説明

前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラム

【課題】保守操作の内容をファンに漏れることなく保守操作を行うことができるようにする。
【解決手段】前面保守端末装置は、タッチパネル1と、会員カードとしてのICカードの情報を読み取るICカードリーダ2と、マークカードを読み取るマークカードリーダ3と、投票券の購入内容を印字するレシートプリンタ4とを備える。保守を行う場合、保守員の認証を保守カード認証部5が行い、保守コマンドの入力は、保守マークカードに記入してマークカードリーダ3に読み取らせるか、タッチパネル1による画面入力で行う。どちらで入力するかは、コマンド入力方法選択部6にて選択され、保守マークカードによる場合は、保守マークカード認証部9で認証してから入力し、画面入力による場合は、通常画面のメニューに割り当てた保守コマンドをコマンド変換部7で変換して保守コマンド実行部8に入力する。保守結果は、レシートプリンタ4で印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラムに関し、特にファンの面前で保守操作が必要な前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競馬、競輪、競艇、オートレース場などの公営競技場や場外の投票券発売所には投票券を発売および払戻をする端末装置が設置されている。このような端末装置は、投票券を購入する際に、表示画面のタッチパネルを操作する以外に、どの投票券を購入するかをあらかじめ記入したマークカードを使用することが一般に行われている。このため、端末装置には、マークカードを読み取るマークカードリーダ、入金機、投票内容を印字した投票券を排出するプリンタを備えている。また、磁気カードやICカードなどの電子キャッシュカードを利用できるようにしてキャッシュレスで投票券を購入できるようにした端末装置も知られている(たとえば、特許文献1参照)。キャッシュレスシステムでは、特定公営競技の会員カードがICカードになっていて、そのICカードに特定公営競技場で使える金額が入金されていて、その入金残高の範囲内で投票券を購入でき、購入した内容は、レシートプリンタにて印字され、排出される。
【0003】
公営競技場などに設置される端末装置には、ファンがいる場所と同じ場所で保守操作を行う前面保守端末装置と、後面側に設置されたバックヤードで保守操作を行う後面保守端末装置とがある。前面保守端末装置は、通常運用画面を表示しているタッチパネルを操作して保守モードに移行し、画面に表示されるエラー内容、保守メニューに従って保守操作を行う。一方、後面保守端末装置は、保守操作画面をバックヤードに設置してそこで保守作業を行うことができるので、保守操作をファンの目に触れずに迅速に行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−191171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前面保守端末装置は、接客中にエラーが発生した際にファンの前でタッチパネルを操作して保守操作を行わなければならないので、保守操作中の保守コマンドがファンに漏洩してしまう可能性があるという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、保守操作の内容をファンに漏れることなく保守操作を行うことができる前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記の課題を解決するために、保守操作のための入力がなされるタッチパネルと、会員カードとしてのICカードの情報を読み込むICカードリーダと、マークカードを読み取るマークカードリーダとを備えた前面保守端末装置において、前記ICカードリーダにより読み込まれた前記ICカードの情報から前記ICカードが保守カードであることを認証する保守カード認証部と、前記ICカードが保守カードであることが認証されたときに、保守コマンドの入力を前記マークカードにするか前記タッチパネルによる画面入力にするかを選択させるコマンド入力方法選択部と、前記マークカードリーダにより読み込まれた前記マークカードが保守マークカードであることを認証する保守マークカード認証部と、前記保守コマンドの入力が前記タッチパネルによる画面入力に選択されたときは前記タッチパネルへの操作を通常の運用画面に表示されているボタンに対して行うときに前記ボタンに割り当てられている保守コマンドを出力し、前記保守コマンドの入力が前記マークカードに選択され前記マークカードが保守マークカードであることが認証されたときは前記マークカードで通常の運用で投票券を購入するために記入されるマークに割り当てられている保守コマンドを出力するコマンド変換部と、前記コマンド変換部により出力された保守コマンドを実行する保守コマンド実行部と、を備えていることを特徴とする前面保守端末装置が提供される。
