説明

利得制御方法及び装置

【課題】周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を無線装置が一括受信する場合に、特定した受信信号に特化した利得制御をする利得制御方法及び利得制御装置を提供する。
【解決手段】周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を、一括増幅する際の利得を制御する利得制御方法は、信号群を一括増幅する可変利得増幅手順と、可変利得増幅手順からの信号出力に対して、周波数解析を実行し複数の信号毎の信号レベルを測定する周波数解析手順と、予め設定されている選択方法に基づいて、複数の信号の中から1つ以上の信号を基準信号として選択し、当該選択した基準信号の信号レベルに基づいて、可変利得増幅手順の利得を制御する利得制御手順とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変利得増幅器の利得制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線装置において、受信信号を可変利得増幅部で利得制御する場合には、可変利得増幅部への入力信号あるいは可変利得増幅部からの出力信号に対して、フィルタ等でチャネル帯域幅に帯域制限をして、その帯域制限された信号レベルを時間領域で測定し、可変利得増幅部からの出力信号レベルを一定にするように利得制御が行なわれる(非特許引用文献1または2参照)。
【0003】
図18は従来の無線装置の一例である。図18の無線装置は、可変利得増幅部12と信号レベル判定部14とを少なくとも具備するRF部10と、AD変換部16と、復調処理部18とから構成される。
RF部10で受信された信号は、可変利得増幅部12でRF部10からの出力信号レベルが一定となるように利得制御が実行される。RF部10からAD変換部16に出力する前段では、信号レベル判定部14で信号レベルが判定され、その判定結果に基づいて、可変利得増幅部12の制御値が変更される。AD変換部16でディジタル信号に変換された受信信号は、復調処理部18で復調される。
【0004】
図19は従来の利得制御の処理フローの一例である。無線装置は、ステップS22で受信信号レベルを測定する。ステップS24で、測定した受信信号のレベルに応じたRF部における可変利得増幅部の制御値を設定し、利得制御を実行する。
【0005】
このように、従来の無線装置においては、可変利得増幅部への入力信号あるいは可変利得増幅部からの出力信号に対して、この信号レベルを時間領域で測定し、可変利得増幅部からの出力信号レベルを一定にするように利得制御が行なわれている。
なお、可変利得増幅部への入力信号あるいは可変利得増幅部からの出力信号は、フィルタ等で帯域制限してから、その信号レベルを時間領域で測定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】藤本、他、「屋内用FOMAブースタ装置の開発」、NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナル、Vol.13、No.3、pp.25−30。
【非特許文献2】増田、他、「直交復調を用いたPHSにおけるディジタルAGCの一検討」、1997年電子情報通信学会総合大会、B−5−140。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を無線装置が一括受信する場合、広い帯域で受信することとなるため、フィルタ等でチャネル帯域幅に帯域制限することができない。そのため、従来の時間領域に基づいた信号レベルの判定による利得制御では、全受信信号に対する一括した利得制御を実行することはできるが、特定した受信信号に特化した利得制御を実行することができないという問題がある。
【0008】
たとえば、この重畳された信号群の各受信信号レベルは大小様々な場合がある。このとき、従来の利得制御では、全信号に対する一括した利得制御を実行することになるため、最大レベルの信号に対する増幅が過剰となりこの信号に歪みが発生する場合や、最小レベルの信号に対する増幅が不足となりこの信号のSNRが劣化が発生する場合がある。
また、この重畳された信号群には、希望しない信号も重畳されている場合があり、この希望しない受信信号の信号レベルが、可変利得増幅部の利得制御に影響するということも発生する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を無線装置が一括受信する場合に、特定した受信信号に特化した利得制御を実行する利得制御方法及び利得制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、
周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を、一括増幅する際の利得を制御する利得制御装置において用いられる利得制御方法であって、前記信号群を一括増幅する可変利得増幅手順と、前記可変利得増幅手順からの信号出力に対して、周波数解析を実行し前記複数の信号毎の信号レベルを測定する周波数解析手順と、予め設定されている選択方法に基づいて、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を基準信号として選択し、当該選択した前記基準信号の信号レベルに基づいて、前記可変利得増幅手順の利得を制御する利得制御手順と、を備えることを特徴とする利得制御方法である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記利得制御手順において、前記可変利得増幅手順の利得を制御する際に、前記基準信号の前記信号レベルと、予め設定されている利得制御の増加制御或いは減少制御を判定するための利得増加閾値及び利得減少閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて利得を制御することを特徴とする請求項1に記載の利得制御方法である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記複数の信号の中から信号レベルの一番大きい信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記複数の信号の中から信号レベルの一番小さい信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記利得制御手順において、前記複数の信号の信号レベルと前記利得増加閾値及び前記利得減少閾値とを比較し、前記複数の信号毎に、当該比較した結果から利得の増加制御或いは減少制御及び利得制御値を算出し、当該比較した結果の中で一番多い制御を選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記重畳されている信号群の信号毎に予め設定された優先度に基づき、前記複数の信号の中から優先度の高い信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記可変利得増幅手順の信号入力の前段に、前記重畳されている信号群を周波数帯域毎に周波数変換を実行する複数の周波数変換手順を備え、前記周波数変換手順は少なくとも可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順をそれぞれ含み、前記可変アッテネータ手順において、前記周波数変換手順に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを調整し、前記第2の可変利得増幅手順において、前記周波数変換手順に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを一括増幅し、前記利得制御手順において、前記周波数変換手順の信号出力の前記周波数帯域毎に選択された前記基準信号と、予め定められた基準レベルとを比較し、前記基準信号が前記基準レベルと等しくなるように、前記可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順の制御値と、前記可変利得増幅手順の制御値とを算出し、当該算出した制御値に基づいて、前記可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順と、前記可変利得増幅手順とを制御することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の利得制御方法である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、前記可変利得増幅手順の前記信号出力をアナログ信号からディジタル信号に変換するAD変換手順を含み、前記周波数解析手順は、前記AD変換手順からの信号出力に対して周波数解析し、前記複数の信号毎に前記信号レベルを測定し、前記利得制御手順は、前記複数の信号毎の前期信号レベルと予め設定された歪み発生閾値とを比較し、前記歪み発生閾値以上の前記信号レベルの信号を検出した場合、当該信号の周波数情報から不要波を生成し、或いは前記可変利得増幅手順の周波数特性に基づき前記当該信号の位相を補正した信号に基づいて前記不要波を生成し、前記信号出力から前記不用波を除去することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の利得制御方法である。
