説明

刷本抜取装置

【課題】簡単な構造で、枚葉刷本を連続的に抜き取ることが出来、動作のタイミングもあわせやすくすることができるようにした刷本抜取装置を提供する。
【解決手段】枚葉印刷機1の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取る刷本抜取装置10であって、枚葉印刷機1から排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部8に落ちるようにするとともに、抜き取り動作時には受け止めることなく枚葉刷本を通過させる起倒可能なストッパ5を臨む位置に設置させる抜取機構部20と、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部50とを備え、抜取機構部20は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部30を有し、搬送機構部50は、ベルトコンベア構造で、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部80に送るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉印刷機の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を、印刷評価や不要刷本取り出し等の必要に応じて抜き取る刷本抜取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
すなわち、特許文献1には、集積部に落ちるよう枚葉刷本を受け止めるストッパを倒して枚葉刷本を抜き取る際、空気を吹き出して抜き取る枚葉刷本を分離し、分離した枚葉刷本を吸引パッドに吸引保持して搬送する装置を備えた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−348021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術では、抜き取った枚葉刷本を吸引パッドに枚葉刷本毎に吸引保持して搬送するものであるので、吸引パッドの移動を相当な高速にしなければならず、高速に合わせた動作の精度が要求され、機構が複雑になり、また連続抜き取りがしにくいという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、簡単な構造で、枚葉刷本を連続的に抜き取ることが出来、動作のタイミングもあわせやすくすることができるようにした刷本抜取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 枚葉印刷機(1)の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取る刷本抜取装置(10)において、
前記枚葉印刷機(1)から排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部(8)に落ちるようにするとともに、抜き取り動作時には受け止めることなく枚葉刷本を通過させる起倒可能なストッパ(5)を臨む位置に設置される抜取機構部(20)と、該抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部(50)とを備え、
前記抜取機構部(20)は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部(30)を有し、
前記搬送機構部(50)は、ベルトコンベア構造で、前記抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部(80)に送るものであることを特徴とする刷本抜取装置(10)。
【0007】
[2] 枚葉印刷機(1)の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取る刷本抜取装置(10)において、
前記枚葉印刷機(1)から排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部(8)に落ちるようにするとともに、抜き取り動作時には受け止めることなく枚葉刷本を通過させる起倒可能なストッパ(5)を臨む位置に設置される抜取機構部(20)と、該抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部(50)とを備え、
前記抜取機構部(20)は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部(30)を有し、
前記搬送機構部(50)は、ベルトコンベア構造で、前記抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部(80)に送るものであり、前記抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を受け取り、負圧で吸引して後流に送る第1次搬送部(60)と、後流に送られた枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部(80)に送る第2次搬送部(65)とを有し、
前記抜取機構部(20)の抜取搬送部(30)と、前記搬送機構部(50)の第1次搬送部(60)および第2次搬送部(65)とは、枚葉刷本を吸引する負圧透孔(31,31…)が多数穿設されたコンベアベルト(21)の内側にバキュームボックス(61)が内蔵され、該バキュームボックス(61)には前記コンベアベルト(21)の移動する負圧透孔(31,31…)を臨んで長孔(35,35…)が穿設されていることを特徴とする刷本抜取装置(10)。
【0008】
