説明

制御された、および/または調節された力測定デバイス

【課題】制御された、および/または調節された力測定デバイス、具体的には天秤、を提供する。
【解決手段】力測定デバイスは、磁石システム(50)中で可動なように配置され、少なくとも2つの巻線(W1、W2)を有する電気コイル(53)を備え、巻線(W1、W2)は電流供給デバイス(PB)の部分的な電流源(PB1、PB2)の1つがそれに割り当てられ、巻線(W1,W2)への電流の供給を制御、および/または調節する。その制御および/または調節する方法は、力測定デバイス上に作用する力(L)に依存して、電流(I1、I2)によって生成される少なくとも2つの電磁気力の合計が補償力を形成し、かつ同時に、コイルによって消散されるパワーが、常に、所与の所定の値(Ptg)を取る方法で、上記電流(I1、I2)が、巻線(W1、W2)のそれぞれを通じて送られる方法である、制御用および/または調節用デバイス(CU)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力測定デバイスに、具体的には天秤に関し、それは、電磁気力による補償の原理を利用する。
【背景技術】
【0002】
この測定原理の下で、補償力としても言われる拮抗力が生成され、その力は、力測定デバイスによって測定されるべき力に対抗する。この補償の結果、力を受け、それを伝達するように働く力測定デバイスの可動部分が、設定された位置を維持するように調節される。したがって、天秤の場合、秤量重りの重量は、測定されるべき力になり、可動部分は、天秤皿、レバー、ロッドまたは秤量容器などの構成要素を含む。
【0003】
多くの場合、補償力は、電磁気コイルによって生成され、その電磁気コイルは、磁石システムの空隙内を移動することができるように配置され、コイルは、それを通じて送られる電流を通す。この電流は、補償電流として呼ばれ、生成される補償力の測定値を表し、それゆえ力測定デバイス上に作用する力の測定値になる。この補償電流を測定することによって、対応する測定信号が得られ、その信号は、信号処理ユニットで解析され、表示器デバイスに送られる結果に変換される。
【0004】
電磁気力による補償に基づく力測定デバイスは、補償電流によってコイル中で生成されるパワーが、流れる電流の大きさに依存し、それゆえ所与の時間のどの時点においても、作用する力の大きさによって決定されるという欠点がある。したがって、次々と行われる異なる力または負荷の測定の場合、異なるレベルのパワーが生成され、熱の形で放出される。
【0005】
放出される熱量が変動し、かつその結果として温度変化が生じることになり、その結果、ゼロ点および測定範囲の幅は、不安定になる恐れがある。したがって、これらの影響要因は、特に、その測定精度の不変性に関する厳格な要求事項を満たす必要がある力測定デバイスの場合、できるだけ一定に保つべきである。
【0006】
既知の最新技術では、コイルのパワー散逸が一定で、かつ秤量負荷から独立した状態になるようにする様々な方法が提供されている。たとえば、電気的エネルギーを熱に追加して変換する、追加のパワー消費デバイスを使用することが可能である。その結果、コイルパワーおよびパワー消費デバイスの追加の消散されたパワーの合計からなるパワーの総量は、ほぼ一定の状態のままになる。この構成では、追加のパワー消費デバイスは、生成される補償力に影響を及ぼさないように、力に対する影響に関するその挙動において、できるだけ中立とすべきである。
【0007】
たとえば、独国特許第DE 28 19 451号に、様々な力中立のパワー消費デバイスが、パワートランジスタ、半導体抵抗器、または2本巻き巻線のコイルの形で開示されており、そのコイルの場合、2つのコイル部分は、それらの電流が逆並列であるように、すなわち、大きさが等しいがその方向が反対であるように制御される。2本巻き巻線を有し、電流フローが等しくて逆並列であるコイルは、互いを中立化させる2つの力を互いに生成し、したがってその結果は、その全体の影響において力中立であるパワー消費デバイスになる。その実現に基づくので、このコンセプトは、以下の欠点を有する。
−有効でないパワーが生成される位置は、有効なパワーが生成される位置と形状的に一致しない。その結果、力測定デバイス中の温度分布は、測定されるべき補償力にやはり依存する。
−有効でないパワーは、補償コイル内に配置された、電流フローが逆並列であるコイル部中で放出される。この構成の場合、力測定デバイスの効率の程度が減少される、というのは、補償力の最大レベルにおいてでさえ、コイルの一部分だけが力の生成に使用可能であるからである。
【0008】
力中立のパワー消費デバイスを実現する、さらなる方法として、補償電流に交流を加えるコンセプトが、独国第特許DE 31 36 171号に開示されている。したがって、コイルの合成された平均補償力は、基本的には変化しない状態のままであり、そして追加のパワー消費は、電流のAC成分を通して達成される。電流の方向を交番させることによって、2つの巻線の間の差が、平均化される。熱生成のこの形には、AC成分によって平均補償電流が変化しないように防止するために、広範囲に及ぶ対策を採ることが必要になるという欠点がある。
【0009】
この欠点は、交番して電圧が加えられ、反対方向で作用する、2つの別々の巻線を有するコイルを使用することによって、回避することができる。この構成では、第1の巻線を通って流れる電流が、第1の力を生成し、第2の巻線を通って流れる電流が、第2の力を生成する。平均値として、2つの力は、事実上作用する補償力になる合成力を生成することになる。
【0010】
2つの電流の制御のために、第1の期間中は第1の巻線を通り、それに続く第2の期間中は第2の巻線を通るように補償電流を導くように働く切り替えデバイスが、スイス国特許第CH 634 654号に開示されている。これは、結果として、2つの期間にわたる総補償電流が、かなりの程度まで、一定の状態のままになる。しかし、電流フローの周期的な切り替えによって、強い交番力がコイル中に生成され、したがってかなりの量の可聴ノイズが引き起こされる。
【0011】
フィルタ要素または平滑コンデンサによる電流の険しい周期的な交番がもたらすマイナスの影響を軽減するために、努力がなされた場合、コイル中のパワー散逸は、特定の瞬間のどれにおいても、生成された補償力に再び強く依存することになり、したがって所与の時間のどの時点においても、存在する秤量負荷に強く依存することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許第DE 28 19 451号
【特許文献2】独国特許第DE 31 36 171号
【特許文献3】スイス国特許第CH 634 654号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、力測定デバイスを提案することであり、その力測定デバイスは、電磁気力による補償の原理に基づいており、かつ力測定デバイスの簡単で費用効率が高い設計および動作を達成することができ、同時に力測定デバイスが、その測定精度および効率に関する厳しい要求事項を満たすことによって、特色づけられるものである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記の要求事項を満たし、かつ不愉快なノイズを発することなく動作させることができる、力測定デバイスを提案することである。
【0015】
さらなる目的は、巻線のために利用できるスペースの最適な使用を達成することである。これは、巻線を保持するコイルシステムの一部分に割り当てられたスペースである。それは、本質的に、永久磁石の寸法によって、具体的にはコイルシステムが配置される磁石の隙間の寸法によって、範囲が定められる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの課題は、力測定デバイスを用いて、および独立請求項に表された特徴を保有する方法によって解決される。本発明の有利な実施形態は、さらなる従属請求項に述べられる。