【0018】
請求項9に記載の発明は、周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を、一括増幅する際の利得を制御する利得制御装置であって、前記信号群を一括増幅する可変利得増幅部と、前記可変利得増幅部からの信号出力に対して、周波数解析を実行し前記複数の信号毎の信号レベルを測定する周波数解析部と、予め設定されている選択方法に基づいて、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を基準信号として選択し、当該選択した前記基準信号の信号レベルに基づいて、前記可変利得増幅部の利得を制御する利得制御部と、を備えることを特徴とする利得制御装置である。
【0019】
請求項10に記載の発明は、前記可変利得増幅部の信号入力の前段に、前記重畳されている信号群を周波数帯域毎に周波数変換を実行する複数の周波数変換部を備え、前記周波数変換部は少なくとも可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部をそれぞれ含み、
前記可変アッテネータ部は、前記周波数変換部に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを調整し、前記第2の可変利得増幅部は、前記周波数変換部に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを一括増幅し、前記利得制御部は、前記周波数変換部の信号出力の前記周波数帯域毎に選択された前記基準信号と、予め定められた基準レベルとを比較し、前記基準信号が前記基準レベルと等しくなるように、前記可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部の制御値と、前記可変利得増幅部の制御値とを算出し、当該算出した制御値に基づいて、前記可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部と、前記可変利得増幅部とを制御することを特徴とする請求項9に記載の利得制御装置である。
【0020】
請求項11に記載の発明は、前記可変利得増幅部の前記信号出力をアナログ信号からディジタル信号に変換するAD変換部を含み、前記周波数解析部は、前記AD変換部からの信号出力に対して周波数解析し、前記複数の信号毎に前記信号レベルを測定し、前記利得制御部は、前記複数の信号毎の前期信号レベルと予め設定された歪み発生閾値とを比較し、前記歪み発生閾値以上の前記信号レベルの信号を検出した場合、当該信号の周波数情報から不要波を生成し、或いは前記可変利得増幅部の周波数特性に基づき前記当該信号の位相を補正した信号に基づいて前記不要波を生成し、前記信号出力から前記不用波を除去することを特徴とする請求項9に記載の利得制御装置である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、周波数が異なる複数の信号が重畳した信号群を、可変利得増幅器で一括増幅する場合であっても、利得制御部は、この周波数解析された各信号から基準信号を選択し、その基準信号に基づいて利得制御を実行するため、特定した受信信号に特化した利得制御を実行し、増幅後の信号特性を改善することができる。
【0022】
また、本発明によれば、無線システム或いはユーザレベルで優先度を設定し、優先度に基づいて信号の利得制御をするといった、柔軟な利得制御ができる。
さらに、本発明によれば、複数の無線システムの信号を一括して受信する場合、無線装置には高ダイナミックレンジが要求されるが、利得制御する際に、周波数帯域毎に分割し、受信信号のレベル調整制御もするため、RF部におけるダイナミックレンジの負担を軽減することができる。
さらに、本発明によれば、利得制御する際に信号の歪みを予測し信号処理により不要波の除去をすることで、受信特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の第1実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】この発明の第1実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図3】図2に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
【図4】この発明の第1実施形態において、基準信号を選択する条件が、一番大きい信号レベルの信号である場合についての利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図5】図4に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
【図6】この発明の第1実施形態において、基準信号を選択する条件が、一番小さい信号レベルの信号である場合についての利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図7】図6に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
【図8】この発明の第1実施形態において、信号毎に信号レベルの閾値判定した結果を多数決して利得制御する場合についての利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図9】図8に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
【図10】この発明の第1実施形態において、基準信号を、受信する信号に予め設定された優先度に基づいて選択する場合の利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図11】図10に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
【図12】この発明の第2実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図13】この発明の第2実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図14】図13に記載の中で、受信信号の信号レベルを可変アッテネータと可変利得増幅部で制御する方法についての処理フロー図の一例である。
【図15】この発明の第3実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図16】この発明の第3実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
【図17】図16に記載の中で、不要波除去に関する制御についての処理フロー図の一例である。
【図18】従来の無線装置の構成を示す概略ブロック図の一例である。
【図19】従来の利得制御の処理フロー図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降の実施形態の記載においては、無線の受信機における利得制御の構成により、記述を行う。ただし、本願発明は無線の受信機構成に限定するものではなく、有線伝送における利得制御や、装置内での利得制御など、何れの分野にも適用可能である。
【0025】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0026】
無線装置は可変利得増幅部102を含むRF部100、AD変換部104、周波数解析部106、利得制御部108、復調処理部110、及び無線システムデータベース112を備えている。
