説明

削岩機用ドリルヘッド

【課題】切り崩しを最適化し、鉄筋においても高い穿孔速度を実現可能な削岩機用ドリルヘッドを得る。
【解決手段】穿孔軸線Aに沿って延在し、少なくとも1つの主刃11と、少なくとも1つの補助刃12とを備える削岩機用の超硬合金製ドリルヘッド。主刃11は、第1半径方向内側端部16から、第1直径D1上に位置する第1半径方向外側端部17まで延在し、補助刃12は、第2半径方向内側端部18から、第1直径D1よりも小さい第2直径D2上に位置する第2半径方向外側端部19まで延在する。補助刃12の包絡面H1全体は、主刃11の包絡面H2よりも軸線方向に突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1前段に記載するタイプのドリルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの、削岩機用ドリルヘッドは、刃材製の、好適には超硬合金製の刃を備え、例えば、全体が超硬合金製の、または複数の部品でからなるドリルヘッドとして構成される。この場合、超硬合金製とは、焼結または溶かした炭化物、ケイ化物、ホウ化物、またはこれらの合金を意味するものとする。
【0003】
ドリルヘッドが装着された削岩機は、通常、軸線方向の打撃も可能な回転穿孔装置、特に手持ち穿孔装置に適用され、通常は、回転打撃によって穿孔を形成したり、コンクリートや石造建築を打ち抜いたりするのに使用される。軸線方向の打撃は、穿孔装置の工具受けにセットされた、削岩機のシャフトの端部において発生し、シャフトおよびドリルヘッドによって、被加工物に導かれる。このようにして、被加工物は削られたり砕かれたりして、徐々に切り崩される。削岩機には、達成可能な穿孔作業や消費エネルギー量に関して高い水準が要求されるほか、可能な限り高い耐久性を有することが望まれる。
【0004】
特許文献1には、穿孔シャフトであって、その長手方向に沿って螺旋状に延在する、切り崩された穿孔屑のための少なくとも1つの搬出溝を有する穿孔シャフトを備えた削岩機が記載される。この削岩機は、穿孔シャフトの端部領域と連結されている、総じて超硬合金から成るドリルヘッドを備える。ドリルヘッドは、主刃と、少なくとも1つの補助刃を備え、これらの刃は、それぞれドリルヘッドの対角線に沿って取付けられる。主刃は、半径方向に第1直径まで延在し、補助刃は、半径方向に、第1直径よりも小さい第2直径まで延在する。このとき、補助刃は、主刃の周囲領域を軸線方向に突出する。
【0005】
この削岩機においては、鉄筋を穿孔する際には、実質的に主刃のみが鉄筋を切り崩すため、主刃が切り崩しのほとんどを行うことになり、主刃への負担が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第19724373号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、切り崩しを最適化し、鉄筋に対して高い穿孔速度を実現可能な削岩機用ドリルヘッドを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載する特徴を備えたドリルヘッドにより解決される。これによれば、補助刃と、直径を決定する主刃とがドリルヘッドに取付けられる。補助刃の包絡面全体が、主刃の包絡面よりも軸線方向に突出する。ここで「直径を決定する」とは、主刃が、削岩機により形成される穿孔の直径を決定するということを意味する。この特徴により、削岩機の作動中、全ての刃が、穿孔されるべき鉄筋を切り崩すことになる。このとき、補助刃は鉄筋の一部を切り崩し、主刃がその他の部分を切り崩す。
【0009】
さらに、本発明のドリルヘッドを備えるドリルは、側方に滑ったり流れたりすることがないので、穿孔内のシャフトを容易に鉄筋と接触させることができる。さらに、ドリルヘッドは、鉄筋に絡みつく傾向が少ない。
【0010】
本発明の好適な実施形態において、ドリルヘッドには、2つの主刃と2つの補助刃を設ける。この構成により、さらに切り崩しが好適となる。
【0011】
少なくとも1つの主刃が少なくとも1つの補助刃に対し直角を成すように延在すると、さらに切り崩しが向上する。
【0012】
好適には、少なくとも1つの主刃および少なくとも1つの補助刃は、それぞれ直線上に延在する。
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のドリルヘッドの一実施形態における第1側面図である。
