説明

制御装置、制御方法、及びプログラム

【課題】記録媒体に対する処理をより適切に制御することを目的とする。
【解決手段】記録媒体を処理する処理装置を制御し、処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す媒体数情報を記憶する記憶部を有する制御装置が、処理装置で処理される記録媒体の数を処理ごとに計数し、計数した数が媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、記憶部に記憶されている媒体数情報を、媒体数情報の数よりも大きい数であって処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す拡張媒体数情報にする変更を行うことによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷市場においては、多様な用紙の種類に対応した画像形成を行う画像形成装置、画像形成が行われた用紙の後処理を行う後処理装置等が望まれる。画像形成装置は、普通紙、再生紙、薄紙の他、色紙、厚紙、コート紙、ボンド紙、OHPシート、ラベル紙、ハガキ、タブ紙、パンチ済紙など、様々な坪量(重さ)、形状、表面性の特徴を持つ用紙に最適な画像形成を行わなければならない。
また、後処理装置は、画像形成された用紙の束(用紙束)を様々な成果物に加工する後処理を行わなければならない。後処理としては、ステイプル処理、中とじ製本処理、くるみ製本処理などがある。後処理では、用紙束に対して処理が行われるため、用紙の種類の違いが後処理可能な用紙の枚数に大きく影響する。
例えば、普通紙では150枚の用紙束をステイプル処理できるステイプラを装備していたとしても、厚紙では100枚の用紙束までしかステイプル処理できないといった問題が発生する。この問題に対する方法として、画像形成装置および後処理装置が動作の保証がされている全ての用紙の種類に対してステイプル処理が可能な用紙の枚数にステイプル処理を制限するものがある。
【0003】
この方法では、全ての用紙の種類に対して確実に動作が可能であり、ステイプラの性能以上の用紙束に対してステイプル処理を実行し、ステイプル処理での不良を発生させるようなことを防止することができる。しかしながら、全ての用紙に対して一律に枚数の制限をかけてしまうため、本来は、より多くの枚数をステイプル処理できるような用紙の種類(例えば薄紙など)に対しては、強い制限がかかってしまうという問題も残存している。
全ての用紙に対して一律に後処理可能な用紙の枚数を制限するのではなく、用紙の枚数を設定できるようにした方法もある。サービスマンのみが調整可能なモード(サービスモード)において、後処理が可能な用紙の枚数を用紙の種類毎に調整/設定できるようにしたものである。
【0004】
例えば、A4、LTR等の一定のサイズより小さいサイズの用紙に対しては100枚まで、それ以上のサイズの用紙に対しては50枚までのステイプル処理のみを許可するように、用紙のサイズに応じて制限する枚数が設定されるサービスモードが設けられている。このサービスモードでは、必要に応じてサービスマンにより枚数の調整が行われる。
また、例えば、薄紙や普通紙は200枚まで、厚紙(厚紙1〜厚紙6)は10枚までくるみ製本処理(糊付け製本処理)を許可するように、用紙の種類に応じて制限する枚数が設定されるサービスモードが設けられている。このサービスモードでは、必要に応じて、サービスマンにより必要な用紙の種類のみの制限が広げられる。
【0005】
これらは、あくまでサービスマンの調整によって動作を可能とするものであり、場合によっては制約事項が発生することをユーザが事前に承諾した上で調整するという運用がなされている。制約事項としては、ステイプル処理の精度が低下する、ステイプル処理でのジャムの発生率が上昇する、などが考えられる。
しかしながら、POD市場においては上限値をぎりぎり超過するような枚数の成果物を作成しなければならないケースも多い。即ち、成果物については最終的に検品を行うことにより仕上がりチェックを行うため、後処理では枚数の制限を外して欲しいというニーズは高い。
【0006】
そのため、以上のようなサービスモードによる対応でもPOD市場においては受け入れ可能であった。しかしながら、サービスコストの観点からは、ユーザからの要望が発生した場合には、サービスマンの出動が必要となりメンテナンスコストが発生してしまうという問題がある。
また、サービスマンの出動を伴わない方法として、ユーザが枚数を設定できる画面を設ける提案もなされている(特許文献1参照)。記録用紙に対して、禁止されている後処理を実行可能としたり、制限する枚数をより大きい値に変更したりできる画面を設け、ユーザが画面を介して予め設定しておくことにより動作の拡張ができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4497543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1では、サービスマンの出動なしにユーザが自由に用紙(記録媒体)毎に細かい枚数の設定値を入力することができる。そのため、サービスのメンテナンスコストを発生させることがない。
しかしながら、ユーザの設定値を超える枚数のジョブが投入された場合は後処理を実行しないように制御されるため、結局ユーザの意図する出力物を得るには、枚数の設定値をジョブに応じて変更し直すという手間が発生してしまう。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、記録媒体に対する処理をより適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る制御装置は、記録媒体を処理する処理装置を制御し、前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す媒体数情報を記憶する記憶部を有する制御装置であって、前記処理装置で処理される記録媒体の数を処理ごとに計数する計数手段と、前記計数手段で計数された数が前記媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体数情報を、前記媒体数情報の数よりも大きい数であって前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す拡張媒体数情報にする変更を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、制御方法、プログラム等としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体に対する処理をより適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】UIの一例を示す図である。
【図2】システムの構成の一例を示す図である。
【図3】複合装置の構成の一例を示す図である。
【図4】メインコントローラ部のハードウェアの構成の一例を示す図である。
【図5】UIの一例を示す図である。
【図6】UIの一例を示す図である。
【図7】UIの一例を示す図である。
【図8】複合装置における動作の一例を示す図である。
