説明

制御ボックスの取付構造

【課題】制御ボックスヘの機器の設置、メンテナンス、調整等の作業空間を広く取って作業性を良好とすると共に作業後は制御ボックス空間を外部から容易に閉塞できる制御ボックスの取付構造を提供すること。
【解決手段】内部にキャビネット1用の制御装置55を内蔵した制御ボックス19の取付構造において、制御ボックス19はボックス本体20とカバー体30とで構成され、ボックス本体20は平板状の基片21と基片21の一方の端部より前方に向かって延設してキャビネット外側面2に連結される側片25とから成り、カバー体30は基片21と平行して配置された平板状の前面板31と前面板31の他方の端部より基片21の他方の端部27に向かって延設した側面板35とから成り、ボックス本体20とキャビネット外側面2に対しカバー体30を着脱自在に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの外側面に取り付けられ、内部にキャビネット用の制御装置を内蔵した制御ボックスの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス等の執務空間にて使用されるキャビネットにおいては、併設された複数のキャビネットの施開錠を一括操作出来る様にしたものや、キャビネット内に収容された物品の出し入れ履歴を管理することによって、セキュリティ性を向上させたものが使用されるケースが多くなってきている。こうしたキャビネットでは、施開錠を制御する機器や、物品の出し入れ履歴を管理する機器を収容すると共に、キャビネットの操作を行うための操作部が形成された制御ボックスを設置するのが一般的であった。
【0003】
こうした制御ボックスを設置する場合においては、床面から立設され、側方に向かって開口する箱状の制御ボックスに、あらかじめ制御機器や操作機器を取り付けると共に、外部との通信線や電源線を結線した後、制御ボックスを固定手段によって、キャビネット側面に固着する方法が取られることが多い。また、操作ボックス前面に作業用開口部を形成することによって、操作ボックスをキャビネット側面に取り付けた後にも、前面カバーを外して開口部からのメンテナンスや、調整作業を実施可能としたものが有った(特許文献1,2,3)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−285602公報(段落0019〜0021、図2)
【特許文献2】実開平04−058037号公報(第5図)
【特許文献3】特許2906283号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、全ての結線および機器を事前に操作ボックスに取り付けておかなければならないので、メンテナンスや、再調整が必要となった場合には、制御ボックスごと取り外さなければならず作業性が悪かった。また、特許文献2,3においては、作業可能な部分は前方の開口部のみとなってしまうので、制御ボックスを取付状態で可能な作業は、ある程度限られてしまうという問題を有している。また、前面カバーを前方より取り付けなければならないので、取付手段が前面に露呈してしまい、体裁が悪くなると共に、セキュリティ性においても問題を有していた。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、制御ボックスヘの機器の設置、メンテナンス、調整等の作業空間を広く取って作業性を良好とすると共に、作業後は制御ボックス空間を外部から容易に閉塞できる制御ボックスの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の制御ボックスの取付構造は、キャビネットの外側面に取り付けられ、内部にキャビネット用の制御装置を内蔵した制御ボックスの取付構造において、前記制御ボックスはボックス本体とカバー体とで構成され、前記ボックス本体は上方に向かって立設された平板状の基片と、基片の一方の端部より前方に向かって延設してキャビネット外側面に連結される側片とから成り、前記カバー体は、前記基片と平行して配置された平板状の前面板と、前面板の他方の端部より基片の他方の端部に向かって延設した側面板とから成り、前記ボックス本体とキャビネット外側面に対し前記カバー体を着脱可能に取り付けて制御ボックス空間を閉塞或いは開放可能にしたことを特徴としている。
