創傷形成後の毛包再生を促進する繊維芽細胞増殖因子‐9
本発明は、脱毛を治療するための、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、アンドロゲン性脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)を治療するための、新しい毛包(hair follicle:HF)を形成するための、あるいは既存のHFの大きさを増大させるための方法を提供する。本発明の方法は、表皮を破壊するかまたはWntを投与するステップと、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドまたはソニック・ヘッジホッグ遺伝子シグナル伝達を上方制御する別の化合物を対象に投与するステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(米国政府の権益の記載)
本発明の全体または一部は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)により認可された認可番号NIH/NIAMS AR46837の下で、米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に対する一定の権利を有し得る。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年11月12日付で出願された米国仮出願第61/114,028号の優先権を主張する。該米国仮出願の全体は、この引用により本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、脱毛の治療あるいは毛包の再生のための医薬組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、及び脱毛の治療あるいは毛包の再生のための繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドの投与に関する。
【背景技術】
【0004】
毛包再生は、出生後の、新しい毛包(HF)の生成と定義される。人間は、HFを完全に備えて生まれてくるが、はげ頭症の初期においては、HFの大きさ及び成長特性が変化し、はげ頭症の末期または恒久的な瘢痕化(瘢痕性)脱毛症においては、HFは最終的には退化し消失する。そのため、一般的なはげ頭症、並びにあまり一般的ではない脱毛症(例えば、円板状紅斑性狼瘡、先天性貧毛症、毛孔性扁平苔癬、及び他の瘢痕性脱毛症)の治療においては、新しいHFを形成することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CA. Ramsden Gd., Quantitative Drug Design, Chapter 17.2, F. Choplin Pergamon Press (1992)
【非特許文献2】Maniatis, et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor, 1990)
【非特許文献3】Ausubel, et al., 1994, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, 1996)
【非特許文献4】Methods in Enzymology, Vol. 1-317, Academic Press
【非特許文献5】Ausubel F. M. et al.,(eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1989)
【非特許文献6】Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象の脱毛を治療するための、対象の変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、対象のアンドロゲン性脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)を治療するための、新しい毛包(hair follicle:HF)を形成するための、あるいは既存のHFの大きさを増大させるための方法であって、表皮を破壊するかまたはWntを投与するステップと、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドまたはソニック・ヘッジホッグ遺伝子シグナル伝達を上方制御する別の化合物を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
したがって、一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に対して投与するステップとを含む方法を提供する。
【0008】
一実施形態では、前記脱毛はアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因する。一実施形態では、前記AGAは男性型脱毛症である。他の実施形態では、前記AGAは女性型脱毛症である。一実施形態では、前記脱毛は皮膚損傷に起因する。一実施形態では、前記脱毛は前記対象の頭皮または眉に存在する。一実施形態では、前記脱毛は前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在する。一実施形態では、前記投与するステップは、前記破壊するステップの3〜12日後に行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記投与するステップは局所投与により行われる。一実施形態では、前記投与するステップは表皮下投与により行われる。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(sonic hedgehog:SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明、実施例及び図面により明らかになるであろう。なお、以下の詳細な説明及び具体的な実施例は本発明の好適な実施形態を示すが、例示のみを目的とするものであり、当業者には、以下の詳細な説明から、本発明の精神及び趣旨の範囲内での様々な変更及び改変が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】FGF9は、かさぶた剥離(SD)後1日目に、毛包再生の誘導期間中に発現される。再生表皮におけるFGF9 mRNA発現の対照mRNA発現q−PCRに対してのFGF9 mRNAの比率が示されている。
【図2】再生表皮のγδTCR免疫染色(SD7,ホールマウント)(×200)及びSD1サンプル(凍結切片)のFGF9免疫染色(×400)。
【図3】SD1サンプルに対する再生表皮のγδTCR及びFGF9免疫染色。
【図4】E14胎児皮膚のγδTCR及びFGF9免疫染色。
【図5】E14.5マウス胎児の全溶解液(レーン1及び2)及び遺伝子組換えhFGF9(+)に対する抗FGF9中和抗体の特異性。
【図6】3週齢のC57BL/6マウスにおける抗FGF9中和実験。(A)処理スケジュールであって、かさぶた剥離後(SD)1−SD4日目に50μlの10μg/ml抗FGF9またはIgG2aアイソタイプ対照が表皮下注射され、SD5に組織をサンプリングした。(B)(A)に記載の処理プロトコルを用いてマウスに抗FGF9またはIgG2a対照を注射した後の毛包数。(C)注射部位を示す図。
【図7】様々な毛包発生段階における抗FGF9処理したマウスと対照との毛包数の比較(「Paus R, et al. J Invest Dermatol 1999」に記載)。
【図8】各サンプル当たり3つの異なる領域における1mm2当たりの毛芽数を数える方法を示すモデル。
【図9】胎児の皮膚外植片培養物(E13.5)における3日間にわたるrhFGF9処理。培養物を、10、20または40ng/mLのrhFGF9または対照緩衝液で3日間処理し、図8に記載されているように毛芽数/mm2を評価した。平均±標準偏差。*:P<0.05,**:P<0.01,対照と比較して。毛芽数に関する陽性対照としてEDA−Al(50ng/ml)を用いた。
【図10】対照及びrhFGF9(10、20、40ng/ml)処理した胎児の皮膚外植片における真皮のアルカリホスファターゼ染色を示す免疫組織化学染色。
【図11】胎児の皮膚外植片培養物(E13.5)における3日間にわたる抗FGF9中和抗体処理。培養物を、10、20または40μg/mLの抗FGF9中和抗体または対照で3日間処理し、図8に記載されているように毛芽数/mm2を評価した。
【図12】対照及び抗FGF9(10、20、40ng/ml)処理した皮膚外植片における表皮のK17染色を示す免疫組織化学染色。
【図13】対照及び抗FGF9(10、20、40ng/ml)処理した胎児の皮膚外植片における真皮のアルカリホスファターゼ染色を示す免疫組織化学染色。
【図14】qPCRによる胎児の毛包発生ソニック・ヘッジホグ(Shh)、Ptchl及びPtch2のマーカに対するrhFGF9(10、20、40ng/ml)を用いた24時間処理の効果。
【図15】qPCRによる胎児の毛包発生GIi1及びGIi2のマーカに対するrhFGF9(10、20、40ng/ml)を用いた24時間処理の効果。
【図16】FGF9は、HFN開始中に発現され、HFNにとって重要である。(A)FGF9は、かさぶた剥離(SD)を伴う再上皮化後1日目及び3日目に、毛包形成前に再生表皮において高発現され、5日目に基底レベルまで減少する。再生表皮におけるFGF9 mRNA発現の比率を、0日目の非創傷表皮のレベルと比較した。*:P<0.05,**:P<0.01,平均±標準偏差。(B)3週齢のマウスにおける創傷後のHFNに対するFGF9中和の効果。抗FGF9中和抗体で処理したマウスの再生毛包の数は、対照と比較して著しく減少した。**:P<0.05。(B)毛包の発達段階の定量。抗FGF9処理したマウスにおける毛包は、毛包成熟の遅延を示していた。それぞれ再上皮化後5日目の、(C−E)KRT17タンパク質に対して染色されたホールマウント毛包再生アッセイ、及び(F−H)分離された表皮及び真皮におけるアルカリホスファターゼ活性。K14rtTA;TRE−Fgf9−IRES−eGfpマウスにおけるFGF9の過剰発現は、創傷後17日目に毛包数の増加をもたらした。スケールバー,1mm。
【図17】FGF9は、活性化されたDETCによって発現される。(A)FGF9及びγδTCRに対する二重免疫染色。再上皮化後の、再配置されたγδTCR陽性DETCにおけるFGF9発現。点線,ベースメントメンブレン。スケールバー,50μm。(B)FGF9遺伝子発現は、mIL−2及び抗CD3による活性化後、単離されたDETCにおいて高度に上方制御される。
【図18】TCRd−/−マウスにおける毛包再生は著しく損なわれる。(A−D)ホールマウント表皮及び真皮のサンプルを処理し、再上皮化後5日目にKRT17タンパク質及び(E−H)アルカリホスファターゼ活性を検出した。8週齢及び40週齢のマウスにおいて、毛包形成は著しく妨げられた。スケールバー,1mm。*:P<0.05,平均±標準誤差。
【図19】対照及び抗FGF9抗体処理した創傷におけるHFの発達段階。
【図20】対照マウスと比較した、2日間のドキシサイクリン処理中のK14rtTA;TRE−Fgf9−IRES−eGfpマウスにおけるFGF9発現。
【図21】DETCにおけるFGF9発現。(A)FGF9は基底上層の樹状細胞において高発現された。IL−2培養なし(B)またはあり(C)の野生型マウスから採取した耳表皮のFGF9及びγδTCRのホールマウント二重免疫染色。
【図22】対照FGF9flox/floxマウスと比較したFGF9flox/flox;Lck−CreマウスにおけるFGF9発現。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、脱毛を治療するためのあるいは毛包を再生するための医薬組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、及び、脱毛を治療するためまたは毛包を再生するための繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドの投与に関する。
【0029】
本発明は、対象の脱毛を治療するための、対象の変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、対象のアンドロゲン性脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)を治療するための、新しい毛包(hair follicle:HF)を形成するための、あるいは既存のHFの大きさを増大させるための方法であって、表皮を破壊するかまたはWntを投与するステップと、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドまたはソニック・ヘッジホッグ遺伝子シグナル伝達を上方制御する別の化合物を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法、新しい毛包(HF)を形成するための方法、HFの大きさを増大させるための方法、アンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法、脱毛症の進行を止めるための方法、脱毛症を回復に向かわせるための方法、または脱毛するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9中和抗体を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0031】
他の実施形態では、本発明の組成物または方法は、人間の皮膚に使用される。他の実施形態では、本発明の組成物または方法は、発毛が望まれない領域に使用される。他の実施形態では、前記領域は顔である。他の実施形態では、前記領域はビキニ領域である。他の実施形態では、前記領域は脚である。他の実施形態では、前記領域は腕である。他の実施形態では、前記領域は胸である。
【0032】
一実施形態では、本発明の方法は、FGF9、SHH、Wntまたは本発明に使用される他の組成物の阻害剤を対象に接触させるステップを含む。本発明の方法及び組成物に使用される「阻害剤」は、他の実施形態では、標的のタンパク質または生物学的因子と結合する抗体である。他の実施形態では、前記阻害剤は、薬理学的阻害剤である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他の種類の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(sonic hedgehog:SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0037】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0039】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグを上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0040】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0041】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0043】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0044】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0045】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0047】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0048】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0049】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0050】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0052】
一実施形態では、本発明の方法は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、変性皮膚疾患は、過角化症、色素過剰、色素脱失、委縮化、またはそれらの組み合わせである。一実施形態では、変性皮膚疾患は、局所性皮膚石灰沈着症、膠様稗粒腫、皮膚変性、老年性皮膚疾患NOS、または皮下石灰化である。
【0053】
他の実施形態では、変性皮膚疾患は環状肉芽腫である。一実施形態では、変性皮膚疾患は、一実施形態では環状肉芽腫の最も一般的な形態であり、他の実施形態では赤色または黄色の小さくて硬い突起(結節または丘疹)が皮膚上にリング状に並んで現れることを特徴とする局所性の環状肉芽腫である。一実施形態では、前記病変の大きさは、1〜5cmである。一実施形態では、最も一般的な患部には、足、手及び指が含まれる。他の実施形態では、前記変性皮膚疾患は、全身型または散在型の、線状、穿孔性または皮下性の環状肉芽腫である。一実施形態では、環状肉芽腫に関連する病斑は、治療しなくても消え(自然寛解)、再び現れる。
【0054】
他の実施形態では、本発明の方法は、皮膚の乾燥、皮膚の荒れ、乾燥線の形成、皮脂腺による水分補給の減少、あるいは機械的応力に対する感受性(割れる傾向にある)の増大の予防及び治療に適している。また、本発明の方法は、光線皮膚症、老人性乾皮症の症状、光による老化、あるいは皮膚の結合組織(コラーゲン及びエラスチン繊維、あるいはグルコサミノグリカン/ヒアルロナン)の分解に関連する他の変性状態の治療に適している。「光による老化」は、光、特に紫外線放射によってもたらされる皮膚のしわ、乾燥及び弾力低下を意味する。
【0055】
本発明による組成物のさらなる適用分野は、次に挙げるものの治療及び予防、並びにエラスチン及びグリコサミノグリカンの分解である。年齢及び/または紫外線で誘発されたコラーゲン変性;表皮細胞層及び真皮細胞層、結合組織の構成要素、釘脚(rete pegs)及び毛細血管、及び/または皮膚付属器の弾力低下及び委縮化などの変性皮膚疾患;環境的に引き起こされる皮膚及び皮膚付属器のネガティブな変化(例えば、紫外線放射、喫煙、スモッグ、活性酸素種、遊離基などによって引き起こされる);欠陥性(deficitary)、過敏性または機能減退性の皮膚疾患、あるいは欠陥性)、過敏性または機能減退性の皮膚付属器疾患;皮膚厚さの減少;皮膚のたるみ及び/または皮膚の疲労感;経表皮水分損失及び皮膚の通常の水分含有量の変化;健康な皮膚のエネルギー代謝の変化;皮膚上に現れる、皮膚における通常の細胞間連結からの逸脱(例えば、しわ);通常の線維芽細胞及び角化細胞増殖の変化;通常の線維芽細胞及び角化細胞分化の変化;多形性の放射線皮膚疾患、白斑;創傷治療疾患;通常のコラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン及びグリコサミノグリカンの恒常性の障害;皮膚におけるタンパク質分解酵素(例えば、メタロプロテイナーゼ)の活性化増大。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を治療するための、毛包を形成するための、毛包の大きさを増大させるための、毛包形成を増加させるための、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、あるいはアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、次のステップの任意の組み合わせを含む方法を提供する。(a)対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップ;(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを前記対象に投与するステップ;(c)Wntポリペプチドを前記対象に投与するステップ;(d)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)、Ptch1、Ptch2、Gli1、Gli2またはそれらの組み合わせを前記対象に投与するステップ。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、除毛するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9中和抗体を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、前記抗体は10μg/mLの濃度で投与される。一実施形態では、前記除毛は、前記対象の脚、腕、脇、恥部、背中、顔、鼻または耳に行われる。一実施形態では、該方法は、前記投与ステップの前に除毛領域の表皮を破壊するステップをさらに含む。一実施形態では、前記投与ステップは、前記破壊するステップの3〜12日後に行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、脱毛領域を物理的刺激、化学的刺激または光学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記光学的刺激は放射線である。一実施形態では、前記投与ステップは局所投与である。他の実施形態では、前記投与ステップは表皮下投与である。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、脱毛症を回復に向かわせるための方法であって、禿げているまたは禿げかかった対象に対して、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、脱毛症の進行を止めるための方法であって、禿げているまたは禿げかかった対象に対して、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、対象の創傷を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象の負傷を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0060】
FGF9
【0061】
一実施形態では、本発明の方法は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を単独であるいは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。一実施形態では、FGF9は、Fgf−9、FGF−9、繊維芽細胞増殖因子‐9、GAF、グリア活性化因子、グリア活性化因子前駆体、またはHBGF−9を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるFGF−9タンパク質は、次の配列を有する。
【0062】
IFPNGTIQGTRKDHSRFGILEFISIAVGLVSIRGVDSGLYLGMNEKGELYGSEKLTQECVFREQFEENWYNTYSSNLYKHVDTGRRYYVALNKDGTPREGTRTKRHQKFTHFLPRPVDPDKVPELYKDILSQS(遺伝子バンクアクセス番号:BAA03572;配列ID番号:1)。他の実施形態では、FGF9タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:P31371、BAF83481、NP_002001、CAC17692、EAX08316、AAI03980、AAI03979、AAT74624またはAAH69692に記載されている配列を有する。他の実施形態では、FGF9タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL139378.15、AY682094.1またはCH471075.1に記載されている配列を有するゲノム核酸分子によってコードされているか、あるいは、遺伝子バンクアクセス番号:AK290792.1、BC069692.1、BC103978.1、BC103979.1、CR746503.1またはD14838.1.に記載されている配列を有するmRNA分子によってコードされている。他の実施形態では、FGF9タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、FGF9タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0063】
一実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)遺伝子発現のレベルが増加する(図14)。
【0064】
SHH
【0065】
一実施形態では、本発明の方法は、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)ペプチドを含んでいる組成物を単独であるいは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、SHH発現を増加させる化合物または因子を投与するステップを含む。一実施形態では、SHHは、TPT;HHG1;HLP3;HPE3;SMMCI;TPTPS;またはMCOPCB5を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるSHHタンパク質は、次の配列を有する。
【0066】
MLLLARCLLLVLVSSLLVCSGLACGPGRGFGKRRHPKKLTPLAYKQFTPNVAEKTLGASGRYEGKISRNSERFKELTPNYNPDIIFKDEENTGADRLMTQRCKDKLNALAISVMNQWPGVKLRVTEGWDEDGHHSEESLHYEGRAVDITTSDRDRSKYGMLARLAVEAGFDWVYYESKAHIHCSVKAENSVAAKSGGCFPGSATVHLEQGGTKLVKDLSPGDRVLAADDQGRLLYSDFLTFLDRDDGAKKVFYVIETREPRERLLLTAAHLLFVAPHNDSATGEPEASSGSGPPSGGALGPRALFASRVRPGQRVYVVAERDGDRRLLPAAVHSVTLSEEAAGAYAPLTAQGTILINRVLASCYAVIEEHSWAHRAFAPFRLAHALLAALAPARTDRGGDSGGGDRGGGGGRVALTAPGAADAPGAGATAGIHWYSQLLYQIGTWLLDSEALHPLGMAVKSS(遺伝子バンクアクセス番号:Q15465.1;配列ID番号:2)。他の実施形態では、SHHタンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:BAA34689.1;AAB67604.1;AAS01990.1;AAQ87879.1;EAL23913.1;EAX04543.1;AAA62179.1;またはAAI11926.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、SHHタンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AB020410.1;AC002484.1;AC078834.5;AY422195.1;CH236954.1;CH471149.1;AY927450.1;L38518.1;またはBC111925.1.に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、SHHタンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、SHHタンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0067】
一実施形態では、SHHは、スムースンド(SMO)タンパク質と協働して標的遺伝子の転写を活性化させる機能を果たすパッチされた(PTC)受容体に結合される。SHHを欠くときは、PTCは、SMOの構造的シグナル達活性を抑制する。他の実施形態では、SHHは、Gli癌遺伝子も調節する。他の実施形態では、SHHは、成長中の様々なパターンニングイベントに必須の細胞間信号である;腹側細胞を含む脊索により生成された信号は神経管及び体節に入り、成長中の肢芽の前後方向軸をパターニングするための信号を二極化させる。他の実施形態では、SHHは、フロアープレート及び運動ニューロンの両方の誘導活性を示す。
【0068】
他の実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、一実施形態ではヒト遺伝子である、パッチされた相同体1(ショウジョウバエ)(Ptch1;図14)のレベルが増加する(図14)。一実施形態では、Ptch1は、パッチされた遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。一実施形態では、Ptch1はソニック・ヘッジホッグ(SHH)に対する受容体であり、一実施形態では、胚構造の形成及び腫瘍形成に関与する分泌された分子である。一実施形態では、Ptch1は、腫瘍抑制因子としての役割を果たす。一実施形態では、Ptch1の変異体は、母斑性基底細胞癌症候群、食道扁平上皮癌、毛包上皮腫、膀胱の移行細胞癌、及び全前脳症に関連付けられてきた。一実施形態では、Ptch1の選択的スプライシングにより、別々のイソ型をコードする複数の転写変異体を作成することができる。
【0069】
Ptch1
【0070】
一実施形態では、本発明の方法は、Ptch1ポリペピチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、Ptch1発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、Ptch1は、PTC;BCNS;HPE7;PTCl;PTCH;NBCCS;PTCH11;FLJ26746;またはFLJ42602を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるPtch1タンパク質は、次の配列を有する。
【0071】
MASAGNAAEPQDRGGGGSGCIGAPGRPAGGGRRRRTGGLRRAAAPDRDYLHRPSYCDAAFALEQISKGKATGRKAPLWLRAKFQRLLFKLGCYIQKNCGKFLVVGLLIFGAFAVGLKAANLETNVEELWVEVGGRVSRELNYTRQKIGEEAMFNPQLMIQTPKEEGANVLTTEALLQHLDSALQASRVHVYMYNRQWKLEHLCYKSGELITETGYMDQIIEYLYPCLITTPLDCFWEGAKLQSGTAYLLGKPPLRWTNFDPLEFLEELKKINYQVDSWEEMLNKAEVGHGYMDRPCLNPADPDCPATAPNKNSTKPLDMALVLNGGCHGLSRKYMHWQEELIVGGTVKNSTGKLVSAHALQTMFQLMTPKQMYEHFKGYEYVSHINWNEDKAAAILEAWQRTYVEVVHQSVAQNSTQKVLSFTTTTLDDILKSFSDVSVIRVASGYLLMLAYACLTMLRWDCSKSQGAVGLAGVLLVALSVAAGLGLCSLIGISFNAATTQVLPFLALGVGVDDVFLLAHAFSETGQNKRIPFEDRTGECLKRTGASVALTSISNVTAFFMAALIPIPALRAFSLQAAVVVVFNFAMVLLIFPAILSMDLYRREDRRLDIFCCFTSPCVSRVIQVEPQAYTDTHDNTRYSPPPPYSSHSFAHETQITMQSTVQLRTEYDPHTHVYYTTAEPRSEISVQPVTVTQDTLSCQSPESTSSTRDLLSQFSDSSLHCLEPPCTKWTLSSFAEKHYAPFLLKPKAKVVVIFLFLGLLGVSLYGTTRVRDGLDLTDIVPRETREYDFIAAQFKYFSF?NMYIVTQKADYPNIQHLLYDLHRSFSNVKYVMLEENKQLPKMWLHYFRDWLQGLQDAFDSDWETGKIMPNNYKNGSDDGVLAYKLLVQTGSRDKPIDISQLTKQRLVDADGIINPSAFYIYLTAWVSNDPVAYAASQANIRPHRPEWVHDKADYMPETRLRIPAAEPIEYAQFPFYLNGLRDTSDFVEAIEKVRTICSNYTSLGLSSYPNGYPFLFWEQYIGLRHWLLLFSVVLACTFLVCAVFLLNPWTAGIIVMVLALMTVELFGMMGLIGIKLSAVPVVILIASVGIGVEFTVHVALAFLTAIGDKNRRAVLALEHMFAPVLDGAVSTLLGVLMLAGSEFDFIVRYFFAVLAILTILGVLNGLVLLPVLLSFFGPYPEVSPANGLNRLPTPSPEPPPSVVRFAMPPGHTHSGSDSSDSEYSSQTTVSGLSEELRHYEAQQGAGGPAHQVIVEATENPVFAHSTVVHPESRHHPPSNPRQQPHLDSGSLPPGRQGQQPRRDPPREGLWPPPYRPRRDAFEISTEGHSGPSNRARWGPRGARSHNPRNPASTAMGSSVPGYCQPITTVTASASVTVAVHPPPVPGPGRNPRGGLCPGYPETDHGLFEDPHVPFHVRCERRDSKVEVIELQDVECEERPRGSSSN(遺伝子バンクアクセス番号:Q13635.2;配列ID番号:3)。他の実施形態では、Ptch1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:CAH73817.1;CAH73818.1;CAH73819.1;AAR21238.1;AAR21239.1;AAR21240.1;EAW92631.1;EAW92632.1;BAD74184.1;BAD74185.1;BAD74186.1;BAD74187.1;BAD74188.1;BAD92732.1;BAF47711.1;BAE45300.1;BAE45302.1;BAE45304.1;BAF47712.1;BAC85893.1;AAH43542.1;AAC50496.1;AAC50550.1;またはAAI52920.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Ptch1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL161729.27;AY395758.1;AY395768.1;AY395772.1;CH471174.1;AB189436.1;AB189437.1;AB189438.1;AB189439.1;AB189440.1;AB209495.1;AB212827.1;AB212828.1;AB214500.1;AB233422.1;AB233424.1;AB239329.1;AI358880.1;AI494442.1;AK124593.1;AK130256.1;BC043542.1;BF195352.1;BM974119.1;BX117041.1;CR744004.1;DB093644.1;U43148.1;U59464.1;またはBC152919.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Ptch1タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Ptch1タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0072】
他の実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、一実施形態ではヒト遺伝子である、パッチされた相同体2(ショウジョウバエ)(Ptch2;図14)のレベルが増加する。
【0073】
Ptch2
【0074】
一実施形態では、本発明の方法は、Ptch2ポリペピチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、Ptch2発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、Ptch2は、パッチされた遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。一実施形態では、パッチされたタンパク質はソニック・ヘッジホッグ(SHH)に対する受容体であり、一実施形態では、胚構造の形成及び腫瘍形成に関与する分泌された分子である。一実施形態では、Ptch2は、髄芽種または基底細胞癌において変異する。このことは、Ptch2は、特定の腫瘍を成長させる役割を果たすことを示唆している。選択的転写変異体について説明したが、それらの生物学的機能は決定されてはいない。一実施形態では、本発明の方法に使用されるPtch2ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0075】
FDFIVRYFFAALTVLTLLGLLHGLVLLPVLLSILGPPPEVIQMYKESPEILSPPAPQGGGLRVGSLQVNISYWKELLWCQDLRPEEI(遺伝子バンクアクセス番号:Q5JR97;配列ID番号:4)。他の実施形態では、Ptch2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:CAL23127.1;CAI13000.1;AAR05447.1;EAX07017.1;AAD25953.1;AAC79847.1;AAD17260.1;AAQ88919.1;AAQ89375.1;またはAAI52912.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Ptch2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL136380.22;AL592166.16;AY438664.1;CH471059.2;AF087651.1;AF091501.1;AF119569.1;AK307168.1;AY358555.1;AY359016.1;またはBC152911.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Ptch2タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Ptch2タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0076】
GLI1
【0077】
一実施形態では、本発明の方法は、グリオーマ関連癌遺伝子相同体1(亜鉛フィンガータンパク質)(GLI1)ポリペプチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。一実施形態では、GLI1は、亜鉛フィンガータンパク質のクルッペルファミリーのメンバーをコードする。他の実施形態では、本発明の方法は、GLI1の発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、本発明の方法に使用されるGLI1ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0078】
FNSMTPPPISSYGEPCCLRPLPSQGAPSVGTEGLSGPPFCHQANLMSGPHSYGPARETNSCTEGPLFSSPRSAVKLTKKRALSISPLSDASLDLQTVIRTSPSSLVAFINSRCTSPGGSYGHLSIGTMSPSLGFPAQMNHQKGPSPSFGVQPCGPHDSARGGMIPHPQSRGPFPTCQLKSELDMLVGKCREEPLEGDMSSPNSTGIQDPLLGMLDGREDLEREEKREPESVYETDCRWDGCSQEFDSQEQLVHHINSEHIHGERKEFVCHWGGCSRELRPFKAQYMLVVHMRRHTGEKPHKCTFEGCRKSYSRLENLKTHLRSHTGEKPYMCEHEGCSKAFSNASDRAKHQNRTHSNEKPYVCKLPGCTKRYTDPSSLRKHVKTVHGPDAHVTKRHRGDGPLPRAPSISTVEPKREREGGPIREESRLTVPEGAMKPQPSPGAQSSCSSDHSPAGSAANTDSGVEMTGNAGGSTEDLSSLDEGPCIAGTGLSTLRRLENLRLDQLHQLRPIGTRGLKLPSLSHTGTTVSRRVGPPVSLERRSSSSSSISSAYTVSRRSSLASPFPPGSPPENGASSLPGLMPAQHYLLRARYASARGGGTSPTAASSLDRIGGLPMPPWRSRAEYPGYNPNAGVTRRASDPAQAADRPAPARVQRFKSLGCVHTPPTVAGGGQNFDPYLPTSVYSPQPPSITENAAMDARGLQEEPEVGTSMVGSGLNPYMDFPPTDTLGYGGPEGAAAEPYGARGPGSLPLGPGPPTNYGPNPCPQQASYPDPTQETWGEFPSHSGLYPGPKALGGTYSQCPRLEHYGQVQVKPEQGCPVGSDSTGLAPCLNAHPSEGPPHPQPLFSHYPQPSPPQYLQSGPYTQPPPDYLPSEPRPCLDFDSPTHSTGQLKAQLVCNYVQSQQELLWEGGGREDAPAQEPSYQSPKFLGGSQVSPSRAKAPVNTYGPGFGPNLPNHKSGSYPTPSPCHENFVVGANRASHRAAAPPRLLPPLPTCYGPLKVGGTNPSCGHPEVGRLGGGPALYPPPEGQVCNPLDSLDLDNTQLDFVAILDEPQGLSPPPSHDQRGSSGHTPPPSGPPNMAVGNMSVLLRSLPGETEFLNSSA(遺伝子バンクアクセス番号:P08151;配列ID番号:5)。他の実施形態では、GLI1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AAM13391.1;EAW97013.1;BAG60219.1;AAH13000.1;またはCAA30297.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、GLI1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AC022506.38;AF316573.1;CH471054.1;AK297899.1;BC013000.2;またはX07384.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、GLI1タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、GLI1タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0079】
GLI2
【0080】
一実施形態では、本発明の方法は、グリオーマ関連癌遺伝子相同体2(亜鉛フィンガータンパク質)(GLI2)ポリペプチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、GLI2の発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、GLI2は、HPE9;THPl;またはTHP2を指す。一実施形態では。GLI2は、GLIファミリーのサブクラスであるC2H2型亜鉛フィンガータンパク質に属するタンパク質をコードする。このサブクラスのメンバーは、亜鉛フィンガーモチーフを通じてDNAを結合する転写因子に特徴付けられる。前記モチーフは、保存されたH−Cリンクを含む。GLIファミリーフィンガータンパク質は、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)のシグナル伝達の伝達物質であり、胚性癌腫細胞の有力な癌細胞に関与する。この遺伝子によってコードされたタンパク質は、細胞質に局在し、パッチされたショウジョウバエ相同体(PCTH)遺伝子発現を活性化する。また、胚形成中に役割も果たすと考えられている。コードされたタンパク質は、いくつかの表現型のグレイグ多合指症候群、パリスター・ホール症候群、軸前多趾症IV型、軸前多趾症A1及びB型に関連する。一実施形態では、本発明の方法に使用されるGLI2ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0081】
MALTSINATPTQLSSSSNCLSDTNQNKQSSESAVSSTVNPVAIHKRSKVKTEPEGLRPASPLALTQGQVLDTAHVGVPFPSPQEQLADLKEDLDRDDCKQEAEVVIYETNCHWEDCTKEYDTQEQLVHHINNEHIHGEKKEFVCRWQACTREQKPFKAQYMLVVHMRRHTGEKPHKCTFEGCSKAYSRLENLKTHLRSHTGEKPYVCEHEGCNKAFSNASDRAKHQNRTHSNEKPYICKIPGCTKRYTDPSSLRKHVKTVHGPDAHVTKKQRNDVHLRTPLLKENGDSEAGTEPGGPESTEASSTSQAVEDCLHVRAIKTESSGLCQSSPGAQSSCSSEPSPLGSAPNNDSGVEMPGTGPGSLGDLTALDDTPPGADTSALAAPSAGGLQLRKHMTTMHRFEQLKKEKLKSLKDSCSWAGPTPHTRNTKLPPLPGSGSILENFSGSGGGGPAGLLPNPRLSELSASEVTMLSQLQERRDSSTSTVSSAYTVSRRSSGISPYFSSRRSSEASPLGAGRPHNASSADSYDPISTDASRRSSEASQCSGGSGLLNLTPAQQYSLRAKYAAATGGPPPTPLPGLERMSLRTRLALLDAAEGTLPAGCPRPLGPRRGSDGPTYGHGHAGAAPAFPHEAPGGGTRRASDPVRRPDALSLPRVQRFHSTHNVNPGPLPPCADRRGLRLQSHPSTDGGLARGAYSPRPPSISENVAMEAVAAGVDGAGPEADLGLPEDDLVLPDDVVQYIKAHASGALDEGTGQVYPTESTGFSDNPRLPSPGLHGQRRMVAADSNVGPSAPMLGGCQLGFGAPSSLNKNNMPVQWNEVSSGTVDSLASQVKPPPFPQGNLAVVQQKPAFGQYPGYSPQGLQASPGGLDSTQPHLQPRSGAPSQGIPRVNYMQQLRQPVAGSQCPGMTTTMSPHACYGQVHPQLSPSTISGALNQFPQSCSNMPAKPGHLGHPQQTEVAPDPTTMGNRHRELGVPNSALAGVPPPHPVQSYPQQSHHLAASMSQEGYHQVPSLLPARQPGFMEPQTGPMGVATAGFGLVQPRPPLEPSPTGRHRGVRAVQQQLAYARATGHAMAAMPSSQETAEAVPKGAMGNMGSVPPQPPPQDAGGAPDHSMLYYYGQIHMYEQDGGLENLGSCQVMRSQPPQPQACQDSIQPQPLPSPGVNQVSSTVDSQLLEAPQIDFDAIMDDGDHSSLFSGALSPSLLHSLSQNSSRLTTPRNSLTLPSIPAGISNMAVGDMSSMLTSLAEESKFLNMMT(遺伝子バンクアクセス番号:P10070;配列ID番号:6)。他の実施形態では、GLI2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AAA35898.1;BAA25665.1;BAA25666.1;BAA25667.1;BAA25668.1;BAD92591.1;BAG61875.1;AAS72889.1;AAS72890.1;AAS72891.1;AAI11411.1;BAA03568.1;BAA03569.1;AAY58315.1;AAY58316.1;AAY58317.1;またはAAY87165.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、GLI2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AC016764.8;AC017033.5(60664.181887);M20672.1;M20673.1;AB007295.1;AB007296.1;AB007297.1;AB007298.1;AB209354.1;AJ707583.1;AK300071.1;AY493737.1;AY493738.1;AY493739.1;BC111410.1;D14827.1;D14828.1;DQ004396.1;DQ004397.1;DQ004398.1;またはDQ086814.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、GLI2タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、GLI2タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0082】