【0027】
RF部100で受信された受信信号は、RF部100が備えている可変利得増幅部102に入力され、利得制御される。利得制御され一定の大きさにレベル調整された受信信号は、AD変換部104と周波数解析部106とに入力される。
AD変換部104は、可変利得増幅部102から入力された受信信号をアナログデータからディジタルデータに変換し、復調処理部110に出力する。
復調処理部110は、AD変換部104から入力された受信信号であって、ディジタルデータに変換された受信信号を復調する。
【0028】
一方、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信信号を周波数解析することで受信信号に含まれる周波数毎の信号の信号レベルを測定し、利得制御部108にその測定結果を出力する。
【0029】
利得制御部108は、無線システムデータベース112に登録されている選択条件であって、無線システムの優先度に応じて設定されている基準信号の選択条件に基づき、周波数解析部106から入力された測定結果である周波数毎の信号の信号レベルを検出し、検出した結果に基づき選択条件に該当する信号を基準信号として選択する。
また、利得制御部108は、無線システムデータベース112に登録されている、基準信号と比較するための条件と、選択した基準信号の信号レベルとを比較し、比較した結果から決定した利得制御の設定値を可変利得増幅部102に出力する。そして、可変利得増幅部102は、設定された利得制御に基づいて、受信信号を増幅する。
本実施形態では、基準信号と比較するための条件として、利得増加閾値及び利得減少閾値を用いる。
【0030】
なお、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力される受信信号に代えて、AD変換部104においてアナログデータからディジタルデータに変換されたデータを用いても良い。
【0031】
図2は、本発明の第1実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
まず、周波数解析部106は、広い周波数の範囲で複数の信号を重畳した信号群(無線では、受信した受信電波などが相当。以降、受信した受信電波と称するが、実施の形態にて対応可能な信号群は、受信電波に限らない。)を周波数解析する。
この時、周波数解析部106は、周波数解析方法として、高速フーリエ変換、短時間フーリエ変換、離散フーリエ変換、ウエーブレット変換、ウィグナー分布解析、或いはその組み合わせを利用する。
【0032】
図2(A)の、縦軸は信号レベル(振幅)であり、横軸は時刻である。図2(B)の縦軸は信号レベル(振幅)であり、横軸は周波数である。
図2(A)は、受信電波を示している。図2(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
図2(B)に示す利得減少閾値は、可変利得増幅部102での利得を減少させる判定に用いる閾値であり、利得増加閾値は、可変利得増幅部102での利得を増加させる判定に用いる閾値である。
【0033】
ここでは、利得制御部108は、利得制御を判定する際の基準信号として信号S5を選択している。したがって、利得制御部108は、基準信号である信号S5の信号レベルを一定期間検出し、その検出結果に基づいて利得の増減を判定する。
利得制御部108は、利得の増減を判定する場合には、検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、利得減少閾値及び利得増加閾値とを比較し、比較した結果から利得の増減を実行するかしないかについて判定する。
また、利得制御部108は、利得制御量を、現在設定されている利得制御値、受信電波の信号レベル(振幅値)、基準信号レベル(振幅値)、或いはその組み合わせに基づいて決定する。
【0034】
利得制御部108は、このようにして、利得の増減を判定した結果と利得制御量を決定した制御値を、可変利得増幅部102に通知又は設定し、利得制御する。
【0035】
図2では、信号S5を基準に判定した結果、信号S5の信号レベルが利得増加閾値よりも小さいため、可変利得増幅部102は、利得増加制御と判定し可変利得増幅部102の増幅量を増加制御する。
図2(C)は、増加制御した後の各信号の信号レベルの一例である。
【0036】
図3は、図2に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS102)。
【0037】
次に、利得制御部108は、周波数解析部106から入力された各信号の振幅値を、ある一定期間検出し各信号の平均値を算出する。次に、利得制御部108は、選択条件に該当する信号を基準信号として選択する。そして、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以下であればステップS108へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以上であればステップS106へ処理を進める(ステップS104)。
【0038】
続いて、ステップS104でステップS106へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、ステップS104で選択した基準信号の平均値と利得減少閾値とを比較し、基準信号の平均値が利得減少閾値以上であれば、ステップS108へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値が利得減少閾値以下であれば、利得制御を行なわず処理を終了する(ステップS106)。
【0039】
更に、ステップS104及びステップS106でステップS108へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、現在の可変利得増幅部102の設定値、受信電波の信号レベル(振幅値)、利得制御対象となった基準信号の信号レベル(振幅値)、或いはそれら2つ以上の組み合わせにより、可変利得増幅部102の制御値を決定し、可変利得増幅部102に制御値を通知又は設定する(ステップS108)。
【0040】
このようにして、本第1実施形態の利得制御装置は、周波数が異なる複数の信号が重畳した信号群を、可変利得増幅部102で一括増幅する場合であっても、利得制御部108は、この周波数解析された各信号から基準信号を選択し、その基準信号に基づいて利得制御を実行する。これにより、本第1実施形態の利得制御装置は、特定した受信電波に特化した利得制御を実行することができる。
【0041】
なお、ステップS102で、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力される受信電波に代えて、AD変換部104においてアナログデータからディジタルデータに変換されたデータを用いて、周波数解析してもよい。
【0042】
なお、ステップS104で、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較して判定する代わりに、基準信号が検出期間内に利得増加閾値以下となる回数が予め設定した利得増加と判定する回数以上であるか否かと判定してもよい。
また、ステップS106で、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較して判定する代わりに、基準信号が検出期間内に利得減少閾値以上となる回数が予め設定した利得減少と判定する回数以上であるか否かと判定してもよい。
【0043】
図4から図11を用いて、基準信号を選択する方法、又は利得制御を決定する方法について説明する。図4から図7を用いて信号レベルの大きさに基づいて基準信号を選択する場合について説明する。図8から図9を用いて各信号を基準信号として信号毎の信号レベルを多数決して制御を決める場合について説明する。図10から図11を用いて無線システムにおいて予め設定された優先度に基づいて基準信号を選択する場合について説明する。
【0044】
まず図4を用いて、上記記載の本発明の第1実施形態において、基準信号を選択する条件が、一番大きい信号レベルの信号である場合についての利得制御方法の概要を説明する。図4(A)、図4(B)の縦軸と横軸は、図2(A)、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。図4(A)は、受信電波を示している。図4(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
