制御装置及び制御対象機器
【課題】電力が不足した場合に、家電機器など制御対象機器の種別や各機器の状態を意識することなく、省電力制御を行える制御装置を提供する。
【解決手段】電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置110a,110b,110nであって、外部から消費電力を下げる要求を受信する受信部と前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信する送信部とを備え、前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させる。
【解決手段】電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置110a,110b,110nであって、外部から消費電力を下げる要求を受信する受信部と前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信する送信部とを備え、前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力が不足した場合に、家庭内や、ビル、店舗などに設置された機器の省電力制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された家電機器などを、コントローラからネットワークを介して電力の制御をすることが、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-23283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、家電機器を制御する制御装置(コントローラ)が、ネットワークを介してエアコン、テレビなどの家電機器を制御することが開示されている。このようなシステムにおいて、電力が不足した場合、制御装置から家電機器に電力抑制の指示を出し、家電機器がこれを実行すれば消費電力をおさえることが可能となる。
【0005】
しかしながら、制御装置から家電機器に電力抑制の指示を出す場合には、制御装置が各機器を省電力化するためのインタフェースを認識し、そのインタフェースを用いて明示的に制御する必要がある。例えば、エアコンの消費電力を少なくする必要がある場合、コントローラはエアコンの温度設定のインタフェースを認識し、そのインタフェースを用いてエアコンの状態を把握し、冷房であれば設定温度を上げ、暖房であれば設定温度を下げるなどの制御を行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、制御装置が、家電機器など制御対象機器の種別や各機器の状態を意識することなく、省電力制御を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置は、制御対象機器の状態や、制御するための詳細なインタフェースを知る必要はなく、消費電力の低減が必要なときに、消費電力の低減を要求するデータを制御対象機器に送信するだけでよく、簡単に消費電力の低減を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明では、消費電力を下げるように要求するデータに、レベルを設定できるようにすることにより、制御対象機器は、消費電力低減の要求の度合いに応じた消費電力の低減が可能となる。これにより、ユーザの快適性をできるだけ損なわずに、消費電力を下げることが可能となる。
【0010】
さらに、本発明では、制御装置が優先度を管理することにより、優先度の高い制御対象機器の消費電力を優先的に下げることが可能となる。
【0011】
また、制御装置において、消費電力の低減を制御対象機器に要求していることや、制御対象機器で消費電力の低減を要求されていることをユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例におけるシステムの概要を説明した説明図である。
【図2】本発明の実施例における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における制御対象機器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例におけるサーバから制御装置に送信されるデータの説明図である。
【図6】本発明の実施例における全体消費電力監視処理を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施例における制御装置と制御対象機器の間で送受信されるデータの説明図である。
【図8】本発明の実施例における省エネ要求処理を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例における省エネ解除処理を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例における省エネ要求送信処理および省エネ要求受信処理を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例における省エネ要求解除処理および省エネ解除受信処理を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施例における機器管理テーブルの構成を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例における機器情報を登録する画面の例を示した説明図である。
【図14】本発明の実施例における省エネ要求処理を示したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例における省エネ解除処理を示したフローチャートである。
【図16】本発明の実施例における省エネ要求送信処理および省エネ要求受信処理を示したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例における省エネ要求解除処理および省エネ解除受信処理を示したフローチャートである。
【図18】本発明の実施例における制御装置において、ユーザに動作状態を通知するための表示の一例である。
【図19】本発明の実施例における制御対象機器において、ユーザに動作状態を通知するための表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明を図示した実施例によって説明する。図1は、本発明の1実施例にかかるシステムの構成概要を示す図である。まず、本実施例の概要について、図1を用いて説明する。
【0015】
図中、100は制御装置である。制御装置100は、ネットワーク140を介して、制御対象機器110a〜nを制御したり、サーバ200からデータを受信したりする。
【0016】
110a〜nは、制御対象機器である。制御対象機器としては、例えば、エアコン、テレビ、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器、空気清浄機などの機器がある。
【0017】
120はGW装置である。GW装置120は、内部ネットワーク140と、インターネット160との間で、通信データの受渡を行う。
【0018】
130は電力計測器である。電力計測器は、分電盤やコンセントに設置され、家全体の消費電力の計測や、各制御対象機器の消費電力の計測を行う。なお、消費電力の代わりに、消費電流を用いることも可能である。その場合、消費電力を消費電流とすればよい。計測した値は、計測機器用ネットワーク150を介して、制御装置100に伝達される。なお、本発明において、電力計測器130は必須ではない。
【0019】
140は内部ネットワークである。内部ネットワークは、例えば、イーサネット(登録商標)や、無線LAN、802.15.4などを利用して構成する。内部ネットワークは、家庭内や、店舗内などの範囲で施設する。
【0020】
150は、計測機器用ネットワークである。計測機器用ネットワークは、RS−485、802.15.4、Ethernet(登録商標)などを利用して構成する。計測機器用ネットワーク150は、内部ネットワーク140と共用でもよい。
【0021】
160は、例えば、インターネットや、AMI(Advanced Metering Infrastructure)である。
【0022】
170は、太陽光発電設備である。太陽光発電設備170の発電量は、電力計測器130で計測することができる。なお、本発明において、太陽光発電設備170は必須ではない。
【0023】
180は、蓄電設備であり、鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリーで充電を行う。蓄電設備は通信機能を備えていてもよく、その場合、制御装置から蓄電量の監視などを行うことができる。なお、本発明において、蓄電設備180は必須ではない。
【0024】
200は、サーバである。サーバ200は、地域の電力消費量や発電量を監視し、必要に応じて、制御装置100に後で説明する省エネ要求を送信する。
【0025】
次に、制御装置の構成について、図2を用いて説明する。
【0026】
図中、101は制御部であり、周辺部の制御や、データ処理、通信処理などに係る各種処理の実行を行う。
【0027】
102は記録部であり、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどである。記録部102には、プログラムやデータを格納したり、プログラムを実行する際のワーク領域などで使用する。
【0028】
103は電力計測部であり、例えば、RS−485、802.15.4、Ethernetなどの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。電力計測部103は、電力計測器130から消費電力データを受信し、制御部101に渡す処理を行う。なお、電力計測器130を使用しない構成の場合、電力計測部103は不要である。
【0029】
104は通信処理部であり、例えば、イーサネットや、無線LAN、802.15.4などの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。通信処理部104は、サーバ200とのデータの送受信や、制御対象機器110との間のデータの送受信を行う。
【0030】
101〜104は、各部を接続するためのバスである。
【0031】
次に、制御対象機器110の構成について、図3を用いて説明する。
【0032】