【0008】
また、本発明では、前面保守端末装置の保守方法において、保守員の認証を会員カードとしてのICカードで行い、保守コマンドの入力をマークカードで行うかタッチパネルによる画面入力で行うかを選択し、保守コマンドの入力を前記マークカードで行うときには、前記マークカードが保守マークカードであることを認証し、認証された前記保守マークカードに記載の保守コマンドまたは前記タッチパネルによる画面入力で入力された保守コマンドを実行し、保守結果をレシートプリンタにて印刷出力する、ものであって、前記タッチパネルによる画面入力には、通常の運用画面に保守メニューの項目を割り当てて前記保守メニューはマスクしたことを特徴とする前面保守端末装置の保守方法が提供される。
【0009】
さらに、本発明では、コンピュータを、ICカードリーダにICカードの情報が読み込まれたときに前記ICカードが保守カードであることを認証する保守カード認証手段、保守コマンドの入力をマークカードにするかタッチパネルによる画面入力にするかを選択するコマンド入力方法選択手段、前記タッチパネルへの操作を通常の運用画面に表示されているボタンに対して行うときに前記ボタンに割り当てられている保守コマンドを出力するコマンド変換手段、前記マークカードに記入された保守コマンドまたは前記タッチパネルによる画面入力により入力された保守コマンドを実行する保守コマンド実行手段、マークカードリーダに挿入された前記マークカードが保守マークカードであることを認証する保守マークカード認証手段、保守コマンドの入力に使用した前記保守マークカードが返却されたときに、当該保守マークカードが回収されたかどうかを監視し、所定時間内に回収されない場合、返却した前記保守マークカードを装置内に取り込む返却マークカード監視手段、として機能させるための保守プログラムが提供される。
【0010】
このような前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラムによれば、保守員の認証をICカードで行い、保守コマンドの入力を、マークカードに記入した保守コマンドを読み込ませるか、タッチパネルの画面入力で行わせ、マークカードによる場合は、マークカードを認証してから保守コマンドを読み込ませ、画面入力による場合は、通常画面のメニューに割り当てた保守メニューで行う。保守コマンドの入力をマークカードにより行い、画面入力では、保守メニューをマスクした画面で行うことで、保守作業をファンが見ていたとしても、保守コマンドがファンに漏れることがない。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の前面保守端末装置、前面保守端末装置の保守方法および保守プログラムは、保守コマンドをマークカードに記入して読み込ませるか保守メニューをマスクした画面入力で行うため、保守コマンドが外部に漏れることはないという利点がある。
【0012】
また、保守コマンドの入力をタッチパネルの画面入力で行う場合は、保守メニューをマスクした通常の運用画面で行い、マークカードを使用する場合も、通常の投票券の購入作業と同じ作業であるため、保守していることをファンに悟られる可能性が低くなる。
【0013】
以上の保守作業にて、エラー無しで終了した場合は、保守作業をファンに知られることなく終了させることができる。
さらに、マークカードやタッチパネルの画面入力では、ファンが保守コマンドを知り得る可能性はないことから、周りにファンがいても、安心して保守作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る前面保守端末装置の機能ブロック図である。
【図2】前面保守端末装置をキャッシュレス端末装置に適用したキャッシュレスシステムを示すシステム構成図である。
【図3】キャッシュレス端末装置の外観を示す図である。
【図4】キャッシュレス端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】キャッシュレス端末装置の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】保守操作処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】マークカード読取処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】マークカードの例を示す図であって、(A)はマーク記入前のマークカードを示し、(B)は保守内容を記入後のマークカードの例を示している。