【0045】
ここでは、利得制御部108は、利得制御を判定する際の基準信号として、5つの信号の中で信号レベルが一番大きい信号S1を選択している。したがって、信号S1の信号レベルを一定期間検出し、検出した結果に基づいて利得の増減を判定する。
利得の増減の判定は、検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、利得減少閾値及び利得増加閾値とを比較し、比較した結果から利得の増減を実行するかしないかについて判定する。
また、利得制御量は、現在設定されている利得制御値、受信電波の信号レベル(振幅値)、基準信号レベル(振幅値)、或いはその組み合わせに基づいて決定する。
【0046】
利得制御部108は、このようにして、利得の増減を判定した結果と利得制御量を決定した制御値を、可変利得増幅部102に通知又は設定し、利得制御する。
【0047】
図4では、信号S1を基準に判定した結果、信号S1の信号レベルが利得増加閾値より大きく利得減少閾値よりも小さいため、利得制御部108は、利得増加制御及び利得減少制御のどちらも実行しないと判定し、可変利得増幅部102の利得制御値は現在の設定から変更しない。
図4(C)は、制御後の各信号の信号レベルの例で、制御値に変更が無いため、各信号の信号レベルは図4(B)と同等である。
【0048】
図5 は、図4に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS202)。
【0049】
次に、利得制御部108は、周波数解析部106から入力された各信号の振幅値を、ある一定期間検出し各信号の平均値を算出する。次に、利得制御部108は、各信号の中で、一番大きいレベルの平均値を持つ信号を基準信号として選択する。そして、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以下であればステップS208へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以上であればステップS206へ処理を進める(ステップS204)。
【0050】
続いて、ステップS204でステップS206へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、ステップS204で選択した基準信号の平均値と利得減少閾値とを比較し、基準信号の平均が利得減少閾値以上であれば、ステップS208へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均が利得減少閾値以下であれば、利得制御を行なわず処理を終了する(ステップS206)。
【0051】
更に、ステップS204及びステップS206でステップS208へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、現在の可変利得増幅部102の設定値、受信電波の信号レベル(振幅値)、利得制御対象となった基準信号の信号レベル(振幅値)、或いはそれら2つ以上の組み合わせにより、可変利得増幅部102の制御値を決定し、可変利得増幅部102に制御値を通知または設定する(ステップS208)。
【0052】
このようにして、本第1実施形態の利得制御装置は、信号レベルが一番大きい信号を基準信号として選択すれば、利得制御部108は、その基準信号の信号レベルを利得増加閾値以上利得減少閾値以下の範囲になるように利得制御を実行する。これにより、本第1実施形態の利得制御装置は、最大信号レベルの信号に対する増幅が過剰となることを抑圧することができ、この信号に歪が発生するのを防止することができる。
【0053】
なお、図5のステップS202、ステップS204、またはステップS206においては、図3のステップS102、ステップS104、またはステップS106と同様に処理方法を変更してもよい。
【0054】
次に、図6を用いて、上記記載の本発明の第1実施形態において、基準信号を選択する条件が、一番小さい信号レベルの信号である場合についての利得制御方法の概要を説明する。図6(A)、図6(B)の縦軸と横軸は、図2(A)、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。図6(A)は、受信電波を示している。図6(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
【0055】
ここでは、利得制御部108は、利得制御を判定する際の基準信号として、5つの信号の中で信号レベルが一番小さい信号S4を選択している。したがって、信号S4の信号レベルを一定期間検出し、検出した結果に基づいて利得の増減を判定する。
利得の増減の判定は、検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、利得減少閾値及び利得増加閾値とを比較し、比較した結果から利得の増減を実行するかしないかについて判定する。
また、利得制御量は、現在設定されている利得制御値、受信電波の信号レベル(振幅値)、基準信号レベル(振幅値)、或いはその組み合わせに基づいて決定する。
【0056】
利得制御部108は、このようにして、利得の増減を判定した結果と利得制御量を決定した制御値を、可変利得増幅部102に通知又は設定し、利得制御をする。
【0057】
図6では、信号S4を基準に判定した結果、信号S4の信号レベルが利得増加閾値より小さいため、利得制御部108は、利得増加制御と判定し可変利得増幅部102の増幅量を増加制御する。
図6(C)は、制御後の各信号の信号レベルの一例で、図6(B)に対して、各信号の信号レベルは大きくなっている。
【0058】
図7 は、図6に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS302)。
【0059】
次に、利得制御部108は、周波数解析部106から入力された各信号の振幅値を、ある一定期間検出し各信号の平均値を算出する。次に、利得制御部108は、各信号の中で、一番小さいレベルの平均値を持つ信号を基準信号として選択する。そして、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以下であればステップS308へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以上であればステップS306へ処理を進める(ステップS304)。
【0060】
続いて、ステップS304でステップS306へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、ステップS304で選択した基準信号の平均値と利得減少閾値とを比較し、基準信号の平均値が利得減少閾値以上であれば、ステップS308へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値利得減少閾値以下であれば、利得制御を行なわず処理を終了する(ステップS306)。
【0061】
更に、ステップS304及びステップS306でステップS308へ処理を進むめると判定された場合、利得制御部108は、現在の可変利得増幅部102の設定値、受信電波の信号レベル(振幅値)、利得制御対象となった基準信号の信号レベル(振幅値)、或いはそれら2つ以上の組み合わせにより、可変利得増幅部102の制御値を決定し、可変利得増幅部102に制御値を通知または設定する(ステップS308)。
【0062】
このようにして、本第1実施形態の利得制御装置は、信号レベルが一番小さい信号を基準信号として選択すれば、利得制御部108は、その基準信号を利得増加閾値以上利得減少閾値以下の範囲になるように利得制御を実行する。これにより、本第1実施形態の利得制御装置は、最小レベルの信号に対する増幅が不足となることを抑圧することができ、この信号のSNRが劣化するのを防止することができる。
【0063】
なお、図7のステップS302、ステップS304、またはステップS306においては、図3のステップS102、ステップS104、またはステップS106と同様に処理方法を変更してもよい。
【0064】
次に、図8を用いて、上記記載の本発明の第1実施形態において、利得制御を実行する条件が、信号毎に信号レベルと利得制御閾値との比較から利得制御を判定し、その判定結果の中で一番多い判定結果に基づいて利得制御する場合についての利得制御方法の概要を説明する。
