説明

刷本の結束装置

本発明の刷本の結束装置は、刷本を平面状にして搬送コンベヤの搬送面上に載置して、搬送方向先行側のエッジが上方から見えるように搬送方向に位置をずらして連続状態で横方向へ搬送する搬入コンベヤ部と、該搬入コンベヤ部に接続されて、前記刷本を前記横方向から上方へ搬送し、そして前記横方向とは反対方向において下方へ向けて搬送する反転コンベヤ部と、該反転コンベヤ部の終端において前記刷本を起立状態として横方向に並べて集積する集積部と、該集積された刷本を結束する結束部とを有する。前記反転コンベヤ部は、刷本を上方へ搬送する部分において上下に分割された上部コンベヤと下部コンベヤとを有する。前記下部コンベヤの終端部において、該コンベヤから前記刷本を排出させる分流部が設けられ、前記上部コンベヤの始端部において、該コンベヤに保持されている前記刷本の尾端を所定位置に保持する保持部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、刷本の結束装置に関する。
【背景技術】
刷本の結束装置として、例えば、特開2000−118511号公報や、特開2001−19260号公報に記載のものが公知である。
この従来の刷本の結束装置は、刷本を平面状にして搬送コンベヤの搬送面上に載置して、搬送方向先行側のエッジが上方から見えるように搬送方向に位置をずらして連続状態で横方向へ搬送する搬入コンベヤ部と、該搬入コンベヤ部に接続されて、前記刷本を前記横方向から上方へ搬送し、そして前記横方向とは反対方向において下方へ向けて搬送する反転コンベヤ部と、該反転コンベヤ部の終端において前記刷本を起立状態として横方向に並べて集積する集積部と、該集積された刷本を結束する結束部とを有するものであった。
前記反転コンベヤ部は、刷本を上方へ搬送する部分において上下に分割された上部コンベヤと下部コンベヤとを有し、前記下部コンベヤの終端部において、該コンベヤから前記刷本を排出させる分流部が設けられていた。この分流部は、刷本の良品を取り出すものであった。
また、前記搬入コンベヤ部に、瀬切り部(連続搬送されている刷本と刷本との間にスペースを形成させる装置)が設けられ、搬入コンベヤ部と反転コンベヤ部の接続部に、瀬切り解消部(刷本と刷本間に形成されたスペースを解消して刷本を連続状態で搬送させる装置)が設けられていた。この瀬切り解消部に、不良品取り出し部が設けられていた。
前記従来の結束装置では、瀬切り解消部、不良品取り出し部、及び良品を取り出す分流部と、3つの装置が別々に設けられていたので、コンベヤの構造が複雑となっていた。
そこで、本発明は、前記三つの装置を一つにしてコンベヤの構造を簡単にした刷本の結束装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明の刷本の結束装置は、刷本を平面状にして搬送コンベヤの搬送面上に載置して、搬送方向先行側のエッジが上方から見えるように搬送方向に位置をずらして連続状態で横方向へ搬送する搬入コンベヤ部と、該搬入コンベヤ部に接続されて、前記刷本を前記横方向から上方へ搬送し、そして前記横方向とは反対方向において下方へ向けて搬送する反転コンベヤ部と、該反転コンベヤ部の終端において前記刷本を起立状態として横方向に並べて集積する集積部と、該集積された刷本を結束する結束部とを有する。前記反転コンベヤ部は、刷本を上方へ搬送する部分において上下に分割された上部コンベヤと下部コンベヤとを有する。
前記下部コンベヤの終端部において、該コンベヤから前記刷本を排出させる分流部が設けられている。前記上部コンベヤの始端部において、該コンベヤに保持されている前記刷本の尾端を所定位置に保持する保持部が設けられている。
本発明においては、前記構成を採用することにより、良品取り出し、不良品取り出し、及びスペース解消の3つの機能を上部コンベヤと下部コンベヤの接続部において形成することができ、コンベヤ装置の簡素化が図れる。
