説明

初期胚発生における発生及び/又は発生関連遺伝子のトランスジェニック過剰発現を通して増大された種子サイズ及び種子数

本発明は植物における種子サイズ及び/又は種子数を増大させる方法及び組成物を提供する。特に、この方法及び組成物は植物成長及び/又は発生に関係又は関連する遺伝子を胚発生中に過剰発現させる。初期特異的胚プロモーターの制御下で、植物成長及び/又は発生関連遺伝子を有する遺伝子構築物を用いて形質転換されたトランスジェニック植物は、より大きく及び/又は数の多い種子を生産するフィールドにおいて成熟植物を提供する。高い収量表現型を有するトランスジェニック植物を提供する成長及び発生関連遺伝子を選択する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本明細書は2005年12月15日出願の米国特許出願第60/750,991号(この出願を本願に援用する)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
作物改良のためのターゲットとして最も重要な形質は収量である。新しい植物種を開発することによって収量を上げようとする努力は2つのアプローチに分類できる。1つには、旱魃、低温又は塩などの非生物的ストレス条件あるいは害虫又は病原体から生じる生物ストレス条件に対する抵抗性を増大させた作物品種を育種又は操作することによって収量損を低減させることである。この方法は価値があるが、ストレス条件が存在しないと収量を根本的には向上させることができない。
【0003】
第2のアプローチは、基本的収量が増大された新しい作物品種を育種又は操作することである。従来の育種プログラムは、最初は、様々な作物における収量向上において相当な利益を生んだ。一般的に経験されるパターンは、最初は相当な収量の利益があったが、増加的な更なる改善は益々小さくなり、得ることが困難になる。
【0004】
分子生物学的テクノロージーに基づく近年開発されたアプローチは、原理的には、植物成長及び/又は発生の役割を担う植物遺伝子の発現のタイミング、場所、又はレベルを変えることによって収量を大幅に改善することを実現するための可能性を提供した。植物成長及び/又は発生の役割を担う植物遺伝子を同定することには、過去20年でかなりの進歩があった。植物成長調節及びそれが結局のところ収量形質に如何に関連しているかは複雑であるために、もしあるとしても、これら遺伝子のうちのどれが収量を改善するための明確な候補となるかは依然明らかとなっていない。
【0005】
成長及び/又は発生機能を有する植物遺伝子を同定するためになされた研究の大半は、モデル植物系シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いて行われている。REVOLUTA(REV)と呼ばれるそういった遺伝子の1つは、rev1と呼ばれるシロイヌナズナ(Arabidopsis)において機能欠損型突然変異体として初めは同定された(非特許文献1)。この突然変異は植物の成長及び形態に多面発現効果を及ぼした。関心のあったrev1突然変異体の1つの表現型は非常に大きな種子であった。この表現型は農業的に好ましい可能性があったが、残念ながら、花と種子の数の低減、不育(infertility)及び葉の形態が変化することなど、望ましくない形質を伴った。このrev1突然変異体は種子が大きいことに加えて、葉、茎、花が大きい。
【0006】
REV遺伝子はマップベースクローニング法(特許文献1、この特許を本願に援用する)によって同定され、転写因子群のホームドメイン−ロイシンイッパー(home domain-leucine zipper:HD−ZIP)ファミリーに属する転写因子であることが証明された。植物においては、HD−Zip遺伝子は、脈管組織発生、毛状突起及び根毛の発生、及び光調節応答(light-regulated response)などの多数の発生経路に関与している。rev1は機能欠損型突然変異体になり易かったので、逆方向反復REV(REV−IR)構築物を発現させることによって、又はREV遺伝子の強力な過剰発現により惹起される共抑制を介して、トランスジェニックシロイヌナズナのREV機能を不活化させる努力がなされた(特許文献1)。REV−IR構築物は弱いrev1表現型を生じた。さらに大型で重い種子を含んだrev1表現型も、REV過剰発現系に観察され、この系では植物全体にわたるREVトランス遺伝子の強力な構成的発現が構成的35Sプロモーターによって引き起こされた。この作用はREVmRNAレベルの増大に相関しており、それが内因性REV遺伝子の共抑制に起因するものではないことを示していることは興味深い。抑制ではなくREV過剰発現が種子サイズを増大させたという事実は重要であった。これはその事実がrev1突然変異体に関する従来の研究に基づいて予期されなかったことによる。
【0007】
植物全体にわたるREVトランス遺伝子の強力な構成的発現はrev1突然変異体の大きな種子表現型を模倣したが、rev1突然変異体について見られる望ましくない表現型も複製した。REVトランス遺伝子の構成的過剰発現の技術的に単純なアプローチにより大きな種子サイズ表現型を得る能力は有望であったが、望ましくない表現型はこのアプローチが商業的な農業用途には実行可能でないことを意味した。
【0008】
多数の作物種に関してこの植物の農業的に関連する部分はその種子である。全般的な構成的REV過剰発現の副作用を生じずに大きな種子形質を得ることができれば、農業的に非常に有用なものとなる可能性がある。この問題を克服するために考えられる1つのアプローチは、REV過剰発現を特異的に種子に限定することである。REVトランス遺伝子発現を引き起こすのに用いることのできる可能性のある多数の種子特異的プロモーターが既に周知であり、特徴付けされているが、種子に限定されたREV過剰発現が、原理上、増大された種子サイズを実際に生じることを示唆する証拠はない。ある植物の種子における内因性REV遺伝子の自然な機能は、細胞成長又は細胞分割にあるのではなく、分裂開始及び向軸性の細胞運命決定(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)にあることが周知である。また、35S/REV過剰発現植物における大きな種子サイズ表現型が、種子における又は胚発生中におけるREVの過剰発現に起因するか、あるいはそれに代わり、植物組織全体にわたるREV過剰発現によって生じる植物の全体的な成長や発生に対する作用に起因するものかどうかは分かっていない。
【0009】
種子サイズ決定に影響するであろう種子におけるREVの生物学的機能が知られていないことに加え、REVトランス遺伝子を過剰発現させて種子サイズの増大を実現する試みにとって種子のどの部分又は種子発生中のどの段階が最良であるかを示す情報がない。
【特許文献1】WO01/33944
【特許文献2】WO2004/063379
【特許文献3】米国特許第5,516,668号
【特許文献4】米国特許第5,824,857号
【特許文献5】米国特許第5,955,362号
【特許文献6】米国特許第5,969,213号
【特許文献7】米国特許第5,780,798号
【特許文献8】米国特許第5,959,179号
【特許文献9】米国特許第5,914,451号
【特許文献10】米国特許第5,591,616号
【特許文献11】米国特許第5,464,765号
【特許文献12】米国特許第5,968,830号
【特許文献13】米国特許第5,969,215号
【特許文献14】米国特許第5,731,179号
【特許文献15】米国特許第5,712,135号
【特許文献16】WO01/33944A1号
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【非特許文献93】Kleinら、Plant Physiol.91:440〜444、1989
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【非特許文献96】Barceloら、Plant J.5:583〜592、1994
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【非特許文献98】Christou、Plant MoL Biol.35:197〜203、1997
【非特許文献99】Finerら、Curr.Top.Microbiol.Immunol.240:59〜80、1999
【非特許文献100】Birch,Ann.Rev.Plant Phys.Plant MoL Biol.48:297、1997
【非特許文献101】Foresterら、Exp.Agric.33:15〜33、1997
【非特許文献102】Rossakら、Plant MoI.Biol.46:717〜725,2001
【非特許文献103】McBrideら、Plant MoI.Biol.14:269〜276、1990
【非特許文献104】Simmonds及びDonaldson、Plant Cell Reports 19:485〜490、2000
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、当該遺伝子を過剰発現させない野生型植物に比して種子サイズの増大が得られる、胚発生の初期中に成長及び/又は発生関連遺伝子の胚特異的過剰発現を提供する。特定の実施態様では、REV遺伝子は初期胚特異的プロモーターを用いて過剰発現された。種子サイズの増大形質は、植物全体にわたるREVの構成的過剰発現について見られる有害な副作用を生じることなく達成された。また、REVの胚特異的過剰発現は、野生型植物に比して植物1つ当たりの総種子数が増大するという予期しなかった結果を生じた。総種子数の増大は、鞘1つ当たりの種子数の増大、植物1つ当たりの総状花序数の増大、総状花序1つ当たりの鞘数の増大、種子不稔率の低減、あるいはこれら作用の組み合わせから生じた。これと共に、発生中の胚におけるREVの過剰発現から生じる増大された種子サイズ及び増大された種子数は、野生型植物に比して総収量を相当に増大させ、また植物成長及び/又は発生に関連する遺伝子を初期胚特異的プロモーターに関連して過剰発現させて植物収量を増大できることを実証するものである。
【0011】
本発明はトランスジェニック植物における種子サイズ及び/又は種子数を増大させる方法及び組成物を提供する。特に、本発明は、植物成長及び/又は発生に関連する遺伝子と作用的に関連する初期特異的胚プロモーターを用いて、トランスジェニック植物の発生中の種子において、その遺伝子及び/又はその遺伝子によってコードされたタンパク質を過剰発現させることに関連する。トランスジェニック植物において種子発生のこの初期中に遺伝子を過剰発現させることは、野生型植物に比して、トランスジェニック植物において種子生産量を増大させ及び/又は種子サイズを増大させる。
【0012】
本発明の特定の実施態様では、REV遺伝子を初期特異的胚プロモーターと作用的に関連させて、トランスジェニック植物の発生中の種子においてREVタンパク質を過剰発現させた。種子発生のこの初期中にREVを過剰発現させることにより、驚くべきことに、REVを植物全体にわたって過剰発現させたときに見られた有害な副作用を生じることなく、トランスジェニック植物において種子サイズ及び種子生産量が増大された。
【0013】
初期胚発生中の種子において植物成長及び/又は発生に関連する遺伝子を過剰発現させることを含む、植物において種子サイズを増大させる方法も提供される。特に、この方法は初期特異的胚プロモーターの制御下で成長及び/又は発生関連遺伝子を種子に過剰発現させることを含む。初期特異的胚プロモーターは植物に対してヘテロ接合性又はホモ接合性である。本発明のある種の実施態様では、プロモーターは、AAP1などのアミノ酸パーミアーゼ遺伝子(amino acid permease gen)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子、FAE1などの脂肪酸伸長酵素遺伝子、又は葉状子葉遺伝子に関連する初期特異的プロモーターである。本発明において有用な特定のプロモーターには、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のAAP1プロモーター、レスクェレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)由来のオレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター(LFAH12)、2S2遺伝子プロモーター、又はシロイヌナズナ由来の葉状子葉遺伝子LEC2プロモーターを挙げることができる。
【0014】
本発明の特定の実施態様では、REV遺伝子を初期特異的胚プロモーターと作用的に関連させた。この方法では、REV遺伝子が種子の初期発生中に過剰発現され、野生型植物に比して種子サイズ及び種子数が増大される。
【0015】
本発明の方法を用いて、単子葉植物又は双子葉植物として特徴付けされる植物において種子サイズ及び/又は種子数を増大させることができる。特に、この方法を用いて、アブラナ科(Brassicacea)(Cruciferae)、イネ科(Gramineae)、アオイ科(Malvaceae)、又はLeguminosae−Papilionoideaeのメンバーである植物において種子サイズ及び/又は種子数を増大させることができる。本発明の方法に使用するのに関心のある特定の植物には、キャノーラ(canola)、トウモロコシ(corn)、カメリナ(camelina)、綿花(cotton)、ムラサキウマゴヤシ(alfalfa)、大豆(soybean)、小麦(wheat)、イネ(rice)、又はオオムギ(barley)が挙げられる。
【0016】
また、本発明は、1つ以上の制御配列に作用的に連結された植物成長及び/又は発生に関連する遺伝子核酸配列を含む遺伝子構築物を提供する。1つ以上の制御配列は胚発生中の遺伝子の発現を促進できる。特に、本発明の遺伝子構築物は初期特異的胚プロモーターを含んだ制御配列を含む。この初期特異的胚プロモーターは、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターを含む。本発明の典型的な遺伝子構築物は、シロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、レスクェレラ・フェンドレリ由来のオレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター(LFAH12)、シロイヌナズナ由来の2S2遺伝子プロモーター、シロイヌナズナ由来の脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーター、又はシロイヌナズナ由来の葉状子葉遺伝子2プロモーターを含む。 本発明の特定の遺伝子構築物はシロイヌナズナ由来のREV遺伝子に作用的に関連する初期特異的胚プロモーターを含む。この遺伝子構築物はまた作用的に関連するポリA配列を含む。
【0017】
本発明はまた種子サイズ及び/又は種子数が増大されたトランスジェニック植物を生産する方法を提供する。この方法は(a)植物又は植物細胞に上記遺伝子構築物を導入し、再生及び成熟移植物成長を促進する条件下で、該遺伝子構築物を含む植物又は植物細胞を栽培することを含む。典型的には、この方法は相当する野生型植物に比して種子サイズ及び/又は種子数が増大されたトランスジェニック植物を生産する。上記遺伝子構築物を含むトランスジェニック植物は単子葉植物又は双子葉植物であり、ここでは特に、単子葉植物はイネ科のメンバーである。特に関心のあるイネ科由来の植物には、イネ、オート麦(oat)、トウモロコシ、又は小麦が挙げられる。更に、本発明のトランスジェニック植物はアブラナ科(Brassicacea(Cruciferae)、アオイ科(Malvaceae)、又はLeguminosae−Papilionoideae科の植物である。特に、その場合において、トランスジェニック植物は大豆、綿花、カメリナ、ムラサキウマゴヤシ、又はキャノーラである。
【0018】