【0017】
本発明は、力測定デバイスに、具体的には天秤に関し、それは、電磁気力による補償の原理に基づいており、磁石システム中に配置され、少なくとも2つの巻線を有する可動な電気コイルを備え、さらに、少なくとも2つの部分的な電流源を有する電流供給デバイスであって、上記の巻線のそれぞれは、上記の部分的な電流源の1つが、それに割り当てられる、電流供給デバイスを備え、さらに、部分的な電流源によって、巻線への電流の供給を制御する、および/または調節する、制御デバイスおよび/または調節デバイスであって、その制御および/または調節する方法は、力測定デバイス上に作用する力に依存して、電流によって生成される少なくとも2つの電磁気力の合計が補償力を形成し、かつ同時に、コイルによって消散されるパワーが、常に、所与の所定の値を取る方法で、その電流は、巻線のそれぞれを通じて送られる方法である、制御デバイスおよび/または調節デバイスを備える。この方法によって個々にかつ同時に電流が巻線に供給されるので、コイル中の熱発生速度は、電流フローの方向を周期的に交番させることなく、簡単で効率的な方法で制御することができる。さらに、基本的に直流の形で電流供給を行った場合、可聴ノイズの問題は、存在しない。
【0018】
パワーの所与の所定の値は、補償力を発生するために各瞬間で求められるパワーより大きくする必要があり、さもないと、求められる補償力は、生成することができない。この制約を除けば、パワーの所与の所定の値は、原理上は、自由に選択することができる。たとえば、この値は、最適な温度分布を得るために、力測定デバイス上に作用する負荷に応じて指定することができる。しかし、パワーの所与の所定の値は、実施形態の例で述べるように、特定の所定の条件に従って定めることもできる。
【0019】
本発明は、さらに、力測定デバイス、具体的には天秤を制御するのに適したデバイスに関し、それは、電磁気力による補償の原理に基づいており、磁石システム中に配置され、少なくとも2つの巻線を有する可動の電気コイルを備え、そして、上記の巻線に電流を供給するために次の方法を使用する。その方法は、力測定デバイス上に作用する力に応じて、電流によって生成される電磁気力が、それらの全体的な外側への作用において補償力を形成する方法で、その電流は、巻線のそれぞれを通じて送られる方法である。この構成では、少なくとも2つの電流が、巻線を通じて送られ、電流のそれぞれの強さは、コイル中に生成された総パワーを考慮して、上記のパワーの大きさが一定の状態のままであり、かつ合成された補償力から独立した状態のままである方法によって、制御される、および/または調節される。
【0020】
コイルが2つ以上の部分を有しているので、電流を管理するために、追加の自由度が得られ、それによって、コイル中で消散される全体のパワーを、求められる補償力から独立に制御する可能性がもたらされる。言い換えると、力の発生およびコイル中のパワーを、互いから独立に、それらが互いに対して影響を相互に及ぼさない方法で、制御および/または調節することが可能になる。
【0021】
このコンセプトは、パワーの全体のレベルをより高めることが可能になるという、重要な利点がある。その結果、測定範囲は、同じてこ比を保ちながら、著しく拡大することができる。たとえば、0〜400グラムの測定範囲は、0グラム〜1キログラムの測定範囲まで拡大することができる。その代替えとして、または追加として、より小さいてこ比を使用することも可能である。
【0022】
本発明は、個々の巻線のワイヤが一緒に巻かれている場合(すなわち、2つのワイヤの場合、2本巻き巻線の形である場合)、殊に有利であることが判明している。この種の巻線構成の場合、力測定デバイスの構成要素中のパワー散逸によって生じる温度、および上記の温度の局所的な分布は、最適に一定に保たれ、それによって、力測定デバイスの測定の精度および安定性が、高いレベルで達成される。
【0023】
本発明の有利な実施形態では、所与の所定の値が一定である。このコンセプトの下で、所与の所定の値は、力測定デバイスの全負荷範囲にわたって一定とすることができ、あるいは負荷範囲の一部分だけで一定とすることもできる。たとえば、所与の所定の値は、ゼロ負荷から能力の80%の範囲内では一定であるとして規定する、および所与の所定の値は、能力の80%〜100%の範囲内では、補償力を生成するために、その瞬間に求められるパワーがどのようであっても、それに従って規定することが考えられる。この結果として、負荷に対するパワー散逸から少なくとも部分的に独立であって、測定の高い安定性が達成される。
【0024】
さらに有利な実施形態では、所与の所定の値は、力測定デバイスの測定能力内の負荷範囲について、具体的にはデバイスが可能である全負荷範囲について得られる異なるパワーの値に対して、最小値になる。これによって、コイルと大気温度の間の温度差をできるだけ低いレベルに保つことが可能になる、というのは、過度な熱の発生が避けられるからである。
【0025】
好ましくは、本発明による力測定デバイスは、電流測定デバイスを含み、それは、測定された値に応じて、巻線を通る電流を制御する、および/または調節することができるように、力補償電流または力補償の複数の電流を測定する。
【0026】
さらなる実施形態によれば、力測定デバイスは、補償力を生成するために、所与の瞬間のどれにおいても求められるコイル中のパワーを決定するように働くパワー推定器を含む。部分的な電流の合計に基づき、具体的には次の式を使用して、コイルのパワーを計算する、および/または推定することが、さらに好ましい。
【0027】
P0=R×(I1+I2)
ただし、Rは、コイルの総抵抗を表し、I1およびI2は、互いに対して並列に走るコイル巻線(W1およびW2)の部分的な電流を表す。2つのコイル巻線の並列構成に基づくコイルの総抵抗Rは、次の式を用いて得られる。
【0028】
R=1/(1/R1+1/R2)
次に、制御および/または調節のための所与の所定の値Ptgは、瞬時パワーP0から導かれる。このようにして、簡単で効率的な方法で制御を確立することができる。
【0029】
所与の所定の値Ptgが、最大の補償力におけるコイルのパワーになっている場合は、殊に有利である。
【0030】
本発明による力測定デバイスは、少なくとも2つの電流を大部分直流として生成することを可能にする、適切な制御デバイスおよび/または調節デバイスを備えていることが、好ましい。この制御デバイスおよび/または調節デバイスは、複数のディスクリート回路要素から、または集積回路から組み立てることができ、あるいは、マイクロプロセッサ中のプログラム部分の形で実装することができる。集積度が高い場合は殊に、制御デバイスおよび/または調節デバイスの特に費用効率が高い設計を実現することが可能である。
【0031】
さらなる実施形態では、力測定デバイスは、制御量を計算する目的のための制御量発生器を有し、その制御量は、部分的な電流源を制御する、および/または調節するように働き、具体的には非線形関数として構成され、いずれの時点でも、補償力を生成するために求められるパワーP0に依存する。
【0032】
力測定デバイスは、制御量に従って部分的な電流源を制御する、および/または調節するように働くパワー分配器、具体的にはデジタルポテンショメータを含むことが好ましい。これによって、費用効率が高い設計を、規格構成要素を用いて達成することが可能になる。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、制御量発生器は、制御量xが次の式に従って計算されるように構成される。
【0034】
【数1】

【0035】
ただし、a、bおよびcは、所与の定数を表し、Pは、コイルの正規化されたパワーを表し、その正規化パワーは、コイルの全負荷パワーPtotおよび瞬時パワーP0の項として、次のように計算される。
【0036】
=Ptot/P0
