説明

創傷被覆材ならびにその製作および使用の方法

抗菌創傷被覆材、抗菌創傷被覆材を作製する方法、および抗菌創傷被覆材で創傷を治療する方法が提供される。抗菌創傷被覆材は、水溶性膜形成高分子担体材料と、その担体内に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤とを含む。創傷治療に有用な追加の活性剤も、担体および/または水溶性ガラスの中に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆されることができる。例示的実施形態において、膜形成高分子は、水溶性でんぷんである。例示的実施形態において、水溶性ガラスは、五酸化リン、および例えば銀カチオンなどの抗菌金属カチオン源である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
さまざまな創傷被覆材が提案されている。しかしながら、そのような創傷被覆材は、抗菌の創傷治療に最適ではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
抗菌創傷被覆材、抗菌創傷被覆材を作製する方法、および創傷を治療する方法が提供される。
【0003】
例示的実施形態において、抗菌創傷被覆材は、水溶性膜形成高分子担体と、
前記膜形成高分子担体の中に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤と、を含む。例示的実施形態において、前記膜形成高分子は、水溶性でんぷんである。例示的実施形態において、前記水溶性ガラスは、五酸化リン、および例えば銀カチオンなどの抗菌金属カチオン源を含む。
【0004】
例示的実施形態において、抗菌創傷被覆材を作製する方法は、水溶性膜形成高分子担体を提供するステップと、水溶性ガラス封入抗菌剤を、前記水溶性膜形成高分子担体の中に埋込むステップおよびその表面上に被覆するステップのうちの少なくとも一つと、を含む。例示的実施形態において、前記膜形成高分子は、水溶性でんぷんである。例示的実施形態において、前記水溶性ガラスは、五酸化リン、および例えば銀カチオンなどの抗菌金属カチオン源である。
【0005】
例示的実施形態において、創傷を治療する方法は、抗菌創傷被覆材を前記創傷に適用するステップを含み、前記創傷被覆材は、水溶性膜形成高分子担体と、前記担体の中に埋込まれたものとその表面に被覆されたものとのうちの少なくとも一つである水溶性ガラス封入抗菌剤とから成る。例示的実施形態において、前記膜形成高分子は、水溶性でんぷんである。例示的実施形態において、前記水溶性ガラスは、五酸化リンおよび、例えば銀カチオンなどの抗菌金属カチオン源である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
水溶性膜形成高分子担体と、その担体の中に埋込まれるおよび/またはその担体の表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤とを含む抗菌創傷被覆材が提供される。該創傷被覆材を作製する方法および該被覆材で創傷を治療する方法も提供される。
【0007】
用語の「膜形成高分子」は、創傷治療被覆材の使用に適切なあらゆる水溶性または水分溶解性の高分子材料を指す。適切な水溶性膜形成高分子の例として、ポリビニルアルコール、ポリサッカリン(例えば、アルギン酸塩およびキトサン)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコールラクチド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリカプロラクトン(例えば、ポリ−[エプシロン]−カプロラクトン)、ポリカプロラクタム、でんぷん(高圧および高湿度で処理されるヒドロキシプロピル化でんぷんあるいはジャガイモ、トウモロコシ、または米でんぷんを含む「熱可塑性」でんぷんなど)、それらの組み合わせ、および同様のものが挙げられるがそれだけに限定されない。これらの高分子の共重合体も使用されてもよく、例えば、ポリグリコライド(またはポリグリコール酸)/ポリカプロラクトン共重合体、またはポリグリコール酸/ポリカプロラクタム共重合体が挙げられる。例示的実施形態において、膜形成高分子は、水溶性または水分溶解性のでんぷんである。National Starch,Inc.より、商品名がVeloxTMのでんぷんが、このような適切なでんぷんの一つとして販売されている。その他の適切な水溶性または水分溶解性のでんぷんには、例えば、VeloxTMでんぷんと同様の溶解特性などの特性を呈するでんぷんが含まれる。
【0008】
用語の「水溶性ガラス」は、あらゆる水溶性ガラスまたはガラス状材料を指し、それらは抗菌剤を封入するために使用可能であり、かつ創傷被覆材の使用に適切な膜形成高分子材料の中に埋込みおよび/またはその表面上に被覆可能である。水溶性ガラス材料は、創傷治療に有用な活性剤を封入するのに適切ないかなる構成であることもできる。例示的実施形態において、水溶性ガラスは、水溶性膜形成高分子材料の中に埋込まれるおよび/またはその表面上で被覆されるように構成される。適切な構成には、繊維、粒子、ビード、それらの組み合わせ、および同様なものを含むことができるがそれだけに限定されない。適切な水溶性ガラス材料の例は、例えば、全体の開示が参照することによって本明細書に組み込まれるWO−A−98/54104、WO−A−99/62834、およびWO−A−99/62835(Giltech Limitedに譲渡)に記載される。例示的実施形態において、水溶性ガラスは、水溶性膜形成高分子よりも低速で、水環境において溶解する。
【0009】
五酸化リン(P2O5)は、例示的な水溶性ガラスの使用に特に適切なガラス形成材料である。例示的実施形態において、ガラスの組成における五酸化リンのモル比率は、約85%未満であり、好ましくは約75%未満であり、より好ましくは約65%未満であり、さらにより好ましくは約60%未満であり、最も好ましくは約30%から約60%の間である。また、水溶性ガラスには、ガラス改質剤として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド酸化物、炭酸塩、それらの組み合わせ、および同様なものも含めることができる。通常、例示的実施形態において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド酸化物、炭酸塩、それらの組み合わせ、および同様なもののモル比率は、約60%未満、好ましくは約50%未満、および最も好ましくは約40%から約60%の間である。例えばB2O3などのホウ素含有化合物も、水溶性ガラスの添加物として使用可能である。例示的実施形態において、ホウ素含有化合物のモル比率は、約15%未満であり、好ましくは約10%未満であり、最も好ましくは約5%以下である。
【0010】