本発明はまた初期特異的胚プロモーターと機能的に関連されたときに植物収量を増大させる遺伝子を選択する方法を提供する。この方法は、初期特異的胚プロモーターと機能的に関連する植物成長及び/又は発生に関連する遺伝子を含んだ発現ベクターを構築すること、発現ベクターを用いて植物細胞をトランスフェクトしてトランスジェニック植物を形成すること、トランスジェニック植物を成長させること、増大された収量を有するトランスジェニック植物を選択することを含む。収量が増大されたトランスジェニック植物を産生する遺伝子が、トランスジェニック植物を更に発生させるために選択される。本発明に用いることができる遺伝子には、限定するものではないが、例えば、CAP(シクラーゼ関連タンパク質)遺伝子、イネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子、E2Fc遺伝子、BKI遺伝子、BRIl遺伝子、ARL(Argos-Like)遺伝子、bril(ブラシノステロイドホルモン認識=brassinosteroid hormone perception)遺伝子、FATB遺伝子、ペピーノ(Pepino)遺伝子、RGS(Gタンパク質シグナリング調節因子)遺伝子、TIP1遺伝子、BB(Big Brother)遺伝子、RHD2遺伝子、INCW2遺伝子、MNl遺伝子、WAK2遺伝子、WAK4遺伝子、AP2遺伝子、等が上げられる。
【0019】
図1は初期胚発生中の胚特異的プロモーターの発現プロフィールを示す図である。シロイヌナズナ胚発生中の大まかな段階:初期球状=授粉後(DAP)2日目、心臓=授粉後4日目、トルペド(torpedo)=授粉後6日目、walking stick=授粉後7日目、初期成熟胚=授粉後8日目
【0020】
図2は、REVOLUTA及び非REVOLUTAのHD−ZIPIIIクラス転写因子のある領域のアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸配列のこの領域はHD−ZIPIIIタンパク質をタンパク質のREVOLUTA又は非REVOLUTAクラスに属するものと定めるアミノ酸配列の特徴的な差を含む。配列の四角で囲んだ部分は、非REVOLUTA HD−ZIPIIIタンパク質を画定するアミノ酸配列挿入の部位を示す。REVOLUTAタンパク質はアミノ酸配列挿入が無いことによって画定される。
Athb−9(シロイヌナズナ;配列番号:2);Athb−14(シロイヌナズナ;配列番号:3);REV(シロイヌナズナ;配列番号:4);BnLfREV(セイヨウアブラナ;配列番号:5); OsREVl(イネ;配列番号:6);ZmRLDl(トウモロコシ;配列番号:7);OsREV2(イネ;配列番号:8);Athb−15(シロイヌナズナ;配列番号:9);及びAthb−8(シロイヌナズナ;配列番号:10)
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は野生型植物に比して種子サイズ及び/又は種子数が増大された植物を生産するのに有用な方法及び組成物を提供する。特に、この方法は植物の胚において、植物成長及び/又は発生に関与する遺伝子を過剰発現させることを含む。トランス遺伝子の過剰発現の結果、植物において、種子サイズが増大され及び/又は種子数が増大する。特定の実施態様では、REVOLUTA(REV)遺伝子を過剰発現させた。本発明の各方法におけるREVトランス遺伝子は、胚発生中に発現を開始する、特に初期特異的胚発生中に発現を開始するプロモーターに調節される。予期せぬことに、初期胚発生中のREVトランス遺伝子の過剰発現は、種子を大きく及び/又は多くした。
【0022】
植物成長及び/又は発生に関与する遺伝子の過剰発現により種子サイズが増大されるかどうかを決定するための最初の試みとして、REV遺伝子を種子にターゲッティングし、REV発現を惹起するために胚特異的プロモーターを含むREVトランス遺伝子構築物を試験した。シロイヌナズナ胚発生中に発現プロフィールが十分に特徴付けされた多数の胚特異的プロモーターの利用可能性により、幾つかの異なるが、重なり合う胚発生相にREV過剰発現をターゲッティングしたトランスジェニック植物を作製することが可能となった。シロイヌナズナREVトランス遺伝子構築物をキャノーラに導入して試験に供した。直接キャノーラに導入することの論拠は、シロイヌナズナゲノムがキャノーラに非常に関連しているので、シロイヌナズナにおいて決定されたようなプロモーターに特徴的な既知の発現をキャノーラに持ち込み易く、またキャノーラが作物種であることにある。キャノーラの種子サイズへの作用を実証することは、直接的な農業的関連を有するであろう。第2の例では、シロイヌナズナREVである。
【0023】
本明細書で用いられる場合、植物成長及び/又は発生関連遺伝子とは、植物の成長速度、全体サイズ、組織サイズ、又は組織数を決定する役割を担うか、あるいは、組織同一性及び形態の決定に至る植物発生プログラムの役割を担う遺伝子のことである。そういった成長及び発生関連遺伝子は、突然変位、過剰発現、又は発現の抑制によるその機能の改変が、変えられた植物成長速度、全体的な植物サイズ、組織サイズ又は数を変えるか、又は発生を変えたときに同定される。植物及び成長関連遺伝子は数多くの機構にその作用を及ぼし得る。この機構の一部には、細胞周期の調節、植物ホルモン合成/分解経路、植物ホルモンに対する感受性、細胞壁生合成、細胞同一性決定、等を含む。
【0024】
過剰発現又は抑制分析により、多数の植物遺伝子が成長及び/又は発生の役割を担うことが明らかとなっている。成長及び/又は発生に関与することが知られており、本発明の方法において使用又は試験することのできる遺伝子の幾つかの例を以下で考察するが、限定するものではない。シロイヌナズナCAP遺伝子はRas−cAMPシグナリング及びアクチン細胞骨格アクチン細胞骨格の調節に関与するシクラーゼ関連タンパク質をコードする。グルココルチコイド誘導プロモーターの下でCAPを過剰発現させれば、表皮細胞と葉肉細胞の伸長が低減されることに起因して、アクチンフィラメントが失われ、葉のサイズが縮小する(非特許文献6)。綿花においてショ糖合成酵素遺伝子の発現を抑制すれば、細胞線維長は低減され、繊維細胞は小さく、少なくなる(非特許文献7)。トランスジェニックイネにおいてABA誘導プロモーターを用いてイネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子を過剰発現させれば、その結果、野生型に比して、成長速度及び異常なシュート及び根組織が増大した植物が得られた(非特許文献8)。RNAiによりシロイヌナズナにおいてE2Fcを抑制すれば、葉、分裂組織、及び内鞘細胞の増殖活性が増大される。器官内の細胞は小さくなったものの、野生型よりも数が多くなり、葉においては倍数性レベルが低減された(非特許文献9)。RNAiによるBKI遺伝子の抑制により胚軸長が増大された幼苗が得られ、BKIの過剰発現により矮性植物が得られた(非特許文献10)。部分的に構成的なステロイド受容体BRIlを発現するトランスジェニック植物は長い胚軸を有する(非特許文献11)。シロイヌナズナにおいてArgos−Like(ARL)を抑制すると、子葉、葉、他の側方器官は小さくなったが、過剰発現させたところ、反対の作用が生じた。器官サイズの変化は、細胞数によるものではなく、細胞サイズに起因する可能性がある(非特許文献12)。
【0025】
成長及び/又は発生表現型を改変させる突然変異体を有する植物を分析したところ、植物の生長と発生の役割を担う多数の遺伝子が同定された。ブラシノステロイドホルモン知覚、bril−5に影響を及ぼす突然変異体は、矮性植物を生じる(非特許文献11)。アシル−アシルキャリアタンパク質チオエステラーゼをコードするシロイヌナズナFATB遺伝子においてT−DNA挿入(ノックアウト)したところ、成長速度、生体重及び発芽率が低減された(非特許文献13)。推定上の抗ホスファターゼであるペピーノにおける機能欠損型突然変異が、茎頂分裂組織に腫瘍様細胞増殖を示し、異常な葉を過剰に生じた(非特許文献14)。シロイヌナズナRGS遺伝子(Gタンパク質シグナリングの調節因子)は Gタンパク質共役受容体(GPCR)の構造を有しており、RGSボックスを含む。RGSタンパク質はGaサブユニットの不活化を加速し、ひいてはGPCRシグナリングを低減させる。ヌルrgs突然変異体は、暗所で成長させた胚軸において細胞伸長を増大させ、明所で成長させた根において細胞産生を増大した(非特許文献15)。シロイヌナズナTIPl遺伝子は根毛発生の役割を担い、細胞成長の役割も行う。tip1−2突然変異体はより小さなロゼット、縮小された高さ、及びより短い節間を有する(非特許文献16、非特許文献17)。非常に小さなBig Brother mRNAを生じるか、又はそれを全く生じないBig Brother(BB)遺伝子の突然変異体(染色体再配置又はT−DNA挿入)は、花器は大きくなり、花の生体量(flower biomass)は多くなり、茎は厚くなる。逆に、Big Brotherを過剰発現させると、花器は小さく、花の生体量は少なく、茎は薄くなり、葉のサイズは縮小する。BBは細胞数を変えることもある(非特許文献18)。RHD2遺伝子は反応性酸素種の根毛中への蓄積及びこれに続くカルシウムチャネルの活性化にとって重要なNADPHオキシダーゼをコードする。rhd2突然変異体は根の先端成長細胞(tip growing cell)の細胞増殖に障害がある(非特許文献19)。トウモロコシにおける小さな突然変異は、INCW2遺伝子から発現される細胞壁型インベルターゼの欠損を生じさせる。mn1突然変異体の細胞は野生型よりも小さく、mn1種子突然変異体は、野生型種子の内胚乳重量の20%しかない。細胞増殖はmn1内胚乳の周辺層の細胞内で弱められることがあり、これら細胞の有糸分裂活性を低下させることがある(非特許文献20)。WAK2、wak2−1のT−DNA挿入突然変異体は根において細胞伸長を低減させた。WAK2は液胞型インベルターゼ活性の調節により細胞増殖を制御し得る。植物においてWAK2又はWAK4の誘発性アンチセンスの発現が、細胞伸長を妨げ、矮性植物を産む(非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23)。シロイヌナズナ遺伝子AP2は、花器の同定及び花芽分裂組織同定の確立の役割を担う。AP2の機能欠損突然変異は、野生型に比して種子質量の増大を生じた(非特許文献24)。teb突然変異体は根が短く、葉が鋸歯状で、帯化がある。teb突然変異体は、G2/M細胞周期進行の異常によって生じ得る細胞分割の異常を示す(非特許文献25)。
【0026】
用語「成長及び/又は発生遺伝子」又は「成長及び/又は発生トランス遺伝子」は本明細書で用いられる場合、遺伝子によってコードされたヌクレオチド又はタンパク質の発現及び/又は産生をコード又は促進する任意のポリヌクレオチド配列を意味する。したがって、用語「成長及び/又は発生遺伝子」又は「成長及び/又は発生トランス遺伝子」は、ヌクレオチド及び/又はタンパク質コード配列に隣接(flank)する配列を含み得る。例えば、この配列はタンパク質コード配列(エクソン)、介在配列(イントロン)、遺伝子の正常な発現に必要な配列を含む隣接する5’及び3’DNA領域(すなわち、それぞれプロモーター領域とポリA追加領域、及び任意のエンハンサー配列)であるヌクレオチド配列を含み得る。
【0027】
本明細書では、用語「成長及び/又は発生タンパク質」、「成長及び/又は発生ホモログ」又は「成長及び/又は発生関連オルソログ」は、植物の成長速度、全体的サイズ、組織サイズ、又は組織数を調節するか、又は組織の同一性及び形態(本発明の方法を実施する際に利用される場合)の決定に繋がる発生プログラムを調節する能力を有し、かつ、遺伝子のアミノ酸配列と、少なくとも約70%同一、更に典型的には少なくとも約75 %同一、より典型的には少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を有する、タンパク質を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「胚特異的遺伝子」とは、植物において胚発生中に優先的に発現される遺伝子である。この開示のために、胚発生は、接合子における最初の細胞分裂から始まり、(成熟、乾燥、休眠を特徴とする)胚発生後期まで続き、成熟及び乾燥した種子の生成で終了する。胚特異的遺伝子は、「初期特異的」及び「後期特異的」としてさらに分類することができる。初期特異的遺伝子は、胚形態形成の終了まで胚において発現される遺伝子である。後期特異的遺伝子は、成熟から、成熟し乾燥した種子の生成まで発現される遺伝子である。初期胚発生中に発現を開始し、初期特異的である胚特異的遺伝子の例を図1に示す。
【0029】
「異種配列」とは、異なる種から始まるか、あるいは同じ種から始まる場合には、その元の形態から実質的に改変されたオリゴヌクレオチド配列である。例えば、構造遺伝子に作用的に連結されたヘテロ接合プロモーターは、構造遺伝子が由来する種とは異なる種からのもであるか、同じ種からのものである場合には、その元の形態から実質的に改変されたものである。
【0030】
用語「ベクター」とは典型的には二本鎖のDNA断片を指し、外来DNAの断片に挿入され得る。ベクター又はレプリコンは例えば、プラスミド性又はウイルス性のものであり得る。ベクターはベクターの自己複製を宿主細胞において促進する「レプリコン」ポリヌクレオチド配列を含む。この開示の文脈において用語「レプリコン」はまた、ベクター配列の宿主染色体へ再結合をターゲッティングするか、あるいは促進するポリヌクレオチド配列領域を含む。また、外来DNAはまず、例えばDNAウイルスベクターに挿入され得るが、このウイルスベクターDNAの宿主細胞への形質転換は、ウイルスDNAのウイルスRNAベクター分子への転換を生じ得る。外来DNAはヘテロ接合DNAであるとして定義され、宿主細胞には天然には見出されないDNAであり、例えば、ベクター分子を複製し、選択可能又はスクリーニング可能なマーカー又はトランス遺伝子をコードする。ベクターは外来又はヘテロ接合DNAを適した宿主細胞に輸送するのに用いられる。宿主細胞に入ると、ベクターは宿主染色体DNAとは独立して、又はそれと同時に複製することができ、ベクターの幾つかのコピー及びその挿入されたDNAが生成され得る。あるいは、ベクターは外来又はヘテロ接合DNAの宿主染色体への挿入をターゲティングすることができる。また、ベクターは挿入されたDNAのmRNA分子への転写を可能にするか、又は挿入されたDNAのRNAの複数のコピーへの複製を生じさせる必要な要素を含み得る。幾つかの発現ベクターは追加で、mRNAのタンパク質分子への翻訳を可能にする挿入されたDNAに隣接する配列要素を含む。挿入されたDNAによってコードされたmRNA及びポリペプチドの多数の分子は、このようにして迅速に合成され得る。
【0031】
用語「トランス遺伝子ベクター」とは挿入されたDNA断片を含んだベクターを指し、「トランス遺伝子」はmRNAに転写されるか、宿主細胞内でRNAとして複製される。用語「トランス遺伝子」とは、RNAに転換された挿入されたDNAの部分を指すだけでなく、RNAの転写又は複製に必要なベクターの部分も指す、また、トランス遺伝子はタンパク質を産生することができるオープン・リーディング・フレームを含んだポリヌクレオチド配列を必ずしも含む必要はない。
【0032】
用語「形質転換された宿主細胞」、「形質転換された」、「形質転換」は、胞へのDNAの導入を意味する。この細胞は「宿主細胞」と呼ばれ、原核細胞又は真核細胞であってよい。典型的な原核宿主細胞には種々のE.coli株が挙げられる。典型的な真核宿主細胞は、植物細胞(例えば、キャノーラ細胞、綿花細胞、カメリナ細胞、ムラサキウマゴヤシ細胞、大豆細胞、イネ細胞、オートムギ細胞、小麦細胞、オオムギ細胞、又はトウモロコシ細胞、等)、酵母細胞、昆虫細胞、又は動物である。導入されたDNAは通常、挿入されたDNA片を含んだベクターの形態である。導入されるDNA配列は宿主細胞と同じ種から、又は宿主細胞とは異なる種から得てよいか、又は、一部の外来DNAと一部の宿主種由来のDNAを含んだハイブリッドDNA配列であってもよい。
【0033】
用語「植物」は植物全体、植物の器官(例えば、葉、幹、花、根など)、種子及び植物細胞(組織培養細胞を含む)並びにこれらの後代を含む。本発明の方法において使用可能なクラスの植物は、一般に、形質転換技術を受けやすい高等植物のクラスと同じ程度広く、単子葉植物や双子葉植物のほか、藻類などの下等植物を含む。これには多倍数体、二倍体、半数体、半接合体を含む種々のレベルの倍数性植物が挙げられる。
【0034】
「異種配列」は外来種からの配列であるか、同種からの場合は、その元の形態から実質的に改変された配列である。例えば、構造遺伝子に作用的に結合されたヘテロ接合プロモーターは、構造遺伝子が由来する種とは異なる種からのもであるか、同じ種からのものである場合には、その元の形態から実質的に改変されたものである。
【0035】
本明細書では、用語「REVOLUTA遺伝子」又は「REVOLUTAトランス遺伝子」とは、REVOLUTAタンパク質の発現及び/又は産生をコード又は促進する任意のポリヌクレオチド配列を意味するのに用いられる。したがって、用語「REVOLUTA遺伝子」「REVOLUTAトランス遺伝子」は、REVOLUTAタンパク質コード配列に隣接する配列を含み得る。例えば、この配列は、タンパク質コード配列(エクソン)、介在配列(イントロン)、REVOLUTA遺伝子の正常な発現に必要な配列を含んだ5’ DNA領域及び3’DNA領域(すなわち、それぞれプロモーター領域及びポリA追加領域、並びに任意のエンハンサー配列)であるヌクレオチド配列を含み得る。