図中、112は、通信処理部であり、例えば、イーサネットや、無線LAN、802.15.4などの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。通信処理部112は、制御装置100との間のデータの送受信を行う。
【0033】
111は機器制御部である。機器制御部111の構成は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器、空気清浄機など機器により異なる。機器制御部111は、機器の状態設定、機器の動作の制御、ユーザとのインタフェースの制御など、機器全体の制御を行う。
【0034】
その他の機器の構成については、公知の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
図1のシステム構成の例では、制御装置100とGW装置120を別の機器として構成する例を説明したが、制御装置100とGW装置120は同じ筐体になっていてもよい。制御装置100とGW装置120を同じ筐体とした場合の例を図4に示す。
【0036】
制御装置100とGW装置120を一体化した制御装置100bは、制御装置100に、外部通信処理部106と、ルーティング処理部107を追加した構成となる。
【0037】
外部通信処理部106は、例えば、Ethernetなどの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。外部通信処理部106は、インターネット160と接続し、サーバとの間のデータの送受信を行う。
【0038】
ルーティング処理部107は、内部ネットワーク140と、インターネット160との間で、データの転送制御を行う。
【0039】
制御装置100は、サーバ200から省エネの要求があった場合、または、制御装置100が管理する範囲の消費電力(以下、全体消費電力)がある閾値を超えた場合に、制御対象機器110に消費電力が少なくなるように動作すること(省エネ動作)を要求する。また、サーバ200から省エネの要求があった場合、かつ、制御装置100が管理する範囲の消費電力がある閾値より下の場合に、制御対象機器110に省エネ動作の解除を伝達する。なお、全体消費電力による判断は、用いても用いなくてもよい。
【0040】
以下、その実現方法について説明する。
【0041】
まず、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ、及び、省エネ解除データについて、図5を用いて説明する。
【0042】
図中、300a〜cは省エネ要求データ、310は省エネ解除データである。省エネ要求データ300には、いくつかのパターンが存在する。300aは、ただ単に、消費電力の低減を要求することを伝達する例である。300bは、制御装置100が管理する範囲の消費電力を、一定の値(図では4KW)以下に抑えるようにする要求の例である。300cは、制御装置100が管理する範囲の消費電力を一定の割合(図では10%)削減する要求の例である。
【0043】
省エネ解除データ310は、制御装置100に、省エネ要求を解除することを伝達する。
【0044】
次に、制御装置100が管理する範囲の消費電力がある閾値を超えたか否かを判断する全体消費電力監視処理400について、図6のフローチャートを用いて説明する。全体消費電力監視処理400は、例えばタイマなどにより定期的に起動する。制御装置100が管理する範囲とは、例えば、家全体の消費電力や、店舗全体、ビル全体の消費電力である。
【0045】
全体消費電力監視処理400では、まず、電力計測器130で測定したデータを用いて、全体消費電力を計測する(ステップ401)。次に、現在の状態が「通常状態」であるか、「省エネ状態」であるかを判定する(ステップ402)。通常状態の場合、ステップ401で計測した全体消費電力が、あらかじめ設定したある閾値以上か否かを判定する(ステップ403)。全体消費電力が上限閾値未満の場合は処理を終了する。全体消費電力がある閾値(上限閾値)以上の場合、「省エネイベント」を発行する(ステップ404)。そして、状態を「省エネ状態」にし(ステップ405)、処理を終了する。ステップ402で「省エネ状態」の場合、ステップ401で計測した全体消費電力が、あらかじめ設定したある閾値(下限閾値)以上か否かを判定する(ステップ403)。全体消費電力が下限閾値以上の場合は、処理を終了する。全体消費電力が下限閾値未満の場合、「省エネ解除イベント」を発行する(ステップ407)。そして、状態を「通常状態」にし(ステップ405)、処理を終了する。
【0046】
次に、制御装置100と、制御対象機器110との間でやりとりする通信データについて、図7を用いて説明する。
【0047】
図中、500は、制御対象機器110との間でやりとりする通信データである。通信データ500は、送信先501、送信元502、コマンド・応答503で構成する。
【0048】
送信先501は、通信データ500の送信先を識別するための識別子である。イーサネットを用いたIPネットワークの場合、送信先には、送信先機器(制御装置100または制御対象機器110)のIPアドレスが格納される。なお、複数の制御対象機器110に一斉同報する場合、送信先501には、同報アドレス(IPネットワークの場合、IPマルチキャストアドレス)を指定する。以下では、内部ネットワーク140がイーサネットを用いたIPネットワークの場合で説明するが、本発明で使用する内部ネットワークはこれに限定されるものではない。
【0049】
送信元502は、通信データ500の送信元を識別するための識別子である。イーサネットを用いたIPネットワークの場合、送信元には、送信元機器(制御装置100または制御対象機器110)のIPアドレスが格納される。
【0050】
コマンド・応答503は、省エネ要求、または、省エネ要求に対する応答である。制御装置100から制御対象機器110に送信する場合、コマンド・応答503には、503a〜cが格納される。制御対象機器110から制御装置100に送信する場合、応答503dが格納される。
【0051】
コマンド・応答503aは、制御対象機器110に省エネ運転を要求する時に利用する。コマンド・応答503aの場合、どの程度の省エネを求めるかの情報は含めず、各機器に依存するものとする。
【0052】
コマンド・応答503bは、制御対象機器110に省エネ運転の要求、及び、レベルを伝達する時に利用する。レベルは、例えば1〜3とし、1から3になるに従い、省エネの要求が強いとする。つまり、制御対象機器110は、レベル1とレベル3では、レベル3の時の方がより消費電力を少なくするように動作する。具体的にどの程度消費電力を下げるかは、機器に依存するものとする。これにより、より細かな省エネ制御が可能となる。
【0053】
コマンド・応答503cは、制御対象機器110に、省エネ要求を解除する旨を伝達するときに使用する。制御対象機器110は、コマンド・応答503cを受信すると、省エネ制御を解除し、通常の動作状態になる。
【0054】
応答503dは、制御対象機器110において、省エネ要求、省エネ解除要求を受信し、どのように対応したかを格納する。例えば、OK、NG等をである。
【0055】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に消費電力の低減を要求する省エネ制御処理600について、図8のフローチャートを用いて説明する。省エネ要求処理600は、全体消費電力監視処理400において、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ300を受信したときに起動する。
【0056】
省エネ制御処理600では、省エネ要求送信処理610を実行する。
【0057】
なお、省エネ要求送信処理610を実行する前に、ユーザに、省エネ要求送信処理610を実行するか、否かを確認するようにしてもよい。その場合、ユーザに対して省エネ要求を実行するか否かを確認する画面を表示し、ユーザが省エネ要求送信処理610を実行するを選択した場合、省エネ要求処理610を実行し、実行しないを選択した場合、省エネ要求送信処理610を実行しないようにする。ユーザに確認する画面を表示する方法としては、制御装置100にWWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて確認する方法などがある。
【0058】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に要求した消費電力の低減要求を解除する省エネ解除処理620について、図9のフローチャートを用いて説明する。省エネ解除処理620は、全体消費電力監視処理400において、「省エネ解除イベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ解除データ310を受信したときに起動する。
【0059】
省エネ制御処理620では、省エネ要求送信処理630を実行する。
【0060】
次に、省エネ要求送信処理610及び制御対象機器110の関連する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
省エネ要求送信処理610では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ611)。このとき、送信先501にはIPマルチキャストアドレス、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、消費電力の削減を要請するコマンド・応答503aを格納する。
【0062】
ステップ611で一斉同報された通信データ500は、制御対象機器110a〜nで受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ要求受信処理650が起動される。省エネ要求受信処理650では、制御対象機器110の機器制御部111において、制御対象機器110の消費電力がすくなくなるように、動作モードなどの設定を変更する(ステップ651)。なお、消費電力が少なくなるような動作は機器の種類により異なり、下記のような動作がある。また、消費電力を減らす以外に、無効電力を少なくする方向に制御する方法もある。なお、既に消費電力が十分低い状態であった場合、何も変更しないというケースもあり得る。また、ステップ651での動作モードなどは予め決めておいて、いつも同じ動作をするようにしてもよい。表示例を図18に示す。
・TVの場合:画面の輝度を下げる
・エアコンの場合:冷房の場合、設定温度を上げる。暖房の場合、設定温度を下げる。または、停止する。
・冷蔵庫の場合:運転モードを弱にする。
・ヒートポンプ給湯器の場合:沸き上げを停止する
・EV充電器の場合:EVへの充電電力を下げる、または、EVへの充電を停止する。
【0063】