本発明においては、前記下部コンベヤは、前記刷本を表裏両側から挟持する下部内側コンベヤと下部外側コンベヤを有し、前記上部コンベヤは、前記刷本を表裏両側から挟持する上部内側コンベヤと上部外側コンベヤを有する。そして前記分流部は、前記下部外側コンベヤの終端部において、外側へ折り曲げ自在として刷本の挟持を解除する分流コンベヤと、前記刷本を前記分流コンベヤの外側折り曲げに同行するように内側からガイドする分流ガイドとを有する。そして、前記分流コンベヤが外側へ折り曲げられたとき、前記上部コンベヤの搬送を停止させる制御装置が設けられ、前記保持部は、前記停止した上部コンベヤに保持された刷本の尾端を内側から外側へ移動させる押出装置と、押し出された刷本の尾端を外側から保持する保持装置とを有している。
また、本発明では、前記押出装置は、前記上下内側コンベヤの搬送面を接続する位置に配置された押上バーと、該押上バーを外側に移動させる押上バー駆動手段とを有し、前記保持装置は、揺動自在に設けられて前記刷本の尾端を下方から保持する保持バーと、該保持バーを上下方向に揺動させる保持バー駆動手段とを有する構成とされている。
前記制御装置は、刷本と刷本間にスペースが形成されたとき、該スペースを解消するために、該スペースを介した先行グループの刷本の尾端が前記分流部にさしかかったとき、前記上部コンベヤを停止させて該尾端を前記保持部により保持させ、後行グループの先端が前記分流部にさしかかったとき前記上部コンベヤの停止を解除するよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る刷本の結束装置における一実施形態を示す正面図である。
図2は、図1に対応する平面図である。
図3は、本発明のコンベヤ装置の正面拡大図である。
図4は、図3に示すコンベヤ装置の側面図。
図5は、コンベヤ装置の動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2に示すものは、本発明の刷本の結束装置である。
図1に示すように、この結束装置は、刷本1の搬送方向に沿って配置された搬入コンベヤ部2、反転コンベヤ部3、集積部4、及び結束部5などで構成され、また、これら各部を制御する制御部6を有している。
前記搬入コンベヤ部2は、輪転印刷機(図示略)等から送られてくる刷本1を取り込む部分である。この搬入コンベヤ部2は、搬送面を水平面としたエンドレスベルト7から構成されている。このエンドレスベルト7は、複数本の帯状ベルトからなる。搬入コンベヤ部2は、刷本1を平面状にしてベルト7の搬送面上に載置して、搬送方向先行側のエッジが上方から見えるように搬送方向に位置をずらして連続状態で横方向へ搬送するものである。
この実施例では、前記横方向とは、図1において右から左方向を言う。また刷本1は、二つ折り(山折り)とされ、この折り目側を先行させるようにして搬送される。
この搬入コンベヤ部2に、瀬切り部8が設けられている。
瀬切り部8は、実公平8−5179号公報に記載されているものと略同じ動作原理を有するものである。
この瀬切り部8では、昇降台9の上昇とメインストッパ10の下降とによって、それらの上下間でベルト7上を搬送される刷本1を挟持してその流れを止め、刷本1と刷本1間に搬送方向に沿ったスペース(瀬切り)を形成させるものである。その詳細説明は、前記公報を援用する。
前記反転コンベヤ部3は、前記搬入コンベヤ部2に接続されて、前記刷本1を前記横方向から上方へ搬送し、そして前記横方向とは反対方向において下方へ向けて搬送するものである。この反転コンベヤ部3は、刷本1を上方へ搬送する部分において上下に分割された上部コンベヤ11と下部コンベヤ12とを有する。
下部コンベヤ12は、横方向から上方へ方向変換する部分に配置された大径の下ドラム13を有する。また、前記下部コンベヤ12は、前記刷本1を表裏両側から挟持する下部内側コンベヤ14と下部外側コンベヤ15により構成されている。
下部内側コンベヤ14は、下ドラム13よりも上方に配置された第1ローラ16と、下ドラム13の左側に配置された第2ローラ17とを有し、これら第1ローラ16、第2ローラ17及び前記下ドラム13の外周に巻きかけられたエンドレスベルト18により構成されている。このエンドレスベルト18は、複数本の帯状ベルトにより構成されている。