Wnt
【0083】
一実施形態では、本発明の方法は、Wntポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む。本発明の方法に使用されるWntポリペプチドは、一実施形態では、次の配列を有する。
【0084】
MNRKARRCLGHLFLSLGMVYLRIGGFSSVVALGASIICNKIPGLAPRQRAICQSRPDAIIVIGEGSQMGLDECQFQFRNGRWNCSALGERTVFGKELKVGSREAAFTYAIIAAGVAHAITAACTQGNLSDCGCDKEKQGQYHRDEGWKWGGCSADIRYGIGFAKVFVDAREIKQNARTLMNLHNNEAGRKILEENMKLECKCHGVSGSCTTKTCWTTLPQFRELGYVLKDKYNEAVHVEPVRASRNKRPTFLKIKKPLSYRKPMDTDLVYIEKSPNYCEEDPVTGSVGTQGRACNKTAPQASGCDLMCCGRGYNTHQYARVWQCNCKFHWCCYVKCNTCSERTEMYTCK(遺伝子バンクアクセス番号:BC008811;配列ID番号:7)。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、遺伝子バンクアクセス番号:NM_004625、D83175、U53476またはNP_004616に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt7タンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt7aポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt1ポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt3ポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt3aポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10タンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10aタンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10bタンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Wntポリペプチドの生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Wnt7タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Wnt7aタンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0085】
他の実施形態では、本発明の方法は、一実施形態ではN−Shh(分解産物)、N−Shh−CholであるSHHシグナル伝達経路の1以上のメンバーを刺激する。前記メンバーは、一実施形態ではPtch1及びPtch2を抑制し、一実施形態ではスムースンドタンパク質を抑止し、一実施形態ではGLI1を刺激し、一実施形態では他の遺伝子(一実施形態ではGLI−1、PTC1、HNF3β)、GLI−2及びGLI−3の転写を促進し、一実施形態では他の遺伝子の転写を抑制する。したがって、一実施形態では、FGF9の活性化によるSHHの増加は、スムースンドタンパク質上のパッチされたタンパク質の持続的抑制を軽減する。また、GLI−1のレベルの増加は、遺伝子転写の促進をもたらす。
【0086】
他の実施形態では、本発明の方法は、一実施形態では、フリズルド(Frizzled)、SFRP、ディシブルド(Dishevelled:Dsh)、TCF、LRP、APC、β−カテニン、クシン(Axin)、ディックコプフ(Dickkopf)、GSK3、ネイキッド(Naked)、ポーキュパイン(Porcupine)またはFRAT/GBPである、Wntシグナル伝達経路の1以上のメンバーを刺激する。
【0087】
他の実施形態では、Wnt経路は、ヘッジホッグ経路の前に刺激される。他の実施形態では、前記2つの経路は、重複方法(overlapping fashion)で刺激される。他の実施形態では、前記2つの経路は、同時に刺激される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態では、本発明の転写物及びタンパク質の相同体及び変異体は、本発明の方法において投与される。他の実施形態では、本発明の転写物及びタンパク質の相同体及び変異体は、本発明の方法において標的にされる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0089】
「相同」、「相同性」等の用語は、タンパク質やペプチドに関する場合、一実施形態では、最大割合の相同を達成するために配列を整列させ必要に応じて間隙を導入した後の、候補配列におけるアミノ酸残余が対応する天然ポリペプチドのアミノ酸残余と一致する割合を意味する(配列同一性の一部としての同類置換は考慮しない)。前記整列のための方法及びコンピュータプログラムは、当該技術分野では公知である。
【0090】
他の実施形態では、「相同」なる用語は、核酸配列に関する場合、同様に、候補配列におけるヌクレオチドが対応する天然核酸配列のヌクレオチドと一致する割合を示す。
【0091】
他の実施形態では、「相同」は、70%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、75%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、80%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、82%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、85%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、87%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、90%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、92%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、95%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、97%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、98%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、99%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、100%以上の一致を意味する。
【0092】
本明細書中に記載された任意のアミノ酸配列に対するタンパク質及び/またはペプチドの相同は、一実施形態では、イムノブロット解析、または、任意のソフトウェア・パッケージを使用して行うアミノ酸配列のコンピュータアルゴリズム分析などの当該技術分野で公知の確立した手法によって測定される。前記ソフトウェア・パッケージとしては、FASTA、BLAST、MPsrch、またはScanpsパッケージなどがあり、スミス‐ウォーターマン(Smith‐Waterman)アルゴリズム、あるいはグローバル/ローカルまたはブロックアライメントなどを使用することができる。相同測定の各方法は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0093】
一実施形態では、「ペプチド」なる用語は、天然型ペプチド(分解産物、合成ペプチド、組み換え型ペプチドなど)と、ペプチド類似体であるペプトイド及びセミペプトイドなどの模倣ペプチド(通常は、合成によって作られたペプチド)を含む。ペプチド類似体は、例えば、ペプチドが体内でより安定したり、細菌細胞により容易に貫通したりすることができるように修飾されている場合がある。このような修飾には、これらに限定しないが、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合修飾、バックボーン修飾、及び残基修飾が含まれる。前記ペプチド結合修飾には、これらに限定しないが、CH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CH、またはCF=CHが含まれる。模倣ペプチド化合物を作成する方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、非特許文献1に記載されている(非特許文献1の全体の内容は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0094】
ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH3)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH2−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(ただし、Rは任意のアルキルであり、例えばメチルである)、カルバ結合(−CH2−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH2−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン性二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH2−CO−)(ただし、Rは、炭素原子上に天然に存在する「通常の」側鎖である)によって置換することができる。
【0095】
これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った任意の結合部において発生することができ、同時に複数(2〜3)発生することさえある。
【0096】
天然の芳香族アミノ酸、Trp、Tyr及びPheは、例えばTIC、ナフチルアラニン(Nol)、Pheの環状メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの人工の非天然酸に置換され得る。
【0097】
上記に加えて、本発明のペプチドは、1以上の修飾されたアミノ酸、または1以上の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複合炭水化物など)も含み得る。
【0098】
ここで使用される「アミノ酸」なる用語は、20個の自然発生的アミノ酸と、他の異常アミノ酸を含むと理解されたい。前記自然発生的アミノ酸は、多くの場合は翻訳後にインビボで修飾され、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、及びホスホスレオニンが含まれる。前記異常アミノ酸は、これらに限定しないが、2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリジン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン、及びオルニチンを含む。さらに、「アミノ酸」なる用語は、D−アミノ酸とL−アミノ酸の両方を含む。
【0099】
他の実施形態では、当該技術分野で公知の自然発生的アミノ酸及び非従来的なまたは修飾されたアミノ酸を本発明に使用することができる。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方法を実施するのに適した道具及び/または化合物を含んでいるキットを提供する。
【0101】
他の実施形態では、本発明は、表皮破壊に適した道具、及び、SHHの発現を上方制御する化合物または因子を送達するための手段を含んでいる装置を提供する。
【0102】
本発明には、単離された核酸を投与するステップを含む方法が含まれることを理解されたい。単離された核酸は、一実施形態では、本発明のポリペプチドをコードしているベクターまたはプラスミドであり、それらは、一実施形態では、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、SHH、Wnt、Ptchl、Ptch2、Gli1またはGli2、あるいはそれらのベクターを含む組成物である。
【0103】
一実施形態では、本発明の方法に使用するための、本発明のポリペプチドをコードしている単離された核酸が提供される。
【0104】
一実施形態では、「単離された核酸」は、自然に存在する状態でそれを挟む配列から分離された核酸セグメントまたは断片を指し、例えば、通常は前記断片に隣接する配列(例えば自然に存在するゲノム中で前記断片に隣接する配列)が除去されたDNA断片を指す。また、この用語は、核酸に自然に付随する他の成分、例えば細胞中で自然に付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸配列にも適用される。したがって、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれた、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルスに組み込まれた、または原核若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた、あるいは他の配列から独立して別個の分子として存在する(例えば、cDNAまたはPCR若しくは制限酵素消化により生成されたゲノム若しくはcDNA断片として)組換えDNAを含む。また、この用語は、さらなるポリペプチド配列をコードしているハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。
【0105】
一実施形態では、本発明は、本発明の単離された核酸またはベクターを含んでいる細胞を提供する。
【0106】
本発明の2つのポリヌクレオチドは機能的に連結されている。例えば、一実施形態では、FGF9及びWntをコードしているポリヌクレオチドが機能的に連結されている。一実施形態では、「機能的に連結されている」とは、一本鎖または二本鎖の核酸部分に、2つのポリヌクレオチドが、互いに発現するような様態で配列されることを意味する。一例としては、遺伝子のコード領域に機能的に連結されたプロモータは、前記コード領域の転写を促進することができる。
【0107】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、プロモータ/制御配列を含んでいる。一実施形態では、プロモータ/制御配列は、細胞内で所望のタンパク質の発現を促進するように、所望のタンパク質をコードしている配列の5´端部に位置される。つまり、所望のタンパク質をコードしている核酸とそのプロモータ/制御配列は、「トランス遺伝子」を含んでいる。
【0108】
一実施形態では、「プロモータ/制御配列」なる用語は、プロモータ/制御配列に機能的に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を意味する。ある場合では、この配列はコアプロモータ配列であり、他の場合では、この配列は、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要とされる別の制御要素を含み得る。プロモータ/制御配列は、例えば、組織特異的な様態で遺伝子産物を発現させるものであり得る。一実施形態では、本発明に使用されるプロモータは、構成的または誘導的であり得る。他の実施形態では、本発明に使用されるプロモータは、組織特異的であり得る。そのようなプロモータは当該技術分野では公知である。
【0109】
他の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドの投与用の送達媒体を提供する。そのような送達媒体の例は、当該技術分野では公知であり、例えば、本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子操作された組み換え型ウイルスまたは細菌などがある。一実施形態では、前記ウイルスまたは細菌は弱毒化されている。一実施形態では、本発明に使用されるウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスなどが含まれる。一実施形態では、前記ウイルスは、任意の公知の血清型またはサブクループのものである。
【0110】
一実施形態では、治療剤をコードする外因性核酸断片を標的細胞及び/または組織へ導入するために、当該技術分野で知られているように、ウイルスベクター、プラスミドベクター、線状DNAなどの様々なベクターのいずれか1つを本発明の方法に使用することができる。これらのベクターは、例えば、感染、形質導入、トランスフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、微粒子銃遺伝子送達、(カチオン性リポソームを使用する代わりに)融合性及びアニオン性リポソームを使用するリポソーム遺伝子送達、直接注入、受容体媒介取込み、マグネトポレーション、超音波、またはこれらの任意の組み合せ、あるいは当該技術分野で公知の他の技術を使用して挿入することができる(さらなる詳細については、例えば、非特許文献4〜6または他の標準実験マニュアルを参照されたい)。目的の配列をコードするポリヌクレオチド断片は、哺乳動物細胞への形質導入及び形質導入された細胞内での組換え産物の発現誘導に適した発現ベクター系の中へ連結させることができる。前記外因性核酸断片の導入は、前記ベクターを微小器官の近傍へ導入することによって達成される。上記に記載の技術または当該技術分野で公知の技術のいずれかを用いて、前記外因性核酸断片が前記細胞に組み込むことにより、前記核酸断片によってコードされた治療物質の生成及び/または分泌速度を定量化することができる。一実施形態では、「外因性」なる用語は、外部に由来する物質、例えば、細胞または組織の外部に由来する核酸を指す。
【0111】
一実施形態では、本発明の方法に使用されるベクターは非免疫原性の遺伝子導入剤であり、例えば、非ウイルスベクター(DNAプラスミド、ミニサークルDNAなど)、「ガットレス(gutless)」、すなわち内存性遺伝子を有さないウイルスベクター(一実施形態では欠失に起因し、他の実施形態では、遺伝子発現を妨げる遺伝子における挿入、置換または欠失に起因する)、ヘルパー依存型アデノウイルス(HDAd)ベクター、またはアデノ関連ウイルスAAV(一実施形態では一本鎖であり、他の実施形態では二本鎖である)などである。他の実施形態では、前記製剤は、組換え遺伝子発現が微小器官による遺伝子産物の毒性の欠如または免疫媒介拒絶をもたらすように選択される。一実施形態では、前記ベクターはウイルス由来であり、他の実施形態では、前記ベクターはプラスミドである。一実施形態では、ウイルス由来ベクターはアデノウイルス(一実施形態では、ヘルパー依存型アデノウイルスである)に由来し、一方、他の実施形態では、ウイルス由来ベクターはアデノウイルス関連ベクターに由来する。
【0112】
一実施形態では、「ベクター」または「発現ベクター」なる用語は、核酸配列を細胞に導入して複製するために、前記核酸配列がその中へ挿入され得る担体分子を指す。一実施形態では、核酸分子は、ある場合には、その後、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳されるRNAへ転写される。他の場合では、RNA配列は、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの生成においては翻訳されない。一実施形態では、発現ベクターは種々の「制御配列」を含むことができる。前記制御配列は、特定の宿主生物体において作動可能に連結されるコード配列の、転写及び場合により翻訳のために必要な核酸配列を指す。他の実施形態では、ベクターには、複製起点がさらに含まれる。一実施形態では、前記ベクターは、一実施形態では、原核細胞及び真核細胞の両方において増殖することができるシャトルベクターであり得る。あるいは、他の実施形態では、前記ベクターは、選択された生物のゲノムに容易に統合することができるように構築され得る。前記ベクターは、他の実施形態では、例えば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス、または人工染色体であり得る。一実施形態では、前記ベクターはウイルスベクターであり、一実施形態では、バクテリオファージ、哺乳動物ウイルスまたは植物ウイルスであり得る。
【0113】
他の実施形態では、ウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、シミアンウイルスまたは単純ヘルペスウイルスなどのウイルスに由来する。
【0114】
本発明の特定の実施形態では、核酸配列を含んでいるベクターは、裸の組み換え型DNAまたはプラスミドを含む。前記構築物の導入は、物理的または化学的に細胞膜を透過性にする任意の方法によって行われ得る。一実施形態では、前記ベクターは、ミニサークルDNAであり、一実施形態では、細菌の複製起源も抗生物質抵抗性マーカーも持たない非ウイルス性遺伝子導入のための超らせんDNA分子である。
【0115】
標準的な組み換え技術を用いたベクターの構築は、当該技術分野では公知である(非特許文献2及び3を参照されたい。両文献は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0116】
一実施形態では、本発明の組成物は、上記の物質を含む。一方、他の実施形態では、本発明の組成物は、実質的に上述の物質から構成される。一方、他の実施形態では、本発明の組成物は、上記の物質から構成される。一部の実施形態では、「含む」なる用語は、ヒト繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、SHH,Wntなどの上述の活性物質、並びに、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、軟化剤、安定剤などの製薬業界では公知の他の活性物質を含有することを意味する。一部の実施形態では、「実質的に構成する」なる表現は、上記の活性成分だけを有効成分として含むが、上記の活性成分の治療効果に直接的には関与しない安定化や保存のために他の化合物も含み得る組成物を指す。一部の実施形態では、「実質的に構成する」なる表現は、活性成分の放出を容易にするための構成要素を指す。一部の実施形態では、「構成する」なる用語は、活性成分及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する組成物を指す。
【0117】
一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を有する対象において、毛包を形成するか、または毛包の大きさを増大させる。一実施形態では、脱毛は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因する。他の実施形態では、脱毛は、男性型脱毛症に起因する。他の実施形態では、脱毛は、女性型脱毛症に起因する。他の実施形態では、脱毛は、皮膚損傷が原因である。
【0118】
他の実施形態では、本発明の方法は、対象の疾病または疾患を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、対象は、はげを含む疾病または疾患を有している。他の実施形態では、対象は、禿げを含む疾病または疾患を有してはいない。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、男性型脱毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、女性型脱毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、円板状紅斑性狼瘡である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、先天性乏毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、毛孔性扁平苔癬である。
【0119】
他の実施形態では、前記疾病または疾患は、瘢痕化(他の実施形態では、瘢痕性)脱毛症であり、一実施形態では、頭皮領域の瘢痕化に起因する脱毛である。一実施形態では、瘢痕性脱毛症は、一般的に頭皮の頂部に生じ、主に女性に発生する。この症状は、アフリカ系アメリカ人の女性にしばしば生じ、頭毛をきつく編み続ける「コーン巻き」に関連すると考えられている。瘢痕化脱毛症の形態は、毛包の炎症とその後の瘢痕化に関連して、閉経後の女性にも生じる。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、当該技術分野で公知の他の禿げを含む疾病または疾患である。
【0120】
他の実施形態では、本発明は、円形脱毛症を治療するための方法を提供する。前記円形脱毛症は、一実施形態では、広範囲に渡って薄くなり残った髪が「島状」になる斑状の脱毛を引き起こす自己免疫疾患である。
【0121】
他の実施形態では、本発明は、一実施形態では髪の毛を抜く強迫神経症である抜毛癖を治療するための方法を提供する。抜毛症の人は特定領域の髪の毛を集中的に抜く傾向があるので、抜毛癖に起因する脱毛は一般的に斑状である。
【0122】
他の実施形態では、本発明は、三角形脱毛症を治療するための方法を提供する。三角形脱毛症は、一実施形態では側頭部の抜毛症であり、場合によっては子供の頃から始まる。この脱毛症は、完全に行われるか、またはわずかの細い髪の毛だけが残る。
【0123】
他の実施形態では、本発明は、休止期脱毛症を治療するための方法を提供する。休止期脱毛症は、一実施形態では、頭毛の大部分が「抜け」段階に移行したときに生じる一般的な種類の脱毛症である。休止期脱毛症は、ホルモン、栄養、薬剤またはストレスに関連して生じる。
【0124】
他の実施形態では、本発明は、成長期脱毛症を治療するための方法を提供する。成長期脱毛症は、一実施形態では、金髪の人物において主に発生する症状であり、頭毛が毛包内にゆるく座っており、くしを通したとき引っ張ったときに容易に抜けてしまう。
【0125】
他の実施形態では、本発明は、頭部白癬を治療するための方法を提供する。頭部白癬は一実施形態では真菌感染症によって引き起こされ、一実施形態では、斑状の落屑に特徴付けられ、広がって髪の毛の破壊、頭皮の発赤、腫れ及び出血をもたらす。
【0126】
他の実施形態では、本発明は、特定の状態(癌、甲状腺疾患、食事中のタンパク質不足、血清中鉄値)または特定の環境刺激(化学療法、放射線治療)に関連する脱毛を治療するための方法を提供する。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、はげに関連する疾病、疾患または症状を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患に関連する疾病、疾患または症状を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、脱毛症に関連する疾病、疾患または病状を治療するための方法を提供する。各疾病、疾患または症状は、本発明の別個の形態を示す。
【0128】
一実施形態では、「治療」は、上述したような標的病態または疾患の予防または軽減を目的とした治療処置または予防措置を意味する。したがって、一実施形態では、治療は、疾病、疾患、病状またはそれらの組み合わせに関連する症状に対しての、直接的な影響、治癒、抑制、抑止、予防、重症度の低減、発病の遅延、症状の軽減を含む。したがって、一実施形態では、「治療」は、とりわけ、進行の遅延、寛解の促進、寛解の誘導、寛解の増大、迅速な回復、他の治療に対する効果の増大または抵抗の低減、あるいはそれらの組み合わせを意味する。一実施形態では、「予防」は、とりわけ、症状の発症遅延、再発の防止、再発の回数または頻度の減少、病状発生間の潜伏期間の長期化、或いはそれらの組み合わせを意味する。一実施形態では、「抑制」または「抑止」は、とりわけ、症状の重症度の低減、現在の症状の重症度の低減、症状の回数の減少、症状の発生率の低減、症状潜伏の低減、症状の改善、二次的症状の減少、二次的感染の減少、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0129】
一実施形態では、症状は一次的である。一方、他の実施形態では、症状は二次的である。一実施形態では、「一次的」は、脱毛症の直接的な結果である症状を意味する。一方、一実施形態では、「二次的」は、一次的要因に由来するまたは一次的要因の結果として生じた症状を意味する。一実施形態では、本発明に使用する化合物及び株は、脱毛症に関連する一次的若しくは二次的な症状または二次的な合併症(一実施形態では脂漏性皮膚炎)を治療する。
【0130】
他の実施形態では、「症状」は、脱毛症の発現であり得、脱毛、禿げ、側頭部の脱毛、斑状の脱毛、変性皮膚疾患またはそれらの組み合わせであり得る。
【0131】
脱毛症及び/または変性皮膚疾患の存在及び重症度を測定する方法は、当該技術分野では公知である。各方法は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0132】
一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を有する対象を治療するためのものである。一実施形態では、脱毛は、対象の頭皮において存在する。他の実施形態では、脱毛は、対象の眉において存在する。他の実施形態では、脱毛は、対象の瘢痕化皮膚組織において存在する。瘢痕化皮膚組織は、一実施形態では、対象の頭皮、眉、腕または脚に存在し得る。他の実施形態では、皮膚における他の有毛領域が、本発明の方法により治療される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0133】
一実施形態では、本発明の方法は、前記投与ステップの前に、脱毛領域の表皮を破壊するステップを含む。他の実施形態では、上皮が破壊される。
【0134】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態では、第1のステップ(例えば表皮の破壊)は、第2のステップ(例えば、活性化合物、因子、細胞などの添加)の3〜12日前に行われる。他の実施形態では、前記時間間隔は4〜12日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜12日である。他の実施形態では、前記時間間隔は4〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜9日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜8日である。他の実施形態では、前記時間間隔は7〜8日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は7〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は約1週間である。他の実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、一実施形態では表皮破壊後の3〜12日後である、治癒のための痂皮形成の開始時に適用される。一実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、かさぶたを剥がした1日後に適用され、他の実施形態ではかさぶたを剥がした2日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした3日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした4日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした5日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした6日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした7日後に適用される。他の実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、かさぶたを剥がした1〜4日後に投与される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0135】
一実施形態では、前記破壊するステップは、脱毛領域を物理的、化学的若しくは光学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記光学的刺激は放射線である。
【0136】
本発明の方法における表皮を破壊するステップは、他の実施形態では、対象の皮膚領域を剥離することにより行われる。他の実施形態では、「剥離する(abrading)」なる用語は、表皮を剥離する行為を意味する。他の実施形態では、「剥離する」なる用語は、こすることを意味する。他の実施形態では、「剥離する」なる用語は、摩擦によってすり減らすことを意味する。一実施形態では、表皮剥離は、ここで使用される条件下で、新たにHF再生を引き起こす。他の実施形態では、表皮層が破壊される。
【0137】
一実施形態では、「剥離(abrasion)」は、皮膚に対する表面的な損傷からなる創傷を意味する。他の実施形態では、「剥離」は、頭皮または皮膚における皮膚が除去された領域を意味する。他の実施形態では、「剥離」は、頭皮または皮膚における表皮及び真皮が除去された領域を意味する。「剥離する」及び「剥離」の各定義は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0138】
一実施形態では、本明細書中で説明されるように、使用される条件下で、本発明の方法による表皮破壊は、対象とする皮膚領域を、毛包が再生される胚期様状態(embryonic-like state)に変換する。他の実施形態では、前記変換後に、対象とする皮膚領域の新しいHFの数及び大きさを操作することが可能な機会が得られる。他の実施形態では、前記機会の間に、中立表皮細胞のHF細胞への分化を促進する化合物または因子を投与することによって、より大きい及びより多数のHFの再生を引き起こすことができる。一実施形態では、剥離された皮膚におけるHFの形態は、胚期のHFの形態と類似しており、発現したマーカーも同様に類似している。
【0139】
他の実施形態では、本発明の方法における切除創傷は、手術道具を使用して作成される。一実施形態では、前記手術道具は、皮膚生検パンチである。他の実施形態では、前記切除創傷は、冷凍処理または冷凍損傷(cryoinjury)によって作成される。冷凍処理または冷凍損傷を用いることは当該技術分野では公知であり、例えば、皮膚専門医によって皮膚を傷つけるのに使用される。一実施形態では、冷凍処理または冷凍損傷は、水膨れを形成する。他の実施形態では、前記水脹れは、再上皮化領域に薬剤あるいは細胞を導入ための「チャンバー(chamber)」として使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0140】
他の実施形態では、本発明の方法における表皮破壊は、目標の皮膚領域から真皮組織をさらに除去する。他の実施形態では、表皮破壊は、目標の皮膚領域から真皮組織を除去しない。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0141】
表皮または表皮層の「破壊」は、他の実施形態では、表皮または表皮層の一部を除去することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層の無傷部分を破壊することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層を穿孔することを意味する。他の実施形態では、表皮層の一部だけを除去する。他の実施形態では、表皮層全体を除去する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層を剥離することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層に創傷を形成することを意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0142】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、サンドペーパーを含む道具によって行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、レーザーによって行われる。他の実施形態では、前記レーザーは、フラクセルレーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、CO2レーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、エキシマレーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、経上皮損傷の誘導が可能な他の種類のレーザーである。他の実施形態では、前記表皮破壊は、フェルトホイールを使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、手術道具を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、当該技術分野で公知の他の表皮破壊が可能な道具を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、マイクロ皮膚剥離装置を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、熱傷処置を含む。
【0143】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、前記表皮の毛包の破壊と、前記表皮の毛包間領域の破壊とを含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、前記表皮の毛包の破壊を含むが、前記表皮の毛包間領域の破壊は含まない。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0144】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、光線ベースの方法を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、可視光線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、赤外線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、紫外線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、常用電圧照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、X線照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、当該技術分野で公知の他の種類の照射を含む。
【0145】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、機械的手段を用いて行われる。他の実施形態では、「機械的手段」は、剥離形成を指す。他の実施形態では、前記用語は、創傷形成を指す。他の実施形態では、前記用語は、超音波を指す。他の実施形態では、前記用語は、無線周波数を指す。他の実施形態では、前記用語は、ab電気処理、または電流の使用を指す。他の実施形態では、前記用語は、エレクトロポレーションを指す。他の実施形態では、前記用語は、切除を指す。他の実施形態では、前記用語は、テープストリッピングを指す。他の実施形態では、前記用語は、マイクロ皮膚剥離を指す。他の実施形態では、前記用語は、ピール(peel)の使用を指す。他の実施形態では、前記用語は、当該技術分野で公知の他の種類の機械的手段を指す。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0146】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、化学薬品による処理を含む。他の実施形態では、前記化学薬品は、フェノールである。他の実施形態では、前記化学薬品は、トリクロロ酢酸である。他の実施形態では、前記化学薬品は、アスコルビン酸である。他の実施形態では、前記化学薬品は、当該技術分野で公知の他の化学薬品である。
【0147】
他の実施形態では、表皮外傷が、本発明の方法に用いられる。
【0148】
表皮崩壊、剥離及び外傷の各種類は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0149】
一実施形態では、「WIHN」は、上皮層の破壊によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、剥離によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、創傷形成によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、上皮層を破壊した後、中立表皮細胞のHF細胞への分化を促進する化合物または因子を投与することによって引き起こされたHF再生を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0150】
他の実施形態では、本発明の方法の表皮の破壊は、少なくとも約1〜1.5cmの幅の剥離を形成する。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約1cmである。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約1.5cmである。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約2cmである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0151】
他の実施形態では、本発明の方法の切除創傷は、手術で縫合されない。他の実施形態では、前記切除創傷は、二次的治癒によって治癒される。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、表皮破壊の後、絆創膏または包帯と接触されない。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、表皮破壊の後、軟膏と接触されない。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、治癒を促進するために剥離または創傷形成に通常使用される物質、デバイス、軟膏などと接触させない状態で、一定期間に渡って治癒させる。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、剥離または創傷の感染を防止するために、剥離または創傷形成に通常使用される物質、デバイス、軟膏などと接触させない状態で、一定期間に渡って治癒させる。他の実施形態では、「一定期間」は、表皮破壊の治癒に要する時間である。他の実施形態では、前記一定期間は、2日〜3週間の任意の時間長さまたは範囲の期間である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0152】
一実施形態では、「後(following)」は、約2日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約3日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約4日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約5日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約7日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約10日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約2週間後を意味する。一実施形態では、「後」は、約3週間後を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0153】
他の実施形態では、本発明の方法は、皮膚における発毛すなわち毛包形成が所望される領域を除毛するステップをさらに含む。一実施形態では、前記除毛するステップは、前記表皮破壊ステップの前に行われる。
【0154】