【図9】購入画面および保守画面の表示項目の対応関係を示す図であって、(A)は運用画面からエラー画面への遷移を示し、(B)はICカードタッチ後の表示項目対応関係を示し、(C)は画面入力選択後の表示項目対応関係を示し、(D)は表示項目選択後の表示項目対応関係を示し、(E)はさらなる表示項目選択後の表示項目対応関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、前面保守端末装置を、会員カードおよびマークカードにより投票券を購入できるキャッシュレスシステムのキャッシュレス端末装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は本実施の形態に係る前面保守端末装置の機能ブロック図である。
前面保守端末装置は、表示装置と一体構成のタッチパネル1と、会員カードとしてのICカードの読み込みを行うICカードリーダ2と、マークカードを読み取るマークカードリーダ3と、購入した投票券の内容を印字するレシートプリンタ4とを備えている。タッチパネル1は、運用時は、投票に関する情報の入力や照会等(たとえば、投票券の購入に必要な情報の入力や払い戻しの照会等の投票に関する情報の入力を行う)を行い、保守時には、保守メニューに対する入力を行う。マークカードは、投票券を購入するときの投票マークカードと同様のカードに保守コマンドを含む各種情報が印刷されており、それをマークカードリーダ3が読み取ることで保守コマンドの入力を可能にする。なお、本実施の形態では、ICカードの読み込みをICカードリーダ2で行っているが、ICカードリーダライタを使用してもよい。また、タッチパネル1は、表示装置と一体構成でなくてもよい。
【0017】
前面保守端末装置は、さらに、保守カード認証部5と、コマンド入力方法選択部6と、コマンド変換部7と、保守コマンド実行部8と、保守マークカード認証部9と、返却マークカード監視部9aとを備えている。
【0018】
保守カード認証部5は、ICカードリーダ2にICカードがタッチされたときに、そのICカードに保持されている情報を基にICカードが保守カードであるかどうかを認証する。
【0019】
コマンド入力方法選択部6は、ICカードが保守カードと認証された場合に、保守コマンドの入力をマークカードにするかタッチパネル1による画面入力にするかをタッチパネル1からの指示により選択する。コマンド入力方法選択部6がマークカードを用いる選択をした場合、保守コマンド実行部8は、マークカードリーダ3から保守コマンドの受け入れを行う。コマンド入力方法選択部6が画面入力を選択した場合、保守コマンド実行部8は、タッチパネル1から保守コマンドの受け入れを行う。
【0020】
コマンド変換部7は、タッチパネル1へのタッチ操作が通常の運用画面に表示されているボタンを用いて行われるので、そのボタンに割り当てられている保守コマンドへの変換を行う。したがって、タッチパネル1の画面は、通常の運用画面と同じであるので、ファンには、投票券を購入するための操作をしていると受け取られ、この保守操作がエラー無く終了したときには、保守していることをファンに気付かれることはない。もちろん、保守コマンドを実行しても、エラーが無くならない重大な障害が発生している場合には、前面保守端末装置の前面保守扉を開放しての本格的な修理が必要な場合もある。
【0021】
保守コマンド実行部8は、マークカードリーダ3またはタッチパネル1から入力された保守コマンドに従って保守コマンドを実行する。保守コマンド実行の結果は、レシートプリンタ4にて印字され、排出される。
【0022】
保守マークカード認証部9は、マークカードリーダ3に挿入されたマークカードが保守マークカードであるかどうかを認証する。返却マークカード監視部9aは、保守コマンドの入力に使用した保守マークカードが返却されたときに、その保守マークカードが保守員によって回収されたかどうかを監視し、所定時間内に回収されない場合、返却したマークカードを前面保守端末装置内に取り込む。
【0023】
図2は前面保守端末装置をキャッシュレス端末装置に適用したキャッシュレスシステムを示すシステム構成図、図3はキャッシュレス端末装置の外観を示す図である。
キャッシュレスシステムは、図2に示したように、中央情報処理センタ10と、複数のキャッシュレス端末装置20とを備えている。中央情報処理センタ10は、ホストコンピュータ11を有し、このホストコンピュータ11は、投票集計サーバ12とキャッシュレス口座・会員DB(database)サーバ13とに接続されている。投票集計サーバ12は、主として投票の集計を行い、キャッシュレス口座・会員DBサーバ13は、会員の個人情報、投票券購入情報、口座情報、入金情報などを管理する。
【0024】
中央情報処理センタ10は、ネットワーク15を介して、たとえば公営競技場に設置された通信機器16に接続されている。通信機器16は、構内通信網17に複数のキャッシュレス端末装置20がバス接続されている。
【0025】
