説明

剥離したカーボンナノチューブ、その製造方法およびそれから得られる生成物

種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを本明細書の開示に記載する。カーボンナノチューブは、ポリマーまたは液体溶液のような媒体に分散しない場合でも、その剥離した状態を維持している。剥離したカーボンナノチューブを製造する方法には、ナノ結晶性材料を含む溶液にカーボンナノチューブを懸濁し、溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。ナノ結晶性材料には、ナノロッド、ヒドロキシアパタイトおよび種々のヒドロキシアパタイト誘導体が含まれ得る。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを製造する方法には、酸中のカーボンナノチューブの溶液を調製し、該溶液をフィルターを通して濾過して該フィルター上に剥離したカーボンナノチューブを収集することが含まれる。幾つかの形態において、酸中のカーボンナノチューブの濃度は、浸透閾値未満である。他の種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを含むエネルギー保存デバイスおよびポリマーコンポジットを本明細書に記載する。エネルギー保存デバイスは、少なくとも2の電極および該少なくとも2の電極と接触する電解質を含むバッテリーとし得る。エネルギー保存デバイス中の電極の少なくとも1は、有利には、剥離したカーボンナノチューブを含む。ポリマーコンポジットは、剥離したカーボンナノチューブとポリマー材料とを混合することによって調製する。ポリマー材料中で混合した後に、カーボンナノチューブはその剥離した状態を維持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、各々出典明示して本明細書の一部とみなす、2008年12月18日に出願した米国仮特許出願61/138,551および2008年12月19日に出願した61/139,050に基づく優先権を主張する。
【0002】
連邦政府支援研究に関する陳述
適用されない。
【背景技術】
【0003】
最近、固体状態のカーボンナノチューブは、キラル形態の混合物中で塊になったナノチューブ束として製造されている。最近の技術では、カーボンナノチューブに顕著な化学的および物理学的特性の修飾を起こすことなく、カーボンナノチューブの束を完全に剥離して、固体状態の個々のカーボンナノチューブを製造することはできない。また、長さ、直径、キラリティーまたはそれらの組み合わせによってバルクスケールでカーボンナノチューブを分離する有効な方法は現在のところ存在しない。
【0004】
溶液中でカーボンナノチューブの束を解く種々の方法が開発されている。例えば、カーボンナノチューブは酸化的な手段によって短くし、ついで溶液中に個々のナノチューブとして分散し得る。カーボンナノチューブは、界面活性剤の存在下で超音波処理によっても個別に溶液中に分散し得る。溶液中にカーボンナノチューブを分散するのに使用する例示的な界面活性剤には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムおよびPLURONICSが含まれる。幾つかの例において、個別化したカーボンナノチューブの溶液はポリマーに包まれたカーボンナノチューブから調製し得る。個別化したシングルウォール・カーボンナノチューブ溶液は、多糖、ポリペプチド、水溶性ポリマー、核酸、DNA、ポリヌクレオチド、ポリイミドおよびポリビニルピロリドンを用いても調製されている。
【0005】
カーボンナノチューブの多数の使用が提唱されており、それには、例えば、エネルギー保存デバイス(例えば、ウルトラコンデンサ、超コンデンサおよびバッテリー)、電界エミッタ、導電性フィルム、導電性ワイヤおよび膜フィルタが含まれる。ポリマーコンポジット中の補強材としてのカーボンナノチューブの使用はもう1つの領域であり、そこではカーボンナノチューブは重要な有用性を有することが予想される。しかしながら、これらの適用におけるカーボンナノチューブの利用は、個別化されたカーボンナノチューブを高い信頼性で製造することが一般的に不可能なことにより妨害されている。例えば、ポリマーコンポジット中のカーボンナノチューブに対する荷重移動(load transfer)は、典型的には、カーボンナノチューブを個々のナノチューブとして完全に剥離した場合よりも小さいと予想される。
【0006】
同様にして、電気伝導を含む適用においては、個々に分散することに対してカーボンナノチューブが塊りになる場合にはカーボンナノチューブの表面への接近性が減少することに起因して導電率は予想されるよりも低くなる。さらに、導電性および非−導電性または半導電性カーボンナノチューブの混合物(すなわち、キラリティーの混合物を有するカーボンナノチューブ)を電気伝導を含む適用に使用する場合には、導電率は、すべてのカーボンナノチューブ電気伝導体で達成し得るよりも低い。上記したように、剥離したカーボンナノチューブを製造する現在の方法は、通常、ナノチューブが短くなるか機能化を生じる。かかる短くなることまたは機能化も一般的に低い導電率を生じ、そのことも、高い導電率が有利な適用には不利である。
【0007】
前記したことに鑑み、固体の剥離したカーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブを損傷することなくナノチューブを効率的に剥離する方法は、当該技術分野においてかなり関心が持たれている。かかる剥離したカーボンナノチューブは、例えば、エネルギー保存デバイスおよびポリマーコンポジットを含む適用においてかなり改善された特性を示しそうである。キラリティー、長さ、直径またはそれらの組み合わせによる剥離したカーボンナノチューブのさらなる分離も、当該技術分野においてその特性の利点をさら利用するかなり関心が持たれている。
【0008】
概要
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブの組成物を本明細書に開示する。剥離したカーボンナノチューブは固体状態(例えば、分散したカーボンナノチューブのマットのような)で分散する。剥離したカーボンナノチューブは、例えば、ポリマーマトリクス分散剤または溶液のような連続マトリクス中に分散することなく、剥離した状態で維持される。
【0009】
他の種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブの調製方法を本明細書に開示する。
【0010】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法には、第1の量のナノ結晶性材料を含有する溶液にカーボンナノチューブを懸濁し、該溶液から第1の量の剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、第1の量の剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0011】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブの調製方法には、ヒドロキシアパタイトを含有する溶液にカーボンナノチューブを懸濁し、該溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0012】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブの調製方法には、ナノロッド材料を含有する溶液にカーボンナノチューブを懸濁し、該溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0013】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブの調製方法には、酸中のカーボンナノチューブの溶液を調製し、ついで、該溶液をフィルターを通して濾過して該フィルター上に剥離したカーボンナノチューブを収集することが含まれる。
【0014】
いまだ他の種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを含むエネルギー保存デバイスを本明細書に開示する。幾つかの形態において、該エネルギー保存デバイスは、少なくとも2の電極と該少なくとも2の電極と接触する電解質とを含むバッテリーである。電極の少なくとも1には、剥離したカーボンナノチューブが含まれる。
【0015】
いまださらなる種々の形態において、ポリマーコンポジットの製造方法を本明細書に開示する。方法には、a)剥離したカーボンナノチューブを提供し、ついで、b)ポリマー材料中に剥離したカーボンナノチューブを混合してポリマーコンポジットを形成することが含まれる。剥離したカーボンナノチューブは、ポリマー材料中に混合した後でも剥離した状態のままである。
【0016】
つづく詳細な説明をより良好に理解し得るために、前記には、本明細書の開示のむしろ広い種々の特徴を概説している。特許請求の範囲の構成要件を形成するさらなる特徴および利点は、以後に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで、本明細書の開示およびその利点をより完全に理解するために、開示の具体的な形態を記載する添付の図面と結合して以下の記載に参照する。
【0018】
【図1】図1はファラデーコンデンサの基本要素の例示的な配置を示す。
【図2】図2は電気二重層コンデンサの基本要素の例示的な配置を示す。
【図3】図3はバッテリーの基本要素の例示的な配置を示す。
【図4】図4は3−15μmの直径を有するヒドロキシアパタイト・プレートの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は100−200nmの長さを有するヒドロキシアパタイト・ナノロッドの例示的な電子顕微鏡を示す。
【図6A】図6Aは回収したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図6B】図6Bはヒドロキシアパタイト・ナノロッドを用いて剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図7A】図7Aは沈殿した剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的なEDXスペクトルを示す。