下部外側コンベヤ15は、前記下ドラム13よりも右側下方に配置された第3ローラ19と、下ドラム13よりも右側に配置された第4ローラ20と、前記第1ローラ16よりも下方に配置された第5ローラ21とを有し、これら第3〜5ローラ19,20,21に巻きかけられ、且つ前記下部内側コンベヤの下ドラム13に巻きかけられた部分の外面側に沿うように配置されたエンドレスベルト22から構成されている。このエンドレスベルト22は、複数本の帯状ベルトにより構成されている。
上部コンベヤ11は、上方から下方に方向変換する部分に大径の上ドラム23を有する。また、前記上部コンベヤ11は、前記刷本1を表裏両側から挟持する上部内側コンベヤ24と上部外側コンベヤ25を有する。
上部内側コンベヤ24は、前記第1ローラ16の上方に配置された第6ローラ26と、上ドラム23の下方で且つ上ドラム23の右側垂直接線近傍に配置された第7ローラ27を有し、これら第6,7ローラ26,27と上ドラム23の外周に巻きかけられたエンドレスベルト28により構成されている。
上部外側コンベヤ25は、前記第6ローラ26の近傍に配置された第8ローラ29と、上ドラム23の右側上方に配置された第9ローラ30と、上ドラム23の左側上方に配置された第10ローラ31と、上ドラム23の左側下方に配置された第11ローラ32を有し、これら第8〜1129,30,31,32に巻きかけられ、且つ前記上部内側コンベヤ24の上ドラム23に巻きかけられたエンドレスベルト28の外面側に沿うように配置されたエンドレスベルト33から構成されている。これら両エンドレスベルト28,33は、複数本の帯状ベルトにより構成されている。
前記上下ドラム23,13の配置は、上ドラム23が下ドラム13の真上に配置されているのではなく、上ドラム23が下ドラム13よりも右側に変位した位置に配置されている。すなわち、反転コンベヤ部3の上方へ搬送する部分は、刷本1を直上へ搬送するのではなく、図1における右から左側に傾斜している。また下方へ向けて搬送する部分は、垂直方向とされている。
前記上部コンベヤ11及び下部コンベヤ12は、図示省略の駆動装置を有する。この駆動装置は、前記制御装置6により独立して操作可能とされている。
前記集積部4は、前記反転コンベヤ部3の終端において前記刷本1を起立状態として横方向に並べて集積するものである。この集積部4において、二つ折りされた刷本1はその折り目が下側に位置するように集積される。起立状態の刷本1は横送りコンベヤ34上に集積され、該横送りコンベヤ34の搬送面が図1の左側へ移動することにより、起立状とされた刷本1が横方向に所定長さ集積されて刷本集積体が形成される。刷本集積体の前側及び後側に当て紙を供給する当紙供給装置35が設けられている。
図2に示すように、前記結束部5は、前記集積部4の横側に配置されている。この結束部5において、前記刷本集積体に対して紐が掛けられ、結束される。
以上説明した結束装置の各部の構成については、特開2000−118511号公報に記載のものとほぼ同じであるので、その詳細説明は、前記公報を援用する。
図3,4に示す如く、前記下部コンベヤ12の終端部において、該コンベヤ12から前記刷本1を排出させる分流部36が設けられている。また、前記上部コンベヤ11の始端部において、該コンベヤ11に保持されている前記刷本1の尾端を所定位置に保持する保持部37が設けられている。
前記分流部36は、前記下部外側コンベヤ15の終端部において、外側へ折り曲げ自在として刷本1の挟持を解除する分流コンベヤ38と、前記刷本1を前記分流コンベヤ38の外側折り曲げに同行するように内側からガイドする分流ガイド39とを有する。
前記分流コンベヤ38は、前記下部外側コンベヤ15の終端部に於ける第5ローラ21に接近してその上方に配置された第12ローラ40と、前記第1ローラ16の右側に配置された第13ローラ41とを有し、これら第12,13ローラ40,41にエンドレスベルト42が掛け渡されている。このエンドレスベルト42は、複数本の帯状ベルトにより構成されている。