【0036】
本明細書では、用語「REVOLUTAタンパク質」、「REVOLUTAホモログ」又は「REVOLUTAオルソログ」とは、植物細胞分割(本発明の方法を実施する際に利用される場合)調節する能力を有し、かつ、(本願に援用した)特許文献1に記載のREVOLUTAに関するアミノ酸配列と、少なくとも約70%同一、更に典型的には少なくとも約75 %同一、より典型的には少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を有する、タンパク質を意味するのに用いられる。
【0037】
あるいは、本明細書では用語「REVOLUTAタンパク質」「REVOLUTAホモログ」、又は「REVOLUTAオルソログ」とは、植物転写因子のHD−ZIPIIIクラスの非REVOLUTAメンバーとは異なるものとして同定されるREVOLTAタンパク質を意味するのに用いられる。タンパク質のHD−ZIPIIIクラスのREVOLUTAメンバーは、特許文献1に記載され、図2に示したREVOLUTAアミノ酸配列のアミノ酸残基146と147との間の非REVOLUTA HD−ZIPIIIタンパク質に存在する特徴的なアミノ酸配列挿入が欠損しているか、又は存在しないことによって特徴付けられる。図2では、athb−8、athb−9、athb−14、athb−15で示したシロイヌナズナ由来のホメオボックス転写因子は、非REVOLUTA HD−ZIPIIIタンパク質であり、いずれもREVOLUTAアミノ酸配列のアミノ酸146と147との間に特徴的なアミノ酸配列挿入を有する。図2の5つのREVOLUTA配列はすべて、REVOLUTAアミノ酸配列のこの場所においてアミノ酸挿入を欠損している。このアミノ酸配列挿入が無いことは、REVOLUTAタンパク質の特徴的かつ決定的な特徴である。
【0038】
用語「パーセント同一性(percent identity)」とは、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列が以下に示すようなコンピュータプログラムを用いて並んで整列されたときに同じ相対位置を占めるアミノ酸又はヌクレオチドのパーセントを意味する。用語「パーセント類似性(percent similarity)」とは比較された2つのタンパク質配列の関連性の程度の統計的尺度である。パーセント類似性は、化学的類似性(例えば、比較されたアミノ酸が酸性、塩基性、親水性、芳香性、等であるかどうか)に基づいて、比較されたアミノ酸の各対に数値を割り当てるコンピュータプログラム及び/又は1対の比較されたアミノ酸の一方のメンバーをコードするコドンをその対の他方のメンバーをコードするコドンに変換するのに必要となる塩基対の変化の最小数 によって測定される進化距離によって算出される。計算は2つの配列の最良のフィットの整列を可能性のあるすべての整列の反復的比較によって実験的に行った後で行われる。(非特許文献26を参照のこと)。
【0039】
ポリヌクレオチド配列の用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチドが、標準的なパラメータを用いた以下の記載のプログラムを用いた基準配列に比して少なくとも60%の配列同一性、典型的には少なくとも70%、更に典型的には、少なくとも80%、及び最も典型的には少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。当業者であれは、2つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、コドン縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置付け等を考慮することによって、これらの値を適切に調節できることを理解できよう。
【0040】
アミノ酸配列同一性は、例えば、以下のように決定することができる。成長及び/又は発生関連遺伝子、例えば、REVOLUTAによってコードされたタンパク質のアミノ酸配列の部分を用い、プログラムBLASTPバージョン2.0.9(非特許文献27)を用いて核酸配列データベース(例えば、GenBank(登録商標)データベース)を検索することができる。2つの(又は2以上の)ポリヌクレオチド又はポリペプチド間の配列比較は典型的には、2つの配列の配列を「比較ウィンドウ」にわたって比較して、配列類似性のある局所領域を同定し比較することによって実行される。本明細書中で使用される場合、「比較ウィンドウ(comparison window)」は少なくとも約20の連続する位置、一般的に約50〜約200、更に一般的には約100〜約150のセグメントを指し、ここでは、配列は、2つの配列が最適に整列された後に、同じ数の連続する基準配列と比較可能である。
【0041】
比較のための配列の最適な整列は、例えば、非特許文献28に記載のような局所的同一性又は類似性アルゴリズムによって、非特許文献29の相同性整列アルゴリズムによって、非特許文献30の類似性検索の方法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group、ウィスコンシン州マディソン、サイエンスドライブ575所在)のコンピュータによる実施によって、又は視覚的検査によって、実施される。
【0042】
有用なアルゴリズムの1例はPILEUPである。PILEUPは、1群の関連する配列から複数の配列整列を漸進的対合整列を用いて作製し、関連性とパーセント配列同一性を示す。これはまた、この整列を作製するために使用されるクラスター化関連性を示すツリー又は系統樹をプロットする。PILEUPは非特許文献31の漸進的整列法の簡略形を使用する。使用される方法は非特許文献32により記載された方法と類似する。このプログラムは、300個までの配列、各々最大長5、000ヌクレオチド又は5,000アミノ酸を整列し得る。マルチ整列手順は、2つの最も類似する配列の対合整列で始まる。次いで、このクラスターは、その次に最も関連する配列、又は整列された配列クラスターに対して整列される。2つの配列のクラスターが、2つの個々の配列の対合整列の単純な拡張により整列される。最終的整列は、一連の漸進的対合整列により実現される。このプログラムは、特定の配列、及び配列比較領域に関するそれらのアミノ酸等価物又はヌクレオチド等価物を指定し、そしてプログラムパラメーターを指定することにより実行される。例えば、基準配列が、その配列同一性パーセント関連性を決定するために、以下のパラメーターを使用して、他の試験配列と比較され得る:デフォルトギャップウェイト(3.00)、デフォルトギャップ長ウェイト(0.10)、重み付けエンドギャップ。
【0043】
パーセント配列同一性とパーセント配列類似性を決定するのに適切なアルゴリズムの他の例は、BLASTアルゴリズムであり、これは非特許文献33に記載されている。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公に利用可能である。このアルゴリズムは、まず、問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することにより高スコアリング配列対合(HSP)を同定することを含み、このワードは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列された場合に、いくつかの正の値のしきい値スコアTと一致するか又はこの値を満足させるかのいずれかである。Tは隣接ワードスコアしきい値と呼ばれる(上記の非特許文献33)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、これらのワードヒットは、累積整列スコアが増大され得る限り、各配列に沿って両方向に拡張される。各方向でのワードヒットの拡張は、以下の場合に止められる:累積整列スコアが、その最大到達値から量X離れる場合;累積スコアがゼロ以下になる場合(1つ以上の負のスコアの残基整列の蓄積に起因して);又はいずれかの配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、Xは、その整列の感度と速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(非特許文献34を参照のこと)整列(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、及び両方の鎖の比較を使用する。
【0044】
パーセント配列同一性を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計学的分析を実行する(例えば、非特許文献35を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、最小和確率(P(N))である。これは、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じる確率の表示を提供する。例えば、比較試験における最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合に、核酸は参照配列に類似であると見なされる。配列整列と配列類似性の分析のための追加の方法及びアルゴリズムは、当業者には周知である。
【0045】
挿入されたポリヌクレオチド配列が転写され翻訳されて機能的ポリペプチドを産生する場合、当業者は、コドン縮重性が理由で、多くのポリヌクレオチド配列が同じポリペプチドをコードすることを認識する。これらの変形例は用語「成長及び/又は発生遺伝子」及び「成長及び/又は発生トランス遺伝子」、並びに特定的に「REVOLUTA遺伝子」及び「REVOLUTAトランス遺伝子」によって特定的に包含される。また、これらの用語は特定的には、遺伝子産生の機能を保持するタンパク質をコードする遺伝子配列、例えば、REVOLUTAに対して実質的に同一である完全長配列を含む。2つの核酸配列又はポリヌクレオチドは、2つの配列におけるヌクレオチド又はアミノ酸残基それぞれの配列が、上記のような最大の一致に対して整列されたときに同じである場合に、「同一である」と言われる。用語「に相補的」とは、相補的配列が基準ポリヌクレオチド配列の全部又は一部と同一であることを意味するのに用いられる。
【0046】
成長及び/又は発生関連遺伝子並びに成長及び/又は発生関連タンパク質のアミノ酸配列、例えば、REVOLUTA遺伝子配列及びREVOLUTAタンパク質配列の変形例や改変例は、特許文献1に記載されており、これを本願に援用する。REVOLUTA遺伝子などの関心のある遺伝子、ポリヌクレオチド、又はポリヌクレオチド配列は、任意の植物種から単離又は取得され得る。本発明の特定の実施形態では、使用されるREVOLUTA遺伝子配列はシロイヌナズナからのものであるが、関心のある他の種からのREVOLUTA遺伝子を用いてもよい。例えば、トウモロコシ(Zea mays)からのREVOLUTAのためのヌクレオチド配列とアミノ酸配列が特許文献2(本願に援用する)に記載されている。
【0047】
用語「生物学的活性、「生物学的活性のある」、「活性」、「活性のある」、「生物学的機能」、「REV生物学的活性」、「機能的活性のある」とは、REVOLUTAタンパク質などの関心のあるタンパク質が二量化する(又はタンパク質オリゴマーに組み込まれる)能力、あるいはネイティブな野生型(例えば内因性)REVOLUTAタンパク質を調節又は二量化する能力を指す。しかし、この用語はまた、REVOLUTAタンパク質などの関心のあるタンパク質が、例えば、限定するものではないが、タンパク質、例えばREVOLUTAタンパク質によって認識されるプロモーター領域に特異的なヌクレオチド配列を含むDNAを含む他の分子と結合する及び/又は相互作用する能力(この結合及び/又は相互作用イベントは植物細胞分割を媒介し、最終的にはある表現型を与える)、あるいは、他の分子のネイティブな野生型タンパク質との結合及び/又は相互作用を調節又はもたらす能力(この結合及び/又は相互作用イベントは植物細胞分割を媒介し、最終的には関心のある遺伝子と関連する表現型を与える)も包含することを意図する。
【0048】
本明細書中で用いられる場合、REV表現型とはREV核酸又はタンパク質によって与えられる表現型を指すものとし、特に、種子サイズ又は種子数が示される特徴を包含する。典型的には、REV表現型は初期特異的胚発生中にREVを過剰発現する植物を検証することによって決定され、ここで、この植物からの種子の数とサイズは対応する親又は野生型植物の組織の種子の数とサイズと比較できる。このREV表現型を有する植物は、ある植物集団の代表数内で種子の数及び/又はサイズの統計医学的に有意な変化を有する。
【0049】
植物成長及び/又は発生関連遺伝子に作用的に結合され、かつ記載した本発明の方法を用いて発現されるのに適したプロモーターは典型的には、胚において著しく発現し、その他の植物組織においては発現が低いか、又は全く発現しない。特に関心があるのは、初期特異的胚発生において発現を開始するプロモーター配列である。初期特異的プロモーターとは、シロイヌナズナにおける受粉(walking stick)後7日目あるいは別の植物種における相当する段階より以前にタンパク質の発現を開始するプロモーターである。特に関心のあるプロモーター配列の例には、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)のためのプロモーター(例えば、シロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター)(非特許文献36)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子のためのプロモーター(例えば、レスクェレラ・フェンドレリ由来の、LFAH12で指定したプロモーター)(非特許文献37)、2S2アルブミン遺伝子のためのプロモーター(例えば、シロイヌナズナ由来の2S2プロモーター)(非特許文献38)、脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーター(FAE1)(例えば、シロイヌナズナ由来のFAE1プロモーター)(非特許文献39)、葉状子葉遺伝子プロモーター(LEC2)(例えば、シロイヌナズナ由来のLEC2プロモーター)(非特許文献40)が挙げられる。関心のある他の初期胚特異的プロモーターには、限定するものではないが、Seedstick(非特許文献41)、Fbp7とFbpl1(Petunia Seedstick)(非特許文献42)、Banyuls(非特許文献43)、agl−15とagl−18(非特許文献44)、Phel(非特許文献45)、Perl(非特許文献46;非特許文献47)、embl75(非特許文献48)、LIl(非特許文献49)、Lecl(非特許文献50)、Fusca3(非特許文献40)、tt12(非特許文献51)、tt16(非特許文献52)、A−RZf(非特許文献53)、TtG1(非特許文献54;非特許文献55)、Tt1(非特許文献56)、TT8(非特許文献57)、Gea−8(ニンジン)(非特許文献58)、Knox(イネ)(非特許文献59)、Oleosin(非特許文献60;非特許文献61)、ABI3(非特許文献62;非特許文献63)、等が挙げられる。
【0050】
本発明に適したプロモーターは、形質転換されるべき同種から、又は異種から用いることができる。また、プロモーターは使用されるべきREVトランス遺伝子についてと同種から、あるいは異種からとすることができる。本発明の方法に用いられるプロモーターはまた、上記プロモーターの1又は複数と共通の発現プロフィールを有するプロモーターの組み合わせを含み得るキメラプロモーターを含むことも可能である。本発明の1実施形態では、シロイヌナズナ由来のAAP1遺伝子プロモーターをシロイヌナズナREV遺伝子と組み合わせ、これを用いてトランスジェニックキャノーラ(セイヨウアブラナ)を構築した。また、本発明の追加の実施形態においては、レスクェレラ・フェンドレリ由来のオレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーターLFAH12をシロイヌナズナREV遺伝子と作用的に結合させ、これを用いてトランスジェニックキャノーラ(セイヨウアブラナ)を構築した。上記トランスジェニック植物の各々は、REVを初期胚発生中に過剰発現させて種子サイズ及び/又は種子数を増大させる本発明の方法に特徴的なREV表現型を示した。
【0051】