【0065】
図8(A)、図8(B)の縦軸と横軸は、図2(A)、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。
図8(A)は、受信電波を示している。図8(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
ここでは、利得制御部108は、利得制御を判定する際の基準信号として、5つの信号(信号S1から信号S5)全てを選択している。したがって、5つの信号全ての信号レベルを一定期間検出し、検出結果に基づいて信号毎に利得の増減を判定する。
【0066】
利得の増減の判定は、検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、利得減少閾値及び利得増加閾値とを比較し、比較した結果から信号毎に利得の増減を判定する。
そして、信号毎に判定した結果の多数決をして、判定結果の多い方の制御に基づき、利得の増減を実行するかしないかについて判定する。
また、利得制御量は、多数決で選択された複数の信号の信号レベル(振幅値)若しくはその複数の信号の中から更に選択した信号の信号レベル(振幅値)、現在設定されている利得制御値、受信電波の信号レベル(振幅値)、或いはその組み合わせに基づいて決定する。
【0067】
利得制御部108は、このようにして、利得の増減を判定した結果と利得制御量を決定した制御値を、可変利得増幅部102に通知又は設定し、利得制御する。
【0068】
図8では、利得制御部108は、信号S1、信号S2、信号S3の3つの信号が利得制御の変更なし、信号S4、信号S5の2つの信号が利得増加制御と判定し、この判定結果の多数決により3つの信号の判定結果を選択し、可変利得増幅部102の利得制御値は現在の設定から変更しない。
図8(C)は、制御後の各信号の信号レベルの例で、制御値に変更が無いため、各信号の信号レベルは図8(B)と同等である。
【0069】
図9は、図8に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS402)。
次に、利得制御部108は、周波数解析部106から入力された信号毎に、各信号の振幅値或いは信号レベルの平均値をある一定期間検出し、各信号を基準信号として選択する。利得制御部108は、各基準信号の振幅値或いは信号レベルの平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以下となるかどうか判定し、判定結果を信号毎に保持する。判定方法として、平均値ではなく、利得増加閾値以下となる回数に基づく方法もある(ステップS404)。
【0070】
次に、利得制御部108は、各基準信号の振幅値或いは信号レベルの平均値と利得減少閾値とを比較し、利得減少閾値以上となるかどうか判定し、判定結果を信号毎に保持する。判定方法として、平均値ではなく、利得減少閾値以上となる回数に基づく方法もある(ステップS406)。
【0071】
次に、利得制御部108は、ステップS404及びステップS406で保持した信号毎の判定結果の中から、一番多い信号の判定結果を選択する(ステップS408)。
次に、利得制御部108は、ステップS408で選択された判定結果に基づき、可変利得増幅部102の利得制御値の変更が必要か否かを判定する(ステップS410)。
【0072】
ステップS410で利得制御値の変更が必要と判定された場合、利得制御部108は、受信電波のレベル、利得制御の対象となった信号(対象となる信号が複数存在する場合はその中で一番信号レベルが大きいもの、信号レベルが一番小さいもの、若しくはその平均値)、或いはその組み合わせにより、可変利得増幅部102の制御値を算出し、可変利得増幅部に制御値を通知または設定する(ステップS420)。
【0073】
ステップS410で利得制御値の変更が必要ないと判定された場合、利得制御部108は、利得制御値の変更は実行せず処理を終了する。
【0074】
このようにして、本第1実施形態の利得制御装置は、利得制御部108は、信号毎に信号レベルと利得制御閾値との比較から利得制御を判定し、その判定結果の中で一番多い判定結果に基づいて利得制御を実行する。これにより、本第1実施形態の利得制御装置は、より多くの信号に対して、増幅が過剰となり歪が発生すること或いは増幅が不足となりSNRが劣化することを防止することができる。
【0075】
なお、図9のステップS402においては、図3のステップS102と同様に処理方法を変更してもよい。
【0076】
次に、図10を用いて、上記記載の本発明の第1実施形態において、基準信号の選択条件が、受信する信号に予め設定された優先度に基づき、その優先度の高い信号順に基準信号として選択する場合についての利得制御方法の概要を説明する。
【0077】
図10(A)、図10(B)の縦軸と横軸は、図2(A)、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。
図10(A)は、受信電波を示している。図10(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
また、本制御方法では、予め受信している無線システムに応じて信号の優先度が設定されており、図10(B)に示すように、優先度1の信号は信号S5、優先度2の信号は信号S4、以下順に、信号S1、信号S2、信号S3が優先度の高い順となっている例である。
【0078】
ここでは、利得制御部108は、利得制御を判定する際の基準信号として、5つの信号の中で、信号の優先度が一番高い信号S5を選択している。したがって、信号S5の信号レベルを一定期間検出し、検出した結果に基づいて利得の増減を判定する。
【0079】
利得の増減の判定は、検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、利得減少閾値及び利得増加閾値とを比較し、比較した結果から利得の増減を実行するかしないかについて判定する。
また、利得制御量は、現在設定されている利得制御値、受信電波の信号レベル(振幅値)、基準信号レベル(振幅値)、或いはその組み合わせに基づいて決定する。
【0080】
利得制御部108は、このようにして、利得の増減を判定した結果と利得制御量を決定した制御値を、可変利得増幅部102に通知又は設定し、利得制御をする。
【0081】
図10では、信号S5を基準に判定した結果、信号S5の信号レベルが利得増加閾値より小さいため、利得制御部108は、利得増加制御と判定し可変利得増幅部102の増幅量を増加制御する。
図10(C)は、制御後の各信号の信号レベルの一例で、図10(B)に対して、各信号の信号レベルは大きくなっている。
【0082】
なお、利得制御部108は、基準信号は入力信号の内、優先度の最も高い信号を基準信号として選択する。従って、例えば、信号S5の入力がない場合は、優先度2の信号S4が基準信号を選択する。更に、優先度2の信号S4の入力もない場合は、優先度3の信号S1を基準信号に選択する。
【0083】
図11は、図10に記載の利得制御方法の処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部106は、可変利得増幅部102から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS502)。
【0084】
次に、利得制御部108は、周波数解析部106から入力された各信号の周波数情報に基づいて、無線システムに対して予め設定された優先度を付与する。各信号に付与した優先度の中から、優先度が一番高い信号を基準信号として選択する。
次に、利得制御部108は、選択された基準信号の振幅値を、ある一定期間検出し基準信号の平均値を算出する。
そして、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以下であればステップS508へ処理を進める。
また、利得制御部108は、基準信号の平均値と利得増加閾値とを比較し、利得増加閾値以上であればステップS506へ処理を進める(ステップS504)。
【0085】
続いて、ステップS504でステップS506へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、ステップS504で選択した基準信号の平均値と利得減少閾値とを比較し、基準信号の平均値が利得減少閾値以上であれば、ステップS508へ処理を進める。また、利得制御部108は、基準信号の平均値利得減少閾値以下であれば、利得制御を行なわず処理を終了する(ステップS506)。