キャッシュレス端末装置20は、図3に示したように、表示装置としてのLCD(Liquid Crystal Display)21、そのLCD21の画面に合わせ取り付けられタッチパネル1、ICカードリーダ2、マークカードリーダ3およびレシートプリンタ4を備えている。
【0026】
LCD21は、運用時に、投票の案内、購入画面の表示を行い、保守時には、保守メニューをマスクした購入画面の表示を行う。タッチパネル1は、運用時に、手入力(場名、買い目、金額入力)を行い、保守時には、端末操作および保守コマンドの入力を行う。
【0027】
ICカードリーダ2は、運用時に、会員カードの読み取りを行い、読み取った情報は、ホストコンピュータ11に送られて会員の認証などに使用される。ICカードリーダ2は、また、保守時に、保守カードの読み取りを行い、読み取った情報は、保守カード認証部5にて保守カードの認証に使用される。
【0028】
マークカードリーダ3は、運用時に、マークカードに記入された場名、レース番号、式別、金額など、投票券の購入に必要な情報を読み取り、保守時には、マークカードに記入された操作したいユニット、コマンド、実行回数、実行回数の単位などを読み取る。
【0029】
レシートプリンタ4は、運用時に、購入した投票券の購入内容を印刷し、保守時には、保守結果および設定内容を印刷する。これにより、前面より保守を行った場合でも、保守員が保守を行ったことをファンに悟られず、容易に保守結果を入手することができる。
【0030】
図4はキャッシュレス端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
キャッシュレス端末装置20を構成するコンピュータ30は、CPU(Central Processing Unit)31によって装置全体が制御されている。CPU31には、バス37を介してRAM(Random Access Memory)32、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)33、グラフィック処理装置34、入出力インタフェース35および通信インタフェース36が接続されている。
【0031】
RAM32には、CPU31に実行させるOS(Operating System)のプログラムや実行中のアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM32には、CPU31による処理に必要な各種データが格納される。ハードディスクドライブ33には、OSや保守操作処理などに必要な保守プログラム、投票券購入に関する取引処理プログラムおよび各種アプリケーションプログラムが格納される。
【0032】
グラフィック処理装置34には、LCD21が接続されている。グラフィック処理装置34は、CPU31からの命令に従って、画像をLCD21の画面に表示させる。入出力インタフェース35には、タッチパネル1、ICカードリーダ2、マークカードリーダ3およびレシートプリンタ4が接続される。入出力インタフェース35は、タッチパネル1、ICカードリーダ2およびマークカードリーダ3から送られてくる情報を、バス37を介してCPU31に送信する。入出力インタフェース35は、また、CPU31の処理結果の情報をレシートプリンタ4に送信する。
【0033】
通信インタフェース36は、構内通信網17に接続されている。通信インタフェース36は、構内通信網17、通信機器16およびネットワーク15を介して、中央情報処理センタ10のホストコンピュータ11との間で情報の送受信を行う。
【0034】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、OSや保守プログラム、取引処理プログラムなどが格納されるハードディスクドライブ33は、記憶媒体にフラッシュメモリを用いたソリッドステートドライブとすることができる。
【0035】
図5はキャッシュレス端末装置の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
通常の運用状態において、ICカードリーダ2は、ICカードの検出待ちになっている(ステップS1)。ICカードリーダ2にICカードがタッチされる(ICカードの情報が読み込まれる)と、保守カード認証部5は、そのICカードが保守カードかどうかの認証を行う(ステップS2)。ここで、ICカードが保守カードと認証された場合、保守操作処理が行われ(ステップS3)、保守操作処理が終了すると、LCD21は、初期画面に戻される。
【0036】
ステップS2にて、ICカードが保守カードと認証されなかった場合、ICカードは会員カードであると判断され、キャッシュレス端末装置20の取引処理プログラムは、中央情報処理センタ10に会員カードの認証を依頼する(ステップS4)。中央情報処理センタ10から処理結果を受けて、取引処理プログラムは、ICカードが会員カードであるかどうかを判断する(ステップS5)。ここで、会員カードであると判断されると、取引処理プログラムは、投票券購入の取引を開始し(ステップS6)、取引が終了すると、LCD21は、初期画面に戻される。また、ステップS5にて、会員カードでないと判断されると、取引処理プログラムは、エラーメッセージをLCD21に表示させる(ステップS7)。その後、タッチパネル1のボタン操作または所定時間経過後に、取引処理プログラムは、LCD21の画面を初期画面に戻す。