上記の初期特異的プロモーターは本発明の方法に使用し得る代表的プロモーターであるに過ぎないことに留意されたい。植物のゲノムDNAのプロモーター領域を同定し、特徴を決定する方法が当業者には公知であり、例えば、非特許文献64;非特許文献65;非特許文献66;非特許文献67;非特許文献68により記載されたものが挙げられる。
【0052】
初期胚においてREVを過剰発現するトランスジェニック植物は、例えば、REVOLUTAをコードする遺伝子に作用的に結合された初期特異的胚プロモーターをコードするトランスジェニックベクター(例えば、プラスミド、ウイルス、等)を植物に移植することによって得ることができる。典型的には、ベクターがプラスミドである場合、ベクターは選択可能マーカー遺伝子、例えば、カナマイシン抵抗性をコードするカナマイシン遺伝子も含む。植物形質転換の最も一般的な方法は、標的トランス遺伝子を植物形質転換ベクターにクローニングし、次いでそれを(非特許文献69)に記載のようなヘルパーTiプラスミドを含んだアグロバクテリウム・テュミファシエンス(Agrobacterium tumifaciens)に形質転換することによって実施される。追加の方法は、例えば非特許文献70に記載されている。このトランス遺伝子ベクターを含んだアグロバクテリウム細胞は、(非特許文献71;非特許文献72)により記載されているように、形質転換されるべき植物の葉の薄片を用いて培養できる。培養植物宿主細胞の形質転換は典型的には、上記のようにアグロバクテリウム・テュミファシエンスを用いて実現される。硬い細胞膜障壁を有さない宿主細胞の培地は通常、元は非特許文献73により記載され、非特許文献74において改変されたリン酸カルシウム法 を用いて形質転換される。しかし、ポリブレン法(非特許文献75)、原形質融合法(非特許文献76)、エレクトロポーション法(非特許文献77)、核への直接マイクロインジェクション法(非特許文献78)など、DNAを細胞に導入する他の方法を用いてもよい。形質転換された植物カルスは、例えば、カルス及びシュート誘発のためにカナマイシンや適した量の植物ホルモン、例えばナフタリン酢酸とベンジルアデニンを含んだ培地で細胞を成長させることによって、選択可能マーカーを通して選択することができる。次いで、植物細胞を再生することができ、当業者には周知の技法を用いて、得られた植物を土壌に移すことができる。
【0053】
上記方法に加えて、クローニングされたDNAを裸子植物、被子植物、単子葉植物、双子葉植物を含む多様な植物種に移植する非常に多くの方法が当該分野では周知である(例えば、非特許文献79;非特許文献80;非特許文献81;非特許文献82;非特許文献83(樹木の形質転換);非特許文献84(アブラナ科の形質転換);非特許文献85;非特許文献86;非特許文献87;特許文献3;特許文献4(イネ科の形質転換);特許文献5(小麦形質転換);特許文献6(単子葉植物形質転換);特許文献7(トウモロコシ形質転換);特許文献8;特許文献9(大豆形質転換)を参照されたい)。代表例には、プロトプラストによるエレクトロポーション促進DNA取り込み(非特許文献88;非特許文献89;非特許文献90;特許文献9);ポリエチレングリコールを用いたプロトプラスト処理(非特許文献91;非特許文献92);DNA装填微粒子銃を用いた細胞の打ち込み(非特許文献93;非特許文献94;非特許文献95;非特許文献96;非特許文献97;非特許文献98;非特許文献99)が挙げられる。また、植物形質転換の戦略と技法が非特許文献100;非特許文献101にレビューされている。少し変形すれば、これらの技法は幅広い植物種に適用可能なものとなる。
【0054】
単子葉植物形質転換の場合、粒子打ち込みが典型的には選択される方法である。しかし、トウモロコシなどの単子葉植物もまた、特許文献10に記載のようなアグロバクテリウム形質転換法を用いて形質転換可能である。単子葉植物、例えばトウモロコシの形質転換をもたらす別の方法は、胚形成懸濁培養物からの細胞を繊維(5%w/v、Silar SC−9ウィスカー)とプラスミドDNA(1μg/μl)との懸濁液と混合し、次いでこれをVortex GENIE IIボルテックスミキサー(Scientific Industries社、米国ニューヨーク州ボヘミア所在)のマルチプルサンプルヘッドに直立して設置するか、あるいはMIXOMAT歯科用アマルガムミキサー(Degussa Canada社、カナダ国オンタリオ州バーリントン所在)のホルダ内に水平に設置する。次いで、形質転換は(例えばVortex GENIE IIを用いて)約60秒間全速で混合するか、又は固定速度で1秒間振盪させる(MIXOMAT)ことによって実行できる。この工程により細胞集団が産生され、該細胞集団から安定した形質転換体を選択することができる。安定して形質転換されたカルスから植物を再生し、サザンハイブリダイゼーション分析法によって、これら植物とその産物がトランスジェニックであることを示すことができる。この方法の主要な利点は、その簡便さと低いコストにある。粒子打ち込みとは異なり、高価な機器や補給品は必要ない。植物細胞、特にトウモロコシの形質転換のためのウィスカーの使用が、例えば、特許文献11に記載されている。
【0055】
特許文献12は大豆を形質転換し、再生する方法を記載している。特許文献13は形質転換されたサトウダイコン(Beta vulgaris)植物、例えばテンサイ(sugar beet)を生産する形質転換法を記載している。
【0056】
上記形質転換法の各々には利点と不利がある。各々の方法では、プラスミドからのDNAは遺伝子操作されるので、関心のある遺伝子だけでなく、選択可能なマーカー遺伝子及びスクリーニング可能マーカー遺伝子も含む。選択可能マーカー遺伝子はプラスミドのコピーを組み込んだ細胞のみを選択するのに用いられる(この構築物は関心のある遺伝子と選択可能かつスクリーニング可能な遺伝子がユニットとして移植されるようなものである)。このスクリーニング可能遺伝子は、関心のある遺伝子を運ぶ細胞のみを上手く培養するための別のチェックを行う。
【0057】
抗生物質抵抗性選択可能マーカー(antibiotic resistance selectable markers)を用いる従来のアグロバクテリウム形質転換は、そのような植物が抗生物質への耐性を動物やヒトへ広げるという過度なリスクを引き起こすという一般市民の反対があるために、問題がある。そのような抗生物質マーカーは特許文献14に記載のものに類似するアグロバクテリウム法を用いて植物を形質転換することによって、植物から除去することが可能である。抗生物質抵抗性の問題はまた、特許文献15に記載されているようなバー又はパットコーディング配列(pat coding sequences)を用いることにより効果的に回避することもできる。これらの好適なマーカーDNAはグルタミンシンセターゼ阻害物質herbicides phosphinothricin(グルホシネート)及びグルホシネートアンモニウム塩(Basta、Ignite)の作用を阻害又は中和する第2のタンパク質又はポリペプチドをコードする。
【0058】
これら遺伝子の1つ以上を含むプラスミドを前述の技法のいずれかによって植物プロトプラスト又はカルス細胞に導入した。マーカー遺伝子が選択可能遺伝子である場合、DNAパッケージを組み込んだ細胞のみが、適した植物毒素性物質を用いた選択に基づいて生き残る。適した細胞が同定され、伝播されると、植物が再生される。DNAパッケージが植物ゲノムに上手く組み込まれたことを保証するために、形質転換された植物からの子孫を試験しなければならない。
【0059】
形質転換の成功に影響を及ぼす多数の因子が存在する。外因性遺伝子構築物及びその調節要素のデザインと構築は、植物核の染色体DNAへの外因性配列の組み込み及び細胞によって発現されるべきトランス遺伝子の能力に影響を及ぼす。外因性遺伝子構築物を非致死的に植物細胞核へ導入する適切な方法が不可欠である。重要なことは、植物全体を回復する場合、適した再生プロトコルを考慮すると、構築物が導入される細胞のタイプは再生に従順なタイプでなければならない。
【0060】
本発明の最初のクローニング段階のための宿主細胞として、原核生物を用いることもできる。これらの最初のクローニング段階と増殖段階に使用可能である方法、ベクター、プラスミド、宿主細胞系は、当業者には周知であり、本明細書には記載しない。
【0061】
本発明の別の実施形態では、当業者に周知の方法を用いて形質転換されるべき植物において、植物成長及び/又は発生関連遺伝子をコードする遺伝子、例えばREVに作用的に結合されるように、初期特異的胚プロモーターを挿入することができる。このプロモーターを挿入すれば、トランスジェニック植物の発生中の種子において、遺伝子、例えばREVの初期胚発現が可能となる。
【0062】
本発明の方法において特に関心のあるトランスジェニック植物には、限定するものではないが、特に、アブラナ(Cruciferae)科、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科からの単子葉植物及び双子葉植物が挙げられる。これらの科のうちで特に関心のある植物には、限定するものではないが、農業的に関心のある、キャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、小麦、イネ、大豆、オオムギ、その他の種子生成植物、さらに、限定するものではないが、ムラサキウマゴヤシ等を含むその他の植物が挙げられ、これら植物は本発明の特定の実施形態において、初期特異的胚プロモーターの制御下でREVトランス遺伝子を含む。トランス遺伝子はトランスジェニック植物と同じ種からのものとすることができるか、あるいはトランス遺伝子は異種植物からのものとすることができる。特に関心があるのは、シロイヌナズナ由来のREVトランス遺伝子を含むトランスジェニック植物である。初期特異的胚プロモーターはまた、トランスジェニック植物と同じ種からのものとすることができるか、あるいは異種植物からのものとすることができる。例えば、初期特異的胚プロモーターはREVトランス遺伝子と同じ植物種からのものとすることができるか、更には、別の植物種からのものとすることができる。特に関心があるのは、シロイヌナズナ又はレスクェレラ・フェンドレリ由来の初期特異的胚プロモータであるが、初期特異的プロモーターは別種の植物から得ることが可能である。本発明の方法に適していると見い出された初期特異的プロモーター及びREVトランス遺伝子の具体的な組み合わせには、限定するものではないが、(a)レスクェレラ・フェンドレリLFAH12プロモーター/シロイヌナズナREV;(b)シロイヌナズナAAP1プロモーター/シロイヌナズナREV;(c)シロイヌナズナLEC2プロモーター/シロイヌナズナREV;(d)シロイヌナズナ2S2プロモーター/シロイヌナズナREVが挙げられる。本発明の特定の実施形態では、キャノーラを形質転換させるためにこれらのトランス遺伝子構築物を用いたが、他の植物種を形質転換させるのに用いることもできる。特に、それらを用いて、種子サイズ及び/又は種子数が増大されたトランスジェニック植物を大豆、トウモロコシ、綿花、カメリナ、イネ、小麦、オオムギ、ムラサキウマゴヤシ、及び農業的に関心のある他の作物において生成することができる。
【0063】
本発明はまた、植物収量を増大させる成長及び/又は発生関連遺伝子を選択する方法も提供する。この方法では、関心のある遺伝子を発現プラスミド又はベクターの初期特異的胚プロモーターと機能的に関連させる。トランスジェニック細胞を形成する分野では周知の方法を用いて、関心のある遺伝子を含んだ発現プラスミド又はベクターを植物細胞に形質移入させる。トランスジェニック植物が得られるまで、上記に開示の方法を含む周知の方法によって、トランス遺伝子を含んだ細胞をトランスジェニック植物へと成長させ再生させる。野生型植物に比して収量が増大されるかについてトランスジェニック植物を観察し、収量が増大されたトランスジェニック植物を得るために用いたそれらの成長及び/又は発生関連遺伝子を更なる発展のために選択した。選択された成長及び/又は発生関連遺伝子を含むトランスジェニック植物を更に発展させれば、野生型植物よりも高収量の農業的に重要な植物を得ることができる。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は本発明の種々の態様の単なる例示として提供したものであって、本発明を限定するものとして解釈してはならない。
【0065】
以下の実施例は初期特異的胚プロモーターと植物成長及び/又は発生の役割を担う遺伝子とを含む種々の発現ベクターの構築法を説明するものである。特に、胚特異的プロモーターである(a)レスクェレラ・フェンドレリLFAH12;(b)シロイヌナズナAAP1;(c)シロイヌナズナLEC2;(d)シロイヌナズナ2S2、(e)シロイヌナズナFAE1をシロイヌナズナREVOLUTA(REV)遺伝子と作用的に関連させ、これを用いてトランスジェニックキャノーラ植物を生成した。
【0066】
実施例1。REVOLUTAの胚特異的発現を発現を与えるように設計されたトランス遺伝子構築物を発現するトランスジェニックキャノーラ植物
トランスジェニックシロイヌナズナ植物においてシロイヌナズナREV遺伝子を構成的過剰発現させたところ、非トランスジェニック野生型シロイヌナズナ植物に比して種子サイズが増大されたが、この形質は悪い多面的影響を伴った。これらの影響には、葉の形態が変えられたこと及びシロイヌナズナにおいて腋芽形成が低減されたことを含む。葉の形態が変化すること及び植物が全体的に発育不良であることは、植物全体にわたって高い構成的レベルでREV遺伝子を過剰発現するトランスジェニックキャノーラに観察された悪い作用である。種子以外の組織において望ましくない作用を回避しながら増大された種子サイズ形質を得るために、REVトランス遺伝子の過剰発現を種子の発生中の胚に特異的にターゲッティングする戦略を取ることができる。これは胚特異的プロモーターがREV遺伝子の発現を惹起するトランス遺伝子発現構築物を用いて達成可能である。植物の発生や成長過程に関与するREVのような他の植物遺伝子の構成的過剰発現もまた、トランスジェニック植物に悪い多面的作用を及ぼすものと合理的に想定可能である。発生や成長の役割を担う植物遺伝子を収量を増強する可能性のある遺伝子として評価するために胚特異的プロモーターを用いることにより、収量を増大する効果についてそのような植物遺伝子を評価するための一般的アプローチが得られる。
【0067】
初期胚発生中のキャノーラ胚(セイヨウアブラナ)においてREVのトランスジェニック発現を生じるように設計された発現構築物に使用するために、胚特異的発現を与える5つのプロモーターを選択した。これらのプロモーターは、AAP1(シロイヌナズナ由来のアミノ酸パーミアーゼ遺伝子)(非特許文献36)、
【0068】
GGTTGCATCT TTGAATACCT TTTTCTCATT TAGGCATAAC AATATAATAA TTTGTTTTTT GTTTTCATTT TCTTTTGGTG TCATCTTCAA AAATCTGTAA ACCCAAAAGT TTGTATAACT TGTTTATTAA GATATTTTTA ATTAAATTTT TTTTTTTGAC ATTTTTAAAA AATTATAAAG TGTTTTATGA ATTTAAGGAG TAAATAATAT TTATTTAGAA CACTATAAAT TAGTTTTACA AGTTCTTAGA AATGTATCTG TAAATTTCAA AAAGGAAAAA TATAGCATTT AATTTTGAAG ATTTTTTTCT ACATTATATA TATGATAAAA ATATTGTATT TTGTACTTTG TAGTTACAAA AAGTCATTAT ATCAACAAAT CTAAATATAA AATATTTTTC TATATATTAC TCCAAATTAA CTGTCAGAAT AAAAAAGAAG AATAATTATT ACAGAATCTG AACATTAAAA TCGTCCCTCC ATATGTGGTC TCTGTCTAGT CCAAAAGCAA TTTACACATC CCAAGCCGAA ACTATATTAA ATAAACATTT TTTTTTCTTT AACTAAAACA TTTATAACAT TTAACAATAA AAGTTAAAAA TCGAACACGT ATAACGTATT TTTTTACGTA TACGTCTTGT TGGCATATAT GCTTAAAAAC TTCATTACAT ACATATACAA GTATGTCTAT ATATATGATA TTATGCAAAC ACAAATCTGT TGACTATAAT TAGACTTCTT CATTTACTCT CTCTCTGACT TAAAACATTT ATTTTATCTT CTTCTTGTTC TCTCTTTCTC TTTCTCTCA (SEQ ID NO: 11);