【0086】
更に、ステップS504及びステップS506でステップS508へ処理を進めると判定された場合、利得制御部108は、現在の可変利得増幅部102の設定値、受信電波の信号レベル(振幅値)、利得制御対象となった基準信号の信号レベル(振幅値)、或いはそれら2つ以上の組み合わせにより、可変利得増幅部102の制御値を決定し、可変利得増幅部102に制御値を通知または設定する(ステップS508)。
【0087】
このようにして、本第1実施形態の利得制御装置は、予め設定された優先度の高い信号を基準信号として選択すれば、利得制御部108は、その基準信号を利得増加閾値以上利得減少閾値以下の範囲になるように利得制御を実行する。これにより、本第1実施形態の利得制御装置は、優先度の高い信号に対して、増幅が過剰となり歪が発生すること或いは増幅が不足となりSNRが劣化することを防止することができる。
【0088】
なお、図11のステップS502、ステップS504、またはステップS506においては、図3のステップS102、ステップS104、またはステップS106と同様に処理方法を変更してもよい。
【0089】
<第2実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本発明の第2実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0090】
無線装置は、周波数変換部214と可変利得増幅部202とを含むRF部200、AD変換部204、周波数解析部206、利得制御部208、復調処理部210、及び無線システムデータベース212を備えている。
周波数変換部214は、可変アッテネータ216、可変利得増幅部217(第2の可変利得制御部)、或いはその両方を含み、また、その他に、低雑音増幅器、フィルタ、ミキサ等を備えている。
【0091】
この図12に示す可変利得増幅部202、AD変換部204、周波数解析部206、利得制御部208、復調処理部210、及び無線システムデータベース212は、図1に示す第1実施形態の、可変利得増幅部102、AD変換部104、周波数解析部106、利得制御部108、復調処理部110、及び無線システムデータベース112に、それぞれ対応する。また、この図12に示すRF部200は、図1に示す第1実施形態のRF部100に対応するが、RF部200は周波数変換部214を含むところが相違点である。対応する構成の中で同様の構成については、その説明を省略する。
【0092】
RF部200で受信された受信信号は、RF部200が備えている複数の周波数変換部214に入力される。複数の周波数変換部214は、受信信号は複数の周波数帯域毎に割り当てられており、割り当てられた周波数帯域毎に周波数変換する。また、周波数変換部214は、周波数変換する際に、周波数変換部214に含まれる可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方を用いて信号レベルを調整する。
可変利得増幅部202は、周波数変換部214において周波数変換及びレベル調整された受信信号を入力し、利得制御する。
可変利得増幅部202は、利得制御し一定の大きさにレベル調整した受信信号を、AD変換部204と周波数解析部206とに出力する。
【0093】
利得制御部208は、無線システムデータベース212に登録されている選択条件であって、無線システムの優先度に応じて設定されている基準信号の選択条件に基づき、周波数解析部206から入力された測定結果である周波数毎の信号の信号レベルを検出し、検出した結果に基づき、複数の周波数変換部214で割り当てられた周波数帯域毎に、選択条件に該当する信号を基準信号として選択する。
また、利得制御部208は、無線システムデータベース212に登録されている、基準信号の信号レベルを調整するための基準レベルに基づき、周波数帯域毎に選択された基準信号と基準レベルとを比較する。
更に、利得制御部208は、基準信号と基準レベルとを比較した結果から、周波数帯域毎に選択された複数の基準信号の信号レベルが基準レベルと等しくなるように、可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方への設定値と、可変利得増幅部202への利得制御の設定値とを出力する。
【0094】
このように、利得制御部208は、周波数帯域毎の基準信号の信号レベルを調整した後に、第1実施形態に記載と同様の利得制御を実行する。
【0095】
なお、周波数解析部206は、可変利得増幅部202から入力される受信信号に代えて、AD変換部204においてアナログデータからディジタルデータに変換されたデータを用いても良い。
【0096】
図13は本発明の第2実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
本第2実施形態は、アンテナから入力された受信電波を、複数の周波数帯域に分割して、各々の周波数帯域毎に含まれる信号レベルをある一定の信号レベルになるように、利得制御部208は、複数の周波数変換部214に含まれる可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方の設定値と可変利得増幅部202の利得制御値とを制御する。
【0097】
まず、周波数解析部206は、可変利得増幅器202から出力された受信電波を周波数解析する。
図13(A)、図13(B)の縦軸と横軸は、図2(A)、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。
図13(A)は、受信電波を示している。図13(B)は、受信電波を周波数解析した結果、受信電波に5つ(信号S1から信号S5)の信号が含まれている例を示している。
【0098】
また、図13(A)に示す受信電波は、複数の周波数帯域毎に割り当てられている複数の周波数変換部214に入力され、周波数変換部214は、各々の周波数帯域の受信電波を周波数変換し可変利得増幅器202に出力する。そのため、周波数解析部206で解析された結果の5つの信号(信号S1から信号S5)は、複数の周波数変換部214の何れかに割り当てられている。
ここでは、図13(B)に示すように、信号S1と信号S2は周波数変換部1に、信号S3と信号S4は周波数変換部2に、信号S5は周波数変換部3に、それぞれ割り当てられている。
【0099】
また、利得制御部208は、周波数変換部1、周波数変換部2、周波数変換部3に含まれる信号の中から、各々一番大きい信号である信号S1、信号S3、及び信号S5を基準信号として選択する。
したがって、利得制御部208は、基準信号である信号S1、信号S3、及び信号S5の信号レベルを一定期間検出し、その検出期間内の基準信号の信号レベルの平均値と、予め設定されている基準レベルとを比較し、比較した結果から信号レベルが基準レベルの値と等しくなるように、周波数変換部214に含む可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方の設定値及び可変利得増幅部202の利得制御値とを制御する。
その後、利得制御部208は、一定レベルとなった信号に対して第1実施形態に記載と同様の利得制御を実行する。
【0100】
図14は、図13に記載の中で、受信信号の信号レベルを可変アッテネータで制御する方法についての処理フロー図の一例である。
まず、周波数解析部206は、可変利得増幅部202から入力された受信電波を周波数解析する(ステップS602)。
【0101】
次に、利得制御部208は、周波数変換部214において予め分割された周波数帯域毎の各周波数帯域の中に存在する信号レベルと、各周波数帯域の信号レベルを等しくするための基準レベルとを比較し、信号レベルが基準レベルとなるように、RF部200の各周波数変換部214の可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方の設定値、及び可変利得増幅部202の利得制御値を算出する。
利得制御部208は、算出した可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方の設定値、及び可変利得増幅部202の利得制御値を、各々、可変アッテネータ216、可変利得増幅部217、或いはその両方、及び可変利得増幅部202に通知または設定する(ステップS604)。
【0102】
