説明

割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両

【課題】割岩作業の効率を向上し得る割岩用作業車両を提供する。
【解決手段】この割岩用作業車両は、そのアームの先端に、割岩装置用アタッチメントを有している。そして、このアタッチメントには、複数の割岩装置が装着される。また、各割岩装置を駆動するための圧油を供給する圧油供給装置を備えている。各割岩装置は、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を複数の押圧部で押圧することで割岩をするものであり、シリンダ本体と、その基端側に接続された案内管部と、を備えている。そして、この割岩用作業車両では、その割岩装置を用いて、さく孔内に第一の割岩深度まで複数の押圧部を挿入して、その深度で割岩し、次いで、第一の割岩深度よりも深い第二の割岩深度で割岩し、さらに、第二の割岩深度よりも深い第三の割岩深度で割岩するという割岩方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、割岩作業は、多くが人手による作業であり、人工数を多く要している。また、人手による割岩作業では、作業者は、例えば割岩作業用の油圧機器の、オイルホースを長く引きずりながらの作業となるので、安全面や作業環境の面で更なる機械化が望まれている。
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、岩盤破砕用の作業車両が開示されている(例えば、同公報での図1参照)。
【0003】
この作業車両は、クローラ式の作業車両に岩盤破砕機を装着したものであり、その起伏自在なアームに、くさび式の岩盤破砕機を一台装備している。この岩盤破砕機は、その基端側に、略円筒状をなす大径の本体部を有し、その本体部の先端側に尖頭状のくさび装置を備えており、このくさび装置がさく孔内に挿入され、さく孔面をくさびの作用で壁面方向に押圧することで割岩可能になっている。
【特許文献1】特開2004−316325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に記載の技術によれば、そのくさび式の岩盤破砕機では、先端のくさび装置は、さく孔内に挿入可能なものの、基端側の本体部は、先端側のくさび装置に比べて大径なので、さく孔内に挿入することができない。そのため、割岩可能なさく孔深度が大径の本体部で制限される。したがって、先端側のくさび装置の長さを超えた深さでの割岩は困難なので、割岩を効率良く継続する上では、未だ改善の余地がある。
【0005】
また、例えば特許文献1に記載の技術によれば、その作業車両は、くさび式の岩盤破砕機が、アームに一台のみ装着されているので、当然に一箇所のさく孔でしか割岩ができない。そのため、例えば大きな岩盤に複数さく孔し、広い面積を一度に割岩したい場合には、例えば岩盤破砕用の作業車両を複数台要することになるので、割岩作業の効率を向上する上では、やはり改善の余地がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、割岩作業の効率を向上し得る割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置であって、軸方向に延びるシリンダ本体と、そのシリンダ本体内に前記軸方向の複数箇所に装備されて当該シリンダ本体の側方に向けて出入り可能な複数の押圧部と、前記軸方向に延びるとともに前記シリンダ本体の基端側に接続される案内管部と、を備え、前記案内管部は、前記シリンダ本体と同軸に且つその外径よりも小径または同径に形成されるとともに、前記軸方向に分割された複数の分割部を備えて構成され、それぞれの分割部は、相互に連通する位置に前記軸方向に貫通する貫通孔を有して構成されており、相互の貫通孔には、前記シリンダ本体および複数の分割部を相互に繋ぐ可撓性の連結ワイヤが挿通されていることを特徴としている。
【0007】
第一の発明によれば、シリンダ本体の基端側に案内管部を備えており、この案内管部は、シリンダ本体と同軸に且つその外径よりも小径または同径に形成されているので、さく孔内での深い位置まで割岩装置全体を挿入することができる。そのため、例えば上記くさび式の岩盤破砕機に比べて、割岩可能なさく孔深度が大径の本体部で制限されるようなことがない。したがって、割岩作業の効率を向上させることができる。
そして、この案内管部は、軸方向に分割された複数の分割部から構成されており、分割部相互が可撓性の連結ワイヤで繋がれているので、例えば撓むようにして逃げるための自由度をもたせることができる。そのため、例えば作業中に側面の方向から曲げの力が加わった際の破損を防止または抑制可能である。
【0008】
また、本発明のうち第二の発明は、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を複数の押圧部で押圧することで割岩をする割岩装置を用いた割岩方法であって、前記さく孔内に前記複数の押圧部のうちの一部または全部を第一の割岩深度まで挿入し、その第一の割岩深度で前記割岩をする第一の割岩工程と、前記第一の割岩工程の後に前記第一の割岩深度よりも深い第二の割岩深度まで前記複数の押圧部の全部を挿入し、その第二の割岩深度で前記割岩をする第二の割岩工程と、前記第二の割岩工程の後に前記第二の割岩深度よりも深い第三の割岩深度まで前記複数の押圧部の全部を挿入し、その第三の割岩深度で前記割岩をする第三の割岩工程と、を含むことを特徴としている。
第二の発明によれば、さく孔に対し、複数の割岩深度で割岩する割岩工程を経て割岩作業を行っているので、割岩作業の効率を向上させることができる。特に、さく孔の深度が深い場合でも、好適に割岩をすることができる。
【0009】