なお、ステップ651において、制御対象機器110の消費電力が最も少なくなるように制御しなければならないと取り決めておいてもよい。その場合、ステップ611で消費電力の削減を要請するコマンド・応答503aを含む通信データ500を送信すると、消費電力の最も少ない状態にすることが可能となる。
【0064】
図11に示す省エネ解除送信処理630では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ631)。このとき、送信先501にはIPマルチキャストアドレス、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、省エネ解除を指示するコマンド・応答503cを格納する。
【0065】
ステップ631で一斉同報された通信データ500は、制御対象機器110a〜nで受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ解除受信処理660が起動される。省エネ解除受信処理660では、制御対象機器110の機器制御部111において、ステップ651で設定した動作状態の設定などを元の状態に戻す(ステップ661)。
【0066】
なお、上記実施例においては、ステップ611において、コマンド・応答503には、省エネ要求503aを格納するようにしたが、消費電力の削減の要請、及び、要求レベルを指示するコマンド・応答503bを用いることもできる。そのときのレベルを決定する方法は、例えば、以下の通りである(レベル決定方法)。
【0067】
サーバ200から省エネ要求データ300aを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は予め決めておいたレベルを入れるようにする。サーバ200から省エネ要求データ300bを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は、電力計測器130で計測される全体消費電力と、省エネ要求データ300bでの要求値を比較し、レベルを設定する。例えば、全体消費電力と要求値の差が1KW未満であればレベルを1とし、1KW以上1.5KW未満であればレベル2、1.5KW以上であればレベル3とする。
【0068】
また、サーバ200から省エネ要求データ300cを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は、指示された削減の割合に応じてレベルを設定する。例えば、削減量が10%未満であればレベル1、10%以上20%未満であればレベル2、20%以上であればレベル3とする。
【0069】
また、「省エネイベント」により省エネ制御処理600が起動された場合は予め決めておいたレベルを入れるようにする。
【0070】
コマンド・応答503bを受信した制御対象機器110は、ステップ651において、レベルに応じた省エネ制御を行う。以下、レベルに応じた動作の例を示す。なお、各機器は、レベルに応じて異なる制御を行ってもよいし、同じ制御を行ってもよい
・TVの場合
−レベル1:画面の輝度を10%さげる
−レベル2:画面の輝度を20%さげる
−レベル3:画面の輝度を30%さげる
・エアコンの場合:
−レベル1:冷房の場合、設定温度を1度上げる。暖房の場合、設定温度を1度下げる。
−レベル2:冷房の場合、設定温度を2度上げる。暖房の場合、設定温度を2度下げる。
−レベル3:エアコンの運転を停止する。
・冷蔵庫の場合:
−レベル1:運転モードを中にする
−レベル2:運転モードを弱にする
−レベル3:運転モードを弱にする
・ヒートポンプ給湯器の場合
−レベル1:沸き上げを停止する
−レベル2:沸き上げを停止する
−レベル3:沸き上げを停止する
・EV充電器の場合
−レベル1:充電電力を10%少なくする
−レベル2:充電電力を50%少なくする
−レベル3:充電を停止する
以上の処理により、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300を受信した場合(つまり、地域での電力が足りなくなった場合)や、全体消費電力が上昇し「省エネイベント」が発生した場合(つまり、家庭や店舗における消費電力量が契約している消費電力量に近づいた場合)に、制御対象機器110での消費電力を減らすことができ、電力の安定供給や、ブレーカが落ちることの防止を可能とする。
【実施例2】
【0071】
以上の実施例においては、全体消費電力監視処理400において、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ300を受信したときに、全て制御対象機器110に対して節電するように要求を出していたが、優先度の高い機器に対してのみ節電を要求するようにすることもできる。また、太陽光発電などの発電設備、蓄電池などの蓄電設備がある場合、発電状況や蓄電の状況により、制御対象機器110に、節電を要求したり、しなかったりするようにすることもできる。これにより、ユーザの快適性を損なうことなく、節電を行うことが可能となる。
【0072】
以下、実施例を説明する。
【0073】
まず、制御対象機器110を管理するための機器管理テーブル700について、図12を用いて説明する。なお、機器管理テーブル700は、制御装置100の記憶部102に記録される。
【0074】
機器管理テーブル700は、1つ以上の機器管理レコード710a〜nで構成する。機器管理レコード710は、アドレス711、名称712、優先度713、省エネ対応714、状態715で構成する。
【0075】
アドレス711は、制御対象機器を識別するための識別子であり、例えば、機器のIPアドレスである。名称712は、アドレス711で識別される機器の名称である。優先度713は、省エネ制御を行うときの優先度であり、例えば1〜3の数値である。省エネ対応714は、アドレス711で特定される機器が、省エネ要求に対して対応しているか否かを示すフラグであり、例えば、「対応」「非対応」である。状態715は、機器の状態である。機器の状態としては、例えば、「通常状態」「省エネ状態」等がある。
【0076】
機器管理テーブル700へのデータの登録は、UPnP(Universal Plug & Play)などのプロトコルを用いて行うことができる。この場合、制御対象機器110が登録に必要な情報を、UPnPを用いて、制御装置100に送信する。
【0077】
また、機器管理テーブル700へのデータの登録は、手動で行うこともできる。その場合、例えば、制御装置100に、WWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて内部ネットワーク140経由で設定する。PCなどのブラウザ機能に表示される画面の例を図13に示す。
【0078】
図中、750はブラウザが表示する画面の一例である。ユーザは機器名称751、アドレス752、優先度753、省エネ対応754を入力する。そして、登録ボタン760を押す。ユーザが登録ボタン760を押下すると、WWWサーバに情報が伝達され、機器管理テーブル700に新たな機器管理レコード710を作成し、登録する。そのとき、アドレス711にはアドレス752が、名称712には機器名称751が、優先度713には優先度753が、省エネ対応714には省エネ対応754がそれぞれ格納される。なお、状態715は、「通常状態」とする。
【0079】
先の実施例においては、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300受信したときに省エネ制御処理600を起動したが、本実施例では、省エネ制御処理800を起動する。
【0080】
省エネ制御処理800ついて、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
省エネ制御処理800では、まず、電力計測器130等を用いて太陽光発電設備の発電量の計測や、内部ネットワーク140、計測機器用ネットワーク150などを介して蓄電設備の蓄電容量を取得する(ステップ801)。次に、省エネが必要か否かを判断する(ステップ802)。省エネが必要か否かの判断は、例えば、以下のように判断する。
・「省エネイベント」が発生したとき:省エネが必要と判断
・省エネ要求データ300aを受信したとき:太陽光発電設備の発電量と全体消費電力量を比較し、太陽光発電設備の発電量が大きい場合は不要、小さい場合は必要と判断。
・省エネ要求データ300bを受信したとき:太陽光発電設備の発電量−全体消費電力量を計算し、その差がある閾値より大きな場合は不要、小さな場合は必要と判断。なお、閾値の値は、省エネ要求データ300bに含まれる一定の値により変化させる。
・省エネ要求データ300cを受信したとき:太陽光発電設備の発電量−全体消費電力量を計算し、その差がある閾値より大きな場合は不要、小さな場合は必要と判断。なお、閾値の値は、省エネ要求データ300cに含まれる割合により変化させる。
【0082】
ステップ802で省エネが不要と判断した場合、処理を終了する。ステップ802で省エネが必要と判断した場合、省エネのレベルを決める(ステップ803)。省エネのレベル決めは、例えば、実施例1で説明したレベル決定方法を用いる。
【0083】
次に、省エネの優先度を決める(ステップ804)。省エネの優先度は、例えば、以下のようにして決める。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量とも、決められた閾値よりも上の場合:優先度を1とする(つまり、優先度1の制御対象機器110のみが対象となるようにする)。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量のどちらか片方のみが決められた閾値よりも上の場合:優先度を2とする(つまり、優先度1、2の制御対象機器110が対象となるようにする)。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量の両方が決められた閾値以下の場合:優先度を3とする(つまり、優先度1〜3の制御対象機器110が対象となるようにする)。
【0084】
次に、機器管理テーブル700に登録されている全ての機器に対して、ステップ806以下の処理が完了したかを判断する(ステップ805)。全ての機器に対して処理が完了している場合、処理を終了する。完了していない場合、機器管理テーブル700から処理が完了していない機器に対応する機器管理レコード710を選択し、省エネ対応714をチェックする(ステップ806)。省エネ対応714が「非対応」の場合、ステップ805に戻る。省エネ対応714が「対応」の場合、優先度713をチェックする(ステップ807)。優先度713が、ステップ804で決めた優先度より大きな値の場合、ステップ805に戻る。優先度713が、ステップ804で決めた優先度以下の値の場合、後で説明する省エネ要求送信処理810を実行する。