この特徴によれば、ボックス本体とキャビネット外側面に対しカバー体を装着していない状態では、ボックス本体の前面および、キャビネット外側面と対向する側が連続した開放部として開放されるので、作業空間を十分に確保することが可能であり、作業後はカバー体を装着して制御ボックス空間を外部から閉塞して、制御装置を保護することができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1に記載の制御ボックスの取付構造であって、前記カバー体の前面板の一方の端部における側端面にネジ孔が形成されていると共に、キャビネット外側面の前記ネジ孔に相対する位置に挿通孔が形成されており、キャビネット内部より、取付ネジが挿通孔を介して、カバー体のネジ孔に螺合することによって、カバー体がキャビネットに固着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、カバー体がキャビネット内部より取付ネジによって螺着されているので、キャビネットヘのカバー体の取付部が外部に露呈することが無く、またカバー体の着脱がキャビネット内部からしか操作できないので、セキュリティ性を高めることができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1または2に記載の制御ボックスの取付構造であって、前記ボックス本体の側片の外側面にネジ孔が形成されていると共に、キャビネット外側面の前記ネジ孔に相対する位置に挿通孔が形成されており、キャビネット内部より、取付ネジが挿通孔を介して、側片のネジ孔に螺合することによって、ボックス本体がキャビネットに固着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボックス本体が、キャビネット内部より取付ネジによって螺着されているので、キャビネットヘのボックスの取付部が外部に露呈することが無く、またボックス本体の着脱がキャビネット内部からしか操作できないので、セキュリティ性を高めることができる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造であって、前記ボックス本体に棚板が取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボックス本体の、例えば基片と側片を利用して棚板を取付けることにより、機器の載置や、配線等の収納整理を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造であって、前記基片の他方の側端部前面に、後方に向かって凹設され、前記カバー体の側面板の後端部が嵌合可能な嵌合溝が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、基片の他方の側端部前面に、後方に向かって凹設された嵌合溝が形成されており、嵌合溝に、カバー体の側面板の後端部が嵌合することによって、カバー体がボックス本体に取付けられるので、キャビネット側方に作業用空間が確保できない場合においても、カバー体を前方からの操作で取付けることができるので、設置場所の選択度を広げることができる。
【0012】
本発明の請求項6に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項5に記載の制御ボックスの取付構造であって、前記基片の嵌合溝内側面と、前記カバー体の嵌合溝への前記後端部の嵌入する側面の互いに対面する少なくともいずれか一方側に、合成樹脂製のスライダーが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、カバー体がスライダーを介してより円滑に嵌合溝に案内されるので、容易にカバー体をボックス本体に取り付けることができる。
【0013】
本発明の請求項7に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1乃至6のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造であって、前記制御ボックス上部を、前記ボックス本体上端部とカバー体上端部とに螺着された平板状の上部カバー材によって閉塞したことを特徴としている。
この特徴によれば、ボックス本体上端部とカバー体上端部とに螺着された上部カバー材によって、ボックス本体とカバー体を強固に連結することができると共に、制御ボックス上面を外部から遮蔽して制御装置の保護を図ると共に、制御ボックスの外観を体裁良く整えることができる。
【0014】