また、本発明のうち第三の発明は、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置を複数装着するための割岩装置用アタッチメントであって、前記複数の割岩装置を個別に装着するための装着手段と、その装着手段に装着された前記複数の割岩装置を一体に旋回するための旋回手段と、前記装着された複数の割岩装置を一体に幅方向に移動するための第一の幅方向移動手段と、前記装着された複数の割岩装置のうち少なくとも一つを個別に幅方向に移動するための第二の幅方向移動手段と、前記装着された複数の割岩装置を個別に進退方向に移動するための進退方向移動手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
第三の発明によれば、その割岩装置用アタッチメントは、複数の割岩装置を装着可能なので、例えば上記くさび式の岩盤破砕機を一台のみ装備した作業車両に比べて、割岩作業の効率を向上させることができる。
特に、この割岩装置用アタッチメントは、装着した複数の割岩装置を、一体に旋回および幅方向移動可能、且つ、複数の割岩装置のうち少なくとも一つを個別に幅方向移動、および個別に進退方向に移動可能なので、作業者は、各割岩装置を所望の位置に容易に設置することができる。したがって、割岩作業の効率をより向上させることができる。
【0011】
また、本発明のうち第四の発明は、作業機械に装備されて、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置を駆動するための圧油を供給する圧油供給装置であって、前記作業機械の本体油圧系統から分岐した分岐油圧系統と、その分岐油圧系統に接続されてその一次側よりも二次側の油圧を高くする分岐油圧増圧装置と、その分岐油圧増圧装置の油圧回路の途中に設けられて前記分岐油圧系統を開閉可能な切り替えバルブと、を備えることを特徴としている。
【0012】
第四の発明によれば、その割岩装置用圧油供給装置は、本体油圧系統から分岐した分岐油圧系統で駆動される分岐油圧増圧装置を有し、この分岐油圧増圧装置によって所望の圧力の二次側圧油を割岩装置に供給可能なので、例えばこれ以外の発電機やパワーパック等を用いることなく割岩作業を行うことができる。したがって、割岩作業の効率を向上させることができる。また、本体油圧系統から分岐した分岐油圧系統で駆動されるので、割岩作業に要する装備を一の作業機械に集約することができる。そのため、装置構成が簡素化され、その装着作業やメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明のうち第五の発明は、さく孔内に割岩装置を挿入し、その挿入した割岩装置でさく孔面を押圧することで割岩をするための割岩用作業車両であって、走行台車と、その走行台車上で旋回可能な旋回台と、その旋回台に起伏自在に支持されたアームと、そのアーム先端に装備されて複数の割岩装置を装着可能な割岩装置用アタッチメントと、その割岩装置用アタッチメントに装着されるとともに、さく孔内に挿入されてさく孔面を複数の押圧部で押圧することで割岩をする割岩装置と、本体油圧系統から分岐した圧油を所望の油圧に増圧して前記割岩装置に供給可能な割岩装置用圧油供給装置と、を備えることを特徴としている。
【0014】
第五の発明によれば、機械式の作業車両に複数の割岩装置を装着した割岩装置用アタッチメントが搭載されているので、例えば人手による手持ち挿入での割岩作業と比較した場合は勿論のこと、例えば上記くさび式の岩盤破砕機を一台装備する作業車両に比べて、割岩作業の効率を向上させることができる。
特に、この割岩用作業車両は、割岩装置用圧油供給装置が装備されているので、例えばこれ以外の発電機やパワーパック等を用いることなく割岩作業を行うことができる。そのため、割岩作業に要する装備を一の作業車両に集約できるので、装置構成が簡素化され、割岩作業も容易に行うことができる。したがって、割岩作業の効率をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、割岩作業の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る割岩用作業車両の一実施形態を説明する図である。
同図に示す作業車両80は、岩盤90に予め形成されたさく孔100内に割岩装置50を挿入し、その挿入した割岩装置50でさく孔面102を押圧することで割岩をするものである。
【0017】
詳しくは、この作業車両80は、同図に示すように、クローラ式の走行台車82と、その走行台車82上で旋回可能な旋回台84と、その旋回台84に起伏自在に支持されたアーム86と、を備えている。そして、この作業車両80には、そのアーム86の先端部に割岩装置用アタッチメント1が装着されており、この割岩装置用アタッチメント1には、割岩装置50が搭載されている。また、この作業車両80には、その旋回台84に、割岩装置用の圧油供給装置70が搭載されている。
【0018】
次に、上記割岩装置用アタッチメント1について詳しく説明する。
図2に、図1での要部(図1での符号X)を拡大して斜視図にて示す。図3に、その割岩装置用アタッチメントの概略構成図を平面図にて示す。また、図4は、その割岩装置用アタッチメントをより詳しく図示する平面図である。
図2に示すように、この割岩装置用アタッチメント(以下、単に「アタッチメント」ともいう)1は、三本の割岩装置50が搭載可能になっている。
【0019】
詳しくは、このアタッチメント1は、図1ないし図3に示すように、作業車両80のアーム86の先端部に装着するためのブラケット3を有している。そして、ブラケット3の上部側の上装着部3aにリンクが連結され、下部側の下装着部3bにアームの先端が連結されるようになっている。そして、このブラケット3には、アーム86の側とは反対の側に、制御装置格納箱2の背面側が溶接されている。
この制御装置格納箱2は、アタッチメント1の基端部を構成しており、作動する各部分を制御するための機器を内部に格納するとともに筐体を兼ねている。そして、図1および図2に示すように、この制御装置格納箱2には、その下面に、各部分を装着するための基台2aが下方に向けて延出している。