【0037】
図6は保守操作処理の流れを示すフローチャート、図7はマークカード読取処理の流れを示すフローチャート、図8はマークカードの例を示す図であって、(A)はマーク記入前のマークカードを示し、(B)は保守内容を記入後のマークカードの例を示している。図9は購入画面および保守画面の表示項目の対応関係を示す図であって、(A)は運用画面からエラー画面への遷移を示し、(B)はICカードタッチ後の表示項目対応関係を示し、(C)は画面入力選択後の表示項目対応関係を示し、(D)は表示項目選択後の表示項目対応関係を示し、(E)はさらなる表示項目選択後の表示項目対応関係を示している。
【0038】
図6に示す保守操作処理は、たとえば、キャッシュレス端末装置20に何らかの障害が発生して、図9の(A)に示すように、購入案内の運用画面からエラー画面に画面が遷移した状態で、ICカードリーダ2に保守カードをタッチして保守カード認証部5が保守カードを認証することによって開始される。
【0039】
まず、キャッシュレス端末装置20の保守プログラムは、キャッシュレス端末装置20を保守/オフラインモードに移行し(ステップS11)、LCD21の購入案内の画面を保守メニュー画面にする(ステップS12)。このとき、図9の(B)に示したように、画面は、購入案内の画面から保守メニュー画面に表示項目の表記が切り換わる訳ではなく、保守メニューがマスクされた購入案内の画面のままである。図9の(B)に示す例では、「投票カード挿入案内」のボタンは、「投票カードによる保守操作」のボタンに、「画面入力投票」のボタンは、「画面入力による保守操作」のボタンに、そして「係員呼」のボタンは、「診断印刷」のボタンに割り当てられている。
【0040】
次に、コマンド入力方法選択部6は、タッチパネル1から保守コマンドの入力方法の指示待ちとなり(ステップS13)、ここで、所定時間経過しても未操作の場合には、この保守操作処理から抜けて、図5のステップS1の処理に戻る。また、コマンド入力方法選択部6が「投票カードによる保守操作」のボタンのタッチを検出すると、保守コマンド実行部8は、マークカードリーダ3によるマークカード読取処理を開始する(ステップS14)。
【0041】
マークカード読取処理では、図7に示したように、マークカードリーダ3に保守マークカードが挿入されると(ステップS31)、保守マークカード認証部9による認証が行われる(ステップS32)。ここで、挿入された保守マークカードが正規の保守カードと認証されると、処理は、このマークカード読取処理を抜ける。
【0042】
この保守マークカードは、図8の(A)に示したように、マークカード40の下端および左右端に黒で塗りつぶされた複数の長方形が配置されている。この長方形は、タイミングマーク41と呼ばれ、そのタイミングマーク41の数量、間隔、サイズにより、このマークカード40が投票用のマークカードであるか保守用のマークカードであるかを識別することができる。このマークカード40には、図8の(B)に示したように、たとえば保守操作したいユニットを指定するマーク42、保守コマンドのマーク43、実行回数を指定するマーク44およびその実行回数の単位(千、百、十、一)を指定するマーク45が印刷されている。これらのマーク42,43,44,45は、マークカードリーダ3によってマークカード40の種類を特定するためのタイミングマーク41と一緒に読み取られる。
【0043】
ステップS32にて、挿入された保守マークカードが正規の保守カードと認証されない場合、マークカードリーダ3は、その保守マークカードを返却する(ステップS33)。ここで、返却マークカード監視部9aは、返却した保守マークカードが抜き取られたかどうかを監視していて(ステップS34)、保守マークカードが抜き取られると、ステップS31の処理に戻る。
【0044】
返却マークカード監視部9aは、所定時間経過しても、返却した保守マークカードが抜き取られなかった場合、その返却した保守マークカードを装置内に取込み(ステップS35)、装置を休止し(ステップS36)、アラームを鳴動させる(ステップS37)。その後、ICカードリーダ2に保守カードがタッチされると(ステップS38)、ステップS31の処理に戻る。
【0045】
ステップS32にて、保守マークカードが認証されると、保守コマンド実行部8は、マークカードリーダ3によって読み込まれたマーク42,43,44,45に従って、保守コマンドを実行する(ステップS15)。その保守結果は、購入案内画面の「係員呼」ボタンをタッチすることで、「診断印刷」が実行され、レシートプリンタ4により印刷されて排出される(ステップS16)。
