説明

前立腺マッサージ器具

【課題】前立腺をマッサージする器具を提供する。
【解決手段】前立腺をマッサージする器具30は、実質的に楕円の形状と,括約筋を通して直腸に取り付けるための大きさを有する胴体31と,ここで,胴体は頭部32及び首部32を含み,頭部32は,直腸に挿入されたとき,直腸壁を通して前立腺に接触するように設定され,首部33は,頭部から離れるにつれ徐々に直径が減少するテーパー部分を有し;実質的にT形状構造を形成するように首部33の一端で胴体31に結合した固定棒34と,ここで肛門と陰嚢の間の会陰領域にある第1のツボと,肛門と尾骨の下端の間の中程にある第2のツボとに接触するための2つのノブ35、36からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,良性前立腺肥大(BPH)及び前立腺炎を含む,前立腺の異常を予防する及び治療するための器具に関する。より詳しく説明すると,本発明は,前立腺をマッサージするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺は,動物において男性生殖器系の一部である複合管状外分泌腺である。一般的な前立腺の異常には,良性前立腺肥大(BPH),前立腺炎,及び前立腺癌が含まれる。BPHは前立腺が肥大した状態であり,老年男性でしばしば引き起こされる。重度のBPHは,肥大した前立腺が尿道を圧迫するため,排尿困難を引き起こしうる。BPHは,薬物治療,又は前立腺の一部を取り除く外科手術で治療されうる。
【0003】
前立腺炎は,前立腺の炎症である。前立腺炎には様々な形態がある。急性前立腺炎および慢性細菌性前立腺炎は抗体で治療されるかもしれないが,前立腺炎診断の95%の割合を占める,慢性非細菌性前立腺炎は,α−アドレナリン阻害剤,理学療法,心理療法,及び抗ヒスタミン剤を含む,様々な方法で治療されうる。
【0004】
慢性非細菌性前立腺炎は,前立腺内の流動体を増加させ,結果として前立腺を充血させるかもしれない。慢性非細菌性前立腺炎に対する治療の1つは,前立腺のマッサージである。泌尿器科医の中には,このような前立腺炎に対する最も効果的な治療は,医者が一定の間隔で前立腺をマッサージすることであると信じている者もいる。しかしながら,しばしば患者が頻繁に診療所に行く必要があり,かなり費用がかかり,不便であるので,このようなマッサージは困難である。それゆえ,個人が,自分自身の前立腺をマッサージすることができる装置が望まれる。
【0005】
前立腺は,肛門に隣接して位置しているので,直腸壁を介して前立腺と接触させることができる様々な装置が,技術的に考え出されてきた。例えば,Brenmanらの米国特許第4,542,753号では,装置が直腸に配置された後,前立腺と勃起組織を刺激するために,電気信号を生成するための電極と電気回路を有する器具が開示されている。
【0006】
Cathaudらの米国特許第5,404,881号には,柔軟性のある自己支持ポリマー材料で製造された経直腸プローブが記載されている。ポリマー材料に柔軟性があるおかげで,その場所での形状に適合し,直腸を介する臓器(前立腺など)の検出又は治療療法用の機器を,安全に,且つ確実に位置調整することができる。
【0007】
H.M.Smallenらの米国特許第2,478,786号には,手で操作する前立腺マッサージ器具が記載されている。この器具には,内部ハンドルを有するレバーが含まれ,腹部および股間の下に伸びる実質的に水平な部分の前に伸びるように,そして生殖器官を避けて側面にそって補うように,パワーアームを構成する。器具は,ワークアームを形成する,上方におよび前方に湾曲した後方部分を有する。このワークアームは,前立腺に隣接した直腸路の正面壁に寄せるようにして,直腸路内に及ぶ。水平部分と後方部分の間の湾曲した部分は,直腸の前壁に対して支点として機能し,器具は直腸開口時にこの点を軸として回転する動きの影響を受けやすい。
【0008】
本願の発明者は,前立腺マッサージ装置を複数発明しており,米国特許第5,797,950号;米国特許第5,861,000号;米国特許第6,589,193号;米国特許第6,802,850号;米国特許第7,211,059号;及び公開米国特許出願第2002/0040200号;公開米国特許出願第2004/0158182号;公開米国特許出願第2005/0266048号に開示されている。これらの特許及び出願は,参照されることによって,全体に取り込まれる。これらの装置は,手で操作する必要はなく,括約筋の収縮によって操作される。図1及び図2は,このような装置を2つ例示している。
【0009】