【0020】
この基台2aには、図2に示すように、その先端側に、揺動リンク2bの基端側が枢支されており、この揺動リンク2bの先端側には、左右に延びる長尺なガイドマウンチングベース4(以下、単に「ベース」ともいう)が連結されている。そして、図3ないし図4に示すように、このベース4の同図での左側の端部には、クレビス形のスイングシリンダ5のロッド先端が枢支され、このスイングシリンダ5の本体基端部が、基台2aの先端側に連結部材2cを介して枢支されている。これにより、上記旋回手段が構成され、ベース4は、スイングシリンダ5を伸縮することによって、制御装置格納箱2に対し旋回可能になっている。なお、図3ないし図4での符号Jdで示す矢印は、スイングシリンダ5を伸縮するイメージを示し、図3での符号Jで示す矢印は、旋回移動するイメージを示している。
【0021】
また、図2ないし図4に示すように、ベース4には、その前後方向での前側を向く側面に、その長手方向(幅方向)に沿って、左右に延びる長尺なガイドシェル6が、案内軌道部材7を介して連結されている。案内軌道部材7は、長手方向に軌道面を有し、その軌道面に沿ってベース4およびガイドシェル6相互を相対移動可能に支持している。そして、ガイドシェル6の右側の端部には、クレビス形のスライドシリンダ8のロッド先端が枢支され、このスライドシリンダ8の本体基端部が、ベース4の裏面側の長手方向での左側に、連結部材を介して枢支されている。これにより、上記第一の幅方向移動手段が構成されており、ガイドシェル6は、スライドシリンダ8を伸縮することによって、ベース4に対しその長手方向に沿って案内軌道部材7に案内されつつ平行移動可能になっている。なお、図3ないし図4での符号Kdで示す矢印は、スライドシリンダ8を伸縮するイメージを示し、図3での符号Kで示す矢印は、長手方向(幅方向)に沿って移動するイメージを示している。
【0022】
さらに、図2および図3に示すように、ガイドシェル6には、その長手方向での両側、および中央部に、各割岩装置50を個別に進退方向に移動するための進退方向移動手段を各割岩装置50毎に有する割岩装置昇降ユニット(以下、単に「昇降ユニット」ともいう)20を三組備えている。また、各昇降ユニット20は、各割岩装置50を安定した状態に収容するための収容ガイド10をそれぞれに有している。
【0023】
ここで、上記収容ガイド10について図5および図6を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図5(a)は、図5(b)でのA方向から見た図であり、同図(b)はアタッチメント1の正面図である。また、図6は、アタッチメント1の左側面図である。
図5ないし図6に示すように、収容ガイド10は、各昇降ユニット20のユニットベース40それぞれに対し、アタッチメント1の前後方向での前側の略中央部に取り付けられている。各収容ガイド10は、いずれも同一形状であり、円筒部材をその軸線に沿って丁度半分に分割した半円筒部10aを有し、半円筒部10aは、その基端側が昇降ユニット20のユニットベース40に固定され、反対の側が各割岩装置50を進退させるべき進退方向に向けて垂下している。そして、その垂下している半円筒部10aの端部には、拡径部10bをさらに有している。この拡径部10bは、半円筒部10aと同軸をもつ中空の半円錐台形状をなし、半円筒部10a側から反対の側に向けて拡径している。
ここで、長手方向(幅方向)での両側の各昇降ユニット20は、ガイドシェル6に対し、個別に長手方向(幅方向)に第二の幅方向移動手段によって移動可能に連結されている。
【0024】
以下、この第二の幅方向移動手段について図6および図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、図4でのB部を拡大して示すとともに、一部を伸縮方向に沿った断面で示す図である。また、左右両側の各昇降ユニット20は、左右で対称であり、同様の構成を有するので、一方について説明し、他方の説明は省略する。
ガイドシェル6は、左右に延びる長尺な枠形の部材であり、図7に示すように、その枠内に、左右両側の各昇降ユニット20を、長手方向に沿って個別に移動するための第二の幅方向移動手段を備えている。
【0025】
詳しくは、ガイドシェル6の枠内の端部側には、駆動用のモータ32が内蔵されている。そして、このモータ32の出力軸に、カップリング34を介してボールねじ35のねじ軸37の一端が連結されている。また、ねじ軸37の他端側は、ガイドシェル6の枠内の長手方向での中央部に固定されているジョイント38に対し、回転可能に軸支されている。そして、ガイドシェル6の前側の面には、昇降ユニット20および収容ガイド10が装着されたユニットベース40が配置されている。ユニットベース40には、その上下にガイド枠42がそれぞれ装着されており、このガイド枠42がガイドシェル6の長手方向に沿った軌道面を有して構成されており、所定の範囲で幅方向に相対直線移動可能に支持している。さらに、ユニットベース40は、その略中央部の裏面側がボールねじ35のナット36に固定されている。これにより、上記第二の幅方向移動手段が構成され、モータ32を駆動することにより、ねじ軸37が回転し、ナット36が軸方向に直線移動する。そして、ナット36に連結されたユニットベース40が上下のガイド枠42に案内されつつ長手方向に沿って移動可能になっている。なお、中央部の昇降ユニット20については、第二の幅方向移動手段を有しておらず、そのユニットベース40は固定されており移動しない。
【0026】
次に、上記進退方向移動手段について図8および図9を適宜参照しつつ詳しく説明する。なお、図8および図9は、進退方向移動手段を説明する図であり、図8は、図5に対し、さらに、割岩装置50を装着した状態を示すとともに、その割岩装置50を昇降するためのワイヤをあわせて図示している。また、図9は、図8に対し、割岩装置50を垂下した状態を示している。なお、進退方向移動手段の構成は、各昇降ユニット20ともに同様である。