図4に示すように、下部コンベヤ12の第1〜5ローラ16,17,19,20,21と下ドラム13は、左右一対の主フレーム43に回動自在に支持されている。前記分流コンベヤ38の第12ローラ40も前記主フレーム43に回動自在に支持されている。この第12ローラ40の左右両側には、左右一対の揺動フレーム44が、前記主フレーム43の内側において支持されている。この揺動フレーム44の先端部に前記第13ローラ41が支持されている。
前記揺動フレーム44を、前記第12ローラ40の軸心を中心として揺動させる駆動手段45が設けられている。この駆動手段45は、前記揺動フレーム44と前記主フレーム43との間に設けられた第1シリンダーにより構成されている。該シリンダ45の伸縮動作により揺動フレーム44が第12ローラ40の軸心を中心としてその上端部が図3に於ける右側へ揺動するように構成されている。すなわち、分流コンベヤ38は、その搬送面が下部内側コンベヤ14の搬送面に接する位置から、ほぼ90°外側へ折れ曲がり、その接触を解除するように構成されている。
前記下部外側コンベヤ15は、駆動軸46を有し、該駆動軸46の一端は、駆動装置に結合され、他端に伝動プーリ47が設けられている。前記第12ローラ40の軸端部にも従動プーリ48が設けられ、該従動プーリ48と前記伝動プーリ47間は伝動手段49で連動連結されている。
分流コンベヤ38が外方に約90°折り曲げられた位置に、該分流コンベヤ38に接続する搬出コンベヤ50が設けられている(図1参照)。
前記分流ガイド39は、左右の主フレーム43に支持された第1回動軸51を有し、該第1回動軸51は下部コンベヤ12の内部に位置し、この第1回動軸51に複数のフォーク状のガイド片52が固定されている。このガイド片52は、下部内側コンベヤ14の複数のエンドレスベルト18間の間隔内に位置している。前記ガイド片52を外方へ突出させるための駆動手段53が設けられている。この駆動手段53は、前記第1回動軸51の端部に固定されたアーム54と、該アーム54と主フレーム43間に設けられた第2シリンダ55で構成されている。第2シリンダ55の伸縮動作で第1回動軸51が回動して、該回動軸51に固定の前記ガイド片52は、前記エンドレスベルト18間の間隙を通って、下部コンベヤ12の内部から外部に突出可能とされている。ガイド片52は、円弧状に形成され、外側に突出したとき、下部コンベヤ12で搬送されている刷本1を外方へ案内する。
前記第1シリンダ45と第2シリンダ55との動きは、前記制御装置6によって同期されており、分流コンベヤ38が外方へ折れ曲げされたとき、分流ガイド39も追従して外方へ突出し、また元の位置に戻るときも同行移動する。
なお、前記制御装置6は、前記分流コンベヤ38が外側へ折り曲げられたとき、前記上部コンベヤ11の搬送を停止するよう構成されている。
前記保持部37は、前記停止した上部コンベヤ11に保持された刷本1の尾端を内側から外側へ移動させる押出装置56と、押し出された刷本1の尾端を外側から保持する保持装置57とを有する。
前記押出装置56は、左右の主フレーム43に支持された第2回動軸58を有する。この回動軸58に前記第6ローラ26が遊転自在に設けられている。前記第6ローラ26は、軸方向に分割されており、軸方向に所定間隔を有して、上部内側コンベヤ24のエンドレスベルト28の数に対応して、前記第2回動軸58に配置されている。この第6ローラ26間に位置して、押上バー59が前記第2回動軸58に固定されている。この押上バー59は、前記下部内側コンベヤ14の搬送面と、前記上部内側コンベヤ24の搬送面とを接続する位置に配置されている。押上バー59を外側に移動させる押上バー駆動手段60が設けられている。この駆動手段60は、第2回動軸58の端部に固定されたアーム61と、該アーム61と前記主フレーム43間に配置された第3シリンダ62により構成されている。この第3シリンダ62を伸縮動作させることにより、押上バー59を外方へ揺動させて、上部コンベヤ11に保持された刷本1の尾端を内側から外側へ移動させる。