【0085】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に要求した消費電力の低減要求を解除する省エネ解除処理820について、図15のフローチャートを用いて説明する。省エネ解除処理820は、「省エネ解除イベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ解除データ310を受信したときに起動する。
【0086】
省エネ解除処理820では、機器管理テーブル700に登録されている全ての機器に対して、ステップ821以下の処理が完了したかを判断する(ステップ801)。全ての機器に対して処理が完了している場合、処理を終了する。完了していない場合、機器管理テーブル700から処理が完了していない機器に対応する機器管理レコード710を選択し、状態715をチェックする(ステップ822)。状態715が「通常状態」の場合、ステップ821に戻る。状態715が「省エネ状態」、後で説明する省エネ解除処理830を実行する。その後、ステップ821に戻る。
【0087】
次に、省エネ要求送信処理810及び制御対象機器110の関連する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
省エネ要求送信処理810では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ611)。このとき、送信先501にはステップ822で選択した機器管理レコード710のアドレス711、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、消費電力の削減を要請するコマンド・応答503bを格納する。そのとき、レベルには、ステップ803で決めたレベルを格納する。
【0089】
ステップ611で送信された通信データ500は、アドレス711で特定される制御対象機器110で受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ要求受信処理850が起動される。省エネ要求受信処理850では、省エネ要求受信処理650と同じく、制御対象機器110の機器制御部111において、機器の消費電力が少なくなるように、動作モードなどの設定を変更する(ステップ651)。次に、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御装置100に送信する(ステップ853)。このとき、送信先501には制御装置100のIPアドレス、送信元502には制御対象機器110のIPアドレス、コマンド・応答503dには機器の動作を変更した場合は「OK」、変更しなかった場合は「NG」を格納する。
【0090】
制御装置100では、ステップ853で送信された通信データ530を受信する。コマンド・応答503dの内容を確認し、「OK」であればステップ822で選択した機器管理レコード710の状態715を「省エネ状態」にし、「NG」であれば状態を変更しない(ステップ812)。
【0091】
次に、省エネ要求解除処理830及び制御対象機器110の関連する処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0092】
省エネ要求送信処理830では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ831)。このとき、送信先501にはステップ822で選択した機器管理レコード710のアドレス711、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、省エネ要請を解除するコマンド・応答503cを格納する。
【0093】
ステップ831で送信された通信データ500は、アドレス711で特定される制御対象機器110で受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ解除受信処理860が起動される。省エネ解除受信処理860では、省エネ解除受信処理660と同じく、制御対象機器110の機器制御部111において、ステップ651で設定した動作状態の設定などを元の状態に戻す(ステップ661)。次に、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御装置100に送信する(ステップ853)。このとき、送信先501には制御装置100のIPアドレス、送信元502には制御対象機器110のIPアドレス、コマンド・応答503dには「OK」を格納する。
【0094】
制御装置100では、ステップ863で送信された通信データ530を受信する。コマンド・応答503dの内容を確認し、「OK」であればステップ822で選択した機器管理レコード710の状態715を「通常状態」にし、「NG」であれば状態を変更しない(ステップ832)。
【0095】
以上の処理により、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300を受信した場合や、「省エネイベント」が発生した場合でも、太陽光発電設備の発電量や蓄電池の蓄電量の状態によっては、必ずしも制御対象機器110を節電動作にする必要がなくなり、ユーザがより快適に機器を利用できるようになる。また、優先度をつけて節電することが可能となるため、より柔軟に節電を行うことが可能となる。さらに、節電要求に対応できていない機器に不要なデータを送ることがなくなるため、ネットワークのトラフィックを減らすことができる。
【実施例3】
【0096】
以上の実施例においては、ユーザに、消費電力を低減して動作していることを通知していなかったが、本発明では、ユーザに通知することも可能である。
【0097】
以下、実施例を図18を用いて説明する。
【0098】
まず、制御装置100において、状態を管理する省エネモードに関する変数(制御装置モード管理変数)を設ける。そして、省エネ要求送信処理610が実行された場合に、制御装置モード管理変数を「省エネ状態」とする。そして、省エネ解除送信処理610が実行された場合に、制御装置モード管理変数を「通常状態」とする。そして、制御装置100に、LEDなどの表示機能900を持たせ、制御装置モード管理変数が「省エネ状態」のときに点灯、通常状態の時に「消灯」するようにする(図18(a))。
【0099】
上記以外の表示方法としては、制御装置100に、WWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて内部ネットワーク140経由でアクセスしたとき、ブラウザの画面910上に、モード管理変数の内容を表示するようにしてもよい(図18(b))。
【0100】
また、制御対象機器110において、状態を管理する省エネモードに関する変数(制御対象機器モード管理変数)をもうける。そして、制御対象機器110において、省エネ要求受信処理650が実行されたときに、制御対象機器モード管理変数を「省エネ状態」とする。そして、省エネ解除送信処理610が実行された場合に、制御対象機器モード管理変数を「通常状態」とする。そして、制御対象機器110に、LEDなどの表示機能950を持たせ、制御対象機器モード管理変数が「省エネ状態」のときに点灯、通常状態の時に「消灯」するようにする(図19(a)、エアコンの例)。テレビなど表示機能を有する制御対象機器110の場合、制御対象機器モード管理変数が「省エネ状態」のときに画面960上にその旨を表示し、通常状態の時に何も表示しないようにしてもよい(図19(b))
以上により、ユーザに、省エネ運転状態になっていることを通知することができるようになる。これにより、突然、動作が変更になっても、ユーザが困惑しないという効果がある。
【0101】
なお、上記は実施例1の場合で説明したが、実施例2においても同様の処理を行えることは言うまでもない。また、上記では、LED点灯や画面により通知を行ったが、電子メールを送信するようにしてもよい。その場合、制御装置に予め送信先のメールアドレスや、電子メールの送信に関する設定を保存しておき、点灯、消灯のタイミングでメールを送信すればよい。
【符号の説明】
【0102】
100 制御装置
110 制御対象機器
120 GW装置
130 電力計測器
140 内部ネットワーク
150 計測機器用ネットワーク
160 インターネット
170 太陽光発電設備
180 蓄電設備
200 サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力が不足した場合に、家庭内や、ビル、店舗などに設置された機器の省電力制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された家電機器などを、コントローラからネットワークを介して電力の制御をすることが、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-23283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、家電機器を制御する制御装置(コントローラ)が、ネットワークを介してエアコン、テレビなどの家電機器を制御することが開示されている。このようなシステムにおいて、電力が不足した場合、制御装置から家電機器に電力抑制の指示を出し、家電機器がこれを実行すれば消費電力をおさえることが可能となる。
【0005】
しかしながら、制御装置から家電機器に電力抑制の指示を出す場合には、制御装置が各機器を省電力化するためのインタフェースを認識し、そのインタフェースを用いて明示的に制御する必要がある。例えば、エアコンの消費電力を少なくする必要がある場合、コントローラはエアコンの温度設定のインタフェースを認識し、そのインタフェースを用いてエアコンの状態を把握し、冷房であれば設定温度を上げ、暖房であれば設定温度を下げるなどの制御を行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、制御装置が、家電機器など制御対象機器の種別や各機器の状態を意識することなく、省電力制御を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置は、制御対象機器の状態や、制御するための詳細なインタフェースを知る必要はなく、消費電力の低減が必要なときに、消費電力の低減を要求するデータを制御対象機器に送信するだけでよく、簡単に消費電力の低減を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明では、消費電力を下げるように要求するデータに、レベルを設定できるようにすることにより、制御対象機器は、消費電力低減の要求の度合いに応じた消費電力の低減が可能となる。これにより、ユーザの快適性をできるだけ損なわずに、消費電力を下げることが可能となる。