この観点から瞬時パワーP0は、いずれの時点でも求められる補償力を生成するために必要なパワー量である。
【0037】
さらに好ましい実施形態では、部分的な電流源のそれぞれは、コイル巻線に電流を供給するために、それぞれのコイル巻線に直接接続される。これによって、それぞれのコイル巻線中の電流は、直接制御され、および/または調節され、したがって特に効率的な方法で制御する、および/または調節することが可能になる。
【0038】
さらに、部分的な電流源は、所与のオフセット電圧に従って、少なくとも1つのコイル巻線に直流を供給するために、設けることが有利である。
【0039】
本発明の有利な実施形態では、力生成コイルは、複数の部分に、好ましくは別々で並列に制御される2つの部分に分割され、コイル部分の巻線は、同じ巻き数を有することが好ましい。これは、巻線のそれぞれが補償力への負担分を生成することが可能であり、巻線が並列で動作した場合、部分的な電流の合計I=ΣIが、補償力を生成するために求められる補償電流を構成することを意味する。2つ以上の部分からなる、この種の力生成コイルの場合、2つの部分からなり、その部分のそれぞれが、部分的な電流源、いわゆる電流ブースタから別々に供給されることが好ましい。この構成は、力測定デバイスの可動部分を釣り合った状態に保持するために求められる補償電流を測定する電流測定デバイスをさらに含む。この補償電流に基づくパワー推定器を使用して、力測定デバイスを釣り合い状態にするために求められる補償力は、本発明に従って、コイル全体のパワーが、いずれの時点でも求められる補償力から独立した最小値で一定に保たれる方法で、パワー分配器の助けを得てコイル部分を適切に制御することによって、生成される。
【0040】
本発明の有利な実施形態では、少なくとも2つの電流は、コイルの補償電流の瞬時パワーに依存する制御量に従って、同時に制御され、および/または調節される。この簡略化されたコンセプトは、制御の複雑さを減少させ、したがって特に費用効率が高く安定した回路を構築する可能性を広げる。
【0041】
本発明のさらに有利な実施形態では、最大の補償電流においてコイル中で生成される総パワーは、
Ptot=ΣR×I
であり、ただし、Rは、抵抗値を表し、Iは、互いに対して並列に走るコイル巻線の部分的な電流を表す。
【0042】
補償電流Icpが実際の計量信号wになるので、この電流値は、測定する必要があり、必要なら、変換され、その値が求められる。Icpの値の基づき、その瞬間において求められるように補償力を生成するために、放出する必要があるコイルパワーP0は、次の基本式によって決定される。
【0043】
P0=R×Icp
ただし、Rは、コイル全体のオーム等価インピーダンスを表し、Iは、瞬時補償電流Icpを表す。
【0044】
本発明の特に有利な実施形態では、電流の強さは、
=x×I+Ioffset1
=(1−x)×I−Ioffset2
であり、2つのコイル部分を有するコイルでは、総パワーに依存する、少なくとも1つの非線形関数に従って、制御される。
【0045】
この関数は、基本的に次の式によって決定されることが好ましい。
【0046】
【数2】

【0047】
ただし、a、bおよびcは、定数であり、P=Ptot/P0は、最大補償電流におけるコイルの全負荷パワーPtotと、補償力を生成するために、いずれの時点においても求められるパワーP0との間の比を表す。関数のこのプロファイルによって得られるものは、総コイルパワーは、秤量負荷に対する独立度が最適になるということである。また、同様の特性を有する、他の適切に設計された関数プロファイル、たとえば簡単な、または次数がより高い多項式の合成物、あるいは指数関数の合成物を使用することが考えられる。
【0048】
この計算は、力測定デバイス中に構成された制御デバイスおよび/または調節デバイスによって、実施されることが好ましい。たとえば、これらの演算は、簡単な回路によるアナログのプロセスを通じて、またはマイクロプロセッサ中の少数の計算ステップによるデジタルのプロセスを通じて実施することができる。
【0049】
本発明の特に有利な実施形態では、オフセット電流が、2つのコイル電流のそれぞれ上に重ねられる。これらの電流の目的は、補償電流が小さいときでさえ、一定レベルのパワーをコイル中に生成するということである。このコンセプトの好ましい実施では、制御デバイスおよび/または調節デバイスは、所与のオフセット電圧に従って巻線に直流を供給するために、各コイル巻線に専用で各コイル巻線に接続された部分的な電流源を有する。
【0050】
本発明のこの実施形態によるデバイスは、補償電流がその最小値と最大値の間で極性を変化させる、させないにせよ、それにかかわらず、力測定デバイスの可動部分を釣り合った状態にさせる能力を常に保持する。
【0051】
本発明のさらなる実施形態では、制御デバイスおよび/または調節デバイスは、少なくとも2つの切り替え要素を含み、それらは、部分的な電流を実質的にパルス形状の形に変調するように働き、部分的な電流の時間プロファイル中で、部分的な電流がその間同時に流れている時間間隔を規定することができる。切り替え要素を使用した簡単かつ費用効率が高い手段によって、追加の熱量を生成することが可能になる。
【0052】
時間プロファイルのための基礎は、期間の長さによって特徴付けられる、周期的なプロセスである。このプロセスでは、期間は、切り替え要素の同時で周期的な切り替えによって定められ、それによって、2つの部分的な電流の切り替えが実施される。切り替え要素のこの同時の作動の場合、追加の熱が生成されず、したがってこの動作モードは、最新技術を反映する。さらに、この動作モードのために、第1の部分的な電流が、その間、第1の巻線を通って流れる実効時間間隔tが定められる。実効時間間隔tおよび期間の長さtsから、次の比に従って計量信号wを決定することができる。
【0053】
w=t/ts
したがって、計量信号は、印加された力に直接関係付けられる。
【0054】
本発明によれば、追加の熱量を生成するために、第1の制御信号が、実効時間間隔tの終了時に対して遅延時間を有して、切り替えられる。遅延時間の長さは、第1の時間間隔tp1として言われる、つまり、切り替えは、時間t+tp1に起こる。同様に、第2の制御信号は、期間tsの開始時または終了時には切り替えられず、第2の時間間隔tp2だけ遅延されて、すなわち時間ts+tp2に切り替えられる。これらの事象は、周期的に時間0、ts、2ts、3tsなどにおいて繰り返される。したがって、各期間ts内に、第1の時間間隔tp1および第2の時間間隔tp2が存在し、その間、制御信号が重なり合う。したがって、これらの時間間隔中、第1の部分的な電流および第2の部分的な電流は、第1および第2の巻線をそれぞれ通って同時に流れる。これによって、これらの時間間隔中、熱が、巻線中で力中立の形で生成されるという結果がもたらされる。
【0055】
第1の時間間隔tp1および第2の時間間隔tp2は、同一であるように選択され、したがって第1の制御信号SWI1と第2の制御信号SWI2の間で対称であることが、好ましい。この対称性は、2つの遅延時間値tp1およびtp2について、共通の遅延時間値tpの形でほぼ同一であるという選択を通じて達成される。
【0056】
好ましくは、共通の遅延時間値tpは、次の式によって計算される。
【0057】
【数3】

【0058】
ただし、tsは、期間の長さを表し、wは、計量信号を表す。値wによって、遅延時間値tpは、印加された力Lにこのように依存する。
【0059】
有利な実施形態では、制御デバイスおよび/または調節デバイスは、少なくとも1つの遅延要素を含み、それは、制御信号によって切り替え要素を制御する目的のために、少なくとも1つの切り替え要素に接続され、その制御信号は、時間間隔に対応する遅延時間値に依存する。これによって、制御信号を生成するための簡単な方法がもたらされる。
【0060】
