刈取支持フレーム(25)の先端部に取り付けた下部伝動ケース(38)の前側に、8本の分草フレーム(43)を左右方向に夫々間隔をおいて配置し、該各分草フレーム(43)の間に7つの穀稈導入経路(44)を夫々形成し、該各穀稈導入経路(44)ごとに単一の引起装置(52)と掻込輪体(53)を夫々設け、該7つの掻込輪体(53)のうちの最も右側の第1掻込輪体(53a)と該第1掻込輪体(53a)の左側に隣接する第2掻込輪体(53b)を噛み合わせ、前記第2掻込輪体(53b)の左側に間隔をおいて配置した第3掻込輪体(53c)と該第3掻込輪体(53c)の左側に隣接する第4掻込輪体(53d)と該第4掻込輪体(53d)の左側に隣接する第5掻込輪体(53e)を夫々噛み合わせ、前記第5掻込輪体(53e)の左側に間隔をおいて配置した第6掻込輪体(53f)と該第6掻込輪体(53f)の左側に隣接する最も左側の第7掻込輪体(53g)を噛み合わせ、前記第1掻込輪体(53a)と刈取支持フレーム(25)の長手方向での中間部に設けた第1駆動スプロケット(58)を第1株元搬送チェン(59)で連動し、前記第3掻込輪体(53c)に第2株元搬送チェン(60)を連動し、前記第5掻込輪体(53e)と刈取支持フレーム(25)の先端部近傍に設けた第2駆動スプロケット(61)を第3株元搬送チェン(62)で連動し、前記第7掻込輪体(53g)と下部伝動ケース(38)の左端部から立ち上がる引起伝動軸(57)の上下方向中間部に設けた第3駆動スプロケット(63)を第4株元搬送チェン(64)で連動し、前記第2株元搬送チェン(60)の搬送終端部と第3株元搬送チェン(62)の搬送終端部を第1株元搬送チェン(59)の搬送方向での中間部と後部に夫々合流させ、該第1株元搬送チェン(59)の搬送終端部と第4株元搬送チェン(64)の搬送終端部の間に穀稈合流部(65)を形成し、該穀稈合流部(65)の後側に、刈取穀稈を引き継いで後方へ搬送する引継搬送装置(67)を設け、前記第1株元搬送チェン(59)の上側から引継搬送装置(67)の上側に亘る搬送経路を有した穂先搬送装置(200)を前側の第1穂先搬送装置(200a)と後側の第2穂先搬送装置(200b)とに前後に分割して設け、該第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部を第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部の上側に重合させて配置したことを特徴とする刈取装置としたものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを、刈取支持フレーム(25)における第1駆動スプロケット(58)への出力部(201)に支持させたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置としたものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記第1駆動スプロケット(58)を備えた中間出力軸(25c)を刈取支持フレーム(25)から分岐した筒状の出力部(201)で包囲し、該出力部(201)に前記第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを取付部材(202)を介して支持させたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置としたものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記第1穂先搬送装置(200a)を駆動する第1穂先駆動スプロケット(205)を、前記中間出力軸(25c)から自在継手(203)を介して駆動する構成としたことを特徴とする請求項3記載の刈取装置としたものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によると、第1株元搬送チェン(59)の上側から引継搬送装置(67)の上側に亘る搬送経路を有した穂先搬送装置(200)を前側の第1穂先搬送装置(200a)と後側の第2穂先搬送装置(200b)とに前後に分割して設け、該第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部を第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部の上側に重合させて配置したので、この前側の第1穂先搬送装置(200a)と後側の第2穂先搬送装置(200b)を平面視で屈曲する状態に相対配置すれば、この第1穂先搬送装置(200a)と第2穂先搬送装置(200b)の間の非搬送作用側に形成される凹部にコンバインの操縦部の一部を入り込ませて配置することが可能となり、刈取装置をコンバインの機体側に接近させて、コンバインの全長をコンパクトに構成することができる。
【0014】
また、第1穂先搬送装置(200a)と第2穂先搬送装置(200b)の搬送経路をチェンレール等によって屈曲させる必要がないので、摺動抵抗等による各部の摩耗が発生しにくくなり、耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、穂先搬送装置(200)を第1穂先搬送装置(200a)と第2穂先搬送装置(200b)とに分割して設けることで、例えば、該第1穂先搬送装置(200a)と第2穂先搬送装置(200b)の搬送速度を互いに異なる搬送速度に設定することも可能となり、穀稈合流部(65)で合流した7条分の穀稈の搬送を円滑化することができる。
【0016】