追加の化合物を水溶性ガラスに添加して、その特性を改質することが可能であり、その追加の化合物として、SiO2、A12O3、SO3、遷移金属化合物(例えば、第一遷移金属化合物)、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれるがそれだけに限定されない。通常、ガラスは、溶解時にイオン種を放出する。放出される厳密なイオン種は、ガラスに添加される化合物に依存する。アルミニウムイオン、硫酸イオン、フッ素イオン、それらの組み合わせ、および同様なものを放出するガラスが状況によって望まれてもよい。
【0011】
一般的に、例示的実施形態において使用される水溶性ガラスは、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシウム(CaO)、それらの組み合わせ、および同様なものなどの一つ以上のいかなるガラス改質で無毒の材料とともに、五酸化リン(P2O5)を主要なガラス形成体として含む。水溶性ガラスが流体で溶解する速さは、少なくとも部分的にガラス組成によって決定され、通常は、ガラス形成体に対するガラス改質剤の割合ならびにガラスにおけるガラス改質剤の相対的比率によって決定される。ガラスの組成、溶解速度の適切な調整によって、溶解速度は、約0.001μg/cm2/hrから約500μg/cm2/hrまで、より好ましくは約0.05μg/cm2/hrから約250μg/cm2/hr、より好ましくは約0.5μg/cm2/hrから約200μg/cm2/hr、さらにより好ましくは約1μg/cm2/hrから約100μg/cm2/hr、および最も好ましくは、約2μg/cm2/hrから約40μg/cm2/hrの範囲になるように調節可能である。例えば、一定の調合は、特定の適用または必要性に適切であるように放出方式を調節するために調製可能である。
【0012】
例示的実施形態において、水溶性ガラスは、リン酸塩ガラスであり、製造中にさまざまな形で有利に導入されてもよい銀イオン源を含むことが可能で、例えば、オルトリン酸銀(Ag3PO4)が挙げられる。当然、その他の金属は、代替的または付加的に存在可能である。さまざまな形状の銀に代替的または付加的に提供されてもよいその他の適切な金属の例として、Cu、Mg、Zn、Ce、Mn、Bi、Se、Cs、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれることが可能であるがそれだけに限定されない。特に適切な金属として、Ag、Cu、Zn、およびMgが含まれる。例示的実施形態において、ガラスは、ガラスにおける金属およびその他の成分の放出制御を可能にし、これらの添加物の含有量は、使用状態および所望の放出速度に応じて変更可能である。水溶性ガラスが銀を含む実施形態において、銀の含有量は、約0.01wt.%から約90wt.%、好ましくは約0.05wt.%から約80wt.%、より好ましくは約0.10wt.%から約75wt.%、さらにより好ましくは約0.5wt.%から65wt.%、さらにより好ましくは約1wt.%から約50wt.%、さらにより好ましくは約2wt.%から約40wt.%、さらにより好ましくは約2wt.%から約30wt.%、さらにより好ましくは約2.5wt.%から約20wt.%、および最も好ましくは、約3wt.%から約9wt.%の間であることができる。
【0013】
水溶性ガラスの例示的実施形態は、酸化物、ハロゲン化物、および硫酸イオンのモル比率の観点から本明細書に記載されるが、これは、そのような化学種がガラスに存在すること、あるいはそれらが水溶性ガラスの調製のバッチに使用されることを含意するものではない。
【0014】
放出モードは、時間、速度、および濃度の関数である。金属イオンの水環境への最適放出速度は、放出金属の特定機能を含む特定の状況に基づいて調節可能である。例示的実施形態は、約0.01百万分の一以上および約10百万分の一以下の水媒体における金属イオン濃度を維持する速さで、例えば創傷などの水媒体に金属イオンを送達する手段を提供する。場合によって、必要放出速度は、系統に添加される全金属が短時間または短日で放出されるようなものであることが可能で、その他の適用においては、全金属が実質的に均一な速度でゆっくりと数ヶ月または数年かけて放出されるようなものであってもよい。さらに、いくつかの例示的実施形態において、多段放出を提供することが望まれてもよく、たとえば、初期の即時放出および少なくとも一つの後続の持続放出を含む。例示的実施形態において、多段放出は、初期放出および少なくとも約一つから約六つ以上の後続放出段階を含むことができる。
【0015】
特定の場合において、追加の要件が存在してもよい。例えば、金属イオン源の枯渇後に残留物がないことが望まれてもよく、あるいは金属が利用可能であるその他の場合においては、金属の外、同時に放出されるいかなる物質も生理的に無害であることが望ましい。さらにその他の場合において、生成される溶液のpHが、規定限度から外れないようにすることが必要であり得る。
【0016】
例示的実施形態において、担体材料としての水溶性膜形成高分子と、その中に埋込まれるおよび/または担体の表面上に被覆される水溶性で抗菌性のガラス組成との両方を備える創傷被覆材を提供することが望まれ得る。各材料は、被覆材が水環境に適用される場合に、多段放出方式を提示可能にする効果的な量で提供され得る。例示的な二段放出の実施形態において、第一段階は、抗菌剤および/またはその他の有効成分の初期の急速な噴出であり、第二段階は、抗菌剤および/またはその他の有効成分の持続放出であることが可能であり、第二段階は、初期の急速な放出よりも抗菌剤および/またはその他の有効成分が長く持続するが、濃度が低い。出願者は、初めに創傷に存在する細菌の有害性を防止および/または実質的に阻止するために初期の急速な放出が即時抗菌効果をもたらし、その後、細菌移動および/または細菌増殖を、持続放出が長時間持続的に阻止することで、この種類の二段または多段放出方式が、創傷治療に特有の利点を提供することを発見した。出願人は、二段または多段放出方式が、創傷治療中に最適な抗菌作用を提供できると考える。
【0017】
例示的実施形態において、多段放出方式は、とりわけ、一つ以上のさまざまなサイズの水溶性ガラス封入抗菌剤を提供することによって達成可能である。例えば、例示的な多段放出の実施形態は、粒子形状である水溶性ガラス封入抗菌剤で提供可能であり、その粒子は、複数の異なる所定の粒径範囲で提供される。各粒径範囲により、異なる放出段階がもたらされる。通常、小さめの粒子は、大きめの粒子よりも速く溶解する。したがって、最小粒径範囲の粒子は、初期のより急速な放出段階をもたらし、より大きい粒径範囲の粒子は、後続でより緩やかな放出段階をもたらすことができる。そのような実施形態において、異なる所定の粒径範囲が存在する限り、水溶性ガラス封入抗菌剤の形態および/または構成を変更することによって、多数の対応する放出段階を提供することができる。例示的実施形態において、粒子のサイズは、約0.001ミクロンから約100ミクロン、好ましくは約0.01ミクロンから約75ミクロン、および最も好ましくは、約0.1ミクロンから約50ミクロンの範囲であり得る。
【0018】
例示的実施形態において、水溶性膜形成高分子および水溶性で抗菌性のガラス組成が、一つ以上の層の形で提供されて多層積層被覆材を形成することができる。層の数および/または順番は、当然、被覆材の意図される適用によって調節可能であり、所望の放出方式を提供することができる。