他の実施形態では、除毛は、脱毛(epilation)である。他の実施形態では、除毛は、ワックス脱毛するステップを含む。他の実施形態では、除毛は、プラッキング(plucking)するステップを含む。他の実施形態では、除毛は、研磨材の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、レーザーの使用を含む。他の実施形態では、除毛は、電気分解の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、機械装置の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、チオグリコール酸の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、当該技術分野で公知の他の除毛または脱毛方法の使用を含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0155】
他の実施形態では、前記追加的ステップ(除毛またはレチノイドの投与)は、表皮を破壊するステップの前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、表皮を破壊するステップの後、かつ本発明の化合物または因子を添加する前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、分化を促進する化合物または因子の添加と同時に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、分化を促進する化合物または因子を添加した後に行われる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0156】
他の実施形態では、本発明の方法は、対象とする皮膚領域に、局所レチノイドを投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記局所レチノイドは、対象とする皮膚領域における休止中(休止期)のHFを成長期に誘導する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0157】
他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2日〜約3週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約3日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約4日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約1週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約10日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約3週間前に行われる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0158】
一実施形態では、本発明の方法は、アンドロゲンのアンタゴニストまたはアンドロゲン受容体のアンタゴニストを投与するステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、5α還元酵素II型阻害剤を投与するステップをさらに含む。
【0159】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、抗アンドロゲン化合物を接触させるステップをさらに含む。一実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フィナステライドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フルリジル(Fluridil)(登録商標)である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、デュタステライドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、スピロノラクトンである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、酢酸シプロテロンである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、ビカルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、ニルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、アンドロゲン受容体の阻害剤である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、当該技術分野で公知の他の抗アンドロゲン化合物である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0160】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン化合物を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン受容体アゴニストを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン類似体を接触させるステップをさらに含む。一実施形態では、前記エストロゲン類似体は、エストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、17βエストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、17αエストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、ZYC3である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物、エストロゲン受容体アゴニスト、またはエストロゲン類似体は、当該技術分野で公知の他の抗アンドロゲン化合物、エストロゲン受容体アゴニスト、またはエストロゲン類似体である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0161】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFタンパク質の阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFRの阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFタンパク質またはEGFRの発現を減少させる化合物を接触させるステップをさらに含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0162】
他の実施形態では、EGFまたはEGF受容体の阻害剤は、パニツムマブ(panitumumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、AG1478である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ニモツズマブ(nimotuzumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、EGFまたはEGFRと結合する抗体である。他の実施形態では、前記阻害剤は、HuMax EGFR(登録商標)(Genmab, Copenhagen, Denmark)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、セツキシマブ(cetuximab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、IMC 11F8である。他の実施形態では、前記阻害剤は、マツズマブ(matuzumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、SC 100である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ALT 110である。他の実施形態では、前記阻害剤は、PX 1032である。他の実施形態では、前記阻害剤は、BMS 599626である。他の実施形態では、前記阻害剤は、MDX 214である。他の実施形態では、前記阻害剤は、PX 1041である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGF受容体の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0163】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGF受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害する阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、前記阻害剤は、ゲフィチニブ(gefitinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、エルロチニブ(erlotinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、カナーニチブ(canertinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、レフルノミド(leflunomide)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、A77 1726である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ペリニチブ(pelitinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ZD 1839である。他の実施形態では、前記阻害剤は、CL 387785である。他の実施形態では、前記阻害剤は、EKI 785である。他の実施形態では、前記阻害剤は、バンデタニブ(vandetanib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他のEGF受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0164】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFまたはEGF受容体のアンタゴニストを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、ポテト(PCI)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体に由来するカルボキシペプチダーゼ阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、スプラウティ(Sprouty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、アルゴス(Argos)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、レフティ(lefty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRを識別する抗体またはその断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRと結合してその活性を減少させる小分子阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、CRM197である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、IMC−C225(ImClone Systems, New York, NY)である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGFRのアンタゴニストである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0165】
他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、ポテト(PCI)タンパク質由来のカルボキシペプチダーゼ阻害剤またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、スプラウティ(Sprouty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、アルゴス(Argos)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、レフティ(lefty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRを識別する抗体またはその断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRと結合してその活性を減少させる小分子阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、CRM197である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、IMC−C225(ImClone Systems, New York, NY)である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGFRのアンタゴニストである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0166】
本発明の方法及び組成物の前記EGFRは、他の実施形態では、次の配列を有する。
【0167】
MRPSGTAGAALLALLAALCPASRALEEKKVCQGTSNKLTQLGTFEDHFLSLQRMFNNCEVVLGNLEITYVQRNYDLSFLKTIQEVAGYVLIALNTVERIPLENLQIIRGNMYYENSYALAVLSNYDANKTGLKELPMRNLQEILHGAVRFSNNPALCNVESIQWRDIVSSDFLSNMSMDFQNHLGSCQKCDPSCPNGSCWGAGEENCQKLTKIICAQQCSGRCRGKSPSDCCHNQCAAGCTGPRESDCLVCRKFRDEATCKDTCPPLMLYNPTTYQMDVNPEGKYSFGATCVKKCPRNYVVTDHGSCVRACGADSYEMEEDGVRKCKKCEGPCRKVCNGIGIGEFKDSLSINATNIKHFKNCTSISGDLHILPVAFRGDSFTHTPPLDPQELDILKTVKEITGFLLIQAWPENRTDLHAFENLEIIRGRTKQHGQFSLAVVSLNITSLGLRSLKEISDGDVIISGNKNLCYANTINWKKLFGTSGQKTKIISNRGENSCKATGQVCHALCSPEGCWGPEPRDCVSCRNVSRGRECVDKCNLLEGEPREFVENSECIQCHPECLPQAMNITCTGRGPDNCIQCAHYIDGPHCVKTCPAGVMGENNTLVWKYADAGHVCHLCHPNCTYGCTGPGLEGCPTNGPKIPSIATGMVGALLLLLVVALGIGLFMRRRHIVRKRTLRRLLQERELVEPLTPSGEAPNQALLRILKETEFKKIKVLGSGAFGTVYKGLWIPEGEKVKIPVAIKELREATSPKANKEILDEAYVMASVDNPHVCRLLGICLTSTVQLITQLMPFGCLLDYVREHKDNIGSQYLLNWCVQIAKGMNYLEDRRLVHRDLAARNVLVKTPQHVKITDFGLAKLLGAEEKEYHAEGGKVPIKWMALESILHRIYTHQSDVWSYGVTVWELMTFGSKPYDGIPASEISSILEKGERLPQPPICTIDVYMIMVKCWMIDADSRPKFRELIIEFSKMARDPQRYLVIQGDERMHLPSPTDSNFYRALMDEEDMDDVVDADEYLIPQQGFFSSPSTSRTPLLSSLSATSNNSTVACIDRNGLQSCPIKEDSFLQRYSSDPTGALTEDSIDDTFLPVPEYINQSVPKRPAGSVQNPVYHNQPLNPAPSRDPHYQDPHSTAVGNPEYLNTVQPTCVNSTFDSPAHWAQKGSHQISLDNPDYQQDFFPKEAKPNGIFKGSTAENAEYLRVAPQSSEFIGA(遺伝子バンクアクセス番号:NM_005228;配列ID番号:8)。他の実施形態では、EGFRは、遺伝子バンク登録番号:NM_201282、NM_201283、NM_201284、BC094761、AF288738、AY588246、AY573061、X17054、AF125253、U48722、K03193及びAY698024に記載されている配列から選択された配列を有する。他の実施形態では、EGFRは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、EGFRの生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0168】
本発明の方法及び組成物の前記EGFは、他の実施形態では、次の配列を有する。
【0169】
MLLTLIILLPVVSKFSFVSLSAPQHWSCPEGTLAGNGNSTCVGPAPFLIFSHGNSIFRIDTEGTNYEQLVVDAGVSVIMDFHYNEKRIYWVDLERQLLQRVFLNGSRQERVCNIEKNVSGMAINWINEEVIWSNQQEGnTVTDMKGNNSHILLSALKYPANVAVDPVERFIFWSSEVAGSLYRADLDGVGVKALLETSEKITAVSLDVLDKRLFWIQYNREGSNSLICSCDYDGGSVHISKHPTQHNLFAMSLFGDRIFYSTWKMKTIWIANKHTGKDMVRINLHSSFVPLGELKVVHPLAQPKAEDDTWEPEQKLCKLRKGNCSSTVCGQDLQSHLCMCAEGYALSRDRKYCEDVNECAFWNHGCTLGCKNTPGSYYCTCPVGFVLLPDGKRCHQLVSCPRNVSECSHDCVLTSEGPLCFCPEGSVLERDGKTCSGCSSPDNGGCSQLCVPLSPVSWECDCFPGYDLQLDEKSCAASGPQPFLLFANSQDIRHMHFDGTDYGTLLSQQMGMVYALDHDPVENKIYFAHTALKWIERANMDGSQRERLIEEGVDVPEGLAVDWIGRRFYWTDRGKSLIGRSDLNGKRSKIITKENISQPRGIAVHPMAKRLFWTDTGINPRIESSSLQGLGRLVIASSDLIWPSGITIDFLTDKLYWCDAKQSVIEMANLDGSKRRRLTQNDVGHPFAVAVFEDYVWFSDWAMPSVIRVNKRTGKDRVRLQGSMLKPSSLVVVHPLAKPGADPCLYQNGGCEHICKKRLGTAWCSCREGFMKASDGKTCLALDGHQLLAGGEVDLKNQVTPLDILSKTRVSEDNITESQHMLVAEIMVSDQDDCAPVGCSMYARCISEGEDATCQCLKGFAGDGKLCSDIDECEMGVPVCPPASSKCINTEGGYVCRCSEGYQGDGIHCLDIDECQLGVHSCGENASCTNTEGGYTCMCAGRLSEPGLICPDSTPPPHLREDDHHYSVRNSDSECPLSHDGYCLHDGVCMYIEALDKYACNCVVGYIGERCQYRDLKWWELRHAGHGQQQKVIVVAVCVVVLVMLLLLSLWGAHYYRTQKLLSKNPKNPYEESSRDVRSRRPADTEDGMSSCPQPWFVVIKEHQDLKNGGQPVAGEDGQAADGSMQPTSWRQEPQLCGMGTEQGCWIPVSSDKGSCPQVMERSFHMPSYGTQTLEGGVEKPHSLLSANPLWQQRALDPPHQMELTQ(遺伝子バンクアクセス番号:NM_001963;配列ID番号:9)。他の実施形態では、EGFは、遺伝子バンク登録番号:BC093731、AY548762及びX04571に記載されている配列から選択された配列を有する。他の実施形態では、EGFは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、EGFの生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0170】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質をコードするヌクレオチドを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質の活性剤を接触させるステップをさらに含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0171】
一実施形態では、本発明の方法は、5α還元酵素II型阻害剤を投与するステップをさらに含む。5α還元酵素II型阻害剤は、一実施形態ではフィナステライドであり、他の実施形態ではツロステライド(turosteride)である。
【0172】
他の実施形態では、本発明の方法は、還元酵素阻害剤を投与するステップをさらに含む。還元酵素阻害剤は、一実施形態ではFCE二重阻害剤(一実施形態では、FCE 28260;FCE 28175またはFCE 27837)であり、他の実施形態ではMK阻害剤(一実施形態ではMK 0434、MK 0963またはMK 386)であり、他の実施形態ではFK非ステロイド性阻害剤(一実施形態ではFK 143)であり、他の実施形態ではLY非ステロイド性阻害剤(一実施形態ではLY 191704)であり、他の実施形態ではSK&F阻害剤(一実施形態ではSK&F 105657)である。
【0173】
他の実施形態では、本発明の方法は、追加の組成物を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記組成物は、デュタステライド(Dutasteride)(Avodart(登録商標)、GI198745)、ファイナステライド(Finasteride)(Propecia(登録商標)、Proscar(登録商標))、ツロステライド、アゼライン酸、硫酸亜鉛、CS 891またはそれらの組み合わせである。
【0174】
他の実施形態では、本発明の方法は、抗アンドロゲン剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記抗アンドロゲン剤は、スピロノラクトン(Spironolactone)(Aldactone(登録商標))、フルタミド(Spironolactone)(Euflex(登録商標)、Eulexin(登録商標))、カソデックス、イノコテロン、RUアンチアンドロゲン、TZP−4238、Win 49596、フルリジル(Eucapil(登録商標))またはそれらの組み合わせである。
【0175】
他の実施形態では、本発明の方法は、カリウムチャンネル開口剤(K+ Channel Opener)を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記カリウムチャンネル開口剤は、ミノシジル(Rogaine(登録商標))、ジアゾキシド、クロマカリム、ピナシジルまたはそれらの組み合わせである。
【0176】
他の実施形態では、本発明の方法は、血管拡張剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記血管拡張剤は、ミノシジル(Rogaine(登録商標))である。
【0177】
他の実施形態では、本発明の方法は、エストロゲン遮断剤(estrogen blocker)を投与するステップをさらに含む。前記エストロゲン遮断剤は、一実施形態では、ICIエストロゲン遮断剤である。
【0178】
本発明の方法の対象は、一実施形態ではヒトである。他の実施形態では、前記対象は齧歯動物であり、一実施形態ではマウス、他の実施形態ではラットである。他の実施形態では、前記対象は哺乳類である。他の実施形態では、前記対象は脊髄動物である。他の実施形態では、前記対象は、ネコ、イヌ、ヒツジまたはウシである。他の実施形態では、前記対象はオスである。他の実施形態では、前記対象はメスである。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野では公知の他の対象である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0179】
他の実施形態では、前記対象は大人である。一実施形態では、「大人」は、約18歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約20歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約25歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約30歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約35歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約40歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約45歳以上を意味する。
【0180】
他の実施形態では、前記対象は高齢者である。他の実施形態では、「高齢者」は、約45歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約50歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約55歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約60歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約65歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約70歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約75歳以上を意味する。
【0181】
他の実施形態では、前記第1の対象は、あるいは適用される場合は前記第1の対象と前記第2の対象の両方は実験動物である。他の実施形態では、前記対象はマウスである。他の実施形態では、前記対象はラットである。他の実施形態では、前記対象はアレチネズミ(gerbil)である。他の実施形態では、前記対象はハムスターである。他の実施形態では、前記対象はテンジクネズミ(guinea pig)である。他の実施形態では、前記対象は、ウサギである。他の実施形態では、前記対象はブタである。他の実施形態では、前記対象はイヌである。他の実施形態では、前記対象はネコである。他の実施形態では、前記対象は霊長類である。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野で公知の他の実験動物である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0182】
一実施形態では、前記対象に、FGF9(他の実施形態ではFGF9を含む組成物)を接触させる。他の実施形態では、FGF9またはFGF9を含む組成物が対象に投与される。
【0183】
ここで用いられる「接触」なる用語は、一実施形態では、頭皮や眉などに、化合物、因子、細胞などを接触させることを意味する。他の実施形態では、この用語は、化合物、因子、細胞などを、目標の皮膚領域に埋め込むことを意味する。他の実施形態では、この用語は、化合物、因子、細胞などを、目標の皮膚領域に注入することを意味する。他の実施形態では、この用語は、当該技術分野で公知の他の種類の接触を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0184】
他の実施形態では、本発明の方法における接触させるステップは、化合物、RNA、タンパク質などを目標の皮膚領域に直接的に接触させることを含む。他の実施形態では、本発明の方法における接触させるステップは、化合物、RNA、タンパク質などを対象の他の部位または組織に接触させた後、生物学的過程によって目標の皮膚領域へ移送するという間接的な接触を含む。前記生物学的過程としては、例えば、液体(血液、リンパ液、間質液など)内での循環、拡散、または能動輸送などがある。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0185】
一実施形態では、他の繊繊維芽細胞増殖因子を、本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10またはそれらの組み合わせを本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1〜FGF10の全てが、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に結合する。一実施形態では、FGF1は酸性繊維芽細胞増殖因子として知られており、FGF2は塩基性繊維芽細胞増殖因子として知られている。
【0186】
他の実施形態では、FGF1、FGF12、FGF13またはFGF14を本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1、FGF12、FGF13またはFGF14は、FGF相同因子1〜4(FHF1〜FHF4)として知られており、他の実施形態では、FGFに対して明確な機能的差異を有する。一実施形態では、これらの因子は、非常に似ている配列相同性を有しており、一実施形態では、FGFRに結合し、FGFとは無関係の細胞内プロセスに関与する。一実施形態では、このグループは、「iFGF」としても知られている。
【0187】
他の実施形態では、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22またはFGF23を本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF15/FGF19、FGF21及びFGF23は、局所性ではなく全身性の効果を有する。
【0188】
(医薬組成物)
【0189】
他の実施形態では、本発明の方法は、FGF9またはSHHの上方制御剤及び/またはその類似体、誘導体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、またはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含んでいる医薬組成物を投与するステップを含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0190】
FGF9またはSHHの上方制御剤を含んでいる前記医薬組成物は、他の実施形態では、例えば、局所的、非経口、側癌的(paracanceraly)、経粘膜的、経皮的、経筋肉的、経静脈的、経皮的、経皮下的、経表皮的、経腹膜的、経脳室的、経細動脈的、経脈管的、経膣的、経直腸的または経腫瘍的などの当業者に周知の方法によって対象に投与することができる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。一実施形態では、投薬計画は、熟練した臨床医によって、治療する疾患の正確な性質、疾患の重症度、患者の年齢及び全身的な身体状態、体重、及び個々の患者の反応に基づいて決定される。
【0191】
他の実施形態では、前記医薬組成物は経口投与される。そのため、前記医薬組成物は、経口投与に適した形態、すなわち固形及び液体製剤として製剤化される。適切な固形経口製剤としては、例えば、タブレット、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。適切な液体経口製剤としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などがある。本発明の一実施形態では、FGF9または本明細書中に示した他のポリペプチドの組成物は、カプセルの形態に製剤化される。他の実施形態では、本発明の組成物は、FGF9または本明細書中に示した他のポリペプチドに加えて不活性担体または希釈剤を含むか、あるいは硬ゲル化カプセルの形態に製剤化される。
【0192】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、身体表面に局所的に投与され、そのため、局所投与に適した形態に製剤化されている。適切な局所製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、滴剤、ペースト、パウダー、エアロゾルスプレー、スポンジ若しくは綿棒に含ませたシロップ若しくは軟膏、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、水中油エマルジョン、または油中水エマルジョンなどがある。投与が容易であるため、クリーム、ローションまたは軟膏は最も有利な局所投与単位形を示し、この場合、前記医薬組成物には液体の薬学的担体が用いられる。これらのクリーム、ローションまたは軟膏は、他の皮膚の洗浄若しくはケア用組成物と共に使用するために、リンスオフ製品(水で洗い流せる製品)かまたはリーブオン製品(皮膚上にそのままにしておくことができる製品)として作製される。好適な実施形態では、前記医薬組成物は、例えばゲルなどの高濃度の形態のリンスオフ製品として投与され、その後、皮膚への刺激を避けるために低濃度のリーブオン製品が投与される。本発明の医薬組成物を組み込んだ製剤を容易に作製することができるこれらの各形態は、当業者には良く理解できるであろう。一実施形態では、FGF9の投与に徐放パッチが使用される。局所投与するためには、FGF9組成物またはその生理学的に許容される派生物(例えば、塩、エステル、N酸化物など)が作製され、薬品担体を用いてまたは用いることなく、生理学的に認容されている希釈液中の溶液、懸濁液または乳濁液として塗布される。
【0193】
軟膏製剤は、使用される基剤(賦形剤)の種類に応じて、脂肪/油型軟膏、乳化軟膏、水溶性軟膏、及び懸濁化軟膏に大別される。軟膏は、例えば、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ワックス、樹脂、プラスチック、グリコール、高級アルコール、グリセロール、水、乳化剤、懸濁化剤、または、希釈剤、担体または賦形剤としての他の適切な添加物を含有し得る。軟膏の製造は、例えば、本発明の化合物を適切な希釈剤、担体または賦形剤に添加した後に互いに混合させ、均一な混合物を作製することを含む。
【0194】
非経口投与の場合、入手可能な滅菌溶液、特に油性または水性の溶液、並びに、懸濁液、乳濁液またはインプラント(座薬や浣腸剤など)などが特に好適である。アンプルは従来の単位剤形である。前記座薬は、本明細書中で説明した任意の物質を含有し得る。
【0195】
吸入投与の場合、適切な担体の存在下で混合し、エアロゾル化または噴霧化させた前記組成物の溶液または懸濁液が好適である。前記エアロゾルは、本明細書中で説明した任意の物質を含有し得る。
【0196】
経腸的投与の場合、タブレット、糖衣錠、液体、ドロップまたはカプセルが特に好適である。一実施形態では、経腸的投与用にシロップ剤、エリキシル剤などを使用する場合は、甘味賦形剤が用いられる。
【0197】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体としては、他の実施形態では、水性若しくは非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、または油がある。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び注入可能な有機エステル(オレイン酸エチルなど)がある。水性担体としては、他の実施形態では、水、アルコール性/水性溶液、乳濁液、または生理食塩水、緩衝化媒体を含む懸濁液がある。油の例としては、石油、動物性油、植物性油、または合成油がある(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0198】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、ペレットの皮下埋め込みにより投与される。他の実施形態では、前記ペレットは、長期間に渡るFGF9の制御放出を提供する。
【0199】
一実施形態では、前記医薬組成物は、制御放出組成物、すなわち投与後にFGF9組成物が長期間に渡って放出される組成物である。制御すなわち持続放出組成物は、他の実施形態では、脂溶性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)である。他の実施形態では、前記医薬組成物は、即時放出組成物、すなわち投与後にFGF9組成物が即座に放出される組成物である。持続放出または指定放出組成物を製剤化することができる。例えば、リポソームまたは前記活性化合物を、差動的に分解可能なコーティング、例えば、マイクロカプセル化や多層コーティングなどで保護したものである。また、新たな化合物を凍結乾燥させ、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射用製品の調製のために使用することも可能である。
【0200】
一実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に許容可能なものである。一実施形態では、「薬学的に許容可能な」なる用語は、安全であり、かつ本発明に使用される有効量の少なくとも1つの化合物の所望の投与経路に適切な送達を提供するいかなる製剤をも指す。該用語は緩衝製剤の使用も指し、この場合、pHは、化合物の安定性及び投与経路に従って、pH4.0からpH9.0の範囲の特定の所望の値に維持される。
【0201】
一実施形態では、本発明の方法において使用されるFGF9またはSHHの上方制御剤は、単独であるいは或る組成物内で投与することができる。別の実施形態では、従来の賦形剤、すなわち、活性化合物と有害に反応しない、非経口的、経腸的(例えば、経口的)、または局所適用に好適な薬学的に許容可能な有機または無機担体物質と混合させた、FGF9またはSHHの上方制御剤を含む組成物を使用することができる。一実施形態では、好適な薬学的に許容可能な担体には、これらに限定されないが、水、食塩水、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、白色パラフィン、グリセロール、アルギン酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。他の実施形態では、前記医薬調製物は滅菌することができ、所望に応じて、活性化合物と有害に反応しない、助剤(例えば、滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、香味剤及び/または芳香剤など)と混合させることができる。他の実施形態では、これらは、所望する場合、例えば、ビタミンといった他の活性薬剤と組み合わせることもできる。
【0202】
一実施形態では、本発明の治療用組成物は、FGF9組成物と、脱毛症などの皮膚疾患の予防または治療に有効な1以上の追加の化合物とを含む。一実施形態では、前記追加の化合物は、保湿剤または皮膚軟化剤であり、一実施形態では、ワセリン、白色ワセリン、硬化植物油、親水性ワセリン、パンテノール、月見草油、オメガ−3魚油、オメガ−6魚油、リノール酸、亜麻油、セラミド、ルリヂサ油(リノール酸)トコフェロール(ビタミンE)、リノール酸トコフェロール、ジメチコーン、グリセリンまたはそれらの組み合わせである。一実施形態では、保湿剤は、皮膚が他の投与された化合物、とりわけ、本発明に用いられる化合物を吸収する能力を向上させる。他の実施形態では、保湿剤は、皮膚が乾燥したりひび割れたりすることを最小限に抑えるかまたは予防し、遊離基を生成する環境因子に対する皮膚の感受性を低下させ、それにより、皮膚に対する追加的なダメージを防止する。
【0203】
他の実施形態では、前記追加の化合物は、局所性ステロイド(一実施形態ではヒドロコルチゾンであり、一実施形態では1%のヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾンまたはトリアムシノロン・アセトニドあるいはそれらの組み合わせ)、経口ステロイド、局所性免疫刺激剤(とりわけ、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンまたはそれらの組み合わせ)、抗ヒスタミン剤(一実施形態では、ヒドロキシジンまたは塩酸ジフェンヒドラミン)、ケトチフェン、ドクサピン、一実施形態では、アメビブ(アレファセプト)、エンブレル、ヒュミラ、ラプティバ、レミケードまたはそれらの組み合わせを含む生物製剤、あるいはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は抗生物質であり、一実施形態では、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロキサシリン、セファレキシン、ペニシリン、クリンダマイシンまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、メトトレキサート、タール、コールタール、アントラリン、ドボネックス、サリチル酸、タゾラック、湿潤剤、アロエ、ソリアタン、アキュタン、ハイドラ、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニンまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、一実施形態ではヘルペス性湿疹の患者に特に有効であるアシクロビルを含む。一実施形態では、脂漏性皮膚炎を治療するための追加の化合物は、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、硫黄、タールシャンプー、フルオシノロンアセトニド溶液、トリアムシノロンアセトニド溶液、ケトコナゾールクリームまたはそれらの組み合わせを含む。
【0204】
他の実施形態では、前記追加の化合物は抗炎症薬であり、一実施形態では、アリピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンまたはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は、プロスタグランジンまたはプロスタグランジン阻害剤であり、一実施形態では、PGD2の阻害剤である。
【0205】
他の実施形態では、前記追加の化合物はエクスフォリアントであり、一実施形態では、酵素的エクスフォリアントまたはモノ若しくはポリヒドロキシ酸である。一実施形態では、前記エクスフォリアントは、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、タンニン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は、鎮痛剤または麻酔剤であり、他の実施形態では、前記追加の化合物は、アロエゲル、アロエ、甘草エキス、パイルウォート(pilewort)、カナダ柳の根、亜鉛、アラントインまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、抗酸化剤である。
【0206】
ある実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、10ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、20ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、40ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、80ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、5ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、3ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1〜50ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1〜15ng/mLの濃度で投与される。各投与量は、別個の実施形態に相当する。
【0207】
一般的に、上述した目的に用いられる投与量は様々であり得るが、所望の効果を発揮するための有効量で用いられる。ここで使用される「薬学的な有効量」なる用語は、患者の症状を軽減するかまたは他の所望の表現形をもたらすための、FGF9または本発明に使用される他の組成物の量を指す。上述の目的のいずれかに用いられる前記投与量は、一般的に、身体体重の1〜1000mg/kgであり得、一日当たり1〜4回投与されるか、あるいは持続的静脈注入によって投与される。一実施形態では、上述した疾患のための単回投与または分割投与における局所的な1日用量の範囲は、約1mg〜20,000mg、より好ましくは約2,000mg〜16,000mg、最も好ましくは約6,000mg〜10,000mgの活性成分(すなわち、賦形剤及び担体を除く量)である。前記組成物が局所にまたは眼球内に投与される場合、前記組成物は一般的に、0.1〜約10w/vの範囲の濃度で1日あたり1〜4回投与される。一実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、1日2回局所的に投与される。
【0208】
本発明の一実施形態では、前記化合物の濃度は、治療する疾患の性質、患者の状態、投与経路、及び前記組成物の個々の忍容性などの様々な因子に左右される。
【0209】
一実施形態では、前記投与ステップは、局所投与により行われる。他の実施形態では、前記投与ステップは、皮下投与により行われる。
【0210】
一実施形態では、本発明の方法の一部として投与される前記化合物は、全身的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、局所的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、表皮下に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、皮下に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、経皮的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、剥離部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、創傷が誘導された部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、脱毛部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、創傷治癒中に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、HF再生の前に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、HF再生中に投与される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0211】