ステップS604にて、利得制御部208は、周波数変換部214において予め分割された周波数帯域毎の各周波数帯域の中に存在する信号レベルと、各周波数帯域の信号レベルを等しくするための基準レベルとを比較し、信号レベルが基準レベルと等しいと判定した場合は処理を終了する。
【0103】
このようにして、本第2実施形態の利得制御装置は、複数の無線信号を一括して受信する場合、無線装置には高ダイナミックレンジが要求されるが、利得制御部208は、利得制御する際に、周波数帯域毎に分割された受信信号のレベル調整制御も実行する。これにより、本第2実施形態の利得制御装置は、RF部200におけるダイナミックレンジの負担を軽減することができる。
【0104】
<第3実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図15は、本発明の第3実施形態による利得制御装置を含む無線装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0105】
無線装置は可変利得増幅部302を含むRF部300、AD変換部304、周波数解析部306、利得制御部308、復調処理部310、及び無線システムデータベース312を備えている。この図15に示す、RF部300、可変利得増幅部302、AD変換部304、周波数解析部306、利得制御部308、復調処理部310、及び無線システムデータベース312は、図1に示す第1実施形態の、RF部100、可変利得増幅部102、AD変換部104、周波数解析部106、利得制御部108、復調処理部110、及び無線システムデータベース112に、それぞれ対応する。
ただし、図1に示す第1実施形態において、受信信号はAD変換部104から復調処理部110へ入力されているが、この図15では、受信信号は、AD変換部304、周波数解析部306、及び利得制御部308を順に通ってから復調処理部310へ入力される構成である。
対応する構成の中で同様の構成については、その説明を省略する。
【0106】
RF部300で受信された受信信号は、RF部300が備えている可変利得増幅部302に入力され、利得制御される。利得制御され一定の大きさにレベル調整された受信信号は、AD変換部304に入力される。
AD変換部304は、可変利得増幅部302から入力された受信信号をアナログデータからディジタルデータに変換し、周波数解析部306に出力する。
【0107】
周波数解析部306は、AD変換部304から入力された受信信号を周波数解析することで受信信号に含まれる周波数毎の信号の信号レベルを測定し、利得制御部308にその測定結果を出力する。また、周波数解析部306は、入力された受信信号のディジタルデータも合わせて利得制御部308に出力する。
【0108】
まず、第1ステップとして、利得制御部308は、無線システムデータベース312に登録されている選択条件であって、無線システムの優先度に応じて設定されている基準信号の選択条件に基づき、周波数解析部306から入力された測定結果である周波数毎の信号の信号レベルを検出し、検出した結果に基づき選択条件に該当する信号を基準信号として選択する。
また、利得制御部308は、無線システムデータベース312に登録されている、基準信号と比較するための条件と、選択した基準信号の信号レベルとを比較し、比較した結果から決定した利得制御の設定値を可変利得増幅部302に出力する。
ここで、利得制御部308は、基準信号と比較するための条件として、利得増加閾値及び利得減少閾値を用いることで、第1実施形態に記載と同様の利得制御を実行する。
【0109】
次に、第2ステップとして利得制御部308は、第1ステップで得られた受信信号に対して、不要波除去の制御も合わせて実行する。
利得制御部308は、無線システムデータベース312に登録されている選択条件であって、無線システムの優先度に応じて設定されている基準信号の選択条件に基づき、周波数解析部306から入力された測定結果である周波数毎の信号の信号レベルを検出し、検出した結果に基づき選択条件に該当する信号を基準信号として選択する。
ここでの基準信号の選択条件は、周波数解析部306から入力された測定結果である周波数毎の信号の全ての信号、優先度が高い複数の信号、或いは任意の複数の信号である。
【0110】
次に、利得制御部308は、無線システムデータベース312に登録されている、基準信号と比較するための条件と、選択した基準信号の信号レベルとを比較する。
ここで、利得制御部308は、基準信号と比較する条件として、信号に歪が発生する大きい信号レベルか否かを判定するための歪み発生閾値を用いる。
【0111】
利得制御部308は、複数の基準信号の信号レベルと歪み発生閾値とを比較し、基準信号の信号レベルが歪み発生閾値以上であると判定した基準信号があった場合、当該基準信号から、高調波及び低調波を生成する。
更に、利得制御部308は、周波数解析部306から入力された受信信号のディジタルデータに対して、生成した高調波及び低調波を除去してから、復調処理部310に出力する。
復調処理部310は、利得制御部308から入力された受信信号のディジタルデータを復調する。
【0112】
なお、利得制御部308は、歪み発生閾値以上と判定した基準信号から高調波及び低調波を生成する場合に、当該基準信号に対して、可変利得増幅部302の周波数特性の変化に基づいて位相補正し、その位相補正した信号から高調波及び低調波を生成してもよい。
【0113】
図16は本発明の第3実施形態における利得制御方法の概要を説明する説明図である。
例えば、第1実施形態による利得制御を実行した際に、高い信号レベルを持つ受信信号が可変利得増幅部302に入力された場合は、受信信号に歪みが発生し、高調波などの不要波が発生することがある。この場合、第3実施形態による利得制御部308は、設定された歪み発生閾値と受信信号の信号レベルとを比較し、信号レベルが歪み発生閾値以上の場合は、当該信号レベルの受信信号は歪みが発生していると判定する。
【0114】
図16(A)、図16(B)の縦軸と横軸は、図2(B)の縦軸と横軸と同様である。
図16(A)は、受信電波を、周波数解析部301で周波数解析した結果、受信電波に4つの信号(信号S1から信号S4)が含まれており、信号S1及び信号S2が歪み発生閾値以上であると判定されている例を示している。
【0115】
利得制御部308は、歪み発生閾値以上の受信信号に対して、まず、当該信号を可変利得増幅部302の周波数特性の変化に基づいて位相補正し、その位相補正した信号を基に高調波及び低調波を生成する。
そして、利得制御部308は、生成した高調波・低調波を受信信号から除去する。
図16(B)は、図16(A)で歪み発生閾値以上であると判定された信号S1及び信号S2が位相補正され、その位相補正された信号S1及び信号S2に基づいて受信信号から不要波を除去している例を示している。
【0116】
図17は、図16に記載の中で、不要波除去に関する制御についての処理フロー図の一例である。
まず、利得制御部308は、受信信号を周波数解析部306において周波数解析された結果に基づいて、受信信号の信号毎の信号レベルと歪み発生閾値とを比較する(ステップS702)。次に、利得制御部308は、受信信号の信号毎の信号レベルが、歪み発生閾値以上であると判定した場合はステップS706へ処理を進め、歪み発生閾値未満であると判定した場合は処理を終了する(ステップS704)。
【0117】
続いて、利得制御部308は、可変利得増幅部302の特性に基づいて、ステップS704で歪み発生閾値以上と判定した信号を位相補正する(ステップS706)。
更に、利得制御部308は、位相補正した信号の周波数情報と信号レベル情報に基づいて、高調波や低調波の不要波を生成し、受信信号から除去する(ステップS708)。
対象信号の信号レベルは高調波や低調波の大きさ、及び利得制御の制御値から推測する。
【0118】
このようにして、本第3実施形態の利得制御装置は、複数の無線信号を一括して受信する場合、利得制御する際に信号の歪みを予測し、信号処理により不要波を除去する。これにより、本第3実施形態の利得制御装置は、受信特性を改善することができる。
【0119】
なお、本発明における実施形態では、利得制御装置を含む無線装置の構成を説明してきたが、本発明の利得制御装置は無線装置の構成に限定するものでは無く、有線伝送における利得制御装置、或いは任意の装置における利得制御装置の構成にも適用可能である。
【0120】
