説明

制御装置

【課題】 商用電源の半波のみを利用して真のゼロクロス点が判定できる制御装置を提供する。
【解決手段】 商用電源に接続され、前記商用電源の半波を利用してゼロクロス点近傍を検出するゼロクロス検出部と、前記ゼロクロス検出部が検出したゼロクロス信号を処理して真のゼロクロス点を判定するゼロクロス検出制御部と、前記ゼロクロス検出制御部が処理した真のゼロクロス点に同期させて、前記商用電源で作動する負荷への電力供給を制御する負荷制御部と、を備え、前記ゼロクロス検出制御部は、前記ゼロクロス検出部が検出した1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジと2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジとの間隔と、真のゼロクロス点から前記ゼロクロス検出部が立ち上がりエッジを検出するまでの遅れ時間を示す予め設定した定数とを演算することにより、真のゼロクロス点を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、特にAC負荷の制御を行うためにゼロクロス検出手段を有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AC負荷の制御に商用電源のゼロクロスタイミングを使用する制御装置において、ゼロクロス検出部の消費電力を低減するために、商用電源の半波のみを利用してゼロクロス信号を取り込むゼロクロス検出手段がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一方で、AC負荷の制御に商用電源のゼロクロスタイミングを使用する制御装置において、真のゼロクロスに近いゼロクロス信号を取り込むために、商用電源の全波を利用してゼロクロス点近傍にパルス幅twのパルス信号を出力させ、パルス信号のエッジからtw/2経過したタイミングを真のゼロクロスに近いタイミングとして判定するゼロクロス検出手段がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特願2009−189896(図1、図2)
【特許文献2】特開平10−186908(図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商用電源の半波のみを利用している特許文献1の構成においては、商用電源の全波を利用している特許文献2の方法を用いて、真のゼロクロスに近いタイミングを判定することができないという問題がある。
本発明では、消費電力を低減するために商用電源の半波のみを利用している特許文献1の構成においても、真のゼロクロスに近いタイミングを判定することを可能とした制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の態様によれば、商用電源に接続され、前記商用電源の半波を利用してゼロクロス点近傍を検出するゼロクロス検出部と、前記ゼロクロス検出部が検出したゼロクロス信号を処理して真のゼロクロス点を判定するゼロクロス検出制御部と、前記ゼロクロス検出制御部が処理した真のゼロクロス点に同期させて、前記商用電源で作動する負荷への電力供給を制御する負荷制御部と、を備え、前記ゼロクロス検出制御部は、前記ゼロクロス検出部が検出した1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジと2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジとの間隔と、真のゼロクロス点から前記ゼロクロス検出部が立ち上がりエッジを検出するまでの遅れ時間を示す予め設定した定数とを演算することにより、真のゼロクロス点を判定することを特徴とする。
【0007】
第2の発明の態様によれば、商用電源に接続され、前記商用電源の半波を利用してゼロクロス点近傍を検出するゼロクロス検出部と、前記ゼロクロス検出部が検出したゼロクロス信号を処理して真のゼロクロス点を判定するゼロクロス検出制御部と、前記ゼロクロス検出制御部が処理した真のゼロクロス点に同期させて、前記商用電源で作動する負荷への電力供給を制御する負荷制御部と、を備え、前記ゼロクロス検出制御部は、前記ゼロクロス検出部が検出した、1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジと、1周期目のゼロクロス信号の立ち下がりエッジ、および、2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジとの間隔と、真のゼロクロス点から1周期目の立ち上がりエッジまでの遅れ時間と立ち下がりエッジから真のゼロクロス点までの遅れ時間との比を示す予め設定した定数とを演算することにより、真のゼロクロス点を判定することを特徴とする。
【0008】
これによれば、商用電源の半波のみを利用して真のゼロクロス点を判定できるため、低消費かつ低コストである制御装置が提供できる。また、AC負荷を真のゼロクロス点に同期させて制御できるため、電磁波ノイズの低減に加え、ノイズ対策部品のコストも低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、商用電源の半波のみを利用して真のゼロクロス点が判定できる制御装置が提供でき、これにより、低消費、低コスト、低ノイズである制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る制御装置を用いた衛生洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図2】第1の発明の形態を説明するタイムチャートである。
【図3】第2の発明の形態を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[回路構成]