[3] 枚葉刷本の抜取動作時に、前記枚葉印刷機(1)から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させるよう突出する刷本受け機構(70)が設けられたことを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0009】
[4] 枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本を前記第2次搬送部(65)に押し付けるよう空気を吹き付ける搬送エアブロウノズル(85,85…)を設けたことを特徴とする項2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0010】
[5] 枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本が前記抜取刷本受取部(80)に安定して落ちるよう空気を吹き付ける落しエアブロウノズル(86,86…)を設けたことを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0011】
[6] 枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くすることを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0012】
[7] メンテナンス時等に印刷済みの枚葉刷本の集積部(8)の後方を開放するよう全体として逃げ位置に移動することを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0013】
[8] 前記抜取機構部(20)は、前記ストッパ(5)に近接するよう延びるフィンガー部(36)を有し、逃げ位置に移動するときは、ベルトの駆動方向を逆転させて該フィンガー部(36)を反対方向に引っ込めることを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0014】
[9] 前記抜取刷本受取部(80)は、枚葉刷本の寸法に応じて長さを可変としてあることを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0015】
[10] 前記搬送機構部(50)の端部が前記抜取機構部(20)を兼ねるようにしたことを特徴とする項1または2に記載の刷本抜取装置(10)。
【0016】
前記本発明は、次のように作用する。
刷本抜取装置(10)は、枚葉印刷機(1)の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を不良品抜き取りや検査等の必要に応じて抜き取るものである。
【0017】
枚葉印刷機(1)から排紙される枚葉刷本を受け止めて前記集積部(8)に落ちるようにするストッパ(5)は、起倒可能であって、通常は起立しており、抜き取り動作時には倒れて枚葉刷本を受け止めることなく通過させる。
【0018】
起倒可能なストッパ(5)を臨む位置に設置される抜取機構部(20)は、抜き取った枚葉刷本を抜取搬送部(30)でコンベアベルト(21)の内側から負圧でコンベアベルト(21)の表面に吸引して後流に送る。
【0019】
搬送機構部(50)は、抜取機構部(20)で抜き取った枚葉刷本を受け取り、受け取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部(80)に送る。
【0020】
そして、第1次搬送部(60)では、抜き取った姿勢のままで枚葉刷本を負圧で吸引して後流の第2次搬送部(65)に送る。後流の第2次搬送部(65)では、送られた枚葉刷本を負圧で吸引し、枚葉刷本を受け取り姿勢にして抜取刷本受取部(80)に送る。
【0021】
抜取機構部(20)の抜取搬送部(30)、搬送機構部(50)の第1次搬送部(60)および第2次搬送部(65)では、コンベアベルト(21)の内側に内蔵されたバキュームボックス(61)の長孔(35,35…)がコンベアベルト(21)の裏面を吸引し、コンベアベルト(21)に多数穿設された負圧透孔(31,31…)を通して枚葉刷本が吸引される。コンベアベルト(21)が移動してもバキュームボックス(61)の長孔(35,35…)はコンベアベルト(21)の負圧透孔(31,31…)に連通していて負圧が途切れることはない。
【0022】
枚葉刷本の抜取動作時には、刷本受け機構(70)が突出し、枚葉印刷機(1)から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させる。これにより抜取動作に余裕を持つことが出来る。
【0023】
搬送エアブロウノズル(85,85…)は、枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本を第2次搬送部(65)に押し付けるよう空気を吹き付けて確実に吸引させる。その後流では、落しエアブロウノズル(86,86…)が吹き付けた空気により、抜き取った枚葉刷本が抜取刷本受取部(80)に安定して落ちる。
【0024】
枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くしてあり、安定して確実に枚葉刷本を抜き取ることができる。
【0025】
メンテナンス時等の必要に応じて、刷本抜取装置(10)は全体として逃げ位置に移動し、印刷済みの枚葉刷本の集積部(8)の後方を開放する。
【0026】
抜取機構部(20)は、通常は、フィンガー部(36)がストッパ(5)に近接するよう延びており、刷本抜取装置(10)が逃げ位置に移動するときは、ベルトの駆動方向を逆転させてフィンガー部(36)を反対方向に引っ込めて逃げ動作時に干渉を起こさないようにする。
【0027】