また、図1、図12、及び図15に示した利得制御を構成する各構成の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりこの各構成による処理が実行されてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0121】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0122】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0123】
100、200、300…RF部、102、202、217、302…可変利得増幅部、104、204、304…AD変換部、106、206、306…周波数解析部、108、208、308…利得制御部、214…周波数変換部、216…可変アッテネータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を、一括増幅する際の利得を制御する利得制御装置において用いられる利得制御方法であって、
前記信号群を一括増幅する可変利得増幅手順と、
前記可変利得増幅手順からの信号出力に対して、周波数解析を実行し前記複数の信号毎の信号レベルを測定する周波数解析手順と、
予め設定されている選択方法に基づいて、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を基準信号として選択し、当該選択した前記基準信号の信号レベルに基づいて、前記可変利得増幅手順の利得を制御する利得制御手順とを備えることを特徴とする利得制御方法。
【請求項2】
前記利得制御手順において、前記可変利得増幅手順の利得を制御する際に、前記基準信号の前記信号レベルと、予め設定されている利得制御の増加制御或いは減少制御を判定するための利得増加閾値及び利得減少閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて利得を制御することを特徴とする請求項1に記載の利得制御方法。
【請求項3】
前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記複数の信号の中から信号レベルの一番大きい信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法。
【請求項4】
前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記複数の信号の中から信号レベルの一番小さい信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法。
【請求項5】
前記利得制御手順において、前記複数の信号の信号レベルと前記利得増加閾値及び前記利得減少閾値とを比較し、前記複数の信号毎に、当該比較した結果から利得の増加制御或いは減少制御及び利得制御値を算出し、当該比較した結果の中で一番多い制御を選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法。
【請求項6】
前記利得制御手順において、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を前記基準信号として選択する場合に、前記重畳されている信号群の信号毎に予め設定された優先度に基づき、前記複数の信号の中から優先度の高い信号を前記基準信号として選択することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の利得制御方法。
【請求項7】
前記可変利得増幅手順の信号入力の前段に、前記重畳されている信号群を周波数帯域毎に周波数変換を実行する複数の周波数変換手順を備え、
前記周波数変換手順は少なくとも可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順をそれぞれ含み、
前記可変アッテネータ手順において、前記周波数変換手順に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを調整し、
前記第2の可変利得増幅手順において、前記周波数変換手順に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを一括増幅し、
前記利得制御手順において、前記周波数変換手順の信号出力の前記周波数帯域毎に選択された前記基準信号と、予め定められた基準レベルとを比較し、前記基準信号が前記基準レベルと等しくなるように、前記可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順の制御値と、前記可変利得増幅手順の制御値とを算出し、当該算出した制御値に基づいて、前記可変アッテネータ手順或いは第2の可変利得増幅手順と、前記可変利得増幅手順とを制御することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の利得制御方法。
【請求項8】
前記可変利得増幅手順の前記信号出力をアナログ信号からディジタル信号に変換するAD変換手順を含み、
前記周波数解析手順は、前記AD変換手順からの信号出力に対して周波数解析し、前記複数の信号毎に前記信号レベルを測定し、
前記利得制御手順は、前記複数の信号毎の前期信号レベルと予め設定された歪み発生閾値とを比較し、前記歪み発生閾値以上の前記信号レベルの信号を検出した場合、
当該信号の周波数情報から不要波を生成し、或いは前記可変利得増幅手順の周波数特性に基づき前記当該信号の位相を補正した信号に基づいて前記不要波を生成し、
前記信号出力から前記不用波を除去することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の利得制御方法。
【請求項9】
周波数が異なる複数の信号が重畳された信号群を、一括増幅する際の利得を制御する利得制御装置であって、
前記信号群を一括増幅する可変利得増幅部と、
前記可変利得増幅部からの信号出力に対して、周波数解析を実行し前記複数の信号毎の信号レベルを測定する周波数解析部と、
予め設定されている選択方法に基づいて、前記複数の信号の中から1つ以上の前記信号を基準信号として選択し、当該選択した前記基準信号の信号レベルに基づいて、前記可変利得増幅部の利得を制御する利得制御部とを備えることを特徴とする利得制御装置。
【請求項10】
前記可変利得増幅部の信号入力の前段に、前記重畳されている信号群を周波数帯域毎に周波数変換を実行する複数の周波数変換部を備え、
前記周波数変換部は少なくとも可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部をそれぞれ含み、
前記可変アッテネータ部は、前記周波数変換部に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを調整し、
前記第2の可変利得増幅部は、前記周波数変換部に割り当てられた周波数帯域毎の受信信号の信号レベルを一括増幅し、
前記利得制御部は、前記周波数変換部の信号出力の前記周波数帯域毎に選択された前記基準信号と、予め定められた基準レベルとを比較し、前記基準信号が前記基準レベルと等しくなるように、前記可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部の制御値と、前記可変利得増幅部の制御値とを算出し、当該算出した制御値に基づいて、前記可変アッテネータ部或いは第2の可変利得増幅部と、前記可変利得増幅部とを制御することを特徴とする請求項9に記載の利得制御装置。
【請求項11】
前記可変利得増幅部の前記信号出力をアナログ信号からディジタル信号に変換するAD変換部を含み、
前記周波数解析部は、前記AD変換部からの信号出力に対して周波数解析し、前記複数の信号毎に前記信号レベルを測定し、
前記利得制御部は、前記複数の信号毎の前期信号レベルと予め設定された歪み発生閾値とを比較し、前記歪み発生閾値以上の前記信号レベルの信号を検出した場合、
当該信号の周波数情報から不要波を生成し、或いは前記可変利得増幅部の周波数特性に基づき前記当該信号の位相を補正した信号に基づいて前記不要波を生成し、
前記信号出力から前記不用波を除去することを特徴とする請求項9に記載の利得制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−4622(P2012−4622A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134876(P2010−134876)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】