制御棒監視制御システム及び診断方法
【課題】プラント稼働中に制御棒監視制御システムを構成する各制御装置の信号入出力機能の健全性を効率的かつ高精度で診断する。
【解決手段】原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括し自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラ等を有し、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択し、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると第1切換部を動作させ電圧検出部で作動信号と設定値とを比較し、比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断する。
【解決手段】原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括し自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラ等を有し、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択し、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると第1切換部を動作させ電圧検出部で作動信号と設定値とを比較し、比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力プラントの制御棒監視制御システムに関し、特に、プラント稼働中に制御棒監視制御システムの自動診断が可能な制御棒監視制御システム及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御棒監視制御システムは、オペレーター操作により制御棒駆動機構で制御棒を動作させ位置検出装置で制御棒位置を検出する構成となっている。ここでは従来の制御棒監視制御システムとして、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を例にして、図28を用いて説明する。ここで、制御棒駆動機構はモータにより構成されており、位置検出装置はシンクロ発信器で構成されている。
【0003】
制御棒監視制御システムは、各コントローラの演算機能および出力信号は2重化構成になっている。2重化構成とすることで、制御棒の駆動回路においては、両系の信号が一致した場合のみ制御棒駆動を行うことで、片系コントローラの単一故障による制御棒の誤動作を防止できる構成となっている。また、制御棒位置の検出回路においては、片系の信号が喪失した場合でも、もう一方の信号により制御棒位置の監視を継続できる構成となっている。図28において二重線は2重化されている信号、点線は1重化の信号を示す。
【0004】
図28において、操作装置iで入力される制御棒の駆動信号Aは、全制御棒に対して駆動信号および制御棒位置の全体統括を行う制御棒コントローラhを介して、補助コントローラg1〜gjへ出力される。ここで、駆動信号Aはデジタル処理を行うため16ビットで構成される信号である。
【0005】
各々の補助コントローラg1〜gjはそれぞれm本の制御棒について駆動信号および制御棒位置の統括をしており、1つの補助コントローラgnにはm個の現場コントローラf1〜fmが接続される。1つの現場コントローラfnは制御棒1本ごとに設置され、駆動信号Aおよび位置信号Fの入出力を行う。一つの現場コントローラfnから出力された駆動信号Aは対応する駆動コントローラdnに入力される。
【0006】
ここでm個の駆動コントローラd1〜dmはインバータにより構成されており駆動信号Aの値によってモータ駆動に必要な三相交流電圧に変換し作動信号Cとして制御棒駆動機構bnへ出力する。駆動コントローラdnでは現場コントローラfnから入力される2系統の駆動信号をAND論理で処理し、両系が一致している場合のみ作動信号を出力する。
【0007】
制御棒駆動機構b1〜bmは作動信号によってモータを駆動し、制御棒駆動機構bnに連結された制御棒anを原子炉100内で挿入/引抜方向に駆動させる。位置検出装置c1〜cmはそれぞれ制御棒駆動機構の下部に同軸で連結されており、モータの回転量をシンクロ信号として検出する。ここでシンクロ信号は回転量により変化する電圧値である。シンクロ発信器は2重化されており、シンクロ信号も2系統で出力される。
【0008】
シンクロ信号は位置信号変換装置e1〜emよって16ビットのデジタル信号に変換され現場コントローラf1〜fmへ位置信号Fとして出力される。補助コントローラgnは現場コントローラf1〜fmそれぞれからの位置信号Fを集約し、制御棒コントローラhへ出力する。制御棒コントローラhでは位置信号Fを運転員が認識しやすい数値(例えば、mm単位)に変換し制御棒位置として操作装置iへ出力する。操作装置iでは入力された制御棒位置を表示することで運転員に制御棒anの位置を提示する。
【0009】
ところで、原子力発電所では、制御棒の動作は燃料の核分裂の度合いを直接的に左右するものであり、原子炉出力に大きく影響する。そのため、システムの不具合等による制御棒の誤動作は避けなければいけない。したがって、制御棒位置は原子炉出力を監視するうえで必要不可欠な情報であるため、原子力発電所の運転中は制御棒位置の監視機能を維持しなければならない。
【0010】
一般に、制御棒監視制御システムにおいてはシステムの不具合による制御棒制御機能および制御棒位置監視機能の喪失を防ぐため、原子力発電所の定期点検において制御棒監視制御システムの各機能を試験し、その健全性を確認している。制御棒監視制御システムの試験項目は多岐にわたるが、特に、制御棒の駆動回路および制御棒位置の検出回路に関しては、制御棒の駆動と監視に直接関係する信号経路であることから、これらに関する健全性確認は重要な試験項目として位置付けられている。制御棒駆動機構に関しては、モータの異常を予め診断して定期分解点検時における点検対象を特定できるような手法が提案されている(特許文献1)。また、制御棒駆動機構への命令信号を制御する電流制御回路について健全性を診断する手法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−14190号公報
【特許文献2】特開平5−281390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の制御棒監視制御システムにおいて、上述したように制御棒駆動機構におけるモータの診断および制御棒駆動機構へ指令を行う制御回路の診断手法が提案されているものの、運転中に各々の制御装置間の信号入出力機能に関する診断は実施されていなかった。そのため、信号入出力機能に異常が生じていても事前に検出することができないため、制御棒操作時に初めて異常が確認され正常な制御ができない恐れがあるうえに、異常発生箇所の調査が必要となり復旧まで時間を要していた。
【0013】
また、信号入出力機能の診断は定期検査で実施しているが、診断により制御棒を駆動させないように制御棒1本毎に制御装置側と制御棒駆動機構および位置検出装置との接続を切り離した状態で検査するため、全制御棒について実施する場合は膨大な作業量となり、試験員への負荷増大の要因となっていた。また、定検期間での実施が条件となるため、異常が発見された場合には調査や復旧作業による定検工程への影響も問題となっていた。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、プラント稼働中に制御棒監視制御システムを構成する各制御装置の信号入出力機能の健全性を効率的かつ高精度で診断することができる制御棒監視制御システム及び診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記第2の判定部は前記現場コントローラから入力された位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記比較結果により前記現場コントローラ及び駆動コントローラの信号入出力機能の健全性を判定し、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記判定部は前記位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により前記位置変換装置及び現場コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラント稼働中に制御棒監視制御システムを構成する各々の制御装置の信号入出力機能の健全性を診断することができるとともに、異常がある場合には異常発生箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図2】第1の実施形態に係る補助コントローラと現場コントローラの入出力図。
【図3】第1の実施形態に係る駆動コントローラのバイパス機能構成図。
【図4】第1の実施形態に係る補助コントローラ診断バイパス部の構成図。
【図5】第1の実施形態に係る診断対象制御棒番号と駆動対象制御棒番号のビット構成図。
【図6】第1の実施形態に係る判定部の機能図。
【図7】第1の実施形態に係る判定部の機能図。
【図8】第1の実施形態に係る自動診断部の構成図。
【図9】第1の実施形態に係る電圧検出部の構成図。
【図10】第1の実施形態に係る位置信号とビット情報のビット構成図。
【図11】(a)、(b)、(c)は第1の実施形態に係る位置信号とビット情報の対応関係図。
【図12】第2の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図13】第2の実施形態に係る共通検出部の接続図。
【図14】第2の実施形態に係る共通発信部の接続図。
【図15】第2の実施形態に係る転送出力部の構成図。
【図16】第2の実施形態に係る設定値テーブルと作動信号電圧値の対応関係図。
【図17】第2の実施形態に係る判定部の構成図。
【図18】第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図19】第3の実施形態に係る可変出力部の構成図。
【図20】第3の実施形態に係る設定値テーブルと作動信号電圧値の対応関係図。
【図21】第3の実施形態に係る判定部の構成図。
【図22】第3の実施形態に係る可変発信部の構成図。
【図23】第3の実施形態に係る判定部の構成図。
【図24】第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図25】第4の実施形態に係る判定部の構成図。
【図26】第4の実施形態に係る自動診断部の構成図。
【図27】第5の実施形態に係る補助コントローラの構成図。
【図28】従来の制御棒監視制御システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る制御棒監視制御システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図1乃至図11を参照して説明する。