一実施形態では、前記投与経路は、脱毛症の影響を受けた器官または系に向けられる。例えば、化合物は、脱毛症などの皮膚疾患を治療するために局所的に投与される。他の実施形態では、投与経路は、脱毛症の影響を受けた器官または系以外の器官または系に向けられる。例えば、化合物は、脱毛症などの皮膚疾患を治療するために、非経口で投与される。このようにして、本発明は、FGF9または本発明に使用される他の組成物を、上記に列挙した経路のいずれかを用いて投与するのに好適な様々な投与形態で提供する。
【0212】
一実施形態では、化合物を試験する本発明の方法は、統計的に有意なサンプルが試験されるまで、複数の対象を用いて繰り返される。
【0213】
一実施形態では、FGF9は、胚組織における毛芽形成を増加させるが、毛芽形成に必須ではない。一実施形態では、FGF9は、表皮破壊後の成体組織における毛包形成及び/または大きさ増大に必須である。
【0214】
一実施形態では、胚毛芽形成のためのまたは創傷誘導性の毛包再生のためのシグナル伝達経路は、1以上の構成要素を共有する。他の実施形態では、胚毛芽形成のためのまたは創傷誘導性の毛包再生のためのシグナル伝達経路は、同一ではない。したがって、一実施形態では、FGF9は、WIHFにおける毛包形成に必須であるが、ED13.5中は必須ではない。
【0215】
他の実施形態では、発毛信号のためのシグナル伝達経路は、身体の互いに異なる部分において互いに異なる。したがって、一実施形態では、胚毛芽形成及び創傷誘導性の毛包再生は、それらの各々の成長段階及び身体における位置の違いに起因して、それらのFGFに対する依存に応じて互いに異なる。
【0216】
一実施形態では、FGF9と創傷治癒との組み合わせは、発毛促進剤としての効果を高める。一実施形態では、FGFのみの適用により、表皮肥厚が引き起こされる。
【0217】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するためまたは毛包を再生させるための方法であって、前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、該方法は、ガンマ・デルタT細胞を創傷表皮に補充するステップをさらに含む。例示的な方法では、該方法は、サイトカインを介してガンマ・デルタT細胞を創傷表皮に補充するステップをさらに含む。
【実施例】
【0218】
実験の詳細
【0219】
<除毛及び表皮剥離>
【0220】
背部を毛刈りしてNair(Carter-Wallace, New York, NY)で除毛する前のマウスに、ペントバルビタールナトリウムを注射して麻酔した。その後、「Argyris T, J Invest Dermatol, 75: 360-362, 1980」に開示されているようにして、回転フェルトホイールを使用して表皮を除去した。70%エタノールで洗浄して白熱ランプ下で乾燥させた後、Dremel Moto-tool(Racine, WI)上に設置されたフェルトホイールで、毛包間表皮の(1.5cm)2cmの領域における基底層及び基底上層を慎重に剥離して除去した。剥離後、皮膚はつやがあり滑らかで、出血は見られなかった。1日後、剥離した領域はフィブリンのかさぶたで覆われていた。かさぶたは3〜7日後に剥がれ落ち、新たに再生された表皮が露出した。毛包間表皮が完全に除去されているかどうかを顕微鏡で確認するために、表皮剥離の直後に対照マウス群を屠殺した。
【0221】
<穿孔創及び切除創の形成>
【0222】
21日齢のマウスの背部を、実施例1で説明するようにして除毛し、アルコールで消毒し、続いて1%ヨード溶液で消毒した。皮膚生検パンチを使用して、筋膜までの(筋膜は穿通しない)直径4mmの穿孔創を形成した。切除創は、全層に渡っており、その直径は1cmであった。先端の尖った手術用ハサミを使用して皮膚及び皮筋を切除した。
【0223】
<免疫組織化学>
【0224】
皮膚サンプルを、PBS緩衝10%ホルマリンで固定した。厚さ6ミクロンのパラフィン切片を切断し、(該当する場合は)抗体で染色した。
【0225】
<ホールマウント及び免疫蛍光法>
【0226】
新鮮な皮膚をEDTA(20mM PBS)を使用して37℃で一晩培養し、その後、表皮及び真皮を分離することでHFのホールマウント(whole mount)を得た。次に、表皮を室温(RT)で10分間、10%ホルマリンで固定した。真皮を室温で一晩、アセトン固定した。PBSで洗浄した後に、免疫組織化学の抗体でホールマウントを染色し(図12に模式的に示す)、Leica共焦点顕微鏡を使用して撮像した。
【0227】
<統計>
【0228】
毛包数は、平均±標準偏差で表す。Excelのスチューデント両側t検定機能を用いてP値を計算した。
【0229】
<胎児マウスの皮膚の培養プロトコル>
【0230】
以下の材料、すなわち、センターウェルディッシュ(Fisher 08-772-12);金属グリッド(Goodfellow 688-485-21);ニトロセルロースフィルタ(Millipore AABP04700);培地:DMEM+5%FBS+1×Pen/Strepを用いた。
【0231】
妊娠13.5日目のタイミング妊娠(timed pregnant)母マウス(Charles-River)を発注した。2ml培地/ディッシュを備えるセンターウェルディッシュを用意した。センターウェル内に金属グリッドをセットした。培地が37℃まで温められるようにディッシュをインキュベータへ格納した。ニトロセルロースフィルタを複数の矩形に切断し、熱板上のdH2Oビーカーに入れた。水を沸騰させて、その後、フィルタを10分間煮沸消毒した。
【0232】
2枚の無菌PBS添加ペトリディッシュを準備した。母マウスを安楽死させ、嚢に入っている胎児を解剖して取り出した。胎児を1枚のペトリディッシュ内に載置した。胎児を嚢から解剖して取り出し、無菌PBSを含んでいる別の無菌の添加ペトリディッシュ内に載置した。胎児のディッシュを氷上に載置した。無菌PBSを含んでいる無菌のペトリディッシュ中で、手術用顕微鏡下で、胎児から背部の皮膚を解剖して取り出した。
【0233】
定規を使用して胎児の頭殿長をチェックし、E13.5段階(〜10−10.3mm)にあることを確認した。ミクロ解剖用ハサミを使用して、胎児の頭を取り除いた。より小さなミクロ解剖用ハサミを使用して、体肢上で背部の両側に沿って切開した。尾部の前方で背部を横断する第3の切開を行った。先端の尖ったDumontピンセットを使用して、尾部から頭に向かって皮膚を剥がした。皮膚を、ニトロセルロースフィルタの黒い面に、できるだけ平らに置いた。皮膚が液体と空気の界面にくるように、ニトロセルロースフィルタを金属グリッド上に載置した。ディッシュを37℃で培養した。全ての皮膚を解剖したとき、化合物を培地に加え(必要であれば)、インキュベータに戻した。皮膚を最長で3日間培養した。プラコードが、E14.5に形成され始めた。
【0234】
実施例1:毛芽形成の前期に発現されるFGF9
【0235】
再生された表皮におけるFGF9 mRNA発現を、定量的リアルタイムPCRによって評価した。FGF9は、毛包が形成されたかさぶた剥離後5日目と比較して、かさぶた剥離(scab detachment:SD。再上皮化時に起こる)後1日目の毛包再生の最初期段階前に、より高いレベルで発現された(図1)。皮膚γδT細胞(γδTC受容体に対する抗体を用いて免疫染色によって検出される)はSD7までに再上皮化された表皮を再配置し(図2の左の図)、これらの細胞はSD1にFGF9タンパク質を発現する(表皮における赤い樹状細胞,図2の右の図及び図3)。
【0236】
このように、FGF9は、分化中ではなく毛芽形成前(未分化期間中)に選択的に発現された。皮膚γδT細胞は、FGF9のソースであるように見え、このことは、炎症細胞が創傷誘導性毛包再生(Wound-induced hair follicle neogenesis:WIHN)に関与し得ることを示唆している。
【0237】
実施例2:胎生14日目(E14)の皮膚において発現されるFGF9
【0238】
FGF9(赤色染色)は、胎生14日目(E14)の皮膚においてγδTC(緑色染色)によって発現される(図4)。
【0239】
実施例3:FGF9は創傷誘導性毛包再生(WIHN)に関与する
【0240】
成体マウスにおける抗FGF9中和実験
【0241】
3週齢(成体)のC57BL/6マウスに、上記したような創傷モデルを適用した。その後、SD1−SD4日目に、マウスに、50μlの10μg/mlの抗FGF9またはIgG2aアイソタイプ対照を表皮下注射した。SD5に、組織サンプルを採取し、分析した。
【0242】
免疫ブロットを用いて、抗FGF9中和抗体の特異性を確認した。マウスFGF9は、198bpを有し、ヒトFGF9との99%以上の相同性を有している(アミノ酸が1つしか違っていない)。FGF9は、単量体形(25−27kd)及び二量体形の両者に存在する。免疫ブロットは、E14.5マウス胎児の全細胞溶解液及び遺伝子組換えhFGF9を含む対照サンプルにおいて、26Kd単量体形及び52Kd二量体形の両者が存在することを示していた(図5)。
【0243】
抗FGF9抗体を注射されたマウスは、SD5に、IgG2a対照と比べると、毛包数がかなり少なかった(図6)。それゆえ、FGF9は、創傷誘導性毛包再生に関与している。
【0244】
毛包の発達段階を、「Paus R et al., J Invest Dermatol 1999」に記載されているようにして定量化した。抗FGF9処理群において、成熟毛包は減少し、未成熟毛包は増加した(図7)。
【0245】
実施例4:FGF9は胎児の皮膚発生に関与する
【0246】
予定妊娠C57BL/6マウスをE13.5に屠殺し、胎児の背部全体の皮膚を解剖した。E13.5の皮膚を、金属グリッドを有するろ紙上で3日間浮遊させた状態で培養した。
【0247】
胎児の皮膚での毛包再生におけるFGF9の役割を究明するために、胎児の皮膚外植片培養を、遺伝子組換えヒト(rh)FGF9(対照:10、20または40ng/mL)によって、あるいは抗FGF9中和抗体(対照:10、20または40μg/mL)またはIgG2aアイソタイプ対照(10、20、40μg/mL)によって、3日間処理した。真皮免疫染色にはアルカリホスファターゼ(AP)を用い(図10)、表皮免疫染色にはK17を用いた(図12)。
【0248】
1サンプル当たり3つの別々の領域で毛芽数を数え、1mm2当たりで評価した(図8)。24時間のrhFGF9処理後に、Shh、Ptchl、Ptch2、GIi1及びGli2に対するq−PCRを行った。
【0249】
<リアルタイムPCRプロトコル>
【0250】
次の材料を使用した。RNeasy(登録商標)線維組織ミニキット(Qiagen,74704);大容量(High capacity)cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,P/N 4368814);Taqman(登録商標)Fast universal PCR master mix(2X)(Applied Biosystems,P/N 4352042);Applied Biosystems StepOne(商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,P/N 4376373);Micro Amp(商標)48ウェル光学用粘着フィルム(Applied Biosystems, P/N 4375928);MicroAmp(商標)48ウェル反応プレート(Applied Biosystems, P/N 4375816)。
【0251】
下記のPCRプライマーを使用した(Applied Biosystems, Taqman(登録商標)遺伝子発現アッセイ)。
【0252】
【表1】
【0253】
<培養した胎児の皮膚サンプルを用いたq−PCRのためのプロトコル>
【0254】
胎児の皮膚培養:E13.5のタイミング妊娠B57BL/6メスマウス(Charles-River)をCO2チャンバ内で安楽死させた。胎児を解剖して取り出し、氷上の無菌冷PBSに入れた。
【0255】
準備:ミリポア社のニトロセルロースメンブレン(0.5×1.0cm2);オートクレーブ金属グリッド;培養ディッシュ(Falconセンターウェル器官培養ディッシュ,35-3037);5%FBS−DMEM(1×ペニシリン/ストレプトマイシン,必ずしもFBSを不活性化させる必要はない)。
【0256】
個々の培養ディッシュ上に、2.5mLの培地を加え、金属網及びニトロセルロースメンブレンをセットした。胎児の背部皮膚を解剖した。頭及び臀部領域を切除した。解剖は、側腹部を貫いて尾頭方向に行った。解剖した背部皮膚を(真皮側を下にして)ミリポア社のメンブレン上に載せた。各濃度に必要とされるサンプルを3つ作製した。皮膚サンプルを5%CO2中で37℃で24時間培養した。
【0257】
RNAの単離及びcDNAの作製
【0258】
皮膚サンプルを20mMのEDTA中で10分間培養した。解剖顕微鏡下で先端の尖ったピンセットを使用して表皮と真皮をそれぞれ分離した。
【0259】
ホモジナイザーを使用してサンプルをバラバラにし、RNeasy(登録商標)線維組織ミニキット(Qiagen, 74704)を使用してメーカーの情報に従って全RNAを抽出した。
【0260】
RNA濃度を分光光度計によって測定し、その後、サーマルサイクラー内のプログラムとともに大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,P/N 4368814)を使用して1μgの全RNAをcDNAに変換した。
【0261】
リアルタイムPCR
【0262】
PCR実行プログラムをセットアップし、StepOneソフトウェアを使用して比較Ct(ΔΔCt)法により反応プレート配置を決めた。標的遺伝子及びβアクチン内在性対照の反応混合物を合わせて3つ作製した。cDNAテンプレートを原液から最終的に2μl中に30−50ngの全cDNA量まで希釈した。
【0263】
反応混合物成分
【0264】
【数1】
【0265】
2.反応プレートを作製する:48ウェル反応プレートに20μl/ウェルの反応体積を加える。プレートは、光学用粘着フィルムで密封する。
【0266】
3.プレートをStepOne機器に装填し、プログラミングされた反応を開始する。
【0267】
4.StepOneソフトウェアを使用して結果を分析し、遺伝子発現の相対的定量データを得る。
【0268】
胎児の皮膚外植片培養(E13.5)の真皮における3日間にわたるrhFGF9処理の効果は投与量依存的であり、10ng/mL及び20ng/mlの投与量は毛芽数/mm2の増加をもたらすが、40ng/mLの投与量は毛芽数/mm2の減少をもたらした(図9〜図10)。その一方で、胎児の皮膚外植片培養(E13.5;図11〜図13)の表皮または真皮における3日間にわたる抗FGF9中和抗体処理の識別可能な効果はなかった。
【0269】
E13.5胎児の皮膚外植片培養を10ng/mLのrhFGF9で24時間処理した結果、ソニック・ヘッジホグ(sonic hedgehog:Shh)、Ptchl、Ptch2及びGIi1を含む胎児の毛包発生のマーカが、特に表皮において増加した(図14〜図15)。
【0270】
線維芽細胞増殖因子9は、治癒後に創傷に注射されると、毛包形成を増加させる。これは、新たな毛包が形成する直前及び最中である。FGF9は、培養物に外植された胎児のマウス皮膚を用いることによって、毛包発生中にも毛包形成を増加させる。これらの発見は、創傷は表皮を外因性因子に応答する「受容可能」状態に変換するという考えをサポートする。
【0271】
実施例5:基底ケラチノサイトにおけるFGF9の過剰発現
【0272】
機能獲得型変異体TRE−fgf9−IRES−eGfp;K5−rtTA(xPtchl−LacZレポーター)(「White et al., Development 133, 1507-1517, 2006」;「Diamond, et al. (2000) J. Invest. Dermatol. 115,788 -794」,両文献は引用を以て本明細書の一部となす)を用いて、毛再生段階における早期FGF9発現が毛包発生を増進することを立証し、FGF9がShhシグナリングの上流にあることを確認する。
【0273】
実施例6:γδT細胞におけるFGF9発現の欠損
【0274】
γδT細胞におけるFGF9発現の欠損は、T細胞標的Lck−Creプロモータを用いてFGF9を選択的に欠損させるために、機能欠失型変異体FGF9 flox/flox;Lck−Creを用いて達成される。Lck−Creは、二重陰性段階での胸腺細胞発生の早期に先ず発現されるLck(リンパ球タンパク質チロシンキナーゼ)遺伝子の近位プロモータを用いる。T細胞が完全に成熟した後、この導入遺伝子の発現レベルは約10倍低下する。この特定のマウス遺伝子は、胸腺における高度な導入遺伝子の発現を示しており、ほぼ全ての初期胸腺細胞においてloxP標的配列に隣接する遺伝子の選択的な欠損をもたらすことが分かっており、それゆえ、二重陰性段階から始まるT細胞系列における特定の遺伝子の欠損に用いられる。ホモ接合Lck−Creマウス系統を、loxPが導入されたFGF9を含む系統と交雑させるので、T細胞系列においてFGF9が欠損した子孫が得られる。対照動物は、ゲノムDNA尾部サンプル中におけるloxPが導入された遺伝子の有無で分類することによって、同腹仔集団において得られる。このシステムについては、「Lee et al., Immunity Nov 2001:15(5) 763-74」により詳細に記載されており、該文献は引用を以て本明細書の一部となす。
【0275】
実施例7:K17−EGFPレポーターマウス
【0276】
新たに発生している毛芽の周りのFGF9産生γδT細胞の蓄積を確認するために、K17−eGFPレポーターマウス(「Bianchi et al., MoI Cell Biol., 2005 August; 25(16): 7249- 7259」、引用を以て本明細書の一部となす)を用いる。
【0277】
実施例8:FGF9は表皮γδT細胞を介して毛包再生を仲介する
【0278】
創傷治癒中の毛包再生に関与する分子メカニズムを理解することは、除毛及び他の皮膚疾患のための新たな治療法を開発する機会をもたらす。ここで、線維芽細胞増殖因子9(Fgf9)が成体マウスの創傷後の毛包形成を調節することがはっきりと示されている。新たに形成された創傷表皮におけるFgf9の強制過剰発現は、ネオジェニック(neogenic)毛包数の2〜3倍の増加をもたらす。注目すべきことには、正常マウスの創傷治癒中に、表皮に存在するγδT細胞が、Fgf9のための主なソースとして働く。Lck−Cre;loxPが導入されたfgf9トランスジェニックマウスを用いたT細胞におけるFgf9遺伝子の特異的欠損は、創傷後の毛包再生の顕著な減少をもたらす。同様に、γδT細胞欠損マウスは、毛包再生の重度障害を示す。全体的に見て、これらの発見は、ヒトと比べのマウスにおける毛包再生のロバスト性を説明し、免疫系と組織再生の重要な関係を浮き彫りにする。
【0279】
材料及び方法:
【0280】
マウス及び創傷。C57BL/6Jマウス(Jackson laboratory)背部皮膚の全層切除(FTE)を、前述したように(1)、ケタミン/ジラジン(zylazine)麻酔下で行った。特に指定のない限り、全ての実験に対して3週齢のマウスを用い、1x1cm2FTEを行った。妊娠13.5日目のタイミング妊娠C57BL/6メスマウス(Charles-River)を、胎児の皮膚外植片培養に利用した。ドキシサイクリン感受性トランス活性化因子を内部に持つK14−rtTAマウスを、TRE−Fgf−IRES−eGfpマウスと交配させた。完全な再上皮化の後、K14−rtTA及びK14rtTA/TRE−Fgf9の両マウスにDox入りの餌(Bio-SERV)を4日間与えた。γδT細胞におけるFGF9発現の欠損は、リンパ球タンパク質チロシンキナーゼ(lck)のT細胞を標的とした近位プロモータを有するLck−Creマウス(Jackson Laboratory)と交配させたFgf9 flox/floxマウスを用いて達成した。Jackson LaboratoryからγδT細胞ヌルマウス(Tcrd−/−)を購入した。全ての動物プロトコルは、ペンシルバニア大学のIACUCによって承認されたものである。
【0281】
ホールマウント毛包再生アッセイ。再上皮化後5日目に、治癒した皮膚を採取した。表皮KRT17免疫染色(1:5000,P. Coulombe)のためのホールマウント毛包再生アッセイ及び真皮NBT/BCIP培養を行い、前述したように創傷領域内の新たな毛芽及び頭髪毛乳頭を同定した。
【0282】
リアルタイムPCR。背部の皮膚はそれぞれ、再上皮化(SD)後のかさぶた剥離後0日目のサンプルまたは1日目、3日目及び5日目の創傷皮膚であった。4℃ディスパーゼで一晩、または37℃、20mMのEDTAで30分間の培養によって、表皮を真皮から分離した。RNeasyミニキット(Qiagen)を使用してRNAを単離し、その後、大容量cDNAキット(Applied Biosystems)を使用して1μgの全RNAをcDNAに変換した。Taqman遺伝子発現アッセイのfgf9を含む全てのプライマーセットは、Applied Biosystemsから購入したものである。反応を3回行い、内部対照としてβアクチンを用いて、相対的な発現レベルを標準化した。結果を、StepOneプログラムを使用して分析した。
【0283】
免疫染色。創傷後の再上皮化された皮膚をOCT(Tissue-Tek)に包理して凍結した。8μm凍結切片上でFGF9(1:200;R&Dシステムズ)及びγδTCR(1:100;GL3,BD Bioscience)に対する染色を行った。BrdU(1:500;Harlan-Seralab)に対する抗体を用いた免疫組織化学を、前述したように行った。パルスチェイス実験のために、サンプル作製の2時間前にBrdU(Sigma)を投与した。
【0284】
DETCの単離及び細胞の活性化。C57BL/6マウスから表皮細胞懸濁液を作製し、20U/mlの遺伝子組換えマウスIL−2(mIL−2)を含む完全DMEM中で37℃で一晩培養し、前述したように表面受容体を再発現させた。PE−γδTCR(GL3, Abeam)及びアロフィコシアニン−Thyl.2(BD Bioscience)染色によるFACS選別によって、DETCを単離した。単離したDETCは、RPMI−1640培地に、10%FCS、25mMのHEPES、100Uのペニシリン、100μgのストレプトマイシン、1mMのグルタミン、100μMの可欠アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、50μMの2−メルカプトエタノール及び20U/mlのmIL−2を補充したものの中で培養した。細胞刺激のために、FCS及びmIL−2を含まない無成長因子培地中で細胞を4時間収集し、その後、上述の培地に抗CD3ε(10μg/ml,eBioscience)を補充したものの中で37℃で4、24及び48時間培養した。氷冷PBSを加えることによって刺激を停止し、サンプルを氷上に載置した。上清を取り除き、溶解バッファを用いて細胞を採取した。遺伝子発現cells-to CT キット(Applied Biosystems)を使用してRNA単離及びそれに続くcDNA産生を行った。
【0285】
ホールマウント表皮γδT細胞染色。8週齢のC57BL/6Jマウスから耳を切り取り、前述したように表皮シートを分離した。表皮シートを、上記した無成長因子培地中または20U/mlのmIL−2を含む完全培地中で、37℃で一晩培養した。その後、表皮をPBS中で洗浄し、−20℃で20分間、氷冷アセトンで固定した。上記したγδTCR及びFGF9の一次抗体を4℃で一晩培養した。次の朝、シートを二次抗体で1時間培養し、シリコンコートされたスライド上にマウントした。
【0286】
インビトロ胎児皮膚培養。E13.5の胎児を嚢から解剖して取り出し、頭殿長をチェックして正確な発育年齢を確認した。背部の皮膚を解剖し、その後、前述したように最長で3日間培養した。遺伝子組換えヒトFGF9(0−20ng/ml,R&Dシステムズ)またはEDAl(50ng/ml,R&Dシステムズ)を陽性対照として培地に加えた。さらに、FGF9中和実験を抗FGF9抗体培養(0−40μg/ml;MAB273,R&Dシステムズ)と平行させた。皮膚サンプルを37℃で5分間20mMのEDTA中で培養することによって、表皮と真皮の分離を行った。組織を均質化し、RNAを単離するかまたは上述したようなホールマウントアッセイのために収集した。各サンプルの3つの異なる領域における1mm2当たりの毛包数を数え、平均値を計算した。
【0287】
成体マウスにおける中和実験。かさぶた剥離によって示される表皮の再上皮化は、FTE後10〜12日で完了した。完全な再上皮化後1日目に、50μlの抗FGF9中和抗体またはIgGアイソタイプ対照(MAB003)を、10μg/mlで、4日間連続で毎日表皮の真下に注射した。その後、5日目に組織を収集し、20mMのEDTA溶液を用いて表皮及び真皮を分離し、それぞれKRT17免疫染色及びアルカリホスファターゼ活性検出のために処理した。再生毛包の数を、表皮内の密度に対して特徴付けた。上述のように毛包の発達段階を定量化した。
【0288】
インビボ共焦点顕微鏡法。毛包再生の動的プロセスを追跡するために、新たに形成された毛包の数の変化を、インビボ共焦点顕微鏡法(Vivascope 1500, Lucid)を用いて定量化した。簡単に説明すれば、治癒した皮膚の周辺部位を毛刈りし、ケタミン/ジラジン麻酔下で粘着性窓(adhesive window)(Lucid)及び超音波伝達ジェル(Parker laboratory)を適用した。新たな毛包を可視化し、その数を表皮と真皮の結合部の真下の位置で数えることができた。再上皮化後2日目とその後2週間にわたって3日毎に数を測定した。
【0289】
<結果>
【0290】
創傷後、毛包再生前に、Fgf9発現は顕著に増加する:創傷後の毛包再生に関与する分子現象を明らかにするために、本願発明者は、再上皮化直後(かさぶた剥離「SD」後1日目及び3日目)から毛包再生の開始(SD5)までの創傷表皮における遺伝子発現を比較した。マイクロアレイ分析は、毛包胚形成前に線維芽細胞増殖因子9(Fgf9)が顕著に(4.2倍)上方制御されたことを示していた。本願発明者はさらに、再上皮化された表皮におけるFgf9遺伝子発現の変化を毛包再生時頃に定量的RT−PCRによって分析した(図16A)。Fgf9遺伝子発現は、再上皮化後、毛包再生の初期段階まで顕著に増加し、毛包再生の初期段階で発現は劇減した。これらの結果は、毛包再生の直前、おそらく細胞が毛包系列に関わっているときに、新たに形成された表皮において、FGF9が上方制御されることを示している。
【0291】
Fgfの阻害は、毛包再生を減少させる。Fgf9は、肺、腎臓及び生殖腺発育における既知の役割を有する分泌リガンドであるが、これまでは毛包の発生または再生に関係してはいなかった。それにもかかわらず、皮膚のFgf9に対する主受容体Fgr3bが、表皮において発現され、創傷後の再生皮膚において上方制御される。創傷後の毛包再生におけるFgf9の重要性に対処するために、本願発明者は、4日間毎日、Fgf9中和抗体を再上皮化された皮膚に注射した(図16b,表2)。抗Fgf9抗体で処理した創傷は、対照と比較して、新たな毛包形成の顕著な減少を示していた。抗FGF9で処理した創傷に形成しなかった毛包は、発生の発達段階にあった(図19)。
【0292】
新たな表皮におけるFgfの強制過剰発現は、毛包形成を増加させる。Fgf9を阻止することにより毛包再生が阻害されたので、本願発明者は、創傷におけるFgf9のレベルの増加が創傷後の毛包再生を促進することになるか否かの答えを探した。本願発明者は、ドキシサイクリン誘導性トランスジェニックマウス(K14rtTAx TRE−Fgf9−IRES−eGfp)を用いて、創傷再上皮化後に表皮へのFgf9発現を誘導的に標的にした。SD1からSD4までのドキシサイクリンの投与は、ドキシサイクリンで処理した対照マウスと比較して、Fgf9発現を150倍に増加させた(図20)。再上皮化後4日間にわたる表皮へのFgf9のこの標的過剰発現は、対照と比較して、毛包数の著しい増加をもたらした(図16c,表2)。
【0293】
【表2】
【0294】
Fgf9発現は、γδT細胞に限局化する。正常マウスの再上皮化された皮膚においてFgf9のソースを同定するために、HFN前に、治癒した皮膚の組織切片を免疫染色した。驚いたことに、本願発明者は、γδT細胞受容体を有している表皮T細胞(DETC)は、表皮を再配置するものであるが、Fgf9を発現することを発見した。DETCは、ケラチノサイトまたは他の上皮常在物からの寄与がほとんどまたは全くない状態で、表皮におけるFgf9の主なソースであるように見える(図17A)。FACSによって単離された基底ケラチノサイト(α6インテグリン陽性)からの以前の遺伝子発現データは、Fgf9発現がないことを示していた(NAT BIOTech paper)。さらにFgf9の起源を確認するために、本願発明者は、非創傷耳表皮をmIL−2で処理し、免疫蛍光法によってFgf9発現のためのホールマウントプレパラートを分析した。IL2誘導性DETCは抗FGF9抗体で濃く染色されたが、隣接するケラチノサイトは背景染色を呈した(図21)。
【0295】
FGF9が皮膚のDETCによって恒常的に発現されるかまたは刺激後に上方制御されるかを判定するため、前述したように皮膚から細胞選別によってDETCを単離し、抗CD3及びIL2によりインビトロで培養した(havren ref)。FGF9 mRNAレベルは、4時間以内に10倍以上増加し、続いて、24時間以内にベースラインレベルまで減少した(図17B)。この急速な上方制御は、創傷治癒中にDETCによって分泌されることが知られている2つの因子であるFGF7及びFGF10の発現に必要な、ずっと長い48時間の誘導期間と対照をなし、特徴的な転写制御機構を示す。
【0296】
DETCは、毛包再生に不可欠である。Fgf9は毛包再生を仲介し、DETCは再上皮化された表皮におけるFgf9の主なソースであるように見えるので、本願発明者は、活性化されたDETCが、再上皮化中に創傷を再配置し、FGF9を分泌して毛包再生を誘発すると仮定する。毛包再生におけるDETCの役割をより明確に定義するために、本願発明者は、これらの細胞を発生しないTcrd−/−マウスの研究を行った。
【0297】
本願発明者は、8週齢または24〜40週齢の年齢をマッチングした野生型マウス及びTcrd−/−マウスに創傷を形成し、毛包再生を定量化した。既報の通り、TCRd−/−マウスは、創傷閉鎖の僅かな遅延を示していたが(データ提示なし)、毛包再生が著しく減少した。FGF9レベルの定量化は、Tcrd−/−マウスにおいてFGF9が一貫して極僅かであることを示していた。
【0298】
図18に示すように、8週齢及び40週齢の−/−マウスは、HFNの深刻な欠陥を示し、wtマウスと比較してHF数が80%以上減少した(図18A,B,表2)。このように、−/−マウスにおけるHF数の減少は、応答動態の遅延よりもむしろ毛包再生の真の欠陥を反映する。
【0299】
上記の発見は、創傷後のDETCの活性化がFGF9の産生及びそれに続く毛包再生をもたらすという仮説を支持するものであった。それにもかかわらず、DETCがFGF9の産生以外の毛包再生に関与し得るという懸念に対処するために、特にT細胞(DETCを含む)においてFGF9遺伝子が欠損している変異(Lck−Cre×Fgf9flox/flox)マウスの創傷後の毛包再生を分析した。定量的RT−PCR分析は、これらのマウスが皮膚において低い恒常的レベルのFGF9を発現することを示していた(図22)。創傷に関する研究は、これらの変異(Lck−Cre×Fgf9flox/flox)マウスの創傷後の毛包数が、TCRd−/−動物で観察された毛包数に比べて劇減したことを示していた(図18E,表2)。
【0300】
まとめると、上述した結果は、DETCが、FGF9の産生を通してHF再生に寄与する不可欠な免疫寄与因子であることを示していた。
【0301】
要約すれば、本願発明者は、DETCがFGF9のソースであることを発見した。さらに、これらの発見は、より多岐にわたる細胞及び分子現象は、厳密に言うと胎児発達の反復発生ではなく、創傷後のHFNに関係していることを示しており、DETCを含む後天免疫系が組織再生に関与するであろうというさらなる証拠を提供する。
【0302】
FGF9及びDETCは、創傷後のHFNに不可欠である。再上皮化表皮におけるFGF9の過剰発現は、毛包形成の増加をもたらした。これらの結果は、創傷治癒中または再上皮化後のFGF9発現の操作が、除毛のための新たな治療法を開発するための有用な手法であり得ることを示している。
【0303】
本明細書では本発明について特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用例の単なる例示でしかないことを理解されたい。従って、例示的な実施形態に対して数多くの変更形態をなすことができること、及び添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに他の構成を考案し得ることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
(米国政府の権益の記載)
本発明の全体または一部は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)により認可された認可番号NIH/NIAMS AR46837の下で、米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に対する一定の権利を有し得る。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年11月12日付で出願された米国仮出願第61/114,028号の優先権を主張する。該米国仮出願の全体は、この引用により本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、脱毛の治療あるいは毛包の再生のための医薬組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、及び脱毛の治療あるいは毛包の再生のための繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドの投与に関する。
【背景技術】
【0004】
毛包再生は、出生後の、新しい毛包(HF)の生成と定義される。人間は、HFを完全に備えて生まれてくるが、はげ頭症の初期においては、HFの大きさ及び成長特性が変化し、はげ頭症の末期または恒久的な瘢痕化(瘢痕性)脱毛症においては、HFは最終的には退化し消失する。そのため、一般的なはげ頭症、並びにあまり一般的ではない脱毛症(例えば、円板状紅斑性狼瘡、先天性貧毛症、毛孔性扁平苔癬、及び他の瘢痕性脱毛症)の治療においては、新しいHFを形成することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CA. Ramsden Gd., Quantitative Drug Design, Chapter 17.2, F. Choplin Pergamon Press (1992)
【非特許文献2】Maniatis, et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor, 1990)
【非特許文献3】Ausubel, et al., 1994, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, 1996)
【非特許文献4】Methods in Enzymology, Vol. 1-317, Academic Press
【非特許文献5】Ausubel F. M. et al.,(eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1989)
【非特許文献6】Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象の脱毛を治療するための、対象の変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、対象のアンドロゲン性脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)を治療するための、新しい毛包(hair follicle:HF)を形成するための、あるいは既存のHFの大きさを増大させるための方法であって、表皮を破壊するかまたはWntを投与するステップと、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドまたはソニック・ヘッジホッグ遺伝子シグナル伝達を上方制御する別の化合物を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
したがって、一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に対して投与するステップとを含む方法を提供する。
【0008】
一実施形態では、前記脱毛はアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因する。一実施形態では、前記AGAは男性型脱毛症である。他の実施形態では、前記AGAは女性型脱毛症である。一実施形態では、前記脱毛は皮膚損傷に起因する。一実施形態では、前記脱毛は前記対象の頭皮または眉に存在する。一実施形態では、前記脱毛は前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在する。一実施形態では、前記投与するステップは、前記破壊するステップの3〜12日後に行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記投与するステップは局所投与により行われる。一実施形態では、前記投与するステップは表皮下投与により行われる。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(sonic hedgehog:SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明、実施例及び図面により明らかになるであろう。なお、以下の詳細な説明及び具体的な実施例は本発明の好適な実施形態を示すが、例示のみを目的とするものであり、当業者には、以下の詳細な説明から、本発明の精神及び趣旨の範囲内での様々な変更及び改変が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】FGF9は、かさぶた剥離(SD)後1日目に、毛包再生の誘導期間中に発現される。再生表皮におけるFGF9 mRNA発現の対照mRNA発現q−PCRに対してのFGF9 mRNAの比率が示されている。
【図2】再生表皮のγδTCR免疫染色(SD7,ホールマウント)(×200)及びSD1サンプル(凍結切片)のFGF9免疫染色(×400)。
【図3】SD1サンプルに対する再生表皮のγδTCR及びFGF9免疫染色。
【図4】E14胎児皮膚のγδTCR及びFGF9免疫染色。
【図5】E14.5マウス胎児の全溶解液(レーン1及び2)及び遺伝子組換えhFGF9(+)に対する抗FGF9中和抗体の特異性。
【図6】3週齢のC57BL/6マウスにおける抗FGF9中和実験。(A)処理スケジュールであって、かさぶた剥離後(SD)1−SD4日目に50μlの10μg/ml抗FGF9またはIgG2aアイソタイプ対照が表皮下注射され、SD5に組織をサンプリングした。(B)(A)に記載の処理プロトコルを用いてマウスに抗FGF9またはIgG2a対照を注射した後の毛包数。(C)注射部位を示す図。
【図7】様々な毛包発生段階における抗FGF9処理したマウスと対照との毛包数の比較(「Paus R, et al. J Invest Dermatol 1999」に記載)。
【図8】各サンプル当たり3つの異なる領域における1mm2当たりの毛芽数を数える方法を示すモデル。
【図9】胎児の皮膚外植片培養物(E13.5)における3日間にわたるrhFGF9処理。培養物を、10、20または40ng/mLのrhFGF9または対照緩衝液で3日間処理し、図8に記載されているように毛芽数/mm2を評価した。平均±標準偏差。*:P<0.05,**:P<0.01,対照と比較して。毛芽数に関する陽性対照としてEDA−Al(50ng/ml)を用いた。
【図10】対照及びrhFGF9(10、20、40ng/ml)処理した胎児の皮膚外植片における真皮のアルカリホスファターゼ染色を示す免疫組織化学染色。
【図11】胎児の皮膚外植片培養物(E13.5)における3日間にわたる抗FGF9中和抗体処理。培養物を、10、20または40μg/mLの抗FGF9中和抗体または対照で3日間処理し、図8に記載されているように毛芽数/mm2を評価した。
【図12】対照及び抗FGF9(10、20、40ng/ml)処理した皮膚外植片における表皮のK17染色を示す免疫組織化学染色。
【図13】対照及び抗FGF9(10、20、40ng/ml)処理した胎児の皮膚外植片における真皮のアルカリホスファターゼ染色を示す免疫組織化学染色。
【図14】qPCRによる胎児の毛包発生ソニック・ヘッジホグ(Shh)、Ptchl及びPtch2のマーカに対するrhFGF9(10、20、40ng/ml)を用いた24時間処理の効果。
【図15】qPCRによる胎児の毛包発生GIi1及びGIi2のマーカに対するrhFGF9(10、20、40ng/ml)を用いた24時間処理の効果。
【図16】FGF9は、HFN開始中に発現され、HFNにとって重要である。(A)FGF9は、かさぶた剥離(SD)を伴う再上皮化後1日目及び3日目に、毛包形成前に再生表皮において高発現され、5日目に基底レベルまで減少する。再生表皮におけるFGF9 mRNA発現の比率を、0日目の非創傷表皮のレベルと比較した。*:P<0.05,**:P<0.01,平均±標準偏差。(B)3週齢のマウスにおける創傷後のHFNに対するFGF9中和の効果。抗FGF9中和抗体で処理したマウスの再生毛包の数は、対照と比較して著しく減少した。**:P<0.05。(B)毛包の発達段階の定量。抗FGF9処理したマウスにおける毛包は、毛包成熟の遅延を示していた。それぞれ再上皮化後5日目の、(C−E)KRT17タンパク質に対して染色されたホールマウント毛包再生アッセイ、及び(F−H)分離された表皮及び真皮におけるアルカリホスファターゼ活性。K14rtTA;TRE−Fgf9−IRES−eGfpマウスにおけるFGF9の過剰発現は、創傷後17日目に毛包数の増加をもたらした。スケールバー,1mm。
【図17】FGF9は、活性化されたDETCによって発現される。(A)FGF9及びγδTCRに対する二重免疫染色。再上皮化後の、再配置されたγδTCR陽性DETCにおけるFGF9発現。点線,ベースメントメンブレン。スケールバー,50μm。(B)FGF9遺伝子発現は、mIL−2及び抗CD3による活性化後、単離されたDETCにおいて高度に上方制御される。
【図18】TCRd−/−マウスにおける毛包再生は著しく損なわれる。(A−D)ホールマウント表皮及び真皮のサンプルを処理し、再上皮化後5日目にKRT17タンパク質及び(E−H)アルカリホスファターゼ活性を検出した。8週齢及び40週齢のマウスにおいて、毛包形成は著しく妨げられた。スケールバー,1mm。*:P<0.05,平均±標準誤差。
【図19】対照及び抗FGF9抗体処理した創傷におけるHFの発達段階。
【図20】対照マウスと比較した、2日間のドキシサイクリン処理中のK14rtTA;TRE−Fgf9−IRES−eGfpマウスにおけるFGF9発現。
【図21】DETCにおけるFGF9発現。(A)FGF9は基底上層の樹状細胞において高発現された。IL−2培養なし(B)またはあり(C)の野生型マウスから採取した耳表皮のFGF9及びγδTCRのホールマウント二重免疫染色。
【図22】対照FGF9flox/floxマウスと比較したFGF9flox/flox;Lck−CreマウスにおけるFGF9発現。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、脱毛を治療するためのあるいは毛包を再生するための医薬組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、及び、脱毛を治療するためまたは毛包を再生するための繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドの投与に関する。
【0029】
本発明は、対象の脱毛を治療するための、対象の変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、対象のアンドロゲン性脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)を治療するための、新しい毛包(hair follicle:HF)を形成するための、あるいは既存のHFの大きさを増大させるための方法であって、表皮を破壊するかまたはWntを投与するステップと、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドまたはソニック・ヘッジホッグ遺伝子シグナル伝達を上方制御する別の化合物を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法、新しい毛包(HF)を形成するための方法、HFの大きさを増大させるための方法、アンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法、脱毛症の進行を止めるための方法、脱毛症を回復に向かわせるための方法、または脱毛するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9中和抗体を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0031】
他の実施形態では、本発明の組成物または方法は、人間の皮膚に使用される。他の実施形態では、本発明の組成物または方法は、発毛が望まれない領域に使用される。他の実施形態では、前記領域は顔である。他の実施形態では、前記領域はビキニ領域である。他の実施形態では、前記領域は脚である。他の実施形態では、前記領域は腕である。他の実施形態では、前記領域は胸である。
【0032】
一実施形態では、本発明の方法は、FGF9、SHH、Wntまたは本発明に使用される他の組成物の阻害剤を対象に接触させるステップを含む。本発明の方法及び組成物に使用される「阻害剤」は、他の実施形態では、標的のタンパク質または生物学的因子と結合する抗体である。他の実施形態では、前記阻害剤は、薬理学的阻害剤である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他の種類の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(sonic hedgehog:SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0037】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0039】