前記保持装置57は、左右の主フレーム43に支持された第3回動軸63を有する。この回動軸63に保持バー64が固定されている。この保持バー64は、前記押上バー59に対して、干渉しないように軸方向に位置をずらせて配置されている。この保持バー64を上下方向に揺動させる保持バー駆動手段65が設けられている。この駆動手段65は、第3回動軸63の端部に設けられたアーム66と、該アーム66と主フレーム43間に設けられた第4シリンダ67とからなる。第4シリンダ67の伸縮動作により、前記保持バー64は前記刷本1の尾端を下方から保持するよう構成されている。
なお、前記制御装置6は、刷本1と刷本1間に搬送方向のスペースが形成されたとき、該スペースを解消するために、該スペースを介した先行グループの刷本1の尾端が前記分流部36にさしかかったとき、前記上部コンベヤ11を停止させて該尾端を前記保持部37により保持させ、後行グループの先端が前記分流部36にさしかかったとき前記上部コンベヤ11の停止を解除するよう構成されている。このような制御を行うため、本発明の結束装置には、刷本のスペースを検出する検出手段(図示省略)が設けられている。
図5に基づき、前記構成の本発明の刷本の結束装置の動作を説明する。
通常の結束動作は、前記特開2000−118511号公報に記載のものと同じであるので、その詳細は、前記公報を援用する。
まず最初に、刷本1が連続状に搬送されている途中において良品又は不良品を取り出す動作につき説明する。
良品又は不良品を搬送ラインから取り出す場合、制御装置6により取り出し指令を出す。この指令により、分流部36において、図5に於ける「▲1▼」に示す如く、実線で示された分流コンベヤ38と分流ガイド39が、仮想線で示されるように外方へ折り曲げられる。下部内側コンベヤ14によって上方へ搬送されていた刷本1は、搬送面上に突出する分流ガイド39によってその搬送方向を右水平方向に変更され、仮想線で示される分流コンベヤ38上に載置され、該分流コンベヤ38に接続される搬出コンベヤ50によってライン外に取り出される。
前記分流コンベヤ38が外側へ折り曲げられたとき、上部コンベヤ11の搬送は制御装置6により停止される。従って、上部コンベヤ11の終端部においては、上部内側コンベヤ24と上部外側コンベヤ25間に挟持された刷本1の尾端がぶら下がった状態で垂れ下がった状態となっている。
保持部37においては、前記分流コンベヤ38が外方へ折れ曲がった後、図5に於ける「▲2▼、▲3▼」に示す順序で、実線で示された保持バー64と押上バー59が、仮想線で示す位置へ移動する。即ち、押上バー59の移動により、尾端の刷本1は、「▲3▼」の位置に押し上げられる。
次に、保持バー64が、「▲4▼」に示す位置に戻り、刷本1の尾端を保持する。その後、押上バー59は「▲5▼」に示す元の位置に復帰する。
取り出し解除の指令が出ると、分流コンベヤ38及び分流ガイド39は、「▲6▼」に示す如く元の位置に復帰する。この復帰により、下部コンベヤ12で搬送されている刷本1の搬出コンベヤ50からの取り出しが終了し、刷本1は、上部コンベヤ11へ搬送されることになる。
このとき、下部コンベヤ12によって搬送されている刷本1の先頭が、上部コンベヤ11の終端にさしかかる直前で、停止していた上部コンベヤ11の駆動が開始される。上部コンベヤ11の駆動により、その終端部に保持されていた刷本1の尾端は、後続する刷本1の上面に重ねられて連続状態となって搬送される。
もし、保持装置57により刷本1の尾端が搬送面上方に保持されていおらず、搬送面に当接していたら、後続の刷本1の先頭が、尾端の下面に潜り込むか、上面に乗り上げるかは、不確定である。しかし、本発明では、必ず、正常な搬送状態に維持される。
次に、連続搬送状態の刷本1,1間に不測のスペースが生じた場合、このスペースを解消して、連続状態を得るための動作につき説明する。