【0021】
[構成]
図1は本実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図で、補助コントローラgnが統括するm本の制御棒のうちn本目の制御棒anに対する各コントローラ等との関連構成を示している。図1において、制御棒監視制御システムはm本の制御棒を統括する補助コントローラgnと、現場コントローラfnと、各コントローラ等との間で信号の入出力を行う駆動コントローラdn及び位置信号変換装置enと、駆動コントローラdnと制御棒駆動装置bnとの間に設けられた第1診断検出部5と、位置信号変換装置enと位置検出装置cnと間に設けられた第2診断検出部6とから構成される。
補助コントローラgn、現場コントローラfn、位置信号変換装置enの演算機能、位置検出装置cnのシンクロ発信器は、図28に示すように、2重化構成となっている。
【0022】
以下の説明において、駆動対象制御棒とは原子炉制御のために駆動操作される制御棒で操作装置iでその制御棒の制御棒番号が選択され(=駆動対象制御棒番号)、この駆動対象制御棒番号の現場コントローラに駆動信号Aが出力され駆動される。また、診断対象制御棒とは駆動対象制御棒以外の制御棒で自動診断が行われる制御棒である。
【0023】
以下、制御棒監視制御システムを構成する各構成要素について説明する。
(補助コントローラgn)
補助コントローラgnは、図2に示すように、m個の現場コントローラf1〜fmに接続され、2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pを現場コントローラf1〜fmに順次出力し診断を行う自動診断部21と、駆動対象制御棒について診断をバイパスさせる診断バイパス部22と、診断信号Bと応答信号D及び駆動信号Aと位置信号Fを比較することにより各コントローラの信号入出力機能の健全性を判定する判定部23を備えている。また、診断対象の制御棒番号が診断対象制御棒番号として保持されている。
【0024】
診断信号Bは操作装置i(図28)より駆動信号Aと同様に補助コントローラgnに入力される。駆動信号Aは16ビットで構成され、診断信号Bは1ビットのON/OFF信号である。
【0025】
補助コントローラgnの診断バイパス部22は、図4に示すように、駆動対象制御棒番号と診断対象制御棒番号の全ビットを比較する全ビット比較器により、比較結果が不一致の場合に現場コントローラfnへ診断信号Bを出力し、比較結果が一致の場合に次の現場コントローラf(n+1)に診断信号Bを出力する。これにより駆動対象制御棒に対しては診断がバイパスされ、作動信号Cにより制御棒の駆動操作が行われる。
【0026】
判定部23は、図6に示すように、診断信号Bと応答信号DのAND処理により両者がON状態のときに現場コントローラから駆動コントローラまでの信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「1」を出力する。また、判定部23は、図7に示すように、位置信号Fと16ビットの設定値Sbの全ビットを比較する全ビット比較器により、比較結果が一致の場合に位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「2」を出力する。
【0027】
自動診断部21は、図8に示すように、正常信号「1」と正常信号「2」が入力された場合に動作するカウンタ1によって診断対象制御棒番号nをn=n+1に更新し、n+1を診断対象制御棒番号に設定することで順次診断を実施する。
【0028】
(現場コントローラfn)
制御棒anに対応する現場コントローラfnは、補助コントローラgnから2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pが入力され、駆動コントローラdnへ2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pを出力するとともに、第1伝送路7および第2伝送路8に診断信号Bを出力する。
【0029】
(駆動コントローラdn)
駆動コントローラdnは、バイパス機能を有するとともに、現場コントローラfnから2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pが入力され、両系の駆動信号Aが一致した場合に駆動信号Aに対応した三相交流電圧を作動信号Cとして第1診断検出部5に出力する。
【0030】
駆動コントローラdnでは、図3に示すように、両系の駆動信号Aが一致した場合のみ作動信号Cを出力するAND論理により片系の駆動信号Aが異常な場合には作動信号Cは出力されない構成であるが、この場合でもバイパス信号Pを入力することにより正常系の駆動信号Aで作動信号Cを出力できるバイパス機能を有している。なお、両系のバイパス信号入力は許容されない構成となっている。
【0031】
ここで、バイパス信号Pは駆動信号Aと同値を持つ16ビット構成で、補助コントローラgnから現場コントローラfnを介して駆動コントローラdnへ入力される。また、駆動コントローラdnは診断信号Bと駆動信号Aが入力された場合は、駆動信号Aに対応した電圧を保った状態で作動信号Cを出力する。
なお、駆動対象制御棒番号は操作装置i(図28)で選択された制御棒の情報であり、駆動信号Aと同様に操作装置iから補助コントローラgnへ入力される。
【0032】
診断対象制御棒番号は、図5に示すように、補助コントローラgnにおいて1〜mの値で保有される情報である。両者の制御棒番号は16ビットで構成された信号で、制御棒番号とビット番地が対応する構成となっている。
【0033】
(第1診断検出部5)
第1診断検出部5は、通常時(非診断時)と診断時とで切り替わる第1切替部5a及び電圧検出部3を有し、通常時は作動信号Cを制御棒駆動機構bnに出力しモータ駆動を行って制御棒を駆動させる。
【0034】
一方、診断時には現場コンロローラfnから伝送路7を介して入力される診断信号Bにより第1切換部5aが動作し、図9に示すように、電圧検出部3に入力された作動信号Cの電圧値を設定値Saと比較し、設定値以上の場合に1ビットのON信号を出力する。
【0035】
(第2診断検出部6)
第2診断検出部6は、通常時(非診断時)と診断時とで切り替わる第2切替部6a及び模擬信号Eを出力する発信器4を有する。この第2診断検出部6には、通常時には制御棒駆動機構bnの下部に同軸で連結され制御棒駆動機構bnのモータの回転量を検出する位置検出器cnから2系統のシンクロ信号が入力される。
一方、診断時には現場コントローラfnから伝送路7を介して入力される診断信号Bにより第2切換部6aが動作し、発信器4から模擬信号Eが出力される。
【0036】
(位置信号変換装置en)
位置信号変換装置enは、通常時には第2診断検出部6から2系統のシンクロ信号が入力され16ビットの2系統の位置信号Fに変換し現場コントローラfnへ出力する。診断時には模擬信号Eが入力され同様に位置信号Fに変換し現場コントローラfnへ出力する。
【0037】
[作用]
上記のように構成された制御棒監視制御システムにおいて、補助コントローラgnは、現場コントローラf1〜fmに対し順次診断信号Bと駆動信号Aを出力する。このとき、補助コントローラgnの診断バイパス部22では、図4に示すように、2系統の演算機能によりそれぞれ診断対象制御棒番号と駆動対象制御棒番号を比較し、2系統の比較結果が両系ともに「一致」の場合、すなわち診断対象制御棒番号と駆動操作対象制御棒番号が同一の場合、次の現場コントローラf(n+1)に診断信号Bを出力することにより、駆動対象制御棒については診断をバイパスする。
【0038】
次に、制御棒anに対して信号が入出力されるコントローラの信号入出力機能の診断が実施された場合について説明する。
(第1診断検出部5及び判定部23)
上述したように補助コントローラgnは現場コントローラfnに対し駆動信号Aと診断信号Bを出力する。ここでは例として駆動信号Aの値は作動信号CがAC100Vとなるような値とする。現場コントローラfnは、第1伝送路7を介して第1診断検出部5へ診断信号Bを出力し、また駆動コントローラdnへ駆動信号Aと診断信号Bを出力する。
【0039】
第1診断検出部5では、診断信号Bにより第1切替部5aが動作し、駆動コントローラdnからの作動信号Cを電圧検出部3で検出する。電圧検出部3では作動信号Cの電圧を設定値Saと比較し、設定値以上のときに1ビットのON信号を出力する(図9)。ここでは設定値Saは例えば100Vとする。第1診断検出部5は電圧検出部3のON信号を応答信号Dとして第1伝送路7を介して現場コントローラfnに出力する。
【0040】
次に、現場コントローラfnは応答信号Dを2系統で補助コントローラgnに出力する。補助コントローラgnの判定部23は、診断信号Bと応答信号DがともにON状態であるときに現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力が健全であると判断し、正常信号「1」を出力する(図6)。
【0041】
一方、応答信号Dが入力されない場合、即ち、信号入出力機能に異常が生じていた場合は、異常箇所を特定するため、補助コントローラgnは1系バイパス信号を出力する。バイパス信号が入力されると図3に示すバイパス機能が働き、例えば、1系バイパス信号により応答信号Dが入力された場合は現場コントローラfnの1系側に異常が発生していたことが判断できる。1系バイパス信号を出力しても応答信号Dの入力が無い場合は2系バイパス信号を出力する。異常発生箇所は、バイパス信号と応答信号の対応を確認することで、例えば図10に示す応答箇所対応表により特定する。
【0042】
(第2診断検出部6及び判定部23)
現場コントローラfnは第2伝送路8を介して診断信号Bを第2診断検出部6へ出力する。第2診断検出部6では、診断信号Bによって第2切替部6aが切替わり、発信器4から模擬信号Eを出力する。ここで、模擬信号Eはある特定の値をもった電圧信号とし、ここでは位置信号Fが例えば1000mmとなるような値とする。模擬信号Eは位置信号変換装置enに入力され16ビットの位置信号F(値は1000)となって現場コントローラfnへ出力される。さらに現場コントローラfnは位置信号Fを補助コントローラgnに出力する。
【0043】
このとき、位置信号変換装置enでは自系が正常であることをビット情報として位置信号Fに付加するために、1系の位置信号Fの16ビット目を「1」、2系の位置信号Fの15ビット目を「1」とする(図11(a))。現場コントローラfnの1系/2系では、各々に入力された両系の位置信号FをOR処理し、さらに補助コントローラgnへ出力する際に1系の位置信号Fは14ビット目を「1」、2系の位置信号Fは13ビット目を「1」として、同様にビット情報を付加する(図11(b))。
【0044】