図1に示したように,前立腺マッサージ用装置は,一般的に棒状の胴体を有し,直腸を介して前立腺に接触するように設計された頭部112,首部123,及び固定部114を含む。首部123は,頭部112から徐々に径が減少していき,括約筋が収縮することで,装置が上方に押され,前立腺をマッサージするように設計されている。固定部114は,一般的にC形状を形成するように,曲部121で首部123と結合し,装置が完全に直腸に入ることを防ぐように,そして,また会陰−鼠径部{そけいぶ}領域と接触するように設計され,それによって,頭部112を前立腺に接触させる。
【0010】
図2A及び図2Bは,本発明者によって発明された別の前立腺マッサージ装置を示し,括約筋26の収縮前(図2A)及び収縮後(図2B)の直腸24中における装置位置を示す。図2Bに示したように,装置は,括約筋26の収縮によって押し上げられるので,頭部42は前立腺28を圧迫する。図2Aに示したように,括約筋26が弛緩すると,装置は下方にスライドし,結果として前立腺の圧縮が抑えられる。従って,括約筋の収縮と弛緩が繰り返されることで,手を使うことなしで,所望の前立腺のマッサージを実現することができる。
【0011】
これらの従来技術の装置は,充血した前立腺をマッサージする便利な方法を提供する。しかしながら,前立腺マッサージ装置は改善する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0012】
本発明のある側面は,前立腺をマッサージするための器具に関する。本発明の1実施態様に記載の器具は,胴体と,固定棒とを含む。胴体は,実施的に楕円形状で,括約筋を通して直腸に適合する大きさを有する。ここで胴体は頭部と首部を含み,頭部は,直腸中に挿入されたとき,直腸壁を通して前立腺に接触するように設定されている。そして,首部は,頭部から離れるほど徐々に径が縮小するテーパー部分を有している;固定棒は,実質的にT形状構造を形成するように首部の1末端で胴体と結合されている。ここで固定棒は,第1のツボと第2のツボに接触するための2つの接点を含む。第一のツボは肛門と陰嚢の間の会陰にあり,第2のツボは,肛門と尾骨の下端との間の中程にある。ここで,頭部と2つの接点は,前立腺,第1のツボ及び第2のツボに同時に接触できるように設定されている。
【0013】
本発明の別の側面は,前立腺をマッサージする方法に関する。本発明の1実施態様に記載の方法は,前立腺と,肛門と陰嚢の間の会陰領域にある第1のツボと,肛門と尾骨の下端の間の中程にある第2のツボとに接触するように設計された装置を提供すること;装置を直腸に挿入すること,ここで装置は,直腸に挿入されたとき,括約筋と接触するテーパー部分を有する;装置が上方に動き,その結果,装置が前立腺をマッサージして,第1のツボと第2のツボに圧力をかけるように,括約筋に接触すること;を含む。
【0014】
本発明の他の側面および利点は,以下の明細書及び添付した請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は,従来の前立腺マッサージ器具を示す。
【0016】
【図2】図2A及び図2Bは,使用中の従来の前立腺マッサージ器具を示す。
【0017】
【図3A】図3Aは,本発明の1実施態様に記載の前立腺マッサージ器具を示す。
【0018】
【図3B】図3Bは,図3Aの器具を示し,器具の特徴を例示している。
【0019】
【図3C】図3Cは,本発明の器具の別の例を説明し,異なる形状の固定棒及び接点の例を示す。
【0020】
【図4】図4は,固定棒と柔軟に結合した胴体部を有する本発明の別の実施態様を示す。
【0021】
【図5】図5は,調節できるように固定棒に取り付けられた接点を1つ有する本発明の別の実施態様を示す。
【0022】
【図6】図6は,調節できるように固定棒に取り付けられた接点の一つと,固定棒と柔軟に結合した胴体部とを有する発明の別の実施態様を示す。
【0023】
【図7】図7は,発明の実施態様に記載の前立腺マッサージ器具について,複数の変更及び修正を示し,発明の実施態様で用いられてもよい,様々な形状の胴体及び固定棒を示す。
【0024】
【図8】図8は,人体の下位部の断面図の説明図を示し,2つのツボの位置を説明する。
【0025】