また、最も右側の第1掻込輪体(53a)とこの第1掻込輪体(53a)の左側に隣接する第2掻込輪体(53b)を連動して回転させ、第2掻込輪体(53b)の左側に間隔をおいて配置した第3掻込輪体(53c)とこの第3掻込輪体(53c)の左側に隣接する第4掻込輪体(53d)とこの第4掻込輪体(53d)の左側に隣接する第5掻込輪体(53e)を連動して回転させ、第5掻込輪体(53e)の左側に間隔をおいて配置した第6掻込輪体(53f)とこの第6掻込輪体(53f)の左側に隣接する最も左側の第7掻込輪体(53g)を連動して回転させることで、7つの掻込輪体(53)を駆動するための伝動機構を簡素化できる。
【0017】
そして、第1掻込輪体(53a)と刈取支持フレーム(25)の長手方向での中間部に設けた第1駆動スプロケット(58)を第1株元搬送チェン(59)で連動し、第3掻込輪体(53c)に第2株元搬送チェン(60)を連動し、第5掻込輪体(53e)と刈取支持フレーム(25)の先端部近傍に設けた第2駆動スプロケット(61)を第3株元搬送チェン(62)で連動し、第7掻込輪体(53g)と下部伝動ケース(38)の左端部から立ち上がる引起伝動軸(57)の上下方向中間部に設けた第3駆動スプロケット(63)を第4株元搬送チェン(64)で連動することで、7つの掻込輪体に続く各株元搬送チェンの伝動機構も簡素化できる。
【0018】
これによって、これら掻込輪体(53)の伝動機構が刈取穀稈の搬送の妨げとなりにくくなり、刈取作業の能率を更に向上させることができる。
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを、刈取支持フレーム(25)における第1駆動スプロケット(58)への出力部(201)に支持させることで、第1穂先搬送装置(200a)及び第2穂先搬送装置(200b)の支持強度が高まり、刈取穀稈の搬送を円滑に行なうことができる。
【0019】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、第1駆動スプロケット(58)を備えた中間出力軸(25c)を刈取支持フレーム(25)から分岐した筒状の出力部(201)で包囲し、該出力部(201)に前記第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを取付部材(202)を介して支持させることで、第1穂先搬送装置(200a)及び第2穂先搬送装置(200b)の支持強度が高まり、刈取穀稈の搬送を円滑に行なうことができる。
【0020】
請求項4記載の発明によると、上記請求項3記載の発明の効果に加え、第1穂先搬送装置(200a)を駆動する第1穂先駆動スプロケット(205)を、中間出力軸(25c)から自在継手(203)を介して駆動する構成とすることで、第1穂先搬送装置(200a)の傾斜姿勢を設定するうえでの自由度が増し、第1株元搬送チェン(59)に対する第1穂先搬送装置(200a)の傾斜姿勢を適正なものに設定して、刈取穀稈の搬送を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの右側面図である。
【図2】コンバインの左側面図である。
【図3】刈取装置のフレーム構造を示す説明用平面図である。
【図4】刈取装置の株元搬送装置を示す説明用平面図である。
【図5】第1掻込輪体周辺の構造を示す右側面図である。
【図6】第2掻込輪体の支持構造を示す左側面図である。
【図7】第3掻込輪体周辺の構造を示す右側面図である。
【図8】第6掻込輪体周辺の構造を示す左側面図である。
【図9】一部別実施例における刈取装置の穂先および株元の搬送装置を示す説明用平面図である。
【図10】刈取装置の伝動構成を展開して示す断面図である。
【図11】刈取支持フレーム部分の伝動構成を展開して示す断面図である。
【図12】刈取装置の主要伝動部の説明用側面図である。
【図13】出力部周辺の側面図である。
【図14】穂先搬送装置の支持構成および伝動構成を示す側面図である。
【図15】穂先搬送装置の配置を示す平面図である。
【図16】穂先搬送装置の斜視図である。
【図17】穂先搬送装置の側面図である。
【図18】刈取装置の伝動機構図である。
【図19】穂先搬送装置周辺の斜視図である。
【図20】穂先搬送装置後部周辺の平面図である。
【図21】穂先搬送装置後部周辺の底面図である。
【図22】穂先搬送装置後部周辺の側面図である。
【図23】刈取装置における掻込装置および穂先搬送装置の配置を示す説明用の正面図である。
【図24】図23の斜視図である。
【図25】コンバインの前部の左側面図である。
【図26】一部の説明用側面図である。
【図27】一部の説明用平面図である。
【図28】一部の説明用平面図である。
【図29】一部の説明用背面図である。
【図30】コンバインの前部の右側面図である。
【図31】コンバインの前部の説明用平面図である。
【図32】コンバインの一部の説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明を実施するコンバインの構成について説明する。尚、以下の記述における「左側」および「右側」とは、コンバインの前進方向に沿う方向を基準とするものであり、操縦部に搭乗した操縦者の視線に沿う表現としている。
【0023】
図1、図2に示すように、コンバインの機体は、走行装置1を備えた機台2の左側の部位に脱穀装置3を搭載し、機台2の右側の部位には穀粒貯留装置4を搭載し、この穀粒貯留装置4の前側に操縦部5を設け、この操縦部5と脱穀装置3の前側に刈取装置6を設けて構成する。
【0024】
前記走行装置1は、機台2の前部に取り付けたミッションケース7から駆動される左右の駆動輪8,8と、左右の転輪フレーム9に軸受された多数の転輪10aにわたってクローラ10,10を巻き掛けて構成する。
【0025】
前記機台2は、角パイプを平面視で矩形状に枠組みして構成する。
前記脱穀装置3は、扱胴や処理胴を備えた上側の扱室と、揺動選別棚と唐箕と1番移送螺旋と2番移送螺旋を備えた下側の選別室とから構成する。前記扱室の左外側には、後述する刈取装置6側の引継搬送装置の終端部から刈取穀稈を引き継いで搬送するフィードチェン28を備える。尚、この脱穀装置3の後部には、脱穀後の排藁を細かく切断して排出する排藁カッター11を設ける。