【図9】UIの一例を示す図である。
【図10】サービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図11】複合装置における動作の一例を示す図である。
【図12】UIの一例を示す図である。
【図13】サービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図14】サービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図15】複合装置における動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0015】
<第1の実施形態>
本実施形態は、様々な条件で可能な限り後処理を行えるように後処理装置を制御する技術に関するものである。より具体的には、投入されたジョブの後処理を行う用紙束の枚数が動作保証範囲を超過した場合に、まとめて処理可能な枚数を自動的或いは選択的に動作可能範囲へと拡張すると共に、後処理の動作範囲が拡張されたことを表示部に表示する制御に関するものである。本実施形態の概略について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る複合装置の操作パネルに表示されるUIの一例(基本画面100)を示す図である。
図1(A)の基本画面100では、コピー(プリント)のジョブが実行中であるので、実行中、ポップアップ104が表示され、プリント処理中であることが示されている。ポップアップ104には、プリント処理をキャンセルするためのCancelボタンと、次のジョブを投入するためにポップアップ104を閉じるための閉じるボタンとが表示されている。
現在実行中のジョブは、ステイプル処理の指示が行われたジョブであり、ページ数が、後処理が保証されている用紙の枚数(後処理保証枚数)を超過している状態(拡張状態)であることを示している。なお、後処理保証枚数は、後述するように、後処理が可能な用紙の枚数(まとめて処理が可能な記録媒体の数を示す媒体数情報の一例である後処理可能枚数)に拡張される。プリント処理は継続しているが、ステータスライン105には、拡張状態であることを示す「ステイプル枚数制限が拡張されている状態です。」というメッセージが表示されている。
後処理保証枚数を超えるステイプル処理の指示が行われたジョブが投入されると、後処理保証枚数を拡張していない状態(通常状態)である場合には、従来の動作ではステイプル処理が無視されるが、本実施形態の動作ではステイプル処理が実行され得る。なお、従来の動作と本実施形態の動作との違いについては図8を用いて後述する。
【0016】
図1(B)の基本画面100では、後処理保証枚数に到達してジョブが一時中断され、そのまま動作を継続するか、後処理保証枚数の拡張を行うかをユーザに選択させるポップアップ101が表示されている。
ポップアップ101では、ステイプル処理において動作が保証されている範囲(動作保証範囲)の上限の枚数(後処理保証枚数)を超過したことが示されている。そして、ポップアップ101では、動作が可能である範囲(動作可能範囲)の枚数(後処理可能枚数)に拡張を行うかどうかを受け付けるCancelボタン102及びOKボタン103を表示し、何れかのボタンを選択するようにユーザに促す。
ユーザがそのままの動作の継続を希望する場合はCancelボタン102を選択する。Cancelボタン102が選択された場合、後処理可能枚数への拡張を行わないので、ステイプル処理の指定を無効としてジョブを継続する。他方、後処理可能枚数への拡張を希望する場合はOKボタン103を選択する。OKボタン103が選択された場合、図1(A)の画面に遷移し、後処理する枚数の制限を拡張して動作を継続する。なお、ステータスライン105では、上述のような表示が行われる。
【0017】
次に、画像形成装置、後処理装置などを含むシステム全体について図2を用いて説明する。図2は、システムの構成の一例を示す図である。以下では、複合装置が、複合装置全体を制御するメインコントローラ部201、原稿を読み取るスキャナ部202、及び画像形成を行うプリンタ部203を含んで構成される画像形成装置および後処理装置204を有するものとして説明する。
なお、メインコントローラ部201は、制御装置(コンピュータ)の一例である。また、後処理装置204は、記録媒体を処理する処理装置(コンピュータ)の一例であり、プリンタ部203に接続される形態となっており、メインコントローラ部201とはプリンタ部203経由で接続されている。
【0018】
また、複合装置は、ネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)205やサーバ206と接続されている。PC205は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、PC205にインストールされているプリンタドライバを利用して、各アプリケーションソフトウェアから複合装置に対してプリント処理に関する指示を行うものである。サーバ206は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、複合装置の状態などを管理する機器管理機能などを有する。また、サーバ206は、メインコントローラ部201から通知されてくるスキャナ部202、プリンタ部203、及び後処理装置204(フィニッシャ部)の状態の情報などを管理する。
なお、本実施形態は、上述した構成に限られるものではない。例えば、後処理装置204は、ネットワークを介してメインコントローラ部201と接続される構成を採用してもよい。
【0019】
次に、複合装置の構成について図3を用いて説明する。図3は、複合装置の構成の一例を示す図である。複合装置は、コピー・プリンタ・ファックスの機能を有している。
また、複合装置は、スキャナ301と、ドキュメントフィーダ(DF)302と、カラー4色ドラムを備えるプリント記録用のプリントエンジン313と、給紙デッキ314と、フィニッシャ315と、を含んで構成される。
ここで、スキャナ301およびDF302がスキャナ部202の詳細である。プリントエンジン313がプリンタ部203の詳細である。フィニッシャ315が後処理装置204の詳細である。
【0020】
はじめに、スキャナ301を中心に行われるスキャナ動作について説明する。ユーザは、原稿台307に原稿をセットして読み込みを行う場合、原稿台307に原稿をセットしてDF302を閉じる。すると、開閉センサが原稿台307が閉じられたことを検知した後、スキャナ301の筐体内にある反射式の原稿サイズ検知センサが、セットされた原稿のサイズを検知する。
このサイズの検知を起点にして光源310で原稿を照射し、反射板311、レンズ312を介してCCD343が画像を読み取り、その後、デジタル信号に変換され、所望の画像処理が行われてレーザ記録信号に変換される。変換された記録信号は、図4を用いて後述するコントローラ内のメモリに格納される。
【0021】