本発明のさらに有利な実施形態では、制御デバイスおよび/または調節デバイスは、印加された力に応じて遅延時間値を計算することを可能にする算術ユニットを含み、その算術ユニットは、計算された遅延時間値を遅延要素に伝えるために、遅延要素に接続される。この構成によって、調節における複雑な関係を合体化させるための簡単な方法がもたらされる。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施形態では、力測定デバイスは、測定ユニットを含み、それは、印加化された力に応じた測定信号を算術ユニットに伝える目的のために、算術ユニットに接続され、その測定信号から、負荷に応じた遅延時間値を、算術ユニット中で計算することができる。
【0062】
また、本発明は、3つ以上のコイル巻線を有するコイルに関する設計において使用することができる。たとえば、3つのコイル巻線を有するコイルでは、巻線の中の2つが一方向に力を生成することができ、さらに、残された巻線がその反対方向の力を生成する。4つのコイル巻線を有するコイルの場合、力は、同様な方法で組み合わすことができる。
【0063】
本発明による方法の細部および本発明によるデバイスは、図面に大変図式的な方法で示した実施形態の説明から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】天秤1を示す図であり、その天秤は、その設計に関して例として働くことができ、象徴的に示した負荷L、秤量皿2および表示器ユニット3を備えている、図である。
【図2】電磁気力による補償のコンセプトに基づく、力測定容器10の原理を断面図で示す図であり、コイル53が、磁石システム50の空隙51中で移動するように配置される、図である。
【図3】例として、本発明による制御デバイスおよび/または調節デバイスCUの概略ブロック図、電流測定デバイスM、信号処理ステージのA/DおよびDSP、図式的に描いた磁石システム50、ならびに図2による、2つのコイル巻線W1およびW2を有するコイルシステム53を示す図である。
【図4】図4aは、関数x(P0)の形状に関する、すなわち補償力を生成するために、いずれの時点でも求められるパワーP0の関数としての制御変数xに関する例を示す図である。
【0065】
図4bは、図4aの例に関連付けられたコイル電圧UA1およびUA2を示す図である。
【0066】
図4cは、図4aの例に関連付けられた電流IA1およびIA2を示す図である。
【0067】
図4dは、コイルシステムの関連した総パワーPtotを示す図である。
【図5】簡略化した、例としての、図3のブロック図の細部を示す図であり、パワー分配器PDがデジタルポテンショメータの形であり、2つの部分的な電流源PB1およびPB2が、そのデジタルポテンショメータの下流にある、図である。
【図6】関連するコイルにパルス形状の電流を供給するために、制御信号SWI1およびSWI2によってそれぞれ制御される切り替え要素S1およびS2を備えた、さらなる実施形態の大変簡略化されたブロック図を示す図である。
【図7】大変簡略化された形で、図6に示した制御信号SWI1およびSWI2の時間グラフを示す図である。
【図8】切り替え要素S1およびS2が、単一の共通の制御信号SWIによって制御されるスイッチングトランジスタとして構成された、図6のブロック図の電子回路による実施の例を示す図である。
【図9】大変簡略化された形で、図8に示した制御信号SWI、SWI1およびSWI2の時間グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1に、象徴的に示した負荷Lをかけられた天秤1の形で、力測定デバイスの例を示す。天秤の場合、測定されるべき力Lは、通常、測定されるべき分銅または秤量重りの秤量負荷であり、それは、秤量皿2上に作用する。天秤1の目的は、印加された力Lに対して正確で安定な出力値に到達することであり、それは、表示器ユニット3、たとえばデジタル液晶ディスプレイ上に表示される。
【0069】
図2に、大変簡略化された断面の図面で、電磁気力による補償の原理に基づく、計量技術の分野で使用するのに適した力測定容器10を示す。力測定容器10は、湾曲部45を介してガイド部材44のペアの端部に結合された固定部分42および垂直に変位可能な部分43を有する、平行に誘導するリンケージを備えた力伝達機構を含む。垂直に変位可能な部分43は、測定されるべき負荷L(図式的に示す)を受けるように働く、片持ち伸張部41の形の秤量皿を保持する。負荷Lによって生じる力の垂直成分が、垂直に変位可能な部分43から結合要素49を介してレバー46の短レバーアーム48に伝達される。レバー46は、固定部分42の一部分上の湾曲支え部47によって支持される。力測定容器は、カップ形状の磁石システム50をさらに含み、それは、空隙を含み、固定接続部によって固定部分42に取り付けられる。空隙51中に配置されるのは、レバー46のより長いレバーアームに接続されたコイル53である。コイル53は、電流、いわゆる補償電流Icpを通し、その大きさは、レバー46上に作用する力に依存する。レバー46の位置は、制御デバイスおよび/または調節デバイス60に接続された位置測定デバイス54によって、測定される。制御デバイスおよび/または調節デバイス60は、位置測定デバイス54から受け取った測定信号に基づき補償電流Icpを、レバー46が、同じ位置に常に保持される方法で、または負荷の変化が生じた後、レバー46が同じ位置に戻される方法で、制御する、および/または調節する。
【0070】
この測定原理によれば、電磁気コイルは、レバー上に作用する力、つまり印加された力Lに対抗する、いわゆる補償力Kを生成する。補償力Kを生成する補償電流Icpは、測定されるべき印加された力Lの測定値を表す。この補償電流Icpの大きさを決定し、その後に適切な信号処理を実施することによって、計量信号wが生成され、それは、天秤の表示器ユニットに送られ、そこで対応する測定値として表示される。しかし、また、計量信号wは、さらなる処理ユニット、たとえば主コンピュータ、システムコントローラまたは遠隔位置のコントローラユニットに送ることができる。
【0071】
電磁気コイル53は、電気的に伝導性で絶縁されたコイルワイヤの1つまたは複数の巻線から構成される。図2の簡略化された描写では、コイルワイヤの数巻きだけが概略的に示されている。しかし、通常、コイル53は、大きい巻き数、たとえば数百回の巻線を有する。
【0072】
印加された力Lの大きさが変動することに応じて、それに対応する形で変動する補償電流Icpが、コイル53を通じて送られる。その結果、負荷依存の瞬時パワーP0が、コイル53中に生成され、したがって、それは、熱源として振る舞う。この熱源によって、影響を受けた構成要素、具体的にはコイル53および磁石システム50の温度変化が、それに対応して引き起こされる。本発明は、負荷から独立したパワー量を使用することによって、追加の温度上昇および力測定デバイス中のその分布を、できるだけもっとも一定した状態に、かつもっとも低いレベルに保つことを目的とする。
【0073】
例として、図3に、制御デバイスおよび/または調節デバイスCUの概略ブロック図、電流測定デバイスM、アナログ/デジタル変換器A/Dおよびデジタル信号処理ユニットDSPの形の信号処理ユニット、および図2による、2つのコイル巻線W1およびW2を有するコイル53を有する図式的に描かれた磁石システム50を示す。カップ形状の磁石システム50は、その空隙中で、第1のコイル巻線W1および第2のコイル巻線W2を囲繞する磁場Bを生成する。より明確にするために、磁石システム50は、その円筒形のシェルを切り開いて示してある。
【0074】
コイル53のコイル巻線W1およびW2のそれぞれは、単一巻きで象徴的に示してあるが、実際には、コイル巻線は、通常、巻き数が大きい。第1のコイル巻線W1は、実線として示してあり、第2のコイル巻線W2は、破線として示してある。
【0075】