【図9】図9は,使用中の前立腺マッサージ器具を説明する略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施態様は,前立腺マッサージ器具に関する。前立腺マッサージ器具は,例えば,括約筋の収縮動作と弛緩動作とを切り替えるマッサージ動作を,前立腺をマッサージするために直腸中の装置の上下運動に与える,括約筋に頼っている。加えて,本発明の実施態様に記載の器具は,会陰領域,及び肛門と尾骨の下端との間の中程の領域に圧力を与え,治療目的でこれらの領域を刺激するように指圧治療圧力を引き起こすことができる。本発明の実施態様は,前立腺をマッサージすることで,利用者の体験を改善できる間,2つのツボを圧迫するという,予期せぬ結果に基づくものである。具体的には,前立腺をマッサージする間,これらの2つのツボを圧迫することを,快適で心地よい感覚を利用者に与えるということを,思いがけなく判明した。心地よい感覚は,装置を利用するように促し,そのため,患者のコンプライアンスを促進する。
【0027】
指圧療法は,その医療効果,特に痛みの緩和と管理において,世界中で徐々に受け入れられている。世界保健機構(WHO)は,指圧療法に対する統一の標準化した用語“標準指圧療法用語”,第二版,1993(ISBN9290611057)を発行した。
【0028】
会陰領域はCV1経穴(中国名:Huiyin;日本名:Ein;Wade−Gill名:Hui Yin)を含み,図8に示すように,経穴は肛門と陰嚢の間に位置する。CV1経穴は,任脈沿いの最初の経穴である。指圧療法において,CV1は,様々な泌尿生殖器疾患,痔疾患,及び直腸脱の治療に使われる。このように,会陰領域に指圧療法を適用するとは,治療的有用性をもたらす可能性がある。
【0029】
肛門と尾骨の先端との間の中程の領域は,図8に示されるように,GV1経穴を含む。この領域は,以下明細書中で,“GV1領域”とよぶ。GV1は,督脈沿いの最初の経穴である。中国名は“Chang Qiang”(日本名:Chokyo;Wade−Gill名:Chang Chiang)である。指圧療法では,痔,直腸脱,裂肛,並びに,尿路疾患,尿貯留,性機能の低下,陰萎,及び射精を含む様々な泌尿生殖器疾患の治療に使われる。参照:http://www.yinyanghouse.com/acupuncturepoints/gv1。このように,このような領域に圧力を加えることは,治療的有効性をもたらす可能性がある。
【0030】
前立腺をマッサージし,同時に,会陰及びGV1領域に圧力を加えるために,本発明の実施態様に記載の器具は,実質的にT状構造を有する。図3Aは,その一例を示し,逆T方向で表している。
【0031】
図3Aに示されるように,本発明の1実施態様に記載の前立腺マッサージ器具30は,胴体31と固定棒34とを含み,実質的にT状構造で結合されている。T状構造は,図3Bに示した水平方向の点線Hと垂直線Vで表されているように,正確に90°で結合している必要はない。この例示において,水平線Hと垂直線Vは,胴体の縦軸(寸法が長い軸)と固定棒とをそれぞれ通って引かれている。好ましい実施態様は,胴体と固定棒によって形成される2つの角度が矩形となるように,“イタリック体の”Tのような構造の実質的なT状を有する。好ましい実施態様において,胴体31は,後方に,例えば,GV1のツボに接触するように設計されているノブ36の方に,傾転(傾斜)している。
【0032】
図3Bを参照すると,本発明の装置は,前立腺をマッサージし,2つのツボに圧力を加えるために使用されるので,図3B中に示した3つの距離D,D,及びDは,特定の人に適合するような適切な大きさである。平均的成人用では,Dは約2.5〜4.5インチ(約7〜12cm)であり,好ましくは約3インチ(約8cm)であり;Dは約2.5〜5インチ(約7〜13cm)で,好ましくは約3.5インチ(約9cm)であり;及び,Dは約3〜5.5インチ(約8〜14cm),好ましくは約3.75インチ(約10cm)である。
【0033】
固定棒上の2つの接点(図3B中,DとD)の距離は,結合部から等しい間隔である必要はなく,ここで胴体31は固定棒34と接触している。加えて,2つの接点35と36は,接点36を有する固定棒34を通る水平線Hから異なる距離にあり,水平線Hからかなり離れているGV1領域を圧迫するように設計されている。
【0034】
図3Aを再度参照すると,装置の胴体31は,通常,細長い楕円であり,直腸の内部により良く適合するように,または,より良い前立腺マッサージ機能を有するように,(実施態様に示したように)突出及び/又はくぼみを有してもよい。胴体31の直径は,括約筋を通してヒト直腸に挿入される大きさである。一般的に,通常の棒状胴体31の最大径は,約2インチ(約5cm)以下,より好ましくは約1.5インチ(約4cm)以下であればよい。胴体31の長さは,前立腺に達するのに十分な長さであるが,長すぎない。従って,胴体31は,好ましくは約3〜6インチ(約8〜15cm)の長さ(頭部の頂点から固定棒の結合部までを測定したときの長さ)であり,より好ましくは約4〜5インチ(約10〜13cm)の長さであり,最も好ましくは4〜4.5インチ(約10〜12cm)の長さである。