【0019】
例示的な創傷被覆材は、追加の有効成分または薬剤を含むことが当然可能で、例えば、追加の抗菌剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、創傷清拭剤、止血剤、抗血栓薬、麻酔剤、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、血管形成阻害剤、免疫向上剤、皮膚シール剤、それらの組み合わせ、および同様なものを含む、例えば、治療剤、感覚刺激剤、および医薬剤が挙げられる。例示的実施形態において、これらの薬剤の放出は、膜形成高分子担体および/またはその中に埋込まれるまたはその上に被覆される水溶性ガラスの溶解によって生じてもよいが、活性剤の放出は、さまざまなその他の手段、例えば、電場または信号、pH、温度、時間、圧力、湿気、細菌性細胞シグナリング、および紫外線などの光、それらの組み合わせ、および同様なものによっても誘発され得る。
【0020】
本明細書に記載される創傷被覆材は、例えば、セルロースベースの被覆材、発泡被覆材、ゲル状被覆材、不織布被覆材、複合被覆材、親水コロイド被覆材、アルギン酸カルシウム被覆材、膜被覆材(例えば、シリコンおよび/または熱可塑性膜)、それらの組み合わせ、および同様なものを含むいかなる種類のものであることができる。
【0021】
例示的な発泡被覆材において、被覆材は、創傷から近位側に積層される不透水膜を備えることができる。適切な不透水材料には、例えば、合成有機ポリマーなどの透湿性高分子膜が含まれるがそれだけに限定されない。適切な合成有機ポリマーには、ポリウレタン、ポリエーテル−アミドブロック共重合体、ポリエーテル−エステルブロック共重合体、それらの組み合わせ、および同様なものを含めることができる。高分子膜は、一つ以上の種類の単量体(例えば、共重合体)または高分子の混合物(例えば、ブレンド)から成ることができる。例えば、不織布材料、織布材料、編み物、多孔性膜、発泡体、紙、その他の公知の裏当て材、それらの組み合わせ、および同様なものなどのその他の通気性材料は、使用可能である。
【0022】
例示的実施形態において、抗菌性金属イオン源の代わりあるいはそれに追加で使用可能なその他の抗菌剤には、クロルヘキシジン、クロルヘキダイン塩、トリクロサン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシンまたはTobramycinTM)、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バンコマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフラシン、ナリジクス酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれるがそれだけに限定されない。特定の実施形態において、好適な抗菌剤には、ポリヘキサメチレングアナイド(PHMB)、生分解性グアナイド(例えば、ポリエチレンヘキサメチレングアナイド(PEHMB))などのPHMB誘導体、グルコン酸クロルヘキダイン、塩酸クロルヘキダイン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、例えば、二ナトリウムEDTAまたは四ナトリウムEDTAなどのEDTAの変形物、それらの組み合わせ、および同様なもののうちの少なくとも一つを含めることができる。さらなる例示的実施形態において、抗菌剤はPHMBであることが可能である。
【0023】
例示的な創傷被覆材は多くの構成で提供可能であるが、例示的な構成が、図1−6に示される。
【0024】
図1は、非付着ポーチ5とその中に挿入される膜15の形である例示的な抗菌創傷被覆材1の概略図である。ポーチ5は、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、それらの組み合わせ、および同様なものなどの非接着材料から成る。ポーチ5は、密閉縁10、11、および12ならびに開放端13を有する。縁10、11、および12は、例えば、接着シーリング、ヒートシーリング、または熱結合、それらの組み合わせ、および同様なものを含むいかなる適切な手段でも密閉可能である。水溶性でんぷん膜15は、その中に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)を含み、開放端13へ挿入可能である。挿入されると、膜15は、ポーチ5が創傷に適用される際に膜15がその創傷と接触し、膜15およびその中に埋込まれるおよび/またはその上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)の溶解が生じるように配置される。
【0025】
図2は、「ドア型」被覆材20の例示的実施形態の概略図である。被覆材20は、開放窓22を有する付着層21を備える。付着層21は、例えば、ウレタン膜、コポリエステル膜(例えば、HytrelTM膜)、透過性オレフィン膜、それらの組み合わせ、および同様なものなどの通気性膜材料から成ることが可能である。通気性膜は、容易に湿度環境を提供する。付着層21の膜は、例えば、アクリル接着剤、非ラテックス製ゴム系接着剤、シリコン接着剤、生体接着剤(例えば、義歯接着剤)、それらの組み合わせ、および同様なものなどの皮膚に優しい生体適合性接着剤で片側を被覆されることができる。付着層21は、通気性複合材を備えることが可能であり、例えば、ヒドロゲル、医用発泡体、親水コロイド、それらの組み合わせ、および同様なものなどのバッキング膜および自己接着生体材料が含まれる。付着21は、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、それらの組み合わせ、および同様なものなどの非通気性膜から成ることも可能であり、例えば、上記接着材料のうちの一つ以上などの適切な接着材料と共に使用される。これらの材料の潜在的閉塞性により、その材料は、透湿可能にするように開口または穿孔を含むように作製されてもよい。具体的には、非通気性膜は、創傷から透湿可能にするように開口または穿孔を含むように設計されてもよい。
【0026】
有口部および/またはヒンジ部23は、付着層21をドア24に連結する。ドア24上に発泡パッド25が存在する。吸収性の構造としての使用に適切な特性を有するいかなる多孔性で、液体吸収性で、開放気泡の高分子発泡材料も使用可能である。発泡体の適切な材料の例として、例えば、ポリウレタン、カルボキシル化ブタジエン−スチレンゴム、ポリエステル、ポリアクリル酸塩、多糖、ポリペプチド、それらの組み合わせ、および同様なものを含む合成有機ポリマーが挙げられるがそれだけに限定されない。適切な高分子発泡体は、一つ以上の種類の高分子の単量体(例えば、共重合体)または高分子の混合物(例えば、ブレンド)から成ることができる。使用される発泡体の多くは、ポリウレタン発泡体である。さらに、適切な発泡体は、親水性であることが可能であるが、例示的実施形態においては、疎水性であることも可能である。疎水性発泡材料が使用される場合、発泡材料は、例えば非イオン界面活性剤などの界面活性剤によってより親水性である状態にすることができる。でんぷん被膜26は、発泡パッド25に適用される。でんぷん被膜26は、その上に被覆されまたはその中に埋込まれる水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)を含む。発泡パッド25および被膜26は、付着層21の開放窓22内で適合可能なように構成される。したがって、ドア24が閉められると、発泡パッド25およびでんぷん被膜26は、窓22を通って突出し被覆材20が創傷に適用される際に、発泡パッド25およびでんぷん被膜26が創傷に接触するようにする。例示的実施形態において、膜の非接着側を解放可能なように扱うことが有利であり得る。解放可能な扱いによって、ドア24の繰り返し機能を容易にし、創傷治療中に発生し得る創傷流体汚染の洗浄を促進し得る。