他の実施形態では、本発明は、対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグを上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0040】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0041】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0043】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0044】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0045】
他の実施形態では、本発明は、対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を有する対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0047】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0048】
他の実施形態では、本発明は、対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0049】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0050】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0052】
一実施形態では、本発明の方法は、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、変性皮膚疾患は、過角化症、色素過剰、色素脱失、委縮化、またはそれらの組み合わせである。一実施形態では、変性皮膚疾患は、局所性皮膚石灰沈着症、膠様稗粒腫、皮膚変性、老年性皮膚疾患NOS、または皮下石灰化である。
【0053】
他の実施形態では、変性皮膚疾患は環状肉芽腫である。一実施形態では、変性皮膚疾患は、一実施形態では環状肉芽腫の最も一般的な形態であり、他の実施形態では赤色または黄色の小さくて硬い突起(結節または丘疹)が皮膚上にリング状に並んで現れることを特徴とする局所性の環状肉芽腫である。一実施形態では、前記病変の大きさは、1〜5cmである。一実施形態では、最も一般的な患部には、足、手及び指が含まれる。他の実施形態では、前記変性皮膚疾患は、全身型または散在型の、線状、穿孔性または皮下性の環状肉芽腫である。一実施形態では、環状肉芽腫に関連する病斑は、治療しなくても消え(自然寛解)、再び現れる。
【0054】
他の実施形態では、本発明の方法は、皮膚の乾燥、皮膚の荒れ、乾燥線の形成、皮脂腺による水分補給の減少、あるいは機械的応力に対する感受性(割れる傾向にある)の増大の予防及び治療に適している。また、本発明の方法は、光線皮膚症、老人性乾皮症の症状、光による老化、あるいは皮膚の結合組織(コラーゲン及びエラスチン繊維、あるいはグルコサミノグリカン/ヒアルロナン)の分解に関連する他の変性状態の治療に適している。「光による老化」は、光、特に紫外線放射によってもたらされる皮膚のしわ、乾燥及び弾力低下を意味する。
【0055】
本発明による組成物のさらなる適用分野は、次に挙げるものの治療及び予防、並びにエラスチン及びグリコサミノグリカンの分解である。年齢及び/または紫外線で誘発されたコラーゲン変性;表皮細胞層及び真皮細胞層、結合組織の構成要素、釘脚(rete pegs)及び毛細血管、及び/または皮膚付属器の弾力低下及び委縮化などの変性皮膚疾患;環境的に引き起こされる皮膚及び皮膚付属器のネガティブな変化(例えば、紫外線放射、喫煙、スモッグ、活性酸素種、遊離基などによって引き起こされる);欠陥性(deficitary)、過敏性または機能減退性の皮膚疾患、あるいは欠陥性)、過敏性または機能減退性の皮膚付属器疾患;皮膚厚さの減少;皮膚のたるみ及び/または皮膚の疲労感;経表皮水分損失及び皮膚の通常の水分含有量の変化;健康な皮膚のエネルギー代謝の変化;皮膚上に現れる、皮膚における通常の細胞間連結からの逸脱(例えば、しわ);通常の線維芽細胞及び角化細胞増殖の変化;通常の線維芽細胞及び角化細胞分化の変化;多形性の放射線皮膚疾患、白斑;創傷治療疾患;通常のコラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン及びグリコサミノグリカンの恒常性の障害;皮膚におけるタンパク質分解酵素(例えば、メタロプロテイナーゼ)の活性化増大。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、脱毛を治療するための、毛包を形成するための、毛包の大きさを増大させるための、毛包形成を増加させるための、変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための、あるいはアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、次のステップの任意の組み合わせを含む方法を提供する。(a)対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップ;(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを前記対象に投与するステップ;(c)Wntポリペプチドを前記対象に投与するステップ;(d)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)、Ptch1、Ptch2、Gli1、Gli2またはそれらの組み合わせを前記対象に投与するステップ。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、除毛するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9中和抗体を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、前記抗体は10μg/mLの濃度で投与される。一実施形態では、前記除毛は、前記対象の脚、腕、脇、恥部、背中、顔、鼻または耳に行われる。一実施形態では、該方法は、前記投与ステップの前に除毛領域の表皮を破壊するステップをさらに含む。一実施形態では、前記投与ステップは、前記破壊するステップの3〜12日後に行われる。一実施形態では、前記破壊するステップは、脱毛領域を物理的刺激、化学的刺激または光学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記光学的刺激は放射線である。一実施形態では、前記投与ステップは局所投与である。他の実施形態では、前記投与ステップは表皮下投与である。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、脱毛症を回復に向かわせるための方法であって、禿げているまたは禿げかかった対象に対して、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、脱毛症の進行を止めるための方法であって、禿げているまたは禿げかかった対象に対して、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、対象の創傷を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象の負傷を治療するための方法であって、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0060】
FGF9
【0061】
一実施形態では、本発明の方法は、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を単独であるいは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。一実施形態では、FGF9は、Fgf−9、FGF−9、繊維芽細胞増殖因子‐9、GAF、グリア活性化因子、グリア活性化因子前駆体、またはHBGF−9を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるFGF−9タンパク質は、次の配列を有する。
【0062】
IFPNGTIQGTRKDHSRFGILEFISIAVGLVSIRGVDSGLYLGMNEKGELYGSEKLTQECVFREQFEENWYNTYSSNLYKHVDTGRRYYVALNKDGTPREGTRTKRHQKFTHFLPRPVDPDKVPELYKDILSQS(遺伝子バンクアクセス番号:BAA03572;配列ID番号:1)。他の実施形態では、FGF9タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:P31371、BAF83481、NP_002001、CAC17692、EAX08316、AAI03980、AAI03979、AAT74624またはAAH69692に記載されている配列を有する。他の実施形態では、FGF9タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL139378.15、AY682094.1またはCH471075.1に記載されている配列を有するゲノム核酸分子によってコードされているか、あるいは、遺伝子バンクアクセス番号:AK290792.1、BC069692.1、BC103978.1、BC103979.1、CR746503.1またはD14838.1.に記載されている配列を有するmRNA分子によってコードされている。他の実施形態では、FGF9タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、FGF9タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0063】
一実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)遺伝子発現のレベルが増加する(図14)。
【0064】
SHH
【0065】
一実施形態では、本発明の方法は、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)ペプチドを含んでいる組成物を単独であるいは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、SHH発現を増加させる化合物または因子を投与するステップを含む。一実施形態では、SHHは、TPT;HHG1;HLP3;HPE3;SMMCI;TPTPS;またはMCOPCB5を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるSHHタンパク質は、次の配列を有する。
【0066】
MLLLARCLLLVLVSSLLVCSGLACGPGRGFGKRRHPKKLTPLAYKQFTPNVAEKTLGASGRYEGKISRNSERFKELTPNYNPDIIFKDEENTGADRLMTQRCKDKLNALAISVMNQWPGVKLRVTEGWDEDGHHSEESLHYEGRAVDITTSDRDRSKYGMLARLAVEAGFDWVYYESKAHIHCSVKAENSVAAKSGGCFPGSATVHLEQGGTKLVKDLSPGDRVLAADDQGRLLYSDFLTFLDRDDGAKKVFYVIETREPRERLLLTAAHLLFVAPHNDSATGEPEASSGSGPPSGGALGPRALFASRVRPGQRVYVVAERDGDRRLLPAAVHSVTLSEEAAGAYAPLTAQGTILINRVLASCYAVIEEHSWAHRAFAPFRLAHALLAALAPARTDRGGDSGGGDRGGGGGRVALTAPGAADAPGAGATAGIHWYSQLLYQIGTWLLDSEALHPLGMAVKSS(遺伝子バンクアクセス番号:Q15465.1;配列ID番号:2)。他の実施形態では、SHHタンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:BAA34689.1;AAB67604.1;AAS01990.1;AAQ87879.1;EAL23913.1;EAX04543.1;AAA62179.1;またはAAI11926.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、SHHタンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AB020410.1;AC002484.1;AC078834.5;AY422195.1;CH236954.1;CH471149.1;AY927450.1;L38518.1;またはBC111925.1.に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、SHHタンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、SHHタンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0067】
一実施形態では、SHHは、スムースンド(SMO)タンパク質と協働して標的遺伝子の転写を活性化させる機能を果たすパッチされた(PTC)受容体に結合される。SHHを欠くときは、PTCは、SMOの構造的シグナル達活性を抑制する。他の実施形態では、SHHは、Gli癌遺伝子も調節する。他の実施形態では、SHHは、成長中の様々なパターンニングイベントに必須の細胞間信号である;腹側細胞を含む脊索により生成された信号は神経管及び体節に入り、成長中の肢芽の前後方向軸をパターニングするための信号を二極化させる。他の実施形態では、SHHは、フロアープレート及び運動ニューロンの両方の誘導活性を示す。
【0068】
他の実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、一実施形態ではヒト遺伝子である、パッチされた相同体1(ショウジョウバエ)(Ptch1;図14)のレベルが増加する(図14)。一実施形態では、Ptch1は、パッチされた遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。一実施形態では、Ptch1はソニック・ヘッジホッグ(SHH)に対する受容体であり、一実施形態では、胚構造の形成及び腫瘍形成に関与する分泌された分子である。一実施形態では、Ptch1は、腫瘍抑制因子としての役割を果たす。一実施形態では、Ptch1の変異体は、母斑性基底細胞癌症候群、食道扁平上皮癌、毛包上皮腫、膀胱の移行細胞癌、及び全前脳症に関連付けられてきた。一実施形態では、Ptch1の選択的スプライシングにより、別々のイソ型をコードする複数の転写変異体を作成することができる。
【0069】
Ptch1
【0070】
一実施形態では、本発明の方法は、Ptch1ポリペピチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、Ptch1発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、Ptch1は、PTC;BCNS;HPE7;PTCl;PTCH;NBCCS;PTCH11;FLJ26746;またはFLJ42602を指す。一実施形態では、本発明の方法に使用されるPtch1タンパク質は、次の配列を有する。
【0071】
MASAGNAAEPQDRGGGGSGCIGAPGRPAGGGRRRRTGGLRRAAAPDRDYLHRPSYCDAAFALEQISKGKATGRKAPLWLRAKFQRLLFKLGCYIQKNCGKFLVVGLLIFGAFAVGLKAANLETNVEELWVEVGGRVSRELNYTRQKIGEEAMFNPQLMIQTPKEEGANVLTTEALLQHLDSALQASRVHVYMYNRQWKLEHLCYKSGELITETGYMDQIIEYLYPCLITTPLDCFWEGAKLQSGTAYLLGKPPLRWTNFDPLEFLEELKKINYQVDSWEEMLNKAEVGHGYMDRPCLNPADPDCPATAPNKNSTKPLDMALVLNGGCHGLSRKYMHWQEELIVGGTVKNSTGKLVSAHALQTMFQLMTPKQMYEHFKGYEYVSHINWNEDKAAAILEAWQRTYVEVVHQSVAQNSTQKVLSFTTTTLDDILKSFSDVSVIRVASGYLLMLAYACLTMLRWDCSKSQGAVGLAGVLLVALSVAAGLGLCSLIGISFNAATTQVLPFLALGVGVDDVFLLAHAFSETGQNKRIPFEDRTGECLKRTGASVALTSISNVTAFFMAALIPIPALRAFSLQAAVVVVFNFAMVLLIFPAILSMDLYRREDRRLDIFCCFTSPCVSRVIQVEPQAYTDTHDNTRYSPPPPYSSHSFAHETQITMQSTVQLRTEYDPHTHVYYTTAEPRSEISVQPVTVTQDTLSCQSPESTSSTRDLLSQFSDSSLHCLEPPCTKWTLSSFAEKHYAPFLLKPKAKVVVIFLFLGLLGVSLYGTTRVRDGLDLTDIVPRETREYDFIAAQFKYFSF?NMYIVTQKADYPNIQHLLYDLHRSFSNVKYVMLEENKQLPKMWLHYFRDWLQGLQDAFDSDWETGKIMPNNYKNGSDDGVLAYKLLVQTGSRDKPIDISQLTKQRLVDADGIINPSAFYIYLTAWVSNDPVAYAASQANIRPHRPEWVHDKADYMPETRLRIPAAEPIEYAQFPFYLNGLRDTSDFVEAIEKVRTICSNYTSLGLSSYPNGYPFLFWEQYIGLRHWLLLFSVVLACTFLVCAVFLLNPWTAGIIVMVLALMTVELFGMMGLIGIKLSAVPVVILIASVGIGVEFTVHVALAFLTAIGDKNRRAVLALEHMFAPVLDGAVSTLLGVLMLAGSEFDFIVRYFFAVLAILTILGVLNGLVLLPVLLSFFGPYPEVSPANGLNRLPTPSPEPPPSVVRFAMPPGHTHSGSDSSDSEYSSQTTVSGLSEELRHYEAQQGAGGPAHQVIVEATENPVFAHSTVVHPESRHHPPSNPRQQPHLDSGSLPPGRQGQQPRRDPPREGLWPPPYRPRRDAFEISTEGHSGPSNRARWGPRGARSHNPRNPASTAMGSSVPGYCQPITTVTASASVTVAVHPPPVPGPGRNPRGGLCPGYPETDHGLFEDPHVPFHVRCERRDSKVEVIELQDVECEERPRGSSSN(遺伝子バンクアクセス番号:Q13635.2;配列ID番号:3)。他の実施形態では、Ptch1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:CAH73817.1;CAH73818.1;CAH73819.1;AAR21238.1;AAR21239.1;AAR21240.1;EAW92631.1;EAW92632.1;BAD74184.1;BAD74185.1;BAD74186.1;BAD74187.1;BAD74188.1;BAD92732.1;BAF47711.1;BAE45300.1;BAE45302.1;BAE45304.1;BAF47712.1;BAC85893.1;AAH43542.1;AAC50496.1;AAC50550.1;またはAAI52920.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Ptch1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL161729.27;AY395758.1;AY395768.1;AY395772.1;CH471174.1;AB189436.1;AB189437.1;AB189438.1;AB189439.1;AB189440.1;AB209495.1;AB212827.1;AB212828.1;AB214500.1;AB233422.1;AB233424.1;AB239329.1;AI358880.1;AI494442.1;AK124593.1;AK130256.1;BC043542.1;BF195352.1;BM974119.1;BX117041.1;CR744004.1;DB093644.1;U43148.1;U59464.1;またはBC152919.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Ptch1タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Ptch1タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0072】
他の実施形態では、組み換え型ヒトFGF9の投与により、一実施形態ではヒト遺伝子である、パッチされた相同体2(ショウジョウバエ)(Ptch2;図14)のレベルが増加する。
【0073】
Ptch2
【0074】
一実施形態では、本発明の方法は、Ptch2ポリペピチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、Ptch2発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、Ptch2は、パッチされた遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。一実施形態では、パッチされたタンパク質はソニック・ヘッジホッグ(SHH)に対する受容体であり、一実施形態では、胚構造の形成及び腫瘍形成に関与する分泌された分子である。一実施形態では、Ptch2は、髄芽種または基底細胞癌において変異する。このことは、Ptch2は、特定の腫瘍を成長させる役割を果たすことを示唆している。選択的転写変異体について説明したが、それらの生物学的機能は決定されてはいない。一実施形態では、本発明の方法に使用されるPtch2ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0075】
FDFIVRYFFAALTVLTLLGLLHGLVLLPVLLSILGPPPEVIQMYKESPEILSPPAPQGGGLRVGSLQVNISYWKELLWCQDLRPEEI(遺伝子バンクアクセス番号:Q5JR97;配列ID番号:4)。他の実施形態では、Ptch2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:CAL23127.1;CAI13000.1;AAR05447.1;EAX07017.1;AAD25953.1;AAC79847.1;AAD17260.1;AAQ88919.1;AAQ89375.1;またはAAI52912.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Ptch2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AL136380.22;AL592166.16;AY438664.1;CH471059.2;AF087651.1;AF091501.1;AF119569.1;AK307168.1;AY358555.1;AY359016.1;またはBC152911.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Ptch2タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Ptch2タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0076】
GLI1
【0077】
一実施形態では、本発明の方法は、グリオーマ関連癌遺伝子相同体1(亜鉛フィンガータンパク質)(GLI1)ポリペプチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。一実施形態では、GLI1は、亜鉛フィンガータンパク質のクルッペルファミリーのメンバーをコードする。他の実施形態では、本発明の方法は、GLI1の発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、本発明の方法に使用されるGLI1ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0078】
FNSMTPPPISSYGEPCCLRPLPSQGAPSVGTEGLSGPPFCHQANLMSGPHSYGPARETNSCTEGPLFSSPRSAVKLTKKRALSISPLSDASLDLQTVIRTSPSSLVAFINSRCTSPGGSYGHLSIGTMSPSLGFPAQMNHQKGPSPSFGVQPCGPHDSARGGMIPHPQSRGPFPTCQLKSELDMLVGKCREEPLEGDMSSPNSTGIQDPLLGMLDGREDLEREEKREPESVYETDCRWDGCSQEFDSQEQLVHHINSEHIHGERKEFVCHWGGCSRELRPFKAQYMLVVHMRRHTGEKPHKCTFEGCRKSYSRLENLKTHLRSHTGEKPYMCEHEGCSKAFSNASDRAKHQNRTHSNEKPYVCKLPGCTKRYTDPSSLRKHVKTVHGPDAHVTKRHRGDGPLPRAPSISTVEPKREREGGPIREESRLTVPEGAMKPQPSPGAQSSCSSDHSPAGSAANTDSGVEMTGNAGGSTEDLSSLDEGPCIAGTGLSTLRRLENLRLDQLHQLRPIGTRGLKLPSLSHTGTTVSRRVGPPVSLERRSSSSSSISSAYTVSRRSSLASPFPPGSPPENGASSLPGLMPAQHYLLRARYASARGGGTSPTAASSLDRIGGLPMPPWRSRAEYPGYNPNAGVTRRASDPAQAADRPAPARVQRFKSLGCVHTPPTVAGGGQNFDPYLPTSVYSPQPPSITENAAMDARGLQEEPEVGTSMVGSGLNPYMDFPPTDTLGYGGPEGAAAEPYGARGPGSLPLGPGPPTNYGPNPCPQQASYPDPTQETWGEFPSHSGLYPGPKALGGTYSQCPRLEHYGQVQVKPEQGCPVGSDSTGLAPCLNAHPSEGPPHPQPLFSHYPQPSPPQYLQSGPYTQPPPDYLPSEPRPCLDFDSPTHSTGQLKAQLVCNYVQSQQELLWEGGGREDAPAQEPSYQSPKFLGGSQVSPSRAKAPVNTYGPGFGPNLPNHKSGSYPTPSPCHENFVVGANRASHRAAAPPRLLPPLPTCYGPLKVGGTNPSCGHPEVGRLGGGPALYPPPEGQVCNPLDSLDLDNTQLDFVAILDEPQGLSPPPSHDQRGSSGHTPPPSGPPNMAVGNMSVLLRSLPGETEFLNSSA(遺伝子バンクアクセス番号:P08151;配列ID番号:5)。他の実施形態では、GLI1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AAM13391.1;EAW97013.1;BAG60219.1;AAH13000.1;またはCAA30297.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、GLI1タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AC022506.38;AF316573.1;CH471054.1;AK297899.1;BC013000.2;またはX07384.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、GLI1タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、GLI1タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0079】
GLI2
【0080】
一実施形態では、本発明の方法は、グリオーマ関連癌遺伝子相同体2(亜鉛フィンガータンパク質)(GLI2)ポリペプチドを含んでいる組成物を単独でまたは1以上の追加の化合物と共に投与するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、GLI2の発現を増加させる化合物または因子を含んでいる組成物を投与するステップを含む。一実施形態では、GLI2は、HPE9;THPl;またはTHP2を指す。一実施形態では。GLI2は、GLIファミリーのサブクラスであるC2H2型亜鉛フィンガータンパク質に属するタンパク質をコードする。このサブクラスのメンバーは、亜鉛フィンガーモチーフを通じてDNAを結合する転写因子に特徴付けられる。前記モチーフは、保存されたH−Cリンクを含む。GLIファミリーフィンガータンパク質は、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)のシグナル伝達の伝達物質であり、胚性癌腫細胞の有力な癌細胞に関与する。この遺伝子によってコードされたタンパク質は、細胞質に局在し、パッチされたショウジョウバエ相同体(PCTH)遺伝子発現を活性化する。また、胚形成中に役割も果たすと考えられている。コードされたタンパク質は、いくつかの表現型のグレイグ多合指症候群、パリスター・ホール症候群、軸前多趾症IV型、軸前多趾症A1及びB型に関連する。一実施形態では、本発明の方法に使用されるGLI2ポリペピチドは、次の配列を有する。
【0081】
MALTSINATPTQLSSSSNCLSDTNQNKQSSESAVSSTVNPVAIHKRSKVKTEPEGLRPASPLALTQGQVLDTAHVGVPFPSPQEQLADLKEDLDRDDCKQEAEVVIYETNCHWEDCTKEYDTQEQLVHHINNEHIHGEKKEFVCRWQACTREQKPFKAQYMLVVHMRRHTGEKPHKCTFEGCSKAYSRLENLKTHLRSHTGEKPYVCEHEGCNKAFSNASDRAKHQNRTHSNEKPYICKIPGCTKRYTDPSSLRKHVKTVHGPDAHVTKKQRNDVHLRTPLLKENGDSEAGTEPGGPESTEASSTSQAVEDCLHVRAIKTESSGLCQSSPGAQSSCSSEPSPLGSAPNNDSGVEMPGTGPGSLGDLTALDDTPPGADTSALAAPSAGGLQLRKHMTTMHRFEQLKKEKLKSLKDSCSWAGPTPHTRNTKLPPLPGSGSILENFSGSGGGGPAGLLPNPRLSELSASEVTMLSQLQERRDSSTSTVSSAYTVSRRSSGISPYFSSRRSSEASPLGAGRPHNASSADSYDPISTDASRRSSEASQCSGGSGLLNLTPAQQYSLRAKYAAATGGPPPTPLPGLERMSLRTRLALLDAAEGTLPAGCPRPLGPRRGSDGPTYGHGHAGAAPAFPHEAPGGGTRRASDPVRRPDALSLPRVQRFHSTHNVNPGPLPPCADRRGLRLQSHPSTDGGLARGAYSPRPPSISENVAMEAVAAGVDGAGPEADLGLPEDDLVLPDDVVQYIKAHASGALDEGTGQVYPTESTGFSDNPRLPSPGLHGQRRMVAADSNVGPSAPMLGGCQLGFGAPSSLNKNNMPVQWNEVSSGTVDSLASQVKPPPFPQGNLAVVQQKPAFGQYPGYSPQGLQASPGGLDSTQPHLQPRSGAPSQGIPRVNYMQQLRQPVAGSQCPGMTTTMSPHACYGQVHPQLSPSTISGALNQFPQSCSNMPAKPGHLGHPQQTEVAPDPTTMGNRHRELGVPNSALAGVPPPHPVQSYPQQSHHLAASMSQEGYHQVPSLLPARQPGFMEPQTGPMGVATAGFGLVQPRPPLEPSPTGRHRGVRAVQQQLAYARATGHAMAAMPSSQETAEAVPKGAMGNMGSVPPQPPPQDAGGAPDHSMLYYYGQIHMYEQDGGLENLGSCQVMRSQPPQPQACQDSIQPQPLPSPGVNQVSSTVDSQLLEAPQIDFDAIMDDGDHSSLFSGALSPSLLHSLSQNSSRLTTPRNSLTLPSIPAGISNMAVGDMSSMLTSLAEESKFLNMMT(遺伝子バンクアクセス番号:P10070;配列ID番号:6)。他の実施形態では、GLI2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AAA35898.1;BAA25665.1;BAA25666.1;BAA25667.1;BAA25668.1;BAD92591.1;BAG61875.1;AAS72889.1;AAS72890.1;AAS72891.1;AAI11411.1;BAA03568.1;BAA03569.1;AAY58315.1;AAY58316.1;AAY58317.1;またはAAY87165.1.に記載されている配列を有する。他の実施形態では、GLI2タンパク質は、遺伝子バンクアクセス番号:AC016764.8;AC017033.5(60664.181887);M20672.1;M20673.1;AB007295.1;AB007296.1;AB007297.1;AB007298.1;AB209354.1;AJ707583.1;AK300071.1;AY493737.1;AY493738.1;AY493739.1;BC111410.1;D14827.1;D14828.1;DQ004396.1;DQ004397.1;DQ004398.1;またはDQ086814.1に記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、GLI2タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、GLI2タンパク質の相同体が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0082】
Wnt
【0083】
一実施形態では、本発明の方法は、Wntポリペプチドを含んでいる組成物を投与するステップを含む。本発明の方法に使用されるWntポリペプチドは、一実施形態では、次の配列を有する。
【0084】
MNRKARRCLGHLFLSLGMVYLRIGGFSSVVALGASIICNKIPGLAPRQRAICQSRPDAIIVIGEGSQMGLDECQFQFRNGRWNCSALGERTVFGKELKVGSREAAFTYAIIAAGVAHAITAACTQGNLSDCGCDKEKQGQYHRDEGWKWGGCSADIRYGIGFAKVFVDAREIKQNARTLMNLHNNEAGRKILEENMKLECKCHGVSGSCTTKTCWTTLPQFRELGYVLKDKYNEAVHVEPVRASRNKRPTFLKIKKPLSYRKPMDTDLVYIEKSPNYCEEDPVTGSVGTQGRACNKTAPQASGCDLMCCGRGYNTHQYARVWQCNCKFHWCCYVKCNTCSERTEMYTCK(遺伝子バンクアクセス番号:BC008811;配列ID番号:7)。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、遺伝子バンクアクセス番号:NM_004625、D83175、U53476またはNP_004616に記載されている配列を有する。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt7タンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt7aポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt1ポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt3ポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt3aポリペプチドである。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10タンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10aタンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、Wnt10bタンパク質である。他の実施形態では、Wntポリペプチドは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、Wntポリペプチドの生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Wnt7タンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。他の実施形態では、Wnt7aタンパク質の生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0085】
他の実施形態では、本発明の方法は、一実施形態ではN−Shh(分解産物)、N−Shh−CholであるSHHシグナル伝達経路の1以上のメンバーを刺激する。前記メンバーは、一実施形態ではPtch1及びPtch2を抑制し、一実施形態ではスムースンドタンパク質を抑止し、一実施形態ではGLI1を刺激し、一実施形態では他の遺伝子(一実施形態ではGLI−1、PTC1、HNF3β)、GLI−2及びGLI−3の転写を促進し、一実施形態では他の遺伝子の転写を抑制する。したがって、一実施形態では、FGF9の活性化によるSHHの増加は、スムースンドタンパク質上のパッチされたタンパク質の持続的抑制を軽減する。また、GLI−1のレベルの増加は、遺伝子転写の促進をもたらす。
【0086】
他の実施形態では、本発明の方法は、一実施形態では、フリズルド(Frizzled)、SFRP、ディシブルド(Dishevelled:Dsh)、TCF、LRP、APC、β−カテニン、クシン(Axin)、ディックコプフ(Dickkopf)、GSK3、ネイキッド(Naked)、ポーキュパイン(Porcupine)またはFRAT/GBPである、Wntシグナル伝達経路の1以上のメンバーを刺激する。
【0087】
他の実施形態では、Wnt経路は、ヘッジホッグ経路の前に刺激される。他の実施形態では、前記2つの経路は、重複方法(overlapping fashion)で刺激される。他の実施形態では、前記2つの経路は、同時に刺激される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態では、本発明の転写物及びタンパク質の相同体及び変異体は、本発明の方法において投与される。他の実施形態では、本発明の転写物及びタンパク質の相同体及び変異体は、本発明の方法において標的にされる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0089】
「相同」、「相同性」等の用語は、タンパク質やペプチドに関する場合、一実施形態では、最大割合の相同を達成するために配列を整列させ必要に応じて間隙を導入した後の、候補配列におけるアミノ酸残余が対応する天然ポリペプチドのアミノ酸残余と一致する割合を意味する(配列同一性の一部としての同類置換は考慮しない)。前記整列のための方法及びコンピュータプログラムは、当該技術分野では公知である。
【0090】
他の実施形態では、「相同」なる用語は、核酸配列に関する場合、同様に、候補配列におけるヌクレオチドが対応する天然核酸配列のヌクレオチドと一致する割合を示す。
【0091】
他の実施形態では、「相同」は、70%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、75%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、80%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、82%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、85%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、87%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、90%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、92%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、95%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、97%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、98%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、99%以上の一致を意味する。他の実施形態では、「相同」は、100%以上の一致を意味する。
【0092】
本明細書中に記載された任意のアミノ酸配列に対するタンパク質及び/またはペプチドの相同は、一実施形態では、イムノブロット解析、または、任意のソフトウェア・パッケージを使用して行うアミノ酸配列のコンピュータアルゴリズム分析などの当該技術分野で公知の確立した手法によって測定される。前記ソフトウェア・パッケージとしては、FASTA、BLAST、MPsrch、またはScanpsパッケージなどがあり、スミス‐ウォーターマン(Smith‐Waterman)アルゴリズム、あるいはグローバル/ローカルまたはブロックアライメントなどを使用することができる。相同測定の各方法は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0093】
一実施形態では、「ペプチド」なる用語は、天然型ペプチド(分解産物、合成ペプチド、組み換え型ペプチドなど)と、ペプチド類似体であるペプトイド及びセミペプトイドなどの模倣ペプチド(通常は、合成によって作られたペプチド)を含む。ペプチド類似体は、例えば、ペプチドが体内でより安定したり、細菌細胞により容易に貫通したりすることができるように修飾されている場合がある。このような修飾には、これらに限定しないが、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合修飾、バックボーン修飾、及び残基修飾が含まれる。前記ペプチド結合修飾には、これらに限定しないが、CH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CH、またはCF=CHが含まれる。模倣ペプチド化合物を作成する方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、非特許文献1に記載されている(非特許文献1の全体の内容は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0094】
ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH3)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH2−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(ただし、Rは任意のアルキルであり、例えばメチルである)、カルバ結合(−CH2−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH2−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン性二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH2−CO−)(ただし、Rは、炭素原子上に天然に存在する「通常の」側鎖である)によって置換することができる。
【0095】
これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った任意の結合部において発生することができ、同時に複数(2〜3)発生することさえある。
【0096】
天然の芳香族アミノ酸、Trp、Tyr及びPheは、例えばTIC、ナフチルアラニン(Nol)、Pheの環状メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの人工の非天然酸に置換され得る。
【0097】
上記に加えて、本発明のペプチドは、1以上の修飾されたアミノ酸、または1以上の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複合炭水化物など)も含み得る。
【0098】
ここで使用される「アミノ酸」なる用語は、20個の自然発生的アミノ酸と、他の異常アミノ酸を含むと理解されたい。前記自然発生的アミノ酸は、多くの場合は翻訳後にインビボで修飾され、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、及びホスホスレオニンが含まれる。前記異常アミノ酸は、これらに限定しないが、2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリジン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン、及びオルニチンを含む。さらに、「アミノ酸」なる用語は、D−アミノ酸とL−アミノ酸の両方を含む。
【0099】
他の実施形態では、当該技術分野で公知の自然発生的アミノ酸及び非従来的なまたは修飾されたアミノ酸を本発明に使用することができる。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方法を実施するのに適した道具及び/または化合物を含んでいるキットを提供する。
【0101】
他の実施形態では、本発明は、表皮破壊に適した道具、及び、SHHの発現を上方制御する化合物または因子を送達するための手段を含んでいる装置を提供する。
【0102】
本発明には、単離された核酸を投与するステップを含む方法が含まれることを理解されたい。単離された核酸は、一実施形態では、本発明のポリペプチドをコードしているベクターまたはプラスミドであり、それらは、一実施形態では、繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、SHH、Wnt、Ptchl、Ptch2、Gli1またはGli2、あるいはそれらのベクターを含む組成物である。
【0103】
一実施形態では、本発明の方法に使用するための、本発明のポリペプチドをコードしている単離された核酸が提供される。
【0104】