【0027】
図8ないし図9に示すように、各ユニットベース40上には、昇降ユニット20がそれぞれ装着されている。各昇降ユニット20は、ユニットベース40の長手方向に沿って装着されたクレビス形の油圧シリンダであるスリングシリンダ26を有する。このスリングシリンダ26のロッド先端には、支軸回りに回転可能な二段シーブ22が取り付けられており、ロッドの伸縮とともに移動するようになっている。ここで、スリングシリンダ26のロッドは、その伸縮方向に沿ってユニットベース40に固定されているシリンダガイド28によって案内されている。さらに、ユニットベース40には、スリングシリンダ26のシリンダエンドの後ろ側に、一段シーブ23が支軸回りに回転可能に取り付けられている。そして、ユニットベース40に固定されている収容ガイド10の基端側の装着部の丁度上部に対向する位置に、且つ、割岩装置50を進退させるべき方向に沿ってワイヤを導出可能な位置に、中継シーブ24が支軸回りに回転可能に取り付けられている。
【0028】
そして、ワイヤロープ30は、その一端が、スリングシリンダ26のシリンダエンド外側のクレビスをワイヤ固定端21として固定されている。そして、ワイヤロープ30は、以下順に、二段シーブ22の下段に掛け回され、次いで、反対の側の一段シーブ23に掛け回され、次いで、二段シーブ22の上段を通り、中継シーブ24を経由して割岩装置50の上部のワイヤフック25に固定されている。
【0029】
これにより、各昇降ユニット20のスリングシリンダ26を伸縮させることにより、それぞれの割岩装置50を進退方向に進退可能になっている。すなわち、各昇降ユニット20のスリングシリンダ26を伸長させることにより、それぞれの割岩装置50は、後退方向に引き上げられる(図8に符号Eで示す位置)。また、各昇降ユニット20のスリングシリンダ26を縮小させることにより、それぞれの割岩装置50は、前進方向に移動して、つり下げられる(図9に符号Dで示す位置)。
【0030】
次に、上記割岩装置50について図10〜図13を適宜参照して詳しく説明する。なお、図10は、割岩装置50を説明する図であり、同図(a)はその概略斜視図、同図(b)は主要部分を分解した状態で示している。また、図11は、割岩装置50を説明する図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)は、同図(a)の右側面図、さらに、図12は、図11(b)でのシリンダ本体部の拡大図であり、同図(b)および(d)はシリンダ本体を、軸線を含む断面で示し、同図(b)は、その押圧部が収容された状態を示す図、同図(d)は、その押圧部が突出した状態を示す図であり、また、同図(a)は同図(b)でのS−S断面図、同図(c)は同図(d)でのT−T断面図、また、図13は、図11(a)での案内管部の拡大図である。
【0031】
この割岩装置50は、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をするものであり、図10および図11に示すように、軸方向に延びる円柱状のシリンダ本体54と、そのシリンダ本体54の基端側に接続される円柱状の案内管部であるガードライナ56と、を備えている。なお、ガードライナ56の外周面には、軸方向に所定の間隔を隔てて、目視可能な認識用のライン56mが周方向に複数形成されている(図10(a)参照)。
【0032】
シリンダ本体54は、シリンダ部54Aと、その上部に装着されるディスタンスキャップ64と、ディスタンスキャップ64の上部に装着されるディスタンスリング65と、を備えて構成されており、ディスタンスキャップ64およびディスタンスリング65は、4本のロックボルト63によってシリンダ部54Aの端面に固定される。シリンダ本体54のシリンダ部54A内には、側方に向けて出入り可能な複数の押圧部であるパワーピストン52を有する(後に詳述する)。ここで、シリンダ部54Aの先端には、略円錐状の尖頭部55が形成されている。この尖頭部55は、割岩装置50をさく孔内に挿入する際の案内部になっており、挿入作業を容易に行えるようになっている。
【0033】
ここで、上記シリンダ部54Aの構成についてより詳しく説明する。
図12に示すように、シリンダ部54A内には、その軸方向に沿って等間隔に押圧部であるパワーピストン52が複数配置されている(この例では、12箇所)。各パワーピストン52は、シリンダ部54Aの軸方向とは直角な方向に形成された止り穴からなるシリンダ室54c内のそれぞれに収容されている。それぞれのシリンダ室54cは、その有底部側に設けられて、隣接するシリンダ室54cを互いに連通して上部に開口する高圧ライン69Aと、その略中央部に設けられて、隣接するシリンダ室54cを互いに連通して上部に開口する抵圧ライン68Aと、を有して形成されている。そして、各パワーピストン52は、高圧ライン69Aと抵圧ライン68Aとの間に大径のピストン部52aを有し、シリンダ室54cの開口側の端部が小径のロッド部52bになっている。そして、シリンダ室54cの開口側に、ピストンキャップ53が装着される。このピストンキャップ53は、円環状をなし、外径部でシリンダ室54cの開口側を塞ぐとともに、内径部にパワーピストン52のロッド部52bが挿通されるようになっている。そして、高圧ライン69Aおよび抵圧ライン68Aの各プラグに、図11に示す低圧ラインチューブ68および高圧ラインチューブ69それぞれがガードライナ56内の貫通孔に挿通されて接続される。これにより、高圧ラインチューブ69から作動圧油が供給され、同時に低圧ラインチューブ68から戻りの油が排出されることで、各パワーピストン52は、同図(a)の状態から同図(b)の状態になり、そのロッド部52bが側面から突出することで、さく孔面を押圧し、割岩(破砕)可能になっている。そして、各パワーピストン52を収容位置に戻すときには、抵圧ラインチューブ68から作動圧油が供給され、同時に高圧ラインチューブ69から油が排出されることで、各パワーピストン52は、同図(b)の状態から同図(a)の状態になり、各パワーピストン52は収容位置に戻る。