【0027】
図3は、抗菌性のPolyskinTMまたはClearWatchTM、薄膜創傷被覆材27の例示的実施形の概略図である。被覆材27は、上部送達層28を備える。上部送達層28は、EVA共高分子膜、ポリエステル、ポリプロピレン、またはポリエチレン膜、その組み合わせ、および同様なものから作製可能であり、熱活性接着材または粘着剤(PSA)で被覆される。送達層28の下には、接着膜被覆材29が存在する。接着膜被覆材29は医用アクリル、シリコン、非ラテックス製ゴム、それらの組み合わせ、および同様なものから成ることができる。接着膜被覆材29の下には水溶性膜形成高分子層30が存在し、その中に埋込まれるまたはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)を有する。
【0028】
水溶性膜形成高分子膜30の覆いは、適切な放出紙31である。被覆材27を創傷に適用する前に、放出紙31は、水溶性膜形成高分子膜30が露出するように除去される。適用時は、被覆材27は、接着膜被覆材29を使用して、創傷の周囲の皮膚に付着可能である。適用後、抗菌膜30は、創傷に接触し、水溶性膜形成高分子膜30およびそこに埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤の溶解が促進される。
【0029】
図4は、膜創傷被覆材32を有する抗菌COPATMの例示的実施形態の概略図である。被覆材32は、発泡基板33を備える。発泡基板は、例えば、段落[0026]に記載の材料を含むいかなる適切な発泡材料からも成ることができる。発泡基板33の創傷側面上に、水溶性膜形成高分子被膜34が存在し、その中に埋込まれるおよび/またはその表面の上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)を含むことができる。創傷に適用されると、被膜34およびその中に提供されおよび/またはその上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤が溶解する。
【0030】
図5Aおよび5Bは、膜創傷被覆材35を有する抗菌Telfa(登録商標)ポケットの例示的実施形態の概略図である。被覆材35は、例えば高分子膜材料などのいかなる適切な創傷被覆材からも成る裏当て36を備える。適切な高分子膜材料の一例として、DuPont(登録商標)のポリエステルMylar(登録商標)が挙げられる。その他の適切な高分子膜材料には、シリコンゴム、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、酢酸塩、ウレタン、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれるがそれだけに限定されない。被覆材35の創傷側面上には、例えば高分子膜材料などの適切な創傷被覆材の材料から成る、非付着層37が存在する。適切な高分子膜材料には、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれる。非付着層37は、三つの密閉縁38、39、および40を形成するように裏当て36に連結される。縁38、39、および40は、ヒートシーリングまたは熱結合、接着シーリング、それらの組み合わせ、および同様なものを含むいかなる適切な手段を使用しても密閉可能である。被覆材35の残りの側は、開放端41である。水溶性膜形成高分子膜42と、その中に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)とは、次に、開放端41に挿入されて、膜42が裏当て36および非付着層37の間の中央に配置されるようにする。
【0031】
図6Aおよび6Bは、抗菌COPATM被覆材43の例示的実施形態の概略図である。被覆材43は、発泡層44を備える。創傷被覆材に使用されるいかなる適切な発泡材料も使用可能で、例えば、段落[0026]に記載の発泡材料が含まれる。発泡層44の創傷側面上には、複数の接着タブ45が存在する。図6Aおよび6Bには四つの接着タブ45が存在するが、いかなる数の接着タブも使用可能である。さらに、特定の実施形態において、単一の接着タブ45を備えることが可能であってもよい。当然、創傷治療の使用に許容可能であるいかなる適切な接着材料も接着タブ45に使用してもよく、例えば、段落[0025]および/または[0027]に記載の接着材料が含まれる。水溶性膜形成高分子膜46と、そこに埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤(図示せず)が、接着タブ45に付着される。使用の際、被覆材43は、水溶性膜形成高分子膜46が創傷と接触するように創傷に適用され、膜46およびその中に埋込まれるまたはその上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤が溶解するようにする。
【実施例】
【0032】
(実施例1:水溶性ガラス封入抗菌剤)
抗菌創傷被覆材に使用される抗菌水溶性ガラス組成は、調製される。その組成は、ナトリウム、カルシウム、リン、亜鉛、および酸化銀のうちの少なくとも一つから成る無機ポリマーである。水溶性ガラスの組成は、少なくとも部分的にはその化学組成によって溶解速度が決定される無機水溶性高分子として最も適切であるマトリクス形状で形成される。CorgleaesTMの商品名で入手可能であるガラスマトリクスは、異なる送達方式で制御放出を提供するように改質可能である。マトリクスを構成する化学成分の割合に基づいて、溶解速度は制御される。より処理制御を実行する粒径も、溶解速度を変更できる。水環境に露出すると、ネットワーク結合酸素橋が加水分解され、マトリクスを溶解し、イオン形で成分を周囲環境に放出する。
【0033】
水溶性ガラス組成は、銀および/または場合によっては、銅、亜鉛、またはその他の防腐剤のうちの少なくとも一つを含む一つ以上の抗菌剤を含む。
【0034】
酸化銀の形の銀から成ることが可能な抗菌剤は、無機化合物の分子構造の一体の部分を形成する。高分子形成体は、架橋酸素原子とリンの化学的規則ネットワークを確立する。ネットワーク改質剤(ナトリウム、カルシウム、および亜鉛)の割合は、酸素架橋ネットワークを解重合(すなわち加水分解)することによって、高分子が溶解する速度を決定する。特定の結合の選択的加水分解が存在するかどうかは知られていないが、高分子は、外から内側に溶解し、イオンが露出されるまでイオンを浸出しな。高分子におけるカルシウムおよび亜鉛の割合が、加水分解から架橋酸素を強化または保護することにより溶解速度が減少することを、試験は示した。群I酸化物(ナトリウムなどの)の割合増加により、加水分解し易くなり、高分子の溶解速度が増す。