本発明の請求項8に記載の制御ボックスの取付構造は、請求項1乃至7のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造であって、前記ボックス本体の側片前端側より前方のキャビネット外側面に配線挿通孔が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボックス本体の側片前端と、カバー体の前面板との間を、キャビネットヘの配線挿通用空間とすることができるから、キャビネット外側面に形成した配線挿通孔を介しての通線作業がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例における制御ボックスが設けられたキャビネットの全体像を示す正面図であり、図2は、制御ボックスおよび、この制御ボックスに取り付けられる各部材の分解組立斜視図であり、図3は、制御ボックスのボックス本体をキャビネットに組み付ける過程を示す断面図であり、図4(a)は、ボックス本体に棚板を取り付ける斜視図であり、図4(b)は、ボックス本体に底板を取り付ける斜視図であり、図5(a)は、カード読取装置の組み立てを示す斜視図であり、図5(b)は、カード読取装置を制御ボックスのカバー体に取り付ける斜視図であり、図6は、制御ボックス内に設けられる各制御装置とカード読取装置の配置位置および、これら各装置の配線構造を示す一部破断側面図であり、図7は、ボックス本体およびキャビネットにカバー体を組み付ける断面図であり、図8(a)は、ボックス本体の基片側端部前面の嵌合溝およびカバー体の側面板後端部への各スライダーの取り付けを示す要部拡大断面図であり、図8(b)は、各スライダーによって基片の嵌合溝内にカバー体の側面板後端部が嵌入される要部拡大断面図であり、図8(c)は、嵌合溝内に側面板後端部が嵌合された状態を示す要部拡大断面図であり、図9は、制御ボックスが組み立てられた状態を示す断面図であり、図10は、制御ボックス上部を閉塞する上部カバー材の取り付けを示す斜視図である。
【0017】
図1に示されるように制御ボックス19を備えたキャビネット1は、主に企業の各種書類の管理室や倉庫に設置されており、キャビネット1を構成する複数の上下段の什器に設けられた旋解錠が、後述する制御ボックス19内の制御装置55(図6参照)によって各々制御されるとともに、各上下段の什器内に収納される複数の物品13・・・の収納状態も個別に管理されている。尚、本実施例においては、図1に図示されたキャビネット1を対面した状態で見て、キャビネット1の手前側を前方とし、キャビネット1の奥行き側を後方とし、制御ボックス19が取り付けられるキャビネット外側面2側を右方、その反対側面側を左方として説明する。
【0018】
制御ボックス19の正面の中央内部には、RFIDリーダ/ライタ機能を備えた非接触式のカード読取装置が取り付けられており、この中央外部には利用者認証カード(本実施例においてはICチップ搭載RFID対応のIDカード)をカード読取装置に読取らせるカード読取部50aが設けられ、また、上部左右に施錠確認ランプ50bと解錠確認ランプ50cが設けられている。カード読取部50aの下方位置には、マニュアルキーで施開錠操作可能な鍵穴を備えた全施解錠装置60が取り付けられている。また、特に図示しないが制御ボックス19内にはスピーカーが内蔵されており、エラー報知等を外部に告知可能になっている。
【0019】
キャビネット1は、キャビネット1の上下段にそれぞれ設けられた3つの上段什器6,7,8と、3つの下段什器9,10,11とから構成され、これら各什器6〜11毎に収容内部へのアプローチが規制できる従来公知の両開き式扉や引出し、および引戸等の規制部材が備えられている。規制部材にアプローチの規制がされていない場合には、各什器6〜11の扉にそれぞれ形成された手掛部12から扉を開放して、収容部にアプローチでき書類・書籍やファイルケース等の物品13の格納および取り出しを行えるようになっている。
【0020】
上段什器6、7、8および下段什器9,10,11には、それぞれ施解錠報知ランプ4と、電子錠機能を備え且つマニュアルキーで施開錠操作可能な鍵穴を備えた施解錠装置5が設けられている。各施解錠装置5は、扉の開放を抑止又は抑止の解除を行う係止部材(図示省略)を含み、施解錠装置5毎に施錠または解錠信号を受けるか、マニュアルキーで施錠または解錠操作されることにより、係止部材を作動して扉の開放を抑止又は抑止の解除を行うことができる。
【0021】
各施解錠装置5が旋錠されると、それぞれ対応する係止部材が係止作用して、各々の扉の開扉が不能となり(扉の開放が抑止=規制部材へのアプローチが規制される)、各施解錠装置5が解錠されると、それぞれ対応する係止部材の係止作用が解除され(扉の開放の抑止の解除)、各々の扉の開扉が可能となる。扉の開扉不能状態においては、施解錠報知ランプ4が消灯され、扉の開扉可能状態においては、施解錠報知ランプ4が点灯された状態になる。
【0022】