【0010】
さらに、本発明では、制御装置が優先度を管理することにより、優先度の高い制御対象機器の消費電力を優先的に下げることが可能となる。
【0011】
また、制御装置において、消費電力の低減を制御対象機器に要求していることや、制御対象機器で消費電力の低減を要求されていることをユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例におけるシステムの概要を説明した説明図である。
【図2】本発明の実施例における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における制御対象機器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例におけるサーバから制御装置に送信されるデータの説明図である。
【図6】本発明の実施例における全体消費電力監視処理を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施例における制御装置と制御対象機器の間で送受信されるデータの説明図である。
【図8】本発明の実施例における省エネ要求処理を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例における省エネ解除処理を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例における省エネ要求送信処理および省エネ要求受信処理を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例における省エネ要求解除処理および省エネ解除受信処理を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施例における機器管理テーブルの構成を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例における機器情報を登録する画面の例を示した説明図である。
【図14】本発明の実施例における省エネ要求処理を示したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例における省エネ解除処理を示したフローチャートである。
【図16】本発明の実施例における省エネ要求送信処理および省エネ要求受信処理を示したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例における省エネ要求解除処理および省エネ解除受信処理を示したフローチャートである。
【図18】本発明の実施例における制御装置において、ユーザに動作状態を通知するための表示の一例である。
【図19】本発明の実施例における制御対象機器において、ユーザに動作状態を通知するための表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明を図示した実施例によって説明する。図1は、本発明の1実施例にかかるシステムの構成概要を示す図である。まず、本実施例の概要について、図1を用いて説明する。
【0015】
図中、100は制御装置である。制御装置100は、ネットワーク140を介して、制御対象機器110a〜nを制御したり、サーバ200からデータを受信したりする。
【0016】
110a〜nは、制御対象機器である。制御対象機器としては、例えば、エアコン、テレビ、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器、空気清浄機などの機器がある。
【0017】
120はGW装置である。GW装置120は、内部ネットワーク140と、インターネット160との間で、通信データの受渡を行う。
【0018】
130は電力計測器である。電力計測器は、分電盤やコンセントに設置され、家全体の消費電力の計測や、各制御対象機器の消費電力の計測を行う。なお、消費電力の代わりに、消費電流を用いることも可能である。その場合、消費電力を消費電流とすればよい。計測した値は、計測機器用ネットワーク150を介して、制御装置100に伝達される。なお、本発明において、電力計測器130は必須ではない。
【0019】
140は内部ネットワークである。内部ネットワークは、例えば、イーサネット(登録商標)や、無線LAN、802.15.4などを利用して構成する。内部ネットワークは、家庭内や、店舗内などの範囲で施設する。
【0020】
150は、計測機器用ネットワークである。計測機器用ネットワークは、RS−485、802.15.4、Ethernet(登録商標)などを利用して構成する。計測機器用ネットワーク150は、内部ネットワーク140と共用でもよい。
【0021】
160は、例えば、インターネットや、AMI(Advanced Metering Infrastructure)である。
【0022】
170は、太陽光発電設備である。太陽光発電設備170の発電量は、電力計測器130で計測することができる。なお、本発明において、太陽光発電設備170は必須ではない。
【0023】
180は、蓄電設備であり、鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリーで充電を行う。蓄電設備は通信機能を備えていてもよく、その場合、制御装置から蓄電量の監視などを行うことができる。なお、本発明において、蓄電設備180は必須ではない。
【0024】
200は、サーバである。サーバ200は、地域の電力消費量や発電量を監視し、必要に応じて、制御装置100に後で説明する省エネ要求を送信する。
【0025】
次に、制御装置の構成について、図2を用いて説明する。
【0026】
図中、101は制御部であり、周辺部の制御や、データ処理、通信処理などに係る各種処理の実行を行う。
【0027】
102は記録部であり、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどである。記録部102には、プログラムやデータを格納したり、プログラムを実行する際のワーク領域などで使用する。
【0028】
103は電力計測部であり、例えば、RS−485、802.15.4、Ethernetなどの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。電力計測部103は、電力計測器130から消費電力データを受信し、制御部101に渡す処理を行う。なお、電力計測器130を使用しない構成の場合、電力計測部103は不要である。
【0029】
104は通信処理部であり、例えば、イーサネットや、無線LAN、802.15.4などの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。通信処理部104は、サーバ200とのデータの送受信や、制御対象機器110との間のデータの送受信を行う。
【0030】
101〜104は、各部を接続するためのバスである。
【0031】
次に、制御対象機器110の構成について、図3を用いて説明する。
【0032】
図中、112は、通信処理部であり、例えば、イーサネットや、無線LAN、802.15.4などの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。通信処理部112は、制御装置100との間のデータの送受信を行う。
【0033】
111は機器制御部である。機器制御部111の構成は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器、空気清浄機など機器により異なる。機器制御部111は、機器の状態設定、機器の動作の制御、ユーザとのインタフェースの制御など、機器全体の制御を行う。
【0034】
その他の機器の構成については、公知の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
図1のシステム構成の例では、制御装置100とGW装置120を別の機器として構成する例を説明したが、制御装置100とGW装置120は同じ筐体になっていてもよい。制御装置100とGW装置120を同じ筐体とした場合の例を図4に示す。
【0036】
制御装置100とGW装置120を一体化した制御装置100bは、制御装置100に、外部通信処理部106と、ルーティング処理部107を追加した構成となる。
【0037】
外部通信処理部106は、例えば、Ethernetなどの通信ハードウェア及び制御ソフトウェアである。外部通信処理部106は、インターネット160と接続し、サーバとの間のデータの送受信を行う。
【0038】
ルーティング処理部107は、内部ネットワーク140と、インターネット160との間で、データの転送制御を行う。
【0039】
制御装置100は、サーバ200から省エネの要求があった場合、または、制御装置100が管理する範囲の消費電力(以下、全体消費電力)がある閾値を超えた場合に、制御対象機器110に消費電力が少なくなるように動作すること(省エネ動作)を要求する。また、サーバ200から省エネの要求があった場合、かつ、制御装置100が管理する範囲の消費電力がある閾値より下の場合に、制御対象機器110に省エネ動作の解除を伝達する。なお、全体消費電力による判断は、用いても用いなくてもよい。
【0040】
以下、その実現方法について説明する。
【0041】
まず、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ、及び、省エネ解除データについて、図5を用いて説明する。
【0042】
図中、300a〜cは省エネ要求データ、310は省エネ解除データである。省エネ要求データ300には、いくつかのパターンが存在する。300aは、ただ単に、消費電力の低減を要求することを伝達する例である。300bは、制御装置100が管理する範囲の消費電力を、一定の値(図では4KW)以下に抑えるようにする要求の例である。300cは、制御装置100が管理する範囲の消費電力を一定の割合(図では10%)削減する要求の例である。
【0043】
省エネ解除データ310は、制御装置100に、省エネ要求を解除することを伝達する。
【0044】
次に、制御装置100が管理する範囲の消費電力がある閾値を超えたか否かを判断する全体消費電力監視処理400について、図6のフローチャートを用いて説明する。全体消費電力監視処理400は、例えばタイマなどにより定期的に起動する。制御装置100が管理する範囲とは、例えば、家全体の消費電力や、店舗全体、ビル全体の消費電力である。