また、ユーザは、DF302に原稿をセットして読み込みを行う場合、DF302の原稿セット部303のトレイに原稿をフェースアップで載置する。すると、原稿有無センサ304が、原稿がセットされたことを検知し、これをうけて給紙ローラ305と搬送ベルト306とが回転して原稿を搬送し、原稿台307上の所定の位置に原稿がセットされる。これ以降は、原稿台307での読み込みと同様に画像が読み込まれて記録信号に変換され、コントローラ内のメモリに格納される。
読み込みが完了すると、再び搬送ベルト306が回転して図の右側に原稿を送り、排紙側の搬送ローラ308を経由して原稿が原稿排紙トレイ309へ排紙される。原稿が複数存在する場合は、原稿台307から原稿が図の右側に排紙搬送されるのと同時に、給紙ローラ305を経由して左側から次の原稿が給送され、次の原稿の読み込みが連続的に行われる。以上がスキャナ動作である。
【0022】
続いて、プリントエンジン313を中心に行われる印刷動作について説明する。図4で説明するコントローラ内のメモリに一旦記憶された記録信号(印刷画像データ)は、プリントエンジン313へと転送され、レーザ記録部でYellow、Magenta、Cyan、Blackの4色の記録レーザ光に変換される。そして、各色の感光体316に照射され、感光体316に静電潜像が形成される。そして、トナーカートリッジ317から供給されるトナーによりトナー現像が行われ、可視化された画像は、中間転写ベルト321に一次転写される。
その後、中間転写ベルト321は、時計回転方向に回転し、用紙カセット318、あるいは給紙デッキ314から給紙搬送路319を通って給送された用紙(記録紙)が二次転写位置320にきたところで、中間転写ベルト321から用紙へと画像が転写される。
画像が転写された用紙は、定着器322で、加圧と熱によりトナーが定着され、排紙搬送路を搬送された後、フェイスダウンのセンタートレイ323か、スイッチバックしてフィニッシャへの排紙口324又はフェースアップのサイドトレイ325へと排紙される。ただし、サイドトレイ325は、フィニッシャ315が未装着の場合にのみ排紙可能な排紙口である。
【0023】
フラッパ326およびフラッパ327は、これらの排紙口を切り替えるために搬送路を切り替えるためのものである。両面プリントの場合には、定着器322を通過後に、フラッパ327が搬送路を切り替え、その後、用紙がスイッチバックして下方に用紙が送られ、両面印刷用紙搬送路330を経て再び二次転写位置320に給送され、両面の印刷動作を実現する。
両面循環制御は、両面印刷用紙搬送路330や二次転写位置320、定着器322を含む搬送経路内を用いて行われる。A4サイズやLTRサイズは5枚循環制御、それ以上の用紙のサイズについては3枚循環制御が行われる。
【0024】
続いて、フィニッシャ315を中心に行われるフィニッシャ動作について説明する。フィニッシャ315では、ユーザにより指定された設定値に応じ、印刷済み用紙に対して後処理を加える。より具体的には、ステイプル処理(1個所・2箇所綴じ)やパンチ処理(2穴・3穴)や中とじ製本処理等の設定値が指定される。
複合装置には排紙トレイ328は2つ設けられ、フィニッシャ315への排紙口324を通過してきた用紙は、ユーザにより指定された設定値に従って、例えばコピー・プリンタ・ファックスの機能毎に排紙トレイが振り分けられる。
複合装置がプリンタとして利用される場合、プリンタドライバ等を介して、白黒プリント/カラープリント、用紙サイズ、2UP・4UP印刷・N-UP印刷、両面、ステイプル、パンチ、中とじ製本、合紙、表紙、裏表紙などの各種の設定値の指定が可能である。
【0025】
次に、画像形成装置のメインコントローラ部201の構成について図4を用いて説明する。図4は、メインコントローラ部201のハードウェアの構成の一例を示す図である。メインコントローラ401は、主に、CPU402、バスコントローラ403、及び各種のI/Fコントローラ回路から構成される。
CPU402とバスコントローラ403とは、複合装置全体の動作を制御するものであり、CPU402は、ROM404からROM I/F405を経由して読込んだプログラムに基づいて動作する。また、PC205から受信したPDL(ページ記述言語)のコードデータを解釈し、ラスターイメージデータに展開する処理内容も、このプログラムに記述されており、CPU402がプログラムを実行することで(ソフトウェアによって)実現される。バスコントローラ403は、各I/Fから入出力されるデータ転送を制御するものであり、バス競合時の調停やDMAデータ転送の制御を行う。
【0026】
DRAM406は、DRAM I/F407によってメインコントローラ401と接続されており、CPU402が動作するためのワークエリアや、画像データを蓄積するためのエリアとして使用される。
コーデック408は、DRAM406に蓄積されたラスターイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の方式で圧縮し、また逆に圧縮され蓄積されたコードデータをラスターイメージデータに伸長する。SRAM409は、コーデック408の一時的なワーク領域として使用される。コーデック408は、I/F410を介してメインコントローラ401と接続され、コーデック408とDRAM406との間のデータの転送は、バスコントローラ403によって制御され、DMA転送される。
【0027】
グラフィックプロセッサ424は、DRAM406に蓄積されたラスターイメージデータに対して、画像回転、画像変倍、色空間変換、二値化の処理をそれぞれ行う。SRAM425は、グラフィックプロセッサ424の一時的なワーク領域として使用される。グラフィックプロセッサ424は、I/Fを介してメインコントローラ401と接続され、グラフィックプロセッサ424とDRAM406との間のデータの転送は、バスコントローラ403によって制御され、DMA転送される。
ネットワークコントローラ411は、I/F413によってメインコントローラ401と接続され、コネクタ412によって外部のネットワークと接続される。ネットワークとしては一般的なLANが挙げられる。
【0028】
汎用高速バス415には、拡張ボードを接続するための拡張コネクタ414とI/O制御部416とが接続される。汎用高速バス415としては、一般的なPCIバスが挙げられる。I/O制御部416には、スキャナ部202、プリンタ部203の各CPUと制御コマンドを送受信するための調歩同期シリアル通信コントローラ417が2チャンネル装備されている。調歩同期シリアル通信コントローラ417は、I/Oバス418によってスキャナI/F426(スキャナI/F回路)、プリンタI/F430(プリンタI/F回路)に接続されている。
パネルI/F421は、LCDコントローラ420に接続され、後述の操作部501上の液晶画面に表示を行うためのI/Fと、ハードキーやタッチパネルキーの入力を行うためのキー入力I/Fとから構成される。
ここで、後述する操作部501は、液晶表示部と、液晶表示部上に張り付けられたタッチパネル入力装置と、複数個のハードキーと、を有する。タッチパネル入力装置またはハードキー(入力デバイスの一例)により入力された信号は、パネルI/F421を介してCPU402に伝えられ、液晶表示部は、パネルI/F421から送られてきた画像データを表示する。液晶表示部には、本複合装置の操作における機能に関する表示、画像データ等が表示される。
【0029】