【図7B】図7Bは酸洗浄後の沈殿した剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的なEDXスペクトルを示す。
【図8】図8は沈殿および洗浄後の剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は3:1のH2SO4:HNO3から得た剥離したカーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は酸剥離およびドデシル硫酸ナトリウムでの処理後の剥離したダブルウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【図11】図11は酸化銅ナノ粒子で修飾した剥離したカーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【0019】
詳細な説明
以下の記載においては、本明細書に開示する本発明の形態の徹底的な理解を提供するように、具体的な量、サイズ他のような特定の詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、かかる具体的な詳記がなくても本明細書の開示を実施し得ることは明白である。多くの場合、かかる考慮などに関する詳細はできるかぎり省略する。なぜなら、かかる詳細は本明細書の開示を完全に理解するために必要でなく、それらは関連技術の当業者の範囲内のものだからである。
【0020】
図面を参照すると、一般的に、例示が開示の特定の形態を記載する目的のものであってそれに限定することを意図するものでないことは理解される。図面は必ずしも縮尺ではない。
【0021】
本明細書中で用いる用語の大部分は当業者に理解されるであろう。しかしながら、明白に定義がない場合には、用語は当業者によって現在受け入れられる意味を採用して解釈しなければならない。用語の構成がそれを意味のないまたは実質的に意味のないものとする場合は、定義はWebster's Dictionary,第3版,2009から採用すべきである。定義および/または解釈は、関連の有無にかかわらず、本明細書中で具体的に陳述することなしにまたは取込みが妥当性を維持するのに必要である場合、他の特許出願、特許または刊行物から取り込んではならない。
【0022】
本明細書中で以後に示す種々の形態はカーボンナノチューブを参照する。詳細には、種々の形態において、束なったカーボンナノチューブを本明細書に記載する方法により束を解いて、剥離したカーボンナノチューブ固体を生成し得る。束を解いたカーボンナノチューブは、例えば、化学蒸着、レーザーアブレーション、および高圧一酸化炭素合成(HiPco)のようないずれかの知られている手段から製造し得る。束なったカーボンナノチューブは、例えば、すす、粉末、繊維およびバッキーペーパーを含む種々の形態で存在し得る。さらに、束なったカーボンナノチューブは、いずれの長さ、直径またはキラリティーのものであってもよい。カーボンナノチューブは、そのキラリティーおよびウォールの数に基づいて、金属性、半−金属性、半−導電性または非−金属性とし得る。種々の形態において、束なったおよび/または剥離したカーボンナノチューブには、例えば、シングルウォール・カーボンナノチューブ(SWNT)、ダブルウォール・カーボンナノチューブ(DWNT)、マルチウォール・カーボンナノチューブ(MWNT)、短いカーボンナノチューブ、酸化カーボンナノチューブ、機能化カーボンナノチューブおよびそれらの組み合わせが含まれ得る。当業者であれば、特定の型のカーボンナノチューブを利用する本明細書で以下に参照する多くの具体的な形態を、他の型のカーボンナノチューブを利用する開示の意図および範囲内で同等に実施し得ることを認識するであろう。
【0023】
本明細書に開示する機能化したカーボンナノチューブとは、一般的に、本明細書中で前記したいずれかのカーボンナノチューブの型の化学修飾をいう。かかる修飾には、ナノチューブの端部、側壁または両方が含まれ得る。化学修飾には、限定されるものではないが、共有結合、イオン結合、化学吸着、インターカレーション、界面活性剤相互作用、ポリマーラッピング、切断、溶媒和作用、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは剥離する前に機能化し得る。他の形態において、カーボンナノチューブは剥離した後に機能化する。
【0024】
幾つかの形態において、カーボンナノチューブは電気活性材料とさらに会合または機能化し得る。幾つかの形態において、電気活性材料は、例えばRu、Ir、W、Mo、Mn、NiおよびCoのような遷移金属または遷移金属の酸化物とし得る。幾つかの形態において、電気活性材料は、例えば、ポリアニリン、ポリビニルピロールまたはポリアセチレンのような導電性ポリマーとし得る。幾つかの形態において、電気活性材料は、カーボンナノチューブに結合したナノ粒子または複数のナノ粒子とし得る。例えば、幾つかの形態において、電気活性ナノ粒子には、SnO2、Li4Ti5O12、ケイ素ナノチューブ、ケイ素ナノ粒子およびそれらの種々の組み合わせのような材料が含まれ得る。電気活性材料と会合または機能化したカーボンナノチューブは、導電率に関係する適用に特に有利となり得る。
【0025】
カーボンナノチューブに参照する本明細書中のいずれの形態も、本明細書の開示の意図および範囲内で修飾して、例えば、無機または鉱物ナノチューブを含む他の管状ナノ構造に置換し得る。無機または鉱物ナノチューブには、例えば、ケイ素ナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブおよびナノチューブ構造中にヘテロ原子置換を有するカーボンナノチューブが含まれる。種々の形態において、ナノチューブには、例えば、炭素、ケイ素、ホウ素および窒素のような元素が含まれ得る。さらなる形態において、無機または鉱物ナノチューブには、金属性および非−金属性元素も含まれ得る。例えば、幾つかの形態において、無機または鉱物ナノチューブは、金属、有機化合物および無機化合物と会合し得る。会合は、無機または鉱物ナノチューブの内部または外部となり得る。外部会合は、例えば、ファンデルワールス会合のような物理学的会合となり得る。これらの材料の外部会合には、ナノチューブ外部に対するイオンまたは共有結合のいずれかも含まれ得る。
【0026】
種々の形態において、本明細書の開示は、剥離したカーボンナノチューブを含む組成物を記載する。剥離したカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを剥離した状態で維持する連続マトリクス中に分散しない。例示的な連続マトリクスには、例えば、少なくとも部分的または実質的に剥離した状態にカーボンナノチューブを維持する溶液またはポリマーマトリクスが含まれる。種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブには、カーボンナノチューブマットが含まれる。そういうものとして、本明細書に開示した剥離したカーボンナノチューブは、溶液から取り出すと再−凝集し得る当該技術分野で現在知られている剥離したカーボンナノチューブを超えて区別される。
【0027】
本明細書に開示する剥離したカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブが束に塊っている場合に明らかでない個々のカーボンナノチューブによって提供される物理学的特性の利点を有する。例えば、種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、コンデンサ、バッテリー、光起電力物、センサー、膜、静的ディシペータ、電磁気シールド、ビデオディスプレイ、医薬および医療デバイス、ポリマーコンポジットおよびガス保存容器を含む広範囲の適用において有利に使用し得る。種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、例えば、インクジェット印刷、スプレー、コーティング、溶融押出し、サーモフォーミング(thermoforming)、ブロー成型および射出成型を含む製作およびアセンブリー技術にも使用し得る。
【0028】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、シングルウォール・カーボンナノチューブ、ダブルウォール・カーボンナノチューブ、マルチウォール・カーボンナノチューブおよびそれらの種々の組合せとし得る。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは完全長のカーボンナノチューブである。すなわち、完全長カーボンナノチューブを有する形態において、剥離したカーボンナノチューブは、それを製造した成長させたカーボンナノチューブとほぼ同一の長さであり、カーボンナノチューブの端部は一般的にある種の種々の形態で閉じられている。しかしながら、他の種々の形態において、カーボンナノチューブは、開いた端部を有する完全長カーボンナノチューブである。
【0029】
幾つかの形態において、カーボンナノチューブは触媒残渣、非−ナノチューブカーボンおよびそれらの種々の組合せを実質的に含まない。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは、精製して触媒残渣および非−ナノチューブカーボンを除去する。かかる精製は、カーボンナノチューブの剥離を起こす前または後のいずれかで行い得る。
【0030】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは直径により選択的に沈殿させる。種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、一般的に、約0.7nmないし約20nmの直径を有する。シングルウォール・カーボンナノチューブは、一般的に、直径で約0.7nmないし約10nmである一方、マルチウォール・ナノチューブは、一般的に、直径で約10nmよりも大きく、幾つかの形態においては直径で約100nmにのぼる。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは約1nmないっし約10nmの直径を有する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは、約10nmないし約100nmの直径を有する。