特に図示しないが、各什器6〜11内の物品13には、個々にICチップを備えたRFIDタグが取り付けられるとともに、各什器6〜11の内部には、RFIDタグを介してICチップ内の情報を読出可能なRFIDリーダ/ライタ機能を備えたRFIDアンテナがそれぞれ設けられており、これらRFIDアンテナは制御ボックス19内の制御装置55に接続されている。
【0023】
つまり、各什器6〜11内の物品13の全ての収納状態が制御装置55によって管理されており、例えば、キャビネット1の管理責任者は、パソコンで制御装置55にアクセスすることで、個別の物品毎に利用履歴の管理や什器の運用管理状況を閲覧することができ、目的の物品の検索も容易に行うことができる。さらに、制御装置55には前述した各施解錠報知ランプ4および各施解錠装置5や、カード読取装置、施解錠確認ランプ50b,解錠確認ランプ50cが接続され、制御装置55によって一元的に制御されている。
【0024】
通常、利用者がキャビネット1内の物品13を持ち出したい場合、または物品13を収納したい場合には、利用者に予め付与された利用者認証カードをカード読取部50aにかざすことで、利用者認証カード内の情報が読み出されて制御装置55内部で認証が行われ、利用者認証カードが制御装置55の識別情報に一致する場合のみ、予め点灯される施錠確認ランプ50bが消灯されて解錠確認ランプ50cが点灯され、この利用者認証カードで許可される什器に該当する施解錠装置5のみが解錠されるとともに、同什器の施解錠報知ランプ4が点灯され利用者に向けて目的の物品13が収納される什器の場所が報知され、この什器の扉を開放して物品13の持ち出しが可能となる。
【0025】
利用者が解錠された什器を施錠したい場合には、この什器の扉を閉塞して再度、利用者認証カードをカード読取部50aにかざすことで、制御装置55内部で認証が行われ、利用者認証カードが制御装置55内の識別情報に一致する場合のみ、解錠確認ランプ50cが消灯されて施錠確認ランプ50bが点灯され、この利用者認証カードで許可される什器に該当する施解錠装置5のみが施錠されるとともに、同什器の施解錠報知ランプ4が消灯される。
【0026】
尚、例えば制御ボックス19内の制御装置55のシステムエラー等の緊急時には、手動の鍵操作によって外部から各施解錠装置5の施解錠を個々に行うこともできるが、制御ボックス19側の全施解錠装置60をマニュアルキーで鍵操作することで、全ての施解錠装置5に施解錠信号が伝達され、全ての什器6〜11の施解錠を一斉に行える構成となっている。
【0027】
次に、図2〜図10に基づいて、以下に制御ボックス19について具体的に説明する。
【0028】
図2に示されるように、制御ボックス19は、キャビネット外側面2の後方に取り付けられるボックス本体20と、前方に取り付けられるカバー部材30とで構成され、両者とも金属板の折り曲げにより成型されている。キャビネット外側面2には後方側にキャビネット1内部に貫通する挿通孔2bが上下に4箇所形成され、同様して前方側にキャビネット1内部に貫通する挿通孔2cが上下に4箇所形成されている。キャビネット外側面2の下部中央位置には、キャビネット1内部に貫通する側面視横長矩形の配線挿通孔2aが形成され、後述する複数本のケーブルを配線可能になっている。
【0029】
ボックス本体20は、上方に向けて立設された平板状の基片21と、この基片21の一方の端部より前方に向かって延設してキャビネット外側面2に連結される側片25とから成り、上面視略L字状に形成されている。基片21の他方の端部である側端部27の前面には、上下方向に延びる補強部22が前方に向けて凸設して溶着されている。同様に側片25の右側面には、上下方向に延びる補強部26が右方に向けて凸設して溶着されている。側端部27と補強部22との間には後方に向けて凹設される嵌合溝28が上下の長さ方向に形成され、後述において説明するカバー体30の側面板35の後端部36が凹入可能になっている。
【0030】
補強部26の内部側の側片25には、ナット25aが上下方向に向けて4箇溶着されている。補強部22の前面には、2つの棚板45,45をそれぞれ取り付け可能な係合孔22aが前後方向に貫通して上下に2箇所形成され、さらに下方には底板46を取り付け可能なナット22cが2つ形成されている。補強部22の右側面には、後述するスライダーを取り付けるスライダー取付穴22bが上下に4箇所(一部図示略)形成されている。棚板45および底板46は金属板の折り曲げによって成型され、後述する制御装置55および電源装置57(図6参照)等の取り付け部材となっている。また、底板46の底部には高さ調整の行えるアジャスタ46cが設けられる。
【0031】