【0034】
次に、上記ガードライナ56について図13を参照して詳しく説明する。
ガードライナ56は、シリンダ本体54と同軸に且つ同径に形成されている。なお、ガードライナ56は、シリンダ本体54と同軸に且つその外径よりも小径であってもよい。
このガードライナ56は、軸方向に分割された複数の分割部であるエクステンションパイプ60から構成され、それぞれのエクステンションパイプ60は、相互に連通する位置に前記軸方向に貫通する貫通孔62を、周方向にほぼ等間隔に4箇所有して構成されている。なお、エクステンションパイプ60および上記ディスタンスキャップ64は、樹脂製であり、これにより、割岩装置50全体の重量を軽くするとともに、全長が長くなることによる捻れや撓みを吸収可能になっている。また、分割構造とすることで、種々の深さのさく孔に対し、適宜の長さに組み替えることで容易に全長を変更して対応可能になっている。
【0035】
そして、相互のエクステンションパイプ60の貫通孔62には、シリンダ本体54および複数のエクステンションパイプ60を相互に繋ぐ可撓性の連結ワイヤ58がそれぞれ挿通されるようになっている。
さらに、ガードライナ56の上部には、連結ワイヤ58によってガイドキャップ67が取り付けられる。つまり、このガイドキャップ67にも、貫通孔62に対向する位置に、貫通孔67bが4箇所形成されており、連結ワイヤ58の両端部には雄ねじが設けられている。このガイドキャップ67には、その上部の裏面側(収容ガイド10の半円筒部10aに当接する側)に、鍔部67aを有している。この鍔部67aは、ガイドキャップ67の裏面側外周面に沿って上部に張り出しており、幅方向での端部から中央部に向けて突出して形成されている。なお、半円筒部10aの内周面は、ガイドキャップ67およびエクステンションパイプ60の外周面を沿わせるように収容可能な内径になっており、先端側から滑らかに収容することを可能としている。
【0036】
ここで、連結ワイヤ58の下端側の雄ねじは左ねじ(逆ねじ)になっており、ディスタンスリング65の上面側の雌ねじに螺合される。一方、反対側の端部の雄ねじは通常の右ねじが形成されている。これにより、連結ワイヤの途中部分を構成するワイヤロープの撓み等によるねじ緩みを防止可能になっている。
そして、この連結ワイヤ58は、それぞれのエクステンションパイプ60の貫通孔62およびガイドキャップ67の貫通孔67bに挿通される。連結ワイヤ58の全長は各エクステンションパイプ60およびガイドキャップ67を繋いだ長さより長くなっており、反対側の端部に形成されている雄ねじの位置が、丁度ガイドキャップ67の上面に突出してボルト・ナットによって固定可能に構成されている。なお、このガイドキャップ67の上面に、上述したワイヤフック25がボルト・ナットによって固定されている。
【0037】
さらに、連結ワイヤ58とエクステンションパイプ60との、隣り合うエクステンションパイプ60同士を繋ぐ位置には、連結ワイヤ58の周囲を囲繞するガイドスリーブ66が装着されている。このガイドスリーブ66は、連結状態をより安定させるとともに、連結ワイヤ58の損耗や損傷等を防止するための連結補助部材である。
さらに、隣り合うエクステンションパイプ60同士は、互いの連結部分が、一方には凸部が形成されており、他方には一方の側の凸部に嵌り込む凹部が形成されており、互いの凸部と凹部とが嵌り込んで連結されるようになっている。
【0038】
次に、上記圧油供給装置70について図14および図15を参照しつつ詳しく説明する。なお、図14は、圧油供給装置70を説明する概略構成図である。また、図15は、圧油供給装置70の油圧回路を説明する図である。
図14および図15に示すように、この圧油供給装置70は、上記割岩装置50を駆動するための圧油を供給するものであって、上記作業車両80の本体油圧系統72から分岐した分岐油圧系統74を備えており、この分岐油圧系統74に、分岐油圧増圧装置76が接続されている。この分岐油圧増圧装置76は、その一次側よりも二次側の油圧を高くするように構成されている。ここで、この分岐油圧増圧装置76の油圧回路は、割岩装置50を駆動するに際し、その複数の押圧部であるパワーピストン52がさく孔面102に当接するまでは、供給する油量を優先してストロークを稼ぎ、素早くパワーピストン52を前進可能になっており、パワーピストン52がさく孔面102に当接した後は、供給する圧油の圧力を増大させて、効率よく割岩可能なように構成されている。
【0039】
そして、その分岐油圧増圧装置76の油圧回路の途中には、切り替えバルブ78が設けられており、この切り替えバルブ78は、作業者の手による操作によって、前記分岐油圧系統74を開閉可能になっている。なお、この圧油供給装置70は、ユニット化されているので、容易に取り外しして、他の装置に移設可能になっている。
【0040】
次に、上記割岩用作業車両を用いた本発明に係る割岩方法の一実施形態について図16および図17を参照しつつ詳しく説明する。
この作業車両80は、三本の割岩装置50が搭載された割岩装置用アタッチメント1を備えているので、図16(a)に示すように、岩盤90に予め形成された三箇所のさく孔100内に割岩装置50を同時に挿入し、割岩(破砕)作業を行うことができる。なお、同図に示す白抜きの矢印は、アタッチメント1の備える、旋回手段、第一の幅方向移動手段、第二の幅方向移動手段および進退方向移動手段等を組み合わせて操作することによって、作業者が、各割岩装置50を所望の位置に容易に設置可能なイメージを示している。
【0041】
ここで、この割岩装置50を用いた割岩方法は、図17に示すように、複数の割岩深度で割岩する割岩工程を経て割岩作業を行っている。