【0035】
水溶性ガラス封入抗菌剤は、約0.001μg/cm2/hrから約500μg/cm2/hrの範囲、好ましくは約2μg/cm2/hrから約40μg/cm2/hrの範囲の溶解速度を有する。さらに、水溶性ガラス封入抗菌剤は、約0.1wt.%から約90wt.%の銀、好ましくは約3wt.%から約9wt.%の銀を含む。
【0036】
例示的な水溶性ガラス封入抗菌剤の組成は、以下に示される表Iに記載される。
【0037】
【表1】

(実施例2 水溶性膜形成高分子担体)
水溶性膜形成高分子担体は、親水性のでんぷん高分子を使用して調製される。商品名VeloxTMでNational Starch and Chemical Corporationより、一つのでんぷんが提供される。でんぷんは、水環境と接触すると急速な溶解度を確実にするように改質されているため、水環境において溶解する。出願人は、VeloxTMでんぷん膜が、その他の膜形成高分子よりも速い溶解速度を有することが可能であるということを知る。当然、例えば溶解特性などの同様の特性を有するその他の市販の水溶性または水分溶解可能なでんぷんは、VeloxTMでんぷんと代替的またはそれに付加的に使用可能である。例えば、以下の水分溶解可能なでんぷんまたは高分子のうちの一つ以上は、VeloxTMでんぷんに代替的または付加的に使用可能である:焙焼でんぷんであり、デキストリン形状で表面被覆または接着剤として使用可能であるトウモロコシでんぷん;アルカリ処理セルロース由来のセルロースエーテルであるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(活性剤封入のためのゼラチンの代替として使用可能);植物細胞壁由来の異糖類であるペクチン(特定の状態で、ペクチンはゲルを形成可能であり、湿潤状態で溶解する経口粘滑剤としても使用可能);およびでんぷんより生成される細胞外細菌性多糖類であるプルラン(プルランは、水によく溶解し、膜形成能力も有する)。その他の例として、タピオカでんぷん、アルギン酸ナトリウム、シクロデキストリンが挙げられるがそれだけに限定されない。
【0038】
適切な水分溶解可能な膜の溶解速度を評価するために、さまざまな膜形成高分子の溶解速度を、膜形成高分子(例えば、10x10mm)を、ほぼ大気温度または約37°Cで水中に置くことによって決定する研究が行なわれる。試験の膜形成高分子は、表IIに示される。
【0039】
【表2】

溶解試験は、膜/被覆材の一部分を取り出し、それを約37°CのDI水中に浸すことによって実行される。膜/被覆材は、定期的に取り除かれ、未使用のDI水中に置かれる。水のサンプルを収集し、誘導結合プラズマ(ICP)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)、または原子吸光(AA)を使用して、銀の含有量を分析する。DI水は、例えば、模擬創傷流体、血清、それらの組み合わせ、および同様なものなどのその他の媒体で代用可能である。
【0040】
代替試験は、被覆材の一部を取り出し、それを約37°CのDI水中に浸すことによって実行可能である。本試験に使用されるDI水の容積は、通常、前述の試験で使用のDI水よりも多い。定期的に、DI水の容積は、ICP、ICP−MS、またはAAを使用して銀の含有量について分析される。取り除かれたDI水は、未使用のDI水と交換され、希釈係数が計算に適用される。また、DI水は、例えば、模擬創傷流体、血清、それらの組み合わせ、および同様なものなどのその他の媒体で代用可能である。
【0041】
さらに別の試験は、被覆材の一部を取り出し、それを接種寒天培地上に置くことを含む。寒天培地は、微生物学的な培地であり、例えば、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母、または菌類などの、少なくとも一つの栄養源を含む。適切な源の例として、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、カンジダアルビカンス、それらの組み合わせ、および同様なものが挙げられるがそれだけに限定されない。液体培地の硬さは、固体または半固体状態に培地を変更するために、寒天を使用して改質される。寒天濃度は、約0.5%から約5%、好ましくは約1%から約4.5%、および最も好ましくは、約2%から約4%まで変更する。約1%未満の寒天培地は、ほとんど液体である。寒天に加え、培地には、栄養要件に応じて、血液、血清、アルブミン、それらの組み合わせ、および同様なものが含まれる。平板は、約37°Cで培養される。被覆材は、選択時間に寒天培地から取り除かれ、未使用の寒天培地に置かれる。被覆材の下の寒天は、銀の含有量に関し生検および分析される。被覆材は、選択時間間隔で、連続的に未使用の寒天培地に移動される。
【0042】
あるいは、被覆材の一片の銀の全含有量は、抽出法を使用して決定可能である。段落[0039]の試験で記載されたステップなどの追加ステップも、実行可能である。寒天生検の代わりに、被覆材における銀の含有量変化は、初期の銀の全含有量を決定するために使用される同一の抽出法を使用して決定される。
【0043】
また、溶解試験は、膜/被覆材に含まれる元々の銀の含有量を決定し、経時的な(例えば、約24時間)銀の減少を測定する方法を使用しても実行可能である。本決定後、前述のようなステップが実行可能である。
【0044】
また、溶出分析も銀の放出速度を決定するために実行可能である。膜/被覆材は、寒天溶液(約0.5%から約1%の寒天)または模擬創傷血清中に置かれる。溶液は、ICP−MSによって試験される。分析の厳密な方法は、使用される試験溶液に応じて決定される。
【0045】
また、試験は、有機体に対する活性を決定するためにも実行され得る。一試験において、被覆材の一片は、約37°Cでリン酸緩衝液中に浸される。試験有機体(接種材料)は、溶液に添加される。選択時間間隔後、試験有機体数の変化が、約24時間、生菌および培養によって評価される。生菌数手順は、抗菌中和ステップを含む。得られた結果は、被覆材を含まないまたは被覆材だけを含む制御サンプルと比較される。
【0046】
別のこのような試験は、抑制域(ZOI)の変化を評価することによって実行される。被覆材の一片は、寒天培地(約1%から約4%の寒天)上に置かれる。平板には、試験有機体が接種される。被覆材の周囲のZOIの発達が観察される。ZOIの発達は、銀が溶出し、結果的に試験有機体の増殖を抑制したことを示す。あるいは、時間における選択点で、被覆材は、未使用の寒天培地に置かれ、ZOIの発達変化が評価される。
【0047】
さらに別の有効性試験は、被覆材の一片を取り出して、試験有機体が接種される寒天培地に置くことを含み得る。一定時間後、被覆材は取り除かれ、被覆材の下の寒天プラグが生検される。寒天プラグを、リン酸緩衝液および中和溶液に離散する。有機体数は、培養によって得られる。寒天培地は、非抗菌被膜材または被膜材でないものに露出され、制御を形成する。試験および制御サンプルの結果は、抗菌被覆材の有効性を評価するために比較される。