【0031】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは長さによって選択的に沈殿する。カーボンナノチューブの長さは、約500nmないし約10mmの間で、幾つかの形態においては約500nmないし1mmの間で、幾つかの形態においては約500nmないし500μmの間で、幾つかの形態においては約500nmないし1μmならびにそれらの種々のサブレンジで変化する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは、それを製造する束なったカーボンナノチューブの平均長さとは実質的に異なる平均長さを有する。すなわち、幾つかの形態において、カーボンナノチューブは、剥離の間に短くなっていない完全長カーボンナノチューブである。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは束なったカーボンナノチューブから調製し、剥離したカーボンナノチューブは束なったカーボンナノチューブよりも狭い長さの分布を有する。すなわち、剥離したカーボンナノチューブの長さのサブレンジは、長さの分布を有する束なったカーボンナノチューブの集合から得ることができる。
【0032】
カーボンナノチューブは、幾つかの形態において少なくとも約100、他の形態において少なくとも約1000の直径に対する長さの比(アスペクト比)を有する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは、束なったカーボンナノチューブから調製し、剥離したカーボンナノチューブは束なったカーボンナノチューブよりも狭い直径の分布を有する。すなわち、剥離したカーボンナノチューブのサブレンジは、直径の分布を有する束なったカーボンナノチューブの集合から得ることができる。
【0033】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブはキラリティーによってさらに分離する。例えば、束なったカーボンナノチューブを剥離する方法において、キラル型の特異的なキラリティーまたは範囲の剥離したカーボンナノチューブが生成し得る。例えば、幾つかの形態において、生成した剥離したカーボンナノチューブは、金属性、半−金属性または半導体性となり得る。
【0034】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブはさらに機能化する。機能化は剥離の前後のいずれかで起こし得る。しかしながら、出願人は、剥離後の機能化が束なった相対物と比較して剥離したカーボンナノチューブにおいてより大きな表面積が利用可能であるという利点となり得ることに直面する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは機能化して、本明細書中で前記により詳細に記載した、カーボンナノチューブに結合した電気活性のある材料を含ませる。
【0035】
カーボンナノチューブを剥離する方法も本明細書に記載する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法には、第1の量のナノ結晶性材料を含む溶液にカーボンナノチューブを懸濁し、該溶液から第1の量の剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、第1の量の剥離したカーボンナノチューブを単離する工ことが含まれる。
【0036】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法には、カーボンナノチューブをヒドロキシアパタイトを含有する溶液に懸濁し、該溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0037】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法には、カーボンナノチューブをナノロッド材料を含有する溶液に懸濁し、該溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0038】
方法の幾つかの形態において、カーボンナノチューブは、剥離したカーボンナノチューブを単離した後のアライメント工程においてさらに方向付けし得る。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブは、例えば、マット、フィルム、繊維、布、不織布またはフェルトのような形態に形成し得る。
【0039】
カーボンナノチューブを剥離する例示的な方法は以下のとおりである。カーボンナノチューブは、例えば、水酸化テトラブチルアンモニウムのような界面活性剤で処理したリン酸ジルコニウムのナノプレートを用いて有効に剥離し得る。カーボンナノチューブおよびナノプレートは、短時間、超音波処理して水性媒体中に完全に剥離したカーボンナノチューブを得る。超音波処理後の混合物のイオン強度を制御することによって、剥離したカーボンナノチューブを例えば、遠心分離のような単純な分離技術によって得ることができる。遠心分離および分離後のカーボンナノチューブは、混乱しているが非−凝集の状態で存在し、他の界面活性剤を添加して容易に再懸濁し得る。再懸濁に好適な界面活性剤には、例えば、ポリビニルピロリドン、ドデシル硫酸ナトリウムおよびPLURONICSのようなイオン性および非−イオン性界面活性剤の両方が含まれる。カチオン性界面活性剤は、クロロホルムおよびトルエンのような非−極性媒体中の懸濁に用い得る。あるいは、懸濁液に対する電子ポテンシャルの負荷、またはイオン強度の調節と組み合わせた電子ポテンシャルの負荷を用い得る。
【0040】
上記の方法を用いてシングルウォール・カーボンナノチューブを綺麗に分離し得るが、マルチウォール・カーボンナノチューブおよび特に酸化型のマルチウォール・カーボンナノチューブはそれらのより広い範囲のイオンポテンシャルに起因して綺麗に分離し得ない。その結果、マルチウォール・カーボンナノチューブを用いる場合には、剥離したカーボンナノチューブからリン酸ジルコニウムの分離を行うことが困難である。さらに、リン酸ジルコニウムは酸中に溶解することが特に困難であり(溶解度=6M HCl中、0.12mg/L)、典型的には、剥離したカーボンナノチューブを単離した後でさえ単純な酸洗浄によって除去することができない。しかしながら、本明細書の開示の他の種々の形態は、マルチウォール・カーボンナノチューブを剥離するのに特に適用し得る。
【0041】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法は、さらに、界面活性剤および一定量のナノ結晶性材料の両方を含む溶液を利用することを含む。界面活性剤は、カーボンナノチューブの技術分野において可溶化を助けることがよく知られている。理論または機構によって拘束されることなく、出願人は、剥離したカーボンナノチューブの調製に界面活性剤を用いる場合、界面活性剤がカーボンナノチューブの初期の可溶化または懸濁を助け得ると考える。剥離したカーボンナノチューブの沈殿は、その後に起こる。本明細書の開示の種々の形態において、界面活性剤には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、または水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラブチルアンモニウム)が含まれ得る。幾つかの形態において、界面活性剤は、カーボンナノチューブを剥離するために用いるナノ結晶性材料の表面も修飾し得る。
【0042】
一般的に、剥離したカーボンナノチューブは、ナノ結晶性材料を含む溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させることによって、本明細書に開示する幾つかの形態に従って調製する。幾つかの形態において、溶液のイオン強度を調節して、剥離したカーボンナノチューブの沈殿を誘導する。幾つかの形態において、溶液の電子ポテンシャルを調節して、剥離したカーボンナノチューブの沈殿を誘導する。幾つかの形態において、溶液のpHを調節して、剥離したカーボンナノチューブの沈殿を誘導する。幾つかの形態において、イオン強度、電子ポテンシャルおよび/またはpHの組み合わせを調節して、剥離したカーボンナノチューブの沈殿を誘導する。
【0043】
幾つかの形態において、カーボンナノチューブを剥離する方法には、リリース種(release species)をカーボンナノチューブ懸濁液に添加してイオン強度を調節し、剥離したカーボンナノチューブを沈殿させることが含まれる。幾つかの形態において、イオン強度は、例えば、KClの溶液のようなイオン種を用いて調節し得る。当業者であればイオン強度の調節にイオン種を用いる利点を認識するであろうが、有機化合物のような非−イオン種も同様にしてイオン強度の調節に使用し得る。リリース種は有機または無機の化合物とし得る。幾つかの形態において、電磁場を、リリース種を用いたイオン強度の調節の代わりにまたはそれと組合せて剥離したカーボンナノチューブの懸濁液に適用して、剥離したカーボンナノチューブの沈殿を誘導し得る。
【0044】
沈殿後、剥離したカーボンナノチューブは、例えば、遠心分離、濾過または沈殿のような単純な分離技術によって単離し得る。分離した、剥離したカーボンナノチューブは、混乱しているが非−凝集の状態で存在し、例えば、液体またはポリマー溶融体のような種々の媒体に容易に再分散し得る。幾つかの形態において、再分散は、界面活性剤の添加によって助け得る。好適な界面活性剤には、限定されるものではないが、イオン性および非−イオン性界面活性剤の両方、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびPLURONICSが含まれる。カチオン性界面活性剤は、例えば、クロロホルムおよびトルエンのような非−極性媒体中の分散に主に用いる。前記したように、例えば、シクロデキストリン、多糖、ポリペプチド、水溶性ポリマー、DNA、核酸、ポリヌクレオチド、ならびにポリイミドおよびポリビニルピロリドンのようなポリマーのような他の型の分子を用いて、幾つかの形態において剥離したカーボンナノチューブを再分散し得る。
【0045】
幾つかの形態において、第2の量の剥離したカーボンナノチューブをカーボンナノチューブの懸濁液から沈殿し得る。例えば、ある形態において、第2の量のナノ結晶性材料を懸濁液に添加すると、第2の量の剥離したカーボンナノチューブの沈殿を生じる。幾つかの形態において、第1の量のカーボンナノチューブおよび第2の量のカーボンナノチューブは、例えば、異なる平均長、直径またはキラリティーのような、互いに異なる特性を有する。カーボンナノチューブ画分の繰り返し沈殿は、必要に応じて何回でも繰り返し得る。