詳しくは、まず、図17(a)に示すように、さく孔100内に割岩装置50の複数のパワーピストン52のうちの一部または全部(同図の例では全部)を第一の割岩深度(同図での「一段目」)まで挿入し、その第一の割岩深度で、さく孔面102をパワーピストン52で押圧することで割岩をする(第一の割岩工程)。
【0042】
次いで、図17(b)に示すように、第一の割岩工程の後に、第一の割岩深度よりも深い第二の割岩深度(同図での「二段目」)までパワーピストン52の全部を挿入し、その第二の割岩深度で、さく孔面102をパワーピストン52で押圧することで割岩をする(第二の割岩工程)。
さらに、図17(c)に示すように、第二の割岩工程の後に、第二の割岩深度よりも深い第三の割岩深度(同図での「三段目」)までパワーピストン52の全部を挿入し、その第三の割岩深度で、さく孔面102をパワーピストン52で押圧することで割岩をしている(第三の割岩工程)。
【0043】
次に、この割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両の作用・効果について説明する。
上述のように、この作業車両80は、機械式の作業車両に複数の割岩装置50を装着した割岩装置用アタッチメント1が搭載されているので、遠隔操作が可能であり、例えば人手による手持ち挿入での割岩作業と比較した場合は勿論のこと、例えば上記くさび式の岩盤破砕機を一台装備する作業車両に比べて、割岩作業の効率を向上させることができる。
そして、上記割岩方法によれば、さく孔100に対し、複数の割岩深度で割岩する割岩工程を経て割岩作業を行っているので、割岩作業の効率を向上させることができる。特に、さく孔の深度が深い場合でも、好適に割岩することできる。
【0044】
さらに、この作業車両80は、圧油供給装置70が装備されている。そして、この圧油供給装置70は、本体油圧系統72から分岐した分岐油圧系統74で駆動される分岐油圧増圧装置76を有し、この分岐油圧増圧装置76によって所望の圧力の二次側圧油を割岩装置50に供給可能なので、例えばこれ以外の発電機やパワーパック等を用いることなく割岩作業を行うことができる。そのため、割岩作業の効率を向上させることができる。また、本体油圧系統72から分岐した分岐油圧系統74で駆動されるので、割岩作業に要する装備を一の作業機械に集約することができる。そのため、装置構成が簡素化され、その装着作業やメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0045】
さらに、この作業車両80に装備されているアタッチメント1は、複数の割岩装置30を装着可能なので、例えば上記くさび式の岩盤破砕機を一台のみ装備した作業車両に比べて、割岩作業の効率を向上させることができる。
特に、このアタッチメント1は、装着した複数の割岩装置50を、一体に旋回および幅方向に移動可能、且つ、複数の割岩装置50のうち両側の二つを個別に幅方向に移動可能であり、さらに、各割岩装置50を個別に進退方向に移動可能なので、作業者は、各割岩装置50を所望の位置に容易に設置することができる。したがって、割岩作業の効率をより向上させることができる。
【0046】
また、このアタッチメント1は、各昇降ユニット20に、収容ガイド10をそれぞれ有しており、その拡径部10b先端が大径なので、図16(b)および(c)に示すように、各割岩装置50を、安定した状態で滑らかに収容可能である。
さらに、各割岩装置50についても、そのガイドキャップ67には、鍔部67aを有しているので、収容ガイド10の半円筒部10aの内周面に対し、先端側から滑らかに収容することを可能としている。なお、上記説明した図9での符号Gで示す矢印は、収容ガイド10の拡径部10b先端が大径になっており、収容が容易であるイメージを示している。
【0047】
また、各割岩装置50は、そのシリンダ本体54の先端には、略円錐状の尖頭部55が形成されているので、この尖頭部55によって、さく孔100内に挿入する際に割岩装置50がさく孔100の開口部やさく孔面102に案内されて、挿入作業を容易に行える。
また、各割岩装置50は、そのシリンダ本体54の基端側にガードライナ56を備えており、このガードライナ56は、シリンダ本体54と同軸に且つその外径よりも小径または同径に形成されているので、さく孔100内での深い位置まで割岩装置50全体を挿入することができる。そのため、例えば上記くさび式の岩盤破砕機に比べて、割岩可能なさく孔深度が大径の本体部で制限されるようなことがない。したがって、従来よりも深い深度であっても割岩作業をすることができる。
【0048】
また、ガードライナ56の外周面には、軸方向に所定の間隔を隔てて、目視可能な認識用のライン56mが周方向に複数形成されている(図10(a)参照)ので、上記の複数の割岩深度で割岩する割岩工程での深度の把握が容易であり、作業効率をより向上させることができる。
そして、このガードライナ56は、軸方向に分割された複数のエクステンションパイプ60を備えて構成されているので、全長の増減が容易である。そのため、さく孔100深さに応じて最も作業性の良い長さに換装して作業できる。
【0049】
さらに、このガードライナ56は、エクステンションパイプ60相互が可撓性の連結ワイヤ58で繋がれている。また、エクステンションパイプ60は樹脂製である。そのため、例えば撓むようにして逃げるための自由度をもたせることができる。したがって、例えば作業中に側面の方向から曲げの力が加わった際の破損を防止または抑制可能である。なお、図13に示す白抜きの矢印は、ガードライナ56に側面の方向から力が加わった際に、撓むようにして逃げるイメージを示している。
【0050】
また、可撓性の連結ワイヤ58は、両端に雄ねじを有し、一方が通常の右ねじであり、他方が左ねじ(逆ねじ)になっているので、撓み等によるねじ緩みが防止されている。
以上説明したように、本発明に係る割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両によれば、割岩作業の効率を向上させることができる。