【図2】図1に示すドリルヘッドの上面図である。
【図3】図1に示すドリルヘッドの第2側面図である。
【図4】図1に示すドリルヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜4には、本発明に係る、穿孔軸線Aに沿って延在する削岩機用ドリルヘッド10が示される。このドリルヘッド10は、超硬合金製ヘッドとして仕上げられており、2つの主刃11と2つの補助刃12とを備える。このとき、主刃11および補助刃12は、2つの、互いに直角を成して交差する切削プレート14,15に取付けられる。代替実施形態において、ドリルヘッドは、例えば穿孔シャフト(図示せず)にはんだ付けされた、いわゆる、全超硬合金製ヘッドとして構成されていても良い。これに対し、図示された超硬合金製ヘッドは、穿孔シャフト(図示せず)の端部に設けられた十字状に交差する溝に差し込まれ、ここにはんだ付けされる。主刃11は、第1の半径方向内側端部16から、第1の半径方向外側端部17まで延在する。このとき、第1半径方向外側端部17は、第1直径D1上に位置する。一方、補助刃12は、第2の半径方向内側端部18から、第2の半径方向外側端部19まで延在する。このとき、第2半径方向外側端部19は、第1直径D1よりも小さい第2直径D2上に位置する。このため、ドリルヘッド10により形成される穿孔の直径は、主刃11により決定されることとなる。
【0016】
補助刃12は、第1包絡面H1を規定する。この第1包絡面H1は、主刃11により規定される第2包絡面H2よりも全体的に軸線方向に突出している。このとき、包絡面H1,H2とは、補助刃12あるいは主刃11が回転する際に、軸線A周囲に広がる面のことを指す。これら包絡面H1,H2の軌跡は、図1〜3において点線で示される。
【0017】
特に図2に示されるように、主刃11は、それぞれ、補助刃12に対し直角を成すように配設される。図示される実施形態において、主刃11および補助刃12は直線上に延在する。しかしながら、代替実施形態においては、これらの刃はそれぞれ一回または複数回カーブしたものでもよい。双方の主刃11は、ドリルヘッド10の先端13領域において、チゼルエッジ20によって互いに連結される。代替実施形態において、このようなチゼルエッジ20は省略されていても良い。
【符号の説明】
【0018】
10 ドリルヘッド
11 主刃
12 補助刃
13 先端
14 プレート
15 プレート
16 第1内側端部
17 第1外側端部
18 第2内側端部
19 第2外側端部
20 チゼルエッジ
A 穿孔軸線
D1 第1直径
D2 第2直径
H1 第1包絡面
H2 第2包絡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機用の超硬合金製ドリルヘッドであって、穿孔軸線(A)に沿って延在し、少なくとも1つの主刃(11)と、少なくとも1つの補助刃(12)とを備え、前記主刃(11)は、第1の半径方向内側端部(16)から、第1直径(D1)上に位置する第1の半径方向外側端部(17)まで延在し、前記補助刃(12)は、第2の半径方向内側端部(18)から、前記第1直径(D1)よりも小さい第2直径(D2)上に位置する第2の半径方向外側端部(19)まで延在する、該ドリルヘッドにおいて、
前記補助刃(12)の包絡面(H1)全体が、前記主刃(11)の包絡面(H2)よりも軸線方向に突出することを特徴とするドリルヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のドリルヘッドにおいて、2つの主刃(11)と2つの補助刃(12)とを備えることを特徴とするドリルヘッド。
【請求項3】
請求項1または2記載のドリルヘッドにおいて、前記少なくとも1つの主刃(11)は、前記少なくとも1つの補助刃(12)に対し直角を成すように延在することを特徴とするドリルヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項記載のドリルヘッドにおいて、前記少なくとも1つの主刃(11)および前記少なくとも1つの補助刃(12)は、それぞれ直線上に延在することを特徴とするドリルヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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