【0045】
全体消費電力監視処理400では、まず、電力計測器130で測定したデータを用いて、全体消費電力を計測する(ステップ401)。次に、現在の状態が「通常状態」であるか、「省エネ状態」であるかを判定する(ステップ402)。通常状態の場合、ステップ401で計測した全体消費電力が、あらかじめ設定したある閾値以上か否かを判定する(ステップ403)。全体消費電力が上限閾値未満の場合は処理を終了する。全体消費電力がある閾値(上限閾値)以上の場合、「省エネイベント」を発行する(ステップ404)。そして、状態を「省エネ状態」にし(ステップ405)、処理を終了する。ステップ402で「省エネ状態」の場合、ステップ401で計測した全体消費電力が、あらかじめ設定したある閾値(下限閾値)以上か否かを判定する(ステップ403)。全体消費電力が下限閾値以上の場合は、処理を終了する。全体消費電力が下限閾値未満の場合、「省エネ解除イベント」を発行する(ステップ407)。そして、状態を「通常状態」にし(ステップ405)、処理を終了する。
【0046】
次に、制御装置100と、制御対象機器110との間でやりとりする通信データについて、図7を用いて説明する。
【0047】
図中、500は、制御対象機器110との間でやりとりする通信データである。通信データ500は、送信先501、送信元502、コマンド・応答503で構成する。
【0048】
送信先501は、通信データ500の送信先を識別するための識別子である。イーサネットを用いたIPネットワークの場合、送信先には、送信先機器(制御装置100または制御対象機器110)のIPアドレスが格納される。なお、複数の制御対象機器110に一斉同報する場合、送信先501には、同報アドレス(IPネットワークの場合、IPマルチキャストアドレス)を指定する。以下では、内部ネットワーク140がイーサネットを用いたIPネットワークの場合で説明するが、本発明で使用する内部ネットワークはこれに限定されるものではない。
【0049】
送信元502は、通信データ500の送信元を識別するための識別子である。イーサネットを用いたIPネットワークの場合、送信元には、送信元機器(制御装置100または制御対象機器110)のIPアドレスが格納される。
【0050】
コマンド・応答503は、省エネ要求、または、省エネ要求に対する応答である。制御装置100から制御対象機器110に送信する場合、コマンド・応答503には、503a〜cが格納される。制御対象機器110から制御装置100に送信する場合、応答503dが格納される。
【0051】
コマンド・応答503aは、制御対象機器110に省エネ運転を要求する時に利用する。コマンド・応答503aの場合、どの程度の省エネを求めるかの情報は含めず、各機器に依存するものとする。
【0052】
コマンド・応答503bは、制御対象機器110に省エネ運転の要求、及び、レベルを伝達する時に利用する。レベルは、例えば1〜3とし、1から3になるに従い、省エネの要求が強いとする。つまり、制御対象機器110は、レベル1とレベル3では、レベル3の時の方がより消費電力を少なくするように動作する。具体的にどの程度消費電力を下げるかは、機器に依存するものとする。これにより、より細かな省エネ制御が可能となる。
【0053】
コマンド・応答503cは、制御対象機器110に、省エネ要求を解除する旨を伝達するときに使用する。制御対象機器110は、コマンド・応答503cを受信すると、省エネ制御を解除し、通常の動作状態になる。
【0054】
応答503dは、制御対象機器110において、省エネ要求、省エネ解除要求を受信し、どのように対応したかを格納する。例えば、OK、NG等をである。
【0055】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に消費電力の低減を要求する省エネ制御処理600について、図8のフローチャートを用いて説明する。省エネ要求処理600は、全体消費電力監視処理400において、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ300を受信したときに起動する。
【0056】
省エネ制御処理600では、省エネ要求送信処理610を実行する。
【0057】
なお、省エネ要求送信処理610を実行する前に、ユーザに、省エネ要求送信処理610を実行するか、否かを確認するようにしてもよい。その場合、ユーザに対して省エネ要求を実行するか否かを確認する画面を表示し、ユーザが省エネ要求送信処理610を実行するを選択した場合、省エネ要求処理610を実行し、実行しないを選択した場合、省エネ要求送信処理610を実行しないようにする。ユーザに確認する画面を表示する方法としては、制御装置100にWWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて確認する方法などがある。
【0058】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に要求した消費電力の低減要求を解除する省エネ解除処理620について、図9のフローチャートを用いて説明する。省エネ解除処理620は、全体消費電力監視処理400において、「省エネ解除イベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ解除データ310を受信したときに起動する。
【0059】
省エネ制御処理620では、省エネ要求送信処理630を実行する。
【0060】
次に、省エネ要求送信処理610及び制御対象機器110の関連する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
省エネ要求送信処理610では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ611)。このとき、送信先501にはIPマルチキャストアドレス、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、消費電力の削減を要請するコマンド・応答503aを格納する。
【0062】
ステップ611で一斉同報された通信データ500は、制御対象機器110a〜nで受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ要求受信処理650が起動される。省エネ要求受信処理650では、制御対象機器110の機器制御部111において、制御対象機器110の消費電力がすくなくなるように、動作モードなどの設定を変更する(ステップ651)。なお、消費電力が少なくなるような動作は機器の種類により異なり、下記のような動作がある。また、消費電力を減らす以外に、無効電力を少なくする方向に制御する方法もある。なお、既に消費電力が十分低い状態であった場合、何も変更しないというケースもあり得る。また、ステップ651での動作モードなどは予め決めておいて、いつも同じ動作をするようにしてもよい。表示例を図18に示す。
・TVの場合:画面の輝度を下げる
・エアコンの場合:冷房の場合、設定温度を上げる。暖房の場合、設定温度を下げる。または、停止する。
・冷蔵庫の場合:運転モードを弱にする。
・ヒートポンプ給湯器の場合:沸き上げを停止する
・EV充電器の場合:EVへの充電電力を下げる、または、EVへの充電を停止する。
【0063】
なお、ステップ651において、制御対象機器110の消費電力が最も少なくなるように制御しなければならないと取り決めておいてもよい。その場合、ステップ611で消費電力の削減を要請するコマンド・応答503aを含む通信データ500を送信すると、消費電力の最も少ない状態にすることが可能となる。
【0064】
図11に示す省エネ解除送信処理630では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ631)。このとき、送信先501にはIPマルチキャストアドレス、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、省エネ解除を指示するコマンド・応答503cを格納する。
【0065】
ステップ631で一斉同報された通信データ500は、制御対象機器110a〜nで受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ解除受信処理660が起動される。省エネ解除受信処理660では、制御対象機器110の機器制御部111において、ステップ651で設定した動作状態の設定などを元の状態に戻す(ステップ661)。
【0066】
なお、上記実施例においては、ステップ611において、コマンド・応答503には、省エネ要求503aを格納するようにしたが、消費電力の削減の要請、及び、要求レベルを指示するコマンド・応答503bを用いることもできる。そのときのレベルを決定する方法は、例えば、以下の通りである(レベル決定方法)。
【0067】
サーバ200から省エネ要求データ300aを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は予め決めておいたレベルを入れるようにする。サーバ200から省エネ要求データ300bを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は、電力計測器130で計測される全体消費電力と、省エネ要求データ300bでの要求値を比較し、レベルを設定する。例えば、全体消費電力と要求値の差が1KW未満であればレベルを1とし、1KW以上1.5KW未満であればレベル2、1.5KW以上であればレベル3とする。
【0068】
また、サーバ200から省エネ要求データ300cを受信して省エネ制御処理600が起動された場合は、指示された削減の割合に応じてレベルを設定する。例えば、削減量が10%未満であればレベル1、10%以上20%未満であればレベル2、20%以上であればレベル3とする。
【0069】
また、「省エネイベント」により省エネ制御処理600が起動された場合は予め決めておいたレベルを入れるようにする。
【0070】
コマンド・応答503bを受信した制御対象機器110は、ステップ651において、レベルに応じた省エネ制御を行う。以下、レベルに応じた動作の例を示す。なお、各機器は、レベルに応じて異なる制御を行ってもよいし、同じ制御を行ってもよい
・TVの場合
−レベル1:画面の輝度を10%さげる
−レベル2:画面の輝度を20%さげる
−レベル3:画面の輝度を30%さげる
・エアコンの場合:
−レベル1:冷房の場合、設定温度を1度上げる。暖房の場合、設定温度を1度下げる。
−レベル2:冷房の場合、設定温度を2度上げる。暖房の場合、設定温度を2度下げる。
−レベル3:エアコンの運転を停止する。