カバー部材30は、前述した基片21と平行して配置され上方に向けて立設された平板状の前面板31と、この前面板31の他方の端部より基片21の側端部27に向かって延設した側面板35と、前面板31の一方の端部を構成する後方に向けて延設した側端板32から成り、上面視略逆L字状に形成されている。側端板32の側端面には、左右に貫通するナット32aが上下方向に向けて4箇所(一部図示略)溶着されている。
【0032】
側面板35の後端部36の左側面には、後述するスライダーを取り付けるスライダー取付穴36aが上下に4箇所(一部図示略)形成されている。前面板31には矩形の開口31aが形成され、ユニットカバー54および取付板52,53を取り付け可能になっている。開口31aへのカード読取装置(RFIDリーダ/ライタユニット)の取り付けについては後述において説明する。ボックス本体20およびカバー体30の上部には、金属板からなる上部カバー材40を取り付け可能になっている。
【0033】
上記したボックス本体20のナット25aは、キャビネット外側面2の挿通孔2bに対して相対する位置で形成されており、カバー体30のナット32aは、キャビネット外側面2の挿通孔2cに対して相対する位置で形成されている(図6参照)。また、カバー体30のスライダー取付穴36aにおいては、ボックス本体20のスライダー取付穴22bに相対する位置で形成されている。
【0034】
図3に示されるように、キャビネット1にボックス本体20を取り付けるには、ボックス本体20を前方から後方に向けて側片25をキャビネット外側面2に沿うように移動し、挿通孔2bにナット25aを重ね合わせた位置で、取付ネジ15をキャビネット内部3から挿通孔2bを介してナット25aに螺合することで、ボックス本体20がキャビネット1に固着される。
【0035】
図4(a)に示されるように、棚板45は、棚部45−1と、その棚部45−1の右側端から上方に向けて延設された背板45−2と、棚部45−1の左側端から下方に延びる連結片45bと、から一体的に構成されている。棚板45の背板45−2の後端には係合片45aが設けられ、連結片45bには左右方向に貫通するネジ貫通孔45cが前後一対で形成されている。この一対のネジ貫通孔45c,45cに相対する位置で、補強部26の右側面にはナット26a,26aが溶着されている。
【0036】
棚板45の取り付けには、棚板45の係合片45aの後端部を補強部22の係合孔22aに差し込んで仮固定したのち、ナット26a,26aにネジ貫通孔45c,45cを重ね合わせ、一対のネジ43,43をネジ貫通孔45c,45cを介して、ナット26a,26aに螺合することで、ボックス本体20に棚板45が固着される。このように棚板45が基片21と側片25の補強部22,26を利用して取り付けられているので、棚板45に制御装置55等が設置され荷重が加わった場合であっても、安定して支持可能な構成となっているとともに、制御装置55や通信ケーブル58,給電ケーブル59の配線等の収納整理を容易に行うことができる。
【0037】
図4(b)に示されるように、底板46には後端から補強部22の前面と平行になるように連結片46aが設けられ、この連結片46aには前後方向に貫通するネジ貫通孔46b,46bが上下一対で形成されている。補強部22の前面には一対のネジ貫通孔46b,46bに相対する位置で上下一対のナット22c,22cが設けられている。
【0038】
底板46の取り付けには、ナット22c,22cにネジ貫通孔46b,46bを重ね合わせ、一対のネジ43,43をネジ貫通孔46b,46bを介して、ナット22c,22cに螺合することで、ボックス本体20に底板46が固着される。尚、底板46の底部はアジャスタ46c(図2参照)によって支持されている。
【0039】
図5に示されるように、カード読取装置51の組み立てについて説明する。図5(a)に示されるように、金属板の折り曲げ成型によって取付板52,53が各々成型され、一方の取付板52には利用者認証カードの情報を読み取り可能なカード読取装置が取り付けられるとともに、カード読取装置51、施錠確認ランプ50b、解錠確認ランプ50cあるいはスピーカー等を制御する基板に接続された通信ケーブル58が配線されている。そして、取付板52が他方の取付板53に対して一対のネジ41,41で螺着されている。
【0040】
次いで、図5(b)に示されるように、前面板31背面の開口31a近傍の上下位置には取付片31b,31bが溶接されており、取付片31b,31bの背面に取付板53を一対のネジ42,42で各々螺着することで、取付板53が側面板35と側端板32の間に嵌合される。そして、ユニットカバー54を前面板31の前方から開口31aを介して取付板53の前面に接着剤等で固定することで、カード読取装置51や施錠確認ランプ50bおよび解錠確認ランプ50cやスピーカー等が外部から保護される(図1参照)。