リアルタイムクロックモジュール422は、複合装置内で管理する日付と時刻とを更新/保存するためのもので、バックアップ用電池423によってバックアップされている。E-IDEインタフェース439は、外部記憶装置を接続するためのものである。本実施形態においては、E-IDEインタフェース439を介してハードディスクドライブ438が接続され、ハードディスク(HD)440へ画像データが記憶され、HD440から画像データが読み込まれる。
コネクタ427とコネクタ432とは、それぞれスキャナ部202とプリンタ部203とに接続され、同調歩同期シリアルI/F(428、433)とビデオI/F(429、434)とから構成される。
スキャナI/F426は、コネクタ427を介してスキャナ部202と接続され、また、スキャナバス441によってメインコントローラ401と接続され、スキャナ部202から受け取った画像に対して所定の処理を施す機能を有する。さらに、スキャナI/F426は、スキャナ部202から送られたビデオ制御信号をもとに生成した制御信号を、スキャナバス429に出力する機能も有する。スキャナバス429からDRAM406へのデータ転送は、バスコントローラ403によって制御される。
【0030】
プリンタI/F430は、コネクタ432を介してプリンタ部203と接続され、また、プリンタバス431によってメインコントローラ401と接続されている。プリンタI/F430は、メインコントローラ401から出力された画像データに所定の処理を施し、プリンタ部203へ出力する機能を有する。さらに、プリンタI/F430は、プリンタ部203から送られたビデオ制御信号をもとに生成した制御信号を、プリンタバス431に出力する機能も有する。
DRAM406上に展開されたラスターイメージデータのプリンタ部203への転送は、バスコントローラ403によって制御され、ラスターイメージデータは、プリンタバス431、ビデオI/F434を経由して、プリンタ部203へDMA転送される。
SRAM436は、バックアップ用電池423から供給される電源により、複合装置全体が電源遮断されても記憶内容を保持できる構成となっているメモリであり、バス435を介してI/O制御部416と接続されている。EEPROM437も同様にバス435を介してI/O制御部416と接続されているメモリである。
【0031】
次に、各種の設定値の入力を受け付けるユーザインタフェース(UI)について説明する。図5は、UIの一例(操作部501)を示す図である。操作部501は、パネルI/F421の先に接続されている。例えば、ユーザは、操作部501に対する操作(ユーザ操作)を介して各種の設定値を入力する。
リセットキー502は、ユーザが指定(入力)した設定値などを取り消すためのUIである。ストップキー503は、動作中のジョブを中止させるときに使用するUIである。テンキー504は、置数などの数値の入力を行うためのUIである。
操作画面505は、タッチパネル式の操作画面であり、例えば図6に示す画面を表示する。画面には、各種の設定値を入力するためのタッチパネル式のボタン(UI)が多数存在する。スタートキー506は、原稿の読み込みなど、ジョブをスタートさせるためのUIである。クリアキー507は、設定値などをクリアするためのUIである。以上が操作部501の各部の説明である。
【0032】
操作部501に表示される内容について図6を用いて説明する。図6は、UIの一例(操作画面505)を示す図である。操作画面505の上部に表示されているタグ602は、各機能を選択するためのUIである。左から順に、コピー機能、送信機能、ボックス機能、リモートスキャナ機能である。
送信機能によれば、FAX送信やEメール送信、ファイルサーバへの送信などができる。ボックス機能によれば、スキャナ部202で読み込んだ画像データを複合装置内のHD440に格納し、格納されたデータの操作やプリントを行うことができる。リモートスキャナ機能によれば、ネットワーク経由でPC205から操作してスキャン画像をPCに取り込むことができる。
各機能のタグを選択することにより、それぞれの詳細な設定値の入力ができる画面に遷移する。図示したものはコピー機能の設定値を入力するための画面である。
【0033】
色選択ボタン603は、色モードを選択するUIの一例であり、押下されることによりプルダウンメニューが表示され、プルダウンメニューの項目(カラー/モノクロ/自動)から所望の項目が選択可能である。図では「自動」が選択された状態を示している。その他、倍率指定ボタン604、用紙選択ボタン605、シフトソートやステイプルソートなどフィニッシング指定を行う仕上げボタン606、両面指定を行う両面ボタン607、濃度を指定するバー608が配置されている。また、原稿のタイプを選択するボタン609、その他の各種の応用モードを設定する応用モードボタン610なども配置されている。
図7は、UIの一例(仕上げとしてステイプルソートが指定されたときの画面)を示す図である。仕上げボタン701が押下されると、図示しない仕上げの種類を選択する画面が表示され、表示された画面では、ソート、シフトソート、ステイプルソートなどが選択可能である。選択項目702は、ステイプルソートが選択されたことを示す。
【0034】
次に、本実施形態に係る制御について図8を用いて説明する。図8は、複合装置における動作の一例(コピー機能における動作)を示す図である。従来の動作と本実施形態の動作とを対比させながら説明を進める。ここで、前提として、後処理装置204において、通常状態で処理できる用紙の枚数(後処理保証枚数)が100枚であるという前提で説明する。
図8(A)は、原稿801が80枚であり、通常状態のまま、即ち後処理保証枚数から後処理可能枚数に拡張することなく動作することができるケースを示す。図8(A)では、このケース(通常状態の動作)について説明を行う。
図8(B)は、原稿809が120枚であり、この枚数は、後処理保証枚数を超過した原稿の枚数であり、通常状態のままではステイプル処理を行うことができないケースを示す。図8(B)では、このケース(従来の動作がどのように行われているか)について説明する。
図8(C)は、原稿817が原稿809と同様120枚であり、後処理保証枚数を後処理可能枚数に拡張して動作することができるケースを示す。図8(C)は、このケース(本実施形態の特徴的な動作)について説明する。
【0035】
まず、図8(A)に示すコーナーステイプル出力802は、原稿801(80枚)をステイプルソート処理(コーナー1箇所綴じ)が行われた場合の出力である。コーナーステイプル出力802の場合、用紙束803に示すように、出力された用紙のコーナーにステイプル処理が行われて出力される。
なお、シフトソート処理の指定が行われていないので、後処理装置204の排紙トレイの奥/手前と部毎にシフトソート処理が行われることなく、後処理装置204の排紙トレイの同一位置にステイプル処理された用紙束803が排紙される。1部当たりの出力の枚数も80枚であるため、後処理可能枚数に拡張することなく、通常動作として動作することが可能である。
【0036】
また、シフトソート出力804は、シフトソート処理が行われた場合の出力である。ステイプル処理が指定されていないので、出力された用紙のコーナーにステイプル処理が行われない。