・冷蔵庫の場合:
−レベル1:運転モードを中にする
−レベル2:運転モードを弱にする
−レベル3:運転モードを弱にする
・ヒートポンプ給湯器の場合
−レベル1:沸き上げを停止する
−レベル2:沸き上げを停止する
−レベル3:沸き上げを停止する
・EV充電器の場合
−レベル1:充電電力を10%少なくする
−レベル2:充電電力を50%少なくする
−レベル3:充電を停止する
以上の処理により、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300を受信した場合(つまり、地域での電力が足りなくなった場合)や、全体消費電力が上昇し「省エネイベント」が発生した場合(つまり、家庭や店舗における消費電力量が契約している消費電力量に近づいた場合)に、制御対象機器110での消費電力を減らすことができ、電力の安定供給や、ブレーカが落ちることの防止を可能とする。
【実施例2】
【0071】
以上の実施例においては、全体消費電力監視処理400において、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ要求データ300を受信したときに、全て制御対象機器110に対して節電するように要求を出していたが、優先度の高い機器に対してのみ節電を要求するようにすることもできる。また、太陽光発電などの発電設備、蓄電池などの蓄電設備がある場合、発電状況や蓄電の状況により、制御対象機器110に、節電を要求したり、しなかったりするようにすることもできる。これにより、ユーザの快適性を損なうことなく、節電を行うことが可能となる。
【0072】
以下、実施例を説明する。
【0073】
まず、制御対象機器110を管理するための機器管理テーブル700について、図12を用いて説明する。なお、機器管理テーブル700は、制御装置100の記憶部102に記録される。
【0074】
機器管理テーブル700は、1つ以上の機器管理レコード710a〜nで構成する。機器管理レコード710は、アドレス711、名称712、優先度713、省エネ対応714、状態715で構成する。
【0075】
アドレス711は、制御対象機器を識別するための識別子であり、例えば、機器のIPアドレスである。名称712は、アドレス711で識別される機器の名称である。優先度713は、省エネ制御を行うときの優先度であり、例えば1〜3の数値である。省エネ対応714は、アドレス711で特定される機器が、省エネ要求に対して対応しているか否かを示すフラグであり、例えば、「対応」「非対応」である。状態715は、機器の状態である。機器の状態としては、例えば、「通常状態」「省エネ状態」等がある。
【0076】
機器管理テーブル700へのデータの登録は、UPnP(Universal Plug & Play)などのプロトコルを用いて行うことができる。この場合、制御対象機器110が登録に必要な情報を、UPnPを用いて、制御装置100に送信する。
【0077】
また、機器管理テーブル700へのデータの登録は、手動で行うこともできる。その場合、例えば、制御装置100に、WWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて内部ネットワーク140経由で設定する。PCなどのブラウザ機能に表示される画面の例を図13に示す。
【0078】
図中、750はブラウザが表示する画面の一例である。ユーザは機器名称751、アドレス752、優先度753、省エネ対応754を入力する。そして、登録ボタン760を押す。ユーザが登録ボタン760を押下すると、WWWサーバに情報が伝達され、機器管理テーブル700に新たな機器管理レコード710を作成し、登録する。そのとき、アドレス711にはアドレス752が、名称712には機器名称751が、優先度713には優先度753が、省エネ対応714には省エネ対応754がそれぞれ格納される。なお、状態715は、「通常状態」とする。
【0079】
先の実施例においては、「省エネイベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300受信したときに省エネ制御処理600を起動したが、本実施例では、省エネ制御処理800を起動する。
【0080】
省エネ制御処理800ついて、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
省エネ制御処理800では、まず、電力計測器130等を用いて太陽光発電設備の発電量の計測や、内部ネットワーク140、計測機器用ネットワーク150などを介して蓄電設備の蓄電容量を取得する(ステップ801)。次に、省エネが必要か否かを判断する(ステップ802)。省エネが必要か否かの判断は、例えば、以下のように判断する。
・「省エネイベント」が発生したとき:省エネが必要と判断
・省エネ要求データ300aを受信したとき:太陽光発電設備の発電量と全体消費電力量を比較し、太陽光発電設備の発電量が大きい場合は不要、小さい場合は必要と判断。
・省エネ要求データ300bを受信したとき:太陽光発電設備の発電量−全体消費電力量を計算し、その差がある閾値より大きな場合は不要、小さな場合は必要と判断。なお、閾値の値は、省エネ要求データ300bに含まれる一定の値により変化させる。
・省エネ要求データ300cを受信したとき:太陽光発電設備の発電量−全体消費電力量を計算し、その差がある閾値より大きな場合は不要、小さな場合は必要と判断。なお、閾値の値は、省エネ要求データ300cに含まれる割合により変化させる。
【0082】
ステップ802で省エネが不要と判断した場合、処理を終了する。ステップ802で省エネが必要と判断した場合、省エネのレベルを決める(ステップ803)。省エネのレベル決めは、例えば、実施例1で説明したレベル決定方法を用いる。
【0083】
次に、省エネの優先度を決める(ステップ804)。省エネの優先度は、例えば、以下のようにして決める。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量とも、決められた閾値よりも上の場合:優先度を1とする(つまり、優先度1の制御対象機器110のみが対象となるようにする)。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量のどちらか片方のみが決められた閾値よりも上の場合:優先度を2とする(つまり、優先度1、2の制御対象機器110が対象となるようにする)。
・太陽光発電設備の発電量、蓄電設備の蓄電容量の両方が決められた閾値以下の場合:優先度を3とする(つまり、優先度1〜3の制御対象機器110が対象となるようにする)。
【0084】
次に、機器管理テーブル700に登録されている全ての機器に対して、ステップ806以下の処理が完了したかを判断する(ステップ805)。全ての機器に対して処理が完了している場合、処理を終了する。完了していない場合、機器管理テーブル700から処理が完了していない機器に対応する機器管理レコード710を選択し、省エネ対応714をチェックする(ステップ806)。省エネ対応714が「非対応」の場合、ステップ805に戻る。省エネ対応714が「対応」の場合、優先度713をチェックする(ステップ807)。優先度713が、ステップ804で決めた優先度より大きな値の場合、ステップ805に戻る。優先度713が、ステップ804で決めた優先度以下の値の場合、後で説明する省エネ要求送信処理810を実行する。
【0085】
次に、制御装置100が、制御対象機器110に要求した消費電力の低減要求を解除する省エネ解除処理820について、図15のフローチャートを用いて説明する。省エネ解除処理820は、「省エネ解除イベント」が発生したとき、あるいは、制御装置100がサーバ200から受信する省エネ解除データ310を受信したときに起動する。
【0086】
省エネ解除処理820では、機器管理テーブル700に登録されている全ての機器に対して、ステップ821以下の処理が完了したかを判断する(ステップ801)。全ての機器に対して処理が完了している場合、処理を終了する。完了していない場合、機器管理テーブル700から処理が完了していない機器に対応する機器管理レコード710を選択し、状態715をチェックする(ステップ822)。状態715が「通常状態」の場合、ステップ821に戻る。状態715が「省エネ状態」、後で説明する省エネ解除処理830を実行する。その後、ステップ821に戻る。
【0087】
次に、省エネ要求送信処理810及び制御対象機器110の関連する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
省エネ要求送信処理810では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ611)。このとき、送信先501にはステップ822で選択した機器管理レコード710のアドレス711、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、消費電力の削減を要請するコマンド・応答503bを格納する。そのとき、レベルには、ステップ803で決めたレベルを格納する。
【0089】
ステップ611で送信された通信データ500は、アドレス711で特定される制御対象機器110で受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ要求受信処理850が起動される。省エネ要求受信処理850では、省エネ要求受信処理650と同じく、制御対象機器110の機器制御部111において、機器の消費電力が少なくなるように、動作モードなどの設定を変更する(ステップ651)。次に、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御装置100に送信する(ステップ853)。このとき、送信先501には制御装置100のIPアドレス、送信元502には制御対象機器110のIPアドレス、コマンド・応答503dには機器の動作を変更した場合は「OK」、変更しなかった場合は「NG」を格納する。
【0090】
制御装置100では、ステップ853で送信された通信データ530を受信する。コマンド・応答503dの内容を確認し、「OK」であればステップ822で選択した機器管理レコード710の状態715を「省エネ状態」にし、「NG」であれば状態を変更しない(ステップ812)。
【0091】
次に、省エネ要求解除処理830及び制御対象機器110の関連する処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0092】