【0046】
幾つかの形態において、さらに、方法には剥離したカーボンナノチューブから残余のナノ結晶性材料を除去することが含まれる。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは、ナノ結晶性材料を除去した後にも剥離したままである。したがって、カーボンナノチューブを完全に剥離すると、それはもはや束になるようにならない。幾つかの形態において、ナノ結晶性材料は、剥離したカーボンナノチューブを洗浄することによって除去し得る。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは酸で洗浄してナノ結晶性材料を除去し得る。
【0047】
ナノ結晶性材料の除去後のカーボンナノチューブの再分散性は、界面活性剤濃度およびリリース種の添加速度を変化することによって制御し得る。したがって、再分散性は、剥離したカーボンナノチューブの沈殿速度を変化することによって制御し得る。換言すれば、幾つかの形態において、カーボンナノチューブ沈殿の動力学速度はナノ結晶性材料の除去後のその再溶解の速度に影響する。
【0048】
一般的に、本明細書に開示するナノ結晶性材料には、ナノメートル・スケールの寸法のいずれの非晶性または結晶性材料も含まれる。一般的に、本明細書に開示する形態によれば、約1000nm未満である少なくとも1の測定した寸法を有する場合にはナノ結晶性材料はナノメートル・スケールの寸法のものである。本明細書に開示する種々の形態において、カーボンナノチューブは、例えば、ナノロッド、ナノプレートまたはナノウィスカーのような結晶性形態を有するナノ結晶性材料を用いてカーボンチューブをカーボンナノチューブの束から剥離して個々のカーボンナノチューブ間で散在させる。ナノロッドには、ロッド様結晶性形態での結晶化を誘導し得るいずれの無機または有機化合物も含まれる。ナノウィスカーには、ウィスカー様結晶性形態での結晶化を誘導し得るいずれの無機または有機の化合物も含まれる。種々の形態において、ナノ結晶性材料には、例えば、粘土、グラファイト、無機結晶性材料、有機結晶性材料およびそれらの種々の組合せが含まれ得る。
【0049】
幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを調製する方法には、カーボンナノチューブをヒドロキシアパタイトを含む溶液に懸濁し、該溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ、ついで、剥離したカーボンナノチューブを単離することが含まれる。
【0050】
種々の形態において、ナノ結晶性材料は、例えば、ヒドロキシアパタイトおよびヒドロキシアパタイト誘導体とし得る。ヒドロキシアパタイト誘導体には、例えば、フルオロアパタイトが含まれる。幾つかの形態において、ヒドロキシアパタイトは、例えば、ナノロッド、ナノプレートおよびナノウィスカーのような結晶性形態を有する。幾つかの形態において、方法にはさらに剥離したカーボンナノチューブからヒドロキシアパタイトを除去することが含まれる。幾つかの形態において、除去することは、例えば、単離した後に剥離したカーボンナノチューブを酸で洗浄することを介して行い得る。
【0051】
種々のサイズのナノ結晶性材料を用いて、カーボンナノチューブを剥離し得る。幾つかの形態において、ナノ結晶性材料は、剥離前の試料に存在する最長のカーボンナノチューブよりもサイズにおいて等しいかまたは大きいものとし得る。かかる形態において、剥離したカーボンナノチューブは、例えば、KClのようなリリース種の添加後に分離した画分に得ることができる。他の形態において、ナノ結晶性材料は、剥離前の試料中に存在する最長のカーボンナノチューブ以下であるサイズを有する。この場合において、ナノ結晶性材料のサイズ以下のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ懸濁液から分離し得る。種々の形態において、より大きいまたはより小さいサイズのナノ結晶性材料は、カーボンナノチューブ懸濁液に添加して、種々のカーボンナノチューブのサイズを有するカーボンナノチューブ画分を剥離し得る。
【0052】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、さらに精製して、例えば、残余の金属触媒および非−ナノチューブカーボン残余のような不純物を除去する。剥離したカーボンナノチューブを用いれば、剥離したカーボンナノチューブに存在する比較的大きな表面積に起因して、さらなる精製が、束なったカーボンナノチューブに対して行う精製よりもより簡単に行われる。精製技術には、例えば、高温(例えば、約200℃ないし約400℃)での酸化または酸抽出して金属性不純物を除去することのような慣用技術が含まれる。剥離したカーボンナノチューブから金属性不純物を抽出するために使用し得る例示的な酸には、例えば、種々の濃度の塩酸、臭化水素酸、硝酸、クロロスルホン酸およびリン酸ならびにそれらの種々の組合せが含まれる。一般的に、水、有機溶媒またはそれらの組合せを用いた濯ぎによって、剥離したカーボンナノチューブから酸および不純物を除去する。幾つかの形態において、例えば、高圧CO2、または例えば、プロパンまたはブタンのような炭化水素のような超臨界流体を用いても、剥離したカーボンナノチューブから不純物を除去し得る。
【0053】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを製造する方法には、さらに、少なくとも1の官能基を用いた剥離したカーボンナノチューブの誘導化が含まれる。誘導化は、剥離を起こす前または後のいずれかに起し得る。カーボンナノチューブを誘導化する膨大な数の方法が当業者に知られている。例えば、ジアゾニウム化学を利用して、そのうちのいずれかはさらなる機能化を有していてもよいアルキルまたはアリール基をカーボンナノチューブに導入し得る。さらなる形態において、アンモニア液中のリチウムでナノチューブを処理し、つづいてハロゲン化アルキルを用いる反応を用いて、カーボンナノチューブをアルキル化し得る。例えば、ピリジンのような触媒存在下でのフッ化カーボンナノチューブとアンモニアまたはアミンとの反応を用いて、アミンを有する機能性を介してナノチューブを機能化し得る。同様にして、フッ化カーボンナノチューブは、エーテル結合OR(式中、Rはアルキル、アリール、アシルおよびアリールアシル基のいずれかの組合せ)を有するように機能化し得るヒドロキシル−含有基で機能化し得る。さらに、Rは、例えば、ハロゲン、チオール、アミノ基および他の普通の有機機能性を用いて、さらに機能化し得る。また、カーボンナノチューブは、チオール、アルキル置換チオール、アリール置換チオールおよびハロゲンを用いて直接的に機能化し得る。
【0054】
幾つかの形態において、第1の量または第2の量の剥離したカーボンナノチューブは、例えば、キラリティー、直径または全長のような物理学的特性によって選択的に沈殿させる。種々の形態において、カーボンナノチューブは、ナノプレートの形態のナノ結晶性材料を用いて剥離し、ついで、キラリティー、ナノチューブ全長またはナノチューブ直径によってさらに分離する。種々の形態において、カーボンナノチューブは、ナノロッドの形態のナノ結晶性材料を用いて剥離し、ついで、キラリティー、ナノチューブ全長またはナノチューブ直径によってさらに分離する。種々の形態において、カーボンナノチューブは、ナノウィスカーの形態のナノ結晶性材料を用いて剥離し、ついで、キラリティー、ナノチューブ全長またはナノチューブ直径によってさらに分離する。どのくらいの剥離したカーボンナノチューブが調製されたかに関係なく、キラリティー、全長または直径による分離は、カーボンナノチューブを剥離した後の幾つかの場合において、より容易になり得る。
【0055】
幾つかの形態において、キラリティー、全長または直径によるカーボンナノチューブの直接的分離は、さらなる剤と組み合わせたナノ結晶性材料の選択によって行い得る。例えば、単独またはキラルな界面活性剤および/またはポリマーと組み合わせたナノ結晶性材料を用いることにより、全長、直径、キラリティー、型、および例えば酸化状態および/または欠陥構造のような機能性に基づいて、剥離したカーボンナノチューブを分離することが許容され得る。
【0056】
幾つかの形態において、カーボンナノチューブの懸濁液には、キラリティーによる剥離したカーボンナノチューブの選択的な沈殿を生じるキラル剤(chiral agent)がさらに含まれる。キラル剤には、例えば、界面活性剤、ポリマーおよびそれらの組合せが含まれる。キラル剤には、動電クロマトグラフィーにおけるエナンチオマー薬の分離に有用とされている、例えばR,R−酒石酸、およびポリ乳酸のエナンチオマーのような分子が含まれる。キラル分離に慣用的に使用されている他の分子も、本明細書の開示の意図および範囲の中に存在する。幾つかの形態において、キラル剤を用いて、一定の範囲のカーボンナノチューブのキラリティーを含むカーボンナノチューブの混合物から、単一のキラリティーまたは限定された数のキラル配置の剥離したカーボンナノチューブを分離し得る。幾つかの形態において、キラル剤は、カーボンナノチューブの分散を助け、かつキラル分離を促進する界面活性剤とし得る。キラル剤は、カーボンナノチューブ表面に会合するかまたは化学的に結合し得る。幾つかの形態において、キラリティーによって分離したカーボンナノチューブは、電子型(すなわち、金属性、半−金属性および半−電導性)によっても分離される。
【0057】
決まったキラリティーを有するポリマーおよび/または界面活性剤を用いることによって、剥離した金属性、半−金属性または半−電導性カーボンナノチューブの分離した集合を本明細書に開示する幾つかの形態において得ることができる。機構または理論によって拘束されることなく、出願人は、決まったキラリティーのポリマーおよび/または界面活性剤が、相補的なキラリティー型のカーボンナノチューブを優先的に包むと考えている。本明細書中で前記した選択的なカーボンナノチューブの沈殿によって、カーボンナノチューブをキラリティーによって選択的に分離し得る。選択的なカーボンナノチューブの沈殿は、ナノ結晶性材料の存在下または不存在下のいずれかで起こり得る。幾つかの形態において、例えば、溶媒/非−溶媒添加(solvent/non-solvent addition)、同時−界面活性剤添加(co-surfactant addition)、および温度差勾配(differential temperature gradient)のような分離技術を用いて、カーボンナノチューブのキラル集合を選択的に沈殿させることができる。