【0069】
LFAH12(スクェレラ・フェンドレリ由来のオレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子)(非特許文献37)、
【0070】
TCAGGAAGAT TAAGTCTTTG CTTGTTGTCT GATTTTCTTT AAATACATTA AGAAATCGGT TATGAAGCTT CGTTTTTTGT GTTTTGGGAT TATGAAGCTG TCTTTGGATA TTAGTTGCGG TTATTAGCAT GCTTCTCTTT TGTGTTTTGG GGATGATGAA GCAGGGTCTC TCTATGTAAT GCATTTTGTT TGAAAACTCA GCTAATGCTA ATGCAATTTC TTTTGAAACC TTTGTTATGT TTTCAAAAAT ATTGAATAGG TTCTGTTATG GATTTATTTG CAAAAGCCAT TGATTAAATC AAACCATTAC ATAAGAACAA CATTCATTAT TAACTAATTA GAGATGCAAA ACACAACATT ACATACAACA TCAGTGACTA ATTATTGAGA CAAAACAACA TCACAGACAC AAACATTCAT CTCATACATC ACTTAGAGAG ACACAAAAAG CAACCAAACA CAACTATTCC GCCAACAACA ATTAGCTTCA TACGTTTTGC TTCTCCTTTC AAGCCTTCAA TCATCTTCTC ACAGCCACGA ATCTGAGCCT TCAATAATAA CATTTCTTCA TCGTGACACT TCTCACGGTT ATGAATGCAA GCCTTTATGT CCTCTACTTC TTCTACTAAA GACACATCGG TCCACTTCCA GGTGTGGAAT CCTCCTCTTT TGAAATTTTT CTCACAGGTA TGGAATAATC TACCTGGGTT TTTTGGAGTT CTTGAGGTTC TGATCACAAC ACGGCATCCA CATCGACAGG TCTTAGGAAA ACCACGAAGG TTATGATCTT CAAGCTCACT GTCAAAAGAT AAAAACGAGT TTGAAGAAGA AGAAGGCATT ATCAATTTCA GAGAATTTTG GAGAATTTTG AGAGATTGAG AATTGGGAAA TAAGAACCCT AATCCCCAAT TTATGAGATT GAAAATATAT CCGTTAGAGA AGAAACATAA TGTTGTGCGT TTTAATTAGA AAAAATAGAG ATGGGCTTTA TCTTTTGTTA AGAGTTTTGG GCTTGGGCTT GGGTTTTTGA TAAAAAAATT AATTAAACCA AAACGACGTC GTTTGGTTTA ATTGTTGTTA AAAAAAAATT AAAACACCAA AACGACGTCG TTTTGGTGTT ATTAACGGCC TTAAAACGGA TTAAATCCAT AATCCGTCAG TCAACTAGGG TTACGGATGG TCAACGGCGT TTTTGCATAA CGGAGGCACA GTTCAGGCTT AACGGAGTGG ACGGAATGGC TTTTTAGGAA GTTTGTAACC GGGGTCTTTT GTTTATGATG TATTTGTCCC CGTCGGCTAT TGTTCAGGCC GTTTAGGCCT TTTTCCTATA TACTGGAAAT AACTATTGTC CAGACGAGTT ACTTCTCCAA CATATCAAGA AGTGTTACAA AGATGTGTTA CGAAGCCATA AAACTCAAAA CCCTAAGCCT AAACCCTAGA ACTTTCTAGC ACGTTTATAC CTTCTCCTTT CTTTAGTTTC CTTTAAAGGC CTTCGTATCA TAAGTTTTAT TTTTGCTTAA TACTAACACT AGAAAAAAAC AATAATCAAC ATAAACTAGG TTAAGTCGTG GATCTAATTT TATTGTGAAA ATGTAATTGC TTCTCTTAAG AAAAGATTCA TAGCAAAATA TTCGCATCTT TCTTGTGAAT CATCTTTTGT TTTTGGGGCT ATTAAAGAAA AATTGAACTC ATGAAATGGT GACAACTTTA TTCTAGAGGT AACAGAACAA AAATATAGGA ACAACACGTG TTGTTCATAA ACTACACGTA TAATACTCAA GAAGATGAAT CTTTATAAGA ATTTAGTTTT CTCATGAAAA CATAAAAAGT TTTGTCAATT GAAAGTGACA GTTGAAGCAA AGGAACAAAA GGATGGTTGG TGATGATGCT GAAATGAAAA TGTGTCATTC ATCAAATACT AAATACTACA TTACTTGTCA CTGCCTACTT CTCCTCTTTC CTCCGCCACC CATTTTGGAC CCACGAGCCT TCCATTTAAA CCCTCTCTCG TGCTATTCAC CAGAATAGAA GCCAAGAGAG AGAGAGAGAT TGTGCTGAGG ATCATTGTCT TCTTCATCGT TATTAACGTA AGTTTTTTTT TGACCACTTA TATCTAAAAT CTAGTACATG CAATAGATTA ATGACTGTTC CTTCTTTTGA TATTTTCAGC (SEQ ID NO: 12);
【0071】
2S2(シロイヌナズナ由来の2S2アルブミン遺伝子)(非特許文献38)、FAE1(シロイヌナズナ由来の脂肪酸伸長酵素遺伝子)(非特許文献102)、及びLEC2(シロイヌナズナ由来の葉状子葉遺伝子)(非特許文献40)を含む。
【0072】
CTTTGTTTTG TAGAGTGTTC TATGGGTTAT GATTTCGAAA AGAAAAAAAA TTGTGAGACA CTTAATAAAA TTATTTCGAC AAAAAAAGTA GCTTGTATAA AAAAATCAGA TTTTAATTTA TGTAAGAACA AATTCCAATA TCCAATAGTT AAAAATAATT ATTTGTTCCG ATTAATCGAG TTTTGCAAAA TATGCACAAA ATCTATCAT GTACCATTTC TAAGACTATA TATTTGGTTA TATATTTTAT GCCGTGTGTT CTGATTCCAA TAAATTTTAG CGCATAGTAA ATTTTCTAAA AAGCAAAATT TTCTCAAAAG TGTACTAATG ACAATTAATT GAGTTTCTAC AAAATAAGAA TAACTATTGA CTCGATTTTC ACAAAACTAG TATGCTAAAT ATCACATTAC TTTTAAAATT AAATGGAATT ATCTTTTTCA ATATTGGATA CGAATAATTT TTACACTAAA GTTATTTTAA TAAAATAACC GTTTATTCAA AATATGTAAA GACGACAAAA ATATATATTA AATGGAAAAA CGACTAACTT AGTTTTTGCA AAATTAAATG GATTTGTCCT TTTCAATGTT TGAATACAAA AAAAAATCTA TAATAAGTTT ATTATATTAA AATAACCCGT TTTTTCAGAA TACGCAAAAA CGACAAAAAA ATATTAATTA CAAAGAAATT TAGTTTATA CAAAAATATG AATGGCTATT AATGGTGTTT ACTCTAAATT TAATTATTAT GCATTTATGC TAAATCTTTC TAAAGGTACA AAGATTCGTT TTTTCAATG TTTGAACTGC ATATTAAGGT ATAGATTTGG ACCTTAACAG AGTTAATATA TAAGGAAGAG AGCCAAGGAA CTCCAAAATA AAATAAAGAG CCTTCTCTCT CTCTCTCTGA GAAAAAACAC ATATAGCCAA TGACCTTCTC GTGGTCTTCT GTGCCATAAA AGCCATTATA TACATTCAAA CACAATCTGG CGCCACATAT ACACATGTAC TAGTGTATGT ATATGTCCTA ACCTCTGTAT TCATATCTCT CTCCTTGTCT GAGTGGTGCG ATGGGTATCC CCATAAGCTG CAAACATTGA ACCATCTGCA ACATTTTGAC TCGTTTTCTT TTGTGTTTTT CCAACATCTG TCTCTTCTTC ACTCGCTCTC TCCTAATCAA TCTCCCCAAC GACCTCTCTT TTTTTTTGTT TCTTCACTCA GATCTCTCTC CCTCTCTCTC TCTCTCTCTC CGGGAAAA (SEQ ID NO: 13)
【0073】
5つのプロモーターすべてがシロイヌナズナにおいて初期胚発現を生じた。初期胚発生中の5つのプロモーターの発現プロフィールを図1に概略的に示す。AAP1、LFAH12、2S2、FAE1の各プロモーターは胚発生の最も初期においては機能しない。これらのプロモーターはまずAAP1、次にLFAH12、2S2、次いでFAE1の順序で徐々に後の段階において転写的に活性になる。次いで、4つのプロモーターはすべて、後期の胚発生段階を通して活性が維持される。LEC2プロモーターは逆の発現プロフィールを有し、極めて初期の胚発生中に活性になり、更に後期の段階を通して次第に活性を低下する。
【0074】
AAP1、LFAH12、2S2、FAE1、LEC2の各プロモーターはREVトランス遺伝子発現構築物のREVコード領域配列の2つの構成の1つと結合された。プロモーターAAP1、LFAH12、2S2,FAE1、LEC2はREV遺伝子中に存在するようなすべてのイントロンを含むREV遺伝子コード配列と結合された。AAP1プロモーターとLFAH12プロモーターも、イントロン欠損REVcDNA由来のREVコード領域配列と結合された。
シロイヌナズナREV(AtRev)cDNA
【0075】
ATGGAGATGG CGGTGGCTAA CCACCGTGAG AGAAGCAGTG ACAGTATGAA TAGACATTTA GATAGTAGCG GTAAGTACGT TAGGTACACA GCTGAGCAAG TCGAGGCTCT TGAGCGTGTC TACGCTGAGT GTCCTAAGCC TAGCTCTCTC CGTCGACAAC AATTGATCCG TGAATGTTCC ATTTTGGCCA ATATTGAGCC TAAGCAGATC AAAGTCTGGT TTCAGAACCG CAGGTGTCGA GATAAGCAGA GGAAAGAGGC GTCGAGGCTC CAGAGCGTAA ACCGGAAGCT CTCTGCGATG AATAAACTGT TGATGGAGGA GAATGATAGG TTGCAGAAGC AGGTTTCTCA GCTTGTCTGC GAAAATGGAT ATATGAAACA GCAGCTAACT ACTGTTGTTA ACGATCCAAG CTGTGAATCT GTGGTCACAA CTCCTCAGCA TTCGCTTAGA GATGCGAATA GTCCTGCTGG ATTGCTCTCA ATCGCAGAGG AGACTTTGGC AGAGTTCCTA TCCAAGGCTA CAGGAACTGC TGTTGATTG GGTTCAGATG CCTGGGATGA AGCCTGGTCC GGATTCGGTT GGCATCTTTG CCATTTCGCA AAGATGCAAT GGAGTGGCAG CTCGAGCCTG TGGTCTTGTT AGCTTAGAAC CTATGAAGAT TGCAGAGATC CTCAAAGATC GGCCATCTTG GTTCCGTGAC TGTAGGAGCC TTGAAGTTTT CACTATGTTC CCGGCTGGTA ATGGTGGCAC AATCGAGCTT GTTTATATGC AGACGTATGC ACCAACGACT CTGGCTCCTG CCCGCGATTT CTGGACCCTG AGATACACAA CGAGCCTCGA CAATGGGAGT TTTGTGGTTT GTGAGAGGTC GCTATCTGGC TCTGGAGCTG GGCCTAATGC TGCTTCAGCT TCTCAGTTTG TGAGAGCAGA AATGCTTTCT AGTGGGTATT TAATAAGGCC TTGTGATGGT GGTGGTTCTA TTATTCACAT TGTCGATCAC CTTAATCTTG AGGCTTGGAG TGTTCCGGAT GTGCTTCGAC CCCTTTATGA GTCATCCAAA GTCGTTGCAC AAAAAATGAC CATTTCCGCG TTGCGGTATA TCAGGCAATT AGCCCAAGAG TCTAATGGTG AAGTAGTGTA TGGATTAGGA AGGCAGCCTG CTGTTCTTAG AACCTTTAGC CAAAGATTAA GCAGGGGCTT CAATGATGCG GTTAATGGGT TTGGTGACGA CGGGTGGTCT ACGATGCATT GTGATGGAGC GGAAGATATT ATCGTTGCTA TTAACTCTAC AAAGCATTTG AATAATATTT CTAATTCTCT TTCGTTCCTT GGAGGCGTGC TCTGTGCCAA GGCTTCAATG CTTCTCCAAA ATGTTCCTCC TGCGGTTTTG ATCCGGTTCC TTAGAGAGCA TCGATCTGAG TGGGCTGATT TCAATGTTGA TGCATATTCC GCTGCTACAC TTAAAGCTGG TAGCTTTGCT TATCCGGGAA TGAGACCAAC AAGATTCACT GGGAGTCAGA TCATAATGCC ACTAGGACAT ACAATTGAAC ACGAAGAAAT GCTAGAAGTT GTTAGACTGG AAGGTCATTC TCTTGCTCAA GAAGATGCAT TTATGTCACG GGATGTCCAT CTCCTTCAGA TTTGTACCGG GATTGACGAG AATGCCGTTG GAGCTTGTTC TGAACTGATA TTTGCTCCGA TTAATGAGAT GTTCCCGGAT GATGCTCCAC TTGTTCCCTC TGGATTCCGA GTCATACCCG TTGATGCTAA AACGGGAGAT GTACAAGATC TGTTAACCGC TAATCACCGT ACACTAGACT TAACTTCTAG CCTTGAAGTCG GTCCATCACC TGAGAATGCT TCTGGAAACT CTTTTTCTAG CTCAAGCTCG AGATGTATTC TCACTATCGC GTTTCAATTC CCTTTTGAAA ACAACTTGCA AGAAAATGTT GCTGGTATGG CTTGTCAGTA TGTGAGGAGC GTGATCTCAT CAGTTCAACG TGTTGCAATG GCGATCTCAC CGTCTGGGAT AAGCCCGAGT CTGGGCTCCA AATTGTCCCC AGGATCTCCT GAAGCTGTTA CTCTTGCTCA GTGGATCTCT CAAAGTTAC AGTCATCACT TAGGCTCGGA GTTGCTGACG ATTGATTCAC TTGGAAGCGA CGACTCGGTA CTAAAACTTC TATGGGATCA CCAAGATGCC ATCCTGTGTT GCTCATTAAA GCCACAGCCA GTGTTCATGT TTGCGAACCA AGCTGGTCTA GACATGCTAG AGACAACACT TGTAGCCTTA CAAGATATAA CACTCGAAAA GATATTCGAT GAATCGGGTC GTAAGGCTAT CTGTTCGGAC TTCGCCAAGC TAATGCAACA GGGATTTGCT TGCTTGCCTT CAGGAATCTG TGTGTCAACG ATGGGAAGAC ATGTGAGTTA TGAACAAGCT GTTGCTTGGA AAGTGTTTGC TGCATCTGAA GAAAACAAC AACAATCTGC ATTGTCTTGC CTTCTCCTTT GTAAACTGGT CTTTTGTGTG A (SEQ ID NO: 1).