前記スペースが図示省略の検出手段により検出されると、スペースを介した先行グループの尾端が保持部37にさしかかるタイミングで、分流部36が図5に於ける「▲1▼」の動作を行い、保持部37が「▲2▼〜▲5▼」の動作を行う。而して、先行グループは、停止した上部コンベヤ11で保持され、刷本1の尾端は保持バー64により、搬送面上方に保持される。
後行グループの先頭が前記保持部37にさしかかるタイミングで、分流部36が、「▲6▼」の動作を行い、また上部コンベヤ11の駆動が開始されることにより、後行グループの先頭は、先行グループの尾端に正常に接続して、連続状態で搬送される。
以上の如く、本発明によれば、反転コンベヤ部3の上部コンベヤ11と下部コンベヤ12の接合部に、分流部36と保持部37を設けることにより、刷本1の良品及び不良品取り出しとスペース解消の機能を持たせることができ、従来の装置に比べ、その構造が簡単になる。
なお、本発明は、前記実施の形態に示したものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
本発明は、製本業界、チラシ印刷業界などにおいて利用される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷本を平面状にして搬送コンベヤの搬送面上に載置して、搬送方向先行側のエッジが上方から見えるように搬送方向に位置をずらして連続状態で横方向へ搬送する搬入コンベヤ部と、該搬入コンベヤ部に接続されて、前記刷本を前記横方向から上方へ搬送し、そして前記横方向とは反対方向において下方へ向けて搬送する反転コンベヤ部と、該反転コンベヤ部の終端において前記刷本を起立状態として横方向に並べて集積する集積部と、該集積された刷本を結束する結束部とを有し、
前記反転コンベヤ部は、刷本を上方へ搬送する部分において上下に分割された上部コンベヤと下部コンベヤとを有し、
前記下部コンベヤの終端部において、該コンベヤから前記刷本を排出させる分流部が設けられ、
前記上部コンベヤの始端部において、該コンベヤに保持されている前記刷本の尾端を所定位置に保持する保持部が設けられていることを特徴とする刷本の結束装置。
【請求項2】
前記下部コンベヤは、前記刷本を表裏両側から挟持する下部内側コンベヤと下部外側コンベヤを有し、前記上部コンベヤは、前記刷本を表裏両側から挟持する上部内側コンベヤと上部外側コンベヤを有し、
前記分流部は、前記下部外側コンベヤの終端部において、外側へ折り曲げ自在として刷本の挟持を解除する分流コンベヤと、前記刷本を前記分流コンベヤの外側折り曲げに同行するように内側からガイドする分流ガイドとを有し、
前記分流コンベヤが外側へ折り曲げられたとき、前記上部コンベヤの搬送を停止させる制御装置が設けられ、
前記保持部は、前記停止した上部コンベヤに保持された刷本の尾端を内側から外側へ移動させる押出装置と、押し出された刷本の尾端を外側から保持する保持装置とを有することを特徴とする請求の範囲1記載の刷本の結束装置。
【請求項3】
前記押出装置は、前記上下内側コンベヤの搬送面を接続する位置に配置された押上バーと、該押上バーを外側に移動させる押上バー駆動手段とを有し、
前記保持装置は、揺動自在に設けられて前記刷本の尾端を下方から保持する保持バーと、該保持バーを上下方向に揺動させる保持バー駆動手段とを有することを特徴とする請求の範囲2記載の刷本の結束装置。
【請求項4】
前記制御装置は、刷本と刷本間にスペースが形成されたとき、該スペースを解消するために、該スペースを介した先行グループの刷本の尾端が前記分流部にさしかかったとき、前記上部コンベヤを停止させて該尾端を前記保持部により保持させ、後行グループの先端が前記分流部にさしかかったとき前記上部コンベヤの停止を解除するよう構成されていることを特徴とする請求の範囲3記載の刷本の結束装置。

【国際公開番号】WO2004/113213
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500904(P2005−500904)
【国際出願番号】PCT/JP2003/007835
【国際出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】