【0048】
研究中、より厚いVeloxTMまたは実質的に同等のでんぷん膜が、同様の条件でその他の膜形成高分子よりも速い溶解特性を示すことが発見された。VeloxTM膜のより速い溶解速度は、VeloxTMでんぷん膜の急速溶解によって得られる抗菌剤の初期の急速噴出を提供し、後に、VeloxTM膜内に埋込まれるおよび/またはその表面上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤の溶解によりもたらされる第二の持続抗菌放出を提供することが望まれる例示的実施形態において有益である。また、例示的実施形態は、トウモロコシでんぷん、タピオカでんぷん、HPMC、ペクチン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、シクロデキストリン、それらの組み合わせ、および同様なもののうちの一つ以上を含むがそれだけに限定されないその他の適切な水分溶解可能なでんぷん膜を、VeloxTMに代替的または付加的に使用してこれらの利点を達成することができる。特定の状況においてより速い溶解速度が望まれ得るが、当然、必須ではない。
【0049】
出願人は、VeloxTMまたは同等のでんぷん膜を化学的および/または物理的に改質する。VeloxTMまたは同等の膜は、所望の特性均衡を達成するために、多数のでんぷんから成ることができる
例示的な製品および方法が、その具体的な実施形態を参照して詳細に記載されたが、さまざまな変更および修正が加えられ、均等物が添付の請求項の範囲から逸脱することなく使用されることが当業者に明白である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、抗菌創傷被覆材の例示的実施形態の概略図である。
【図2】図2は、抗菌創傷被覆材の別の例示的実施形態の概略図である。
【図3】図3は、抗菌創傷被覆材の別の例示的実施形態の概略図である。
【図4】図4は、抗菌創傷被覆材の別の例示的実施形態の概略図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、抗菌創傷被覆材の別の例示的実施形態の概略図である。
【図6】図6Aおよび6Bは、抗菌創傷被覆材のさらに別の例示的実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性膜形成高分子担体と、
水溶性ガラス封入抗菌剤であって、該担体の中に埋込まれるものと該担体の表面上に被覆されるものとのうちの少なくとも一つである、水溶性ガラス封入抗菌剤と
を含む、抗菌創傷被覆材。
【請求項2】
膜形成高分子の量および前記水溶性ガラス封入抗菌剤の量は、抗菌剤の第一の放出および抗菌剤の少なくとも一つの後続の持続放出を提供するように有効であり、該第一の放出は、該少なくとも一つの後続の持続放出よりも、抗菌剤の持続時間が短いが、濃度が高い、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、多段放出方式を提供するために、複数の異なる所定のサイズ範囲の粒子形状で提供され、初期放出段階は、最小粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされ、少なくとも一つの後続の放出段階は、より大きい粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされる、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記水溶性ガラスは、Na2O、CaO、Ag2O、B2O3、ZnO、MgO、A12O3、P2O5、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの要素を含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項5】
前記水溶性ガラスは、約3mol.%から約36mol.%のNa2O、約0mol.%から約42mol.%のCaO、約0mol.%から約16mol.%のAg2O、約0mol.%から約5mol.%のB2O3、約0mol.%から約26mol.%のZnO、約0mol.%から約37mol.%のMgO、約0mol.%から約7mol.%のA12O2、約0mol.%から約53mol.%のP2O5を含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記水溶性ガラスの溶解速度は、約0.001μg/cm2/hrから約500μg/cm2/hrである、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記水溶性ガラスは、約300°Cから約650°Cの軟化温度を有する、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項8】
前記水溶性ガラスによって封入される前記抗菌剤が銀から成る場合、該抗菌剤は、該水溶性ガラス封入抗菌剤の総重量に基づいて約0.1wt.%から約90wt.%の間の量で存在する、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項9】
前記水溶性ガラスは、繊維、粉末、顆粒、またはその組み合わせのうちの少なくとも一つの形状である、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項10】
前記水溶性ガラスに封入される前記抗菌剤は、金属カチオンである、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項11】
前記抗菌剤は、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化リン、酸化亜鉛、酸化銀、およびその組み合わせのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項12】
前記抗菌剤は、酸化銀、酸化銅、酸化亜鉛、および酸化ホウ素のうちの少なくとも一つを含む、請求項11に記載の創傷被覆材。
【請求項13】
成長因子、鎮痛剤、止血剤、抗血栓薬、麻酔剤、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、血管形成阻害剤、免疫向上剤、緩衝化合物、組織足場剤、別の抗菌剤、皮膚シール剤、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つ追加の活性剤をさらに含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項14】
少なくとも一つの追加の活性剤をさらに含み、該少なくとも一つの追加の活性剤は、創傷清拭剤である、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