【0046】
次に、マークカードリーダ3は、保守マークカードを返却し(ステップS17)、返却マークカード監視部9aが返却した保守マークカードが抜き取られたかどうかを監視する。ここで、返却マークカード監視部9aは、所定時間経過しても返却した保守マークカードが抜き取られなかった場合、その返却した保守マークカードをそのままにしておくことはできないので、装置内に取り込む(ステップS18)。その後、装置を休止し(ステップS19)、アラームを鳴動させ(ステップS20)、ICカードリーダ2に保守カードがタッチされると(ステップS21)、ステップS12の処理に戻る。
【0047】
返却された保守マークカードが所定時間内に抜き取られると、保守コマンド実行部8は、エラーの有無を判断する(ステップS22)。保守コマンドを実行しても、エラーが残っていれば、ステップS12の処理に戻る。保守コマンドを実行した結果、エラーが無くなれば、保守コマンド実行部8は、ハードリセットを実行し(ステップS23)、エラーの有無を判断する(ステップS24)。ここで、エラーが無ければ、保守コマンド実行部8は、キャッシュレス端末装置20をオンラインモードに移行させる(ステップS25)。ハードリセットを実行してキャッシュレス端末装置20を再起動しても、エラーが残っていれば、この保守操作処理は、ステップS12に戻される。
【0048】
一方、ステップS13にて、画面入力による保守操作(コマンド手入力)が選択された場合、保守コマンド実行部8は、タッチパネル1によって入力されたコマンドがコマンド変換部7により保守コマンドに変換されて入力される(ステップS26)。たとえば、図9の(C)に示したように、「場名1」のボタンが押されたときに、コマンド変換部7は、操作ユニットがICカードリーダ2とする「ICカードテスト」を指示したものと解釈して、そのコマンドを保守コマンド実行部8に入力する。さらに、図9の(D)に示したように、「レース番号選択」、「方式選択」、「組番選択」および「金額入力」のボタンをタッチすることにより、「試験項目選択1」〜「試験項目選択3」および「回数設定」の保守コマンドが入力される。
【0049】
このようにして入力された保守コマンドは、保守コマンド実行部8にて実行される(ステップS27)。このとき、購入画面は、図9の(E)に示した画面に切り換わる。ここで、保守コマンドの実行内容は、購入案内画面の「係員呼」ボタンをタッチすることで、「実行内容印刷」が実行され、レシートプリンタ4により印刷されて排出される(ステップS28)。また、図9の(E)に示した画面によれば、「購入内容表示」の領域が「保守継続」に割り当てられており、保守操作を継続するか終了するかを選択することができる(ステップS29)。「保守継続」が選択されると、この保守操作処理は、ステップS12に戻り、「終了」が選択されると、この保守操作処理は、ステップS23に進む。保守継続の場合、表示画面は、図9の(B)の購入画面に切り換えられる。
【0050】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる(たとえば、マークカードが保守用のマークカードとしているが、他の用途に使用するマークカードであってもよい。)。
【0051】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 タッチパネル
2 ICカードリーダ
3 マークカードリーダ
4 レシートプリンタ
5 保守カード認証部
6 コマンド入力方法選択部
7 コマンド変換部
8 保守コマンド実行部
9 保守マークカード認証部
9a 返却マークカード監視部
10 中央情報処理センタ
11 ホストコンピュータ
12 投票集計サーバ
13 キャッシュレス口座・会員DBサーバ
15 ネットワーク
16 通信機器
17 構内通信網
20 キャッシュレス端末装置
21 LCD
30 コンピュータ
31 CPU
32 RAM
33 ハードディスクドライブ
34 グラフィック処理装置
35 入出力インタフェース
36 通信インタフェース
37 バス
40 マークカード
41 タイミングマーク
42,43,44,45 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守操作のための入力がなされるタッチパネルと、会員カードとしてのICカードの情報を読み込むICカードリーダと、マークカードを読み取るマークカードリーダとを備えた前面保守端末装置において、
前記ICカードリーダにより読み込まれた前記ICカードの情報から前記ICカードが保守カードであることを認証する保守カード認証部と、
前記ICカードが保守カードであることが認証されたときに、保守コマンドの入力を前記マークカードにするか前記タッチパネルによる画面入力にするかを選択させるコマンド入力方法選択部と、