【0035】
図3Aの実施態様で示したように,この器具の胴体31は,頭部32と首部33を有する。頭部32は,通常,球形状を有してもよく,(直腸壁を通して)前立腺に接触するように設計されている。首部33は,通常,結合部に向かうにつれて徐々に径が減少する(すなわち,テーパー状)(すなわち,頭部32から固定棒34の方向に向かって径が減少する),棒状または円錐形状を有してもよい。首部33のテーパー構造のおかげで,括約筋の収縮により,使用中に胴体31を上方に押し上げることができる(図2B)。
【0036】
固定棒34は,胴体31が,直腸中に完全に滑り込むこと,または極端に上方に達することを防ぐ役目を果たす。加えて,本発明の実施態様において,固定棒34は,会陰とGV1領域の両方に圧力を加えることができるように“接点”を備えている。図3Aに示した実施態様において,固定棒34は,会陰とGV1領域のそれぞれに接触し圧力を加えるために,ノブ(または球状構造)及び36を含む,湾曲端(胴体31方向に湾曲した固定棒34のL形状端部)を有する。
【0037】
会陰とGV1領域に接触するように設計された構造の特徴(例えば,ノブ35,36)は,この明細書中,通常“接点”とよぶ。ノブ35及び36は,図3Aに示したような球形状を有していなくてもよいことに留意する。かわりに,ノブ35及び35は,楕円形状,円筒形状,円錐形状などを含む,どのような形状であってもよい。さらに,“接点”は,会陰またはGV1領域に接触するように意図された固定棒34上の単なる1表面または1領域であってもよい。実施例を参照すると,図3Cに示した実施態様では,接点35’は固定棒34’の単なる円形端であり,一方,接点36’は固定棒34’の端の膨らみである。当業者であれば,本発明の装置の“接点”はどのような形状であってもよいことを十分に理解できる。
【0038】
図3Aに示した実施態様において,固定棒34は,胴体31方向に湾曲する端を有する。このような湾曲端は本発明の実施態様において必須ではないことに留意されたい。例えば,本発明のいくつかの実施態様では,湾曲部分を介入することなしで,固定棒34の端部に直接取り付けられる,ノブ35及び35を有してもよい。他の例において,固定棒34は,会陰及びGV1領域に簡単に圧力を加えられるように,図3Cに示すように,(図3Aに示したような相対的な急カーブの代わりに)緩やかな湾曲部を有してもよい。
【0039】
図3Aに示した実施態様は,固定棒34をより硬度をあたえるために,固定棒34の底面に取り付けられた補強ハンドル(突出部)37を含んでもよい。しかしながら,本発明のいくつかの実施態様によれば,固定棒34は,このような補強ハンドル37を有していなくてもよく,一方,いくつかの実施態様では,ツボに加える圧力を減少させるように,幾分柔軟性を有する固定棒を含んでさえもよい。
【0040】
上記のとおり,本発明の実施態様では,利用者は,2つのツボであるCV1及びGV1を圧迫している間,前立腺をマッサージすることができる。これらのツボの距離は,異なる個体間でわずかに変えてもよいので,本発明の実施態様では,マッサージに使用される装置の形状または構造に関して幾分か柔軟性を提供してもよい。たとえば,いくつかの実施態様は,図4に例示したように,胴体部分を固定棒と結合する方法の観点から,柔軟性を提供してもよい。図4は,本発明の実施態様の一例を示す。胴体41は様々な角度で固定棒44と結合するように,胴体部41と固定棒44は,ピボット構造49で結合されている。ピボット構造49は,利用者が,使用中に適切な角度を選択し,その角度で固定するようにされてもよい。代わりに,ピボット構造49は,結合部が使用中に回転するように,すなわち,使用中に自由に角度を変えることができるようにされてもよい。さらに,いくつかの実施態様では,ピボット構造49は,胴体部分41が固定棒44とは異なる距離に場所にあるように,上下に調節することができる構造を含んでもよい。これらの柔軟な構造すべては,通常,“柔軟結合部”とよばれ,胴体部41が固定棒44と結合する方法を“柔軟に結合した”とよぶ。
【0041】
胴体と固定部が柔軟に結合することができることに加えて,本発明のいくつかの実施態様において,CV1及びGV1のツボを圧迫するように設計された“接点”の間の距離は柔軟に変化してもよい。例えば,図5は,本発明の1実施態様を示し,接点56は,調節構造59を介して固定棒54に調節して取り付けられる。この実施態様では,接点56のみが固定棒に“調節できるように取り付けられる”ことを示しているが,当業者であれば,他の接点55も,本発明の範囲から外れることなく,調節することができることが分かる。