【0041】
図6に示されるように、カバー体30をボックス本体20に向けて移動させ、キャビネット外側面2に取り付ける前工程として、棚板45に制御装置55,55を載置固定し、これら制御装置55,55に取付板52からの複数の通信ケーブル58・・・を接続するとともに、前述したキャビネット1の上下段什器6〜11に設けられた各施解錠報知ランプ4および各施解錠装置5や各RFIDアンテナに接続された複数の通信ケーブル58・・・を配線挿通孔2aを介してキャビネット外側面2の外方に向けて通線し、制御装置55,55に接続することで、これら複数の機器が制御装置55,55によって中央制御されている。尚、底板46には電源装置57が載置固定され、制御装置55,55とキャビネット1内の電気供給を必要とする機器とが給電ケーブル59を介して接続され、安定した電気供給が行われている。
【0042】
ボックス本体20の上下4箇所のスライダー取付穴22bと、カバー体30の上下4箇所のスライダー取付穴36aには、図7および図8(a)に示されるように、予め合成樹脂製のテーパー面を有する同一形状の2つのスライダー48,49を取り付け可能になっており、補強部22の右側面にスライダー48が取り付けられ、後端部36の左側面にスライダー49が取り付けられる。
【0043】
前述した制御装置55への配線接続作業を行ったのち、キャビネット1にカバー体30を取り付けるには、図7に示されるように、カバー体30を前方から後方に向けてボックス本体20の前方側に形成される制御装置55等の収納空間である制御ボックス空間Sを閉塞するように、側端板32をキャビネット外側面2に沿うように移動していくとともに、側面板35先端の後端部36を側端部27の前面と補強部22の間の嵌合溝28に向けて嵌入していく。
【0044】
この嵌入時には、図8(b)に示されるように、一方のスライダー48のテーパー面に沿って、他方のスライダー49のテーパー面が摺接されながら、後端部36が後方の嵌合溝28に向けて案内されていく。そして、図8(c)に示されるように、後端部36がさらに後方に移動されることで、嵌合溝28内に後端部36が円滑に嵌合される。しかも、スライダー48をスライダー49が乗り上げることで、後端部36が側端部27の右側端面側に案内され、嵌合溝28の角部に圧着されることから、基片21と側面板35の両者間に隙間がほとんど形成されず、ボックス本体20とカバー体30の連結がより強固な構成となる。
【0045】
そして、図9に示されるように、この嵌合溝28に後端部36が嵌合された後、取付ネジ16をキャビネット内部3から挿通孔2cを介してナット32aに螺合することで、カバー体30がキャビネット1に固着される。このように、キャビネット内部3からの取付ネジ16の操作のみで、カバー体30を着脱可能に取り付けることができ、棚板45,底板46,制御装置55等を収納する制御ボックス空間Sを閉塞或いは開放可能な構成となっている。
【0046】
しかも、ボックス本体20とカバー体30がキャビネット内部3より取付ネジ15,16によって螺着されているので、キャビネット1ヘのボックス本体20およびカバー体30の取付部が外部に露呈することが無く、またボックス本体20およびカバー体30の着脱がキャビネット内部3からしか操作できないので、外部からカバー体30が容易に取り外されることなく、セキュリティ性を高めることができる。
【0047】
また、カバー体30の取り付けは、前方から後方へ向けて移動して取付操作が行えることで、少なくともカバー体30の左右幅と同じ幅をキャビネット1側方に確保するだけで、カバー体30を前方からの操作で取け付けることができ、キャビネット1および制御ボックス19の設置場所の選択度を広げることができる。
【0048】
ボックス本体20とキャビネット外側面2に対しカバー体30を装着していない状態では、ボックス本体20の前面および、キャビネット外側面2と対向する側が連続した開放部として開放されるので、作業空間を十分に確保することが可能である(図3参照)。また、図2,図6に示されるように、ボックス本体20の側片25前端と、カバー体30の前面板31の側端板32との間のキャビネット外側面2に配線挿通孔2aを自由に設けることができ、この配線挿通孔2aを介してキャビネット1と制御ボックス19間の通線作業を行うことできる。そして通線作業後は、カバー体30をボックス本体20に向けて装着して制御ボックス空間Sを外部から閉塞して、制御装置55を保護することができる(図9参照)。
【0049】