【0026】
前記穀粒貯留装置4は、底部に排出螺旋を備えた容器である。前記脱穀装置3の1番移送螺旋によって回収された穀粒を、1番揚穀筒12を介して該穀粒貯留装置4に投入して貯留する。また、この穀粒貯留装置4の後側には、縦軸中心に旋回自在の揚穀筒13を設け、この揚穀筒13の上端部に排出筒14の基部を上下回動自在に接続する。尚、上記1番揚穀筒12と揚穀筒13と排出筒14には、移送用の螺旋を夫々内装している。
【0027】
前記操縦部5は、機台2の右側前部に搭載したエンジン15を覆うエンジンカバー16の上部に、操縦者が着座する操縦席17を取り付け、この操縦席17の前方に前部操作台18を設け、操縦席17の左側には側部操作台19を設けて構成する。前記操縦席17と前部操作台18の前後間隔部の右側から、操縦者が乗り降りする構成としている。尚、前記前部操作台18の上部には、右側から左側へ向かって、操舵レバー20と、モニターを備えたメータパネル21と、スイッチパネル22を設ける。また、前記側部操作台19の上部には、前側から後側へ向かって、副変速レバー23と、主変速レバー24と、刈取クラッチレバーと、脱穀クラッチレバーを設ける。(刈取クラッチレバーと脱穀クラッチレバーは図示省略している。)前記操舵レバー20は、左右方向へ倒すことで左右の駆動輪8,8の回転速度に差を生じさせて機体を旋回させるように連繋している。また、操舵レバー20を前後方向へ倒すことで、油圧シリンダ(図示省略)を伸縮させて刈取装置6を昇降させるように連繋している。
【0028】
しかして、前記刈取装置6のフレーム構造および伝動構造について説明する。
図3、図11、図18に示すように、内部に伝動軸25aを備えた刈取支持フレーム25の基部に、刈取入力軸26を内部に備える入力伝動筒27の右側端部を直交状態に連結する。前記刈取入力軸26の左側端部に入力プーリ26aを取り付け、エンジン15によって駆動される油圧式無段変速装置(図示省略)の走行速度に同調した変速回転動力が、前記フィードチェン28の前部右側に配置した補助フィードチェン29の入力プーリ(図示省略)と、前記入力プーリ26aに分岐して入力される構成とする。
【0029】
更に、前記刈取入力軸26の左右方向中間部には、ベベルギヤ伝動機構31を介して第2穂先搬送装置駆動軸32を連動させる。該第2穂先搬送装置駆動軸32には、その上端部に第2穂先駆動スプロケット33を取り付け、その中間部には株元搬送チェン駆動スプロケット34を取り付ける。該第2穂先駆動スプロケット33によって、図14〜図17、図19〜図22に示すラグ付きチェンを内蔵した第2穂先搬送装置200bを駆動し、株元搬送チェン駆動スプロケット34によって、図19〜図22に示すチェン式の株元引継搬送装置36を駆動する構成とする。尚、前記株元引継搬送装置36の前側には扱ぎ深さを調節する供給搬送装置66を備え、これら供給搬送装置66と株元引継搬送装置36を、引継搬送装置67と総称する。
【0030】
そして、図3に示すように、前記入力伝動筒27を、操縦部5よりも左側の機台2の前部に設けた支持台37に回動自在に軸受けし、前記刈取入力軸26の軸芯を中心として、刈取支持フレーム25の先端部側が上下に回動自在となる構成とする。
【0031】
そして、刈取支持フレーム25を前側下方へ延出させ、この刈取支持フレーム25の先端部に、左右方向に長く形成した下部伝動ケース38を連結する。この下部伝動ケース38における刈取支持フレーム25の連結位置は、該下部伝動ケース38の左右方向での中心位置よりも左側に偏倚した位置とする。
【0032】
ここで、特許文献1に開示された従来技術のように、偶数の条列を刈り取る刈取装置の場合には、その刈幅の中心位置を、コンバインの機体側から設けた刈取支持フレームの先端に支持させることで、刈取装置の左右方向の重量バランスを適正に維持することが可能である。しかしながら、前記の刈取支持フレームは操縦部の左側に設けられており、この刈取支持フレームの先端に8条もの広幅の刈取装置の中心位置を支持した場合、機体の左外側に刈取装置の左側端部が大きく突出してしまう。このため、機体の右側に設けられる操縦部から、刈取装置の左側端部が監視しにくくなり、刈取作業における条合わせ(刈取装置の最も左側の分草体と植立穀稈の条列との位置合わせ)を容易に行なうことができず、刈取作業の能率が低下する問題がある。そして、このように刈幅が機体幅から外側へ大きく突出すると、コンバインをトラックの荷台に積載できなくなり、トラックでの輸送が不可能となってしまう。このため、圃場間を自走によって移動するしかなくなり、圃場間移動に時間を要して作業能率が低下してしまう問題が生じる。また、走行中に、刈取装置が障害物に衝突して破損する恐れがある。
【0033】
これに対して、上述のような構成を採ることにより、刈取装置6の左側端部がコンバインの機体から左外側へ大きく突出しにくくなり、機台2の右側に設けられる操縦部5から、刈取装置6の左側端部(後述する左側端部の分草体45)が監視しやすくなり、刈取作業における条合わせを容易に行なえ、刈取作業の能率を高めることができる。
【0034】
また、図11に示すように、刈取支持フレーム25の先端部近傍の部位に、伝動軸25aからベベルギヤ伝動機構25iを介して連動される伝動軸25jを前側上方へ突出させて設ける。そして、この伝動軸25jの先端部からユニバーサルジョイント25kを介して出力軸25Lを連動する構成とし、この出力軸25Lの先端部に、後述する第2駆動スプロケット61を取り付ける。このように、ユニバーサルジョイント25kを介在させることによって出力軸25Lの傾斜姿勢を変更自在とし、この出力軸25Lを刈取装置6のできるだけ前方の部位に配置しながら、この出力軸25Lに取り付けられた第2駆動スプロケット61の姿勢を、該第2駆動スプロケット61に巻き掛ける第3株元搬送チェン62の軌跡に合わせて設定することができる。