前記マークカードリーダにより読み込まれた前記マークカードが保守マークカードであることを認証する保守マークカード認証部と、
前記保守コマンドの入力が前記タッチパネルによる画面入力に選択されたときは前記タッチパネルへの操作を通常の運用画面に表示されているボタンに対して行うときに前記ボタンに割り当てられている保守コマンドを出力し、前記保守コマンドの入力が前記マークカードに選択され前記マークカードが保守マークカードであることが認証されたときは前記マークカードで通常の運用で投票券を購入するために記入されるマークに割り当てられている保守コマンドを出力するコマンド変換部と、
前記コマンド変換部により出力された保守コマンドを実行する保守コマンド実行部と、
を備えていることを特徴とする前面保守端末装置。
【請求項2】
保守コマンドの入力に使用した前記保守マークカードが返却されたときに、当該保守マークカードが回収されたかどうかを監視し、所定時間内に回収されない場合、返却した前記保守マークカードを装置内に取り込む返却マークカード監視部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の前面保守端末装置。
【請求項3】
運用時に、購入した投票券の購入内容を印刷し、保守時には、保守結果および設定内容を印刷するレシートプリンタとをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の前面保守端末装置。
【請求項4】
前記レシートプリンタは、前記保守マークカードが認証され、前記保守コマンド実行部が保守コマンドを実行したときの前記保守結果を印刷して排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の前面保守端末装置。
【請求項5】
保守マークカード認証部は、前記マークカードに記載の複数のタイミングマークを読み取ることで、前記マークカードが投票用のマークカードであるか他の用途用のマークカードであるかを識別することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の前面保守端末装置。
【請求項6】
前面保守端末装置の保守方法において、
保守員の認証を会員カードとしてのICカードで行い、
保守コマンドの入力をマークカードで行うかタッチパネルによる画面入力で行うかを選択し、
保守コマンドの入力を前記マークカードで行うときには、前記マークカードが保守マークカードであることを認証し、
認証された前記保守マークカードに記載の保守コマンドまたは前記タッチパネルによる画面入力で入力された保守コマンドを実行し、
保守結果をレシートプリンタにて印刷出力する、
ものであって、前記タッチパネルによる画面入力には、通常の運用画面に保守メニューの項目を割り当てて前記保守メニューはマスクしたことを特徴とする前面保守端末装置の保守方法。
【請求項7】
保守コマンドの入力に使用した前記保守マークカードが返却されたときに、当該保守マークカードが回収されたかどうかを監視し、
所定時間内に回収されない場合、返却した前記保守マークカードを装置内に取り込む、
ことを特徴とする請求項6に記載の前面保守端末装置の保守方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ICカードリーダにICカードの情報が読み込まれたときに前記ICカードが保守カードであることを認証する保守カード認証手段、
保守コマンドの入力をマークカードにするかタッチパネルによる画面入力にするかを選択するコマンド入力方法選択手段、
前記タッチパネルへの操作を通常の運用画面に表示されているボタンに対して行うときに前記ボタンに割り当てられている保守コマンドを出力するコマンド変換手段、
前記マークカードに記入された保守コマンドまたは前記タッチパネルによる画面入力により入力された保守コマンドを実行する保守コマンド実行手段、
マークカードリーダに挿入された前記マークカードが保守マークカードであることを認証する保守マークカード認証手段、
保守コマンドの入力に使用した前記保守マークカードが返却されたときに、当該保守マークカードが回収されたかどうかを監視し、所定時間内に回収されない場合、返却した前記保守マークカードを装置内に取り込む返却マークカード監視手段、
として機能させるための保守プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65194(P2013−65194A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203260(P2011−203260)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】