補助コントローラgnの1系/2系では、各々に入力された現場コントローラfnからの両系の位置信号をさらにOR処理して、位置信号変換装置enおよび現場コントローラfnの両系が正常か否かの情報(ビット情報)を含んだ位置信号Fにする(図11(c))。
【0045】
次に、補助コントローラgnの判定部23において、位置信号Fと設定値Sbの全ビットを比較し、全ビットが一致していた時に、位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であることを判断し、正常信号「2」を出力する(図7)。
【0046】
また、位置信号Fの13〜16ビットの状態を確認することで、異常箇所を特定する。ここでSbは1〜12ビット目までを1000mmに対応した値とし、13〜16ビット目を全て1とした値とする。
【0047】
このように、補助コントローラgnの判定部23において、現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力が健全であることを示す正常信号「1」と、位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であることを示す正常信号「2」が確認されると、自動診断部21でn=n+1として診断制御棒番号を更新し、次の制御棒に対応するコントローラの診断に移行する(図8)。
【0048】
(効果)
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、駆動対象制御棒を除く制御棒について、プラント稼働中に制御棒駆動機構および位置検出装置を駆動させずに、現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力の健全性を自動的に順次診断することができるとともに、異常がある場合には異常発生箇所を特定することができる。また、駆動対象制御棒についても駆動動作の終了後に上記診断を実施することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1診断検出部と第2診断検出部の両方を設けた例を説明したが、これに限定されず、いずれか一つのみを設置してもよい。これにより、現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力の健全性又は位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能の健全性を診断することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて、図12乃至図17を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0051】
(構成)
上記第1の実施形態では電圧検出部3および発信器4は制御棒の本数分だけ各第1診断検出部5と第2診断検出部6に設置されているが、本第2実施形態ではこれらの電圧検出部3および発信器4を共有化する構成としている。
【0052】
第2の実施形態に係る制御棒監視制御システムは、図12に示すように、自動診断部21と診断バイパス部22と応答信号D1と駆動信号Aの比較により診断対象制御棒番号に対応する各コントローラの信号入出力機能の健全性を判定する判定部23と診断対象制御棒番号に対応した電圧値の作動信号Cとなる駆動信号Aを出力する転送出力部24とを具備した補助コントローラgnと、第1伝送路7を介して現場コントローラfnに接続される第1診断検出部5と、共通検出部11内に設けられ作動信号Cの電圧値を16ビットのデジタル信号に変換する電圧変換検出部3a及び各第1切替部5aと電圧検出部3aを接続する第1接続部9と、補助コントローラgnと共通検出部11を接続する第1共通伝送路13と、第2伝送路8を介して現場コントローラfnに接続される第2診断検出部6と、診断信号Bにより発信器4から模擬信号Eを出力させる共通発信部12と、共通発信部内に設けられ各第2切替部6aと発信器4を接続する第2接続部10と、補助コントローラgnと共通発信部12を接続する第2共通伝送路14と、から構成される。
ここで、図13、図14に示すように、第1接続部9および第2接続部10はm個の第1診断検出部5と第2診断検出部6に接続される。
【0053】
補助コントローラgnの転送出力部24は、図15に示すように、16進数(16ビット)を10進数に変換する変換器1と、10進数を16進数に変換する変換器2と、診断対象制御棒番号がnの場合に作動信号がn(V)となる駆動信号の値を持つ設定値テーブル1と、診断対象制御棒番号に対応する設定値を設定値テーブル1から参照して転送する転送部1とから構成される。設定値テーブルと作動信号の電圧値の対応表を図16に示す。
判定部23は、全ビット比較器によって応答信号D1と診断対象制御棒番号を比較し、比較結果が一致の場合に信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「1」を出力する(図17)。
【0054】
(作用)
制御棒anに対して設置されるコントローラの信号入出力機能の診断が実施された場合について説明する。
補助コントローラgnは診断信号Bと、転送出力部24から作動信号Cの電圧値がn(V)となる値の駆動信号Aを現場コントローラfnへ出力する。第1診断検出部5では診断信号Bにより駆動コントローラdnと電圧変換検出部3aが接続されるように第1切替部5aを動作させる。駆動コントローラdnはn(V)の作動信号Cを出力する。作動信号Cは第1切替部5aから第1接続部9へ出力され、第1接続部9を介して電圧変換検出部3aに入力される。
【0055】
電圧変換検出部3aでは作動信号Cの電圧値nを16ビットのデジタル信号に変換し、共通検出部11から応答信号D1として第1共通伝送路13を介して補助コントローラgnへ出力する。補助コントローラgnの判定部23は、診断対象制御棒番号と応答信号D1の値を比較する。応答信号D1は作動信号Cの電圧値nであり診断対象制御棒番号と同値となっているので、比較結果が一致していれば診断対象制御棒番号nに対するコントローラの信号入出力機能が健全であることを判断し、正常信号「1」を出力する。
【0056】
上記の診断をm本分の診断対象制御棒に対し順次実施する。ここで、電圧変換検出部3aへはm本分の作動信号Cを入力できるが、実際には診断信号Bによって動作した第1切替部5aからの作動信号Cのみが入力される。
【0057】
また、応答信号D1はm本分全てが第1共通伝送路13から補助コントローラgnへ入力されるが、診断対象制御棒番号と作動信号Cの電圧値が対応するので、応答信号D1の値も診断対象制御棒番号に対応しており、補助コントローラgnでは何本目の制御棒に対応した応答信号D1であるか区別することができる。
【0058】
次に、補助コントローラgnは現場コントローラfnへ診断信号Bを出力するとともに、第2診断検出部6及び共通発信部12へ診断信号Bを出力する。第2診断検出部6は診断信号Bにより位置信号変換装置enと発信器4が接続されるように第2切替部6aを動作させる。共通発信部12では診断信号Bにより発信器4から模擬信号Eが出力される。
【0059】
模擬信号Eは発信器4に接続されるm本分の第2切替部6bに出力されることになるが、第2切替部6aは診断信号Bが入力されない限り動作しないので、診断対象制御棒に対して設置された第2切替部6aのみが動作し、位置信号変換装置enに模擬信号Eが入力される。位置信号変換装置enに模擬信号Eが入力された後は第1の実施形態と同様な処理によって補助コントローラgnの判定部23で診断が行われる。
【0060】
このように、m本分の診断において、1つの発信器4と第2接続部10を有する共通発信部12で模擬信号を発信し診断を順次実施することができる。ここで、補助コントローラgnでの判定に使用する位置信号Fは診断制御棒番号nに対応した現場コントローラfnからのみ入力されるため、何本目の制御棒に対応した位置信号Fであるか対応付けることができる。
【0061】
(効果)
本第2の実施形態によれば、複数の第1診断検出部及び第2診断検出部に対し一つの共通検出部と共通発信部を設けることにより、部品点数を大幅に削減することが可能となり、制御棒監視制御システムの低コスト化を図ることができる。
【0062】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図18乃至図23を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0063】
(構成)
上記第2の実施形態では、診断対象の制御棒ごとに、それぞれ特定の駆動信号Aおよび模擬信号Eを用いて入出力機能の健全性を確認しているが、本第3の実施形態では、各診断対象制御棒に対して駆動信号Aおよび模擬信号Eの値を変化させて作動信号Cおよび位置信号Fの精度を確認することを特徴としている。
【0064】
第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムの補助コントローラgnは、図18に示すように、自動診断部21と、診断バイパス部22と、駆動信号Aに対する応答信号D1の精度を判定するとともに駆動信号Aに対する位置信号Fの精度を判定する判定部23と、駆動信号Aの値を変化させて出力する可変出力部25と、を具備している。また、共通発信部12には駆動信号Aに応じた値の模擬信号Eを出力する可変発信部4aが設けられている。
【0065】
可変出力部25は、図19に示すように、正常信号「1」によって動作を開始するカウンタ2と、カウンタ2の値J(1〜10)に対応した設定値を持つ設定値テーブル2と、設定値テーブル2からカウンタ2の値に対応した設定値(T10〜T100)を転送する転送部2と、変換器2とで構成される。
【0066】
設定値テーブル2の設定値と作動信号Cの電圧値の対応表を図20に示す。ここでは、例として作動信号Cの電圧値が10〜100Vまで10Vずつ変化するような設定値としている。
【0067】
判定部23は、図21に示すように、変換器1と、設定値テーブル3と、設定値テーブル3から駆動信号Aに対応した設定値を転送する転送部3と、転送部3からの設定値と応答信号D1の値を減算し、差分値を精度信号「1」として出力する減算器1から構成される。ここで、設定値テーブル3は駆動信号A(値はT10〜T100)に対応して駆動コントローラdnから出力されるべき電圧値(10〜100)が設定される。
【0068】
共通発信部12に設けられた可変発信部4aは、図22に示すように、変換器1と、設定値テーブル4と、設定値テーブル4から駆動信号Aに対応した設定値を転送する転送部4を持ち、転送された設定値と同値の電圧を模擬信号Eとして出力する。ここで、設定値テーブル4の設定値(U1〜U10)は駆動信号Aの値によって決まり、位置信号変換装置enで変換すると駆動信号Aと同値の位置信号Fが出力されるように設定する。
判定部23は、図23に示すように、変換器1と、駆動信号Aと位置信号Fの値を減算し、差分値を精度信号「2」として出力する減算器2から構成する。
【0069】
(作用)