【0058】
種々の形態において、キラルポリマーおよび/または界面活性剤は、タクチック分子(tactic molecule)の混合物とし得る。低温分解温度を有するタクチックポリマーを用いることによって、単離した、剥離したカーボンナノチューブをポリマーの高温分解によって容易に回収し得る。例示的なタクチックポリマーには、例えば、アタクチック(atactic)ポリスチレン、イソタクチック(isotactic)ポリスチレン、シンジオタクチック(syndiotactic)ポリスチレン、dおよびlポリ乳酸、dおよびlポリプロピレンカーボネートなどが含まれる。例えば、ポリプロピレンカーボネートは、カーボンナノチューブを損傷することなく、約300℃未満で高温分解し得る。さらなる形態において、タクチック分子は、例えば、トルエンまたはデカリンのような炭化水素溶媒に溶解した混合物とし得る。いまださらなる形態において、ポリマー中のカーボンナノチューブは当業者に知られている種々の方法によって方向付けしまたは整列し得る。
【0059】
キラルポリマーを用いることによるキラリティーによってカーボンナノチューブを分離する技術は、さらに、連続分離用のクロマトグラフィーカラムまで拡張し得る。例えば、キラルポリマーに包んだカーボンナノチューブは、クロマトグラフィーカラムに適用し、ついで、キラリティーによって分離し得る。あるいは、キラル剤を欠く剥離したカーボンナノチューブの懸濁液は、キラル固定相を有するクロマトグラフィーカラムに適用し得る。これらの別法の形態において、キラリティーによる分離は、キラル固定相と種々のカーボンナノチューブキラリティーとの選択的相互作用に基づく。
【0060】
いまださらなる形態において、キラルポリマーおよび/または界面活性剤の包みを有するかまたは有さない剥離したカーボンナノチューブは、剥離したカーボンナノチューブの溶液に電位を加えることによって電子型により分離し得る。例えば、剥離した金属性カーボンナノチューブは、収集および分離するために電位に向けて移動するであろう。
【0061】
本明細書に開示する幾つかの形態において、ナノ結晶性材料を利用しない剥離したカーボンナノチューブを製造する別法を開示する。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを製造する方法には、酸中のカーボンナノチューブの溶液を調製し、該溶液をフィルターを通して濾過して該フィルター上に剥離したカーボンナノチューブを収集することが含まれる。幾つかの形態において、酸は硫酸である。幾つかの形態において、酸は硝酸および硫酸の混合物である。幾つかの形態において、酸は超酸である。幾つかの形態において、超酸はクロロスルホン酸である。
【0062】
一般的に、分散したカーボンナノチューブを調製するのに用いる酸溶液は、酸中のカーボンナノチューブの浸透閾値(percolation threshold)未満であるカーボンナノチューブの濃度を有する。剥離したカーボンナノチューブのかかる酸溶液の濾過は、本明細書に開示する種々の形態におけるフィルター上に剥離したカーボンナノチューブのマットを生成する。幾つかの酸および超酸が溶液にカーボンナノチューブの束を溶解および剥離することが知られているが、特に液晶相が形成される場合には、出願人は、酸溶媒を除去する際に剥離を維持し得ることは当該技術分野において認識されていなかったと考える。剥離したカーボンナノチューブのマットは、本明細書に開示する幾つかの形態におけるフィルター上でさらに修飾し得る。例えば、幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブのマットは、界面活性剤で機能化または処理することによって修飾して、カーボンナノチューブを剥離した状態に維持し得る。その後、剥離したカーボンナノチューブを、フィルターから取り出し得る。また、剥離したカーボンナノチューブは、本明細書中に前記したいずれかの方法に従ってさらに加工し得る。
【0063】
本明細書中に前記した技術によって調製した剥離したカーボンナノチューブは、典型的には、現存する技術を用いて剥離したカーボンナノチューブよりも長い。例えば、先に記載したように、他の分離技術では、カーボンナノチューブ損傷を生じ、短いカーボンナノチューブの長さとなる場合がある。ある種の適用、特に導電性または機械的強化を含む適用においては、短いカーボンナノチューブでは十分な導電性または構造統合性を提供し得ない。少なくとも一部の長いカーボンナノチューブをエネルギー保存デバイスのような電気デバイスに存在させることによって、固定したカーボンナノチューブ体積画分における高い度合いの電気接続性を達成し得る。さらに、長いカーボンナノチューブの長さは、短いカーボンナノチューブを用いて行ったものを超えてポリマーコンポジットの靱性を増大し得る。
【0064】
本明細書の開示は、剥離したカーボンナノチューブを含む改良されたエネルギー保存デバイス、および特に剥離したカーボンナノチューブを含むコンポーネントを有するコンデンサ、超コンデンサ、ウルトラコンデンサおよびバッテリーにも関する。改良されたエネルギー保存デバイスには、各々が剥離したカーボンナノチューブを含むことができる、例えば、集電装置、電極、絶縁体、電解質および隔離板のようなコンポーネントが含まれる。幾つかの形態において、改良されたエネルギー保存デバイスは、剥離したカーボンナノチューブを含む少なくとも2の電極のうちの少なくとも1を有する。改良されたエネルギー保存デバイスには、各々が所望によりカーボンナノチューブを含んでいてもよい、誘電体媒質または電解質も含まれる。改良されたエネルギー保存デバイスは、高いエネルギー密度および出力密度を有する。
【0065】
図1はファラデーコンデンサの基本素子の例示的な配置を示す。図1に示すように、集電装置1および5は、絶縁体3によって分離された電極2および4と接触している。本明細書に開示する形態において、電極2および4のうちの少なくとも1は剥離したカーボンナノチューブを含む。種々の形態において、集電装置1および5は、例えば銅および他の高伝導性金属のような金属とし得る。幾つかの形態において、集電装置は、伝導性の剥離したカーボンナノチューブを含み得る。ある形態において、カーボンナノチューブは完全長の剥離したカーボンナノチューブとし得る。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは、分離した金属性カーボンナノチューブとし得る。種々の形態において、電極2および4のうちの少なくとも1は剥離したカーボンナノチューブを含む。
【0066】
図2は電気二重層コンデンサーの基本素子の例示的な配置を示す。図2に示すように、集電装置11および17は電極12および16と接触し、電解質13および15は電極12および16と接触している。非導電性セパレータ14は電極13および15を分離し、電極12および16の間のイオン流動に浸透性である。幾つかの形態において、集電装置11および17は、例えば銅などの伝導性金属のような金属とし得る。幾つかの形態において、集電装置11および17は剥離したカーボンナノチューブを含む。幾つかの形態において、カーボンナノチューブは分離した金属性カーボンナノチューブとし得る。種々の形態において、電解質13および15は剥離したカーボンナノチューブを含み得、それは幾つかの形態における剥離した伝導性カーボンナノチューブとし得る。種々の形態において、電極12および16のうちの少なくとも1は剥離したカーボンナノチューブを含む。電解質13および15は電極12および16と完全に合体し得、あるいは電極の一部に沿って接触し得る。例えば、電極13および15は、平面に沿って電極12および16の単一側に沿って接触し得る。種々の形態において、非−導電性セパレータ4は非−導電性カーボンナノチューブを含み得る。種々の形態において、非−導電性セパレータ4は多孔質ポリエチレンまたはガラス繊維マットから製造し得る。
【0067】
図3はバッテリーの基本素子の例示的な配置を示す。図3に示すように、電極21および23は電解質22に接触している。電解質22は電極21および23の間でイオンを運搬する。ある種の形態において、イオンは、例えば、リチウムイオンのような金属イオンである。したがって、本明細書の開示は、剥離したカーボンナノチューブを含むリチウムバッテリーを記載する。幾つかの形態において、電極21および23のうちの少なくとも1は剥離したカーボンナノチューブを含む。幾つかの形態において、電解質22は剥離したカーボンナノチューブを含む。
【0068】
本明細書に開示する種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブを含むエネルギー保存デバイスは、少なくとも2の電極および該少なくとも2の電極と接触した電解質を含むバッテリーである。電極の少なくとも1は、剥離したカーボンナノチューブを含む。
【0069】
エネルギー保存デバイスの幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブはマルチウォール・カーボンナノチューブである。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブはシングルウォール・カーボンナノチューブである。幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを含む少なくとも1の電極は、アノードである。
【0070】
エネルギー保存デバイスの種々の形態において、電極には、ポリマーまたは粘性液体中に分散した剥離したカーボンナノチューブが含まれ得る。種々の形態において、電極は、例えば、絶縁体または電解質のような他の媒質に積層し得る。
【0071】