【0035】
図10、図18に示すように、前記下部伝動ケース38の内部に下部伝動軸38aを設け、該下部伝動軸38aの中間部に固定したベベルギヤ38bを、前記伝動軸25aの先端部に取り付けたベベルギヤ25mに噛み合わせる。そして、この下部伝動軸38aの左右両端部から、左右のベベルギヤ伝動機構38c,38cを介して左右の刈刃駆動クランク軸50,50を連動する構成とする。この左右の刈刃駆動クランク軸50,50は、下部伝動ケース38の左右両端部に設けたカバー39で覆う。尚、前記下部伝動ケース38は、左右方向において4つに分割形成したアルミダイキャスト製のケースを、ボルト締結によって一体化したものである。
【0036】
また、図3、図30、図32に示すように、前記下部伝動ケース38の右側端部近傍の部位と、操縦部5の前側に位置する機台2側の部位を、屈伸して伸縮するリンク40で連結する。該リンク40は、後側リンクアーム40aと前側リンクアーム40bからなり、後側リンクアーム40aの後端部を機台2側の部位に左右方向の軸芯回りに回動自在に軸着し、前側リンクアーム40bの前端部を下部伝動ケース38の右側端部近傍の部位に左右方向の軸芯回りに回動自在に軸着し、この後側リンクアーム40aの前端部と前側リンクアーム40bの後端部とを左右方向の軸芯回りに回動自在に軸着する。
【0037】
これによって、刈取支持フレーム25とリンクで刈取装置6の左右方向の姿勢を保持でき、刈取装置6の左右での穀稈の切断位置が揃い、刈り取った穀稈の長さが略均一となって脱穀装置3での扱ぎ残しを生じにくくなり、刈取脱穀作業の能率および精度を向上させることができる。
【0038】
そして、図3に示すように、前記下部伝動ケース38の前側に、間隔をおいて左右方向の分草支持パイプ41を配置し、この分草支持パイプ41の左右両端部から後方へ延設した連結フレーム42,42の後端部を、前記下部伝動ケース38の左右両端部に夫々連結する。これによって、下部伝動ケース38と分草支持パイプ41と左右の連結フレーム42,42が枠組みされる。
【0039】
そして、前記分草支持パイプ41の左右両端部と中間部とに、前後方向を向いた8本の分草フレーム43の後端部を連結する。この際、この8本の分草フレーム43の間には、植立穀稈の植付間隔(約300mm)に応じた所定の間隔を設けるが、最も右側の分草フレーム43Rと、これに隣接する右端から2本目の分草フレーム43の間隔が最も大きくなるように設定する。
【0040】
また、この分草フレーム43の配置により、最も右側の分草フレーム43Rは、右側のクローラ10の右側端部よりも175mmだけ右外側方へ突出し、最も左側の分草フレーム43Lは、左側のクローラ10の左側端部よりも345mmだけ左外側方へ突出する。
【0041】
以上の分草フレーム43の配置により、8本の各分草フレーム43の間に7つの穀稈導入経路44が形成される。尚、各分草フレーム43の前端部には、機体正面視で逆三角形状の分草体45を夫々取り付ける。
【0042】
そして、前記分草支持パイプ41の直前の位置に、バリカン式の刈刃装置46を取り付ける。この刈刃装置46は、7条分の広幅に形成した下刃47の上側に、3条分の幅に形成した右側の上刃48と、この右側の上刃48よりも広幅に形成した左側の上刃49を設けた構成とする。各上刃48,49は、前記左右の刈刃駆動クランク軸50,50から、左右の揺動リンク機構51,51を介して左右方向に往復摺動する構成とする。
【0043】
次に、図4に、刈取装置の株元搬送装置の配置を示す。
前記8本の分草フレーム43の間に形成された7つの穀稈導入経路44には、各導入経路44ごとに単一のラグ式の引起装置52と掻込輪体53を夫々設ける。この7つの掻込輪体53は、植立穀稈の株元側に作用して、この穀稈を後方へ掻き込む作用を有し、また、互いに噛み合うことによって回転運動を伝動する機能を有する。また、各掻込輪体53の上側には、ラグ式の掻込ベルトを備えたラグ式掻込装置56を夫々備えている。
【0044】
この7つの掻込輪体53のうち、最も右側の第1掻込輪体53aと、この第1掻込輪体53aの左側に隣接する第2掻込輪体53bを連動して回転するように噛み合わせる。そして、第2掻込輪体53bの左側に間隔をおいて配置した第3掻込輪体53cと、この第3掻込輪体53cの左側に隣接する第4掻込輪体53dと、この第4掻込輪体53dの左側に隣接する第5掻込輪体53eを連動して回転するように夫々噛み合わせる。また、前記第5掻込輪体53eの左側に間隔をおいて配置した第6掻込輪体53fと、この第6掻込輪体53fの左側に隣接する最も左側の第7掻込輪体53gを連動して回転するように噛み合わせる。
【0045】
これによって、7つの掻込輪体53を駆動するための伝動機構を簡素化でき、この掻込輪体53の伝動機構が刈取穀稈の搬送の妨げとなりにくくなり、刈取作業の能率を向上させることができる。
【0046】
また、前記7つの掻込輪体53は、分草フレーム43の前後方向中間部に取り付けた掻込輪体支持フレーム54で支持する。
即ち、図5に示すように、下部伝動ケース38の右側端部と、最も右側の第1引起装置52aの上部を、支持フレーム55で連結し、この支持フレーム55の上下方向中間部に、第1掻込輪体支持フレーム54aの後端部を連結する。そして、この第1掻込輪体支持フレーム54aの前部を前方外側へ屈曲させて延出させ、該第1掻込輪体支持フレーム54aの前端部を、最も右側の分草フレーム43の前後方向中間部に連結する。そして、この第1掻込輪体支持フレーム54aの前後方向中間部に第1掻込輪体53aを縦軸中心に回転自在に軸受けして支持する。
【0047】
これによって、最も右側の分草フレーム43が補強され、この分草フレーム43が畦などに衝突しても破損や変形を来たしにくくすることができる。