前記その他の抗菌剤は、クロルヘキシジン、クロルヘキダイン塩、トリクロサン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バンコマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジクス酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、それらの組み合わせ、および同様なものから成る群から選択される、請求項13に記載の創傷被覆材。
【請求項16】
前記抗菌剤はPHMBを含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項17】
前記抗菌剤はPHMB誘導体を含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項18】
前記PHMB誘導体は、生分解性ビグアニドである、請求項17に記載の創傷被覆材。
【請求項19】
前記PHMB誘導体は、PEHMBである、請求項17に記載の創傷被覆材。
【請求項20】
前記抗菌剤は、前記膜形成高分子担体および/または該担体の中に埋込まれるまたは該担体の上に被覆される水溶性ガラスの溶解、ならびに電場または信号、pH、温度、時間、圧力、湿気、細菌性細胞シグナリング、例えば紫外線などの光、およびその組み合わせによって誘発される放出から成る群から選択される少なくとも一つの方法によって放出される、請求項17に記載の創傷被覆材。
【請求項21】
抗菌創傷被覆材を作製する方法であって、
水溶性膜形成高分子担体を提供するステップと、
水溶性ガラス封入抗菌剤を、該水溶性膜形成高分子担体の中に埋込むステップまたは該担体の表面上に被覆するステップのうちの少なくとも一つのステップと
を提供する、方法。
【請求項22】
水溶性膜形成高分子担体の量およびそこに埋込まれるおよび/またはその上に被覆される水溶性ガラス封入抗菌剤の量は、抗菌剤の第一の放出および抗菌剤の少なくとも一つの後続の持続放出を提供するように有効であり、該第一の放出は、該少なくとも一つの後続の持続放出よりも、抗菌剤の持続時間が短いが、濃度が高い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、多段放出方式を提供するために、複数の異なる所定のサイズ範囲の粒子形状で提供され、初期放出段階は、最小粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされ、少なくとも一つの後続の放出段階は、より大きい粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記水溶性ガラスは、Na2O、CaO、Ag2O、B2O3、ZnO、MgO、A12O3、P2O5、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの部材を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記水溶性ガラスは、約3mol.%から約36mol.%のNa2O、約0mol.%から約42mol.%のCaO、約0mol.%から約16mol.%のAg2O、約0mol.%から約5mol.%のB2O3、約0mol.%から約26mol.%のZnO、約0mol.%から約37mol.%のMgO、約0mol.%から約7mol.%のA12O3、約0mol.%から約53mol.%のP2O5を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶性ガラスの溶解速度は、約0.001μg/cm2/hrから約500μg/cm2/hrである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記水溶性ガラスの軟化温度は、約300°Cと約650°Cの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記水溶性ガラスに封入される前記抗菌剤が銀を含む場合、銀の量は、該抗菌剤の総重量に基づいて約0.1wt.%と約90wt.%の間である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、繊維、粉末、顆粒、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの形状である、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記水溶性ガラスに封入される前記抗菌剤は、金属カチオンである、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記抗菌剤は、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化リン、酸化亜鉛、酸化銀、およびその組み合わせのうちの少なくとも一つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記抗菌剤は、酸化銀、酸化銅、酸化亜鉛、および酸化ホウ素のうちの少なくとも一つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの追加の活性剤を前記担体および/または水溶性ガラスに取り入れるステップをさらに含み、前記少なくとも一つの追加の活性剤は、成長因子、鎮痛剤、止血剤、抗血栓薬、麻酔剤、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、血管形成阻害剤、免疫向上剤、緩衝化合物、組織足場剤、別の抗菌剤、およびその組み合わせから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一つの追加の活性剤を前記担体および/または水溶性ガラスに取り入れるステップをさらに含み、少なくとも一つの追加の活性剤は、創傷清拭剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一つの追加の活性剤を前記担体および/または水溶性ガラスに取り入れるステップをさらに含み、前記少なくとも一つの追加の活性剤は、創傷清拭剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
もう一つの抗菌剤は、クロルヘキシジン、クロルヘキダイン塩、トリクロサン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バンコマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジクス酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、それらの組み合わせ、および同様なものから成る群から選択される、少なくとも一つの薬剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記抗菌剤はPHMBを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記抗菌剤はPHMB誘導体を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記PHMB誘導体は、生分解性ビグアニドである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記PHMB誘導体は、PEHMBである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