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置を用いた衛生洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本実施例の制御装置60は、AC入力端子1、電源部3、ゼロクロス検出制御部5、ゼ
ロクロス検出部6及び負荷制御部10a、10bを備える。
【0012】
AC入力端子1に入力された商用電源は、ACライン2に供給される。また電源部3、
ゼロクロス検出部6及び負荷制御部10a、10bは、ACライン2にそれぞれ接続され
、商用電源が供給されている。
【0013】
AC入力端子1から入力された商用電源は、電源部3で直流電圧、例えば、DC5Vに
安定化され、ゼロクロス検出制御部5の電源53として供給される。
なお、本実施例においては、電源部3とゼロクロス検出制御部5とを備えた構成を例示
しているが、電源部3は、ゼロクロス検出制御部5に含めて構成してもよい。
【0014】
ゼロクロス検出部6は、ACライン2に半波整流ダイオード7を介して接続される。これにより、ゼロクロス検出部6にはACライン2の半波のみが入力されることになる。
【0015】
ゼロクロス検出部6からゼロクロス検出制御部5には、検出したゼロクロス点(第1のゼロクロス点、第2のゼロクロス点、第3のゼロクロス点)の信号が入力端56に入力される。
【0016】
ゼロクロス検出制御部5は、検出したゼロクロス点を基準としたタイマーカウント部(図示せず)を有する。
【0017】
負荷制御部10aは、ACライン2と接続されていて、ゼロクロス検出制御部5の出力
端51aからの出力信号により制御され、AC負荷11a(例えば、温水ヒータなど)に
商用電源を出力する。また負荷制御部10b、AC負荷11b(例えば、室内暖房ヒータ
など)も上記負荷制御部10a、AC負荷11aと同様に接続されており、ゼロクロス検
出制御部5の出力端51bからの出力信号により制御される。
【0018】
なお、本実施例の制御装置60においては、2つの負荷制御部10a、10bを備える
構成を例示している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、任意数の負荷制
御部を備えることができる。
また、図1に表した衛生機器80は、本実施例の制御装置60、AC負荷11a、11
bを備える。なお、衛生機器80においても、任意数のAC負荷を備えることができる。
【0019】
制御装置60は、ゼロクロス信号を使用してAC負荷11a、11bを負荷制御部10a、10bにより制御する。AC負荷11a、11bをONするタイミングは、ノイズ、突入電流を押さえるために商用電源のゼロクロスのタイミングでONすることが望ましい。
【0020】
そこで、AC負荷11a、11bが商用電源のゼロクロス(真のゼロクロス)のタイミングでONするように、負荷制御部10a、10bを制御する。この真のゼロクロスのタイミングは、ゼロクロス検出制御部5にて演算して求める。
【0021】
[演算例]
以下、この演算の例を述べる。
図2は、第1の発明の形態を説明するタイムチャートである。図2(a)は、AC入力端子1に入力されるAC入力を模式的に表わしている。図2(b)は、ゼロクロス検出部6からゼロクロス検出制御部5に入力されるゼロクロス入力を表わしている。 図2(c)は、ゼロクロス検出制御部5の出力端51a(51bも同様)からの出力信号を表わしている。図2(d)は、AC負荷11a(AC負荷11bも同様)に出力される商用電源の電圧波形を表わしている。
【0022】
第1の発明によれば、第1のゼロクロス点(1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジ)をx、第2のゼロクロス点(1周期目のゼロクロス信号の立ち下がりエッジ)をy、第3のゼロクロス点(2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジ)をzとした場合、このx、y、zはゼロクロス検出手段6によりゼロクロス検出制御部5に数値情報として取り込まれる。
【0023】
また、xと(xに近い側の)真のゼロクロスまでの間隔をa、xから(yに近い側の)真のゼロクロス(ZX1)までの間隔をT1、xから(zに近い側の)の真のゼロクロス(ZX2)までの間隔をT2とする(図2)。ここで、真のゼロクロス点から前記ゼロクロス検出部が立ち上がりエッジを検出するまでの遅れ時間をaとすると、T1、T2はそれぞれT1=(z−x)/2−a、T2=(z−x)−aであるため、あらかじめaを決めておくことでゼロクロス検出制御部5にて演算し、求めることができる。真のゼロクロスZX1、ZX2はそれぞれZX1=x+T1、ZX2=x+T2の位置となる。ゼロクロス検出制御部5にて上記演算したT1、T2をxに加算することで、真のゼロクロスタイミングを特定することができる。よって、図2に示すように、T1、T2をxと同じゼロクロス信号の立ち上がりエッジであるzに加算することで、真のゼロクロスタイミングによる負荷制御が可能となる。
【0024】
なお、T1、T2の演算のタイミングは、AC負荷駆動時のみによらず、例えば電源投入時などに演算したT1、T2でAC負荷の制御を行うなど、任意に設定できる。また、演算の回数についても、たとえばT1、T2を繰り返し演算し平均化されたT1,T2でAC負荷の制御を行うなど、任意に設定できる。
【0025】
また、あらかじめ設定したaの値についても、商用電源電圧、商用電源周波数に応じて任意に設定できる。また、異なる商用電源に応じたaの値を任意数用意し、ゼロクロス検出制御部に格納しておくことで、異なる商用電源で使用される場合には、その商用電源に応じたaの値を設定することもできるものとする。
【0026】