抜取刷本受取部(80)は、枚葉刷本の寸法に応じて長さを可変としてあり、適切かつ確実に枚葉刷本を受け取る。
【0028】
搬送機構部(50)の端部が前記抜取機構部(20)を兼ねるようにすることができ、構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る刷本抜取装置によれば、抜取機構部は、抜取搬送部をベルトコンベア構造とするとともに、搬送機構部もベルトコンベア構造とし、抜き取った枚葉刷本をコンベアベルトに負圧で吸引して後流に送るようにしたので、連続的に枚葉刷本を搬送することができ、確実に枚葉刷本の抜取動作をすることができる。
【0030】
抜取機構部の抜取搬送部、搬送機構部の第1次搬送部および第2次搬送部では、コンベアベルトの内側に内蔵されたバキュームボックスの長孔がコンベアベルトの裏面を吸引し、コンベアベルトに多数穿設された負圧透孔を通して枚葉刷本を吸引し、コンベアベルトが移動してもバキュームボックスの長孔がコンベアベルトの負圧透孔に連通していて途切れることなく負圧により枚葉刷本を吸引することができる。
【0031】
枚葉刷本の抜取動作時には、刷本受け機構が突出し、枚葉印刷機から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させて、抜取動作に余裕を持つことが出来る。
【0032】
枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くすることができ、安定して確実に枚葉刷本を抜き取ることができる。
【0033】
刷本抜取装置は全体として逃げ位置に移動することができ、印刷済みの枚葉刷本の集積部の後方を開放するので、メンテナンス時等の必要があるときに作業をしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置の動作状態の抜取機構部を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置の逃げ状態の抜取機構部を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置のバキュームボックスとコンベアベルトとの関係を示す概念斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る刷本抜取装置のバキュームボックスとコンベアベルトとの関係を示す概念正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一の実施の形態を示している。
図1〜図3に示すように、刷本抜取装置10は、枚葉印刷機1の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取るものである。
【0036】
枚葉印刷機1は枚葉搬送コンベア2から爪アーム3が延ばされ、爪アーム3の先の爪4に枚葉刷本が把持されて搬送されるようになっている。
【0037】
起倒可能なストッパ5は枚葉印刷機1に設けられ、支持ブラケット6の枢軸7に枢支されており、起立しているときは枚葉印刷機1から爪アーム3の爪4に把持されて搬送され、把持を放して排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部8に落とすようになっている。抜き取り動作時にストッパ5は倒れ、枚葉刷本を受け止めることなく通過させるものである。
【0038】
刷本抜取装置10は、ストッパ5を臨む位置に設置される抜取機構部20と、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部50とを備えて成る。
【0039】
抜取機構部20は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部30を有している。
【0040】
図4でわかるように、抜取機構部20は、コンベアベルト21が、駆動ドラム22,案内ローラ23,24および先端ローラ25に巻回され、上部が抜取搬送部30をなしている。
【0041】
抜取搬送部30は、駆動ドラム22が図において時計方向に回動されている場合、抜取搬送部30が左方に突出したフィンガー部36となっている。抜取搬送部30が逃げ位置に移動する場合、駆動ドラム22は反対方向に逆転駆動され、反作用でフィンガー部36は図5に示すように反対方向に引っ込むようになっている。引っ込むときコンベアベルト21を反対側から案内する進退案内ローラ26が設けられている。
【0042】
搬送機構部50は、ベルトコンベア構造で、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部80に送るものであり、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を受け取り、負圧で吸引して後流に送る第1次搬送部60と、後流に送られた枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部80に送る第2次搬送部65とを有している。
【0043】
なお、図1においては、抜取機構部20の後に搬送機構部50が接続するように表現されているが、実際には、交互の配置になっていて、図2でわかるように、位置的には大部分が重なっている。
【0044】
抜取機構部20の抜取搬送部30と、搬送機構部50の第1次搬送部60および第2次搬送部65とは同様の構造をしているので、その概念を図6および図7で説明する。また、同様の構造には同一の符号を付すこととする。
【0045】
コンベアベルト21の内側にバキュームボックス61が内蔵され、コンベアベルト21には、枚葉刷本を吸引する負圧透孔31,31…が多数穿設されている。
【0046】
バキュームボックス61には、コンベアベルト21の移動する負圧透孔31,31…を臨むよう、長孔35,35…が穿設されている。