一実施形態では、「単離された核酸」は、自然に存在する状態でそれを挟む配列から分離された核酸セグメントまたは断片を指し、例えば、通常は前記断片に隣接する配列(例えば自然に存在するゲノム中で前記断片に隣接する配列)が除去されたDNA断片を指す。また、この用語は、核酸に自然に付随する他の成分、例えば細胞中で自然に付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸配列にも適用される。したがって、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれた、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルスに組み込まれた、または原核若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた、あるいは他の配列から独立して別個の分子として存在する(例えば、cDNAまたはPCR若しくは制限酵素消化により生成されたゲノム若しくはcDNA断片として)組換えDNAを含む。また、この用語は、さらなるポリペプチド配列をコードしているハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。
【0105】
一実施形態では、本発明は、本発明の単離された核酸またはベクターを含んでいる細胞を提供する。
【0106】
本発明の2つのポリヌクレオチドは機能的に連結されている。例えば、一実施形態では、FGF9及びWntをコードしているポリヌクレオチドが機能的に連結されている。一実施形態では、「機能的に連結されている」とは、一本鎖または二本鎖の核酸部分に、2つのポリヌクレオチドが、互いに発現するような様態で配列されることを意味する。一例としては、遺伝子のコード領域に機能的に連結されたプロモータは、前記コード領域の転写を促進することができる。
【0107】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、プロモータ/制御配列を含んでいる。一実施形態では、プロモータ/制御配列は、細胞内で所望のタンパク質の発現を促進するように、所望のタンパク質をコードしている配列の5´端部に位置される。つまり、所望のタンパク質をコードしている核酸とそのプロモータ/制御配列は、「トランス遺伝子」を含んでいる。
【0108】
一実施形態では、「プロモータ/制御配列」なる用語は、プロモータ/制御配列に機能的に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を意味する。ある場合では、この配列はコアプロモータ配列であり、他の場合では、この配列は、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要とされる別の制御要素を含み得る。プロモータ/制御配列は、例えば、組織特異的な様態で遺伝子産物を発現させるものであり得る。一実施形態では、本発明に使用されるプロモータは、構成的または誘導的であり得る。他の実施形態では、本発明に使用されるプロモータは、組織特異的であり得る。そのようなプロモータは当該技術分野では公知である。
【0109】
他の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドの投与用の送達媒体を提供する。そのような送達媒体の例は、当該技術分野では公知であり、例えば、本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子操作された組み換え型ウイルスまたは細菌などがある。一実施形態では、前記ウイルスまたは細菌は弱毒化されている。一実施形態では、本発明に使用されるウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスなどが含まれる。一実施形態では、前記ウイルスは、任意の公知の血清型またはサブクループのものである。
【0110】
一実施形態では、治療剤をコードする外因性核酸断片を標的細胞及び/または組織へ導入するために、当該技術分野で知られているように、ウイルスベクター、プラスミドベクター、線状DNAなどの様々なベクターのいずれか1つを本発明の方法に使用することができる。これらのベクターは、例えば、感染、形質導入、トランスフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、微粒子銃遺伝子送達、(カチオン性リポソームを使用する代わりに)融合性及びアニオン性リポソームを使用するリポソーム遺伝子送達、直接注入、受容体媒介取込み、マグネトポレーション、超音波、またはこれらの任意の組み合せ、あるいは当該技術分野で公知の他の技術を使用して挿入することができる(さらなる詳細については、例えば、非特許文献4〜6または他の標準実験マニュアルを参照されたい)。目的の配列をコードするポリヌクレオチド断片は、哺乳動物細胞への形質導入及び形質導入された細胞内での組換え産物の発現誘導に適した発現ベクター系の中へ連結させることができる。前記外因性核酸断片の導入は、前記ベクターを微小器官の近傍へ導入することによって達成される。上記に記載の技術または当該技術分野で公知の技術のいずれかを用いて、前記外因性核酸断片が前記細胞に組み込むことにより、前記核酸断片によってコードされた治療物質の生成及び/または分泌速度を定量化することができる。一実施形態では、「外因性」なる用語は、外部に由来する物質、例えば、細胞または組織の外部に由来する核酸を指す。
【0111】
一実施形態では、本発明の方法に使用されるベクターは非免疫原性の遺伝子導入剤であり、例えば、非ウイルスベクター(DNAプラスミド、ミニサークルDNAなど)、「ガットレス(gutless)」、すなわち内存性遺伝子を有さないウイルスベクター(一実施形態では欠失に起因し、他の実施形態では、遺伝子発現を妨げる遺伝子における挿入、置換または欠失に起因する)、ヘルパー依存型アデノウイルス(HDAd)ベクター、またはアデノ関連ウイルスAAV(一実施形態では一本鎖であり、他の実施形態では二本鎖である)などである。他の実施形態では、前記製剤は、組換え遺伝子発現が微小器官による遺伝子産物の毒性の欠如または免疫媒介拒絶をもたらすように選択される。一実施形態では、前記ベクターはウイルス由来であり、他の実施形態では、前記ベクターはプラスミドである。一実施形態では、ウイルス由来ベクターはアデノウイルス(一実施形態では、ヘルパー依存型アデノウイルスである)に由来し、一方、他の実施形態では、ウイルス由来ベクターはアデノウイルス関連ベクターに由来する。
【0112】
一実施形態では、「ベクター」または「発現ベクター」なる用語は、核酸配列を細胞に導入して複製するために、前記核酸配列がその中へ挿入され得る担体分子を指す。一実施形態では、核酸分子は、ある場合には、その後、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳されるRNAへ転写される。他の場合では、RNA配列は、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの生成においては翻訳されない。一実施形態では、発現ベクターは種々の「制御配列」を含むことができる。前記制御配列は、特定の宿主生物体において作動可能に連結されるコード配列の、転写及び場合により翻訳のために必要な核酸配列を指す。他の実施形態では、ベクターには、複製起点がさらに含まれる。一実施形態では、前記ベクターは、一実施形態では、原核細胞及び真核細胞の両方において増殖することができるシャトルベクターであり得る。あるいは、他の実施形態では、前記ベクターは、選択された生物のゲノムに容易に統合することができるように構築され得る。前記ベクターは、他の実施形態では、例えば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス、または人工染色体であり得る。一実施形態では、前記ベクターはウイルスベクターであり、一実施形態では、バクテリオファージ、哺乳動物ウイルスまたは植物ウイルスであり得る。
【0113】
他の実施形態では、ウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、シミアンウイルスまたは単純ヘルペスウイルスなどのウイルスに由来する。
【0114】
本発明の特定の実施形態では、核酸配列を含んでいるベクターは、裸の組み換え型DNAまたはプラスミドを含む。前記構築物の導入は、物理的または化学的に細胞膜を透過性にする任意の方法によって行われ得る。一実施形態では、前記ベクターは、ミニサークルDNAであり、一実施形態では、細菌の複製起源も抗生物質抵抗性マーカーも持たない非ウイルス性遺伝子導入のための超らせんDNA分子である。
【0115】
標準的な組み換え技術を用いたベクターの構築は、当該技術分野では公知である(非特許文献2及び3を参照されたい。両文献は、この参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0116】
一実施形態では、本発明の組成物は、上記の物質を含む。一方、他の実施形態では、本発明の組成物は、実質的に上述の物質から構成される。一方、他の実施形態では、本発明の組成物は、上記の物質から構成される。一部の実施形態では、「含む」なる用語は、ヒト繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド、SHH,Wntなどの上述の活性物質、並びに、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、軟化剤、安定剤などの製薬業界では公知の他の活性物質を含有することを意味する。一部の実施形態では、「実質的に構成する」なる表現は、上記の活性成分だけを有効成分として含むが、上記の活性成分の治療効果に直接的には関与しない安定化や保存のために他の化合物も含み得る組成物を指す。一部の実施形態では、「実質的に構成する」なる表現は、活性成分の放出を容易にするための構成要素を指す。一部の実施形態では、「構成する」なる用語は、活性成分及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する組成物を指す。
【0117】
一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を有する対象において、毛包を形成するか、または毛包の大きさを増大させる。一実施形態では、脱毛は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因する。他の実施形態では、脱毛は、男性型脱毛症に起因する。他の実施形態では、脱毛は、女性型脱毛症に起因する。他の実施形態では、脱毛は、皮膚損傷が原因である。
【0118】
他の実施形態では、本発明の方法は、対象の疾病または疾患を治療、抑制または抑止する。一実施形態では、対象は、はげを含む疾病または疾患を有している。他の実施形態では、対象は、禿げを含む疾病または疾患を有してはいない。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、男性型脱毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、女性型脱毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、円板状紅斑性狼瘡である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、先天性乏毛症である。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、毛孔性扁平苔癬である。
【0119】
他の実施形態では、前記疾病または疾患は、瘢痕化(他の実施形態では、瘢痕性)脱毛症であり、一実施形態では、頭皮領域の瘢痕化に起因する脱毛である。一実施形態では、瘢痕性脱毛症は、一般的に頭皮の頂部に生じ、主に女性に発生する。この症状は、アフリカ系アメリカ人の女性にしばしば生じ、頭毛をきつく編み続ける「コーン巻き」に関連すると考えられている。瘢痕化脱毛症の形態は、毛包の炎症とその後の瘢痕化に関連して、閉経後の女性にも生じる。他の実施形態では、前記疾病または疾患は、当該技術分野で公知の他の禿げを含む疾病または疾患である。
【0120】
他の実施形態では、本発明は、円形脱毛症を治療するための方法を提供する。前記円形脱毛症は、一実施形態では、広範囲に渡って薄くなり残った髪が「島状」になる斑状の脱毛を引き起こす自己免疫疾患である。
【0121】
他の実施形態では、本発明は、一実施形態では髪の毛を抜く強迫神経症である抜毛癖を治療するための方法を提供する。抜毛症の人は特定領域の髪の毛を集中的に抜く傾向があるので、抜毛癖に起因する脱毛は一般的に斑状である。
【0122】
他の実施形態では、本発明は、三角形脱毛症を治療するための方法を提供する。三角形脱毛症は、一実施形態では側頭部の抜毛症であり、場合によっては子供の頃から始まる。この脱毛症は、完全に行われるか、またはわずかの細い髪の毛だけが残る。
【0123】
他の実施形態では、本発明は、休止期脱毛症を治療するための方法を提供する。休止期脱毛症は、一実施形態では、頭毛の大部分が「抜け」段階に移行したときに生じる一般的な種類の脱毛症である。休止期脱毛症は、ホルモン、栄養、薬剤またはストレスに関連して生じる。
【0124】
他の実施形態では、本発明は、成長期脱毛症を治療するための方法を提供する。成長期脱毛症は、一実施形態では、金髪の人物において主に発生する症状であり、頭毛が毛包内にゆるく座っており、くしを通したとき引っ張ったときに容易に抜けてしまう。
【0125】
他の実施形態では、本発明は、頭部白癬を治療するための方法を提供する。頭部白癬は一実施形態では真菌感染症によって引き起こされ、一実施形態では、斑状の落屑に特徴付けられ、広がって髪の毛の破壊、頭皮の発赤、腫れ及び出血をもたらす。
【0126】
他の実施形態では、本発明は、特定の状態(癌、甲状腺疾患、食事中のタンパク質不足、血清中鉄値)または特定の環境刺激(化学療法、放射線治療)に関連する脱毛を治療するための方法を提供する。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、はげに関連する疾病、疾患または症状を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、変性皮膚疾患に関連する疾病、疾患または症状を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、脱毛症に関連する疾病、疾患または病状を治療するための方法を提供する。各疾病、疾患または症状は、本発明の別個の形態を示す。
【0128】
一実施形態では、「治療」は、上述したような標的病態または疾患の予防または軽減を目的とした治療処置または予防措置を意味する。したがって、一実施形態では、治療は、疾病、疾患、病状またはそれらの組み合わせに関連する症状に対しての、直接的な影響、治癒、抑制、抑止、予防、重症度の低減、発病の遅延、症状の軽減を含む。したがって、一実施形態では、「治療」は、とりわけ、進行の遅延、寛解の促進、寛解の誘導、寛解の増大、迅速な回復、他の治療に対する効果の増大または抵抗の低減、あるいはそれらの組み合わせを意味する。一実施形態では、「予防」は、とりわけ、症状の発症遅延、再発の防止、再発の回数または頻度の減少、病状発生間の潜伏期間の長期化、或いはそれらの組み合わせを意味する。一実施形態では、「抑制」または「抑止」は、とりわけ、症状の重症度の低減、現在の症状の重症度の低減、症状の回数の減少、症状の発生率の低減、症状潜伏の低減、症状の改善、二次的症状の減少、二次的感染の減少、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0129】
一実施形態では、症状は一次的である。一方、他の実施形態では、症状は二次的である。一実施形態では、「一次的」は、脱毛症の直接的な結果である症状を意味する。一方、一実施形態では、「二次的」は、一次的要因に由来するまたは一次的要因の結果として生じた症状を意味する。一実施形態では、本発明に使用する化合物及び株は、脱毛症に関連する一次的若しくは二次的な症状または二次的な合併症(一実施形態では脂漏性皮膚炎)を治療する。
【0130】
他の実施形態では、「症状」は、脱毛症の発現であり得、脱毛、禿げ、側頭部の脱毛、斑状の脱毛、変性皮膚疾患またはそれらの組み合わせであり得る。
【0131】
脱毛症及び/または変性皮膚疾患の存在及び重症度を測定する方法は、当該技術分野では公知である。各方法は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0132】
一実施形態では、本発明の方法は、脱毛を有する対象を治療するためのものである。一実施形態では、脱毛は、対象の頭皮において存在する。他の実施形態では、脱毛は、対象の眉において存在する。他の実施形態では、脱毛は、対象の瘢痕化皮膚組織において存在する。瘢痕化皮膚組織は、一実施形態では、対象の頭皮、眉、腕または脚に存在し得る。他の実施形態では、皮膚における他の有毛領域が、本発明の方法により治療される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0133】
一実施形態では、本発明の方法は、前記投与ステップの前に、脱毛領域の表皮を破壊するステップを含む。他の実施形態では、上皮が破壊される。
【0134】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態では、第1のステップ(例えば表皮の破壊)は、第2のステップ(例えば、活性化合物、因子、細胞などの添加)の3〜12日前に行われる。他の実施形態では、前記時間間隔は4〜12日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜12日である。他の実施形態では、前記時間間隔は4〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜9日である。他の実施形態では、前記時間間隔は6〜8日である。他の実施形態では、前記時間間隔は7〜8日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜11日である。他の実施形態では、前記時間間隔は5〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は7〜10日である。他の実施形態では、前記時間間隔は約1週間である。他の実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、一実施形態では表皮破壊後の3〜12日後である、治癒のための痂皮形成の開始時に適用される。一実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、かさぶたを剥がした1日後に適用され、他の実施形態ではかさぶたを剥がした2日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした3日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした4日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした5日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした6日後に、他の実施形態ではかさぶたを剥がした7日後に適用される。他の実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、かさぶたを剥がした1〜4日後に投与される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0135】
一実施形態では、前記破壊するステップは、脱毛領域を物理的、化学的若しくは光学的刺激に曝すことにより行われる。一実施形態では、前記光学的刺激は放射線である。
【0136】
本発明の方法における表皮を破壊するステップは、他の実施形態では、対象の皮膚領域を剥離することにより行われる。他の実施形態では、「剥離する(abrading)」なる用語は、表皮を剥離する行為を意味する。他の実施形態では、「剥離する」なる用語は、こすることを意味する。他の実施形態では、「剥離する」なる用語は、摩擦によってすり減らすことを意味する。一実施形態では、表皮剥離は、ここで使用される条件下で、新たにHF再生を引き起こす。他の実施形態では、表皮層が破壊される。
【0137】
一実施形態では、「剥離(abrasion)」は、皮膚に対する表面的な損傷からなる創傷を意味する。他の実施形態では、「剥離」は、頭皮または皮膚における皮膚が除去された領域を意味する。他の実施形態では、「剥離」は、頭皮または皮膚における表皮及び真皮が除去された領域を意味する。「剥離する」及び「剥離」の各定義は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0138】
一実施形態では、本明細書中で説明されるように、使用される条件下で、本発明の方法による表皮破壊は、対象とする皮膚領域を、毛包が再生される胚期様状態(embryonic-like state)に変換する。他の実施形態では、前記変換後に、対象とする皮膚領域の新しいHFの数及び大きさを操作することが可能な機会が得られる。他の実施形態では、前記機会の間に、中立表皮細胞のHF細胞への分化を促進する化合物または因子を投与することによって、より大きい及びより多数のHFの再生を引き起こすことができる。一実施形態では、剥離された皮膚におけるHFの形態は、胚期のHFの形態と類似しており、発現したマーカーも同様に類似している。
【0139】
他の実施形態では、本発明の方法における切除創傷は、手術道具を使用して作成される。一実施形態では、前記手術道具は、皮膚生検パンチである。他の実施形態では、前記切除創傷は、冷凍処理または冷凍損傷(cryoinjury)によって作成される。冷凍処理または冷凍損傷を用いることは当該技術分野では公知であり、例えば、皮膚専門医によって皮膚を傷つけるのに使用される。一実施形態では、冷凍処理または冷凍損傷は、水膨れを形成する。他の実施形態では、前記水脹れは、再上皮化領域に薬剤あるいは細胞を導入ための「チャンバー(chamber)」として使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0140】
他の実施形態では、本発明の方法における表皮破壊は、目標の皮膚領域から真皮組織をさらに除去する。他の実施形態では、表皮破壊は、目標の皮膚領域から真皮組織を除去しない。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0141】
表皮または表皮層の「破壊」は、他の実施形態では、表皮または表皮層の一部を除去することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層の無傷部分を破壊することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層を穿孔することを意味する。他の実施形態では、表皮層の一部だけを除去する。他の実施形態では、表皮層全体を除去する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層を剥離することを意味する。他の実施形態では、破壊なる用語は、表皮または表皮層に創傷を形成することを意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0142】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、サンドペーパーを含む道具によって行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、レーザーによって行われる。他の実施形態では、前記レーザーは、フラクセルレーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、CO2レーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、エキシマレーザーである。他の実施形態では、前記レーザーは、経上皮損傷の誘導が可能な他の種類のレーザーである。他の実施形態では、前記表皮破壊は、フェルトホイールを使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、手術道具を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、当該技術分野で公知の他の表皮破壊が可能な道具を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、マイクロ皮膚剥離装置を使用して行われる。他の実施形態では、前記表皮破壊は、熱傷処置を含む。
【0143】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、前記表皮の毛包の破壊と、前記表皮の毛包間領域の破壊とを含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、前記表皮の毛包の破壊を含むが、前記表皮の毛包間領域の破壊は含まない。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0144】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、光線ベースの方法を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、可視光線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、赤外線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、紫外線の照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、常用電圧照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、X線照射を含む。他の実施形態では、前記表皮破壊は、当該技術分野で公知の他の種類の照射を含む。
【0145】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、機械的手段を用いて行われる。他の実施形態では、「機械的手段」は、剥離形成を指す。他の実施形態では、前記用語は、創傷形成を指す。他の実施形態では、前記用語は、超音波を指す。他の実施形態では、前記用語は、無線周波数を指す。他の実施形態では、前記用語は、ab電気処理、または電流の使用を指す。他の実施形態では、前記用語は、エレクトロポレーションを指す。他の実施形態では、前記用語は、切除を指す。他の実施形態では、前記用語は、テープストリッピングを指す。他の実施形態では、前記用語は、マイクロ皮膚剥離を指す。他の実施形態では、前記用語は、ピール(peel)の使用を指す。他の実施形態では、前記用語は、当該技術分野で公知の他の種類の機械的手段を指す。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0146】
他の実施形態では、前記表皮破壊は、化学薬品による処理を含む。他の実施形態では、前記化学薬品は、フェノールである。他の実施形態では、前記化学薬品は、トリクロロ酢酸である。他の実施形態では、前記化学薬品は、アスコルビン酸である。他の実施形態では、前記化学薬品は、当該技術分野で公知の他の化学薬品である。
【0147】
他の実施形態では、表皮外傷が、本発明の方法に用いられる。
【0148】
表皮崩壊、剥離及び外傷の各種類は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0149】
一実施形態では、「WIHN」は、上皮層の破壊によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、剥離によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、創傷形成によって引き起こされたHF再生を意味する。他の実施形態では、この用語は、上皮層を破壊した後、中立表皮細胞のHF細胞への分化を促進する化合物または因子を投与することによって引き起こされたHF再生を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0150】
他の実施形態では、本発明の方法の表皮の破壊は、少なくとも約1〜1.5cmの幅の剥離を形成する。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約1cmである。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約1.5cmである。他の実施形態では、前記剥離の幅は少なくとも約2cmである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0151】
他の実施形態では、本発明の方法の切除創傷は、手術で縫合されない。他の実施形態では、前記切除創傷は、二次的治癒によって治癒される。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、表皮破壊の後、絆創膏または包帯と接触されない。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、表皮破壊の後、軟膏と接触されない。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、治癒を促進するために剥離または創傷形成に通常使用される物質、デバイス、軟膏などと接触させない状態で、一定期間に渡って治癒させる。他の実施形態では、前記目標とする皮膚領域は、剥離または創傷の感染を防止するために、剥離または創傷形成に通常使用される物質、デバイス、軟膏などと接触させない状態で、一定期間に渡って治癒させる。他の実施形態では、「一定期間」は、表皮破壊の治癒に要する時間である。他の実施形態では、前記一定期間は、2日〜3週間の任意の時間長さまたは範囲の期間である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0152】
一実施形態では、「後(following)」は、約2日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約3日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約4日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約5日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約7日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約10日後を意味する。一実施形態では、「後」は、約2週間後を意味する。一実施形態では、「後」は、約3週間後を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0153】
他の実施形態では、本発明の方法は、皮膚における発毛すなわち毛包形成が所望される領域を除毛するステップをさらに含む。一実施形態では、前記除毛するステップは、前記表皮破壊ステップの前に行われる。
【0154】
他の実施形態では、除毛は、脱毛(epilation)である。他の実施形態では、除毛は、ワックス脱毛するステップを含む。他の実施形態では、除毛は、プラッキング(plucking)するステップを含む。他の実施形態では、除毛は、研磨材の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、レーザーの使用を含む。他の実施形態では、除毛は、電気分解の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、機械装置の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、チオグリコール酸の使用を含む。他の実施形態では、除毛は、当該技術分野で公知の他の除毛または脱毛方法の使用を含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0155】
他の実施形態では、前記追加的ステップ(除毛またはレチノイドの投与)は、表皮を破壊するステップの前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、表皮を破壊するステップの後、かつ本発明の化合物または因子を添加する前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、分化を促進する化合物または因子の添加と同時に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、分化を促進する化合物または因子を添加した後に行われる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0156】
他の実施形態では、本発明の方法は、対象とする皮膚領域に、局所レチノイドを投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記局所レチノイドは、対象とする皮膚領域における休止中(休止期)のHFを成長期に誘導する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0157】
他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2日〜約3週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約3日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約4日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約1週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約10日前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約2週間前に行われる。他の実施形態では、前記追加的ステップは、前記剥離ステップの約3週間前に行われる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0158】
一実施形態では、本発明の方法は、アンドロゲンのアンタゴニストまたはアンドロゲン受容体のアンタゴニストを投与するステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、5α還元酵素II型阻害剤を投与するステップをさらに含む。
【0159】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、抗アンドロゲン化合物を接触させるステップをさらに含む。一実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フィナステライドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フルリジル(Fluridil)(登録商標)である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、デュタステライドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、スピロノラクトンである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、酢酸シプロテロンである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、ビカルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、フルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、ニルタミドである。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、アンドロゲン受容体の阻害剤である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物は、当該技術分野で公知の他の抗アンドロゲン化合物である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0160】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン化合物を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン受容体アゴニストを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、エストロゲン類似体を接触させるステップをさらに含む。一実施形態では、前記エストロゲン類似体は、エストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、17βエストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、17αエストラジオールである。他の実施形態では、前記エストロゲン類似体は、ZYC3である。他の実施形態では、前記抗アンドロゲン化合物、エストロゲン受容体アゴニスト、またはエストロゲン類似体は、当該技術分野で公知の他の抗アンドロゲン化合物、エストロゲン受容体アゴニスト、またはエストロゲン類似体である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0161】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFタンパク質の阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFRの阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFタンパク質またはEGFRの発現を減少させる化合物を接触させるステップをさらに含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0162】
他の実施形態では、EGFまたはEGF受容体の阻害剤は、パニツムマブ(panitumumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、AG1478である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ニモツズマブ(nimotuzumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、EGFまたはEGFRと結合する抗体である。他の実施形態では、前記阻害剤は、HuMax EGFR(登録商標)(Genmab, Copenhagen, Denmark)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、セツキシマブ(cetuximab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、IMC 11F8である。他の実施形態では、前記阻害剤は、マツズマブ(matuzumab)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、SC 100である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ALT 110である。他の実施形態では、前記阻害剤は、PX 1032である。他の実施形態では、前記阻害剤は、BMS 599626である。他の実施形態では、前記阻害剤は、MDX 214である。他の実施形態では、前記阻害剤は、PX 1041である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGF受容体の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0163】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGF受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害する阻害剤を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、前記阻害剤は、ゲフィチニブ(gefitinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、エルロチニブ(erlotinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、カナーニチブ(canertinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、レフルノミド(leflunomide)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、A77 1726である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ペリニチブ(pelitinib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、ZD 1839である。他の実施形態では、前記阻害剤は、CL 387785である。他の実施形態では、前記阻害剤は、EKI 785である。他の実施形態では、前記阻害剤は、バンデタニブ(vandetanib)である。他の実施形態では、前記阻害剤は、当該技術分野で公知の他のEGF受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害剤である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0164】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、EGFまたはEGF受容体のアンタゴニストを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、ポテト(PCI)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体に由来するカルボキシペプチダーゼ阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、スプラウティ(Sprouty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、アルゴス(Argos)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、レフティ(lefty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRを識別する抗体またはその断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRと結合してその活性を減少させる小分子阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、CRM197である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、IMC−C225(ImClone Systems, New York, NY)である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGFRのアンタゴニストである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0165】
他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、ポテト(PCI)タンパク質由来のカルボキシペプチダーゼ阻害剤またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、スプラウティ(Sprouty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、アルゴス(Argos)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、レフティ(lefty)タンパク質またはその相同体、断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRを識別する抗体またはその断片若しくは類似体である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、EGFまたはEGFRと結合してその活性を減少させる小分子阻害剤である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、CRM197である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、IMC−C225(ImClone Systems, New York, NY)である。他の実施形態では、前記EGFまたはEGFRアンタゴニストは、当該技術分野で公知の他のEGFまたはEGFRのアンタゴニストである。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0166】
本発明の方法及び組成物の前記EGFRは、他の実施形態では、次の配列を有する。
【0167】