その代わりにシフトソート処理の指定が行われているため、出力の最初の部である用紙束805は、ユーザから見て後処理装置204の排紙トレイの手前側にシフトして排紙トレイに排紙される。続いて、2部目の用紙束806は、後処理装置204の排紙トレイの奥側にシフトされて排紙される。次の用紙束807は、再び後処理装置204の排紙トレイの手前側、最後の用紙束808は、後処理装置204の排紙トレイの奥側に排紙される。以上の動作により、4部の用紙束がシフトソート処理されて出力される。
【0037】
次に、図8(B)を参照して、原稿809(120枚)についてステイプルソート処理(コーナー1箇所綴じ)が行われた場合について説明する。従来の動作では、後処理可能枚数への拡張は行われない。また、120枚の原稿809に対して1部当たりの出力の枚数も120枚となるため、後処理として指定したステイプル処理は無効として処理される。
まず、後処理装置204は、1部目の出力束811の動作では、原稿809を読み込みながら動作するため、出力を開始した時点では後処理保証枚数(100枚)を超えることは検知できない。そのため、メインコントローラ部201からプリンタ部203および後処理装置204へはステイプル処理の指示を行う。
【0038】
しかしながら、後処理装置204では、100枚を超えた時点でステイプル処理ができないことが検知される。1部目についてはステイプル処理の指示をメインコントローラ部201側からは既に指示済みであるため、プリンタ部203および後処理装置204で、指定されたステイプル処理の指定を無効として図に示すようにステイプル処理を行わずに用紙束812を出力する。
その後、2部目以降は、出力の枚数が後処理保証枚数である100枚を超えることが、出力が開始される時点で検知できている。そこで、図に示すように、メインコントローラ部201からプリンタ部203への指示を、ステイプル処理の指示からシフトソート処理の指示に切り替えて動作(シフトソート出力813)することができる。
用紙束814は、後処理装置204の排紙トレイの奥側にシフトして出力され、用紙束815は、後処理装置204の排紙トレイの手前側、用紙束816は、再び後処理装置204の排紙トレイの奥側にシフトして出力される。
【0039】
このように、ユーザの指定どおりのステイプル処理が実行できない場合でも、シフトソート処理を代用することにより、部の区切りをユーザにわかるようにする処理までを行っているのが、従来の動作である。
しかしながら、部の区切りがわかったとしてもユーザが出力物として欲しいものはあくまでステイプル処理された出力物であるため、充分な出力とは言えない。
そこで、本実施形態では、図8(C)に示す動作を行うように後処理装置204を制御する。原稿817については、原稿809と同様、後処理保証枚数を超過する枚数の動作となる。原稿817については、120枚の原稿をステイプルソート処理(コーナー1箇所綴じ)、4部コピー処理を行う指定が行われている。後処理装置204は、後処理保証枚数である100枚を超過した時点でジョブを一旦中断する。中断した場合には、図1(B)で示したようなポップアップ101が操作パネルに表示される。
【0040】
後処理可能枚数に拡張して動作させる場合には、ユーザはOKボタン103を押下する。そうすると、図8に示す動作(コーナーステイプル出力818)を行う。後処理装置204は、後処理保証枚数を超過した枚数の用紙束に対しても、拡張を行っているので、1部目から4部目までの全ての部に対してコーナーステイプル処理を実行する。コーナーステイプル出力818の実行中には、図1(A)に示すようなメッセージが操作パネルのステータスライン105に表示され、後処理可能枚数に拡張されている状態であることをユーザに知らせるように表示制御が行われる。
一方、ジョブを一時中断した状態から、Cancelボタン102が押下されると、後処理可能枚数に拡張する処理は行われず、図8(C)に示すように従来の動作(シフトソート出力820)を行う。1部目はプリンタ部203でステイプル処理(属性)をOFFして動作するためステイプル処理されずに排紙先に出力される。また、2部目以降はシフトソート処理に切り替えられるので、図8(C)のように後処理装置204の排紙トレイの奥側/手前側と用紙束(821、822、823)がシフトされて排紙先に出力される。
なお、コピー機能による例を挙げて説明したが、PC205上のアプリケーションで生成された電子文書の印刷などでもあっても同様である。
【0041】
上述の構成によれば、サービスマンのメンテナンスコストを削減することができるが、サービスの契約の状況によってはサービスマンによる調整というモードも必要となるケースがある。そのため、本実施形態では、従来どおり、サービスマンによる調整のモードが選択可能なように制御する構成を採用してもよい。この構成について図9を用いて説明する。図9は、UIの一例(サービスマンによる調整のモードが選択可能な画面)を示す図である。
例えば、図9のポップアップ901は、図1のポップアップ101の代わりに表示される。ポップアップ101に対してポップアップ901では、ユーザによる動作切り替えの選択を行うことはできない。後処理での動作を拡張したい場合には、サービスマンへ依頼することを喚起するメッセージに従って、サービスマンコールを行ってもらうことになる。
【0042】
次に、複合装置におけるコピー機能などのサービスを実現するサービス処理について図10を用いて説明する。図10は、サービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。ここで、フローチャートに係るプログラム、及びプログラムの実行に必要なデータは、ROM404、HD440に記憶されており、CPU402によってDRAM406等に読み出されて実行される。プログラムが実行されることで、フローチャートの処理(メインコントローラ部201の機能など)が実現される。なお、フローチャートの処理の全部または一部を、専用のハードウェアを用いて実現してもよい。
コピーを開始するスタートキー506等の操作が受け付けられて処理がスタートすると(S1001)、メインコントローラ部201は、ジョブが存在するか否かをチェックする(S1002)。このとき、メインコントローラ部201は、ジョブが存在しないと判断した場合、自状態へループしてジョブが投入されるのを待つ。他方、メインコントローラ部201は、ジョブが存在すると判断した場合、S1002からS1003に処理を移し、ジョブを実行する(S1003)。
【0043】
続いて、メインコントローラ部201は、ジョブの実行中、例えばステイプル処理の枚数を部ごと(処理ごと)に計数し、ステイプル処理の枚数が後処理保証枚数を超過するか否かをチェックする(S1004)。このとき、メインコントローラ部201は、超過しないと判断した場合、S1005に処理を移し、通常のジョブ実行処理を継続する。他方、メインコントローラ部201は、超過したと判断した場合、S1006に処理を移す。
S1006では、メインコントローラ部201は、後処理可能枚数への拡張を促すポップアップの表示を行い、ジョブを中断する。例えば、操作パネルには、ポップアップ101が表示される。続いて、メインコントローラ部201は、後処理可能枚数に拡張するか否かを判断する(S1007)。このとき、メインコントローラ部201は、拡張しない、即ちCancelボタン102が押下されたと判断した場合、S1008に処理を移し、他方、拡張する(許可する)、即ちOKボタン103が押下されたと判断した場合、S1009に処理を移す。