【0076】
REVトランス遺伝子構築物
LFAH12−AtREV遺伝子−rev3’UTR
LFAH12プロモーターの2170塩基対(bp)領域をEcoRI−LFAH12プライマー
(GAATTCTCAGGAAGATTAAGTCTTTGCTTG; SEQ ID NO: 14)
及びSacI−LFAH12プライマー
(GAGCTCGCTGAAAATATCAAAAGAAGGAACA; SEQ ID NO: 15)
を用いてレスクェレラ・フェンドレリゲノムDNAから増幅した。これらのプライマーは、公開されたLFAH12配列((GenBank(登録商標)番号AF016103.1又はGL3452128)(非特許文献37)のそれぞれ5’末端及び3’末端から24ヌクレオオチド及び15ヌクレオチドを開始した。 幾つかの別個のPCR反応物をpCR−Blunt(インビトロジェン社)にクローニングし、配列決定した。すべての配列(配列番号:12)は相互に同一であり、公開されたLFAH12配列とは97%同一であった。この差はプロモーターの検索に用いたL.fendleriのアクセッション(accession)が特異的であることに起因するものと考えられる。EcoRIを用いてLFAH12をpBluescriptプラスミドに移動し、pBluescript中のプロモーターの配向はプロモーターの5’側のKpnI及びプロモーターの3’側のSpeIであると決定された(pTG143)。AtREV遺伝子−rev3’UTRカセットをpTG95(pCGN1547の35S−AtREV遺伝子−rev3’UTR、特許文献16)から、LFAH12プロモーター(pTG143からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、3方向連結(three−way ligation)のKpnIを用いて切断されたpCGN1547バイナリーベクター(非特許文献103)に連結させて、植物NPTII発現カセットに対して尾尾(tail−to−tail)配向のLFAH12プロモーター−AtREV遺伝子−rev3’UTRを作製した。
【0077】
AAP1−AtREV遺伝子−rev3’UTR
AAP1プロモーターの809塩基対(bp)領域を、EcoRI−AAP1プライマー
(GAATTCGGTTGCATCTTTGAATACCTTTTT; SEQ ID NO: 16)
及びSacI−AAP1プライマー
(GAGCTCTGAGAGAAAGAGAAAGAGAGAACAA; SEQ ID NO: 17)
を用いてシロイヌナズナ (エコタイプコロンビア)ゲノムDNAから増幅した。SacI−AAP1プライマーは公開されたAAP1配列(GenBank(登録商標)寄託番号X95622.1;GL1566687)(非特許文献36)の3’末端から6ヌクレオチドを開始した。全PCR産物の配列は相互に同一になり、 公開されたC24エコタイプAAP1配列とは98%同一になり、アノテートされたColエコタイプAAP1配列(GenBank(登録商標)番号AC008051.3;GL7462019)(配列番号:11)とは100%同一であった。EcoRlを用いてAAP1をプラスミドpBluescriptに移動させ、pBluescript中のプロモーターの配向はプロモーターの5’側のKpnI及びプロモーターの3’側のSpeIであると決定された(pTG145)。AtREV遺伝子−rev3’UTRカセットをpTG95(pCGN1547の35S−AtREV遺伝子−rev3’UTR、特許文献16を参照のこと)から、AAP1プロモーター(pTG145からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、3方向連結(three−way ligation)のKpnIを用いて切断されたpCGN1547バイナリーベクター(非特許文献103)に連結させて、植物NPTII発現カセットに対して頭尾(head−to−tail)配向のAAP1プロモーター−AtREV遺伝子−rev3’UTRを作製した。
【0078】
LFAH12−At REVcDNA−rev3’UTR
コロンビア・エコタイプ(Columbia ecotype)のシロイヌナズナ葉から単離した全RNAから合成したcDNAから、At REVcDNAを増幅した。使用したプライマーはATGにNcoI部位を組み込み、停止コドン後にBamHI部位を組み込んだ:NcoI−ATG rev
CCATGGAGATGGCGGTGGC TAAC (SEQ ID NO: 18)
及びBamM−TGA rev
GGATCCTCACACAAAAGACCAGTTTAC AAAGGA (SEQ ID NO: 19)
得られたAtREVcDNA PCR産物をプラスミドpCR−Bluntにクローニングし、配列決定した(pTG230)。pTG95をテンプレートとして使用し、5’末端にEcoRVを組み込み、3’末端にNoTI/KpnIを組み込んだプライマーを用いてRev3’UTRを増幅した:EcoRVrevUTR
GATATCTTCGATTGACAGAAAAAG (SEQ ID NO:20)
及びNot/Kpn revUTR
GCGGCCGCGGTACCCTCAACCAACCACATGGAACCA (SEQ ID NO:21)
得られたAtRev3’UTRをプラスミドpCR−Bluntにクローニングし、配列決定した。EcoRN部位及びNotI部位を用いてRev3’UTRをプラスミドpBluescriptに移動した(pTG234)。次いで、Rev3’UTRをpTG234から取り出し、EcoRN部位及びNotI部位を用いてpTG230に連結した(pTG239)。AtREVcDNA−Rev3’UTRカセットをpTG239から、LFAH12プロモーター(pTG143からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、3方向連結(three-way ligation)でpCGN1547バイナリーベクターに連結して、植物NPTII発現カセット(pTG241)に対して頭尾(head−to−tail)配向のLFAH12−At REVcDNA−rev3’UTRを作製した。
【0079】
AAP1−AtREVcDNA−Rev3’UTR
AtREVcDNA−rev3’UTRカセットをpTG239から、AAP1プロモーター(pTG145からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、3方向連結(three-way ligation)でpCGN1547バイナリーベクターに連結し、植物NPTII発現カセット(pTG242)に対して頭尾(head-to-tail)配向のAAP1−AtREVcDNA−rev3’UTRを作製した。
【0080】
FAE1−AtREV遺伝子−rev3’UTR
KpnI部位及びSpeI部位を用いてCDベクターから933bpFAE1プロモーターを増幅し、プラスミドpCR−Bluntにクローニングし、配列決定した(pTG238)。次いで、EcoRI(pTG243)を用いてFAE1プロモーターをプラスミドpBluescriptに移動した。AtREV遺伝子−Rev3’UTRカセットを、pTG95から、FAE1プロモーター(pTG243からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、KpnIを用いて3方向連結に切断されたpCGN1547バイナリーベクター(非特許文献103)に連結し、植物NPTII発現カセット(pTG248)に対して頭尾配向のFAE1プロモーター−AtREV遺伝子−Rev3’UTRを作製した。
【0081】
2S2−AtREV遺伝子−rev3’UTR
1379bp2S2プロモーターをCDプラスミドp4163(2S2−AtREVSwalフラグメントから切断し、pBluescriptのEcoRV部位に連結した。pBluescriptのプロモーターの配向は、プロモーターの5’側のKpnI及びプロモーターの3’側のBamHIにあると決定された(pTG251)。AtREV遺伝子−rev3’UTRカセットをpTG138(TOPOの35S−AtREV遺伝子−rev3’UTR)から、2S2プロモーター(pTG251からのKpnI−BamHIフラグメント)と一緒にBamHI−KpnIフラグメントとして取り出し、KpnIを用いて3方向連結に切断されたpCGN1547バイナリーベクター(非特許文献103)に連結し、植物NPTII発現カセットに対して頭尾配向の2S2プロモーター−AtREV遺伝子−rev3’UTRを作製した。
【0082】
LEC2−AtREV遺伝子−rev3’UTR
1256bpLEC2プロモーターをApaI及びPstIを用いてCDプラスミドp5217から切断し、プラスミドpBluescriptの同じ部位(pTG252)にクローニングした。次いで、このプロモーターを、同じ部位上で線形化されたpTG112(プラスミドpCR−BluntのAtREV遺伝子)にKpnI−BamHIフラグメントとして取り込んで、pCR−BluntプラスミドのLEC2−AtREV遺伝子であるpTG280を得た。テンプレートとしてpTG234を用いて、Rev3’UTRを5’末端にNotI部位を組み込み込んだプライマー及び3’末端にNotI/KpnIを組み込んだプライマーを用いて増幅した:Not REV UTRは、
GCGGCCGCTTCGATTGACAGAAAAAG (SEQ ID NO:22)
を開始し、NotKpnRev UTRは
GCGGCCGCGGTACCCTCAACCAACCACATGGAACCA (SEQ ID NO:23)
を開始する。得られたAtREV3’UTRをプラスミドpCR−Bluntにクローニングし、配列決定した(pTG281)。次いで、Rev3’UTRをNotI部位を用いてpTG280に移動し、スクリーニングして適した配向にした。得られたプラスミドはプラスミドpCR−BluntにおいてLEC2−AtREV遺伝子−Rev3’UTRであった(pTG283)。LEC2−AtREV遺伝子−Rev3’UTRを、KpnIを用いて線形化されたpCGN1547プラスミドにKpnIフラグメントとして移動し、植物NPTII発現カセット(pTG288)を用いてスクリーニングして頭尾配向にした。
【0083】
キャノーラ(セイヨウナタネ(Brassica napus))形質転換
非特許文献70の方法に基づくアグロバクテリウム媒介形質転換法を用いて、倍加半数体キャノーラ種DH12075をREVトランス遺伝子発現構築物を用いて形質転換した。
【0084】
滅菌した種子を、1プレート当たり約40〜約60個の種子を入れた、1%スクロースを15×60mmのペトリ皿に入れた1/2MS(ムラシゲ・スクーグ(Murashige & Skoog))培地で5日間発芽させた。合計約1500個の種子が各形質転換構築物について発芽した。種子は発芽培地中に完全には沈めなかった。発芽した種子を組織培養室で25℃で、16時間の明/8時間の暗周期で成長させた。
【0085】
分裂組織を得ずに、子葉を頂端分裂組織の真上で切断した。これは頂端分裂組織領域の真上で2つの葉柄を鉗子を用いて優しく把持することにより行った。鉗子で葉柄を潰さないように注意した。鉗子の先端部をガイドとして用い、鋭い12番ブレードを備えたメスを使用して葉柄を切断した。子葉を共培養培地の15mm×100mmプレート上に置いた。適切に切断された子葉は簡単に分離するが、分離しなかった場合、分裂組織が得られた非常に良いチャンスであり、そのような子葉は使用しなかった。各プレートには約20枚の子葉を入れた。プロトコルの次の段階でマイナスの影響を及ぼすであろうしおれ(wilting)を回避するように調整した数プレート毎に、アグロバクテリウムを用いて子葉外植片を播種した。
【0086】
エレクトロポーションによりREV系異質転換構築物をアグロバクテリウム・テュミファシエンスに導入した。REV形質転換構築物を保持するアグロバクテリウムをAB培地で適した抗生物質を用いて2日間28℃で振とう成長させた。子葉外植片を播種するために、少量のアグロバクテリウム培養液を10mm×35mmのペトリ皿に加えた。各外植片の葉柄をアグロバクテリウム培養液に浸漬し、切断した端部をペトリ皿の共培養培地に入れた。このプレートを密閉し、25℃、16時間の明/8時間の暗サイクルで3日間組織培養室に置いた。
【0087】
3日後、子葉外植片を10のセットでシュート誘発培地を入れた新鮮な25mm×100mmのペトリ皿に移した。この培地には選別物質(20mg/lカナマイシン)及びホルモン(4.5mg/lブラシノステロイド(BA))を入れた。健康に見える子葉外植片のみを移した。子葉外植片をシュート誘発培地上に14乃至21日間保持した。この時点では、緑色のカルス及び恐らくは幾つかのシュート発生、並びにいくつかの形質転換されていないシュートが観察されると考えられる。形質転換されなかったシュートは、その色が白紫色であることにより容易に見分けられた。カナマイシン感受性シュートを切断することにより除去し、健康に見えるカルスすべてをシュート誘発媒体の新鮮なプレートに移した。子葉外植片を更に14乃至21日間これらのプレートに置いた。
【0088】
2乃至3週間後、暗緑色となったシュートをシュート伸長培地を入れたプレートに移した。この培地には選別物質(20mg/lカナマイシン)を入れたが、ホルモンは入れなかった。5つのシュートを各プレートに移した。このプレートを密閉し、組織培養室に戻した。ガラス質のように見える移したシュートをフロログルシノール(150mg/1)を含んだシュート伸長培地に移した。健康で緑になったシュートをシュート伸長培地プレートに戻した。場合によっては、正常に見えるシュートを得るために、ガラス質のシュートを同じ培地の新鮮なプレートに繰り返し移すことが必要であった。
【0089】
正常な形態のシュートを0.5mg/lインドール酪酸を含んだ発根培地を入れた4オンスのベビーフード用広口瓶に移した。過剰なカルスがあれば、広口瓶に移す際に切断した。約6週毎に0.2mg/lインドール酪酸を入れた新鮮な広口瓶に移すことによって、シュートは広口瓶の中で無限に維持することが可能である。
【0090】
良好な根系が形成されたら、T0世代シュートを広口瓶から取り出し、根から寒天を除去し、その培養植物を鉢植え用の土に移した。各々独立したT0世代培養植物はキャノーラゲノムへのトランス遺伝子の挿入が独立して発生したことを表し、イベントと呼ぶことにした。透明なカップを培養植物上に数日間置き、植物を新しい環境に順化させた。植物が硬くなると、カップを取り外した。次いで、T0トランスジェニックイベントを成熟するまで温室で成長させ、T1種子を採取した。
【0091】
0イベントの特徴付け
サザン分析によりトランス遺伝子挿入遺伝子座の数を各イベントで決定した。T0イベントにおけるREVトランス遺伝子発現をノーザン分析又はエンドポイントRT−PCRにより検証した。授粉19日後(days after pollination:DAP)の胚発生における単一の時間ポイントについてREV発現データを取得した。これらのデータから、この発生時間ポイントでは、LFAH12プロモーター及び2S2アルブミンプロモーターがAAP1プロモーターよりも高いレベルのREV RNA産生を惹起していることが明らかであった。2S2/REV構築物は多くのイベントにおいて中程度のレベルから高いレベルの発現を生じた。この発現データは5つのプロモーターすべてがトランスジェニックキャノーラ植物においてREVトランス遺伝子発現を惹起する機能を持っていたことを証明する。
【0092】
7つのREVトランス遺伝子構築物すべてについてT0植物の発生は成功した。試験した構築物には、(a)AAP1/REV遺伝子;(b)AAP1/REVcDNA;(c)LFAH12/REV遺伝子;(d)LFAH12/REVcDNA;(e)2S2/REV遺伝子;(f)FAE1/REV遺伝子;及び(g)LEC2/REV遺伝子を含んだ。
【0093】
実施例2。複製されたフィールド試験における、キャノーラ収量に関する胚発生中のREVトランス遺伝子発現の効果の評価
この実施例では、種々の胚特異的プロモーターの制御下でシロイヌナズナREVトランス遺伝子を含むトランスジェニックキャノーラ植物をフィールド試験で試験した。
【0094】
フィールド試験へのトランスジェニックREVイベントの応用
トランス遺伝子発現及びトランス遺伝子挿入遺伝子座数の組み合わせに基づくフィールド試験に応用するためにT0イベントを選択した。トランス遺伝子発現及び単一のトランス遺伝子挿入遺伝子座が確認されたイベントにはフィールド試験に進めるべき最高の優先度を割り当てた。場合によっては、複数の遺伝子の存在が遺伝子量に起因して、全体的に高いトランス遺伝子発現レベルを生じた場合、複数の挿入遺伝子座を有するイベントを選択した。
【0095】
選択されたイベントからのT1種子を分離T1集団としてフィールドプロットで成長させた。各イベントは2列の24の植物プロットとして植え付けた。単一のトランス遺伝子挿入遺伝子座を有するイベントについて、24のT1植物間でのトランス遺伝子の分離は、トランス遺伝子を欠損する約6つのヌル植物、12のヘテロ接合性植物、6つのホモ接合性植物の分布を生じた。開花前に各T1植物を個々に袋に入れて異系交配を回避した。24のT1植物の各々からT2種子を別個に収穫した。
【0096】
2種子ストックを用いて24の親T1植物のどれがヌル、ヘテロ接合性、又はホモ接合性であるのかを同定した。各T1植物からの約30個のT2種子をカナマイシンの類似体である抗生物質G418を含んだ溶液を用いてペトリ皿のフィルタ紙上で発芽させた。植物を選択可能マーカーであるnptII抵抗性遺伝子と共形質転換させたので、トランス遺伝子を有する種子のみが発芽し、成長し続けるであろう。プレート上の種子すべてがG418に対して感受性があることが分かった場合、T1親をヌル系として同定した。プレート上の種子すべてがG418に対して抵抗性であると分かった場合、T1親をホモ接合系として同定した。プレート上の種子の約1/4が感受性があり、その残りが抵抗性である場合、T1親をヘテロ接合系として同定した。同じ形質転換イベントからのホモ接合T1親からのT2種子をバルク化して、ホモ接合種子ストックを生成しフィールド試験に供した。同じ形質転換イベントからのヌルT1親からのT2種子をバルク化して、ヌル同胞種子ストックを生成し、フィールド試験に供した。