また、図6に示すように、右側から3番目の分草フレーム43aと右側から2番目の第2引起装置52bへ伝動する縦伝動筒101との間を、第2掻込輪体53bの非掻込作用側に配置した掻込輪体支持フレーム100で連結し、該掻込輪体支持フレーム100に第2掻込輪体53bを回転自在に支持させる。即ち、図10に示すように、7つの引起装置52を連動して駆動する横伝動軸75を覆う上部横伝動筒75jから、吊り下げ伝動軸76を覆う縦伝動筒を夫々垂下状態に設けており、図6に示すように、右側から2番目の第2引起装置52bを駆動する縦伝動筒101の下端部と、右側から3番目の分草フレーム43aとを掻込輪体支持フレーム100で連結する。そして、この掻込輪体支持フレーム100の下部を構成する前後方向のフレーム部100aに、第2掻込輪体53bを回転軸102で回転自在に軸支する。前記前後方向のフレーム部100aの前端下部を、分草フレーム43aにおける刈刃装置46よりも前側の部位に連結する構成である。尚、掻込輪体支持フレーム100の上部は、前方へ膨出するように3辺で折り曲げた形状とする。
【0048】
また、図7に示すように、前記第3掻込輪体53cと第4掻込輪体53dは、右端から4本目の分草フレーム43の中間部から後上方へ立ち上げた掻込輪体支持フレーム54cで一体に支持する。
【0049】
また、図8に示すように、第5掻込輪体53eと第6掻込輪体53fは、右端から6本目の分草フレーム43の中間部から後方へ立ち上げ、右側から5つめ又は6つめの引起装置52の上部へ連結した掻込輪体支持フレーム54dで一体に支持する。
【0050】
また、図4、図12に示すように、下部伝動ケース38の左端部から立ち上げて設けた引起伝動軸57を内部に設ける引起伝動筒57aの上下方向中間部に、掻込輪体支持フレーム57bを取り付け、この掻込輪体支持フレーム57bに第7掻込輪体53gを支持する。
【0051】
即ち、前記引起伝動軸57の下端部を、ベベルギヤ伝動機構57dを介して下部伝動軸38aに連動させ、この引起伝動軸57の上端部からベベルギヤ伝動機構75aと引起変速装置75bを介して、各引起装置52の上部に左右方向に配置した横伝動軸75の左側端部に伝動する構成とする。そして、この横伝動軸75から、ベベルギヤ伝動機構75cを介して吊り下げ伝動軸76へ伝動し、この吊り下げ伝動軸76からベベルギヤ伝動機構76aを介して各引起装置52の駆動スプロケット52sを備えた入力軸52tへ駆動力が入力される構成とする。但し、右側から2つめの引起装置52と、右側から3つめ及び4つめの引起装置52,52と、右側から5つめ及び6つめの引起装置52,52は、夫々、吊り下げ伝動軸76からベベルギヤ伝動機構76aと中間伝動軸76bを介して入力軸52tへ伝動する構成とする。尚、前記中間伝動軸76bの中間部には、ベベルギヤ伝動機構76cを介して、穂先搬送装置駆動用の駆動スプロケット76dを備えた入力軸76eを連動する構成とする。尚、前記横伝動軸75を内装する上部横伝動筒75pの左右方向中間部と、前記入力伝動筒27の間を、前後方向の補強フレーム27aで連結する。
【0052】
そして、前記第1掻込輪体53aと刈取支持フレーム25の長手方向での中間部に設けた第1駆動スプロケット58を第1株元搬送チェン59で連動する。即ち、図4、図5に示すように、第1掻込輪体53aと同軸で一体回転するように設けたスプロケット68aと、第1掻込輪体支持フレーム54aの基部に軸受した上下2段のスプロケットを有するカウンタスプロケット69の下側のスプロケット69aと、テンションローラ70に亘って、前側第1株元搬送チェン59Fを巻き掛ける。そして、前記カウンタスプロケット69の上側のスプロケット69bと刈取支持フレーム25の長手方向での中間部に設けた第1駆動スプロケット58に亘って、後側第1株元搬送チェン59Rを巻き掛ける。第1駆動スプロケット58は、刈取支持フレーム25内の伝動軸から連動して駆動される。これによって、第1駆動スプロケット58の駆動により、後側第1株元搬送チェン59Rと、前側第1株元搬送チェン59Fと、第1掻込輪体53aと、最も右側のラグ式掻込装置56が連動して駆動される。更に、第1掻込輪体53aに噛み合う第2掻込輪体53bと左から2番目のラグ式掻込装置56も連動して駆動される。尚、前記後側第1株元搬送チェン59Rの後側には、この後側第1株元搬送チェン59Rを前方へ押してチェンの移動軌跡を窪ませるローラ71を設ける。これによって、後側第1株元搬送チェン59Rと操縦部5との干渉を防止する。
【0053】
また、前記第3掻込輪体53cと同軸で一体回転するように設けたスプロケット68bと、後側に配置した遊動スプロケット72に亘って第2株元搬送チェン60を巻き掛ける。
【0054】
そして、前記第5掻込輪体53eと同軸で一体回転するように設けたスプロケット68cと、刈取支持フレーム25の先端部近傍に設けた第2駆動スプロケット61に亘って第3株元搬送チェン62を巻き掛ける。第2駆動スプロケット61は、刈取支持フレーム25内の伝動軸から連動して駆動される。この構成により、第2駆動スプロケット61が駆動されると、第3株元搬送チェン62と、第5掻込輪体53eが駆動され、この第5掻込輪体53eに噛み合う第4掻込輪体53dと、この第4掻込輪体53dに噛み合う第3掻込輪体53cと、第2株元搬送チェン60が連動して駆動される。各掻込輪体の上側の3つのラグ式掻込装置56も、各掻込輪体の回転によって連動して駆動される。
【0055】
また、図4、図10、図12に示すように、前記引起伝動筒57aの上下方向中間部に、刈幅の内側へ向けて伝動ケース57cを取り付ける。そして、引起伝動軸57の上下方向中間部からベベルギヤ伝動機構63aを介して伝動ケース57c内の中間伝動軸63bに伝動し、この中間伝動軸63bからベベルギヤ伝動機構63cを介して、第3駆動スプロケット63を備えた出力軸63dを駆動する構成とする。尚、図18に示すように、この出力軸63dには、後述する第4中段穂先搬送装置74fを駆動する駆動スプロケット74fsと第4穂先搬送装置74gを駆動する駆動スプロケット74gsを取り付ける。