種々の形態において、エネルギー保存デバイスの電解質は固体または液体とし得る。一般的には、電解質を選択して内部電気抵抗を最小限化する。水酸化カリウムまたは硫酸のような水性電解質が慣用的なバッテリーおよびコンデンサに一般的に利用される。1.24ボルトという水の低い電気化学的分解電位に起因して、エネルギー密度はこれらの型の電解質で制限される。例えば、有機炭酸およびテトラアルキルアンモニウム塩のような有機電解質は、良好な溶解性および妥当な導電率を提供する。一般的に、有機電解質は水性電解質よりも低い導電率を有するが、それは、例えば、約5ボルトにのぼる高電位において作動し得る。他の電解質は、例えば、ポリウレタン−過塩素酸リチウム、ポリビニルアルコール−KOH−H2Oおよび関連する系のようなポリマー−ゲル型のものとすることができる。例えば、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムおよびテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのような有機電解質は、カーボンナノチューブが電解質に含まれる形態においてカーボンナノチューブを分散および剥離するための電解質および界面活性剤として同時に作用し得る。電解質塩は、カーボンナノチューブを分散し、または、剥離したカーボンナノチューブを剥離した状態で維持するためにも用い得る。
【0072】
エネルギー保存デバイスの幾つかの形態において、剥離したカーボンナノチューブを電気活性材料で修飾する。幾つかの形態において、電気活性材料は、遷移金属または遷移金属酸化物である。電気活性遷移金属には、例えば、Ru、Ir、W、Mo、Mn、NiおよびCoが含まれる。幾つかの形態において、電気活性材料は、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレンおよびポリビニルピロールのような導電性ポリマーとし得る。幾つかの形態において、電気活性材料は剥離したカーボンナノチューブに結合したナノ材料である。幾つかの形態において、ナノ材料は、例えば、SnO2、Li4Ti5O12、ケイ素ナノチューブ、ケイ素ナノ粒子およびそれらの種々の組合せとし得る。
【0073】
他の種々の形態において、本明細書の開示には、エネルギー保存デバイスにおける使用に好適である剥離したカーボンナノチューブを含む層構造が記載されている。例えば、多層ダイ(multilayer die)または多層ジェネレータ(multilayer generator)を通した剥離したカーボンナノチューブを含む液体または融解物の同時押出を、本明細書に開示するエネルギー保存デバイスの製作に使用し得る。得られる層構造は連続して積み重ねおよび連結して、より高い電位をエネルギー保存デバイスに与え得る。他の形態において、エネルギー保存デバイスのコンポーネントは、溶媒をキャスティングし、スプレーし、ペーストを拡げ、圧縮伸長またはそれらの組合せによって、剥離したカーボンナノチューブの溶液から加工し得る。
【0074】
幾つかの形態において、本明細書の開示は、電気二重層コンデンサのイオン拡散分離器にも関する。種々の形態において、分離器には非−金属性シングルウォール・カーボンナノチューブが含まれる。
【0075】
本明細書に開示する幾つかの形態において、エネルギー保存デバイスの絶縁体は、非金属性シングルウォール・カーボンナノチューブを含む。絶縁体がカーボンナノチューブを含む場合の形態において、絶縁体/カーボンナノチューブの誘電率は絶縁体単独のものよりも大きくし得る。
【0076】
種々の形態において、剥離したカーボンナノチューブは、エネルギー保存デバイスにおける使用のために形成する電極に整列することができる。幾つかの形態において、整列は溶融押出を通して行い得る。
【0077】
本明細書に開示するエネルギー保存デバイスの幾つかの形態において、エネルギー保存デバイスの電極、電解質または絶縁体への剥離したカーボンナノチューブの取込みにより、高められた強度および頑丈さがデバイスに付与される。これらの特徴は、高い振動または極度の温度サイクリング環境のような過酷な環境下で機能するためのデバイスの形成をさらに許容する。
【0078】
本明細書に開示するいまださらなる形態において、剥離したカーボンナノチューブを含むポリマーコンポジットおよびかかるポリマーコンポジットを製造する方法を本明細書に記載する。本明細書に開示するポリマーコンポジットは、ポリマーマトリクスに分散した完全に剥離したカーボンナノチューブを有することによって当該技術分野において慣用的に調製されるコンポジットを超えて有利である。それ自体で、本明細書に開示するポリマーコンポジットは、コンポジットを応力下に置いた場合の荷重伝搬に利用可能であるカーボンナノチューブ表面積の全てを有することにおいて有利である。さらに、カーボンナノチューブの剥離した状態は、ポリマーコンポジットにカーボンナノチューブを分散するのに慣用的に用いられている高剪断混合技術に対して、カーボンナノチューブが剥離していない状態でポリマーマトリクスに容易に混合することを許容する。
【0079】
幾つかの形態において、本明細書の開示に係るポリマーコンポジットを製造する方法には、剥離したカーボンナノチューブを提供し、剥離したカーボンナノチューブをポリマー材料に混合してポリマーコンポジットを形成することが含まれる。カーボンナノチューブは、ポリマー材料に混合した後にも剥離した状態のままである。
【0080】
ポリマーコンポジットを製造する方法の幾つかの形態において、ポリマー材料はエポキシである。幾つかの形態において、方法には、さらに、エポキシを硬化することが含まれる。幾つかの形態において、ポリマー材料は熱可塑性材料のモノマーであり、それをつづいて重合する。幾つかの形態において、ポリマー材料はポリマー溶融物であり、それは剥離したカーボンナノチューブを混合した後に硬化させる。
【0081】
実験例
以下の実験例を含めて本明細書に開示する詳細な態様を説明する。例に記載する方法が本明細書に開示する例示的な形態を単に代表するものであることは当業者によって理解されるべきである。当業者であれば、本明細書の開示に鑑みて、記載した特定の形態に多くの変化を付けることができ、本明細書に開示した意図および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果を未だ得ることができることを理解すべきである。
【0082】
実施例1:Zr(HPO42・H2Oナノプレートおよび水酸化テトラブチルアンモニウム界面活性剤を用いたカーボンナノチューブの剥離
カーボンナノチューブの分散溶液は、Zr(HPO42・H2Oナノプレートおよび水酸化テトラブチルアンモニウム(5重量% Zr(HPO42・H2O;Zr(HPO42・H2O:水酸化テトラブチルアンモニウムの比1:0.8)の溶液2mLに入れた10mgのマルチウォール・カーボンナノチューブから調製した。つづいて、その溶液を30mLに希釈し、ついで2時間超音波処理した。溶液は、少なくとも24時間安定であった。0.01M KClのアリコットを加え、一定量の剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの沈殿を得た。沈殿した画分を遠心により取り出した。単離したナノチューブの量は、元々懸濁したカーボンナノチューブの体積のほぼ1/10であった。濾液は0.01M KClの他のアリコットで処理して、マルチウォール・カーボンナノチューブの第2の沈殿を得た。懸濁液から実質的に全てのナノチューブが沈殿するまで、沈殿/遠心工程を繰り返した。
【0083】
実施例2:変化するサイズのZr(HPO42・H2Oナノプレートを用いたカーボンナノチューブの剥離(予言実施例)
試料中に存在した最長のカーボンナノチューブの長さの約1/10の長さのナノプレートサイズを用いた以外は本明細書中で前記した実施例1に記載した実験方法を繰り返した。0.01M KClを添加した後に第1の沈殿画分を取り出した後に、異なる(大きい)サイズの第2の量のナノプレートを添加する。第2の量のナノプレートは、0.01M KClを添加した後に第2の量のナノチューブを分画する。ナノチューブの第2の沈殿画分は、第1の沈殿画分よりも異なる長さの分布を有し得る。懸濁液から実質的に全てのナノチューブが沈殿するまで、次第により大きなナノプレートを用いて沈殿/遠心工程を繰り返した。
【0084】
実施例3:ヒドロキシアパタイト・ナノプレートの合成
室温にて400mLの希硝酸(pH=2)中に10gのヒドロキシアパタイト(Sigma Aldrich試薬等級)を溶解し、つづいて48mLの1%(v/v)水酸化アンモニウムを非常にゆっくりと添加することによって、制御したサイズのヒドロキシアパタイト・ナノプレートを合成した。pH=4およびpH=5で収集した結晶は、約7ないし8のアスペクト比および3−15μmの範囲の直径を有するプレートであることが顕微鏡観察によって判明した。図4は直径3−15μmのヒドロキシアパタイトの例示的な電子顕微鏡写真を示す。1%(v/v)水酸化アンモニウムの添加速度を増大すると、平均プレートサイズが減少した。
【0085】
実施例4:ヒドロキシアパタイト・ナノロッドの合成
最初に、2gのヒドロキシアパタイトをエタノール:水を3:1の比で含有する40mLの希硝酸(pH=2)に溶解した。ついで、その混合物を80mLの5体積%の水酸化アンモニウムに入れ、3:1の比のエタノール:水にも入れて冷やした。生じたpHは8.5であった。乳白色ゼリー状の沈殿を生じた。ついで、沈殿を含む得られた混合物をマグネティックスターラー付きホットプレート上、70ないし80℃にて24時間加熱した。その後、ヒドロキシアパタイト結晶を濾過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥した。電子顕微鏡は、約25のアスペクト比および100−200nmの長さを有するヒドロキシアパタイト・ナノロッドが形成したことを示した。図5は、100−200nmの長さを有するヒドロキシアパタイト・ナノロッドの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【0086】
実施例5:ヒドロキシアパタイトを用いたカーボンナノチューブの剥離
0.5142gのヒドロキシアパタイト・ナノロッドを50mLの水および0.8280gの水酸化テトラブチルアンモニウム(Sigma Aldrich試薬等級;TBAH;モル比1:1のヒドロキシアパタイト:TBAH)に添加した。得られた混合物を25℃にて1時間超音波処理し、ついで脱イオン水で希釈してヒドロキシアパタイト含量に基づいて0.2重量%の溶液を得た。
【0087】
マルチウォール・カーボンナノチューブを、直径1−10μmの粒子サイズを有する非常に絡まったナノチューブ束を含む粉体として回収した。個々のマルチウォール・カーボンナノチューブの長さは1μmを超えることが判明し、直径は10−20nmであることが判明した。1gのマルチウォール・カーボンナノチューブを、3:1の体積比の濃硫酸および硝酸の混合物50mLに添加した。その混合物を超音波バス(Branson sonicator,model 250)に入れ、25−35℃の温度で超音波処理しながら2時間処理した。ついで、その混合物をフッ化ポリビニルピロリドン・フィルター(5μm孔径)を用いて濾過し、つづいて濾液のpHが4.5になるまで得られた固形物を脱イオン水で洗浄した。ついで、マルチウォール・カーボンナノチューブを真空下、80℃にて2時間乾燥した。マルチウォール・カーボンナノチューブは、酸処理によって実質的に短くならなかった。