尚、本実施例においては、図10に示されるように、ボックス本体20の上端部29にはネジ穴29aが形成され、同様にカバー体30の上端部39にはネジ穴39aが形成されている。上部に位置する平板状の上部カバー材40の前後端部には、ボックス本体20およびカバー体30のネジ穴29a,39aに相対する位置にネジ貫通孔40a,40aが形成され、中央部には複数の通気孔40b・・・が形成されている。
【0050】
そして一対のネジ44,44をそれぞれネジ貫通孔40a,40aを介してネジ穴29a,39aに螺合することで、上端部29,39に上部カバー材40が螺着され、ボックス本体20とカバー体30を強固に連結することができると共に、制御ボックス19上面を外部から遮蔽して、制御ボックス空間S内の制御装置55等の保護が図られると共に、制御ボックス19の外観を体裁良く整えることができる。また、複数の通気孔40b・・・によって制御ボックス空間S内と外部との熱交換が行われ、制御装置55の安定した運用が図られている。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、制御ボックス19の上端部29,30に上部カバー材40が螺着されることで、制御ボックス19上面を外部から遮蔽でき制御装置55の保護を図ることができるので、例えば悪意者の制御ボックス19上部からの操作を確実に防止できセキュリティがより高められていることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施例のようにボックス本体20およびカバー体30の上下丈が高い場合、若しくは上端部29,30が室内の天井に近接している場合には、制御ボックス19の上部から制御装置55に対しての悪意のある操作は困難となるので、必ずしも上部カバー材40を取り付ける必要はなく、適宜状況に応じて選択すると良い。
【0052】
また、上記実施例では、スライダー48,49によってカバー体30の後端部36をボックス本体20の嵌合溝28に円滑に案内して嵌合できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスライダー48,49に代えて、凹凸の嵌合摺動部を設けるようにしても良い。
【0053】
また、上記実施例では、棚板45および底板46をボックス本体20に別途取り付けているが、予めボックス本体20やカバー体30に棚板45、底板46が取り付けられた構成であっても良い。
【0054】
また、上記実施例では、キャビネット外側面2のボックス本体20とカバー体30との間に配線挿通孔2aが形成されたことで、制御ボックス19内の制御ボックス空間Sに給電ケーブル58,59の配線を容易にキャビネット1側に引き込めることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば配線挿通孔2aを設けずに無線LAN等のシステムを介して、キャビネット1内の各施解錠報知ランプ4および各施解錠装置5とを制御装置55で間接制御するようにしても良い。
【0055】
更に、上記実施例では、カバー体30の側端板32を介してキャビネット外側面2にネジ係合させているが、側端板32を用いずに前面板31の左端面に直接ネジ係合しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例における制御ボックスが設けられたキャビネットの全体像を示す正面図である。
【図2】制御ボックスおよび、この制御ボックスに取り付けられる各部材の分解組立斜視図である。
【図3】制御ボックスのボックス本体をキャビネットに組み付ける過程を示す断面図である。
【図4】(a)は、ボックス本体に棚板を取り付ける斜視図であり、(b)は、ボックス本体に底板を取り付ける斜視図である。
【図5】(a)は、カード読取装置の組み立てを示す斜視図であり、(b)は、カード読取装置を制御ボックスのカバー体に取り付ける斜視図である。
【図6】制御ボックス内に設けられる各制御装置とカード読取装置の配置位置および、これら各装置の配線構造を示す一部破断側面図である。
【図7】ボックス本体およびキャビネットにカバー体を組み付ける断面図である。
【図8】(a)は、ボックス本体の基片側端部前面の嵌合溝およびカバー体の側面板後端部への各スライダーの取り付けを示す要部拡大断面図であり、(b)は、各スライダーによって基片の嵌合溝内にカバー体の側面板後端部が嵌入される要部拡大断面図であり、(c)は、嵌合溝内に側面板後端部が嵌合された状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】制御ボックスが組み立てられた状態を示す断面図である。