まず、診断対象が制御棒番号nの制御棒についての診断である場合、図19に示すように、正常信号「1」によりカウンタ2を動作させ、カウンタ2からの値Jを転送部2に出力する。ここではカウンタ2はJの値を1から10まで1ずつ増やして転送部2へ出力することで設定値T10から順にT100まで出力する。転送部2から出力される設定値は変換部2で16ビットの値に変換し駆動信号Aの値とする。駆動コントローラdnでは図20のように駆動信号A(値は設定値T10〜T100)に応じた電圧を有する作動信号を出力する。
【0070】
補助コントローラgnの判定部2は、図21に示すように、駆動信号Aに対応した設定値(作動信号として出力されるべき値)と応答信号D1の値の差分を算出して精度信号「1」とする。精度信号「1」の値により、作動信号Cがどれだけの精度(誤差)で出力されているのかを知ることができる。補助コントローラgnではJ=1〜10に対してそれぞれ精度信号「1」を生成することで、より多くの電圧値で作動信号Cの精度を求めることができる。
【0071】
次に、補助コントローラgnは共通発信部12に診断信号Bと駆動信号Aを出力する。ここで駆動信号Aは前記の可変出力部25によって出力されるものとする。可変発信部4aでは図22の転送部4により駆動信号Aに対応して転送された設定値(U1〜U10)の電圧を模擬信号Eとして出力する。ここで、模擬信号Eの電圧値は図22の設定値テーブル4により、位置信号変換装置enで変換された位置信号Fが駆動信号Aと同値になるように設定されている。
【0072】
補助コントローラgnの判定部23は、図23に示すように、駆動信号Aと位置信号Fの差分を算出して精度信号「2」を出力する。精度信号「2」の値により、位置信号がどれだけの精度(誤差)で出力されているのかを知ることができる。補助コントローラgnではJ=1〜10に対してそれぞれ精度信号「2」を生成することで、より多くの電圧値で位置信号Fの精度を求めることができる。
【0073】
(効果)
本第3の実施形態によれば、駆動信号の値を可変とし、出力される作動信号および位置信号の誤差を算出することで、作動信号および位置信号の精度を求めることができるため、現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力機能の健全性を高精度で診断することができる。
【0074】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図24乃至図26を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0075】
(構成)
第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムは、図24に示すように、駆動コントローラdnから出力された作動信号Cを、第3診断検出装置16を介して位置信号変換装置enへ直接入力することによって回路構成を簡素化することを特徴としている。
【0076】
本制御棒監視制御システムは、正常信号「3」により駆動するカウンタ3で構成される自動診断部21と、診断バイパス部22と、位置信号Fと位置信号判定値Gの比較により判定を行う判定部23と、を具備した補助コントローラgnと、第3診断検出装置16を備えている。
【0077】
第3診断検出装置16は、通常時は駆動コントローラdnと制御棒駆動機構bn及び位置検出装置cnと位置信号変換装置enを、第3切換部16aを介して接続し、診断時は診断信号Bで第3切替部16aを動作させ作動信号Cを位置信号変換装置enへ出力する。
【0078】
判定部23は、図25に示すように、全ビット比較器により構成され、位置信号Fと位置信号判定値Gを比較し、一致していれば信号入出力部が健全であると判定し、正常信号「3」を出力する。ここで、位置信号判定値Gは16ビットの信号とし、作動信号Cを位置信号変換装置enで変換した場合の値を設定する。例えば、作動信号CがAC100Vの場合、位置信号判定値GはAC100Vを位置信号変換装置enで変換した場合の値を設定する。
自動診断部21は、図26に示すように、判定部23による正常信号「3」によりカウンタ3を駆動し、診断対象制御棒番号をn=n+1とすることにより順次診断を実施する。
【0079】
(作用)
第3診断検出部16は第1伝送路7より診断信号Bが入力されると、第3切替部16aを動作させることにより駆動コントローラdnと位置信号変換装置enを接続する。作動信号Cは第3切替部16aを介して位置信号変換装置enへ入力される。
【0080】
位置信号変換装置enでは作動信号Cが入力されると、その電圧値に応じて位置信号Fを出力する。補助コントローラgnでは判定部23により位置信号Fと位置信号判定値Gを比較し、一致した場合に現場コントローラfn、駆動コントローラdn、位置信号変換装置enの信号入出力機能が健全であることを判断する。
【0081】
(効果)
本第4の実施形態によれば、より簡素化した回路構成で現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力機能の健全性を診断することができる。
【0082】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図27を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0083】
(構成)
本第5の実施形態は、上記の第1乃至第4の実施形態において、制御棒の緊急操作を要する緊急操作信号が入力された場合には診断を行わずに緊急操作を実施することを特徴としている。
【0084】
第5の実施形態に係る補助コントローラgnは、図27に示すように、緊急操作信号Hが入力された場合に現場コントローラfnへの診断信号の出力を阻止し緊急操作信号Hを現場コントローラへ出力する。
【0085】
(作用)
補助コントローラgnは現場コントローラfnへ診断信号Bを出力する前提として、緊急操作信号Hが入力されていない場合に診断信号Bを出力する条件とする。これにより、緊急操作信号Hが入力された場合には診断信号Bを出力せず、緊急操作信号を現場コントローラfnへ出力する。
【0086】
ここで、緊急操作信号Hは制御棒監視制御システム内で生成される緊急挿入信号、または原子力発電所の安全保護システムから入力されるスクラム信号である。現場コントローラfnには緊急操作信号Hのみが入力されるため、現場コントローラfnから診断信号は出力されない。
したがって、第1切替部5a、第2切替部6a及び第3切替部16aは動作せず、従来の制御回路によって制御棒の緊急操作を実施することができる。
【0087】
(効果)
本第5の実施形態によれば、本実施形態の診断機能が制御棒の緊急操作に影響を及ぼさないように、緊急操作信号が入力された場合には診断信号の出力を中止し緊急操作信号を出力することで、制御棒を確実に操作することができる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
a1〜am…制御棒、b1〜bm…制御棒駆動機構、c1〜cm…位置検出装置、d1〜dm…駆動コントローラ、e1〜em…位置信号変換装置、f1〜fm…現場コントローラ、g1〜gj…補助コントローラ、h…制御棒コントローラ、i…操作装置、3.3a…電圧検出部、4…発信器、4a…可変発信部、5…第1診断検出部、5a…第1切替部、6…第2診断検出部、6a…第2切替部、7…第1伝送路、8…第2伝送路、9…第1接続部、10…第2接続部、11…共通検出部、12…共通発信部、13…第1共通伝送路、14…第2共通伝送路、16…第3診断検出部、16a…第3切替部、21…自動診断部、22…診断バイパス部、23…判定部、24…転送出力部、25…可変出力部、A…駆動信号、B…診断信号、C…作動信号、D、D1…応答信号、E…模擬信号、F…位置信号、P…バイパス信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力プラントの制御棒監視制御システムに関し、特に、プラント稼働中に制御棒監視制御システムの自動診断が可能な制御棒監視制御システム及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御棒監視制御システムは、オペレーター操作により制御棒駆動機構で制御棒を動作させ位置検出装置で制御棒位置を検出する構成となっている。ここでは従来の制御棒監視制御システムとして、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を例にして、図28を用いて説明する。ここで、制御棒駆動機構はモータにより構成されており、位置検出装置はシンクロ発信器で構成されている。
【0003】
制御棒監視制御システムは、各コントローラの演算機能および出力信号は2重化構成になっている。2重化構成とすることで、制御棒の駆動回路においては、両系の信号が一致した場合のみ制御棒駆動を行うことで、片系コントローラの単一故障による制御棒の誤動作を防止できる構成となっている。また、制御棒位置の検出回路においては、片系の信号が喪失した場合でも、もう一方の信号により制御棒位置の監視を継続できる構成となっている。図28において二重線は2重化されている信号、点線は1重化の信号を示す。
【0004】
図28において、操作装置iで入力される制御棒の駆動信号Aは、全制御棒に対して駆動信号および制御棒位置の全体統括を行う制御棒コントローラhを介して、補助コントローラg1〜gjへ出力される。ここで、駆動信号Aはデジタル処理を行うため16ビットで構成される信号である。
【0005】
各々の補助コントローラg1〜gjはそれぞれm本の制御棒について駆動信号および制御棒位置の統括をしており、1つの補助コントローラgnにはm個の現場コントローラf1〜fmが接続される。1つの現場コントローラfnは制御棒1本ごとに設置され、駆動信号Aおよび位置信号Fの入出力を行う。一つの現場コントローラfnから出力された駆動信号Aは対応する駆動コントローラdnに入力される。
【0006】
ここでm個の駆動コントローラd1〜dmはインバータにより構成されており駆動信号Aの値によってモータ駆動に必要な三相交流電圧に変換し作動信号Cとして制御棒駆動機構bnへ出力する。駆動コントローラdnでは現場コントローラfnから入力される2系統の駆動信号をAND論理で処理し、両系が一致している場合のみ作動信号を出力する。
【0007】
制御棒駆動機構b1〜bmは作動信号によってモータを駆動し、制御棒駆動機構bnに連結された制御棒anを原子炉100内で挿入/引抜方向に駆動させる。位置検出装置c1〜cmはそれぞれ制御棒駆動機構の下部に同軸で連結されており、モータの回転量をシンクロ信号として検出する。ここでシンクロ信号は回転量により変化する電圧値である。シンクロ発信器は2重化されており、シンクロ信号も2系統で出力される。
【0008】