【0051】
なお、本発明に係る割岩装置、割岩方法、割岩装置用アタッチメントおよび割岩装置用圧油供給装置並びに割岩用作業車両は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、割岩装置50の進退方向移動手段を構成するために、油圧シリンダであるスリングシリンダ26を用いているが、これに限定されず、例えば油圧モータであってもよい。また、他の移動手段について同様である。
【0052】
また、上記実施形態では、割岩装置用アタッチメント1は、三本の割岩装置50を装備可能な例で説明したが、これに限定されず、例えば4本以上を装着可能に構成してよいし、また、1ないし2本を装着する構成であってもよい。しかし、一人の作業者が、複数本の割岩装置50を操作する上では、2ないし3本を装備する構成が好ましい。
また、上記実施形態では、複数の割岩深度で割岩する割岩工程を経て割岩作業を行う例で説明したが、これに限定されず、例えば一段のみの割岩深度で割岩してよいし、複数段の場合に例えば4段階ないしそれ以上の段階に分けて割岩してよい。しかし、効率良く比較的に深い深度まで割岩する上では、上記三段階の割岩深度で割岩することは好ましい。
【0053】
また、上記実施形態では、本発明に係る割岩装置および割岩装置用圧油供給装置を専用の割岩用作業車両80に搭載した例で説明したが、これに限定されず、本発明に係る割岩装置および割岩装置用圧油供給装置は、他の作業機械に装備可能である。例えば、図18〜図20に、本発明に係る割岩装置ないし割岩装置用圧油供給装置を、他の作業機械に装備した例を示す。
【0054】
すなわち、図18は、本発明に係る割岩装置50および割岩装置用圧油供給装置70を、油圧クローラドリル92に搭載した例であり、同図(a)は油圧クローラドリル92に搭載した斜視図、また、同図(b)はその油圧クローラドリル92に搭載した割岩装置50での割岩作業のイメージを示している。
また、図19は、本発明に係る割岩装置50を、機械式の挿入装置を備えた作業機械94に装備した状態を示しており、同図(a)はその作業機械94に割岩装置50を装備し、横向き挿入する作業のイメージを示している。また、同図(b)は同作業機械94に割岩装置50を装備し、縦向き挿入する作業のイメージ示している。
また、図20は、本発明に係る割岩装置50を、油圧ドリルジャンボ96に装備した例であり、同図は油圧ドリルジャンボ96に割岩装置50を装備し、同図での符号P〜Rの各作業を行っているイメージを示している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る割岩用作業車両の一実施形態を説明する図である。
【図2】図1での要部(同図での符号X)を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの一実施形態を説明する概略構成図(平面図)である。
【図4】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの一実施形態をより詳しく説明する平面図であり、同図(a)は、第一の幅方向移動手段の縮小状態を示し、また、同図(b)は、第一の幅方向移動手段の伸長状態を示している。なお、同図では、中央部の割岩装置昇降ユニットについての図示を省略している。
【図5】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの一実施形態をより詳しく説明するための図であり、同図(a)は、同図(b)でのA方向から見た図であり、同図(b)は正面図である。
【図6】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの左側面図である。
【図7】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの第二の幅方向移動手段を説明する図であり、同図では、図4でのB部を拡大して示すとともに、一部を伸縮方向に沿った断面で示している。
【図8】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの進退方向移動手段を説明する図であり、同図は、図5に対し、さらに、割岩装置を装着した状態を示すとともに、その割岩装置を昇降するためのワイヤをあわせて図示している。
【図9】本発明に係る割岩装置用アタッチメントの進退方向移動手段を説明する図であり、同図は、図8に対し、割岩装置を垂下した状態を示している。
【図10】本発明に係る割岩装置の一実施形態を説明する概略斜視図であり、同図(a)はその概略斜視図、同図(b)は主要部分を分解した状態で示している。
【図11】本発明に係る割岩装置の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)は、同図(a)の右側面図である。
【図12】図11(b)でのシリンダ本体部の拡大図であり、同図(b)および(d)はシリンダ本体を、軸線を含む断面で示し、同図(b)は、その押圧部が収容された状態を示す図、同図(d)は、その押圧部が突出した状態を示す図であり、また、同図(a)は同図(b)でのS−S断面図、同図(c)は同図(d)でのT−T断面図である。
【図13】図11(a)での案内管部の拡大図である。
【図14】本発明に係る割岩装置用圧油供給装置の一実施形態を説明する概略構成図である。
【図15】本発明に係る割岩装置用圧油供給装置の油圧回路を説明する図である。
【図16】本発明に係る割岩方法の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその全体斜視図、同図(b)は割岩装置を装着した状態での要部斜視図、また、同図(c)は、割岩装置を垂下した状態での要部斜視図である。