位置測定デバイスによって生成される測定信号UPSは、位置制御デバイスPCLに送られ、そこでその値が求められ、必要なら、送るために、適切な形に処理される。位置制御デバイスPCLの出力部は、パワー分配器PDの第1の入力部に接続され、したがって位置制御デバイスPCLの位置調節器出力信号Uが、パワー分配器PDのための第1の入力変数として利用できる。この構成では、位置調節器出力信号Uは、位置測定デバイスからの入力として受け取った測定信号UPSに対応し、したがってパワー分配器PDは、力測定デバイス上に作用する力Lに依存した入力量を受け取る。
【0076】
パワー分配器PDは、その出力部側で2つの部分的な電流源PB1およびPB2、いわゆる電流ブースタに接続され、したがってパワー分配器PDによって生成される制御電圧UH1およびUH2は、互いから独立して、部分的な電流源PB1およびPB2に送ることができる。
【0077】
第1の増幅係数K1を使用して、第1の部分的な電流源PB1は、第1のコイル電圧UA1を生成し、それは、第1の部分的な電流源PB1の出力部に存在する。第1の部分的な電流源PB1の出力端子は、第1の巻線W1の第1のコネクタ端子に接続され、第1の巻線W1の第2のコネクタ端子は、グラウンド電位に接続される。第1の巻線W1のライン抵抗、いわゆる第1のコイル抵抗R1は、抵抗器(点線)として等価回路の要素の形で表現される。ここで、巻線W1の第1のコネクタ端子が第1のコイル電圧UA1に保たれた場合、部分的な電流源PB1によって生成され、その大きさが、第1のコイル抵抗R1に依存する第1の電流I1は、第1の巻線W1を通ってグラウンド電位に流れることになる。
【0078】
第1の部分的な電流源PB1と同じようにして、かつ第1の部分的な電流源PB1から独立して、第2の部分的な電流源PB2は、コイルの第2の巻線W2に接続される。同様に、第2の増幅係数K2を使用して、第2のコイル電圧UA2が第2の部分的な電流源PB2によって生成され、したがって部分的な電流源PB2によって生成され、その大きさが第2のコイル抵抗R2に依存する第2の電流I2は、第2の巻線W2を通ってグラウンド電位に流れることになる。
【0079】
第1の部分的な電流源PB1および第2の部分的な電流源PB2は、一点鎖線によって示すように、電流供給デバイスPBに組み合わすことができる。
【0080】
第1の巻線W1のグラウンド電位への接続、および第2の巻線W2のグラウンド電位への接続は、共通の導体ラインに結合され、したがってコイル電流I1およびI2は、回路のこの部分で互いに結合され、コイル電流I1およびI2の合計が、補償電流Icpを形成し、それは、グラウンド電位に流れる。
【0081】
合計電流の大きさ、すなわち、補償電流Icpは、コイル中に生成される補償力Kの測定値を表し、したがって力測定デバイス上に作用する力Lの測定値になる。したがって、補償電流Icpは、電流測定デバイスMによって測定され、対応する測定信号が、計量信号wの形で生成され、それは、アナログ/デジタル変換器によってデジタル形式に変換される。A/D変換器の下流に配置されたデジタル信号処理ユニットDSP中で、計量信号wは、さらなる処理を受ける。デジタル信号処理ユニットDSPは、たとえば、増幅器、低域通過フィルタまたは正規化器を含むことができる。デジタル信号処理ユニットDSPの出力部において、処理済の計量信号が、ここで、さらなる使用のために、たとえばディスプレイ上に表示する、または主コンピュータに送るために利用できる。
【0082】
アナログ/デジタル変換器A/Dの出力部は、パワー推定器PEに接続され、それゆえ補償電流Icpに対応するデジタル計量信号wは、パワー推定器PEの入力部に示される。パワー推定器PEは、次の式に従って補償力を生成するために、その瞬間にコイル中で必要なパワーP0を推定する。
【0083】
P0=R×Icp
ただし、Rは、コイル53の総抵抗を表し、Icpは、計量信号wに対応する補償電流の大きさを表す。2つの巻線W1およびW2は、回路中で互いに対して並列であるので、コイルの総抵抗Rは、次の式によって見出される。
【0084】
R=1/(1/R1+1/R2)
ただし、R1は、第1のコイル抵抗を表し、R2は、第2のコイル抵抗を表す。抵抗値R1およびR2が等しい場合、Rは、第1のコイル抵抗の2分の1に等しくなる、すなわちR=R1/2になる。
【0085】
さらに、パワー推定器PEは、次の関係に従って正規化定数Ptotの観点から、コイル中の瞬時パワーP0を正規化する機能を果たす。
【0086】
=Ptot/P0
ただし、Pは、コイルの正規化されたパワーを表し、Ptotは、全負荷におけるコイルの総パワーを表す。
【0087】
力測定デバイスの場合、用語「ゼロ負荷」は、力が力測定デバイス上に作用しない場合の動作条件を定義し、一方用語「全負荷」は、印加された力Lが測定可能な力の指定された最大値に等しい場合の動作条件を定義し、全負荷パワーPtotは、次の式に従って計算することができる。
【0088】
Ptot=R×IU
ただし、IUは、全負荷時の補償電流Icpを表す。
【0089】
したがって、コイルの正規化パワーPは、ゼロ負荷に対する無限大の値と全負荷に対する1の値との間になる。
【0090】
パワー推定器PEの出力部は、制御量発生器XGの入力部に接続され、したがって、コイルの正規化パワーPに対応する値を制御量発生器XGに送ることができる。
【0091】
手元にある場合、制御量発生器XGは、入力量から、すなわち正規化パワーPから次の式に従って制御量xを計算する。
【0092】
【数4】

【0093】
したがって、制御量xの値は、ゼロ負荷時における1/2の値と、全負荷時における0の値との間になる。
【0094】
制御量発生器XGの出力部は、計算された制御量xをパワー分配器PDに送るために、パワー分配器PDの第2の入力部に接続され、したがってパワー分配器は、第2の入力量として制御量xを受け取る。
【0095】
パワー分配器中で、2つの上記の制御電圧UH1およびUH2が、制御量xおよび上記に述べた位置調節器出力信号Uから、次の式に従って決定される。
【0096】
H1=U×x+Uof1
H2=U×(1−x)+Uof2
2つの制御電圧UH1およびUH2が決定された後、上記に述べた部分的な電流源PB1およびPB2がそれによって制御される量が、ここで利用できる。その結果、これによって、ループが閉じられて、パワー分配器PDが上記に述べたように機能することが可能になる。
【0097】
したがって、この回路構成は、2つの制御ループ、すなわち補償力Kの調節のための第1の制御ループ、および巻線W1およびW2中で生成される総パワーPtotが、補償力Kの異なる強さの範囲にわたって、基本的に一定である方法で電流を分配するための第2の制御ループを表す。
【0098】
回路の個々の構成要素は、たとえば、制御ユニットおよび/または調節ユニットCU(破線で示す)として、互いに適切に組み合わすことができる。さらに、回路の構成要素、具体的にはパワー推定器PEおよび制御量発生器XGは、集積回路中の機能ブロックとして、またはマイクロプロセッサ中のプログラム部分として実現することができる。したがって、制御デバイスおよび/または調節デバイスCUは、アナログまたはデジタルの設計、あるいはどのような種類の組み合わせた構成を使用しても、構築することができる。
【0099】
本発明の特に有利な実施形態では、第1の部分的な電流源PB1は、規定された固定の大きさの追加の第1のオフセット電圧Uof1を有して第1の電流I1を生成する。似たように、第2の部分的な電流源PB2は、規定された固定の大きさの追加の第2のオフセット電圧Uof2を有して第2の電流を生成する。したがって、次の電流I1およびI2は、巻線W1およびW2をそれぞれ通って流れる。
【0100】
I1=K1/R1×(x×U+Uof1)
I2=K2/R2×((1−x)×U+Uof2)
ただし、Uof1およびUof2は、オフセット電圧を表し、これらの式中のさらなるシンボルは、ここで以前に定義されたものと同じである。
【0101】