MRPSGTAGAALLALLAALCPASRALEEKKVCQGTSNKLTQLGTFEDHFLSLQRMFNNCEVVLGNLEITYVQRNYDLSFLKTIQEVAGYVLIALNTVERIPLENLQIIRGNMYYENSYALAVLSNYDANKTGLKELPMRNLQEILHGAVRFSNNPALCNVESIQWRDIVSSDFLSNMSMDFQNHLGSCQKCDPSCPNGSCWGAGEENCQKLTKIICAQQCSGRCRGKSPSDCCHNQCAAGCTGPRESDCLVCRKFRDEATCKDTCPPLMLYNPTTYQMDVNPEGKYSFGATCVKKCPRNYVVTDHGSCVRACGADSYEMEEDGVRKCKKCEGPCRKVCNGIGIGEFKDSLSINATNIKHFKNCTSISGDLHILPVAFRGDSFTHTPPLDPQELDILKTVKEITGFLLIQAWPENRTDLHAFENLEIIRGRTKQHGQFSLAVVSLNITSLGLRSLKEISDGDVIISGNKNLCYANTINWKKLFGTSGQKTKIISNRGENSCKATGQVCHALCSPEGCWGPEPRDCVSCRNVSRGRECVDKCNLLEGEPREFVENSECIQCHPECLPQAMNITCTGRGPDNCIQCAHYIDGPHCVKTCPAGVMGENNTLVWKYADAGHVCHLCHPNCTYGCTGPGLEGCPTNGPKIPSIATGMVGALLLLLVVALGIGLFMRRRHIVRKRTLRRLLQERELVEPLTPSGEAPNQALLRILKETEFKKIKVLGSGAFGTVYKGLWIPEGEKVKIPVAIKELREATSPKANKEILDEAYVMASVDNPHVCRLLGICLTSTVQLITQLMPFGCLLDYVREHKDNIGSQYLLNWCVQIAKGMNYLEDRRLVHRDLAARNVLVKTPQHVKITDFGLAKLLGAEEKEYHAEGGKVPIKWMALESILHRIYTHQSDVWSYGVTVWELMTFGSKPYDGIPASEISSILEKGERLPQPPICTIDVYMIMVKCWMIDADSRPKFRELIIEFSKMARDPQRYLVIQGDERMHLPSPTDSNFYRALMDEEDMDDVVDADEYLIPQQGFFSSPSTSRTPLLSSLSATSNNSTVACIDRNGLQSCPIKEDSFLQRYSSDPTGALTEDSIDDTFLPVPEYINQSVPKRPAGSVQNPVYHNQPLNPAPSRDPHYQDPHSTAVGNPEYLNTVQPTCVNSTFDSPAHWAQKGSHQISLDNPDYQQDFFPKEAKPNGIFKGSTAENAEYLRVAPQSSEFIGA(遺伝子バンクアクセス番号:NM_005228;配列ID番号:8)。他の実施形態では、EGFRは、遺伝子バンク登録番号:NM_201282、NM_201283、NM_201284、BC094761、AF288738、AY588246、AY573061、X17054、AF125253、U48722、K03193及びAY698024に記載されている配列から選択された配列を有する。他の実施形態では、EGFRは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、EGFRの生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0168】
本発明の方法及び組成物の前記EGFは、他の実施形態では、次の配列を有する。
【0169】
MLLTLIILLPVVSKFSFVSLSAPQHWSCPEGTLAGNGNSTCVGPAPFLIFSHGNSIFRIDTEGTNYEQLVVDAGVSVIMDFHYNEKRIYWVDLERQLLQRVFLNGSRQERVCNIEKNVSGMAINWINEEVIWSNQQEGnTVTDMKGNNSHILLSALKYPANVAVDPVERFIFWSSEVAGSLYRADLDGVGVKALLETSEKITAVSLDVLDKRLFWIQYNREGSNSLICSCDYDGGSVHISKHPTQHNLFAMSLFGDRIFYSTWKMKTIWIANKHTGKDMVRINLHSSFVPLGELKVVHPLAQPKAEDDTWEPEQKLCKLRKGNCSSTVCGQDLQSHLCMCAEGYALSRDRKYCEDVNECAFWNHGCTLGCKNTPGSYYCTCPVGFVLLPDGKRCHQLVSCPRNVSECSHDCVLTSEGPLCFCPEGSVLERDGKTCSGCSSPDNGGCSQLCVPLSPVSWECDCFPGYDLQLDEKSCAASGPQPFLLFANSQDIRHMHFDGTDYGTLLSQQMGMVYALDHDPVENKIYFAHTALKWIERANMDGSQRERLIEEGVDVPEGLAVDWIGRRFYWTDRGKSLIGRSDLNGKRSKIITKENISQPRGIAVHPMAKRLFWTDTGINPRIESSSLQGLGRLVIASSDLIWPSGITIDFLTDKLYWCDAKQSVIEMANLDGSKRRRLTQNDVGHPFAVAVFEDYVWFSDWAMPSVIRVNKRTGKDRVRLQGSMLKPSSLVVVHPLAKPGADPCLYQNGGCEHICKKRLGTAWCSCREGFMKASDGKTCLALDGHQLLAGGEVDLKNQVTPLDILSKTRVSEDNITESQHMLVAEIMVSDQDDCAPVGCSMYARCISEGEDATCQCLKGFAGDGKLCSDIDECEMGVPVCPPASSKCINTEGGYVCRCSEGYQGDGIHCLDIDECQLGVHSCGENASCTNTEGGYTCMCAGRLSEPGLICPDSTPPPHLREDDHHYSVRNSDSECPLSHDGYCLHDGVCMYIEALDKYACNCVVGYIGERCQYRDLKWWELRHAGHGQQQKVIVVAVCVVVLVMLLLLSLWGAHYYRTQKLLSKNPKNPYEESSRDVRSRRPADTEDGMSSCPQPWFVVIKEHQDLKNGGQPVAGEDGQAADGSMQPTSWRQEPQLCGMGTEQGCWIPVSSDKGSCPQVMERSFHMPSYGTQTLEGGVEKPHSLLSANPLWQQRALDPPHQMELTQ(遺伝子バンクアクセス番号:NM_001963;配列ID番号:9)。他の実施形態では、EGFは、遺伝子バンク登録番号:BC093731、AY548762及びX04571に記載されている配列から選択された配列を有する。他の実施形態では、EGFは、上記の遺伝子バンク登録番号の1つに記載されている配列を有する核酸分子によってコードされている。他の実施形態では、EGFの生物活性断片が本発明の方法に使用される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0170】
他の実施形態では、本発明の方法は、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質を接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質をコードするヌクレオチドを接触させるステップをさらに含む。他の実施形態では、目標の皮膚領域に、ヘッジホッグタンパク質の活性剤を接触させるステップをさらに含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0171】
一実施形態では、本発明の方法は、5α還元酵素II型阻害剤を投与するステップをさらに含む。5α還元酵素II型阻害剤は、一実施形態ではフィナステライドであり、他の実施形態ではツロステライド(turosteride)である。
【0172】
他の実施形態では、本発明の方法は、還元酵素阻害剤を投与するステップをさらに含む。還元酵素阻害剤は、一実施形態ではFCE二重阻害剤(一実施形態では、FCE 28260;FCE 28175またはFCE 27837)であり、他の実施形態ではMK阻害剤(一実施形態ではMK 0434、MK 0963またはMK 386)であり、他の実施形態ではFK非ステロイド性阻害剤(一実施形態ではFK 143)であり、他の実施形態ではLY非ステロイド性阻害剤(一実施形態ではLY 191704)であり、他の実施形態ではSK&F阻害剤(一実施形態ではSK&F 105657)である。
【0173】
他の実施形態では、本発明の方法は、追加の組成物を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記組成物は、デュタステライド(Dutasteride)(Avodart(登録商標)、GI198745)、ファイナステライド(Finasteride)(Propecia(登録商標)、Proscar(登録商標))、ツロステライド、アゼライン酸、硫酸亜鉛、CS 891またはそれらの組み合わせである。
【0174】
他の実施形態では、本発明の方法は、抗アンドロゲン剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記抗アンドロゲン剤は、スピロノラクトン(Spironolactone)(Aldactone(登録商標))、フルタミド(Spironolactone)(Euflex(登録商標)、Eulexin(登録商標))、カソデックス、イノコテロン、RUアンチアンドロゲン、TZP−4238、Win 49596、フルリジル(Eucapil(登録商標))またはそれらの組み合わせである。
【0175】
他の実施形態では、本発明の方法は、カリウムチャンネル開口剤(K+ Channel Opener)を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記カリウムチャンネル開口剤は、ミノシジル(Rogaine(登録商標))、ジアゾキシド、クロマカリム、ピナシジルまたはそれらの組み合わせである。
【0176】
他の実施形態では、本発明の方法は、血管拡張剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、前記血管拡張剤は、ミノシジル(Rogaine(登録商標))である。
【0177】
他の実施形態では、本発明の方法は、エストロゲン遮断剤(estrogen blocker)を投与するステップをさらに含む。前記エストロゲン遮断剤は、一実施形態では、ICIエストロゲン遮断剤である。
【0178】
本発明の方法の対象は、一実施形態ではヒトである。他の実施形態では、前記対象は齧歯動物であり、一実施形態ではマウス、他の実施形態ではラットである。他の実施形態では、前記対象は哺乳類である。他の実施形態では、前記対象は脊髄動物である。他の実施形態では、前記対象は、ネコ、イヌ、ヒツジまたはウシである。他の実施形態では、前記対象はオスである。他の実施形態では、前記対象はメスである。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野では公知の他の対象である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0179】
他の実施形態では、前記対象は大人である。一実施形態では、「大人」は、約18歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約20歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約25歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約30歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約35歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約40歳以上を意味する。他の実施形態では、「大人」は、約45歳以上を意味する。
【0180】
他の実施形態では、前記対象は高齢者である。他の実施形態では、「高齢者」は、約45歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約50歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約55歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約60歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約65歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約70歳以上を意味する。他の実施形態では、「高齢者」は、約75歳以上を意味する。
【0181】
他の実施形態では、前記第1の対象は、あるいは適用される場合は前記第1の対象と前記第2の対象の両方は実験動物である。他の実施形態では、前記対象はマウスである。他の実施形態では、前記対象はラットである。他の実施形態では、前記対象はアレチネズミ(gerbil)である。他の実施形態では、前記対象はハムスターである。他の実施形態では、前記対象はテンジクネズミ(guinea pig)である。他の実施形態では、前記対象は、ウサギである。他の実施形態では、前記対象はブタである。他の実施形態では、前記対象はイヌである。他の実施形態では、前記対象はネコである。他の実施形態では、前記対象は霊長類である。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野で公知の他の実験動物である。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0182】
一実施形態では、前記対象に、FGF9(他の実施形態ではFGF9を含む組成物)を接触させる。他の実施形態では、FGF9またはFGF9を含む組成物が対象に投与される。
【0183】
ここで用いられる「接触」なる用語は、一実施形態では、頭皮や眉などに、化合物、因子、細胞などを接触させることを意味する。他の実施形態では、この用語は、化合物、因子、細胞などを、目標の皮膚領域に埋め込むことを意味する。他の実施形態では、この用語は、化合物、因子、細胞などを、目標の皮膚領域に注入することを意味する。他の実施形態では、この用語は、当該技術分野で公知の他の種類の接触を意味する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0184】
他の実施形態では、本発明の方法における接触させるステップは、化合物、RNA、タンパク質などを目標の皮膚領域に直接的に接触させることを含む。他の実施形態では、本発明の方法における接触させるステップは、化合物、RNA、タンパク質などを対象の他の部位または組織に接触させた後、生物学的過程によって目標の皮膚領域へ移送するという間接的な接触を含む。前記生物学的過程としては、例えば、液体(血液、リンパ液、間質液など)内での循環、拡散、または能動輸送などがある。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0185】
一実施形態では、他の繊繊維芽細胞増殖因子を、本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10またはそれらの組み合わせを本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1〜FGF10の全てが、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に結合する。一実施形態では、FGF1は酸性繊維芽細胞増殖因子として知られており、FGF2は塩基性繊維芽細胞増殖因子として知られている。
【0186】
他の実施形態では、FGF1、FGF12、FGF13またはFGF14を本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF1、FGF12、FGF13またはFGF14は、FGF相同因子1〜4(FHF1〜FHF4)として知られており、他の実施形態では、FGFに対して明確な機能的差異を有する。一実施形態では、これらの因子は、非常に似ている配列相同性を有しており、一実施形態では、FGFRに結合し、FGFとは無関係の細胞内プロセスに関与する。一実施形態では、このグループは、「iFGF」としても知られている。
【0187】
他の実施形態では、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22またはFGF23を本発明の方法に用いることができる。一実施形態では、FGF15/FGF19、FGF21及びFGF23は、局所性ではなく全身性の効果を有する。
【0188】
(医薬組成物)
【0189】
他の実施形態では、本発明の方法は、FGF9またはSHHの上方制御剤及び/またはその類似体、誘導体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、またはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含んでいる医薬組成物を投与するステップを含む。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0190】
FGF9またはSHHの上方制御剤を含んでいる前記医薬組成物は、他の実施形態では、例えば、局所的、非経口、側癌的(paracanceraly)、経粘膜的、経皮的、経筋肉的、経静脈的、経皮的、経皮下的、経表皮的、経腹膜的、経脳室的、経細動脈的、経脈管的、経膣的、経直腸的または経腫瘍的などの当業者に周知の方法によって対象に投与することができる。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。一実施形態では、投薬計画は、熟練した臨床医によって、治療する疾患の正確な性質、疾患の重症度、患者の年齢及び全身的な身体状態、体重、及び個々の患者の反応に基づいて決定される。
【0191】
他の実施形態では、前記医薬組成物は経口投与される。そのため、前記医薬組成物は、経口投与に適した形態、すなわち固形及び液体製剤として製剤化される。適切な固形経口製剤としては、例えば、タブレット、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。適切な液体経口製剤としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などがある。本発明の一実施形態では、FGF9または本明細書中に示した他のポリペプチドの組成物は、カプセルの形態に製剤化される。他の実施形態では、本発明の組成物は、FGF9または本明細書中に示した他のポリペプチドに加えて不活性担体または希釈剤を含むか、あるいは硬ゲル化カプセルの形態に製剤化される。
【0192】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、身体表面に局所的に投与され、そのため、局所投与に適した形態に製剤化されている。適切な局所製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、滴剤、ペースト、パウダー、エアロゾルスプレー、スポンジ若しくは綿棒に含ませたシロップ若しくは軟膏、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、水中油エマルジョン、または油中水エマルジョンなどがある。投与が容易であるため、クリーム、ローションまたは軟膏は最も有利な局所投与単位形を示し、この場合、前記医薬組成物には液体の薬学的担体が用いられる。これらのクリーム、ローションまたは軟膏は、他の皮膚の洗浄若しくはケア用組成物と共に使用するために、リンスオフ製品(水で洗い流せる製品)かまたはリーブオン製品(皮膚上にそのままにしておくことができる製品)として作製される。好適な実施形態では、前記医薬組成物は、例えばゲルなどの高濃度の形態のリンスオフ製品として投与され、その後、皮膚への刺激を避けるために低濃度のリーブオン製品が投与される。本発明の医薬組成物を組み込んだ製剤を容易に作製することができるこれらの各形態は、当業者には良く理解できるであろう。一実施形態では、FGF9の投与に徐放パッチが使用される。局所投与するためには、FGF9組成物またはその生理学的に許容される派生物(例えば、塩、エステル、N酸化物など)が作製され、薬品担体を用いてまたは用いることなく、生理学的に認容されている希釈液中の溶液、懸濁液または乳濁液として塗布される。
【0193】
軟膏製剤は、使用される基剤(賦形剤)の種類に応じて、脂肪/油型軟膏、乳化軟膏、水溶性軟膏、及び懸濁化軟膏に大別される。軟膏は、例えば、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ワックス、樹脂、プラスチック、グリコール、高級アルコール、グリセロール、水、乳化剤、懸濁化剤、または、希釈剤、担体または賦形剤としての他の適切な添加物を含有し得る。軟膏の製造は、例えば、本発明の化合物を適切な希釈剤、担体または賦形剤に添加した後に互いに混合させ、均一な混合物を作製することを含む。
【0194】
非経口投与の場合、入手可能な滅菌溶液、特に油性または水性の溶液、並びに、懸濁液、乳濁液またはインプラント(座薬や浣腸剤など)などが特に好適である。アンプルは従来の単位剤形である。前記座薬は、本明細書中で説明した任意の物質を含有し得る。
【0195】
吸入投与の場合、適切な担体の存在下で混合し、エアロゾル化または噴霧化させた前記組成物の溶液または懸濁液が好適である。前記エアロゾルは、本明細書中で説明した任意の物質を含有し得る。
【0196】
経腸的投与の場合、タブレット、糖衣錠、液体、ドロップまたはカプセルが特に好適である。一実施形態では、経腸的投与用にシロップ剤、エリキシル剤などを使用する場合は、甘味賦形剤が用いられる。
【0197】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体としては、他の実施形態では、水性若しくは非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、または油がある。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び注入可能な有機エステル(オレイン酸エチルなど)がある。水性担体としては、他の実施形態では、水、アルコール性/水性溶液、乳濁液、または生理食塩水、緩衝化媒体を含む懸濁液がある。油の例としては、石油、動物性油、植物性油、または合成油がある(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0198】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、ペレットの皮下埋め込みにより投与される。他の実施形態では、前記ペレットは、長期間に渡るFGF9の制御放出を提供する。
【0199】
一実施形態では、前記医薬組成物は、制御放出組成物、すなわち投与後にFGF9組成物が長期間に渡って放出される組成物である。制御すなわち持続放出組成物は、他の実施形態では、脂溶性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)である。他の実施形態では、前記医薬組成物は、即時放出組成物、すなわち投与後にFGF9組成物が即座に放出される組成物である。持続放出または指定放出組成物を製剤化することができる。例えば、リポソームまたは前記活性化合物を、差動的に分解可能なコーティング、例えば、マイクロカプセル化や多層コーティングなどで保護したものである。また、新たな化合物を凍結乾燥させ、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射用製品の調製のために使用することも可能である。
【0200】
一実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に許容可能なものである。一実施形態では、「薬学的に許容可能な」なる用語は、安全であり、かつ本発明に使用される有効量の少なくとも1つの化合物の所望の投与経路に適切な送達を提供するいかなる製剤をも指す。該用語は緩衝製剤の使用も指し、この場合、pHは、化合物の安定性及び投与経路に従って、pH4.0からpH9.0の範囲の特定の所望の値に維持される。
【0201】
一実施形態では、本発明の方法において使用されるFGF9またはSHHの上方制御剤は、単独であるいは或る組成物内で投与することができる。別の実施形態では、従来の賦形剤、すなわち、活性化合物と有害に反応しない、非経口的、経腸的(例えば、経口的)、または局所適用に好適な薬学的に許容可能な有機または無機担体物質と混合させた、FGF9またはSHHの上方制御剤を含む組成物を使用することができる。一実施形態では、好適な薬学的に許容可能な担体には、これらに限定されないが、水、食塩水、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、白色パラフィン、グリセロール、アルギン酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。他の実施形態では、前記医薬調製物は滅菌することができ、所望に応じて、活性化合物と有害に反応しない、助剤(例えば、滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、香味剤及び/または芳香剤など)と混合させることができる。他の実施形態では、これらは、所望する場合、例えば、ビタミンといった他の活性薬剤と組み合わせることもできる。
【0202】
一実施形態では、本発明の治療用組成物は、FGF9組成物と、脱毛症などの皮膚疾患の予防または治療に有効な1以上の追加の化合物とを含む。一実施形態では、前記追加の化合物は、保湿剤または皮膚軟化剤であり、一実施形態では、ワセリン、白色ワセリン、硬化植物油、親水性ワセリン、パンテノール、月見草油、オメガ−3魚油、オメガ−6魚油、リノール酸、亜麻油、セラミド、ルリヂサ油(リノール酸)トコフェロール(ビタミンE)、リノール酸トコフェロール、ジメチコーン、グリセリンまたはそれらの組み合わせである。一実施形態では、保湿剤は、皮膚が他の投与された化合物、とりわけ、本発明に用いられる化合物を吸収する能力を向上させる。他の実施形態では、保湿剤は、皮膚が乾燥したりひび割れたりすることを最小限に抑えるかまたは予防し、遊離基を生成する環境因子に対する皮膚の感受性を低下させ、それにより、皮膚に対する追加的なダメージを防止する。
【0203】
他の実施形態では、前記追加の化合物は、局所性ステロイド(一実施形態ではヒドロコルチゾンであり、一実施形態では1%のヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾンまたはトリアムシノロン・アセトニドあるいはそれらの組み合わせ)、経口ステロイド、局所性免疫刺激剤(とりわけ、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシン、シクロスポリンまたはそれらの組み合わせ)、抗ヒスタミン剤(一実施形態では、ヒドロキシジンまたは塩酸ジフェンヒドラミン)、ケトチフェン、ドクサピン、一実施形態では、アメビブ(アレファセプト)、エンブレル、ヒュミラ、ラプティバ、レミケードまたはそれらの組み合わせを含む生物製剤、あるいはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は抗生物質であり、一実施形態では、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロキサシリン、セファレキシン、ペニシリン、クリンダマイシンまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、メトトレキサート、タール、コールタール、アントラリン、ドボネックス、サリチル酸、タゾラック、湿潤剤、アロエ、ソリアタン、アキュタン、ハイドラ、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン、6−チオグアニンまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、一実施形態ではヘルペス性湿疹の患者に特に有効であるアシクロビルを含む。一実施形態では、脂漏性皮膚炎を治療するための追加の化合物は、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、硫黄、タールシャンプー、フルオシノロンアセトニド溶液、トリアムシノロンアセトニド溶液、ケトコナゾールクリームまたはそれらの組み合わせを含む。
【0204】
他の実施形態では、前記追加の化合物は抗炎症薬であり、一実施形態では、アリピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンまたはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は、プロスタグランジンまたはプロスタグランジン阻害剤であり、一実施形態では、PGD2の阻害剤である。
【0205】
他の実施形態では、前記追加の化合物はエクスフォリアントであり、一実施形態では、酵素的エクスフォリアントまたはモノ若しくはポリヒドロキシ酸である。一実施形態では、前記エクスフォリアントは、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、タンニン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、前記追加の化合物は、鎮痛剤または麻酔剤であり、他の実施形態では、前記追加の化合物は、アロエゲル、アロエ、甘草エキス、パイルウォート(pilewort)、カナダ柳の根、亜鉛、アラントインまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、前記追加の化合物は、抗酸化剤である。
【0206】
ある実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、10ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、20ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、40ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、80ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、5ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、3ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1〜50ng/mLの濃度で投与される。他の実施形態では、線維芽細胞増殖因子9タンパク質が、1〜15ng/mLの濃度で投与される。各投与量は、別個の実施形態に相当する。
【0207】
一般的に、上述した目的に用いられる投与量は様々であり得るが、所望の効果を発揮するための有効量で用いられる。ここで使用される「薬学的な有効量」なる用語は、患者の症状を軽減するかまたは他の所望の表現形をもたらすための、FGF9または本発明に使用される他の組成物の量を指す。上述の目的のいずれかに用いられる前記投与量は、一般的に、身体体重の1〜1000mg/kgであり得、一日当たり1〜4回投与されるか、あるいは持続的静脈注入によって投与される。一実施形態では、上述した疾患のための単回投与または分割投与における局所的な1日用量の範囲は、約1mg〜20,000mg、より好ましくは約2,000mg〜16,000mg、最も好ましくは約6,000mg〜10,000mgの活性成分(すなわち、賦形剤及び担体を除く量)である。前記組成物が局所にまたは眼球内に投与される場合、前記組成物は一般的に、0.1〜約10w/vの範囲の濃度で1日あたり1〜4回投与される。一実施形態では、本発明の方法に使用される前記組成物は、1日2回局所的に投与される。
【0208】
本発明の一実施形態では、前記化合物の濃度は、治療する疾患の性質、患者の状態、投与経路、及び前記組成物の個々の忍容性などの様々な因子に左右される。
【0209】
一実施形態では、前記投与ステップは、局所投与により行われる。他の実施形態では、前記投与ステップは、皮下投与により行われる。
【0210】
一実施形態では、本発明の方法の一部として投与される前記化合物は、全身的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、局所的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、表皮下に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、皮下に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、経皮的に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、剥離部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、創傷が誘導された部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、脱毛部位に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、創傷治癒中に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、HF再生の前に投与される。他の実施形態では、前記化合物は、HF再生中に投与される。各可能な形態は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0211】
一実施形態では、前記投与経路は、脱毛症の影響を受けた器官または系に向けられる。例えば、化合物は、脱毛症などの皮膚疾患を治療するために局所的に投与される。他の実施形態では、投与経路は、脱毛症の影響を受けた器官または系以外の器官または系に向けられる。例えば、化合物は、脱毛症などの皮膚疾患を治療するために、非経口で投与される。このようにして、本発明は、FGF9または本発明に使用される他の組成物を、上記に列挙した経路のいずれかを用いて投与するのに好適な様々な投与形態で提供する。
【0212】
一実施形態では、化合物を試験する本発明の方法は、統計的に有意なサンプルが試験されるまで、複数の対象を用いて繰り返される。
【0213】
一実施形態では、FGF9は、胚組織における毛芽形成を増加させるが、毛芽形成に必須ではない。一実施形態では、FGF9は、表皮破壊後の成体組織における毛包形成及び/または大きさ増大に必須である。
【0214】
一実施形態では、胚毛芽形成のためのまたは創傷誘導性の毛包再生のためのシグナル伝達経路は、1以上の構成要素を共有する。他の実施形態では、胚毛芽形成のためのまたは創傷誘導性の毛包再生のためのシグナル伝達経路は、同一ではない。したがって、一実施形態では、FGF9は、WIHFにおける毛包形成に必須であるが、ED13.5中は必須ではない。
【0215】
他の実施形態では、発毛信号のためのシグナル伝達経路は、身体の互いに異なる部分において互いに異なる。したがって、一実施形態では、胚毛芽形成及び創傷誘導性の毛包再生は、それらの各々の成長段階及び身体における位置の違いに起因して、それらのFGFに対する依存に応じて互いに異なる。
【0216】
一実施形態では、FGF9と創傷治癒との組み合わせは、発毛促進剤としての効果を高める。一実施形態では、FGFのみの適用により、表皮肥厚が引き起こされる。
【0217】
他の実施形態では、本発明は、対象の脱毛を治療するためまたは毛包を再生させるための方法であって、前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、該方法は、ガンマ・デルタT細胞を創傷表皮に補充するステップをさらに含む。例示的な方法では、該方法は、サイトカインを介してガンマ・デルタT細胞を創傷表皮に補充するステップをさらに含む。
【実施例】
【0218】
実験の詳細
【0219】
<除毛及び表皮剥離>
【0220】
背部を毛刈りしてNair(Carter-Wallace, New York, NY)で除毛する前のマウスに、ペントバルビタールナトリウムを注射して麻酔した。その後、「Argyris T, J Invest Dermatol, 75: 360-362, 1980」に開示されているようにして、回転フェルトホイールを使用して表皮を除去した。70%エタノールで洗浄して白熱ランプ下で乾燥させた後、Dremel Moto-tool(Racine, WI)上に設置されたフェルトホイールで、毛包間表皮の(1.5cm)2cmの領域における基底層及び基底上層を慎重に剥離して除去した。剥離後、皮膚はつやがあり滑らかで、出血は見られなかった。1日後、剥離した領域はフィブリンのかさぶたで覆われていた。かさぶたは3〜7日後に剥がれ落ち、新たに再生された表皮が露出した。毛包間表皮が完全に除去されているかどうかを顕微鏡で確認するために、表皮剥離の直後に対照マウス群を屠殺した。
【0221】
<穿孔創及び切除創の形成>
【0222】
21日齢のマウスの背部を、実施例1で説明するようにして除毛し、アルコールで消毒し、続いて1%ヨード溶液で消毒した。皮膚生検パンチを使用して、筋膜までの(筋膜は穿通しない)直径4mmの穿孔創を形成した。切除創は、全層に渡っており、その直径は1cmであった。先端の尖った手術用ハサミを使用して皮膚及び皮筋を切除した。
【0223】
<免疫組織化学>
【0224】
皮膚サンプルを、PBS緩衝10%ホルマリンで固定した。厚さ6ミクロンのパラフィン切片を切断し、(該当する場合は)抗体で染色した。
【0225】
<ホールマウント及び免疫蛍光法>
【0226】
新鮮な皮膚をEDTA(20mM PBS)を使用して37℃で一晩培養し、その後、表皮及び真皮を分離することでHFのホールマウント(whole mount)を得た。次に、表皮を室温(RT)で10分間、10%ホルマリンで固定した。真皮を室温で一晩、アセトン固定した。PBSで洗浄した後に、免疫組織化学の抗体でホールマウントを染色し(図12に模式的に示す)、Leica共焦点顕微鏡を使用して撮像した。
【0227】
<統計>
【0228】
毛包数は、平均±標準偏差で表す。Excelのスチューデント両側t検定機能を用いてP値を計算した。
【0229】
<胎児マウスの皮膚の培養プロトコル>
【0230】
以下の材料、すなわち、センターウェルディッシュ(Fisher 08-772-12);金属グリッド(Goodfellow 688-485-21);ニトロセルロースフィルタ(Millipore AABP04700);培地:DMEM+5%FBS+1×Pen/Strepを用いた。
【0231】
妊娠13.5日目のタイミング妊娠(timed pregnant)母マウス(Charles-River)を発注した。2ml培地/ディッシュを備えるセンターウェルディッシュを用意した。センターウェル内に金属グリッドをセットした。培地が37℃まで温められるようにディッシュをインキュベータへ格納した。ニトロセルロースフィルタを複数の矩形に切断し、熱板上のdH2Oビーカーに入れた。水を沸騰させて、その後、フィルタを10分間煮沸消毒した。
【0232】
2枚の無菌PBS添加ペトリディッシュを準備した。母マウスを安楽死させ、嚢に入っている胎児を解剖して取り出した。胎児を1枚のペトリディッシュ内に載置した。胎児を嚢から解剖して取り出し、無菌PBSを含んでいる別の無菌の添加ペトリディッシュ内に載置した。胎児のディッシュを氷上に載置した。無菌PBSを含んでいる無菌のペトリディッシュ中で、手術用顕微鏡下で、胎児から背部の皮膚を解剖して取り出した。
【0233】
定規を使用して胎児の頭殿長をチェックし、E13.5段階(〜10−10.3mm)にあることを確認した。ミクロ解剖用ハサミを使用して、胎児の頭を取り除いた。より小さなミクロ解剖用ハサミを使用して、体肢上で背部の両側に沿って切開した。尾部の前方で背部を横断する第3の切開を行った。先端の尖ったDumontピンセットを使用して、尾部から頭に向かって皮膚を剥がした。皮膚を、ニトロセルロースフィルタの黒い面に、できるだけ平らに置いた。皮膚が液体と空気の界面にくるように、ニトロセルロースフィルタを金属グリッド上に載置した。ディッシュを37℃で培養した。全ての皮膚を解剖したとき、化合物を培地に加え(必要であれば)、インキュベータに戻した。皮膚を最長で3日間培養した。プラコードが、E14.5に形成され始めた。
【0234】
実施例1:毛芽形成の前期に発現されるFGF9
【0235】
再生された表皮におけるFGF9 mRNA発現を、定量的リアルタイムPCRによって評価した。FGF9は、毛包が形成されたかさぶた剥離後5日目と比較して、かさぶた剥離(scab detachment:SD。再上皮化時に起こる)後1日目の毛包再生の最初期段階前に、より高いレベルで発現された(図1)。皮膚γδT細胞(γδTC受容体に対する抗体を用いて免疫染色によって検出される)はSD7までに再上皮化された表皮を再配置し(図2の左の図)、これらの細胞はSD1にFGF9タンパク質を発現する(表皮における赤い樹状細胞,図2の右の図及び図3)。
【0236】
このように、FGF9は、分化中ではなく毛芽形成前(未分化期間中)に選択的に発現された。皮膚γδT細胞は、FGF9のソースであるように見え、このことは、炎症細胞が創傷誘導性毛包再生(Wound-induced hair follicle neogenesis:WIHN)に関与し得ることを示唆している。
【0237】
実施例2:胎生14日目(E14)の皮膚において発現されるFGF9
【0238】
FGF9(赤色染色)は、胎生14日目(E14)の皮膚においてγδTC(緑色染色)によって発現される(図4)。
【0239】
実施例3:FGF9は創傷誘導性毛包再生(WIHN)に関与する
【0240】
成体マウスにおける抗FGF9中和実験
【0241】
3週齢(成体)のC57BL/6マウスに、上記したような創傷モデルを適用した。その後、SD1−SD4日目に、マウスに、50μlの10μg/mlの抗FGF9またはIgG2aアイソタイプ対照を表皮下注射した。SD5に、組織サンプルを採取し、分析した。
【0242】
免疫ブロットを用いて、抗FGF9中和抗体の特異性を確認した。マウスFGF9は、198bpを有し、ヒトFGF9との99%以上の相同性を有している(アミノ酸が1つしか違っていない)。FGF9は、単量体形(25−27kd)及び二量体形の両者に存在する。免疫ブロットは、E14.5マウス胎児の全細胞溶解液及び遺伝子組換えhFGF9を含む対照サンプルにおいて、26Kd単量体形及び52Kd二量体形の両者が存在することを示していた(図5)。
【0243】
抗FGF9抗体を注射されたマウスは、SD5に、IgG2a対照と比べると、毛包数がかなり少なかった(図6)。それゆえ、FGF9は、創傷誘導性毛包再生に関与している。
【0244】
毛包の発達段階を、「Paus R et al., J Invest Dermatol 1999」に記載されているようにして定量化した。抗FGF9処理群において、成熟毛包は減少し、未成熟毛包は増加した(図7)。
【0245】
実施例4:FGF9は胎児の皮膚発生に関与する
【0246】
予定妊娠C57BL/6マウスをE13.5に屠殺し、胎児の背部全体の皮膚を解剖した。E13.5の皮膚を、金属グリッドを有するろ紙上で3日間浮遊させた状態で培養した。
【0247】
胎児の皮膚での毛包再生におけるFGF9の役割を究明するために、胎児の皮膚外植片培養を、遺伝子組換えヒト(rh)FGF9(対照:10、20または40ng/mL)によって、あるいは抗FGF9中和抗体(対照:10、20または40μg/mL)またはIgG2aアイソタイプ対照(10、20、40μg/mL)によって、3日間処理した。真皮免疫染色にはアルカリホスファターゼ(AP)を用い(図10)、表皮免疫染色にはK17を用いた(図12)。
【0248】
1サンプル当たり3つの別々の領域で毛芽数を数え、1mm2当たりで評価した(図8)。24時間のrhFGF9処理後に、Shh、Ptchl、Ptch2、GIi1及びGli2に対するq−PCRを行った。
【0249】
<リアルタイムPCRプロトコル>
【0250】
次の材料を使用した。RNeasy(登録商標)線維組織ミニキット(Qiagen,74704);大容量(High capacity)cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,P/N 4368814);Taqman(登録商標)Fast universal PCR master mix(2X)(Applied Biosystems,P/N 4352042);Applied Biosystems StepOne(商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,P/N 4376373);Micro Amp(商標)48ウェル光学用粘着フィルム(Applied Biosystems, P/N 4375928);MicroAmp(商標)48ウェル反応プレート(Applied Biosystems, P/N 4375816)。
【0251】
下記のPCRプライマーを使用した(Applied Biosystems, Taqman(登録商標)遺伝子発現アッセイ)。
【0252】
【表1】
【0253】
<培養した胎児の皮膚サンプルを用いたq−PCRのためのプロトコル>
【0254】
胎児の皮膚培養:E13.5のタイミング妊娠B57BL/6メスマウス(Charles-River)をCO2チャンバ内で安楽死させた。胎児を解剖して取り出し、氷上の無菌冷PBSに入れた。
【0255】
準備:ミリポア社のニトロセルロースメンブレン(0.5×1.0cm2);オートクレーブ金属グリッド;培養ディッシュ(Falconセンターウェル器官培養ディッシュ,35-3037);5%FBS−DMEM(1×ペニシリン/ストレプトマイシン,必ずしもFBSを不活性化させる必要はない)。
【0256】
個々の培養ディッシュ上に、2.5mLの培地を加え、金属網及びニトロセルロースメンブレンをセットした。胎児の背部皮膚を解剖した。頭及び臀部領域を切除した。解剖は、側腹部を貫いて尾頭方向に行った。解剖した背部皮膚を(真皮側を下にして)ミリポア社のメンブレン上に載せた。各濃度に必要とされるサンプルを3つ作製した。皮膚サンプルを5%CO2中で37℃で24時間培養した。
【0257】
RNAの単離及びcDNAの作製
【0258】
皮膚サンプルを20mMのEDTA中で10分間培養した。解剖顕微鏡下で先端の尖ったピンセットを使用して表皮と真皮をそれぞれ分離した。
【0259】
ホモジナイザーを使用してサンプルをバラバラにし、RNeasy(登録商標)線維組織ミニキット(Qiagen, 74704)を使用してメーカーの情報に従って全RNAを抽出した。
【0260】
RNA濃度を分光光度計によって測定し、その後、サーマルサイクラー内のプログラムとともに大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,P/N 4368814)を使用して1μgの全RNAをcDNAに変換した。
【0261】
リアルタイムPCR
【0262】
PCR実行プログラムをセットアップし、StepOneソフトウェアを使用して比較Ct(ΔΔCt)法により反応プレート配置を決めた。標的遺伝子及びβアクチン内在性対照の反応混合物を合わせて3つ作製した。cDNAテンプレートを原液から最終的に2μl中に30−50ngの全cDNA量まで希釈した。
【0263】
反応混合物成分
【0264】
【数1】
【0265】
2.反応プレートを作製する:48ウェル反応プレートに20μl/ウェルの反応体積を加える。プレートは、光学用粘着フィルムで密封する。
【0266】
3.プレートをStepOne機器に装填し、プログラミングされた反応を開始する。
【0267】
4.StepOneソフトウェアを使用して結果を分析し、遺伝子発現の相対的定量データを得る。
【0268】
胎児の皮膚外植片培養(E13.5)の真皮における3日間にわたるrhFGF9処理の効果は投与量依存的であり、10ng/mL及び20ng/mlの投与量は毛芽数/mm2の増加をもたらすが、40ng/mLの投与量は毛芽数/mm2の減少をもたらした(図9〜図10)。その一方で、胎児の皮膚外植片培養(E13.5;図11〜図13)の表皮または真皮における3日間にわたる抗FGF9中和抗体処理の識別可能な効果はなかった。
【0269】
E13.5胎児の皮膚外植片培養を10ng/mLのrhFGF9で24時間処理した結果、ソニック・ヘッジホグ(sonic hedgehog:Shh)、Ptchl、Ptch2及びGIi1を含む胎児の毛包発生のマーカが、特に表皮において増加した(図14〜図15)。
【0270】
線維芽細胞増殖因子9は、治癒後に創傷に注射されると、毛包形成を増加させる。これは、新たな毛包が形成する直前及び最中である。FGF9は、培養物に外植された胎児のマウス皮膚を用いることによって、毛包発生中にも毛包形成を増加させる。これらの発見は、創傷は表皮を外因性因子に応答する「受容可能」状態に変換するという考えをサポートする。