また、例えばy−xが大となる場合はaが小、y−xが小となる場合はaが大となるようにy−xの値に応じてaを設定することもでき、y−xの値に応じたaの値を任意数用意し、ゼロクロス検出制御部に格納しておくことで、演算されたy−xの値に応じてaの値を設定することができるものとする。
【0027】
図3は、第2の発明の形態を説明するタイムチャートである。図3(a)は、AC入力端子1に入力されるAC入力を模式的に表わしている。図3(b)は、ゼロクロス検出部6からゼロクロス検出制御部5に入力されるゼロクロス入力を表わしている。 図3(c)は、ゼロクロス検出制御部5の出力端51a(51bも同様)からの出力信号を表わしている。図3(d)は、AC負荷11a(AC負荷11bも同様)に出力される商用電源の電圧波形を表わしている。
【0028】
第2の発明によれば、第1のゼロクロス点(1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジ)をx、第2のゼロクロス点(1周期目のゼロクロス信号の立ち下がりエッジ)をy、第3のゼロクロス点(2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジ)をzとした場合、このx、y、zはゼロクロス検出手段6によりゼロクロス検出制御部5に数値情報として取り込まれる。
【0029】
また、xと(xに近い側の)真のゼロクロスまでの間隔をa、yから(yに近い側の)真のゼロクロス(ZX1)までの間隔をT3、yから(zに近い側の)真のゼロクロス(ZX2)までの間隔をT4とする(図3)。ここで、a、T3は周辺回路定数により a=βT3 の関係性を持つため、あらかじめβ値(真のゼロクロス点から1周期目の立ち上がりエッジまでの遅れ時間aと、立ち下がりエッジから真のゼロクロス点までの遅れ時間T3との比を示す)を設定しておくことにより、T3={(z−x)/2−(y−x)}/(1+β)と定義できる。T4=T3+(z−x)/2より、真のゼロクロスZX1、ZX2はそれぞれZX1=y+T3、ZX2=y+T4の位置となるため、ゼロクロス検出制御部5にて上記演算したT3、T4をyに加算することで、真のゼロクロスタイミングを特定することができ、従って、真のゼロクロスタイミングによる負荷制御が可能となる。
【0030】
なお、T3、T4の演算のタイミングは、AC負荷駆動時のみによらず、例えば電源投入時などに演算したT3、T4でAC負荷の制御を行うなど、任意に設定できる。また、演算の回数についても、たとえばT3、T4を繰り返し演算し平均化されたT3,T4でAC負荷の制御を行うなど、任意に設定できる。
【0031】
また、あらかじめ設定したβの値についても、商用電源電圧、商用電源周波数に応じて任意に設定できる。また、異なる商用電源に応じたβの値を任意数用意し、ゼロクロス検出制御部に格納しておくことで、異なる商用電源で使用される場合には、その商用電源に応じたβの値を設定することもできるものとする。
【0032】
また、y−xの値に応じてβを設定することもでき、y−xの値に応じたβの値を任意数用意し、ゼロクロス検出制御部に格納しておくことで、演算されたy−xの値に応じてβの値を設定することができるものとする。
【符号の説明】
【0033】
1…AC入力端子、2…ACライン、3…電源部、5…ゼロクロス検出制御部、6…ゼロクロス検出部、7…半波整流ダイオード、10a、10b…負荷制御部、11a…AC負荷(温水ヒータ等)、11b…AC負荷(室内暖房ヒータ等)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源に接続され、前記商用電源の半波を利用してゼロクロス点近傍を検出するゼロクロス検出部と、
前記ゼロクロス検出部が検出したゼロクロス信号を処理して真のゼロクロス点を判定するゼロクロス検出制御部と、
前記ゼロクロス検出制御部が処理した真のゼロクロス点に同期させて、前記商用電源で作動する負荷への電力供給を制御する負荷制御部と、を備え、
前記ゼロクロス検出制御部は、前記ゼロクロス検出部が検出した1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジと2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジとの間隔と、真のゼロクロス点から前記ゼロクロス検出部が立ち上がりエッジを検出するまでの遅れ時間を示す予め設定した定数とを演算することにより、真のゼロクロス点を判定することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
商用電源に接続され、前記商用電源の半波を利用してゼロクロス点近傍を検出するゼロクロス検出部と、
前記ゼロクロス検出部が検出したゼロクロス信号を処理して真のゼロクロス点を判定するゼロクロス検出制御部と、
前記ゼロクロス検出制御部が処理した真のゼロクロス点に同期させて、前記商用電源で作動する負荷への電力供給を制御する負荷制御部と、を備え、
前記ゼロクロス検出制御部は、前記ゼロクロス検出部が検出した、1周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジと、1周期目のゼロクロス信号の立ち下がりエッジ、および、2周期目のゼロクロス信号の立ち上がりエッジとの間隔と、真のゼロクロス点から1周期目の立ち上がりエッジまでの遅れ時間と立ち下がりエッジから真のゼロクロス点までの遅れ時間との比を示す予め設定した定数とを演算することにより、真のゼロクロス点を判定することを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−77201(P2013−77201A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217277(P2011−217277)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】