【0088】
乾燥したマルチウォール・カーボンナノチューブを前記して調製したヒドロキシアパタイト/TBAH溶液に添加して1:1、1:2、1:3、1:4および1:5のカーボンナノチューブ:ヒドロキシアパタイトの重量比を得ることによって試料を調製した。混合物を室温にて2時間超音波処理し、ついで24時間放置した。1:1の重量比において、マルチウォール・カーボンナノチューブの一部分が塊になった粒子として沈殿した。1:2の重量比においては、溶液は24時間後に存在するわずかなマルチウォール・カーボンナノチューブ粒子を有していた。調べた全ての高い重量比は、少なくとも24時間安定な分散液を与えた。ヒドロキシアパタイトが存在しない1:3の重量比のマルチウォール・カーボンナノチューブ:TBAHの対照実験では、24時間後に沈殿する大部分が塊になったカーボンナノチューブを示した。図6Aは回収したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示し、図6Bはヒドロキシアパタイト・ナノロッドを用いて剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【0089】
沈殿した剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブは、エネルギー分散型X−線(EDX)分光法によって証明されるように残余ヒドロキシアパタイトを含んでいた。図7Aは沈殿した剥離したマルチウォール・ナノチューブの例示的なEDXスペクトルを示す。EDXスペクトルによって示されるように、強力なCaおよびPシグナルがヒドロキシアパタイトの存在を示した。沈殿したマルチウォール・カーボンナノチューブは、つづいて50mLの1N硝酸につづいて250mLの脱イオン水で洗浄し、それによってEDXによって証明されるように実質的に全てのヒドロキシアパタイトが除去された。図7Bは酸洗浄後の沈殿した剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的なEDXスペクトルを示す。反対に、実施例1の剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブは残余Zr(HPO42・H2Oを含んでおり、これは硝酸、塩酸または硫酸のような酸で洗浄することにより除去し得た。
【0090】
剥離、沈殿および洗浄後に、絡まっていないマルチウォール・カーボンナノチューブを得た。図8は沈殿および洗浄後の剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。マルチウォール・カーボンナノチューブの剥離は、ヒドロキシアパタイト・プレートを用いて同等に行い得た。
【0091】
実施例6:濃酸溶液を用いたカーボンナノチューブの剥離
40mgのマルチウォール・カーボンナノチューブを3:1の硫酸:硝酸混合物40mLに加え、25℃にて60分間超音波処理した。その混合物の液滴をPVDFフィルター上に置き、風乾した。図9は3:1のH2SO4:HNO3から得た剥離したカーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。図9に示すように、剥離は乾燥により酸を除去した後にも維持していた。
【0092】
実施例7:濃酸溶液につづいて界面活性剤添加を用いたカーボンナノチューブの剥離
3:1の硫酸:硝酸中の1重量%のダブルウォール・カーボンナノチューブ溶液を、先に記載したように2時間処理した。濃酸溶液を濾過した後にダブルウォール・カーボンナノチューブを固定化し、固定化したカーボンナノチューブを洗液がpH=4.5になるまで脱イオン水で洗浄した。いまだ濡れている間に、PVDFフィルター紙およびダブルウォール・カーボンナノチューブを、ドデシル硫酸猶トリウム(SDS)に対するダブルウォール・カーボンナノチューブの重量が1:3になるように脱イオン水中の0.2重量%のSDS溶液で30分間超音波処理した。混合物は少なくとも24時間安定であった。その混合物の液滴をカーボンテープ上に置き、電子顕微鏡観察によって調べるために乾燥し、それは剥離したカーボンナノチューブを示した。図10は酸剥離およびドデシル硫酸ナトリウムを用いて処理した後の剥離したダブルウォール・カーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【0093】
実施例8:剥離したカーボンナノチューブを含むエポキシコンポジット
5mgの酸処理したマルチウォール・カーボンナノチューブを10mLのテトラエチレンテトラアミン(TETA)に入れ、SDSに対するマルチウォール・カーボンナノチューブの重量比が5、2.5、1および0.33ないし1になるようにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の種々の添加物を添加した。その混合物を30℃にて30分間超音波処理し、放置した。7日後、1:1および1:0.33比のものは沈殿に向けて安定であることが示された。
【0094】
49gのビスフェノールFエポキシを0.242gの酸処理したマルチウォール・カーボンナノチューブと混合し、60℃にて10分間超音波処理した。その混合物を25℃まで冷却し、ついで25インチHgで10分間脱気した。0.5重量%の処理したマルチウォール・カーボンナノチューブおよび0.5重量%のSDSを含む7gのTETAを前記したように別々に超音波処理および脱気した。ついで、2の脱気した混合物を注意深く混合し、型に注入した。型は100℃にて2時間硬化した。カーボンナノチューブを含めないで(コントロール1)および回収したマルチウォール・カーボンナノチューブを含めて(コントロール2)、前記したようにコントロールを調製した。
【0095】
表1は剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブを含むエポキシ・コンポジットにおける機械強度の改善を示す。Kqは0.01/分の初期歪み速度および1mmのレザーノッチ(razor notch)で切り目を入れた標本の張力試験で失敗する前の最大応力である。相対疲労寿命(relative fatigue lifetime)の改善は、0.1の応力振幅(応力最小/応力最大)で約16.7MPaの最大引張応力で1Hzでの失敗までのサイクル数としてカウントした切れ目を入れた標本の寿命である。表1に示すように、剥離したカーボンナノチューブを用いた場合に、顕著な機械特性の向上が認められた。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例8:剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブを含むコンデンサ
コントロール1:10gのポリ(エチレンオキシド)(PEO;分子量1500)を溶融し、1mLの4N水酸化カリウムを添加して電解質を作製した。1重量%の回収したマルチウォール・カーボンナノチューブを電解質混合物に加え、超音波バス中で15分間超音波処理した。ほぼ2.1gの混合物を集電装置として銅線を接着した6cm径のポリスチレン製ペトリ皿の一部分にほぼ2.1gの混合物を注いだ。ついで、きれいな筆記用紙片を溶融した液体電解質に入れ、端部を垂らさないように2gの電解質を紙に注いだ。ついで、接着した銅線を含むペトリ皿の他の側を挿入してコンデンサを製造した。15分間、室温に冷却した後に、HP 4282Aキャパシタンス計を用いてキャパシタンスを測定した。測定したキャパシタンスは0.0645マイクロファラドであった。コントロール2:マルチウォール・カーボンナノチューブの代わりに回収グラフェン(Rice University)を用いる以外はコントロール1と同様にしてコントロール2を調製した。測定したキャパシタンスは0.176マイクロファラドであった。剥離したカーボンナノチューブ・コンデンサ:回収したマルチウォール・カーボンナノチューブの代わりに剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブを用いる以外はコントロール1と同様にしてコンデンサを調製した。測定したキャパシタンスは0.904マイクロファラドであり、コントロール1の14倍およびコントロール2の5.1倍の改善であった。
【0098】
実施例9:銅ナノ粒子で修飾した剥離したカーボンナノチューブ
102mgの剥離したマルチウォール・カーボンナノチューブを、100mgの硫酸銅、640mgのEDTAナトリウム、15mgのポリエチレングリコール、568mgの硫酸ナトリウムおよび60mLの脱イオン水に加えた。その混合物を10分間超音波処理し、ついで、40℃に加熱した。3mLのホルムアルデヒド(37%溶液)および500mgの水酸化ナトリウムを添加してpHを12.2とした。その混合物を85℃にて30分間攪拌し、ついで5ミクロンPVDFフィルターを用いて濾過し、200mLの脱イオン水で洗浄した。図11は混合物から得た酸化銅ナノ粒子で修飾した剥離したカーボンナノチューブの例示的な電子顕微鏡写真を示す。
【0099】
当業者であれば、前記した記載から本明細書の開示の必須の特徴を容易に確認し得、その意図および範囲から逸脱することなく種々の変形および修飾を開示に適用して種々の利用および条件とすることができる。前記した形態は説明の目的のためだけのものであって、以下の特許請求の範囲に規定する、本明細書の開示の範囲を限定するものと解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離したカーボンナノチューブを含む組成物であって、
該剥離したカーボンナノチューブが、カーボンナノチューブを剥離した状態に維持する連続マトリクスに分散していない該組成物。
【請求項2】
組成物が剥離したカーボンナノチューブのマットを含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
カーボンナノチューブが、シングルウォール・カーボンナノチューブ、ダブルウォール・カーボンナノチューブ、マルチウォール・カーボンナノチューブおよびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