オフセット電圧Uof1およびUof2は、全負荷時の合計電流IUの観点から、次の式に従って決定することが好ましい。
【0102】
Uof1=R1×IU/K1/2
Uof2=−R2×IU/K2/2
ただし、IUは、コイル電流を表し、それは、最新技術の力測定デバイス中で、全負荷の下で生じることになるはずである。
【0103】
したがって、オフセット電圧Uof1およびUof2を追加した結果として、直流が、電流I1およびI2のそれぞれ上に重ねられる。
【0104】
図4aに、関数F(P0)の形状に関する、すなわち補償力を生成するために、いずれの時点でもコイル中に求められるパワーP0の関数としての制御変数xに関する例を示す。このグラフでは、制御量xは、縦座標として表され、補償力を生成するために、所与の時点で求められるパワーP0は、横座標として表される。関数F(P0)のプロファイルは、以前に述べた式に対応する。
【0105】
【数5】

【0106】
なお、
=Ptot/P0
であり、ただし、Pは、コイルの正規化されたパワーを表し、全負荷パワーPtotは、正規化定数を表し、P0は、いずれの時点でも求められるパワーを表す。
【0107】
ゼロ負荷時、すなわちP0=0であるとき、制御量xは、その最大値、x=1/2を取ると仮定する。全負荷時(P0=Ptot)、制御量xは、その最小値、x=0を取ると仮定する。関数F(P0)のプロファイルは、非線形である。
【0108】
図4bに、図4aの制御量xに対応し、部分的な電流源PB1およびPB2によってそれぞれ生成される、2つのコイル電圧UA1およびUA2のプロファイルを示す。この図では、コイル電圧UAは、縦座標軸として表され、補償力を生成するために、いずれの時点においても求められるパワーP0は、横座標として表される。第1のコイル電圧UA1のプロファイルは、実線で示し、第2のコイル電圧UA2のプロファイルは、破線で示してある。
【0109】
図4cに、図4bに示した電圧UA1およびUA2を第1の巻線W1および第2の巻線W2にそれぞれ印加した結果として、流れる2つの電流I1およびI2のプロファイルを示す。このグラフでは、電流Iは、縦座標に沿って測定され、補償力を生成するために、いずれの時点においても求められるパワーP0は、横座標に沿って測定されている。第1の電流I1のグラフは、実線として描かれ、第2の電流I2のプロファイルは、破線として描かれている。さらに、補償電流Icp、すなわち2つの電流I1およびI2の合計のプロファイルは、点線で表されている。
【0110】
最後に、図4dに、コイル53中に生成される総パワーPtotのプロファイルを表し、Ptotは、縦座標に沿って測定され、補償力を生成するために、いずれの時点においても求められるパワーP0は、横座標に沿って測定されている。パワーPtotは、範囲全体にわたって一定であり、したがって印加された負荷から独立している。
【0111】
図5に、簡略化した、例としての、図3のブロック図の細部を示す図であり、パワー分配器PDがデジタルポテンショメータの形であり、2つの部分的な電流源PB1およびPB2が、そのデジタルポテンショメータの下流にある、図を示す。
【0112】
2つの部分的な電流源PB1およびPB2は、その両方が同じ方法で構成される。各部分的な電流源は、フィードバックループを有する、2つの演算増幅器の従来の直列構成を含む。第1の部分的な電流源PB1は、負電流供給源Vnegに接続され、第2の部分的な電流源PB2は、正電流供給源Vposに接続される。抵抗値Rx、Ry、Rz1およびRz2の選択によって、次の関係に従って、増幅係数K1およびK2、ならびにオフセット電圧Uof1およびUof2は、確立することができる。
【0113】
K1=Ry/Rx
K2=Ry/Rx
Uof1=−Rz1/(Rz1+Rx)×Vneg
Uof2=−Rz2/(Rz2+Rx)×Vpos
2つのコイル電圧UA1およびUA2は、部分的な電流源PB1およびPB2の出力部にそれぞれ存在し、それぞれの巻線W1およびW2に送られる。
【0114】
2つの部分的な電流源の入力部は、デジタルポテンショメータの出力部に接続される。デジタルポテンショメータは、電圧分圧器として機能し、位置調節器出力信号UUとグラウンド電位との間にある出力電圧を生成する。
【0115】
パワー分配器中で、上記に述べた2つの制御電圧UH1およびUH2は、制御量xおよび以前に述べた位置調節器出力信号Uから、次の式に従って決定される。
【0116】
H1=U×x+Uof1
H2=U×(1−x)+Uof2
図6に、関連するコイルにパルス形状の電流を供給するために、制御信号SWI1およびSWI2によってそれぞれ制御される、および/または調節される切り替え要素S1およびS2を備えた、さらなる実施形態の大変簡略化されたブロック図を示す。
【0117】
第1のコイルおよび第2のコイルは、それらのそれぞれの抵抗値、すなわち第1のコイル抵抗R1および第2のコイル抵抗R2によって表される。抵抗R1を有する第1の巻線は、一方側で正供給電圧Vposに接続され、他方側で第1の切り替え要素S1の第1のコネクタ端子に接続される。第1の切り替え要素S1の第2のコネクタ端子は、第1の部分的な電流源PB1を経由して、負供給電圧Vnegに接続される。第1の切り替え要素S1は、3つのコネクタ端子を有する二路スイッチとして構成され、第3のコネクタ端子は、共通の回路電位に接続される。その結果、第1の部分的な電流源PB1からの接続は、抵抗R1を有する第1の巻線と、共通の回路電位との間で切り替えることができる。第1のスイッチ位置では、抵抗R1を有する第1の巻線は、第1の部分的な電流源PB1に接続され、したがって第1の部分的な電流I1が、抵抗R1を有する第1の巻線を通って流れる。
【0118】
コイル抵抗R2を有する第2の巻線のための回路構成は、コイル抵抗R1を有する第1の巻線に類似している。したがって、第2の部分的な電流源PB2からの接続は、R2によって表された第2の巻線と、共通の回路電位との間で切り替えることができる。この場合、スイッチS2がその第2の位置にあるとき、コイル抵抗R2を有する第2の巻線は、第2の部分的な電流源PB2に接続され、したがって第2の部分的な電流I2が、抵抗値R2を有する第2の巻線を通って流れる。
【0119】
前述の例などでのように、これら2つのコイルは、部分的な電流I1およびI2が同じ方向に流れる場合、生成される力が、反対方向の力になる(コイル終端部の構成のこの極性は、黒色点によって示す)方法で、回路中に接続される。さらに、2つのコイルの切り替え要素S1およびS2に向かう側の終端部は、コンデンサCを介して、互いに接続される。
【0120】
切り替え要素S1およびS2は、アナログ/デジタル変換器A/D中に入力される制御電圧Uctlを使用して、個別に制御される。アナログ/デジタル変換器は、第1のパルス幅変調信号PWMおよび第2のパルス幅変調信号PWMを生成する。
【0121】
アナログ/デジタル変換器A/Dの第1の出力部は、一方においては第1のゲートG1の第1の入力部に接続され、他方においては第1の遅延要素D1の第1の入力部に接続され、したがって第1のゲートG1および第1の遅延要素D1は、第1のパルス幅変調信号PWMを受け取る。第1の遅延時間値tp1を表す信号が、第1の遅延要素D1の時間遅れを制御するために、第1の遅延要素D1の第2の入力部に入力される。第1の遅延要素D1の出力部は、第1のゲートG1の第2の入力部に接続される。ここで、第1のゲートG1の出力部は、第1の切り替え要素S1を制御するように働く第1の制御信号SWI1を配信する。
【0122】
アナログ/デジタル変換器の第2の出力部は、第1の出力部に類似して、第2のパルス幅変調信号PWMから、第2の切り替え要素S2の制御のために、第2の遅延時間値tp2を有する第2の制御信号SWI2を生成するために、第2の切り替え要素S2に、第2の遅延要素D2および第2のゲートG2を経由して接続される。
【0123】
