説明

力、特にトルクを測定するための方法及び装置

接続体によって第二部材に結合された第一部材によって適用された力を測定するための方法及び装置であって、接続体上の第一位置から接続体上の第二位置へ接続体を通して周期的に繰り返すエネルギー波を伝送し、第一位置から第二位置までの周期的に繰り返すエネルギー波の通過時間を測定し、測定された通過時間を利用して力の測定値を生成することによって測定する。好ましい実施態様では、接続体は駆動シャフトを被駆動シャフトに固定しかつ駆動シャフトのトルク出力を測定する固定プレートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は力、特にトルクを測定するための方法及び装置に関する。本発明は車両の出力トルク及び/又は自動車において遭遇される他の力を測定するのに特に有用である。それゆえ本発明はかかる用途に対して以下に記載されるが、本発明が同様に多くの他の用途に使用されることができることが認識されるだろう。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンの瞬間的な出力トルクは車両のエンジンの効率を高めるために、エンジンに供給される燃料及び/又は燃料の点火を制御するために使用されることができる。それはまた、エンジンのオーバーホールが必要かもしれないという兆候を与えるために使用されることができる。多くのトルク測定装置はこれらの目的のために使用されている。しかしながら、トルク測定の精度を高めること、回転数又は温度変化に対するトルク測定の感度を低下すること、及び/又は存在する車両中へうまく導入してそこの過酷な環境条件に耐えうる簡単でコンパクトな構成を与えることに対する努力は継続的になされている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は特に自動車の上述の用途に使用されるときに上述の一つ以上の点で利点を有する、トルク及び他の力を測定するための方法及び装置を提供することである。
【0004】
本発明の一つの広い側面によれば、下記工程を含む、体に適用される力を測定する方法が提供される:
前記体上の第一位置から前記体上の第二位置までの前記体における伝送路を通って周期的に繰り返す音波を伝送する;
前記第一位置から前記第二位置までの前記伝送路を通る前記音波の通過時間を測定する;そして
前記測定された通過時間を利用して前記力の測定値を生成する。
【0005】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様では、体は第一部材を第二部材に接続する接続体である。特に、接続体は第一部材を第二部材に固定する固定プレートであり、接続体は伝送路を通る周期的に繰り返す音波の測定された通過時間が歪の測定値、従って固定プレートに適用された力の測定値を表すように固定プレートに適用された力によって歪まされる。
【0006】
本発明の別の側面によれば、下記工程を含む、回転の共通軸に沿って駆動シャフトによって被駆動シャフトへ適用されたトルクを測定する方法が提供される:
少なくとも一つのトルクセンサープレートを回転の共通軸に対して偏心した第一固定点でシャフトの一方に、そして第一固定点から離間された第二固定点でシャフトの他方に固定することによってシャフトを一緒に結合する;
トルクセンサープレートの変形を第一と第二固定点の間のその区域において測定する;そして
測定された変形を利用してトルクの測定値を生成する;
但し、第二固定点は第一固定点から回転の軸までの半径方向の線に実質的に垂直な接線方向の線に沿って第一固定点から離間され、かくして第一と第二固定点の間のトルクセンサープレートの変形された区域が駆動シャフトの回転方向に依存して拡張又は収縮される。
【0007】
さらに重要な特徴によれば、トルクセンサープレートはまた、第三固定点で前記シャフトの他方に固定され、第三固定点は接線方向の線上にあるが第一固定点に対して第二固定点とは反対の側上にあり、第一固定点から第二固定点と等間隔で離間され、かくして駆動シャフトの回転時に最初に述べた区域とは反対方向に変形されるトルクセンサープレートの別の区域を第一と第三固定点の間に生成し;トルクセンサープレートの変形はまた、測定されてトルクの測定値を生成するように利用される。
【0008】
本発明の他の側面は上記方法に従ってトルク又は他の力を測定するための装置を提供する。
【0009】
特に以下に記載されるように、前記特徴を含む方法及び装置は高い精度を有しかつ回転数及び温度変化に対して比較的反応しないトルクの測定を実現する。さらに、方法は比較的簡単でコンパクトな構成を有しかつ存在する車両中へうまく導入してそこの過酷な環境条件に耐えうる装置で実現されうる。
【0010】
接続部材(例えばトルクセンサープレート)の変形の測定が本願の譲受人に譲渡された2003年9月16日の米国特許第6621278号に記載された高精度測定システムに従って実施されるときに特に良好な結果が得られる。但し、例えば通常の歪ゲージの使用によって他の変形測定システムを使用できることが認識されるだろう。
【0011】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の記載から明らかであろう。
【0012】
図面の簡単な記述
本発明は添付図面を参照して例示としてここに記載される。
図1は本発明に従って構成されたトルク測定装置を示す分解した三次元図であるが、その中の三つのトルクセンサープレートの一つだけを示す。
図2は図1のトルク測定装置をその三つのトルクセンサープレートとともに概略的に示す端面図である。
図3は図1の一つのトルクセンサープレートを示す拡大欠切断面図であり、それが図1に示されたような駆動及び被駆動シャフトに結合されている態様で示す。
図4は図1及び3のトルクセンサープレートの拡大図であり、それはトルクセンサープレートによって感知されるトルクを測定するための電気システムに接続されている。
図5は図4の電気的測定システムを示すブロック図である。
図6は図4に示されたトルクセンサープレートにおける変形を示す。
【0013】