【0097】
フィールド試験デザイン
大規模な複製された試験のフィールドにおいて各トランスジェニック系をそのヌル同胞と直接比較することによって、胚特異的プロモーターを用いたREVトランス遺伝子の収量増強遺伝子としての可能性の評価をトランスジェニックキャノーラ系で試験した。ヌル同胞はT1世代のトランス遺伝子の分離から生じるので、ヌル同胞及びホモ接合同胞は遺伝的にほぼ同一である。唯一の大きな違いはREVトランス遺伝子の有無である。このほぼ遺伝的同一性により、ヌル同胞がREVトランス遺伝子の作用を評価するための最適な対照となる。この試験の主な目的はあるイベントからのトランスジェニック系をそのヌル分離と比較することであったので、分割法を選択した。この方法により、トランスジェニックサブエントリーと非トランスジェニックサブエントリーとの間の相互作用並びにイベント(サブプロット及び主プロットの相互作用)間のトランスジェニックサブプロット間の違いに対しては高いレベルの評価になり、イベント全体又は主プロット間の違いに対しては低いレベルの評価になる。
【0098】
キャノーラが一般に生育される環境条件の範囲下で収量表現型を評価するために、フィールド試験は草原環境の複数の場所で実施した。すべての場所において、各トランスジェニックイベントを隣接するプロットのそのヌル同胞と物理的に対にした。ホモ接合同胞及びヌル同胞の各プロット対を各試験場所で4回複製した。各試験における4つの複製プロット対の場所は各試験場所において無作為に分布させた。プロットは1.6m×6mとし、1平方メートル当たり約142個の種子の密度で植え付けた。キャノーラの商用生産には典型的である標準的な農耕法を用いて、植物を成熟するまで成長させた。
【0099】
実施例3。トランスジェニックキャノーラにおける種子収量を増大させるための胚特異的プロモーターからのREVトランス遺伝子の発現
各収量フィールド試験場所における全プロットはコンバインを用いて個々に収穫した。各プロットから、含水量を調節した総種子重量として総種子収量データを収集した。各試験のトランスジェニックイベント毎に、各ホモ接合系の4つの複製プロットからの総収量の平均を関連するヌル同胞系の4つの複製プロットからの総収量の平均と比較した。この比較を用いて総種子収量に対するREVトランス遺伝子の作用を評価した。複数の試験場所各々からの結果を合わせて、総種子収量に対するREVトランス遺伝子の作用のacross trials analysis法を行った。各試験場所の分散の統計学的に分析は、ホモ接合トランスジェニック系とそのヌル同胞系との間の総種子収量の差についての有意性のしきい値(P=0.05)の割り当てを可能にした。
【0100】
統計学的に有意な総種子収量の増大を示したトランスジェニックREVキャノーラ系を表1にまとめた。統計学的に有意な総収量の増大を示すトランスジェニック系を7つのプロモーター/REVトランス遺伝子構築物すべてについて同定した。これらの結果は、胚特異的プロモーターを用いたREVの過剰発現は種子収量を増大させることを実証するものである。収量に対する最大の影響はLEC2プロモーターを用いて得られ、REVの過剰発現が胚発生の最も初期に最も有効であり得ることを示唆している。これはLEC2プロモーターが発生の非常に早くに最大の活性があり、胚発生の後期を通しては転写活性が低下するためである。AAP1、LFAH12、2S2の各プロモーターは胚発生の徐々に後の段階で転写活性を開始するが、収量を増大させるのにも有効であった。LFAH12プロモーターは、回収されて有意に増大された収量を示した独立したイベントの数について著明であり、これは、このプロモーターを用いた形質について浸透度が高いことを示すものである。収量の増大が中程度である唯一のイベントはFAE1プロモーターについて回収され、これは恐らくは、胚発生の初期において転写活性を開始するプロモーターが収量増大のための最良の手段を提供することを示唆し、ある遺伝子の初期胚過剰発現を用いて、植物成長及び/又は発生に関与する遺伝子がトランスジェニック植物において収量を増大させる可能性を有するかどうかを評価することができることを示す。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例4。胚特異的プロモーターを用いた、胚発生中にRevを発現するトランスジェニックキャノーラにおける種子サイズの増大
フィールド試験の個々のプロットから収穫した種子はすべてオーブンで低温乾燥させて含水量を均一にした。フィールド試験の各プロットの種子サンプル各々について、Agriculex(Guelph社、カナダ国オンタリオ州)種子計数器を用いて1000個の種子を数えた。次いで1000個の種子サンプル各々の重量を測定した。各ホモ接合系の4つの複製プロットからの1000個の種子重量の(TSW)の平均を関連するヌル同胞系の4つの複製プロットからのTSWの平均と比較した。ホモ接合トランスジェニックREV系とそのヌル同胞系との間のTSW値の差をREVトランス遺伝子に起因すると考えられる種子サイズの差の尺度として用いた。各試験場所の分散の統計学的分析は、ホモ接合トランスジェニック系とそのヌル同胞系との間のTSWの差についての有意性のしきい値(P=0.05)の割り当てを可能にした。
【0103】
TSWで示される統計学的に有意な種子サイズの増大を示したトランスジェニックREVキャノーラ系を表2にまとめた。統計学的に有意なTSWの増大を示すトランスジェニック系を7つのプロモーター/REVトランス遺伝子構築物の6つについて同定した。REV発現を惹起するLEC2プロモーターとLFAH12プロモーターの種子サイズに対する作用はこれらのプロモーターを用いた総収量について観察された作用と一致する。LEC2/REV構築物は種子サイズの強力な正の増大を生じ、これは非常に初期の胚発生におけるREVの過剰発現が有効であることを示唆している。LFAH12プロモーターもまた形質の強力な浸透を示し、6つの独立したイベントは統計学的に有意な種子サイズの増大を示している。REV過剰発現を惹起するAAP1プロモーターと2S2プロモーターもまた、統計学的に優位な種子サイズの増大を生じた。FAE1/REVトランス遺伝子構築物を有するイベントは、TSWの優位な増大を全く示さなかった。FAE1プロモーターの活性が試験した5つのプロモーターの胚発生の最後を開始するので、ある作用の欠損は胚発生の早期に転写活性を開始するプロモーターが、植物の生長と発生に影響を及ぼす遺伝子、例えばREVと関連させたときに収量を増大させる手段を提供する。また、これらのプロモーターを用いて、トランスジェニック植物における成長及び/又は発生に関連する他の植物遺伝子の収量、例えば種子サイズ及び/又は数を増大させる可能性について評価することもできる。
【0104】
【表2】

【0105】
実施例5。胚特異的プロモーターを用いた、胚発生中にRevを発現するトランスジェニックキャノーラにおいて増大された種子サイズと収量
増大された種子サイズ表現型について考えられる1つの結果は、種子産生に対してリソースの一定の純量(net)の割り当てを維持するために種子数の低減を生じる植物による補償的応答(compensating response)であると考えられる。表3は統計学的に有意な増大された種子サイズと総収量の増大をフィールド試験において実証した6つの独立したトランスジェニックREVイベントをまとめたものである。種子サイズと総収量が同時に増大することが、AAP1/REV、LFAH12/REV、2S2/REV、LEC2/REVトランス遺伝子構築物を有するイベントにおいて観察され、これは4つのプロモーターすべてが植物による補償的応答としての種子数の低減を誘発することなく種子サイズを増大させるのに有効であったことを示している。
【0106】
表3のTSW値と総収量値との比較から、種子サイズの増大は観察された収量の全体的増大を説明しないことが明らかとなった。種子サイズの増大は総収量に寄与する1つの要素である。増大された収量の残りは増大された種子数に起因するものであった。殆どの場合、増大された種子数は増大された総収量の主要な要素であった。増大された種子数は鞘1つ当たりの種子数の増大、総状花序数の増大、総状花序1つ当たりの鞘数の増大、種子不稔率(seed abortion rate)の低減、又はこれら作用の組み合わせから生じたものと考えられる。
【0107】
種子サイズと総収量の増大を示すイベントのリストからFAE1/REVトランス遺伝子構築物を有するイベントが欠けていることは、胚発生の初期において転写活性を開始するプロモーターが発生や成長に関与する植物遺伝子のトランスジェニック植物において種子サイズと収量を増大させる可能性について評価するための最良の手段を提供することを示すものである。また、収量増大のための最大の効果は胚発生の初期において転写活性を開始するプロモーターを用いて実現されるとも考えられる。
【0108】
【表3】

【0109】
実施例6。REVOLUTAの胚特異的発現を与えるように設計されたトランス遺伝子構築物を発現するトランスジェニック大豆植物
収量と種子サイズの増大を実現するためにLFAH12胚特異的プロモーターを用いてトランスジェニックキャノーラ植物においてREVOLUTAトランス遺伝子発現を惹起することに成功した(表1、2、3)ことに基づいて、大豆を形質転換させるためにLFAH12−AtREV遺伝子構築物を構築した。大豆はキャノーラのように双子葉植物であり、REVOLUTA遺伝子は植物種にわたって高度に保存されることが、シロイヌナズナREVOLUTA遺伝子がトランスジェニック大豆植物に導入されるときに機能することを可能にした。
【0110】
REVトランス遺伝子構築
LFAH12−AtREV遺伝子−rev3’UTR
LFAH12プロモーターの2170bp領域を、EcoRI−LFAH12プライマー
(GAATTCTC AGGAAGATTAAGTCTTTGCTTG; SEQ ID NO: 14)
及びSacI−LFAH12プライマー
(GAGCTCGCTGAAAATATCAAAAGAAGGAACA; SEQ ID NO: 15)
を用いてレスクェレラ・フェンドレリゲノムDNAから増幅した。これらのプライマーは公開されたLFAH12配列((GenBank(登録商標)番号AF016103.1又はGL3452128)(非特許文献37)の5’末端及び3’末端それぞれから24ヌクレオチド及び15ヌクレオチドを開始した。幾つかの独立したPCR反応物をpCR−Blunt(インビトロジェン社)にクローニングし、配列決定した。すべての配列は相互に同一になり、公開されたLFAH12配列とは97%同一であった。この差はプロモーターの検索に用いたL.fendleriのアクセッション(accession)が特異的であることに起因するものと考えられる。EcoRIを用いてLFAH12をpBluescript IIプラスミドに移動し、pBluescript中のプロモーターの配向はプロモーターの5’側のKpnI及びプロモーターの3’側のSpeIであると決定された(pTG143)。AtREV遺伝子−rev3’UTRカセットをpTG95(pCGN1547の35S−AtREV遺伝子−rev3’UTR、特許文献16)から、LFAH12プロモーター(pTG143からのKpnI−SpeIフラグメント)と一緒にSpeI−KpnIフラグメントとして取り出し、3方向連結(three−way ligation)のKpnIを用いて切断されたpCGN1547バイナリーベクター(非特許文献103)に連結させて、植物NPTII発現カセット(pTG171)に対して頭尾配向のLFAH12プロモーター−AtREV遺伝子−rev3’UTRを作製した。LFAH12pr−AtREV遺伝子−rev3’UTRカセットをKpnIを用いてpTG171から切り出し、T4ポリメラーゼを用いて平滑末端化し、SmaIを用いて切断したpBluescript IIにクローニングしてpTG464(TG−GM6)を得た。
【0111】
大豆形質転換
懸濁培地で成長させた大豆細胞に金粒子上のDNAを導入するbiolistic法を用い、大豆種X5をREVトランス遺伝子発現構築物を用いて形質転換した。REVトランス遺伝子発現構築物を含んだ線状DNAを、ハイグロマイシン選択可能マーカー遺伝子を用いて別個の線状DNAフラグメント上で共形質転換した。
【0112】
大豆細胞に挿入するDNAを調整するために、REV遺伝子2.5μl及びpHYGRDNA2.5μlを金粒子に添加した。CaCl250μlを加え、5秒間ボルテックスした。次いで、スペルミジン20μlを添加し、5秒間ボルテックスした。沈殿物をチューブの底に沈殿させた。上清を除去し、100%エタノール200μlでペレットを2回洗浄した。上清を除去し、100%エタノール120μl中にペレットを懸濁させた。ディスク1つ当たり8μlに等分して挿入した。
【0113】
バイオリスティクス挿入後、細胞をフラスコの懸濁培地で12日間成長させた。次いで、2.4%シュガー30ml+Finer’s Light(F.L.)+10μg/μlハイグロマイシン(hyg)170μlを入れた新しいフラスコに培養物を移した。次の4週間、2.4%シュガー+F.L.+hygを入れた新しいフラスコに移すことによって、毎週培地を変えた。
【0114】
形質転換された緑色のカルスが第15週〜第20週の間にフラスコに発生した。緑色のカルスの入ったフラスコの内容物を滅菌した100×15mmの皿又は蓋に注いだ。滅菌した鉗子を用いて、緑色のカルスを茶色の細胞から裂き、2.4%シュガー1〜2ml+F.L.+Hyg/ウェルを充填した26ウェルプレートに移した。1緑色のカルス(クローン)/ウェル 20〜30クローン/フラスコを得ることを目標とした。
【0115】
滅菌した10mLピペット及び自動ピペッターを用いて全ウェルから全培地を吸引することによって、2週毎に培地をプレート内で変えた。培地を新鮮な2.4%シュガー+Hygと交換した。適したproembryogenic培地を得るためにプレートを監視した。これらは幾つかのproembryogenic突起物を有する緑色で、迅速な分割と成長を示した。顕微鏡観察により適した細胞集団が確認されると、滅菌した皿又は蓋に移し、死細胞物を可能な限り多く取り除いた。残りの組織片を2.4%シュガー+Hygの一般的な30mlフラスコに移した。培地交換の間の約3〜5週間、クローンを成長させた。
【0116】
クローンが十分成長したら、分割した。クローン1つ当たり裁量の5片のみを維持した。これらは幾つかのproembryogenic突起物を有する緑色であった。滑らかな緑色のコロニーは望ましくない。十分に大きくなるまでクローンを3〜5週毎に継代培養した。この時点で、再生の第1段階としてクローンを2,4−Dを除去するための活性炭を有する大豆再生培地に移した(OMSM6AC、本願に援用した非特許文献104)。
【0117】
組織から2,4−Dを除去するための活性炭(AC)を入れたOMSM6ACで6日以下の期間クローンを成長させた。次いで、クローンを大豆胚発芽培地(OMSM6G、上記非特許文献104)に3週間移した。この培地は胚の発生を可能にする。3週間後、最良の20個の胚を選択し、大豆成熟培地(OMSM6PH、上記非特許文献104)に移した。最良の胚は1乃至2枚の子葉を有し、分裂組織が見える(融合胚とは反対に)単一の胚であった。分裂組織が寒天表面に平行になるように胚を移した。胚が黄色に変色する4週間、クローンをOMSM6PH上で維持した。黄色になると、すぐに乾燥して、植物に再生された。
【0118】
3層のH2O−飽和ワットマン(Whatman)フィルタで底を30分滅菌したマゼンタボックス内で胚を乾燥させた。胚を10日間乾燥し、次いで、プレートの大豆発根培地(B5/2培地、上記非特許文献104)上で約10乃至12日間移した。シュートが蓋まで成長するか、葉が開いたら、小植物をすぐにSunshine Mix(園芸用木箱(flat))に入れた。最初の三出葉が出現するまでトランスジェニック小植物を園芸用木箱で成長させ、6インチに鉢に移して種子まで成長させた。
【0119】
実施例7。トランスジェニック大豆において増大された種子サイズを決定するための、胚特異的プロモーターからのREVトランス遺伝子の発現
トランス遺伝子発現及びトランス遺伝子挿入遺伝子座数の組み合わせに基づく表現型評価に応用するために、LFAH12−AtREV遺伝子−rev3’UTR(TG GM6)トランス遺伝子構築物を有するT0イベントを選択した。トランス遺伝子発現及び単一のトランス遺伝子挿入遺伝子座が確認されたイベントには種子増大及びフィールド試験に進めるべき最高の優先度を割り当てた。場合によっては、複数の遺伝子の存在が遺伝子量に起因して、全体的に高いトランス遺伝子発現レベルを生じた場合、複数の挿入遺伝子座を有するイベントを選択した。選択されたT0イベントからのT1種子を分離T1集団として温室で成長させた。種子はすべてのT1植物から個々に収穫した。各イベントのT2世代植物を成長させ、PCRによりタイピングして、どのT2系がREVトランス遺伝子にとってホモ接合、ヘテロ接合、又はヌル分離固体であるのかを決定した。各T2系からの種子を収穫し、計数し、計量した。T2系についての総種子重量及び種子数に基づいて、1000個の種子重量(TSW)値を各系について算出した。次いで、各イベントのホモ接合クラス、ヘテロ接合クラス、ヌル分離固体クラスのために平均的なTSWを算出した。
【0120】
REV発現がLFAH12胚特異的プロモーターによって惹起された2つの独立した形質転換イベントは、ヌル分離体系に対してホモ接合系とヘテロ接合系両方で種子サイズが統計学的に有意に増大したことを示す。表4にまとめた結果から、初期胚発生中にREVトランス遺伝子が過剰発現したことは明らかである。
【0121】
【表4】