S1008では、メインコントローラ部201は、ステイプル処理(属性)を無効にしてジョブを継続し、S1011に処理を移す。例えば、メインコントローラ部201は、後処理装置204がシフトソート出力820(用紙束819などを出力)するように制御する。
【0044】
S1009では、メインコントローラ部201は、複合装置内のDRAM406、HD440等の記憶部で保持しているサービスモード値(設定値)を書き換える。書き換える値は、後処理装置204が動作可能な最大値(拡張媒体数情報の一例)である。ここで、書き換える値は、最大値ではなく、動作保証範囲外であって動作可能範囲内の値を適宜採用してもよい。その後、S1010では、メインコントローラ部201は、ステータスライン105にメッセージを表示する。
なお、メインコントローラ部201がステータスライン105にメッセージを表示する構成は、報知の一例である。そして、メインコントローラ部201は、S1011に処理を移す。
S1011では、メインコントローラ部201は、ジョブが終了したか否かをチェックし、終了したと判断した場合、処理を終了する(S1012)。他方、メインコントローラ部201は、終了していないと判断した場合、S1003に処理を戻し、処理が継続される。
【0045】
上述した構成によれば、ユーザは使用する用紙の種類毎や投入するジョブの指定毎に上限の枚数を意識することなく、ステイプル処理などの後処理を確実に行うことが可能となる。また、後処理可能枚数に拡張された状態であるか否かをユーザが認識することが可能となる。
また、上述した構成によれば、サービスマンによるメンテナンスコストも必要とせず、ユーザの再設定作業も必要とせず、ユーザの意図した後処理が実行された出力物が最大限に得られるようになる。
なお、本実施形態では、後処理装置204で行う後処理としてステイプル処理(コーナーステイプル処理)を例に挙げて説明しているが、後処理の種類については限定されるものではない。例えば、くるみ製本処理、中とじ製本処理、折り処理(二つ折り処理等)などについても同様に適用できる。
【0046】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、後処理保証枚数を超過した場合には、即座に後処理可能枚数への拡張を行う制御について説明した。後処理可能枚数に拡張した場合には、後処理は、ユーザの指定どおりに実行される一方で、制約事項が発生することを先にも述べてきた。例えば、ステイプル処理の精度の低下や、ステイプル処理でのジャムの発生率の上昇である。そこで、本実施形態では、拡張状態への切り替え頻度を抑えるような制御について説明する。
前提となる制御は、第1の実施形態で示したものが基本となるが、主な差異について図11を用いて説明する。図11は、複合装置における動作の一例を示す図である。通常の後処理保証枚数は、100枚という前提で説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を用いてその説明を適宜省略する。
【0047】
後処理上限枚数1101は、拡張媒体数情報の一例であり、後処理装置204が後処理する用紙の上限の枚数を示す。後処理上限枚数1101は、記憶部の一例である後処理枚数記憶部に記憶されている。なお、後処理枚数記憶部は、当初は、後処理保証枚数である100枚を後処理上限枚数1101として保持している。原稿枚数1102は、原稿の枚数が120枚のジョブが投入されたことを示している。原稿とは、コピー機能による原稿でもよいし、PC205上のアプリケーションで生成された電子文書でもよい。
また、原稿120枚中の後処理上限枚数(この例では100枚)に到達した時点で枚数検知部1104により、後処理上限枚数(上限値)に到達したことが検知される。この場合、第1の実施形態の図8でも同様の説明をしたとおり、1部目の用紙束1103は、ステイプル処理(属性)を無効にして出力が行われる。そして、2部目の用紙束1105と3部目の用紙束1106とは、ステイプル処理(属性)をシフトソート処理(属性)に変換して出力される。
【0048】
この処理に加えて、枚数検知部1104は、ステイプル処理の原稿の枚数がオーバーとなったジョブをジョブ履歴情報として保持するように制御する。ジョブ履歴情報は、記憶部の一例である格納領域1107に保持される。より具体的には、ジョブの名称のような属性(識別情報の一例)と、出力された枚数(結果)を示す累積情報(実績値)とが関連付けられて格納領域1107に記憶される。
本例では、ジョブ1からジョブ5までの5つのジョブが超過したジョブとしてその枚数が記憶されている。それぞれのジョブは、101枚〜120枚の範囲で、後処理上限枚数(この例では100枚)を超過している。そして、格納領域1107に記憶されたジョブ履歴情報の数(ジョブ数)が所定値を超えると、例えば、後処理上限枚数を、格納領域1107に記憶されているジョブ履歴情報(実績値)の最大値に書き換える。
図ではジョブ数の所定値=5とした例である。ジョブ履歴情報中の最大の枚数であるジョブは、ジョブ3であるので、後処理上限枚数1108(後処理上限枚数が100枚から120枚)に書き換えられる。それ以降に新たに投入されたジョブは、後処理上限枚数1108(120枚)に対して処理が行われるため、120枚までのジョブであれば用紙束1109、用紙束1110、用紙束1111のようにステイプル処理が実行されて出力される。
【0049】
次に、格納領域1107に累積されたジョブ履歴情報の数が所定値を超えた場合の操作パネルの表示について図12を用いて説明する。図12は、UIの一例(後処理上限枚数を拡張するか否かのユーザによる選択の操作を受け付ける画面)を示す図である。格納領域1107に記憶されているジョブ履歴情報の数が所定値に到達した場合、そのジョブの終了と同時にポップアップ1201が表示される。
ポップアップ1201では、ステイプル処理の後処理上限枚数を超過するジョブが所定回数に到達したことをユーザに通知する。ユーザは、後処理上限枚数を拡張したい場合にはOKボタン1202を押下し、拡張したくない場合はCancelボタン1203を押下する。OKボタン1202が押下された場合、ジョブが存在しない状態であってもステータスライン105に、後処理上限枚数が拡張された状態であることを示すメッセージが表示される。
【0050】
次に、サービス処理について図13および図14を用いて説明する。ここで、図13は、図12に示すユーザによる選択の操作を受け付ける画面の表示を省略する場合のサービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。また、図14は、図12に示すユーザによる選択の操作を受け付ける画面を表示する場合のサービス処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、コピーを開始するスタートキー506等の操作が受け付けられて処理がスタートすると(S1301)、メインコントローラ部201は、ジョブが存在するか否かをチェックし(S1302)、ジョブが存在しないと判断した場合、ループして待機する。他方、メインコントローラ部201は、ジョブが存在すると判断した場合、S1303に処理を移し、ジョブを実行する(S1303)。