シンクロ信号は位置信号変換装置e1〜emよって16ビットのデジタル信号に変換され現場コントローラf1〜fmへ位置信号Fとして出力される。補助コントローラgnは現場コントローラf1〜fmそれぞれからの位置信号Fを集約し、制御棒コントローラhへ出力する。制御棒コントローラhでは位置信号Fを運転員が認識しやすい数値(例えば、mm単位)に変換し制御棒位置として操作装置iへ出力する。操作装置iでは入力された制御棒位置を表示することで運転員に制御棒anの位置を提示する。
【0009】
ところで、原子力発電所では、制御棒の動作は燃料の核分裂の度合いを直接的に左右するものであり、原子炉出力に大きく影響する。そのため、システムの不具合等による制御棒の誤動作は避けなければいけない。したがって、制御棒位置は原子炉出力を監視するうえで必要不可欠な情報であるため、原子力発電所の運転中は制御棒位置の監視機能を維持しなければならない。
【0010】
一般に、制御棒監視制御システムにおいてはシステムの不具合による制御棒制御機能および制御棒位置監視機能の喪失を防ぐため、原子力発電所の定期点検において制御棒監視制御システムの各機能を試験し、その健全性を確認している。制御棒監視制御システムの試験項目は多岐にわたるが、特に、制御棒の駆動回路および制御棒位置の検出回路に関しては、制御棒の駆動と監視に直接関係する信号経路であることから、これらに関する健全性確認は重要な試験項目として位置付けられている。制御棒駆動機構に関しては、モータの異常を予め診断して定期分解点検時における点検対象を特定できるような手法が提案されている(特許文献1)。また、制御棒駆動機構への命令信号を制御する電流制御回路について健全性を診断する手法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−14190号公報
【特許文献2】特開平5−281390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の制御棒監視制御システムにおいて、上述したように制御棒駆動機構におけるモータの診断および制御棒駆動機構へ指令を行う制御回路の診断手法が提案されているものの、運転中に各々の制御装置間の信号入出力機能に関する診断は実施されていなかった。そのため、信号入出力機能に異常が生じていても事前に検出することができないため、制御棒操作時に初めて異常が確認され正常な制御ができない恐れがあるうえに、異常発生箇所の調査が必要となり復旧まで時間を要していた。
【0013】
また、信号入出力機能の診断は定期検査で実施しているが、診断により制御棒を駆動させないように制御棒1本毎に制御装置側と制御棒駆動機構および位置検出装置との接続を切り離した状態で検査するため、全制御棒について実施する場合は膨大な作業量となり、試験員への負荷増大の要因となっていた。また、定検期間での実施が条件となるため、異常が発見された場合には調査や復旧作業による定検工程への影響も問題となっていた。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、プラント稼働中に制御棒監視制御システムを構成する各制御装置の信号入出力機能の健全性を効率的かつ高精度で診断することができる制御棒監視制御システム及び診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記第2の判定部は前記現場コントローラから入力された位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る制御棒監視制御システムは、原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記比較結果により前記現場コントローラ及び駆動コントローラの信号入出力機能の健全性を判定し、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記判定部は前記位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により前記位置変換装置及び現場コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラント稼働中に制御棒監視制御システムを構成する各々の制御装置の信号入出力機能の健全性を診断することができるとともに、異常がある場合には異常発生箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図2】第1の実施形態に係る補助コントローラと現場コントローラの入出力図。
【図3】第1の実施形態に係る駆動コントローラのバイパス機能構成図。
【図4】第1の実施形態に係る補助コントローラ診断バイパス部の構成図。
【図5】第1の実施形態に係る診断対象制御棒番号と駆動対象制御棒番号のビット構成図。
【図6】第1の実施形態に係る判定部の機能図。
【図7】第1の実施形態に係る判定部の機能図。
【図8】第1の実施形態に係る自動診断部の構成図。
【図9】第1の実施形態に係る電圧検出部の構成図。
【図10】第1の実施形態に係る位置信号とビット情報のビット構成図。
【図11】(a)、(b)、(c)は第1の実施形態に係る位置信号とビット情報の対応関係図。
【図12】第2の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図13】第2の実施形態に係る共通検出部の接続図。
【図14】第2の実施形態に係る共通発信部の接続図。
【図15】第2の実施形態に係る転送出力部の構成図。
【図16】第2の実施形態に係る設定値テーブルと作動信号電圧値の対応関係図。
【図17】第2の実施形態に係る判定部の構成図。
【図18】第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図19】第3の実施形態に係る可変出力部の構成図。
【図20】第3の実施形態に係る設定値テーブルと作動信号電圧値の対応関係図。
【図21】第3の実施形態に係る判定部の構成図。
【図22】第3の実施形態に係る可変発信部の構成図。
【図23】第3の実施形態に係る判定部の構成図。
【図24】第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図。
【図25】第4の実施形態に係る判定部の構成図。
【図26】第4の実施形態に係る自動診断部の構成図。
【図27】第5の実施形態に係る補助コントローラの構成図。
【図28】従来の制御棒監視制御システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る制御棒監視制御システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図1乃至図11を参照して説明する。
【0021】
[構成]
図1は本実施形態に係る制御棒監視制御システムの全体構成図で、補助コントローラgnが統括するm本の制御棒のうちn本目の制御棒anに対する各コントローラ等との関連構成を示している。図1において、制御棒監視制御システムはm本の制御棒を統括する補助コントローラgnと、現場コントローラfnと、各コントローラ等との間で信号の入出力を行う駆動コントローラdn及び位置信号変換装置enと、駆動コントローラdnと制御棒駆動装置bnとの間に設けられた第1診断検出部5と、位置信号変換装置enと位置検出装置cnと間に設けられた第2診断検出部6とから構成される。
補助コントローラgn、現場コントローラfn、位置信号変換装置enの演算機能、位置検出装置cnのシンクロ発信器は、図28に示すように、2重化構成となっている。
【0022】
以下の説明において、駆動対象制御棒とは原子炉制御のために駆動操作される制御棒で操作装置iでその制御棒の制御棒番号が選択され(=駆動対象制御棒番号)、この駆動対象制御棒番号の現場コントローラに駆動信号Aが出力され駆動される。また、診断対象制御棒とは駆動対象制御棒以外の制御棒で自動診断が行われる制御棒である。
【0023】
以下、制御棒監視制御システムを構成する各構成要素について説明する。
(補助コントローラgn)
補助コントローラgnは、図2に示すように、m個の現場コントローラf1〜fmに接続され、2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pを現場コントローラf1〜fmに順次出力し診断を行う自動診断部21と、駆動対象制御棒について診断をバイパスさせる診断バイパス部22と、診断信号Bと応答信号D及び駆動信号Aと位置信号Fを比較することにより各コントローラの信号入出力機能の健全性を判定する判定部23を備えている。また、診断対象の制御棒番号が診断対象制御棒番号として保持されている。
【0024】
診断信号Bは操作装置i(図28)より駆動信号Aと同様に補助コントローラgnに入力される。駆動信号Aは16ビットで構成され、診断信号Bは1ビットのON/OFF信号である。
【0025】
補助コントローラgnの診断バイパス部22は、図4に示すように、駆動対象制御棒番号と診断対象制御棒番号の全ビットを比較する全ビット比較器により、比較結果が不一致の場合に現場コントローラfnへ診断信号Bを出力し、比較結果が一致の場合に次の現場コントローラf(n+1)に診断信号Bを出力する。これにより駆動対象制御棒に対しては診断がバイパスされ、作動信号Cにより制御棒の駆動操作が行われる。
【0026】
判定部23は、図6に示すように、診断信号Bと応答信号DのAND処理により両者がON状態のときに現場コントローラから駆動コントローラまでの信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「1」を出力する。また、判定部23は、図7に示すように、位置信号Fと16ビットの設定値Sbの全ビットを比較する全ビット比較器により、比較結果が一致の場合に位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「2」を出力する。
【0027】
自動診断部21は、図8に示すように、正常信号「1」と正常信号「2」が入力された場合に動作するカウンタ1によって診断対象制御棒番号nをn=n+1に更新し、n+1を診断対象制御棒番号に設定することで順次診断を実施する。
【0028】
(現場コントローラfn)
制御棒anに対応する現場コントローラfnは、補助コントローラgnから2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pが入力され、駆動コントローラdnへ2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pを出力するとともに、第1伝送路7および第2伝送路8に診断信号Bを出力する。
【0029】
(駆動コントローラdn)
駆動コントローラdnは、バイパス機能を有するとともに、現場コントローラfnから2系統の駆動信号A、診断信号B及びバイパス信号Pが入力され、両系の駆動信号Aが一致した場合に駆動信号Aに対応した三相交流電圧を作動信号Cとして第1診断検出部5に出力する。
【0030】