【0056】
そして、前記第7掻込輪体53gと同軸で一体回転するように設けたスプロケット63dと、第3駆動スプロケット63と、後端部の従動ローラ73に亘って、第4株元搬送チェン64を巻き掛ける。この構成により、第3駆動スプロケット63が駆動されると、第4株元搬送チェン64と第7掻込輪体53gが駆動され、この第7掻込輪体53gに噛み合う第6掻込輪体53fが連動して駆動される。各掻込輪体の上側の3つのラグ式掻込装置56も、各掻込輪体の回転によって連動して駆動される。
【0057】
また、図4に示すように、前記第2株元搬送チェン60の搬送終端部と第3株元搬送チェン62の搬送終端部は、第1株元搬送チェン59の搬送方向での中間部と後部とに夫々合流する配置とする。また、第1株元搬送チェン59の搬送終端部と第4株元搬送チェン64の搬送終端部の間には、穀稈合流部65を形成し、該穀稈合流部65から後方の引継搬送装置67へ刈取穀稈を引き継ぐ構成とする。
【0058】
これによって、7つの掻込輪体53a,53b,53c,53d,53e,53f,53gと、これに続く各株元搬送チェン59,60,62,64の伝動機構を簡素化できる。これによって、これら掻込輪体の伝動機構が刈取穀稈の搬送の妨げとなりにくくなり、刈取作業の能率を更に向上させることができる。
【0059】
そして、図9に示す一部別実施例では、前記第1株元搬送チェン59の上側には、後側第1株元搬送チェン59Rに沿う第1穂先搬送装置200aを配置し、この第1穂先搬送装置200aの前部上側には、第1上段穂先搬送装置74bを配置する。尚、図9の実施例では、第1穂先搬送装置200aのラグ206の突出方向と第1上段穂先搬送装置74bのラグの突出する方向を同じ方向に設定しているが、第1上段穂先搬送装置74bを第1穂先搬送装置200aと平面視で対向する側に設置し、この第1穂先搬送装置200aのラグ206の突出方向と第1上段穂先搬送装置74bのラグの突出する方向を対向させて配置してもよい。
【0060】
また、前記第2株元搬送チェン60の搬送終端部の上方には、第2穂先搬送装置74cを配置する。
また、前記第3株元搬送チェン62の搬送終端部上方には、第3中段穂先搬送装置74dと、該第3中段穂先搬送装置74dの上側の第3上段穂先搬送装置74eを配置する。
【0061】
更に、前記第4株元搬送チェン64の上方には、該第4株元搬送チェン64の搬送方向に沿って、第4中段穂先搬送装置74fと、該第4中段穂先搬送装置74fの上側の第4穂先搬送装置74gを配置する。
【0062】
尚、図示省略するが、前記第3上段穂先搬送装置74eと第4穂先搬送装置74gを取り外し、短稈刈取用の刈取装置とすれば、製造原価を低減でき、安価に提供することができる。
【0063】
しかして、図11に示すように、前記刈取支持フレーム25の内部に設けた伝動軸25aの基端部を、ベベルギヤ伝動機構26bを介して刈取入力軸26の右側の部位に連動させる。そして、前記伝動軸25aの軸芯方向中間部からベベルギヤ伝動機構25bを介して連動される中間出力軸25cを前側上方へ突出させて設け、この中間出力軸25cの基部からベベルギヤ伝動機構25dを介して連動される出力軸25eを設ける。前記中間出力軸25cは、刈取支持フレーム25から分岐した円筒状の出力部201によって包囲し、前記出力軸25eは、出力部201の基部から分岐した円筒状の第2出力部201bによって包囲する。尚、図13に示すように、前記出力部201と第2出力部201bは、鋳物により一体成形する。そして、この出力軸25eの先端部からベベルギヤ伝動機構25fを介して、先端部に駆動スプロケット25gを備えた出力軸25hを連動する構成とする。駆動スプロケット25gには、供給搬送装置66の株元搬送チェン66aを巻き掛ける。また、前記中間出力軸25cの先端部には、第1駆動スプロケット58を取り付ける。
【0064】
そして、図11、図13、図14に示すように、前記中間出力軸25cの先端部にユニバーサルジョイント式の自在継手203の一端部を接続し、該自在継手203の他端部を第1穂先駆動軸204の基部に接続する。該第1穂先駆動軸204の先端部には、第1穂先搬送装置200aのラグ付き無端チェンを駆動する第1穂先駆動スプロケット205を取り付ける。
【0065】
また、前記第1穂先搬送装置200aは、多数のラグ206を取り付けた無端チェンを第1穂先ケース207内に備えた構成とし、この第1穂先ケース207の後端部下面と、前記出力部201の側部から立ち上げたステー208とを、側面視でコ字形状の取付部材202で連結する。これによって、第1穂先搬送装置200aの後部が刈取支持フレーム25側に支持される。
【0066】
また、第1穂先搬送装置200aの後側には、前記第2穂先駆動スプロケット33によって駆動される第2穂先搬送装置200bを設ける。図14、図16、図17に示すように、該第2穂先搬送装置200bは、多数のラグ209を取り付けた無端チェンを第2穂先ケース210内に備えた構成とし、この第2穂先ケース210の前端部下面と、前記取付部材202の側面とを、L字形状の第2取付部材211で連結する。これによって、第2穂先搬送装置200bの前部が刈取支持フレーム25側に支持される。
【0067】
以上の構成により、第1穂先搬送装置200aと第2穂先搬送装置200bを刈取支持フレーム25側に強固に支持して刈取穀稈の搬送を円滑に行なうことができ、この状態のまま、第1穂先ケース207および第2穂先ケース210の上面側のケースを着脱して、ラグ206およびラグ209の交換などのメンテナンスを行なうことができる。
【0068】
尚、上記の第1穂先搬送装置200aと第2穂先搬送装置200bは、第1株元搬送チェン59の上側から引継搬送装置67の上側に亘る搬送経路を有した穂先搬送装置200を形成するもので、前側の第1穂先搬送装置200aと後側の第2穂先搬送装置200bとに前後に分割して設け、第2穂先搬送装置200bの搬送始端部を第1穂先搬送装置200aの搬送終端部の上側に重合させて配置する。