【0051】
そして、S1304では、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数(ステイプル制限枚数)を超過したか否かをチェックする。このとき、メインコントローラ部201は、超過していないと判断した場合、通常のジョブ実行処理を行う(S1305)。他方、メインコントローラ部201は、超過していたと判断した場合、S1306に処理を移す。S1306では、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数が超過したジョブについてジョブ履歴情報として保存する。
続いて、S1307では、メインコントローラ部201は、保存されたジョブ履歴情報の数(履歴数)が所定値(規定の数)を超えたか否かをチェックする。このとき、メインコントローラ部201は、超えていないと判断した場合、ステイプル処理(属性)を無効にしてジョブ実行を継続し(S1308)、続いて、S1312の処理を行う。他方、超えたと判断した場合、S1309に処理を移す。
【0052】
S1309では、メインコントローラ部201は、格納領域1107に保存されているジョブ履歴情報の中での最大値を後処理上限枚数(サービスモード値)として書き換える。なお、最大値ではなく、ジョブ履歴情報の中の実績値の範囲内の値を適宜採用してもよい。続いて、S1310では、メインコントローラ部201は、ステータスライン105に後処理上限枚数が拡張されたことを示すメッセージを表示する。続いて、S1311では、メインコントローラ部201は、格納領域1107に記憶されていたジョブ履歴情報をクリアし、S1312に処理を移す。
S1312では、メインコントローラ部201は、ジョブが終了したか否かをチェックし、終了していると判断した場合、処理を終了し(S1313)、他方、終了していないと判断した場合、S1303に処理を戻す。
【0053】
次に、図14について説明する。図13では、複合装置が自動的に後処理上限枚数を拡張する構成を示したが、図14では、ユーザによる操作に応じて、後処理上限枚数を拡張するかどうかを決定する構成を示す。
まず、コピーを開始するスタートキー506等の操作が受け付けられて処理がスタートすると(S1401)、メインコントローラ部201は、ジョブが存在するか否かをチェックし(S1402)、ジョブが存在しないと判断した場合、ループして待機する。他方、メインコントローラ部201は、ジョブが存在すると判断した場合、S1403に処理を移し、ジョブを実行する。
【0054】
そして、S1404では、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数(ステイプル制限枚数)を超過したか否かをチェックする。このとき、メインコントローラ部201は、超過していないと判断した場合、通常のジョブ実行処理を行う(S1405)。他方、メインコントローラ部201は、超過していたと判断した場合、S1406に処理を移す。S1406では、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数が超過したジョブについてジョブ履歴情報として保存する。
続いて、S1407では、メインコントローラ部201は、保存されたジョブ履歴情報の数(履歴数)が所定値を超えたか否かをチェックする。このとき、メインコントローラ部201は、超えていないと判断した場合、ステイプル処理(属性)を無効にしてジョブ実行を継続し(S1408)、続いて、S1414の処理を行う。他方、メインコントローラ部201は、超えたと判断した場合、S1409に処理を移す。
【0055】
S1409では、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数の拡張を促すポップアップを表示する。例えば、操作パネルには、ポップアップ1201が表示される。
続いて、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数を拡張するか否かを判断する(S1410)。このとき、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数を拡張しない、即ちCancelボタン1203が押下されたと判断した場合、超過したジョブのジョブ履歴情報をクリアし(S1411)、S1414に処理を移す。他方、メインコントローラ部201は、後処理上限枚数を拡張する、即ちOKボタン1202が押下されたと判断した場合、S1412に処理を移す。
【0056】
S1412では、メインコントローラ部201は、格納領域1107に保存されているジョブ履歴情報の中での最大値を後処理上限枚数(サービスモード値)として書き換える。なお、最大値ではなく、ジョブ履歴情報の中の実績値の範囲内の値を適宜採用してもよい。続いて、S1413では、メインコントローラ部201は、ステータスライン105にメッセージを表示し、S1414に処理を移す。
S1414では、メインコントローラ部201は、ジョブが終了したか否かをチェックし、終了していると判断した場合、処理を終了し(S1415)、他方、終了していないと判断した場合、S1403に処理を戻す。
【0057】
次に、後処理上限枚数が本制御により変更された状態(拡張状態)になった後に、通常状態に戻す制御について説明する。第1の実施形態では、ジョブが終了する時点で、通常状態に戻すことを想定した説明であったが、本実施形態においては、通常状態に戻すタイミングが存在しない。
そこで、本実施形態では、通常状態へ戻す処理として、拡張状態をクリアするUIを操作パネル上に設け、そのUIをユーザが操作することにより、拡張状態から通常状態へ戻すことが可能となるように制御する。この構成によれば、一度拡張状態になった複合装置をそのままの状態(拡張状態)に保持することもできるし、必要に応じて、元の状態(通常状態)に戻すことができるようになる。
【0058】
また、本実施形態では、拡張状態であることをユーザに通知するUIとして操作パネルのステータスライン105を用いる方法を説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、別の方法について図15を用いて説明する。
図15は、複合装置における動作の一例を示す図である。POD市場においては、複合装置の操作パネルでのメッセージの確認ではなく、出力物の検品を行う際に、状態を判断できるようにした方がユーザ(オペレータ)のメリットが大きい場合もある。そこで、本実施形態では、通常状態と拡張状態との間で、より広義には後処理上限枚数が切り替わったときに仕切り紙を挿入する制御を行う構成を採用してもよい。
図15のジョブ1(1501)とジョブ2(1502)とは、通常状態での動作を示している。いずれも後処理上限枚数を超過するようなジョブであるが、ジョブ1(1501)では、格納領域1107に保存されているジョブ履歴情報の数が所定値に到達していない。ジョブ2(1502)でジョブ履歴情報の数が所定値に到達したことを示している。所定値に到達したジョブ2(1502)までは通常の動作(ステイプル処理をシフトソート処理に切り替えて動作)を行うが、ジョブ2(1502)の終了時に仕切り紙1503を1枚出力する。仕切り紙1503の給紙段を色紙がセットされている給紙段に設定しておくと、よりユーザに判別され易い。