【0271】
実施例5:基底ケラチノサイトにおけるFGF9の過剰発現
【0272】
機能獲得型変異体TRE−fgf9−IRES−eGfp;K5−rtTA(xPtchl−LacZレポーター)(「White et al., Development 133, 1507-1517, 2006」;「Diamond, et al. (2000) J. Invest. Dermatol. 115,788 -794」,両文献は引用を以て本明細書の一部となす)を用いて、毛再生段階における早期FGF9発現が毛包発生を増進することを立証し、FGF9がShhシグナリングの上流にあることを確認する。
【0273】
実施例6:γδT細胞におけるFGF9発現の欠損
【0274】
γδT細胞におけるFGF9発現の欠損は、T細胞標的Lck−Creプロモータを用いてFGF9を選択的に欠損させるために、機能欠失型変異体FGF9 flox/flox;Lck−Creを用いて達成される。Lck−Creは、二重陰性段階での胸腺細胞発生の早期に先ず発現されるLck(リンパ球タンパク質チロシンキナーゼ)遺伝子の近位プロモータを用いる。T細胞が完全に成熟した後、この導入遺伝子の発現レベルは約10倍低下する。この特定のマウス遺伝子は、胸腺における高度な導入遺伝子の発現を示しており、ほぼ全ての初期胸腺細胞においてloxP標的配列に隣接する遺伝子の選択的な欠損をもたらすことが分かっており、それゆえ、二重陰性段階から始まるT細胞系列における特定の遺伝子の欠損に用いられる。ホモ接合Lck−Creマウス系統を、loxPが導入されたFGF9を含む系統と交雑させるので、T細胞系列においてFGF9が欠損した子孫が得られる。対照動物は、ゲノムDNA尾部サンプル中におけるloxPが導入された遺伝子の有無で分類することによって、同腹仔集団において得られる。このシステムについては、「Lee et al., Immunity Nov 2001:15(5) 763-74」により詳細に記載されており、該文献は引用を以て本明細書の一部となす。
【0275】
実施例7:K17−EGFPレポーターマウス
【0276】
新たに発生している毛芽の周りのFGF9産生γδT細胞の蓄積を確認するために、K17−eGFPレポーターマウス(「Bianchi et al., MoI Cell Biol., 2005 August; 25(16): 7249- 7259」、引用を以て本明細書の一部となす)を用いる。
【0277】
実施例8:FGF9は表皮γδT細胞を介して毛包再生を仲介する
【0278】
創傷治癒中の毛包再生に関与する分子メカニズムを理解することは、除毛及び他の皮膚疾患のための新たな治療法を開発する機会をもたらす。ここで、線維芽細胞増殖因子9(Fgf9)が成体マウスの創傷後の毛包形成を調節することがはっきりと示されている。新たに形成された創傷表皮におけるFgf9の強制過剰発現は、ネオジェニック(neogenic)毛包数の2〜3倍の増加をもたらす。注目すべきことには、正常マウスの創傷治癒中に、表皮に存在するγδT細胞が、Fgf9のための主なソースとして働く。Lck−Cre;loxPが導入されたfgf9トランスジェニックマウスを用いたT細胞におけるFgf9遺伝子の特異的欠損は、創傷後の毛包再生の顕著な減少をもたらす。同様に、γδT細胞欠損マウスは、毛包再生の重度障害を示す。全体的に見て、これらの発見は、ヒトと比べのマウスにおける毛包再生のロバスト性を説明し、免疫系と組織再生の重要な関係を浮き彫りにする。
【0279】
材料及び方法:
【0280】
マウス及び創傷。C57BL/6Jマウス(Jackson laboratory)背部皮膚の全層切除(FTE)を、前述したように(1)、ケタミン/ジラジン(zylazine)麻酔下で行った。特に指定のない限り、全ての実験に対して3週齢のマウスを用い、1x1cm2FTEを行った。妊娠13.5日目のタイミング妊娠C57BL/6メスマウス(Charles-River)を、胎児の皮膚外植片培養に利用した。ドキシサイクリン感受性トランス活性化因子を内部に持つK14−rtTAマウスを、TRE−Fgf−IRES−eGfpマウスと交配させた。完全な再上皮化の後、K14−rtTA及びK14rtTA/TRE−Fgf9の両マウスにDox入りの餌(Bio-SERV)を4日間与えた。γδT細胞におけるFGF9発現の欠損は、リンパ球タンパク質チロシンキナーゼ(lck)のT細胞を標的とした近位プロモータを有するLck−Creマウス(Jackson Laboratory)と交配させたFgf9 flox/floxマウスを用いて達成した。Jackson LaboratoryからγδT細胞ヌルマウス(Tcrd−/−)を購入した。全ての動物プロトコルは、ペンシルバニア大学のIACUCによって承認されたものである。
【0281】
ホールマウント毛包再生アッセイ。再上皮化後5日目に、治癒した皮膚を採取した。表皮KRT17免疫染色(1:5000,P. Coulombe)のためのホールマウント毛包再生アッセイ及び真皮NBT/BCIP培養を行い、前述したように創傷領域内の新たな毛芽及び頭髪毛乳頭を同定した。
【0282】
リアルタイムPCR。背部の皮膚はそれぞれ、再上皮化(SD)後のかさぶた剥離後0日目のサンプルまたは1日目、3日目及び5日目の創傷皮膚であった。4℃ディスパーゼで一晩、または37℃、20mMのEDTAで30分間の培養によって、表皮を真皮から分離した。RNeasyミニキット(Qiagen)を使用してRNAを単離し、その後、大容量cDNAキット(Applied Biosystems)を使用して1μgの全RNAをcDNAに変換した。Taqman遺伝子発現アッセイのfgf9を含む全てのプライマーセットは、Applied Biosystemsから購入したものである。反応を3回行い、内部対照としてβアクチンを用いて、相対的な発現レベルを標準化した。結果を、StepOneプログラムを使用して分析した。
【0283】
免疫染色。創傷後の再上皮化された皮膚をOCT(Tissue-Tek)に包理して凍結した。8μm凍結切片上でFGF9(1:200;R&Dシステムズ)及びγδTCR(1:100;GL3,BD Bioscience)に対する染色を行った。BrdU(1:500;Harlan-Seralab)に対する抗体を用いた免疫組織化学を、前述したように行った。パルスチェイス実験のために、サンプル作製の2時間前にBrdU(Sigma)を投与した。
【0284】
DETCの単離及び細胞の活性化。C57BL/6マウスから表皮細胞懸濁液を作製し、20U/mlの遺伝子組換えマウスIL−2(mIL−2)を含む完全DMEM中で37℃で一晩培養し、前述したように表面受容体を再発現させた。PE−γδTCR(GL3, Abeam)及びアロフィコシアニン−Thyl.2(BD Bioscience)染色によるFACS選別によって、DETCを単離した。単離したDETCは、RPMI−1640培地に、10%FCS、25mMのHEPES、100Uのペニシリン、100μgのストレプトマイシン、1mMのグルタミン、100μMの可欠アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、50μMの2−メルカプトエタノール及び20U/mlのmIL−2を補充したものの中で培養した。細胞刺激のために、FCS及びmIL−2を含まない無成長因子培地中で細胞を4時間収集し、その後、上述の培地に抗CD3ε(10μg/ml,eBioscience)を補充したものの中で37℃で4、24及び48時間培養した。氷冷PBSを加えることによって刺激を停止し、サンプルを氷上に載置した。上清を取り除き、溶解バッファを用いて細胞を採取した。遺伝子発現cells-to CT キット(Applied Biosystems)を使用してRNA単離及びそれに続くcDNA産生を行った。
【0285】
ホールマウント表皮γδT細胞染色。8週齢のC57BL/6Jマウスから耳を切り取り、前述したように表皮シートを分離した。表皮シートを、上記した無成長因子培地中または20U/mlのmIL−2を含む完全培地中で、37℃で一晩培養した。その後、表皮をPBS中で洗浄し、−20℃で20分間、氷冷アセトンで固定した。上記したγδTCR及びFGF9の一次抗体を4℃で一晩培養した。次の朝、シートを二次抗体で1時間培養し、シリコンコートされたスライド上にマウントした。
【0286】
インビトロ胎児皮膚培養。E13.5の胎児を嚢から解剖して取り出し、頭殿長をチェックして正確な発育年齢を確認した。背部の皮膚を解剖し、その後、前述したように最長で3日間培養した。遺伝子組換えヒトFGF9(0−20ng/ml,R&Dシステムズ)またはEDAl(50ng/ml,R&Dシステムズ)を陽性対照として培地に加えた。さらに、FGF9中和実験を抗FGF9抗体培養(0−40μg/ml;MAB273,R&Dシステムズ)と平行させた。皮膚サンプルを37℃で5分間20mMのEDTA中で培養することによって、表皮と真皮の分離を行った。組織を均質化し、RNAを単離するかまたは上述したようなホールマウントアッセイのために収集した。各サンプルの3つの異なる領域における1mm2当たりの毛包数を数え、平均値を計算した。
【0287】
成体マウスにおける中和実験。かさぶた剥離によって示される表皮の再上皮化は、FTE後10〜12日で完了した。完全な再上皮化後1日目に、50μlの抗FGF9中和抗体またはIgGアイソタイプ対照(MAB003)を、10μg/mlで、4日間連続で毎日表皮の真下に注射した。その後、5日目に組織を収集し、20mMのEDTA溶液を用いて表皮及び真皮を分離し、それぞれKRT17免疫染色及びアルカリホスファターゼ活性検出のために処理した。再生毛包の数を、表皮内の密度に対して特徴付けた。上述のように毛包の発達段階を定量化した。
【0288】
インビボ共焦点顕微鏡法。毛包再生の動的プロセスを追跡するために、新たに形成された毛包の数の変化を、インビボ共焦点顕微鏡法(Vivascope 1500, Lucid)を用いて定量化した。簡単に説明すれば、治癒した皮膚の周辺部位を毛刈りし、ケタミン/ジラジン麻酔下で粘着性窓(adhesive window)(Lucid)及び超音波伝達ジェル(Parker laboratory)を適用した。新たな毛包を可視化し、その数を表皮と真皮の結合部の真下の位置で数えることができた。再上皮化後2日目とその後2週間にわたって3日毎に数を測定した。
【0289】
<結果>
【0290】
創傷後、毛包再生前に、Fgf9発現は顕著に増加する:創傷後の毛包再生に関与する分子現象を明らかにするために、本願発明者は、再上皮化直後(かさぶた剥離「SD」後1日目及び3日目)から毛包再生の開始(SD5)までの創傷表皮における遺伝子発現を比較した。マイクロアレイ分析は、毛包胚形成前に線維芽細胞増殖因子9(Fgf9)が顕著に(4.2倍)上方制御されたことを示していた。本願発明者はさらに、再上皮化された表皮におけるFgf9遺伝子発現の変化を毛包再生時頃に定量的RT−PCRによって分析した(図16A)。Fgf9遺伝子発現は、再上皮化後、毛包再生の初期段階まで顕著に増加し、毛包再生の初期段階で発現は劇減した。これらの結果は、毛包再生の直前、おそらく細胞が毛包系列に関わっているときに、新たに形成された表皮において、FGF9が上方制御されることを示している。
【0291】
Fgfの阻害は、毛包再生を減少させる。Fgf9は、肺、腎臓及び生殖腺発育における既知の役割を有する分泌リガンドであるが、これまでは毛包の発生または再生に関係してはいなかった。それにもかかわらず、皮膚のFgf9に対する主受容体Fgr3bが、表皮において発現され、創傷後の再生皮膚において上方制御される。創傷後の毛包再生におけるFgf9の重要性に対処するために、本願発明者は、4日間毎日、Fgf9中和抗体を再上皮化された皮膚に注射した(図16b,表2)。抗Fgf9抗体で処理した創傷は、対照と比較して、新たな毛包形成の顕著な減少を示していた。抗FGF9で処理した創傷に形成しなかった毛包は、発生の発達段階にあった(図19)。
【0292】
新たな表皮におけるFgfの強制過剰発現は、毛包形成を増加させる。Fgf9を阻止することにより毛包再生が阻害されたので、本願発明者は、創傷におけるFgf9のレベルの増加が創傷後の毛包再生を促進することになるか否かの答えを探した。本願発明者は、ドキシサイクリン誘導性トランスジェニックマウス(K14rtTAx TRE−Fgf9−IRES−eGfp)を用いて、創傷再上皮化後に表皮へのFgf9発現を誘導的に標的にした。SD1からSD4までのドキシサイクリンの投与は、ドキシサイクリンで処理した対照マウスと比較して、Fgf9発現を150倍に増加させた(図20)。再上皮化後4日間にわたる表皮へのFgf9のこの標的過剰発現は、対照と比較して、毛包数の著しい増加をもたらした(図16c,表2)。
【0293】
【表2】
【0294】
Fgf9発現は、γδT細胞に限局化する。正常マウスの再上皮化された皮膚においてFgf9のソースを同定するために、HFN前に、治癒した皮膚の組織切片を免疫染色した。驚いたことに、本願発明者は、γδT細胞受容体を有している表皮T細胞(DETC)は、表皮を再配置するものであるが、Fgf9を発現することを発見した。DETCは、ケラチノサイトまたは他の上皮常在物からの寄与がほとんどまたは全くない状態で、表皮におけるFgf9の主なソースであるように見える(図17A)。FACSによって単離された基底ケラチノサイト(α6インテグリン陽性)からの以前の遺伝子発現データは、Fgf9発現がないことを示していた(NAT BIOTech paper)。さらにFgf9の起源を確認するために、本願発明者は、非創傷耳表皮をmIL−2で処理し、免疫蛍光法によってFgf9発現のためのホールマウントプレパラートを分析した。IL2誘導性DETCは抗FGF9抗体で濃く染色されたが、隣接するケラチノサイトは背景染色を呈した(図21)。
【0295】
FGF9が皮膚のDETCによって恒常的に発現されるかまたは刺激後に上方制御されるかを判定するため、前述したように皮膚から細胞選別によってDETCを単離し、抗CD3及びIL2によりインビトロで培養した(havren ref)。FGF9 mRNAレベルは、4時間以内に10倍以上増加し、続いて、24時間以内にベースラインレベルまで減少した(図17B)。この急速な上方制御は、創傷治癒中にDETCによって分泌されることが知られている2つの因子であるFGF7及びFGF10の発現に必要な、ずっと長い48時間の誘導期間と対照をなし、特徴的な転写制御機構を示す。
【0296】
DETCは、毛包再生に不可欠である。Fgf9は毛包再生を仲介し、DETCは再上皮化された表皮におけるFgf9の主なソースであるように見えるので、本願発明者は、活性化されたDETCが、再上皮化中に創傷を再配置し、FGF9を分泌して毛包再生を誘発すると仮定する。毛包再生におけるDETCの役割をより明確に定義するために、本願発明者は、これらの細胞を発生しないTcrd−/−マウスの研究を行った。
【0297】
本願発明者は、8週齢または24〜40週齢の年齢をマッチングした野生型マウス及びTcrd−/−マウスに創傷を形成し、毛包再生を定量化した。既報の通り、TCRd−/−マウスは、創傷閉鎖の僅かな遅延を示していたが(データ提示なし)、毛包再生が著しく減少した。FGF9レベルの定量化は、Tcrd−/−マウスにおいてFGF9が一貫して極僅かであることを示していた。
【0298】
図18に示すように、8週齢及び40週齢の−/−マウスは、HFNの深刻な欠陥を示し、wtマウスと比較してHF数が80%以上減少した(図18A,B,表2)。このように、−/−マウスにおけるHF数の減少は、応答動態の遅延よりもむしろ毛包再生の真の欠陥を反映する。
【0299】
上記の発見は、創傷後のDETCの活性化がFGF9の産生及びそれに続く毛包再生をもたらすという仮説を支持するものであった。それにもかかわらず、DETCがFGF9の産生以外の毛包再生に関与し得るという懸念に対処するために、特にT細胞(DETCを含む)においてFGF9遺伝子が欠損している変異(Lck−Cre×Fgf9flox/flox)マウスの創傷後の毛包再生を分析した。定量的RT−PCR分析は、これらのマウスが皮膚において低い恒常的レベルのFGF9を発現することを示していた(図22)。創傷に関する研究は、これらの変異(Lck−Cre×Fgf9flox/flox)マウスの創傷後の毛包数が、TCRd−/−動物で観察された毛包数に比べて劇減したことを示していた(図18E,表2)。
【0300】
まとめると、上述した結果は、DETCが、FGF9の産生を通してHF再生に寄与する不可欠な免疫寄与因子であることを示していた。
【0301】
要約すれば、本願発明者は、DETCがFGF9のソースであることを発見した。さらに、これらの発見は、より多岐にわたる細胞及び分子現象は、厳密に言うと胎児発達の反復発生ではなく、創傷後のHFNに関係していることを示しており、DETCを含む後天免疫系が組織再生に関与するであろうというさらなる証拠を提供する。
【0302】
FGF9及びDETCは、創傷後のHFNに不可欠である。再上皮化表皮におけるFGF9の過剰発現は、毛包形成の増加をもたらした。これらの結果は、創傷治癒中または再上皮化後のFGF9発現の操作が、除毛のための新たな治療法を開発するための有用な手法であり得ることを示している。
【0303】
本明細書では本発明について特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用例の単なる例示でしかないことを理解されたい。従って、例示的な実施形態に対して数多くの変更形態をなすことができること、及び添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに他の構成を考案し得ることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項13に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項25】
対象の脱毛領域の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項37】
対象の脱毛領域の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
前記破壊するステップが、前記対象の毛包の数が少ない真皮を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項44】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法であって、
前記破壊するステップが変性皮膚疾患の領域を物理的若しくは化学的刺激または放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項50】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、
前記破壊するステップがAGAの領域を物理的若しくは化学的刺激または放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項55】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。。
【請求項63】
請求項55に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項55に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項65】
対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項67に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織において毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項75】
対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項77に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項77に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項75に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項75に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項85】
対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項86】
請求項85に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項85に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項85に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項85に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項85に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項91】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項92】
請求項91に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項91に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項91に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項91に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項96】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項96に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項96に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項100】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項102に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項107】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。
【請求項108】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項109】
請求項100に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項110】
請求項100に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項111】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項112】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項113】
対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項114】
請求項113に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項115】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項116】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項117】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項118】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項119】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項120】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織において毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項121】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項122】
請求項113に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項123】
請求項113に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項124】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項125】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項126】
対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項127】
請求項126に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項128】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項129】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項130】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項131】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項132】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項133】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項134】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項135】
請求項126に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項136】
請求項126に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項137】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項138】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項139】
対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項140】
請求項139に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項141】
請求項139に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項142】
請求項139に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項143】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項144】
請求項139に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、前記対象における毛包の数が少ない真皮を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項145】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項146】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項147】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項148】
請求項147に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項149】
請求項147に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項150】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項151】
請求項147に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、変性皮膚疾患の領域を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項152】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項153】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項154】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項155】
請求項154に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項156】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項157】
請求項154に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、変性皮膚疾患の領域を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項158】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項159】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項1】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
脱毛を有する対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項13に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項25】
対象の脱毛領域の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項25に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項37】
対象の脱毛領域の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項37に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
前記破壊するステップが、前記対象の毛包の数が少ない真皮を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項37に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項44】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法であって、
前記破壊するステップが変性皮膚疾患の領域を物理的若しくは化学的刺激または放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項44に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項50】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
(a)前記対象の前記AGAの領域の表皮を破壊するステップと、
(b)繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、
前記破壊するステップがAGAの領域を物理的若しくは化学的刺激または放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項50に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項55】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項55に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。。
【請求項63】
請求項55に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項55に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項65】
対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項67に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織において毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項75】
対象の真皮における毛包の大きさを増加させるための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項77に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項77に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項75に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項75に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項75に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項85】
対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項86】
請求項85に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項85に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項85に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項85に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項85に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項91】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項92】
請求項91に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項91に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項91に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項91に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項96】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチド及びWntポリペプチドを含んでいる組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法であって、
前記WntポリペプチドがWnt7ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項96に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項96に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項100】
対象の脱毛を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛がアンドロゲン性脱毛症(AGA)に起因することを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項102に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が皮膚損傷に起因することを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の頭皮または眉に存在することを特徴とする方法。
【請求項107】
請求項100に記載の方法であって、
前記脱毛が前記対象の瘢痕化皮膚組織に存在することを特徴とする方法。
【請求項108】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項109】
請求項100に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項110】
請求項100に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項111】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項112】
請求項100に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項113】
対象の真皮に毛包を形成するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項114】
請求項113に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項115】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項116】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項117】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項118】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項119】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項120】
請求項113に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織において毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項121】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項122】
請求項113に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項123】
請求項113に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項124】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項125】
請求項113に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項126】
対象の真皮における毛包の大きさを増大させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項127】
請求項126に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項128】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項129】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが男性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項130】
請求項115に記載の方法であって、
前記AGAが女性型脱毛症であることを特徴とする方法。
【請求項131】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項132】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、頭皮または眉における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項133】
請求項126に記載の方法であって、
前記対象は、瘢痕化皮膚組織における毛包の大きさが減少していることを特徴とする方法。
【請求項134】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項135】
請求項126に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を物理的若しくは化学的刺激に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項136】
請求項126に記載の方法であって、
前記破壊するステップが前記脱毛領域を放射線に曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項137】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項138】
請求項126に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項139】
対象の皮膚における毛包形成を増加させるための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項140】
請求項139に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項141】
請求項139に記載の方法であって、
前記対象は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項142】
請求項139に記載の方法であって、
前記対象は、皮膚損傷が原因で毛包の数が減少していることを特徴とする方法。
【請求項143】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項144】
請求項139に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、前記対象における毛包の数が少ない真皮を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項145】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項146】
請求項139に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項147】
変性皮膚疾患を治療、抑制または抑止するための方法であって、
(a)前記対象の変性皮膚疾患領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項148】
請求項147に記載の方法であって、
前記変性皮膚疾患が環状肉芽腫であることを特徴とする方法。
【請求項149】
請求項147に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項150】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項151】
請求項147に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、変性皮膚疾患の領域を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項152】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項153】
請求項147に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項154】
対象の頭皮のアンドロゲン性脱毛症(AGA)を治療するための方法であって、
(a)前記対象の脱毛領域の表皮を破壊するステップと、
(b)ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を上方制御する化合物または因子を含んでいる組成物を前記対象に投与するステップとを含む方法。
【請求項155】
請求項154に記載の方法であって、
SHHを上方制御する前記因子が繊維芽細胞増殖因子‐9ポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項156】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが前記破壊するステップの3〜12日後に行われることを特徴とする方法。
【請求項157】
請求項154に記載の方法であって、
前記破壊するステップが、変性皮膚疾患の領域を、物理的若しくは化学的刺激または放射線を曝すことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項158】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが局所投与により行われることを特徴とする方法。
【請求項159】
請求項154に記載の方法であって、
前記投与するステップが表皮下投与により行われることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2012−508750(P2012−508750A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536441(P2011−536441)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/064049
【国際公開番号】WO2010/056759
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/064049
【国際公開番号】WO2010/056759
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】
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