【0042】
同様に,結合部(図4に示す)と接点(図5に示す)の両方が柔軟性を有してもよい。図6は本発明の1実施態様を示し,胴体部分61は,ピボット構造68を介して柔軟に固定棒64と結合する。同時に,接点66も調節構造69によって固定棒64と“調節して取り付けられて”いる。“調節できるように取り付けられて”という用語は,接点が固定棒と柔軟に取り付けられていないことを意味する。
【0043】
上記の例は,胴体部が固定棒と結合ができる方法,及び,接点が変化できる方法について,いくつかのバリエーションを示す。加えて,本発明の実施態様のうち胴体部及び固定棒は,様々な形状を有してもよい。例えば,胴体部の可能な形状は,上記したように,本発明の発明者による特許および特許出願に開示されている。これらのバリエーションのいくつかを図4に示した。図4のこれらの例は,例示の目的のみのために提示されていることに留意されたい。当業者であれば,本発明の範囲から外れることなしで,様々な修正及び変更をすることができる。
【0044】
本発明の実施態様に記載の器具は,プラスチック,ポリマー,ゴム,エラストマー,シリコン,複合材料,金属および合金を含む,任意の適切な材料で製造されればよい。本発明の器具は,全体を単一の材料で製造してもよく,または単一の材料で製造しなくてもよい。例えば,器具の頭部はゴム様材料で製造し,一方,首部は逆に剛体材料で製造されてもよい。代わりに,器具は内側がある材料(例えば,金属または合金)で製造されてもよく,一方,器具の外側が他の材料(例えば,ゴム様材料)で製造されてもよい。
【0045】
図9は,使用中の本発明の前立腺マッサージ装置を示す。図9に示したように,マッサージ装置90は直腸に挿入され,その頭部92は直腸壁を通して前立腺に容易に接触し,一方,首部93は括約筋と接触している。装置の接点95及び96は,それぞれCV1及びGV1と接触する。括約筋が接触するとき,装置90は,首部93のテーパー形状のため,上方にスライドする。装置が上方にスライドすると,前立腺にこすりつけられ,CV1及びGV1のツボに圧力も加える。括約筋が弛緩すると,図9に示すように,装置は元の場所まで下方にスライドする。このように括約筋が収縮と弛緩を繰り返すことで,結果として装置が上下に動き,前立腺がマッサージされ,同様に,CV1及びGV1のツボが圧迫される。
【0046】
本発明の利点は,以下の1つ以上の利点を含んでもよい。本発明の装置は,利用者によって,括約筋の動きによって,前立腺のマッサージを提供することができ;手による操作は必要とされない。加えて,本発明の装置は,前立腺がマッサージされている間,会陰とGV1領域に圧力を与えることができる。これらのツボを同時に圧迫することは,利用者にさらなる治療的有効性をもたらすことができる。
【0047】
本発明は,限られた数の実施態様に関して記載されているが,当業者であれば,開示された利点を有し,本明細書に記載された本発明の範囲から外れない他の実施態様を考え出すことができる。従って,本発明の範囲は,添付した特許請求の範囲に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺をマッサージする器具であって,
実質的に楕円の形状と,括約筋を通して直腸に取り付けるための大きさとを有する胴体と,
ここで,前記胴体は頭部と首部を含み,
前記頭部は,前記直腸に挿入されると,前記直腸の壁を通して前記前立腺と接触するように設定され,
前記首部は,前記頭部から離れるにつれ直径が徐々に減少する,テーパー部分を有し;
及び,
実質的にT形状の構造を形成するように,前記首部の一端で前記胴体に結合した固定棒と,
ここで,前記固定棒は,肛門と陰嚢の間の会陰領域にある第1のツボと,前記肛門と尾骨の下端との間の中ほどにある第2のツボと,に接触するための2つの接点を含み,
ここで,前記頭部と前記2つの接点は,前記前立腺と,前記第1のツボと,及び前記第2のツボと,に同時に接触できるように設定されている,
器具。
【請求項2】