【0059】
その後、ジョブ3(1504)およびジョブ4(1505)は、後処理上限枚数が拡張された状態で動作し続ける。その後、先に説明したように、拡張状態をクリアするUIによりクリアが実行されると、複合装置は、その時点で仕切り紙1506を再度出力するように制御する。
この制御を行うことにより、排紙トレイに積載されたジョブ1〜ジョブ4までの出力物の中から、仕切り紙1503と仕切り紙1506とに挟まれた出力物に対しては、後処理上限枚数が拡張された拡張状態で出力されたものであることが検品の時点で認識できる。このため、ステイプル処理の精度の低下が発生していないか等をチェックする際にどの部分を入念にチェックすべきかを判断する情報とすることができる。
また、仕切り紙を1枚排出するように制御することにより、ジョブを中断させなくても、のちに出力物を検品するときに、拡張状態で動作した範囲を仕切り紙により特定することができる。
【0060】
<その他の実施形態>
本実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。例えば、リモートで接続されている機器管理サーバ(サーバ206等の情報処理装置)へ、拡張状態であることを示すフラグ、ステータスライン105に表示されるメッセージ等の情報を通知するよう制御する構成を採用してもよい。この構成によれば、複合装置の表示部だけでなく、通信可能に接続された機器管理サーバの表示部などを介して、即ちネットワークを経由した遠隔地からも後処理装置204の状態を知ることができる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0061】
上述した実施形態の構成によれば、記録媒体に対する処理をより適切に制御することができる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を処理する処理装置を制御し、前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す媒体数情報を記憶する記憶部を有する制御装置であって、
前記処理装置で処理される記録媒体の数を処理ごとに計数する計数手段と、
前記計数手段で計数された数が前記媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体数情報を、前記媒体数情報の数よりも大きい数であって前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す拡張媒体数情報にする変更を行う制御手段と、を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、達すると判断した場合、更に、前記変更を許可することを受け付けるユーザインタフェースがユーザ操作されたか否かを判断し、前記ユーザインタフェースがユーザ操作されて前記変更を許可すると判断したとき、前記変更を行うことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
ジョブが投入されると、前記ジョブにおける前記処理装置での一の処理において、前記計数手段で計数された数が前記媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、達したことを示す履歴情報を前記ジョブに関連付けて前記記憶部に記憶する記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、達すると判断した場合、更に、前記記憶部に記憶されている履歴情報の数が規定の数に達しているか否かを判断し、達していると判断した場合、前記変更を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記拡張媒体数情報を前記媒体数情報に戻すことを受け付けるユーザインタフェースがユーザ操作されたか否かを判断し、前記ユーザインタフェースがユーザ操作されて前記媒体数情報に戻すと判断したとき、前記記憶部に記憶されている前記拡張媒体数情報を前記媒体数情報に戻すことを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記変更を行ったとき、及び前記拡張媒体数情報を前記媒体数情報に戻したとき、前記記録媒体とは異なる種類の記録媒体を出力するように前記処理装置を制御することを特徴とする請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段で前記変更が行われたことを報知する報知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の制御装置。
【請求項7】
情報処理装置と通信可能に接続され、
前記制御手段で前記変更が行われたことを示す情報を前記情報処理装置に送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の制御装置。
【請求項8】
記録媒体を処理する処理装置を制御し、前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す媒体数情報を記憶する記憶部を有する制御装置における制御方法であって、
計数手段が、前記処理装置で処理される記録媒体の数を処理ごとに計数する計数工程と、
制御手段が、前記計数工程で計数された数が前記媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体数情報を、前記媒体数情報の数よりも大きい数であって前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す拡張媒体数情報にする変更を行う制御工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
記録媒体を処理する処理装置を制御し、前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す媒体数情報を記憶する記憶部を有するコンピュータを、
前記処理装置で処理される記録媒体の数を処理ごとに計数する計数手段と、
前記計数手段で計数された数が前記媒体数情報の数に達するか否かを判断し、達すると判断した場合、前記記憶部に記憶されている前記媒体数情報を、前記媒体数情報の数よりも大きい数であって前記処理装置がまとめて処理可能な記録媒体の数を示す拡張媒体数情報にする変更を行う制御手段と、して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−31963(P2013−31963A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169371(P2011−169371)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】