第1の遅延時間値tp1および第2の遅延時間値tp2を適切に選択することによって、第1の制御信号SWI1の時間プロファイルは、第2の制御信号SWI2の時間プロファイルに対して変化させることができる。制御信号SWI1およびSWI2の時間プロファイルは、図7に大変簡略化した形で示す。
【0124】
時間プロファイルのための基礎は、期間の長さtsによって特徴付けられた周期的なプロセスである。このプロセスでは、期間は、切り替え要素S1およびS2の周期的な切り替えによって定められ、したがって切り替え要素S1およびS2を同時に作動させる場合、2つの部分的な電流の間の周期的な切り替えによって定められる。切り替え要素S1およびS2を同時に動作させる場合、熱が追加して生成されず、したがってこの動作モードは、最新技術を反映する。さらに、この動作モードの場合、実効時間間隔tが定められ、その間、第1の部分的な電流I1が、コイル抵抗R1を有する第1の巻線を通って流れる。実効時間間隔tおよび期間の長さtsから、計量信号wは、次の比に従って決定することができる。
【0125】
w=t/ts
したがって、計量信号wは、印加された力に直接関係付けられる。
【0126】
この実効時間間隔tの間、第2の部分的な電流I2のフローは、コンデンサCを流れる充電釣り合い電流を除き、中断される。実効時間間隔tの終了時に、この動作モードの下で2つの切り替え要素S1およびS2を同時に作動させ、したがって残された時間間隔ts−tの間、第2の部分的な電流I2が、コイル抵抗R2を有する第2のコイルを通って流れる。最後に、期間tsの終了時に、2つの切り替え要素S1およびS2は、切り替えられてそれらの元の位置に戻され、したがって新しい期間が開始される。
【0127】
本発明によれば、追加の熱量を生成するために、第1の制御信号SWI1は、実効時間間隔tの終了時に対して遅延時間を有して切り替えられる。遅延時間の長さは、第1の時間間隔tp1によって表される、すなわち、切り替えが、時間t+tp1に起きる。同様に、第2の制御信号SWI2は、期間tsの開始時または終了時に切り替えられず、さらに第2の時間間隔tp2だけ遅延される、すなわち時間ts+tp2に切り替えられる。これらの事象は、周期的に時間0、ts、2ts、3tsなどにおいて繰り返される。したがって、各期間ts内に、第1の時間間隔tp1および第2の時間間隔tp2が存在し、その間、制御信号が重なる。これらの時間間隔の間、第1の部分的な電流I1および第2の部分的な電流I2は、抵抗値R1およびR2を有する第1および第2の巻線をそれぞれ通って、このように同時に流れている。これによって、これらの時間間隔中、熱が、巻線中において力中立で生成されるという結果がもたらされる。
【0128】
第1の時間間隔tp1および第2の時間間隔tp2は、同一になるように選択され、したがって、第1の制御信号SWI1と、第2の制御信号SWI2との間に対称性があることが好ましい。この対称性は、2つの遅延時間値tp1およびtp2を共通の遅延時間値tpの形でほぼ同一であるように選択することによって、達成される。
【0129】
好ましくは、共通の遅延時間値tpは、次の式に従って計算される。
【0130】
【数6】

【0131】
ただし、tsは、期間の長さを表し、wは、計量信号を表す。値wによって、遅延時間値tpは、印加された負荷Lにこのように依存する。
【0132】
図8に、切り替え要素S1およびS2が、付随した論理ゲートを有するスイッチングトランジスタとして構成された、図6のブロック図の電子回路による実施の例を示す。この構成では、第1の切り替え要素S1は、スイッチングトランジスタのペアであって、それらスイッチングトランジスタは、それらのそれぞれの開と閉の状態の間を同時であるが、反対方向に変化するように構成される、スイッチングトランジスタのペアと、ゲートのペアであって、それらゲートは、スイッチングトランジスタに割り当てられ、互いを補完するように構成される、ゲートのペアとから形成され、したがって、第1の部分的な電流源PB1の接続が、第1の巻線(そのコイル抵抗R1によって表す)と共通の回路電位との間で、第1の制御信号SWI1に従って切り替えることができる。第2の切り替え要素S2は、第1の切り替え要素S1と同じ方法で構成され、したがって第2の部分的な電流源PB2の接続が、第2の巻線(そのコイル抵抗R2によって表す)と共通の回路電位との間で、第2の制御信号SWI2に従って切り替えることができる。
【0133】
第1の制御信号SW1および第2の制御信号SW2は、共通の制御信号SWIから、遅延要素Dならびに2つの論理ゲートORおよびNANDによって生成される。制御信号SWIは、この場合、単独で2つの部分的な電流I1とI2の間で同時に切り替えさせることになる、その制御信号として言うことができる。さて、本発明によれば、この制御信号SWIは、ゲートNANDの第1の入力部に、ならびに遅延要素Dの入力部およびゲートORの第2の入力部に送られる。遅延要素Dの出力部は、ゲートNANDの第2の入力部に、ならびにゲートORの第1の入力部に接続され、したがって共通の制御信号SWIは、遅延間隔tpだけ遅延させられて、ゲートORおよびNANDを制御するために使用される。ゲートORの出力信号は、第1の制御信号SWI1になり、そしてゲートNANDの出力信号は、第2の制御信号SWI2になる。2つの制御信号SWI1およびSWI2は、ここで、切り替え要素S1およびS2、より具体的には上記に述べたように相補ゲートのペアを制御するために使用される。
【0134】
図9に、大変簡略化された形で、図8による制御信号SWI、SWI1およびSWI2の時間プロファイルを表す。制御信号SWIから、第1の制御信号SWI1が、ゲートORによって生成され、第2の制御信号SWI2が、ゲートNANDによって生成される。この構成では、第1の制御信号SWI1の立下りが、制御信号SWIに対して時間間隔tpだけ遅延させられる。似たように、第2の制御信号SWI2の立下りが、制御信号SWIに対して時間間隔tpだけやはり遅延させられる。したがって、第1の遅延時間値tp1および第2の遅延時間値tp2が、等しくなるように選択され、それゆえ共通の遅延時間値tpに対応する場合、結果として生じる状況が図7と同様になる。その結果、共通の遅延時間値tpは、上記に述べた式に従って決定することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 力測定デバイス
2 秤量皿
3 表示器ユニット
10 力測定容器
41 片持ち伸張部
42 固定部分
43 垂直可動部分、垂直に変位可能な部分
44 ガイド部材
45、47 湾曲部、湾曲支え部
46 レバー
48 レバーアーム
49 結合要素
50 磁石システム
51 空隙
53 コイル
54 位置センサ、位置測定デバイス
60 制御デバイスおよび/または調節デバイス
L 印加された力、負荷
K1、K2 増幅係数
A/D アナログ/デジタル変換器
B 磁石システムの磁場
C コンデンサ
CU 制御デバイスおよび/または調節デバイス
D、D1、D2 遅延要素
DSP デジタル信号処理ユニット
PD パワー分配器
G1、G2 論理ゲート
NAND、OR 論理ゲート
I 総電流
Icp 補償電流
Iu 全負荷時のコイル電流
I1、I2 部分的な電流
K 補償力
M 電流測定デバイス
PCL 位置調節器、位置制御デバイス
PO 補償力を生成するために、いずれの時点でも求められるパワーの量
Ptot 全負荷時のコイルの総パワー、全負荷パワー
Ptg 所与の所定のパワーの値
コイルの正規化されたパワー
R コイルの総抵抗
R1、R2 コイル抵抗
Rx、Ry、Rz1、Rz2 抵抗値
Uctl 制御電圧
Uof1、Uof2 オフセット電圧
PS 測定信号
位置調節器出力信号
H1、UH2 制御電圧
A1、UA2 コイル電圧
PE パワー推定器
PB 電流供給デバイス
PB1、PB2 電流ブースタ、部分的な電流源
S1、S2 切り替え要素
SWI、SWI1、SWI2 制御信号
Vpos/Vneg 正/負供給電圧