創傷を治療する方法であって、該方法は、
創傷被覆材を創傷に適用するステップを含み、
該被覆材は、水溶性膜形成高分子担体と、水溶性ガラス封入抗菌剤であって、該担体の中に埋込まれるものと該担体の表面上に被覆されるものとのうちの少なくとも一つである、水溶性ガラス封入抗菌剤とを含む、方法。
【請求項42】
前記担体および水溶性ガラス封入抗菌剤の量は、抗菌剤の第一の放出と、その後の抗菌
剤の少なくとも一つの後続の持続放出を前記創傷に接触後に提供するように有効であり、該第一の放出は、該少なくとも一つの後続の持続放出よりも、抗菌剤の持続時間が短いが、濃度が高い、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、多段放出方式を提供するために、複数の異なる所定のサイズ範囲の粒子形状で提供され、初期放出段階は、最小粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされ、少なくとも一つの後続の放出段階は、より大きい粒径範囲の粒子の溶解によってもたらされる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、Na2O、CaO、Ag2O、B2O3、ZnO、MgO、A12O3、P2O5、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの部材を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記水溶性ガラスは、約3mol.%から約36mol.%のNa2O、約0mol.%から約42mol.%のCaO、約0mol.%から約16mol.%のAg2O、約0mol.%から約5mol.%のB2O3、約0mol.%から約26mol.%のZnO、約0mol.%から約37mol.%のMgO、約0mol.%から約7mol.%のA12O3、約0mol.%から約53mol.%のP2O5を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記水溶性ガラスの溶解速度は、約0.001μg/cm2/hrと約500μg/cm2/hrの間である、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記水溶性ガラスの軟化温度は、約300°Cから約650°Cの間である、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤が銀を含む場合、該銀は、前記抗菌剤の総重量に基づいて約0.01wt.%と約90wt.%の間の量で存在する、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記水溶性ガラス封入抗菌剤は、繊維、粉末、顆粒、およびその組み合わせから成る群から選択される少なくとも一つの形状である、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記抗菌剤は金属カチオンである、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記抗菌剤は、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化リン、酸化亜鉛、および酸化銀のうちの少なくとも一つを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記抗菌剤は、酸化銀、酸化銅、酸化亜鉛、および酸化ホウ素のうちの少なくとも一つを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも一つのその他の活性剤を前記創傷に投与するステップをさらに含み、該少なくとも一つのその他の活性剤は、成長因子、鎮痛剤、止血剤、抗血栓薬、麻酔剤、抗炎症薬、抗癌剤、血管拡張物質、創傷治癒剤、血管形成剤、血管形成阻害剤、免疫向上剤、緩衝化合物、組織足場剤、別の抗菌剤、およびその組み合わせから成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも一つのその他の活性剤を前記創傷に投与するステップをさらに含み、該少なくとも一つのその他の活性剤は、創傷清拭剤である、請求項41に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも一つのその他の抗菌剤は、クロルヘキシジン、クロルヘキダイン塩、トリクロサン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バンコマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジクス酸、シュウ酸、エノキサシン酸、フシジン酸、それらの組み合わせ、および同様なものから成る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記抗菌剤はPHMBを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも一つのその他の活性剤は、前記創傷被覆材の適用前、適用中、適用後のうちの少なくとも一つに投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記その他の活性剤は、前記創傷被覆材の適用中に投与され、前記その他の活性剤は、前記担体および/または水溶性ガラスの中に埋込まれたものと、該担体および/または水溶性ガラスの表面上に被覆されたものとのうち少なくとも一つである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記膜形成高分子担体および/または該担体の中に埋込まれるまたは該担体の上に被覆される水溶性ガラスの溶解、ならびに電場または信号、pH、温度、時間、圧力、湿気、細菌性細胞シグナリング、例えば紫外線などの光、およびその組み合わせによって誘発される放出から成る群から選択される少なくとも一つの方法を使用して、前記抗菌剤を放出するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2009−501065(P2009−501065A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521578(P2008−521578)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/027089
【国際公開番号】WO2007/011612
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】