【図17】本発明に係る割岩方法の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその第一の割岩工程を説明する図、同図(b)はその第二の割岩工程を説明する図、また、同図(c)は、その第三の割岩工程を説明する図である。
【図18】本発明に係る割岩装置等を、他の作業機械に装備した例を示す図である。
【図19】本発明に係る割岩装置等を、他の作業機械に装備した例を示す図である。
【図20】本発明に係る割岩装置等を、他の作業機械に装備した例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 割岩装置用アタッチメント
2 制御装置格納箱
3 ブラケット
4 ガイドマウンチングベース
5 スイングシリンダ
6 ガイドシェル
7 案内軌道部材
8 スライドシリンダ
10 収容ガイド
20 割岩装置昇降ユニット
21 ワイヤ固定端
22 二段シーブ
23 一段シーブ
24 中継シーブ
25 ワイヤフック
26 スリングシリンダ
28 シリンダガイド
30 ワイヤロープ
32 モータ
34 カップリング
35 ボールねじ
36 ナット
37 ねじ軸
38 ジョイント
40 ユニットベース
42 ガイド枠
50 割岩装置
52 パワーピストン(押圧部)
53 ピストンキャップ
54 シリンダ本体
55 尖頭部
56 ガードライナ(案内管部)
58 連結ワイヤ
60 エクステンションパイプ(分割部)
62 (分割部の)貫通孔
63 ロックボルト
64 ディスタンスキャップ
65 ディスタンスリング
66 ガイドスリーブ
67 ガイドキャップ
68 低圧ラインチューブ
69 高圧ラインチューブ
70 圧油供給装置
72 本体油圧系統
74 分岐油圧系統
76 分岐油圧増圧装置
78 切り替えバルブ
80 作業車両
82 走行台車
84 旋回台
86 アーム
90 岩盤
92 油圧クローラドリル
94 機械式の挿入装置を備えた作業機械
96 油圧ドリルジャンボ
100 さく孔
102 さく孔面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置であって、
軸方向に延びるシリンダ本体と、そのシリンダ本体内に前記軸方向の複数箇所に装備されて当該シリンダ本体の側方に向けて出入り可能な複数の押圧部と、前記軸方向に延びるとともに前記シリンダ本体の基端側に接続される案内管部と、を備え、
前記案内管部は、前記シリンダ本体と同軸に且つその外径よりも小径または同径に形成されるとともに、前記軸方向に分割された複数の分割部から構成され、それぞれの分割部は、相互に連通する位置に前記軸方向に貫通する貫通孔を有して構成されており、相互の貫通孔には、前記シリンダ本体および複数の分割部を相互に繋ぐ可撓性の連結ワイヤが挿通されていることを特徴とする割岩装置。
【請求項2】
さく孔内に挿入された位置でさく孔面を複数の押圧部で押圧することで割岩をする割岩装置を用いた割岩方法であって、
前記さく孔内に前記複数の押圧部のうちの一部または全部を第一の割岩深度まで挿入し、その第一の割岩深度で前記割岩をする第一の割岩工程と、前記第一の割岩工程の後に前記第一の割岩深度よりも深い第二の割岩深度まで前記複数の押圧部の全部を挿入し、その第二の割岩深度で前記割岩をする第二の割岩工程と、前記第二の割岩工程の後に前記第二の割岩深度よりも深い第三の割岩深度まで前記複数の押圧部の全部を挿入し、その第三の割岩深度で前記割岩をする第三の割岩工程と、を含むことを特徴とする割岩方法。
【請求項3】
さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置を複数装着するための割岩装置用アタッチメントであって、
前記複数の割岩装置を個別に装着するための装着手段と、その装着手段に装着された前記複数の割岩装置を一体に旋回するための旋回手段と、前記装着された複数の割岩装置を一体に幅方向に移動するための第一の幅方向移動手段と、前記装着された複数の割岩装置のうち少なくとも一つを個別に幅方向に移動するための第二の幅方向移動手段と、前記装着された複数の割岩装置を個別に進退方向に移動するための進退方向移動手段と、を備えることを特徴とする割岩装置用アタッチメント。
【請求項4】
作業機械に装備されて、さく孔内に挿入された位置でさく孔面を押圧することで割岩をする割岩装置を駆動するための圧油を供給する圧油供給装置であって、
前記作業機械の本体油圧系統から分岐した分岐油圧系統と、その分岐油圧系統に接続されてその一次側よりも二次側の油圧を高くする分岐油圧増圧装置と、その分岐油圧増圧装置の油圧回路の途中に設けられて前記分岐油圧系統を開閉可能な切り替えバルブと、を備えることを特徴とする割岩装置用圧油供給装置。
【請求項5】
さく孔内に割岩装置を挿入し、その挿入した割岩装置でさく孔面を押圧することで割岩をするための割岩用作業車両であって、
走行台車と、その走行台車上で旋回可能な旋回台と、その旋回台に起伏自在に支持されたアームと、そのアーム先端に装備されて複数の割岩装置を装着可能な割岩装置用アタッチメントと、その割岩装置用アタッチメントに装着されるとともに、さく孔内に挿入されてさく孔面を複数の押圧部で押圧することで割岩をする割岩装置と、本体油圧系統から分岐した圧油を所望の油圧に増圧して前記割岩装置に供給可能な割岩装置用圧油供給装置と、を備えることを特徴とする割岩用作業車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−277916(P2007−277916A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105431(P2006−105431)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(503376002)株式会社クキタ (1)
【出願人】(306013832)有限会社 中部ロックドリルサービス (2)
【Fターム(参考)】