【図10】制御ボックス上部を閉塞する上部カバー材の取り付けを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 キャビネット
2 キャビネット外側面
2a 配線挿通孔
2b、2c 挿通孔
3 キャビネット内部
4 施解錠報知ランプ
5 施解錠装置
6、7、8 上段什器
9、10、11 下段什器
12 手掛部
13 ファイルケース等の物品
15、16 取付ネジ
19 制御ボックス
20 ボックス本体
21 基片
22 補強部
22a 係合孔
22b スライダー取付穴
22c ナット
25 側片
25a ナット
26 補強部
26a ナット
27 側端部(他方の端部)
28 嵌合溝
29 上端部
29a ネジ穴
30 カバー体
31 前面板
31a 開口
31b 取付片
32 側端板
32a ナット
35 側面板
36 後端部
36a スライダー取付穴
39 上端部
39a ネジ穴
40 上部カバー材
40a ネジ貫通孔
40b 通気孔
41、42 ネジ
43、44 ネジ
45 棚板
45−1 棚部
45−2 背板
45a 係合片
45b 連結片
45c ネジ貫通孔
46 底板
46a 連結片
46b ネジ貫通孔
46c アジャスタ
48、49 スライダー
50a カード読取部
50b 施錠確認ランプ
50c 解錠確認ランプ
51 カード読取装置(RFIDリーダ/ライタユニット)
52、53 取付板
54 ユニットカバー
55 制御装置
57 電源装置
58 通信ケーブル
59 給電ケーブル
60 全施解錠装置
S 制御ボックス空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの外側面に取り付けられ、内部にキャビネット用の制御装置を内蔵した制御ボックスの取付構造において、
前記制御ボックスはボックス本体とカバー体とで構成され、前記ボックス本体は上方に向かって立設された平板状の基片と、基片の一方の端部より前方に向かって延設してキャビネット外側面に連結される側片とから成り、前記カバー体は、前記基片と平行して配置された平板状の前面板と、前面板の他方の端部より基片の他方の端部に向かって延設した側面板とから成り、前記ボックス本体とキャビネット外側面に対し前記カバー体を着脱可能に取り付けて制御ボックス空間を閉塞或いは開放可能にしたことを特徴とする制御ボックスの取付構造。
【請求項2】
前記カバー体の前面板の一方の端部における側端面にネジ孔が形成されていると共に、キャビネット外側面の前記ネジ孔に相対する位置に挿通孔が形成されており、キャビネット内部より、取付ネジが挿通孔を介して、カバー体のネジ孔に螺合することによって、カバー体がキャビネットに固着されている請求項1に記載の制御ボックスの取付構造。
【請求項3】
前記ボックス本体の側片の外側面にネジ孔が形成されていると共に、キャビネット外側面の前記ネジ孔に相対する位置に挿通孔が形成されており、キャビネット内部より、取付ネジが挿通孔を介して、側片のネジ孔に螺合することによって、ボックス本体がキャビネットに固着されている請求項1または2に記載の制御ボックスの取付構造。
【請求項4】
前記ボックス本体に棚板が取り付けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の制御ホックスの取付構造。
【請求項5】
前記基片の他方の側端部前面に、後方に向かって凹設され、前記カバー体の側面板の後端部が嵌合可能な嵌合溝が形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造。
【請求項6】
前記基片の嵌合溝内側面と、前記カバー体の嵌合溝への前記後端部の嵌入する側面の互いに対面する少なくともいずれか一方側に、合成樹脂製のスライダーが設けられている請求項5に記載の制御ボックスの取付構造。
【請求項7】
前記制御ボックス上部を、前記ボックス本体上端部とカバー体上端部とに螺着された平板状の上部カバー材によって閉塞した請求項1乃至6のいずれかに記載の制御ボックスの取付構造。
【請求項8】
前記ボックス本体の側片前端側より前方のキャビネット外側面に配線挿通孔が形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載の操作ホックスの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−202989(P2007−202989A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28888(P2006−28888)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】