前記固定棒は,前記固定棒の2つの端が前記胴体方向に湾曲している,湾曲形状を有する,請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記2つの接点のうち少なくとも1つは,前記固定棒の1端部を含む,請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記2つの接点ののうち少なくとも1つは,球状構造を含む,請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記2つの接点は,約3インチ離れている,請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記胴体の最大径は,約2インチ以上ではない,請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記胴体の長さは,約3.5〜5.0インチである,請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記実質的にT形状の構造は,前記胴体及び前記固定棒によって形成される2つの角度が矩形ではない形状を有する,請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記胴体は,前記固定棒と柔軟に結合している,請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記2つの接点のうち少なくとも1つは,調節できるように前記固定棒に取り付けられている,請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記胴体は,前記固定棒と柔軟に結合されている,請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記胴体および前記固定棒は,異なる材料で製造されている,請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記固定棒は,柔軟な材料で製造されている,請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記器具は,プラスチック,ポリマー,ゴム,エラストマー,シリコン,複合材料,金属,及び合金からなる群から選ばれる材料で製造されている,請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前立腺のマッサージ方法であって,
前記前立腺と,肛門と陰嚢の間の会陰領域にある第1のツボと,前記肛門と尾骨の下端との間の中ほどにある第2のツボと,接触するように設定された装置を提供する工程と,

前記装置を直腸に挿入する工程と,
前記装置は,前記直腸に挿入されたとき,括約筋に接触するテーパー部分を有し,

前記括約筋が前記装置を上方に動かすように接触し,その結果,前記装置が前記前立腺をマッサージし,前記第1のツボと前記第2のツボに圧力をかける工程と,

を含む,方法。

【請求項16】
前記装置を下方にスライドさせるために前記括約筋を弛緩させる工程と;前記装置を上方に動かすように前記括約筋を再度接触させる工程と;及び前記弛緩工程と再接触工程を繰り返す工程と;をさらに含む,請求項15に記載の方法。

【請求項17】
前記装置は,
実質的に楕円の形状と,括約筋を通して直腸に取り付けるための大きさとを有する胴体と,
ここで,前記胴体は頭部と首部を含み,
前記頭部は,前記直腸に挿入されたとき,前記直腸の壁を通して前記前立腺に接触するように設定され,及び
前記首部は,前記頭部から離れるにつれ徐々に直径が縮小するテーパー部分を有し,
実質的にT形状構造を形成するように前記首部の一端で前記胴体と結合した結合棒と,
ここで,前記結合棒は,前記肛門と前記陰嚢の間の前立腺領域にある第1のツボと,前記肛門と前記尾骨の下端の間の中ほどにある第2のツボとに接触させるために2つの接点を含み,
ここで,前記頭部と前記2つの接点は,前記前立腺と,前記第1のツボと,及び前記第2のツボと,に同時に接触できるように設計されている,
請求項15に記載の方法。

【請求項18】
前記胴体は,前記固定棒と柔軟に結合されている,請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記2つの接点のうち少なくとも1つは,調節できるように前記固定棒に取り付けられている,請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記2つの接点のうち少なくとも1つは,球状構造を含む,請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−207896(P2009−207896A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46320(P2009−46320)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(503107842)
【Fターム(参考)】