【0047】
搬送機構部50の第1次搬送部60は、駆動ドラム62と案内ドラム63とにコンベアベルト21を巻きかけて成り、第2次搬送部65は、駆動ドラム62と案内ドラム66とにコンベアベルト21を巻きかけて成る。駆動ドラム62には、駆動ベルト67を介して駆動モータ68が連結されている。
【0048】
枚葉刷本の抜取動作時に、前記枚葉印刷機1から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させるよう突出する刷本受け機構70が設けられている。
【0049】
刷本受け機構70はエアシリンダ71から受けアーム75が延ばされ、必要により進退可能になっている。
【0050】
図2および図3でわかるように、枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本を前記第2次搬送部65に押し付けるよう空気を吹き付ける搬送エアブロウノズル85,85…が設けられ、枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本が抜取刷本受取部80に安定して落ちるよう空気を吹き付ける落しエアブロウノズル86,86…が設けられている。
【0051】
図2に想像線で示すように、刷本抜取装置10は、メンテナンス時等に印刷済みの枚葉刷本の集積部8の後方を開放するよう全体として逃げ位置に上昇移動するようになっている。
【0052】
また、抜取刷本受取部80は、枚葉刷本の寸法に応じて長さを可変としてある。すなわち、図2でわかるように、せき板81が移動可能になっている。
【0053】
また、枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くすることができる。例えば、1枚だけ抜き取る場合は、枚葉印刷機1での送り速度の70〜30%程度に、複数枚を抜き取る場合は、10〜30%程度にすることができる。
【0054】
なお、配置によっては、搬送機構部50の前端部が抜取機構部20を兼ねるようにしてもよい。
【0055】
次に作用を説明する。
刷本抜取装置10は、枚葉印刷機1の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を不良品抜き取りや検査等の必要に応じて抜き取るものである。
【0056】
起倒可能なストッパ5は枚葉印刷機1に設けられ、支持ブラケット6の枢軸7に枢支されて起倒可能である。ストッパ5は、通常は起立しており、起立しているときは枚葉印刷機1から爪アーム3の爪4に把持されて搬送され、把持を放して排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部8に落とす。抜き取り動作時には、ストッパ5は倒れ、枚葉刷本を受け止めることなく通過させる。
【0057】
起倒可能なストッパ5を臨む位置に設置される抜取機構部20は、抜き取った枚葉刷本を抜取搬送部30においてコンベアベルト21の内側から負圧でコンベアベルト21の表面に吸引して後流に送る。
【0058】
搬送機構部50は、抜取機構部20で抜き取った枚葉刷本を受け取り、受け取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部80に送る。
【0059】
そして、第1次搬送部60では、抜き取った姿勢のままで枚葉刷本を負圧で吸引して後流の第2次搬送部65に送る。後流の第2次搬送部65では、送られた枚葉刷本を負圧で吸引し、枚葉刷本を受け取り姿勢にして抜取刷本受取部80に送る。
【0060】
抜取機構部20の抜取搬送部30、搬送機構部50の第1次搬送部60および第2次搬送部65では、コンベアベルト21の内側に内蔵されたバキュームボックス61の長孔35,35…がコンベアベルト21の裏面を吸引し、コンベアベルト21に多数穿設された負圧透孔31,31…を通して枚葉刷本が吸引される。コンベアベルト21が移動してもバキュームボックス61の長孔35,35…はコンベアベルト21の負圧透孔31,31…に連通していて負圧が途切れることはない。
【0061】
枚葉刷本の抜取動作時には、刷本受け機構70が突出し、枚葉印刷機1から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させる。これにより抜取動作に余裕を持つことが出来る。
【0062】
搬送エアブロウノズル85,85…は、枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本を第2次搬送部65に押し付けるよう空気を吹き付けて確実に吸引させる。その後流では、落しエアブロウノズル86,86…が吹き付けた空気により、抜き取った枚葉刷本が抜取刷本受取部80に安定して落ちる。
【0063】
枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くしてあり、安定して確実に枚葉刷本を抜き取ることができる。
【0064】
メンテナンス時等の必要に応じて、刷本抜取装置10は全体として逃げ位置に移動し、印刷済みの枚葉刷本の集積部8の後方を開放する。
【0065】
抜取機構部20は、通常は、フィンガー部36がストッパ5に近接するよう延びており、刷本抜取装置10が逃げ位置に移動するときは、ベルトの駆動方向を逆転させてフィンガー部36を反対方向に引っ込めて逃げ動作時に干渉を起こさないようにする。
【0066】
抜取刷本受取部80は、せき板81を可動にして、枚葉刷本の寸法に応じて長さを可変としてあり、適切かつ確実に枚葉刷本を受け取る。
【0067】
なお、搬送機構部50の端部が前記抜取機構部20を兼ねるようにしてもよく、構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…枚葉印刷機
2…枚葉搬送コンベア
3…爪アーム
4…爪
5…ストッパ
6…支持ブラケット
7…枢軸
8…集積部
10…刷本抜取装置
20…抜取機構部
21…コンベアベルト
22…駆動ドラム
23,24…案内ローラ
25…先端ローラ
30…抜取搬送部
31,31…負圧透孔
35,35…長孔
50…搬送機構部
60…第1次搬送部
61…バキュームボックス
65…第2次搬送部
70…刷本受け機構
71…エアシリンダ
75…受けアーム
80…抜取刷本受取部
81…せき板
85,85…搬送エアブロウノズル
86,86…落しエアブロウノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉印刷機の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取る刷本抜取装置において、
前記枚葉印刷機から排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部に落ちるようにするとともに、抜き取り動作時には受け止めることなく枚葉刷本を通過させる起倒可能なストッパを臨む位置に設置される抜取機構部と、該抜取機構部で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部とを備え、
前記抜取機構部は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部を有し、
前記搬送機構部は、ベルトコンベア構造で、前記抜取機構部で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部に送るものであることを特徴とする刷本抜取装置。
【請求項2】
枚葉印刷機の下流に設けられ、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本を必要に応じて抜き取る刷本抜取装置において、
前記枚葉印刷機から排紙される枚葉刷本を受け止めて集積部に落ちるようにするとともに、抜き取り動作時には受け止めることなく枚葉刷本を通過させる起倒可能なストッパを臨む位置に設置される抜取機構部と、該抜取機構部で抜き取った枚葉刷本を後流に送る搬送機構部とを備え、
前記抜取機構部は、ベルトコンベア構造で、抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して後流に送る抜取搬送部を有し、
前記搬送機構部は、ベルトコンベア構造で、前記抜取機構部で抜き取った枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部に送るものであり、前記抜取機構部で抜き取った枚葉刷本を受け取り、負圧で吸引して後流に送る第1次搬送部と、後流に送られた枚葉刷本を負圧で吸引して抜取刷本受取部に送る第2次搬送部とを有し、
前記抜取機構部の抜取搬送部と、前記搬送機構部の第1次搬送部および第2次搬送部とは、枚葉刷本を吸引する負圧透孔が多数穿設されたコンベアベルトの内側にバキュームボックスが内蔵され、該バキュームボックスには前記コンベアベルトの移動する負圧透孔を臨んで長孔が穿設されていることを特徴とする刷本抜取装置。
【請求項3】
枚葉刷本の抜取動作時に、前記枚葉印刷機から排紙される抜き取らない枚葉刷本を受け止めて一時的に滞留させるよう突出する刷本受け機構が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項4】
枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本を前記第2次搬送部に押し付けるよう空気を吹き付ける搬送エアブロウノズルを設けたことを特徴とする請求項2に記載の刷本抜取装置。
【請求項5】
枚葉刷本の抜取動作時に、抜き取った枚葉刷本が前記抜取刷本受取部に安定して落ちるよう空気を吹き付ける落しエアブロウノズルを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項6】
枚葉刷本の抜取動作は、連続的に排紙して集積される印刷済みの枚葉刷本の送り速度より遅くすることを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項7】
メンテナンス時等に印刷済みの枚葉刷本の集積部の後方を開放するよう全体として逃げ位置に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項8】
前記抜取機構部は、前記ストッパに近接するよう延びるフィンガー部を有し、逃げ位置に移動するときは、ベルトの駆動方向を逆転させて該フィンガー部を反対方向に引っ込めることを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項9】
前記抜取刷本受取部は、枚葉刷本の寸法に応じて長さを可変としてあることを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。
【請求項10】
前記搬送機構部の端部が前記抜取機構部を兼ねるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の刷本抜取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−79607(P2011−79607A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231588(P2009−231588)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(598010595)ウエブテック株式会社 (11)
【出願人】(509277707)
【Fターム(参考)】