w 計量信号
W1、W2 巻線、コイル部分
x 制御量
XG 制御量発生器
ts 期間の長さ
実効時間間隔
tp、tpl、tp2 遅延時間値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力測定デバイス(1)、具体的には天秤であって、電磁気力による補償の原理に基づいており、
磁石システム(50)中で可動なように配置され、少なくとも2つの巻線(W1、W2)を有する電気コイル(53)と、
さらに、少なくとも2つの部分的な電流源(PB1、PB2)を有する電流供給デバイス(PB)であって、前記巻線(W1、W2)のそれぞれは、前記部分的な電流源(PB1、PB2)の1つがそれに割り当てられる、電流供給デバイス(PB)と、
さらに、前記部分的な電流源(PB1、PB2)によって前記巻線への電流の供給を制御する、および/または調節する制御デバイスおよび/または調節デバイス(CU)であって、その制御および/または調節する方法は、前記力測定デバイス上に作用する力(L)に依存して、電流(I1、I2)によって生成される少なくとも2つの電磁気力の合計が補償力を形成し、かつ同時に、前記コイルによって消散されるパワーが、常に、所与の所定の値(Ptg)を取る方法で、前記電流(I1、I2)が、前記巻線(W1、W2)のそれぞれを通じて送られる方法である、制御デバイスおよび/または調節デバイス(CU)とを備える、力測定デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の力測定デバイスにおいて、
前記所与の所定の値(Ptg)が一定であることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の力測定デバイスにおいて、
前記所与の所定の値(Ptg)は、前記力測定デバイスの測定能力内の負荷範囲について、具体的には、前記力測定デバイスが前記印加された力(L)をその範囲中で測定することが可能である総範囲について、得られる異なるパワーの値に対して、最小値になることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記力測定デバイスは、力補償電流または複数の力補償電流を測定する電流測定デバイス(M)を含み、それによって、前記測定された値に応じて、前記巻線(W1、W2)を通って流れる前記電流(I1、I2)を制御する、および/または調節することができることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記力測定デバイスは、前記補償力を生成するために、いずれの時点でも求められ、かつ、それに基づき、パワーが、所与の所定の値(Ptg)に制御される、および/または調節される、前記コイルの瞬時パワー(P0)を決定するように働くパワー推定器(PE)を含むことを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の力測定デバイスにおいて、
前記パワー推定器(PE)は、前記電流I1とI2の合計に基づき、具体的には次の式に従って、前記コイルの前記瞬時パワーを計算するように構成され、
P0=R×(I1+I2)
ただし、Rは、前記コイルの総抵抗を表し、I1およびI2は、互いに対して並列に走る前記巻線W1およびW2中をそれぞれ流れる、部分的な電流を表すことを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記力測定デバイスは、制御量(x)を計算するように働く制御量発生器(XG)を含み、
前記制御量(x)は、前記部分的な電流源(PB1、PB2)を制御する、および/または調節するために使用され、具体的には、非線形関数F(P0)であり、前記補償力を生成するために、いずれの時点でも求められるパワー(P0)の量に依存することを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の力測定デバイスにおいて、
前記力測定デバイスは、パワー分配器(PD)、具体的にはデジタルポテンショメータを含み、
前記パワー分配器は、前記制御量(x)に従って前記部分的な電流源(PB1、PB2)を制御する、および/または調節するように働くことを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の力測定デバイスにおいて、
前記制御量発生器(XG)は、前記制御量(x)が次の式に従って計算されるように構成され、
【数1】

ただし、a、bおよびcは、所与の定数を表し、Pは、次の式に従い、
=Ptot/P0
は、前記いずれの時点でも求められる補償力を生成するために必要である、前記コイルの前記瞬時パワーP0の正規化された値を表すことを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記部分的な電流源PB1およびPB2は、前記巻線W1およびW2に前記電流I1およびI2を供給するために、前記巻線W1およびW2にそれぞれ直接接続されることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記部分的な電流源(PB1、PB2)は、前記少なくとも1つの巻線(W1、W2)に、所定の所与のオフセット電圧(Uof1、Uof2)に従って、直流を送る目的で設計されることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至10の1項に記載の力測定デバイスにおいて、
前記制御デバイスおよび/または調節デバイス(CU)は、前記部分的な電流(I1およびI2)を実質的にパルス形状の形に分解するように働く少なくとも2つの切り替え要素(S1およびS2)を含み、
前記部分的な電流(I1およびI2)の時間プロファイル中で、前記部分的な電流(I1およびI2)がその間同時に流れている時間間隔は、規定することができることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の力測定デバイスにおいて、
前記制御デバイスおよび/または調節デバイス(CU)は、制御信号(SWI1、SWI2)によって切り替え要素(S1、S2)を制御するために、少なくとも1つの前記切り替え要素(S1、S2)に接続された、少なくとも1つの遅延要素(D、D1、D2)を含み、
前記制御信号(SWI1、SWI2)は、前記時間間隔に対応する遅延時間値(tp、tp1、tp2)に依存することを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の力測定デバイスにおいて、
前記制御デバイスおよび/または調節デバイス(CU)は、前記印加された力(L)に依存した前記遅延時間値(tp、tp1、tp2)を計算するように動作可能である算術ユニットを含み、
前記算術ユニットは、計算された遅延時間値(tp、tp1、tp2)を前記遅延要素(D、D1、D2)に送るために、前記遅延要素に接続されることを特徴とする、力測定デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の力測定デバイスにおいて、
前記力測定デバイスは、前記算術ユニットに、前記印加された力(L)に依存する測定信号を送るために、前記算術ユニットに接続された測定ユニットを含み、したがって前記負荷に依存した遅延時間値(tp、tp1、tp2)は、前記算術ユニット中で計算することができることを特徴とする、力測定デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−271314(P2010−271314A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−115190(P2010−115190)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland