説明

刈払機の操作ハンドル及び刈払機

【課題】刈刃を高速回転させる際の操作性を向上した刈払機の操作ハンドル等を提供する。
【解決手段】回転式の刈刃10を駆動して刈払い対象物を切断する刈払機1に設けられ、刈刃10を回転可能とする運転操作手段130をオン操作することにより調速手段120によって任意に設定された回転速度で刈刃10の調速運転操作が行なわれる操作ハンドル100を、刈刃10の回転速度を一定の高速回転速度に設定する高速制御手段150と、運転操作手段130と高速制御手段150との間に設けられ高速制御手段150のオン操作時に運転操作手段130を連動して動作させる連動機構とを備える構成とし、高速制御手段150のオン操作時に、連動機構により運転操作手段130が連動してオン操作され、高速運転操作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草木等の刈払い作業に用いられる刈払機の操作ハンドル、及び、刈払機に関し、特には、刈刃を高速回転させる際の操作性を向上したものに関する。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、草や小径木を刈り払うための機械である。一般に刈払機は、回転式の刈刃と、刈刃を駆動する動力部を、動力伝達軸を内蔵した操作アームの両端部に有し、作業者は操作アームの中間部に固定されたハンドルに設けられた操作部を操作して作業を行う。
従来は動力部として内燃エンジンを用いることが一般的であったが、近年ではリチウムイオン電池等の二次電池及び電動モータを用いた電動式のものが普及しつつある。
【0003】
一般に、電動式の刈払機は、オンオフレバー(電源スイッチ)を操作することで刈刃の回転が可能となり、調速ダイアル等の調速操作部で刈刃の回転速度を設定することによって、刈刃は所望の回転数で回転する。また、安全性を向上するため、オンオフレバーには安全装置が設けられ、所定の操作を行わなければ刈刃の回転開始操作ができないようになっている。
また、従来、オンオフレバーとは別に、モータの回転数を高回転域に固定する高速回転スイッチを設けた刈払機が知られている。この刈払機は、オンオフレバーを操作しながら高速回転スイッチを操作することによって、一時的に高出力が必要な場合にモータの回転数を高速回転にすることを可能としたものである(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−217843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、刈払機の停止状態から、作業者が直ちに高速運転を所望した場合であっても、(1)安全装置の解除、(2)オンオフレバーの操作、(3)高速回転スイッチの操作という3アクションが必要であり、操作が煩雑である。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、刈刃を高速回転させる際の操作性を向上した刈払機の操作ハンドル、及び、刈払機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、回転式の刈刃を駆動して刈払い対象物を切断する刈払機に設けられ、刈刃を回転可能とする運転操作手段をオン操作することにより調速手段によって任意に設定された回転速度で刈刃の調速運転操作が行われる刈払機の操作ハンドルであって、刈刃の回転速度を一定の高速回転速度に設定する高速制御手段と、運転操作手段と高速制御手段との間に設けられ高速制御手段のオン操作時に運転操作手段を連動して動作させる連動機構とを有し、高速制御手段のオン操作時に連動機構により運転操作手段が連動してオン操作され、高速運転操作が行われることを特徴とする刈払機の操作ハンドルである。
本発明において、運転操作部及び高速制御手段は、所定の軸回りに回転(揺動)可能に設けられ、作業者が手指で握ることによってオンされるレバー状に形成することができるが、これに限らず、例えば押しボタンスイッチやその他の形態のスイッチであってもよい。
また、高速制御手段は、典型的には、動力部を許容される最大回転数で作動させる構成とすることができるが、これに限らず、高速回転における回転数は、通常の調速運転時よりも高い回転数であればよい。
【0006】
請求項2の発明は、運転操作手段と高速制御手段をそれぞれ刈刃の回転を停止させる位置でロックするロック機構と、ロック機構を解除して運転操作手段と高速制御手段をともに操作可能な状態とするロック機構解除操作部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の刈払機の操作ハンドルである。
【0007】
請求項3の発明は、連動機構が高速制御手段のオン操作時に高速制御手段と運転操作手段とを係合する係合部材から構成され、ロック機構が運転操作手段と係合するロック部材から構成されることを特徴とする請求項2に記載の刈払機の操作ハンドルである。
【0008】
請求項4の発明は、刈刃と、刈刃を回転駆動する動力部と、一方の端部に刈刃が装着される操作アームと、操作アームに固定され、動力部を操作する請求項1ないし請求項3の何れかに記載の操作ハンドルとを備える刈払機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)高速制御手段のオン操作時に運転操作手段を連動して動作させる連動機構を備えることにより、作業者が高速運転を意図する場合、高速制御手段を操作するだけで高速運転操作をすることができる。この操作は、通常の調速運転時における操作と比較すると、運転操作手段の操作に代えて高速制御手段を選択するのみの違いであることから、作業者は直感的に調速運転と高速運転とを選択することができ、操作性が向上する。
(2)運転操作手段及び高速制御手段をそれぞれの運転停止位置でロックするロック機構と、ロック機構を解除して運転操作手段及び高速制御手段をともに操作可能な状態とするロック機構解除操作部とを備える構成とすることによって、作業者は、ロック機構解除操作部によってロック機構を解除し、高速制御手段を操作する2アクションで高速運転を開始することができる。この操作は、通常の調速運転時における操作と比較すると、運転操作手段の操作に変えて高速制御手段を操作するのみの違いであることから、作業者は直感的に調速運転と高速運転とを選択することができ、さらに操作性が向上する。
(3)高速制御手段のオン操作時に運転操作手段を連動して動作させる係合部を備え、ロック機構は運転操作手段と係合して運転操作手段をロックするロック部材を有する構成とすることによって、ロック機構が運転操作手段をロックした際に、高速制御手段も運転操作手段及び連動機構を介して間接的にロックすることができる。これによって、ロック機構の構成を簡素化するとともに、既存の操作ハンドルに対しても軽微な設計変更で本発明を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、刈刃を高速回転させる際の操作性を向上した刈払機の操作ハンドル、及び、刈払機を提供する課題を、高速レバーのオン操作時にスロットルレバーと係合してスロットルレバーを連動させる係合部を設けるとともに、スロットルレバーをロックするロック機構を設けることによって解決した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明を適用した刈払機の操作ハンドル及び刈払機の実施例について説明する。
図1は、本実施例の刈払機の外観斜視図である。
刈払機1は、リチウムイオンバッテリの電力で駆動される電動モータを動力源とする電動式のものである。
刈払機1は、刈刃10、動力部20、操作アーム30、ハンドルバー40、操作ハンドル100等を備えて構成されている。
【0012】
刈刃(カッター)10は、刈払い作業の対象となる草木等を切断する回転鋸歯(チップソー)である。刈刃10は、円盤状に形成された金属製の台金の外周縁部に、複数の超硬合金製チップを固定して構成されている。
動力部20は、刈刃10を回転駆動するモータ部21、及び、モータ部21に電力を供給するバッテリ部22をユニット化したものである。
バッテリ部22は、例えばリチウムイオン電池等の2次電池を備え、モータ部21の上部に着脱可能に装着されている。
【0013】
操作アーム30は、刈刃10と動力部20のモータ部21との間に設けられている。操作アーム30は、直線状に伸びて形成された中空筒状の本体部内に、モータ部21の出力を刈刃10側へ伝達する回転軸を収容して構成されている。
操作アーム30の刈刃10側の端部には、刈刃ホルダ31及びブレードカバー32が設けられている。
刈刃ホルダ31は、刈刃10が装着される部分であって、回転軸の回転を刈刃10に伝達する動力伝達機構を備えている。
ブレードカバー32は、刈刃10の作業者側(ハンドルバー40側)の領域をカバーする作業者保護用の部材である。
また、操作アーム30のハンドルバー40と動力部20との間には、作業者が肩に掛けて刈払機1を保持する肩掛けバンドが係止されるフック33が設けられている。
【0014】
ハンドルバー40は、作業者が把持することによって刈払機1を支持する部分である。
ハンドルバー40は、パイプ状の部材によって形成され、その中間部が操作アーム30の中間部と交差するように固定されている。ハンドルバー40は、刈払機1の通常使用時にほぼ水平(作業者から見て左右方向)に伸びた中間部、及び、中間部に対して上反角をつけられた左右両端部が一体に形成されている。
ハンドルバー40は、作業者が左右の手でそれぞれ把持する両端部にハンドルが設けられ、右側のハンドルは以下説明する操作ハンドル100となっている。
【0015】
操作ハンドル100は、作業者が右手で把持するとともに、調速操作、調速運転オンオフ操作、高速運転オンオフ操作、ロック解除操作等の各種操作を行うものである。
なお、刈払機1は、作業者が刈刃10の回転速度を任意に設定可能な調速運転、及び、刈刃10が許容される一定の高速回転数で回転する高速運転を選択可能となっている。
図2は、操作ハンドル100の三面図である。なお、以下の説明において、図2(a)における操作ハンドル100の長手方向における上方向を上方、下方向を下方、手前方向(図2(b)では左方向、図2(c)では奥方向)を前方、奥方向(図2(b)では右方向、図2(c)では手前方向)を後方と称して説明する。
図2(a)、図2(b)、図2(c)は、操作ハンドル100をそれぞれ前方側、左側方側、後方側から見た図である。(図2(b)は図2(a)のb−b部矢視図、図2(c)は図2(b)のc−c部矢視図である。)
【0016】
操作ハンドル100は、本体部110、調速ダイアル120、スロットルレバー130、ロック部材140、高速レバー150、非常停止逆転ボタン160等を備えて構成されている。
本体部110は、例えば樹脂系材料のインジェクション成型によって形成されており、作業者の右手によって把持されるとともに、他の構成要素が装着される基部となる部分である。
本体部110は、右半部111、左半部112からなる左右2つ割りに構成され、内部は中空に形成されている。なお、以下の説明において、本体部110の前方側を前面部、後方側を後面部と称して説明する。
本体部110の下方側には取付穴161が形成されている。操作ハンドル100は、取付穴161にハンドルレバー40の右側端部を挿入し、取り付けられる。本実施態様において、操作ハンドル100は、その前方が刈刃10側、その後方が動力部20側に向いて固定されている。なお、操作ハンドル100は、作業者が手で握ることが出来る部分に取り付ければよく、例えば、ハンドルレバー40の左側端部に固定してもよい。また、操作ハンドル100の取付方法についても、本実施態様に限らない。
【0017】
調速ダイアル120は、作業者が調速運転時における刈刃10の回転速度を調整する調速手段である。調速ダイアル120は、本体部110の左半部112から突出して設けられている。調速ダイアル120は、本体部110内に設けられるロータリポテンショメータに接続されている。このロータリポテンショメータの出力は、図示しない動力部20の制御装置に提供される。
また、本体部110の左半部112には、調速ダイアル120の前方側の領域をガードし、作業者が意図しない回転速度変動を防止する調速ダイアルガード113が一体に形成されている。
【0018】
スロットルレバー(オンオフレバー)130は、作業者が刈刃10の回転開始操作(オン操作)及び停止操作(オフ操作)を行う運転操作手段である。
スロットルレバー130は、本体部110の前面部近傍に設けられている。スロットルレバー130は、その上端部に設けられ左右方向に配置された回転軸を中心に揺動可能に支持され、操作部131が本体部110の前面から突出して配置されている。スロットルレバー130は、操作部131を作業者が手指で握り、本体部110内側へ押し込むことによってオン操作が行われる。また、スロットルレバー130は、操作部131が本体部110の前方側へ繰り出されるように付勢する図示しないリターンスプリングを備え、作業者が手指の力を緩め、あるいは、手指を離すことによってオフ操作が行われる。
【0019】
図3は、操作ハンドル110から右半部111を取り外し、内部が見える状態でスロットルレバー130のロック及びアンロックを行った状態を示す右側面図である。図3(a)はロック状態を示し、図3(b)はロック解除状態を示している。
図4は、スロットルレバー130及び高速レバー150を組み合わせて左斜め下側から見た状態を示す斜視図である。
図5は、スロットルレバー130及び高速レバー150を右斜め後方かつ斜め下方から見た状態を示す分解斜視図である。
図6は、スロットルレバー130及び高速レバー150を左斜め後方かつ斜め上方から見た状態を示す分解斜視図である。
【0020】
スロットルレバー130は、上述した操作部131に加え、円筒部132、ロック部材係合爪133、高速レバー係合突起134(図4、図6参照)等を、例えば樹脂材料のインジェクション成型によって一体に形成して構成されている。
円筒部132は、操作部131の上部に設けられ、その中心軸は左右方向に沿って配置されている。円筒部132の両端部は、操作部131から左右に突出して配置されている。円筒部132には、本体部110側に設けられた図示しない軸部が挿入される。スロットルレバー130は、この軸部の外周面と円筒部132の内周面とが摺動することによって、本体部110に対して揺動する。
【0021】
ロック部材係合爪133は、円筒部132の右端部後面から、後方側へ突出して形成されている。
高速レバー係合突起134は、円筒部132の下側における操作部131の左側面部から突出して設けられ、左側から見た側面形が、上下方向を長辺とするほぼ矩形に形成されている。
【0022】
ロック部材140は、スロットルレバー130がオフ状態に固定されたロック状態にするとともに、所定の解除操作によってスロットルレバー130のオン操作が許可されるロック解除状態とするものである。すなわち、ロック部材140は、係合爪133と協働してスロットルレバー130をロックするロック機構を構成する。
ロック部材140は、図3に示すように、スロットルレバー130の後方に配置されている。
【0023】
ロック部材140は、軸受部141、スロットルレバー係合爪142、ロック解除レバー143等を、例えば樹脂材料のインジェクション成型によって一体に形成して構成されている。
軸受部141は、中心軸を左右方向に沿わせて配置された円筒状の部分であって、その内径側に本体部110側に形成された軸部が挿入される。ロック部材141は、軸受部141の内面と軸部の外周面とが摺動することによって揺動する。
【0024】
スロットルレバー係合爪142は、軸受部142から上方へ突出して形成され、その上端部前縁に、スロットルレバー130のロック部材係合爪133の後端部上面と係合する段部142aが形成されている。
ロック解除レバー143は、軸受部142の後方側に設けられ、後端部が本体部110の後面部から突出して配置されたロック機構解除操作部である。
【0025】
図3(a)に示すように、ロック状態においては、ロック部材140のスロットルレバー係合爪142の段部142aが、スロットルレバー130のロック部材係合爪133の後端部と係合している。これによって、スロットルレバー130のオン操作方向への動作(図3における時計回り)は阻止される。
一方、図3(b)に示すように、ロック解除レバー143を作業者が例えば親指で下側に移動させる。このとき、ロック部材140は図3における反時計回りに回動し、スロットルレバー係合爪142の段部142aがスロットルレバー130のロック部材係合爪133から外れる。これによって、スロットルレバー130は、時計回りの回動が許容され、作業者は操作部131を握って本体部110内側へ押し込むことによって、オン操作を行うことができる。
なお、ロック部材140には、これを本体部110に対して図3における時計回りに付勢する図示しないリターンスプリングが設けられている。これによって、スロットルレバー130がオフ状態でありかつ作業者がロック解除レバー143を解放している(操作していない)場合には、自動的にロック状態となる。
【0026】
高速レバー150は、作業者が高速運転における刈刃10の回転速度を一定の高速回転数に固定する高速制御手段である。
高速レバー150は、本体部110の前面部近傍に設けられ、スロットルレバー130に対して左側に配置されている。
高速レバー150は、スロットルレバー130の揺動中心軸と同じ軸回りに揺動可能に設けられ、操作部151が本体部110の前面部から突出して配置されている。高速レバー150は、操作部151を作業者が手指で握り、本体部110内側へ押し込むことによってオン操作が行われる。操作部151は、上下方向の長さをスロットルレバー130の操作部131に対して小さく形成され、通常の調速運転時にスロットルレバー130の操作部131の操作の妨げとならないようになっている。また、高速レバー150は、操作部151が本体部110の前方側へ繰り出されるように付勢する図示しないリターンスプリングを備え、作業者が手指の力を緩め、あるいは、手指を離すことによってオフ操作が行われる。
【0027】
高速レバー150は、上述した操作部151に加え、円筒部152、スロットルレバー係合段部153を、例えば樹脂材料のインジェクション成型によって一体に形成して構成されている。
操作部151は、高速レバー150の揺動中心軸を中心としたほぼ扇形に形成されたプレート状の部分である。
円筒部152は、操作部151の上部に設けられ、その内径側にスロットルレバー130の円筒部132の左側の端部が挿入されるようになっている。高速レバー150は、これらが相互に摺動することによって、スロットルレバー130及び本体部110に対して揺動する。
スロットルレバー係合段部153は、図5に示すように、操作部151がスロットルレバー130の操作部131と対向する面部に設けられている。スロットルレバー係合段部153には、後方側に面して配置され、スロットルレバー130の高速レバー係合突起134の前面と対向し当接する面部153aが形成されている。この面部153aは、高速レバー係合突起134と協働して、本発明にいう連動機構を構成する。この連動機構の機能について以下説明する。
【0028】
スロットルレバー130及び高速レバー150がともにオフ位置にある場合には、図4に示すように、 高速レバー150の面部153aとスロットルレバー130の高速レバー係合突起134とは当接している。
作業者がスロットルレバー130をオン操作すると、スロットルレバー130のみが本体部110に対して相対回転し、高速レバー150は本体部110に対して相対回転しないことによって、高速レバー係合突起134は面部153aから離間する。このように、スロットルレバー130は、高速レバー150とは独立してオン操作が可能となっている。
【0029】
一方作業者が高速レバー150をオン操作すると、面部153aがスロットルレバー130の高速レバー係合突起134を押すことによって、スロットルレバー130も高速レバー150とともにオン操作方向に本体部110に対して相対回転する。すなわち、高速レバー150のオン操作方向への本体部110に対する相対回転時に、スロットルレバー130も必ず本体部110に対して相対回転するようになっている。
【0030】
非常停止逆転ボタン160は、本体部110の上端部近傍の後面に設けられた押しボタンスイッチであって、非常停止操作及び逆転操作が行われる操作部である。
刈刃10の回転中に非常停止逆転ボタン160を操作すると、刈刃10は直ちに停止されるようになっている。
また、刈刃10の停止中に非常停止逆転ボタン160を操作し、その後スロットルレバー130を回転させると、刈刃10は通常作業時とは逆方向に回転し、刈刃10の絡み取りが可能となっている。
【0031】
以下、本実施例の操作ハンドル100による刈払機1の操作方法について説明する。
先ず、刈払機1の運転開始前においては、ロック部材140のスロットルレバー係合爪142とスロットルレバー130のロック部材係合爪133とが係合したロック状態となっており、スロットルレバー130のオン操作が禁止された状態となっている。また、高速レバー150も上述した係合部を介して間接的にロックされ、オン操作が禁止された状態となっている。
【0032】
刈払機1の調速運転時には、まず、ロック解除レバー143を押し下げてロック部材140とスロットルレバー130との係合(ロック)を解除する。次に、スロットルレバー130をオン操作することによって、調速ダイアル120で予め設定された回転速度で刈刃10の回転が開始される。なお、調速ダイアル120は、刈刃10の回転中に調節することも可能である。そして、スロットルレバー130のオフ操作が行われると、刈刃10の回転は停止し、ロック機構は再びロック状態に復帰する。
【0033】
刈払機1の高速運転時には、ロック解除レバー143を押し下げてロック部材140とスロットルレバー130との係合(ロック)を解除し、高速レバー150とスロットルレバー130を共にオン操作することによって、刈刃10の高速回転が開始される。また、高速レバー150のみをオン操作しても、連動機構の作用によりスロットルレバー130も連動してオン操作される。したがって、作業者は、高速運転を所望するとき、高速レバー150のみを握るだけでよい。なお、既に調速運転が行われている状態から高速運転に移行する場合には、作業者はスロットルレバー130に加えて(あるいはスロットルレバー130に代えて)高速レバー150をオン操作すればよい。そして、高速レバー150のオフ操作が行われると、スロットルレバー130のオン操作が行われている場合には調速運転に移行し、スロットルレバー130が解放されている場合には、刈刃10の回転が停止され、ロック機構はロック状態に復帰する。
【0034】
以上説明した実施例によると、以下の効果を得ることができる。
(1)高速レバー150のオン操作時にスロットルレバー130を連動して動作させるスロットルレバー係合段部153及び高速レバー係合突起134を備えることにより、作業者が高速運転を意図する場合、高速レバー150を操作するだけで高速運転操作をすることができる。この操作は、通常の調速運転時における操作と比較すると、スロットルレバー130の操作に代えて高速レバー150を操作するのみの違いであることから、作業者は直感的に調速運転と高速運転とを選択することができ、操作性が向上する。
(2)スロットルレバー130及び高速レバー150をそれぞれのオフ位置でロックするロック部材140等からなるロック機構と、ロック機構を解除してスロットルレバー130及び高速レバー150をともに操作可能な状態とするロック解除レバー143とを備える構成とすることによって、作業者は、ロック解除レバー143によってロック機構を解除し、高速レバーを操作する2アクションで高速運転を開始することができる。この操作は、通常の調速運転時における操作と比較すると、スロットルレバー130の操作に代えて高速レバー150を操作するのみの違いであることから、作業者は直感的に調速運転と高速運転とを選択することができ、さらに操作性が向上する。
(3)ロック機構はスロットルレバー130のロック部材係合爪133と係合してスロットルレバー130をロックするロック部材140を有する構成とすることによって、ロック機構がスロットルレバー130をロックした際に、高速レバー150もスロットルレバー130及び連動機構を介して間接的にロックすることができる。これによって、ロック機構の構成を簡素化するとともに、既存の操作ハンドルに対しても軽微な設計変更で本発明を適用することができる。
【0035】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)上述した実施例の刈払機は例えば電動式のものであるが、本発明は内燃エンジンを動力源とする刈払機にも適用することができる。この場合、高速運転は、内燃エンジンのスロットルを全開とする構成にすることができる。
(2)各操作部の形状、構造、操作方法等は上述した実施例のものに限定されず、適宜変更することができる。例えば、運転操作手段や高速制御手段を、軸回りに揺動するレバーに代えて、例えば押しボタンスイッチ等に変更してもよい。また、運転操作手段の操作方法やロック解除方法も特に限定されない。
(3)上述した実施例では、ロック機構は直接的には運転操作手段のみをロックし、高速制御手段は連動機構を介して間接的にロックされる構成としているが、ロック機構が運転操作手段及び高速制御手段をそれぞれ直接ロックする構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を適用した刈払機の実施例の外観斜視図である。
【図2】図1の刈払機の操作ハンドルの三面図である。
【図3】図2の操作ハンドルから右半部を取り外した状態を示す右側面図であって、ロック状態、ロック解除状態をそれぞれ示す図である。
【図4】図2の操作ハンドルのスロットルレバー及び高速レバーを組み合わせて左斜め下側から見た状態を示す斜視図である。
【図5】図2の操作ハンドルのスロットルレバー及び高速レバーを右斜め後方かつ斜め下方から見た状態を示す分解斜視図である。
【図6】図2の操作ハンドルのスロットルレバー及び高速レバーを左斜め後方かつ斜め上方から見た状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 刈払機 10 刈刃
20 動力部 21 モータ部
22 バッテリ部 30 操作アーム
31 刈刃ホルダ 32 ブレードカバー
33 フック 40 ハンドルバー
100 操作ハンドル 110 本体部
111 右半部 112 左半部
113 調速ダイアルガード 120 調速ダイアル(調速手段)
130 スロットルレバー(運転操作手段) 131 操作部
132 円筒部 133 ロック部材係合爪
134 高速レバー係合突起 140 ロック部材
141 軸受部 142 スロットルレバー係合爪
142a 段部 143 ロック解除レバー
150 高速レバー(高速制御手段) 151 操作部
152 円筒部 153 スロットルレバー係合段部
153a 面部 160 非常停止逆転ボタン
161 取付穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式の刈刃を駆動して刈払い対象物を切断する刈払機に設けられ、前記刈刃を回転可能とする運転操作手段をオン操作することにより調速手段によって任意に設定された回転速度で前記刈刃の調速運転操作が行われる刈払機の操作ハンドルであって、
前記刈刃の回転速度を一定の高速回転速度に設定する高速制御手段と、
前記運転操作手段と前記高速制御手段との間に設けられ前記高速制御手段のオン操作時に前記運転操作手段を連動して動作させる連動機構とを有し、
前記高速制御手段のオン操作時に前記連動機構により前記運転操作手段が連動してオン操作され、高速運転操作が行われることを特徴とする刈払機の操作ハンドル。
【請求項2】
前記運転操作手段と前記高速制御手段をそれぞれ前記刈刃の回転を停止させる位置でロックするロック機構と、前記ロック機構を解除して前記運転操作手段と前記高速制御手段をともに操作可能な状態とするロック機構解除操作部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の刈払機の操作ハンドル。
【請求項3】
前記連動機構は、前記高速制御手段のオン操作時に前記高速制御手段と前記運転操作手段とを係合する係合部材から構成され、前記ロック機構は、前記運転操作手段と係合するロック部材から構成されることを特徴とする請求項2に記載の刈払機の操作ハンドル。
【請求項4】
刈刃と、
前記刈刃を回転駆動する動力部と、
一方の端部に前記刈刃が装着される操作アームと、
前記操作アームに固定され、前記動力部を操作する請求項1ないし請求項3の何れかに記載の操作ハンドルとを備える刈払機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−219427(P2009−219427A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67130(P2008−67130)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】