【0069】
また、前記第2穂先搬送装置200bのラグ209の移動速度は、第1穂先搬送装置200aのラグ206の移動速度よりも高速に設定している。これによって、穀稈合流部65で7条分に増加した刈取穀稈を後方へ円滑に搬送することができる。
【0070】
また、図15〜図17に示すように、前記第1穂先搬送装置200aのラグ206を起立案内する角棒状の上下のラグ起立ガイドのうち、下側のラグ起立ガイド212の搬送方向下手側端部を、該第1穂先搬送装置200aの搬送終端部を越えて更に後方へ延長して設け、第1穂先搬送装置200aの搬送終端部から第2穂先搬送装置200bの搬送始端部へ刈取穀稈を引き継ぐ際の穀稈ガイドとして兼用する。これにより、第1穂先搬送装置200aの搬送終端部から第2穂先搬送装置200bの搬送始端部への刈取穀稈の引き継ぎが良好に行なわれ、刈取作業の能率を向上させることができる。また、特別に穀稈ガイドを取り付ける必要がなく、構成を簡素化することができる。また、ラグ206よりも低い位置に穀稈ガイドを設けることができるため、短い刈取穀稈の引き継ぎを円滑に行なえ、短稈適応性を向上させることができる。
【0071】
また、図15〜図17に示すように、上述のように後方へ延長して設けて穀稈ガイドを兼用するラグ起立ガイド212の搬送方向下手側端部の下側に、穀稈センサ213の触角体214を設ける。この穀稈センサ213は、搬送されてくる刈取穀稈の有無を検出し、扱ぎ深さ制御等を開始させるためのもの、或いは搬送されてくる刈取穀稈の詰まりを検出して警報するためのものである。このように、穀稈センサ213の触角体214をラグ起立ガイド212の搬送方向下手側端部の下側に配置することで、刈取穀稈による穀稈センサ213の破損を防止することができる。
【0072】
また、図19〜図22に示すように、第4中段穂先搬送装置74fのケース上面に棒状の穂先搬送ガイド215の基部を縦軸Pで回動自在に取り付け、該穂先搬送ガイド215の自由端側を第2穂先搬送装置200bのラグ209の移動方向に沿わせて配置する。この穂先搬送ガイド215は、搬送方向中間部で、ラグ209の上側に配置される上側穂先搬送ガイド215aと、ラグ209よりも下側に配置される下側穂先搬送ガイド215bとに二又に分岐させる。また、第4中段穂先搬送装置74fのケース下面に棒状の下段穂先搬送ガイド219の基部を、前記縦軸Pと同軸で回動自在に取り付ける。
【0073】
また、上側穂先搬送ガイド215aと下側穂先搬送ガイド215bの搬送方向中間部に固着したコ字形状のホルダ216に、ばね状の第2穂先搬送ガイド217の基部を取り付ける。前記ホルダ216は、刈取支持フレーム25側に固定されたステー218に対して、ボルト220により着脱自在に取り付ける。これにより、第2穂先搬送装置200bに搬送中の刈取穀稈が詰まったような場合に、ボルト220の締結を外すと、上側穂先搬送ガイド215aと下側穂先搬送ガイド215bと下段穂先搬送ガイド219と第2穂先搬送ガイド217が一体で縦軸Pを中心に外側方へ回動させることができ、詰まった刈取穀稈を容易に除去することができる。また、このメンテナンス終了後の刈取作業状態への復帰操作も容易に行なえる。
【0074】
また、図22に示すように、前記下段穂先搬送ガイド219は、株元引継搬送装置36の挟持杆221の挟持始端部を上方へ迂回するように屈曲させる。これにより、上側穂先搬送ガイド215aと下側穂先搬送ガイド215bと下段穂先搬送ガイド219と第2穂先搬送ガイド217を縦軸P中心に外側方へ回動させる際に、下段穂先搬送ガイド219が挟持杆221に干渉することを防止できる。
【0075】
また、図23、図24に示すように、右端から2番目のラグ式掻込装置56の後部上方の部位に穂先ガイド222Rの搬送方向始端部を固定し、右端から3番目のラグ式掻込装置56の後部上方の部位に穂先ガイド222Lの搬送方向始端部を固定し、該穂先ガイド222Rの搬送方向終端部と穂先ガイド222Lの搬送方向終端部とを溶接して連結する。また、右端から4番目のラグ式掻込装置56の上方の部位に穂先ガイド223Rの搬送方向始端部を固定し、右端から5番目のラグ式掻込装置56の上方の部位に穂先ガイド223Lの搬送方向始端部を固定し、該穂先ガイド223Rの搬送方向終端部と穂先ガイド223Lの搬送方向終端部とを、三角形状の補強プレート224を介して溶接固定する。また、同様に、第1穂先搬送装置200aの上側に配置する穂先ガイド225Rの搬送方向終端部と、第4穂先搬送装置74gに対向する穂先ガイド225Lの搬送方向終端部とを、三角形状の補強プレート226を介して溶接固定する。これら溶接固定部は、いずれも刈取穀稈の合流部に配置されるため、刈取穀稈からの反力を受けるために強度を必要とするが、上述のように三角形状の補強プレート224,226を介して溶接固定しているため、強度を確保できる。また、この補強プレート224,226によって藁屑の引っ掛かりを防止することができる。
【0076】
図25〜図29に示すように、刈取装置6側の固定フレーム227の後端部に、板状の穀稈押さえ228の基部を上下回動自在に軸着し、該穀稈押さえ228の自由端部をフィードチェン28の搬送方向始端部上に自重で載置する。また、前記固定フレーム227の後端部に、丸棒状の穂先引継ガイド229の基部を上下回動自在に軸着し、該穂先引継ガイド229の自由端部を、フィードチェン28の前部右側に配置した補助フィードチェン29上に載置する。該穂先引継ガイド229の基部には、該穂先引継ガイド229を下降付勢する引張スプリング230を設ける。この引張スプリング230により、穂先引継ガイド229は支点越えして起立姿勢を保持できる。また、前記ばね状の第2穂先搬送ガイド217の自由端部を、前記穂先引継ガイド229の左側に、該穂先引継ガイド229と側面視で交差させて配置する。これにより、引継穀稈が少量の場合でも、穀稈のこぼれ落ちを防止することができる。
【0077】
図30〜図32に示すように、最も右側の分草体45を、操縦部5の右端面よりも距離Lだけ右側に偏倚させて配置する。これにより、エンジンカバー16の外側面に形成したラジエータ冷却用の外気を吸入する防塵網232に吸着される塵埃が減少し、エンジン15がオーバーヒートしにくくなる。
【0078】
また、左右の揺動リンク機構51,51の上方から前側第1株元搬送チェン59Fの右側後部を覆うカバー231を設ける。そして、前記カバー231の左側端部と、リンク40(後側リンクアーム40aと前側リンクアーム40b)の右側端部とを、極小な距離Sを残して接近させて配置する。これにより、操縦部5の右端部よりも右側へ張り出した刈取装置6の背面の部位を覆い、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0079】
25 刈取支持フレーム
25c 中間出力軸
38 下部伝動ケース
43 分草フレーム
44 穀稈導入経路(
52 引起装置
53 掻込輪体
53a 第1掻込輪体
53b 第2掻込輪体
53c 第3掻込輪体
53d 第4掻込輪体
53e 第5掻込輪体
53f 第6掻込輪体
53g 第7掻込輪体
57 引起伝動軸
58 第1駆動スプロケット
59 第1株元搬送チェン
60 第2株元搬送チェン
61 第2駆動スプロケット
62 第3株元搬送チェン
63 第3駆動スプロケット
64 第4株元搬送チェン
65 穀稈合流部
67 引継搬送装置
200 穂先搬送装置
200a 第1穂先搬送装置
200b 第2穂先搬送装置
201 出力部
202 取付部材
203 自在継手
205 第1穂先駆動スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取支持フレーム(25)の先端部に取り付けた下部伝動ケース(38)の前側に、8本の分草フレーム(43)を左右方向に夫々間隔をおいて配置し、該各分草フレーム(43)の間に7つの穀稈導入経路(44)を夫々形成し、該各穀稈導入経路(44)ごとに単一の引起装置(52)と掻込輪体(53)を夫々設け、該7つの掻込輪体(53)のうちの最も右側の第1掻込輪体(53a)と該第1掻込輪体(53a)の左側に隣接する第2掻込輪体(53b)を噛み合わせ、前記第2掻込輪体(53b)の左側に間隔をおいて配置した第3掻込輪体(53c)と該第3掻込輪体(53c)の左側に隣接する第4掻込輪体(53d)と該第4掻込輪体(53d)の左側に隣接する第5掻込輪体(53e)を夫々噛み合わせ、前記第5掻込輪体(53e)の左側に間隔をおいて配置した第6掻込輪体(53f)と該第6掻込輪体(53f)の左側に隣接する最も左側の第7掻込輪体(53g)を噛み合わせ、前記第1掻込輪体(53a)と刈取支持フレーム(25)の長手方向での中間部に設けた第1駆動スプロケット(58)を第1株元搬送チェン(59)で連動し、前記第3掻込輪体(53c)に第2株元搬送チェン(60)を連動し、前記第5掻込輪体(53e)と刈取支持フレーム(25)の先端部近傍に設けた第2駆動スプロケット(61)を第3株元搬送チェン(62)で連動し、前記第7掻込輪体(53g)と下部伝動ケース(38)の左端部から立ち上がる引起伝動軸(57)の上下方向中間部に設けた第3駆動スプロケット(63)を第4株元搬送チェン(64)で連動し、前記第2株元搬送チェン(60)の搬送終端部と第3株元搬送チェン(62)の搬送終端部を第1株元搬送チェン(59)の搬送方向での中間部と後部に夫々合流させ、該第1株元搬送チェン(59)の搬送終端部と第4株元搬送チェン(64)の搬送終端部の間に穀稈合流部(65)を形成し、該穀稈合流部(65)の後側に、刈取穀稈を引き継いで後方へ搬送する引継搬送装置(67)を設け、前記第1株元搬送チェン(59)の上側から引継搬送装置(67)の上側に亘る搬送経路を有した穂先搬送装置(200)を前側の第1穂先搬送装置(200a)と後側の第2穂先搬送装置(200b)とに前後に分割して設け、該第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部を第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部の上側に重合させて配置したことを特徴とする刈取装置。
【請求項2】
前記第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを、刈取支持フレーム(25)における第1駆動スプロケット(58)への出力部(201)に支持させたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置。
【請求項3】
前記第1駆動スプロケット(58)を備えた中間出力軸(25c)を刈取支持フレーム(25)から分岐した筒状の出力部(201)で包囲し、該出力部(201)に前記第2穂先搬送装置(200b)の搬送始端部と第1穂先搬送装置(200a)の搬送終端部とを取付部材(202)を介して支持させたことを特徴とする請求項1記載の刈取装置。
【請求項4】
前記第1穂先搬送装置(200a)を駆動する第1穂先駆動スプロケット(205)を、前記中間出力軸(25c)から自在継手(203)を介して駆動する構成としたことを特徴とする請求項3記載の刈取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−67194(P2011−67194A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73933(P2010−73933)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】