省エネ要求送信処理830では、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御対象機器110に送信する(ステップ831)。このとき、送信先501にはステップ822で選択した機器管理レコード710のアドレス711、送信元503には制御装置100のIPアドレス、コマンド・応答503には、省エネ要請を解除するコマンド・応答503cを格納する。
【0093】
ステップ831で送信された通信データ500は、アドレス711で特定される制御対象機器110で受信される。通信データ500を受信した制御対象機器110では、省エネ解除受信処理860が起動される。省エネ解除受信処理860では、省エネ解除受信処理660と同じく、制御対象機器110の機器制御部111において、ステップ651で設定した動作状態の設定などを元の状態に戻す(ステップ661)。次に、通信データ500を作成し、内部ネットワーク140を介して制御装置100に送信する(ステップ853)。このとき、送信先501には制御装置100のIPアドレス、送信元502には制御対象機器110のIPアドレス、コマンド・応答503dには「OK」を格納する。
【0094】
制御装置100では、ステップ863で送信された通信データ530を受信する。コマンド・応答503dの内容を確認し、「OK」であればステップ822で選択した機器管理レコード710の状態715を「通常状態」にし、「NG」であれば状態を変更しない(ステップ832)。
【0095】
以上の処理により、制御装置100がサーバ200から省エネ要求データ300を受信した場合や、「省エネイベント」が発生した場合でも、太陽光発電設備の発電量や蓄電池の蓄電量の状態によっては、必ずしも制御対象機器110を節電動作にする必要がなくなり、ユーザがより快適に機器を利用できるようになる。また、優先度をつけて節電することが可能となるため、より柔軟に節電を行うことが可能となる。さらに、節電要求に対応できていない機器に不要なデータを送ることがなくなるため、ネットワークのトラフィックを減らすことができる。
【実施例3】
【0096】
以上の実施例においては、ユーザに、消費電力を低減して動作していることを通知していなかったが、本発明では、ユーザに通知することも可能である。
【0097】
以下、実施例を図18を用いて説明する。
【0098】
まず、制御装置100において、状態を管理する省エネモードに関する変数(制御装置モード管理変数)を設ける。そして、省エネ要求送信処理610が実行された場合に、制御装置モード管理変数を「省エネ状態」とする。そして、省エネ解除送信処理610が実行された場合に、制御装置モード管理変数を「通常状態」とする。そして、制御装置100に、LEDなどの表示機能900を持たせ、制御装置モード管理変数が「省エネ状態」のときに点灯、通常状態の時に「消灯」するようにする(図18(a))。
【0099】
上記以外の表示方法としては、制御装置100に、WWWサーバ機能を搭載し、PC等のブラウザ機能を用いて内部ネットワーク140経由でアクセスしたとき、ブラウザの画面910上に、モード管理変数の内容を表示するようにしてもよい(図18(b))。
【0100】
また、制御対象機器110において、状態を管理する省エネモードに関する変数(制御対象機器モード管理変数)をもうける。そして、制御対象機器110において、省エネ要求受信処理650が実行されたときに、制御対象機器モード管理変数を「省エネ状態」とする。そして、省エネ解除送信処理610が実行された場合に、制御対象機器モード管理変数を「通常状態」とする。そして、制御対象機器110に、LEDなどの表示機能950を持たせ、制御対象機器モード管理変数が「省エネ状態」のときに点灯、通常状態の時に「消灯」するようにする(図19(a)、エアコンの例)。テレビなど表示機能を有する制御対象機器110の場合、制御対象機器モード管理変数が「省エネ状態」のときに画面960上にその旨を表示し、通常状態の時に何も表示しないようにしてもよい(図19(b))
以上により、ユーザに、省エネ運転状態になっていることを通知することができるようになる。これにより、突然、動作が変更になっても、ユーザが困惑しないという効果がある。
【0101】
なお、上記は実施例1の場合で説明したが、実施例2においても同様の処理を行えることは言うまでもない。また、上記では、LED点灯や画面により通知を行ったが、電子メールを送信するようにしてもよい。その場合、制御装置に予め送信先のメールアドレスや、電子メールの送信に関する設定を保存しておき、点灯、消灯のタイミングでメールを送信すればよい。
【符号の説明】
【0102】
100 制御装置
110 制御対象機器
120 GW装置
130 電力計測器
140 内部ネットワーク
150 計測機器用ネットワーク
160 インターネット
170 太陽光発電設備
180 蓄電設備
200 サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置であって、
外部から消費電力を下げる要求を受信する受信部と
前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信する送信部とを備え、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
さらに、予め決めた範囲の消費電力を監視する消費電力監視部を備え、
前記消費電力監視部で監視される消費電力が所定の閾値より上になった場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求とともに消費電力の削減レベルを送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置
【請求項4】
さらに複数の制御対象機器のそれぞれで消費電力を下げる優先度を記憶する記憶部を設け、
前記記憶部の優先度に応じて、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
さらに、発電あるいは蓄電される電力の状況を監視する電力監視部を備え、
前記電力監視部で監視される電力の状況に従って、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項6】
さらに、前記記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させた場合に、その旨をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項7】
電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置の制御対象となる1つの制御対象機器であって、前記制御装置から送信される消費電力を下げる要求を受信する受信部を備え、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、消費電力を下げる動作設定を行うことを特徴とする制御対象機器。
【請求項8】
前記受信部は、前記制御装置から送信される消費電力を下げる要求と消費電力の削減レベルを受信し、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、消費電力の削減レベルに従って消費電力を下げる動作設定を行うことを特徴とする請求項7に記載の制御対象機器。
【請求項9】
さらに、消費電力を下げる動作設定を行った場合に、その旨をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする請求項7に記載の制御対象機器。
【請求項1】
電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置であって、
外部から消費電力を下げる要求を受信する受信部と
前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信する送信部とを備え、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
さらに、予め決めた範囲の消費電力を監視する消費電力監視部を備え、
前記消費電力監視部で監視される消費電力が所定の閾値より上になった場合に、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求とともに消費電力の削減レベルを送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置
【請求項4】
さらに複数の制御対象機器のそれぞれで消費電力を下げる優先度を記憶する記憶部を設け、
前記記憶部の優先度に応じて、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
さらに、発電あるいは蓄電される電力の状況を監視する電力監視部を備え、
前記電力監視部で監視される電力の状況に従って、前記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項6】
さらに、前記記送信部から前記制御対象機器に消費電力を下げる要求を送信させた場合に、その旨をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項7】
電力を消費する制御対象機器の複数とネットワークで接続される該電力を制御する制御装置の制御対象となる1つの制御対象機器であって、前記制御装置から送信される消費電力を下げる要求を受信する受信部を備え、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、消費電力を下げる動作設定を行うことを特徴とする制御対象機器。
【請求項8】
前記受信部は、前記制御装置から送信される消費電力を下げる要求と消費電力の削減レベルを受信し、
前記受信部で消費電力を下げる要求を受信した場合に、消費電力の削減レベルに従って消費電力を下げる動作設定を行うことを特徴とする請求項7に記載の制御対象機器。
【請求項9】
さらに、消費電力を下げる動作設定を行った場合に、その旨をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする請求項7に記載の制御対象機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−98672(P2013−98672A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238189(P2011−238189)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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