駆動コントローラdnでは、図3に示すように、両系の駆動信号Aが一致した場合のみ作動信号Cを出力するAND論理により片系の駆動信号Aが異常な場合には作動信号Cは出力されない構成であるが、この場合でもバイパス信号Pを入力することにより正常系の駆動信号Aで作動信号Cを出力できるバイパス機能を有している。なお、両系のバイパス信号入力は許容されない構成となっている。
【0031】
ここで、バイパス信号Pは駆動信号Aと同値を持つ16ビット構成で、補助コントローラgnから現場コントローラfnを介して駆動コントローラdnへ入力される。また、駆動コントローラdnは診断信号Bと駆動信号Aが入力された場合は、駆動信号Aに対応した電圧を保った状態で作動信号Cを出力する。
なお、駆動対象制御棒番号は操作装置i(図28)で選択された制御棒の情報であり、駆動信号Aと同様に操作装置iから補助コントローラgnへ入力される。
【0032】
診断対象制御棒番号は、図5に示すように、補助コントローラgnにおいて1〜mの値で保有される情報である。両者の制御棒番号は16ビットで構成された信号で、制御棒番号とビット番地が対応する構成となっている。
【0033】
(第1診断検出部5)
第1診断検出部5は、通常時(非診断時)と診断時とで切り替わる第1切替部5a及び電圧検出部3を有し、通常時は作動信号Cを制御棒駆動機構bnに出力しモータ駆動を行って制御棒を駆動させる。
【0034】
一方、診断時には現場コンロローラfnから伝送路7を介して入力される診断信号Bにより第1切換部5aが動作し、図9に示すように、電圧検出部3に入力された作動信号Cの電圧値を設定値Saと比較し、設定値以上の場合に1ビットのON信号を出力する。
【0035】
(第2診断検出部6)
第2診断検出部6は、通常時(非診断時)と診断時とで切り替わる第2切替部6a及び模擬信号Eを出力する発信器4を有する。この第2診断検出部6には、通常時には制御棒駆動機構bnの下部に同軸で連結され制御棒駆動機構bnのモータの回転量を検出する位置検出器cnから2系統のシンクロ信号が入力される。
一方、診断時には現場コントローラfnから伝送路7を介して入力される診断信号Bにより第2切換部6aが動作し、発信器4から模擬信号Eが出力される。
【0036】
(位置信号変換装置en)
位置信号変換装置enは、通常時には第2診断検出部6から2系統のシンクロ信号が入力され16ビットの2系統の位置信号Fに変換し現場コントローラfnへ出力する。診断時には模擬信号Eが入力され同様に位置信号Fに変換し現場コントローラfnへ出力する。
【0037】
[作用]
上記のように構成された制御棒監視制御システムにおいて、補助コントローラgnは、現場コントローラf1〜fmに対し順次診断信号Bと駆動信号Aを出力する。このとき、補助コントローラgnの診断バイパス部22では、図4に示すように、2系統の演算機能によりそれぞれ診断対象制御棒番号と駆動対象制御棒番号を比較し、2系統の比較結果が両系ともに「一致」の場合、すなわち診断対象制御棒番号と駆動操作対象制御棒番号が同一の場合、次の現場コントローラf(n+1)に診断信号Bを出力することにより、駆動対象制御棒については診断をバイパスする。
【0038】
次に、制御棒anに対して信号が入出力されるコントローラの信号入出力機能の診断が実施された場合について説明する。
(第1診断検出部5及び判定部23)
上述したように補助コントローラgnは現場コントローラfnに対し駆動信号Aと診断信号Bを出力する。ここでは例として駆動信号Aの値は作動信号CがAC100Vとなるような値とする。現場コントローラfnは、第1伝送路7を介して第1診断検出部5へ診断信号Bを出力し、また駆動コントローラdnへ駆動信号Aと診断信号Bを出力する。
【0039】
第1診断検出部5では、診断信号Bにより第1切替部5aが動作し、駆動コントローラdnからの作動信号Cを電圧検出部3で検出する。電圧検出部3では作動信号Cの電圧を設定値Saと比較し、設定値以上のときに1ビットのON信号を出力する(図9)。ここでは設定値Saは例えば100Vとする。第1診断検出部5は電圧検出部3のON信号を応答信号Dとして第1伝送路7を介して現場コントローラfnに出力する。
【0040】
次に、現場コントローラfnは応答信号Dを2系統で補助コントローラgnに出力する。補助コントローラgnの判定部23は、診断信号Bと応答信号DがともにON状態であるときに現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力が健全であると判断し、正常信号「1」を出力する(図6)。
【0041】
一方、応答信号Dが入力されない場合、即ち、信号入出力機能に異常が生じていた場合は、異常箇所を特定するため、補助コントローラgnは1系バイパス信号を出力する。バイパス信号が入力されると図3に示すバイパス機能が働き、例えば、1系バイパス信号により応答信号Dが入力された場合は現場コントローラfnの1系側に異常が発生していたことが判断できる。1系バイパス信号を出力しても応答信号Dの入力が無い場合は2系バイパス信号を出力する。異常発生箇所は、バイパス信号と応答信号の対応を確認することで、例えば図10に示す応答箇所対応表により特定する。
【0042】
(第2診断検出部6及び判定部23)
現場コントローラfnは第2伝送路8を介して診断信号Bを第2診断検出部6へ出力する。第2診断検出部6では、診断信号Bによって第2切替部6aが切替わり、発信器4から模擬信号Eを出力する。ここで、模擬信号Eはある特定の値をもった電圧信号とし、ここでは位置信号Fが例えば1000mmとなるような値とする。模擬信号Eは位置信号変換装置enに入力され16ビットの位置信号F(値は1000)となって現場コントローラfnへ出力される。さらに現場コントローラfnは位置信号Fを補助コントローラgnに出力する。
【0043】
このとき、位置信号変換装置enでは自系が正常であることをビット情報として位置信号Fに付加するために、1系の位置信号Fの16ビット目を「1」、2系の位置信号Fの15ビット目を「1」とする(図11(a))。現場コントローラfnの1系/2系では、各々に入力された両系の位置信号FをOR処理し、さらに補助コントローラgnへ出力する際に1系の位置信号Fは14ビット目を「1」、2系の位置信号Fは13ビット目を「1」として、同様にビット情報を付加する(図11(b))。
【0044】
補助コントローラgnの1系/2系では、各々に入力された現場コントローラfnからの両系の位置信号をさらにOR処理して、位置信号変換装置enおよび現場コントローラfnの両系が正常か否かの情報(ビット情報)を含んだ位置信号Fにする(図11(c))。
【0045】
次に、補助コントローラgnの判定部23において、位置信号Fと設定値Sbの全ビットを比較し、全ビットが一致していた時に、位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であることを判断し、正常信号「2」を出力する(図7)。
【0046】
また、位置信号Fの13〜16ビットの状態を確認することで、異常箇所を特定する。ここでSbは1〜12ビット目までを1000mmに対応した値とし、13〜16ビット目を全て1とした値とする。
【0047】
このように、補助コントローラgnの判定部23において、現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力が健全であることを示す正常信号「1」と、位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能が健全であることを示す正常信号「2」が確認されると、自動診断部21でn=n+1として診断制御棒番号を更新し、次の制御棒に対応するコントローラの診断に移行する(図8)。
【0048】
(効果)
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、駆動対象制御棒を除く制御棒について、プラント稼働中に制御棒駆動機構および位置検出装置を駆動させずに、現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力の健全性を自動的に順次診断することができるとともに、異常がある場合には異常発生箇所を特定することができる。また、駆動対象制御棒についても駆動動作の終了後に上記診断を実施することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1診断検出部と第2診断検出部の両方を設けた例を説明したが、これに限定されず、いずれか一つのみを設置してもよい。これにより、現場コントローラfnから駆動コントローラdnまでの信号入出力の健全性又は位置変換装置enから現場コントローラfnまでの信号入出力機能の健全性を診断することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて、図12乃至図17を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0051】
(構成)
上記第1の実施形態では電圧検出部3および発信器4は制御棒の本数分だけ各第1診断検出部5と第2診断検出部6に設置されているが、本第2実施形態ではこれらの電圧検出部3および発信器4を共有化する構成としている。
【0052】
第2の実施形態に係る制御棒監視制御システムは、図12に示すように、自動診断部21と診断バイパス部22と応答信号D1と駆動信号Aの比較により診断対象制御棒番号に対応する各コントローラの信号入出力機能の健全性を判定する判定部23と診断対象制御棒番号に対応した電圧値の作動信号Cとなる駆動信号Aを出力する転送出力部24とを具備した補助コントローラgnと、第1伝送路7を介して現場コントローラfnに接続される第1診断検出部5と、共通検出部11内に設けられ作動信号Cの電圧値を16ビットのデジタル信号に変換する電圧変換検出部3a及び各第1切替部5aと電圧検出部3aを接続する第1接続部9と、補助コントローラgnと共通検出部11を接続する第1共通伝送路13と、第2伝送路8を介して現場コントローラfnに接続される第2診断検出部6と、診断信号Bにより発信器4から模擬信号Eを出力させる共通発信部12と、共通発信部内に設けられ各第2切替部6aと発信器4を接続する第2接続部10と、補助コントローラgnと共通発信部12を接続する第2共通伝送路14と、から構成される。
ここで、図13、図14に示すように、第1接続部9および第2接続部10はm個の第1診断検出部5と第2診断検出部6に接続される。
【0053】
補助コントローラgnの転送出力部24は、図15に示すように、16進数(16ビット)を10進数に変換する変換器1と、10進数を16進数に変換する変換器2と、診断対象制御棒番号がnの場合に作動信号がn(V)となる駆動信号の値を持つ設定値テーブル1と、診断対象制御棒番号に対応する設定値を設定値テーブル1から参照して転送する転送部1とから構成される。設定値テーブルと作動信号の電圧値の対応表を図16に示す。