カーボンナノチューブが完全長カーボンナノチューブである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
カーボンナノチューブが、触媒残余、非−ナノチューブカーボンおよびそれらの組合せよりなる群から選択される不純物を実質的に含まない請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
剥離したカーボンナノチューブをキラリティーによって分離する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
剥離したカーボンナノチューブを束なったカーボンナノチューブから調製する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物であって;
剥離したカーボンナノチューブが、束なったカーボンナノチューブよりも狭い長さの分布を有する該組成物。
【請求項8】
剥離したカーボンナノチューブを束なったカーボンナノチューブから調製する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物であって;
剥離したカーボンナノチューブが、束なったカーボンナノチューブよりも狭い直径の分布を有する該組成物。
【請求項9】
剥離したカーボンナノチューブがさらに機能化されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
さらに、剥離したカーボンナノチューブが、カーボンナノチューブに結合した電気活性材料をさらに含む請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
a)第1の量のナノ結晶性材料を含む溶液にカーボンナノチューブを懸濁し;
b)溶液から第1の量の剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ;ついで
c)第1の量の剥離したカーボンナノチューブを単離する
ことを含む、剥離したカーボンナノチューブの調製方法。
【請求項12】
さらに、溶液が界面活性剤を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、沈殿させることが、溶液のイオン強度を調節することを含む請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
さらに、沈殿させることが、溶液に電位を加えることを含む請求項11ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
さらに、沈殿させることが、溶液のpHを調節することを含む請求項11ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
さらに、溶液がキラル剤を含み;かつ
第1の量の剥離したカーボンナノチューブをキラリティーによって選択的に沈殿させる請求項11ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
キラル剤が、界面活性剤、ポリマーおよびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項16記載の方法。
【請求項18】
剥離したカーボンナノチューブを長さによって選択的に沈殿させる請求項11ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
剥離したカーボンナノチューブを直径によって選択的に沈殿させる請求項11ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
さらに、
第2の量のナノ結晶性材料を溶液に加え;ついで
第2の量の剥離したカーボンナノチューブを沈殿させることを含む
請求項11ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
第1の量の剥離したカーボンナノチューブおよび第2の量の剥離したカーボンナノチューブが互いに異なる特性を有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
ナノ結晶性材料が、ナノプレート、ナノロッドおよびナノウィスカーよりなる群から選択される結晶形を有する請求項11ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ナノ結晶性材料が、粘土、グラファイト、無機結晶性材料、有機結晶性材料およびそれらの種々の組合せよりなる群から選択される請求項11ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ナノ結晶性材料が、ヒドロキシアパタイトおよびヒドロキシアパタイト誘導体よりなる群から選択される請求項11ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
a)ヒドロキシアパタイトを含む溶液にカーボンナノチューブを懸濁し;
b)溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ;ついで
c)剥離したカーボンナノチューブを単離する
ことを含む、剥離したカーボンナノチューブの調製方法。
【請求項26】
ヒドロキシアパタイトが、ナノロッド、ナノプレートおよびナノウィスカーよりなる群から選択される結晶形を有する請求項25記載の方法。
【請求項27】
さらに、剥離したカーボンナノチューブから残余のヒドロキシアパタイトを除去することを含む請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
除去することが、剥離したカーボンナノチューブを単離した後にそれを酸で洗浄することを含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
a)ナノロッド材料を含む溶液にカーボンナノチューブを懸濁し;
b)溶液から剥離したカーボンナノチューブを沈殿させ;ついで
c)剥離したカーボンナノチューブを単離する
ことを含む、剥離したカーボンナノチューブの調製方法。
【請求項30】
a)酸中のカーボンナノチューブの溶液を調製し;ついで
b)溶液をフィルターを通して濾過して該フィルター上に剥離したカーボンナノチューブを収集する
ことを含む、剥離したカーボンナノチューブの調製方法。
【請求項31】
酸中のカーボンナノチューブの濃度が、酸中のカーボンナノチューブの浸透閾値(percolation threshold)未満である請求項30記載の方法。
【請求項32】
酸が超酸を含む請求項30または31記載の方法。
【請求項33】
超酸がクロロスルホン酸を含む請求項32記載の方法。
【請求項34】
さらに、
c)剥離したカーボンナノチューブをフィルター上で修飾する
ことを含む請求項30ないし33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
修飾することが、剥離したカーボンナノチューブを機能化することを含む請求項34記載の方法。
【請求項36】
修飾することが、剥離したカーボンナノチューブを界面活性剤で処理することを含む請求項34記載の方法。
【請求項37】
a)少なくとも2の電極;
ここに電極の少なくとも1は請求項1記載の剥離したカーボンナノチューブを含み;および
b)少なくとも2の電極と接触した電解質
を含むエネルギー保存デバイス。
【請求項38】
剥離したカーボンナノチューブが電気活性材料で修飾されている請求項37記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項39】
電気活性材料が遷移金属を含む請求項38記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項40】
電気活性材料が剥離したカーボンナノチューブに結合したナノ材料を含む請求項38記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項41】
ナノ材料がSnO2、Li4Ti5O12、ケイ素ナノチューブ、ケイ素ナノ粒子およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項40記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項42】
剥離したカーボンナノチューブが、マルチウォール・カーボンナノチューブを含む請求項38ないし42のいずれか1項に記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項43】
剥離したカーボンナノチューブを含む少なくとも1の電極がアノードである請求項37記載のエネルギー保存デバイス。
【請求項44】
ポリマーコンポジットを製造する方法であって:
a)請求項1の剥離したカーボンナノチューブを提供し;ついで
b)ポリマー材料中で剥離したカーボンナノチューブを混合してポリマーコンポジットを形成することを含み;
ここに、剥離したカーボンナノチューブは、ポリマー材料中で混合した後に剥離した状態のままである該方法。
【請求項45】
ポリマー材料がエポキシを含む請求項44記載の方法。
【請求項46】
さらに、エポキシを硬化(curing)することを含む請求項45記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A−7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−512811(P2012−512811A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542495(P2011−542495)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068781
【国際公開番号】WO2010/117392
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511204382)デザインド・ナノチューブス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】Designed NanoTubes, LLC
【Fターム(参考)】