【0122】
実施例8。トランスジェニック大豆における増大された総種子収量を決定するために、胚特異的プロモーターからのREVトランス遺伝子の発現
胚特異的プロモーターによって惹起されるREVトランス遺伝子発現の総種子収量に対する効果を試験するために、ホモ接合体系とヌル分離体系からのT3種子種子を貯留し、夏の成長期の間にフィールドに植え付けた。フィールドの個々の植物から収穫した全種子をオーブンで低温乾燥して種子重量を測定する前に含水率を均一にした。REV発現がLFAH12胚特異的プロモーターにより惹起された1つのトランスジェニックイベントは、そのヌル同胞に対して、総種子収量が22.7%増大されたこと及び種子サイズが8.0%増大されたことを示す(表5)。
【0123】
【表5】

【0124】
上記実施例は例示のためのものであって、主張される本発明の範囲を限定するものではない。本発明の他の変形例が当業者にはすぐに明白となろうし、それらは添付の特許請求の範囲によって包含される。本明細書に引用した刊行物、特許、特許出願、及びその他の参照物も本願に援用するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】初期胚発生中の胚特異的プロモーターの発現プロフィールを示す図である。シロイヌナズナ胚発生中の大まかな段階:初期球状=授粉後(DAP)2日目、心臓=授粉後4日目、トルペド(torpedo)=授粉後6日目、walking stick=授粉後7日目、初期成熟胚=授粉後8日目
【図2】REVOLUTA及び非REVOLUTAのHD−ZIPIIIクラス転写因子のある領域のアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸配列のこの領域はHD−ZIPIIIタンパク質をタンパク質のREVOLUTA又は非REVOLUTAクラスに属するものと定めるアミノ酸配列の特徴的な差を含む。配列の四角で囲んだ部分は、非REVOLUTA HD−ZIPIIIタンパク質を画定するアミノ酸配列挿入の部位を示す。REVOLUTAタンパク質はアミノ酸配列挿入が無いことによって画定される。Athb−9(シロイヌナズナ;配列番号:2);Athb−14(シロイヌナズナ;配列番号:3);REV(シロイヌナズナ;配列番号:4);BnLfREV(セイヨウアブラナ;配列番号:5); OsREVl(イネ;配列番号:6);ZmRLDl(トウモロコシ;配列番号:7);OsREV2(イネ;配列番号:8);Athb−15(シロイヌナズナ;配列番号:9);及びAthb−8(シロイヌナズナ;配列番号:10)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期胚発生中の種子において植物の生長と発生関連遺伝子を過剰発現させることを含む、植物において種子サイズを増大させる方法。
【請求項2】
前記種子における前記成長及び/又は発生関連遺伝子発現が、初期特異的胚プロモーターで制御される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期特異的胚プロモーターが、植物に対してヘテロ接合性である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記初期特異的胚プロモーターが植物に対してホモ接合性である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記初期特異的プロモーターが、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記AAP1プロモーターがシロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記植物成長及び/又は発生関連遺伝子が、REV遺伝子、CAP(シクラーゼ関連タンパク質)遺伝子、イネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子、E2Fc遺伝子、BKI遺伝子、BRIl遺伝子、ARL(Argos−Like)遺伝子、bril(ブラシノステロイドホルモン認識)遺伝子、FATB遺伝子、ペピーノ遺伝子、RGS(Gタンパク質シグナリングのレギュレータ)遺伝子、TIP1遺伝子、BB(Big Brother)遺伝子、RHD2遺伝子、INCW2遺伝子、MNl遺伝子、WAK2遺伝子、WAK4遺伝子、又はAP2遺伝子である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記成長及び/又は発生関連遺伝子がREVである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記REV遺伝子がシロイヌナズナ由来である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記植物が単子葉植物又は双子葉植物である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記植物がアブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記植物がキャノーラ又は大豆であり、前記植物成長及び/又は発生関連遺伝子がREVであり、前記初期特異的プロモーターがアミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記AAP1プロモーターが、シロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
初期胚発生中の種子において植物の生長と発生関連遺伝子を過剰発現させることを含む、植物から入手可能な種子の数を増大させる方法。
【請求項16】
前記種子における前記成長及び/又は発生関連遺伝子発現が、初期特異的胚プロモーターで制御される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記初期特異的胚プロモーターが植物に対してヘテロ接合性である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記初期特異的胚プロモーターが植物に対してホモ接合性である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記初期特異的プロモーターが、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記AAP1プロモーターがシロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記植物成長及び/又は発生関連遺伝子が、REV遺伝子、CAP(シクラーゼ関連タンパク質)遺伝子、イネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子、E2Fc遺伝子、BKI遺伝子、BRIl遺伝子、ARL(Argos−Like)遺伝子、bril(ブラシノステロイドホルモン認識)遺伝子、FATB遺伝子、ペピーノ遺伝子、RGS(Gタンパク質シグナリングのレギュレータ)遺伝子、TIP1遺伝子、BB(Big Brother)遺伝子、RHD2遺伝子、INCW2遺伝子、MNl遺伝子、WAK2遺伝子、WAK4遺伝子、又はAP2遺伝子である請求項15乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記成長及び/又は発生関連遺伝子がREVである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記REV遺伝子がシロイヌナズナ由来である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記植物が単子葉植物又は双子葉植物である請求項15乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記植物がアブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記植物がキャノーラ又は大豆であり、前記植物成長及び/又は発生関連遺伝子がREVであり、前記初期特異的プロモーターがアミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記AAP1プロモーターが、シロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の制御配列に作用的に連結された植物成長及び/又は発生関連遺伝子をコードする核酸配列を含む遺伝子構築物であって、前記1つ以上の制御配列が胚発生中に植物成長及び/又は発生関連遺伝子の発現を促進することができる、遺伝子構築物。
【請求項30】
前記制御配列が初期特異的胚プロモーターである請求項29に記載の遺伝子構築物。
【請求項31】
前記初期特異的胚プロモーターが、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項30に記載の遺伝子構築物。
【請求項32】
前記AAP1プロモーターがシロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項31に記載の遺伝子構築物。
【請求項33】
前記植物成長及び/又は発生関連遺伝子が、REV遺伝子、CAP(シクラーゼ関連タンパク質)遺伝子、イネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子、E2Fc遺伝子、BKI遺伝子、BRIl遺伝子、ARL(Argos−Like)遺伝子、bril(ブラシノステロイドホルモン認識)遺伝子、FATB遺伝子、ペピーノ遺伝子、RGS(Gタンパク質シグナリングのレギュレータ)遺伝子、TIP1遺伝子、BB(Big Brother)遺伝子、RHD2遺伝子、INCW2遺伝子、MNl遺伝子、WAK2遺伝子、WAK4遺伝子、又はAP2遺伝子である請求項29乃至32のいずれか1項に記載の遺伝子構築物。
【請求項34】
前記植物成長及び/又は発生遺伝子がREV遺伝子である請求項33に記載の遺伝子構築物。
【請求項35】
前記REV遺伝子がシロイヌナズナREV遺伝子である請求項34に記載の遺伝子構築物。
【請求項36】
前記構築物がポリA配列を更に含む請求項29乃至35のいずれか1項に記載の遺伝子構築物。
【請求項37】
種子サイズが増大されたトランスジェニック植物を生産する方法であって、(a)請求項29乃至36のいずれか1項に記載の遺伝子構築物を植物又は植物細胞に導入すること、及び(b)再生及び成熟植物成長を促進する条件下で、前記遺伝子構築物を含んだ植物又は植物細胞を栽培することを含む、方法。
【請求項38】
前記植物又は植物細胞が、単子葉植物又は双子葉植物である植物由来である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記植物が、アブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項39に記載の方法
【請求項41】
前記植物がキャノーラ又は大豆である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
種子数が増大されたトランスジェニック植物を生産する方法であって、(a)請求項29乃至36のいずれか1項に記載の遺伝子構築物を植物又は植物細胞に導入すること、及び(b)再生及び成熟植物成長を促進する条件下で、前記遺伝子構築物を含んだ植物又は植物細胞を栽培することを含む、方法。
【請求項43】
前記植物又は植物細胞が、単子葉植物又は双子葉植物である植物由来である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記植物が、アブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記植物がキャノーラ又は大豆である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
種子サイズ及び種子数が増大されたトランスジェニック植物を生産する方法であって、(a)請求項29乃至36のいずれか1項に記載の遺伝子構築物を植物又は植物細胞に導入すること、及び(b)再生及び成熟植物成長を促進する条件下で、前記遺伝子構築物を含んだ植物又は植物細胞を栽培することを含む、方法。
【請求項48】
前記植物又は植物細胞が、単子葉植物又は双子葉植物である植物由来である請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記植物が、アブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記植物がキャノーラ又は大豆である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
相当する野生型植物に比して増大された種子サイズを有するか、相当する野生型植物に比して増大された種子数を有するか、相当する野生型植物に比して増大された種子サイズ及び種子数を有する、トランスジェニック植物。
【請求項53】
前記植物又は植物細胞が、単子葉植物又は双子葉植物である植物由来である請求項52に記載のトランスジェニック植物。
【請求項54】
前記植物が、アブラナ科(Cruciferae)、イネ科、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項53に記載のトランスジェニック植物。
【請求項55】
前記植物がキャノーラ、トウモロコシ、カメリナ、綿花、ムラサキウマゴヤシ、大豆、小麦、イネ、又はオオムギである請求項54に記載のトランスジェニック植物。
【請求項56】
前記植物がキャノーラ又は大豆である請求項55に記載のトランスジェニック植物。
【請求項57】
前記単子葉植物がイネ、オートムギ、トウモロコシ、又は小麦である請求項53に記載のトランスジェニック植物。
【請求項58】
前記植物がアブラナ科(Cruciferae)、アオイ科、又はLeguminosae−Papilionoideae科のメンバーである請求項57に記載のトランスジェニック植物。
【請求項59】
前記双子葉植物が大豆、綿花、カメリナ、ムラサキウマゴヤシ、又はキャノーラである請求項53に記載のトランスジェニック植物。
【請求項60】
前記植物が、植物全体、植物の器官、種子、植物細胞、及びこれらの後代である請求項52乃至59のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
【請求項61】
前記植物器官が葉、茎、花、又は根である請求項60に記載のトランスジェニック植物。
【請求項62】
前記植物細胞が組織培養細胞である請求項60に記載のトランスジェニック植物。
【請求項63】
初期特異的胚プロモーターに機能的に関連させたときに植物収量を増大させる遺伝子を選択する方法であって、初期特異的胚プロモーターに機能的に関連させた遺伝子を含む発現ベクターを構築すること、前記発現ベクターを用いて植物細胞をトランスフェクトしてトランスジェニック植物を形成すること、前記トランスジェニック植物を成長させること、及び、野生型植物に比して収量が増大されたトランスジェニック植物において成長及び/又は発生関連遺伝子選択することを含む、方法。
【請求項64】
前記成長及び/又は発生関連遺伝子が、CAP(シクラーゼ関連タンパク質)遺伝子、イネヒストンデアセチラーゼ1遺伝子、E2Fc遺伝子、BKI遺伝子、BRIl遺伝子、ARL(Argos−Like)遺伝子、bril(ブラシノステロイドホルモン認識)遺伝子、FATB遺伝子、ペピーノ遺伝子、RGS(Gタンパク質シグナリングのレギュレータ)遺伝子、TIP1遺伝子、BB(Big Brother)遺伝子、RHD2遺伝子、INCW2遺伝子、MNl遺伝子、WAK2遺伝子、WAK4遺伝子、又はAP2遺伝子である請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記初期特異的胚プロモーターが、アミノ酸パーミアーゼ遺伝子(AAP1)、オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子、2S2アルブミン遺伝子(2S2)、脂肪酸伸長酵素遺伝子(FAE1)、又は葉状子葉遺伝子(LEC2)に関連するプロモーターである請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記AAP1プロモーターがシロイヌナズナ由来のAAP1プロモーター、前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼプロモーターがレスクェレラ・フェンドレリ(LFAH12)由来の前記オレイン酸12−ヒドロキシラーゼ:デサチュラーゼ遺伝子プロモーター、前記2S2遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、前記脂肪酸伸長酵素遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来、あるいは前記葉状子葉遺伝子プロモーターがシロイヌナズナ由来である請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519719(P2009−519719A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546002(P2008−546002)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/062200
【国際公開番号】WO2007/079353
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508029745)ターゲット・グロース・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】