判定部23は、全ビット比較器によって応答信号D1と診断対象制御棒番号を比較し、比較結果が一致の場合に信号入出力機能が健全であると判定し正常信号「1」を出力する(図17)。
【0054】
(作用)
制御棒anに対して設置されるコントローラの信号入出力機能の診断が実施された場合について説明する。
補助コントローラgnは診断信号Bと、転送出力部24から作動信号Cの電圧値がn(V)となる値の駆動信号Aを現場コントローラfnへ出力する。第1診断検出部5では診断信号Bにより駆動コントローラdnと電圧変換検出部3aが接続されるように第1切替部5aを動作させる。駆動コントローラdnはn(V)の作動信号Cを出力する。作動信号Cは第1切替部5aから第1接続部9へ出力され、第1接続部9を介して電圧変換検出部3aに入力される。
【0055】
電圧変換検出部3aでは作動信号Cの電圧値nを16ビットのデジタル信号に変換し、共通検出部11から応答信号D1として第1共通伝送路13を介して補助コントローラgnへ出力する。補助コントローラgnの判定部23は、診断対象制御棒番号と応答信号D1の値を比較する。応答信号D1は作動信号Cの電圧値nであり診断対象制御棒番号と同値となっているので、比較結果が一致していれば診断対象制御棒番号nに対するコントローラの信号入出力機能が健全であることを判断し、正常信号「1」を出力する。
【0056】
上記の診断をm本分の診断対象制御棒に対し順次実施する。ここで、電圧変換検出部3aへはm本分の作動信号Cを入力できるが、実際には診断信号Bによって動作した第1切替部5aからの作動信号Cのみが入力される。
【0057】
また、応答信号D1はm本分全てが第1共通伝送路13から補助コントローラgnへ入力されるが、診断対象制御棒番号と作動信号Cの電圧値が対応するので、応答信号D1の値も診断対象制御棒番号に対応しており、補助コントローラgnでは何本目の制御棒に対応した応答信号D1であるか区別することができる。
【0058】
次に、補助コントローラgnは現場コントローラfnへ診断信号Bを出力するとともに、第2診断検出部6及び共通発信部12へ診断信号Bを出力する。第2診断検出部6は診断信号Bにより位置信号変換装置enと発信器4が接続されるように第2切替部6aを動作させる。共通発信部12では診断信号Bにより発信器4から模擬信号Eが出力される。
【0059】
模擬信号Eは発信器4に接続されるm本分の第2切替部6bに出力されることになるが、第2切替部6aは診断信号Bが入力されない限り動作しないので、診断対象制御棒に対して設置された第2切替部6aのみが動作し、位置信号変換装置enに模擬信号Eが入力される。位置信号変換装置enに模擬信号Eが入力された後は第1の実施形態と同様な処理によって補助コントローラgnの判定部23で診断が行われる。
【0060】
このように、m本分の診断において、1つの発信器4と第2接続部10を有する共通発信部12で模擬信号を発信し診断を順次実施することができる。ここで、補助コントローラgnでの判定に使用する位置信号Fは診断制御棒番号nに対応した現場コントローラfnからのみ入力されるため、何本目の制御棒に対応した位置信号Fであるか対応付けることができる。
【0061】
(効果)
本第2の実施形態によれば、複数の第1診断検出部及び第2診断検出部に対し一つの共通検出部と共通発信部を設けることにより、部品点数を大幅に削減することが可能となり、制御棒監視制御システムの低コスト化を図ることができる。
【0062】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図18乃至図23を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0063】
(構成)
上記第2の実施形態では、診断対象の制御棒ごとに、それぞれ特定の駆動信号Aおよび模擬信号Eを用いて入出力機能の健全性を確認しているが、本第3の実施形態では、各診断対象制御棒に対して駆動信号Aおよび模擬信号Eの値を変化させて作動信号Cおよび位置信号Fの精度を確認することを特徴としている。
【0064】
第3の実施形態に係る制御棒監視制御システムの補助コントローラgnは、図18に示すように、自動診断部21と、診断バイパス部22と、駆動信号Aに対する応答信号D1の精度を判定するとともに駆動信号Aに対する位置信号Fの精度を判定する判定部23と、駆動信号Aの値を変化させて出力する可変出力部25と、を具備している。また、共通発信部12には駆動信号Aに応じた値の模擬信号Eを出力する可変発信部4aが設けられている。
【0065】
可変出力部25は、図19に示すように、正常信号「1」によって動作を開始するカウンタ2と、カウンタ2の値J(1〜10)に対応した設定値を持つ設定値テーブル2と、設定値テーブル2からカウンタ2の値に対応した設定値(T10〜T100)を転送する転送部2と、変換器2とで構成される。
【0066】
設定値テーブル2の設定値と作動信号Cの電圧値の対応表を図20に示す。ここでは、例として作動信号Cの電圧値が10〜100Vまで10Vずつ変化するような設定値としている。
【0067】
判定部23は、図21に示すように、変換器1と、設定値テーブル3と、設定値テーブル3から駆動信号Aに対応した設定値を転送する転送部3と、転送部3からの設定値と応答信号D1の値を減算し、差分値を精度信号「1」として出力する減算器1から構成される。ここで、設定値テーブル3は駆動信号A(値はT10〜T100)に対応して駆動コントローラdnから出力されるべき電圧値(10〜100)が設定される。
【0068】
共通発信部12に設けられた可変発信部4aは、図22に示すように、変換器1と、設定値テーブル4と、設定値テーブル4から駆動信号Aに対応した設定値を転送する転送部4を持ち、転送された設定値と同値の電圧を模擬信号Eとして出力する。ここで、設定値テーブル4の設定値(U1〜U10)は駆動信号Aの値によって決まり、位置信号変換装置enで変換すると駆動信号Aと同値の位置信号Fが出力されるように設定する。
判定部23は、図23に示すように、変換器1と、駆動信号Aと位置信号Fの値を減算し、差分値を精度信号「2」として出力する減算器2から構成する。
【0069】
(作用)
まず、診断対象が制御棒番号nの制御棒についての診断である場合、図19に示すように、正常信号「1」によりカウンタ2を動作させ、カウンタ2からの値Jを転送部2に出力する。ここではカウンタ2はJの値を1から10まで1ずつ増やして転送部2へ出力することで設定値T10から順にT100まで出力する。転送部2から出力される設定値は変換部2で16ビットの値に変換し駆動信号Aの値とする。駆動コントローラdnでは図20のように駆動信号A(値は設定値T10〜T100)に応じた電圧を有する作動信号を出力する。
【0070】
補助コントローラgnの判定部2は、図21に示すように、駆動信号Aに対応した設定値(作動信号として出力されるべき値)と応答信号D1の値の差分を算出して精度信号「1」とする。精度信号「1」の値により、作動信号Cがどれだけの精度(誤差)で出力されているのかを知ることができる。補助コントローラgnではJ=1〜10に対してそれぞれ精度信号「1」を生成することで、より多くの電圧値で作動信号Cの精度を求めることができる。
【0071】
次に、補助コントローラgnは共通発信部12に診断信号Bと駆動信号Aを出力する。ここで駆動信号Aは前記の可変出力部25によって出力されるものとする。可変発信部4aでは図22の転送部4により駆動信号Aに対応して転送された設定値(U1〜U10)の電圧を模擬信号Eとして出力する。ここで、模擬信号Eの電圧値は図22の設定値テーブル4により、位置信号変換装置enで変換された位置信号Fが駆動信号Aと同値になるように設定されている。
【0072】
補助コントローラgnの判定部23は、図23に示すように、駆動信号Aと位置信号Fの差分を算出して精度信号「2」を出力する。精度信号「2」の値により、位置信号がどれだけの精度(誤差)で出力されているのかを知ることができる。補助コントローラgnではJ=1〜10に対してそれぞれ精度信号「2」を生成することで、より多くの電圧値で位置信号Fの精度を求めることができる。
【0073】
(効果)
本第3の実施形態によれば、駆動信号の値を可変とし、出力される作動信号および位置信号の誤差を算出することで、作動信号および位置信号の精度を求めることができるため、現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力機能の健全性を高精度で診断することができる。
【0074】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図24乃至図26を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0075】
(構成)
第4の実施形態に係る制御棒監視制御システムは、図24に示すように、駆動コントローラdnから出力された作動信号Cを、第3診断検出装置16を介して位置信号変換装置enへ直接入力することによって回路構成を簡素化することを特徴としている。
【0076】
本制御棒監視制御システムは、正常信号「3」により駆動するカウンタ3で構成される自動診断部21と、診断バイパス部22と、位置信号Fと位置信号判定値Gの比較により判定を行う判定部23と、を具備した補助コントローラgnと、第3診断検出装置16を備えている。
【0077】
第3診断検出装置16は、通常時は駆動コントローラdnと制御棒駆動機構bn及び位置検出装置cnと位置信号変換装置enを、第3切換部16aを介して接続し、診断時は診断信号Bで第3切替部16aを動作させ作動信号Cを位置信号変換装置enへ出力する。
【0078】
判定部23は、図25に示すように、全ビット比較器により構成され、位置信号Fと位置信号判定値Gを比較し、一致していれば信号入出力部が健全であると判定し、正常信号「3」を出力する。ここで、位置信号判定値Gは16ビットの信号とし、作動信号Cを位置信号変換装置enで変換した場合の値を設定する。例えば、作動信号CがAC100Vの場合、位置信号判定値GはAC100Vを位置信号変換装置enで変換した場合の値を設定する。
自動診断部21は、図26に示すように、判定部23による正常信号「3」によりカウンタ3を駆動し、診断対象制御棒番号をn=n+1とすることにより順次診断を実施する。
【0079】
(作用)
第3診断検出部16は第1伝送路7より診断信号Bが入力されると、第3切替部16aを動作させることにより駆動コントローラdnと位置信号変換装置enを接続する。作動信号Cは第3切替部16aを介して位置信号変換装置enへ入力される。
【0080】
位置信号変換装置enでは作動信号Cが入力されると、その電圧値に応じて位置信号Fを出力する。補助コントローラgnでは判定部23により位置信号Fと位置信号判定値Gを比較し、一致した場合に現場コントローラfn、駆動コントローラdn、位置信号変換装置enの信号入出力機能が健全であることを判断する。
【0081】
(効果)
本第4の実施形態によれば、より簡素化した回路構成で現場コントローラと駆動コントローラと位置信号変換装置の入出力機能の健全性を診断することができる。
【0082】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る制御棒監視制御システムについて図27を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0083】
(構成)
本第5の実施形態は、上記の第1乃至第4の実施形態において、制御棒の緊急操作を要する緊急操作信号が入力された場合には診断を行わずに緊急操作を実施することを特徴としている。
【0084】
第5の実施形態に係る補助コントローラgnは、図27に示すように、緊急操作信号Hが入力された場合に現場コントローラfnへの診断信号の出力を阻止し緊急操作信号Hを現場コントローラへ出力する。
【0085】
(作用)
補助コントローラgnは現場コントローラfnへ診断信号Bを出力する前提として、緊急操作信号Hが入力されていない場合に診断信号Bを出力する条件とする。これにより、緊急操作信号Hが入力された場合には診断信号Bを出力せず、緊急操作信号を現場コントローラfnへ出力する。
【0086】
ここで、緊急操作信号Hは制御棒監視制御システム内で生成される緊急挿入信号、または原子力発電所の安全保護システムから入力されるスクラム信号である。現場コントローラfnには緊急操作信号Hのみが入力されるため、現場コントローラfnから診断信号は出力されない。
したがって、第1切替部5a、第2切替部6a及び第3切替部16aは動作せず、従来の制御回路によって制御棒の緊急操作を実施することができる。
【0087】
(効果)
本第5の実施形態によれば、本実施形態の診断機能が制御棒の緊急操作に影響を及ぼさないように、緊急操作信号が入力された場合には診断信号の出力を中止し緊急操作信号を出力することで、制御棒を確実に操作することができる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
a1〜am…制御棒、b1〜bm…制御棒駆動機構、c1〜cm…位置検出装置、d1〜dm…駆動コントローラ、e1〜em…位置信号変換装置、f1〜fm…現場コントローラ、g1〜gj…補助コントローラ、h…制御棒コントローラ、i…操作装置、3.3a…電圧検出部、4…発信器、4a…可変発信部、5…第1診断検出部、5a…第1切替部、6…第2診断検出部、6a…第2切替部、7…第1伝送路、8…第2伝送路、9…第1接続部、10…第2接続部、11…共通検出部、12…共通発信部、13…第1共通伝送路、14…第2共通伝送路、16…第3診断検出部、16a…第3切替部、21…自動診断部、22…診断バイパス部、23…判定部、24…転送出力部、25…可変出力部、A…駆動信号、B…診断信号、C…作動信号、D、D1…応答信号、E…模擬信号、F…位置信号、P…バイパス信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項2】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と、前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記第2の判定部は前記現場コントローラから入力された位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項3】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と、前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記比較結果により前記現場コントローラ及び駆動コントローラの信号入出力機能の健全性を判定し、
前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記判定部は前記位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により前記位置変換装置及び現場コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項4】
前記作動信号と設定値を比較する共通の電圧検出部を有する共通検出部を複数の第1診断検出部に接続したことを特徴とする請求項1又は3記載の制御棒監視制御システム。
【請求項5】
模擬信号を出力する共通発信部を複数の第2診断検出部に接続したことを特徴とする請求項2又は3記載の制御棒監視制御システム。
【請求項6】
前記駆動信号及び模擬信号の値を変化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項7】
前記模擬信号の値を変化させることを特徴とする請求項6記載の制御棒監視制御システム。
【請求項8】
前記作動信号を前記第2診断検出部を介して前記位置信号変換装置に出力することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項9】
前記補助コントローラ、現場コントローラ、位置信号変換装置及び位置検出装置は2重化構成であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の制御棒監視制御システム
【請求項10】
前記補助コントローラは制御棒の緊急操作信号が入力されると、診断信号の出力を中止し、前記緊急操作信号を制御棒駆動機構に出力することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の制御棒監視制御システムを用いて、現場コントローラと駆動コントローラの信号入出力機能の健全性及び/又は位置変換装置を現場コントローラの信号入出力機能の健全性を判定することを特徴とする制御棒監視制御システムの診断方法。
【請求項1】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記現場コントローラから出力された前記比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項2】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と、前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記第2の判定部は前記現場コントローラから入力された位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により各コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項3】
原子炉の各制御棒に設けられた制御棒駆動機構及び位置検出装置と、複数本の制御棒を統括するともに自動診断部と診断バイパス部と判定部を有する補助コントローラと、前記複数の制御棒毎に設けられ、前記補助コントローラから駆動信号、診断信号及びバイパス信号が入力される複数の現場コントローラと、前記現場コントローラから入力された駆動信号を作動信号として前記制御棒駆動機構に出力する第1診断検出部と、前記第1診断検出部に設けられた第1切替部及び電圧検出部と、前記位置検出信号からの位置信号が入力される第2診断検出部と、前記第2診断検出部から入力された位置信号を前記現場コントローラへ出力する位置信号変換装置と、前記第2診断検出部に設けられた第2切替部及び発信器と、を有する制御棒監視制御システムであって、
前記補助コントローラは前記複数の制御棒のうち駆動対象制御棒以外の制御棒を診断対象制御棒として順次選択するとともに、前記補助コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第1診断部に前記現場コントローラ及び駆動コントローラを介して作動信号を出力し、前記第1診断検出部は前記現場コントローラから診断信号が入力されると前記第1切換部を動作させ前記電圧検出部で作動信号と設定値とを比較するとともに比較結果を前記現場コントローラに出力し、前記判定部は前記比較結果により前記現場コントローラ及び駆動コントローラの信号入出力機能の健全性を判定し、
前記現場コントローラは前記選択された診断対象制御棒の第2診断検出部に診断信号を出力し、前記第2診断検出部は前記診断信号が入力されると第2切換部を動作させ前記発信器から出力された模擬信号を前記位置信号変換装置に出力し、前記現場コントローラは前記位置信号変換装置から入力された位置信号を前記補助コントローラへ出力し、前記判定部は前記位置信号と設定値とを比較し、当該比較結果により前記位置変換装置及び現場コントローラの信号入出力機能の健全性を診断することを特徴とする制御棒監視制御システム。
【請求項4】
前記作動信号と設定値を比較する共通の電圧検出部を有する共通検出部を複数の第1診断検出部に接続したことを特徴とする請求項1又は3記載の制御棒監視制御システム。
【請求項5】
模擬信号を出力する共通発信部を複数の第2診断検出部に接続したことを特徴とする請求項2又は3記載の制御棒監視制御システム。
【請求項6】
前記駆動信号及び模擬信号の値を変化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項7】
前記模擬信号の値を変化させることを特徴とする請求項6記載の制御棒監視制御システム。
【請求項8】
前記作動信号を前記第2診断検出部を介して前記位置信号変換装置に出力することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項9】
前記補助コントローラ、現場コントローラ、位置信号変換装置及び位置検出装置は2重化構成であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の制御棒監視制御システム
【請求項10】
前記補助コントローラは制御棒の緊急操作信号が入力されると、診断信号の出力を中止し、前記緊急操作信号を制御棒駆動機構に出力することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の制御棒監視制御システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の制御棒監視制御システムを用いて、現場コントローラと駆動コントローラの信号入出力機能の健全性及び/又は位置変換装置を現場コントローラの信号入出力機能の健全性を判定することを特徴とする制御棒監視制御システムの診断方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−194057(P2012−194057A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58232(P2011−58232)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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