前述の図面及び以下の記載は主に本発明の概念的な側面及び現在好ましい実施態様と考えられているものを含むその様々な可能な実施態様を容易に理解する目的のために与えられることは理解されるべきである。明確さ及び簡潔さのため、当業者が決まりきった技術及び設計を使用して記載された発明を理解及び実践するために必要とされる以上に詳細を与える試みはなされていない。さらに、記載された実施態様が例示だけを目的とすること、そして本発明がここに記載された以外の形態及び用途で具体化されうることは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面のうち図1〜5はエンジンのトルクの連続的な測定値を生成するために自動車で実現される本発明による新規なトルク測定方法及び装置を示す。図示された実行では、トルク測定はエンジン出力シャフトに接続されたフライホイールとエンジンギアボックスに接続されたクラッチ板との間の結合で実施される。この接続は典型的には、三つの固定ボルトによってフライホイールをクラッチ板にそれらの外周で固定することによってなされる。従って、エンジンからの機械的エネルギーはこれらの三つのボルトによってフライホイール及びクラッチ板を介して伝達される。各ボルトは全剪断力F=M/R(式中、「M」はボルトに適用される力であり、「R」は板の回転軸とボルト軸の間の距離である)を負荷される。エンジントルクは三つのボルトに適用される全部の力(3F)である。
【0015】
図1〜5に示された本発明の実施態様では、これらのボルトの負荷はエンジンの出力トルクの測定値を与えるために感知される。
【0016】
従って、図1は駆動シャフト3を介してエンジンに接続されたフライホイール2と、被駆動シャフト5及びギアボックス(図示せず)を介する負荷に接続されたクラッチ板4との間の結合を示す。この結合は上述の三つの固定ボルトによって実施され、それらのうちの一つは6で示される。各固定ボルト6はフライホイール板2における開口7を貫通し、クラッチ板4に固定された螺合部材9中にねじ込まれる。
【0017】
本発明によれば、トルクセンサープレートとして作用する、一般に10で示される固定プレートは各ボルトを介して伝達されるトルクを感知するような方法で各固定ボルト6によってフライホイール板2及びクラッチ板4に結合される。図1はボルト6のための一つだけのかかるトルクセンサープレート10を示すが、各々が固定ボルト6a,6b,6cによってそれぞれ固定された、図2で10a,10b及び10cで概略的に示されるような三つのかかるトルクセンサープレートがあることが認識されるだろう。
【0018】
各トルクセンサープレート10は図4で最も良好に見られるように平坦な細長い形状を有する。それはその中央区域で最も幅広く、その二つの端区域に向かって幅を減少する。その中央区域は上述のようにフライホイール板2をクラッチ板4に固定する固定ボルト6を受けるための中央開口11を伴って形成される。その二つの端区域は開口12,13を伴って形成される。後者の開口の各々は別の固定ボルト14,15を受け、それらのボルトはフライホイール板2だけに整合された開口を貫通する。ボルト14,15はトルクセンサープレート10の反対端をフライホイール板2に固定するためにロッキングリング16,17及びナット18,19(図1及び3)を受ける。
【0019】
特に図3に示されているように、そのそれぞれのトルクセンサープレート10の中央を貫通する各固定ボルト6はシャフト3及び5によって規定される二つの板の回転の共通軸に対して偏心した第一固定点でトルクセンサープレートをクラッチ板4に固定するために作用することがわかるだろう。また、それぞれのトルクセンサープレート10の端開口12,13を貫通する他の二つの固定ボルト14,15は固定ボルト6の第一固定点の反対側上に等間隔で離間された第二及び第三固定点のそれぞれでトルクセンサープレートをフライホイール板2に固定するために作用することがわかるだろう。従って、フライホイール板2によってクラッチ板4に伝達されたトルクは以下に特に記載されるように各トルクセンサープレート10を伝達されたトルクに相当する歪又は変形に供するだろう。
【0020】
図2は全ての三つのトルクセンサープレートが図1の単一のトルクセンサープレート10に対して上記の方法でフライホイール板2をクラッチ板4に結合するために適用されるときの図1の組立体を示す。図2では、図1のプレート10にそれぞれ対応する三つのトルクセンサープレートはそれぞれ10a,10b及び10cとして識別され、図1のボルト6,14及び15に相当するそれらの三つの固定ボルトはそれぞれ6a−6c,14a−14c及び15a−15cとして識別される。
【0021】
特に図2に示されるように、三つのトルクセンサープレート10a,10b,10cの各々は三つのボルト6a,6b,6cによって実施される第一固定点が二つのシャフト3,5の共通の回転軸RAに対して偏心するように装着される。さらに、ボルト14a−14c及び15a−15cのそれぞれによって実施される第二及び第三固定点の各々はそれぞれのボルト6a,6cのそれぞれの第一固定点を通過する接線方向の線上、即ちそれぞれの第一固定点から二つのシャフトの回転軸RAまでの半径方向の線RLに実質的に垂直な線上である。従って、フライホイール板2のシャフトの回転中、力は図2に矢印A−Cでそれぞれ示されるように三つのボルト6a−6cの各々によって接線方向に三つのトルクセンサープレート10a−10cに適用されるだろう。三つのボルト6a−6cの各々によって適用されたかかる接線方向の力は第一固定点(ボルト6a−6c)と第二固定点(ボルト14a−14c)の間でそれぞれのトルクセンサープレート10a−10cの区域の収縮を生成し、その反対側、即ち第一固定点(ボルト6a−6c)と第三固定点(ボルト15a−15c)の間でトルクセンサープレートの区域の拡張を生成するだろう。
【0022】
各トルクセンサープレート10の収縮及び拡張された区域は特に図4に見られる。示されているように、各トルクセンサープレート10は上記三つの固定点の間のトルクセンサープレートの区域の収縮及び拡張を増大するために一般に20で示されるスロット形成を伴って形成される。スロット形成20は中央開口11と一方の端開口12の間に第一対の平行なスロット21,22を含み、中央開口11と他方の端開口13の間に第二対の平行なスロット23,24を含む。従って、スロット21,22は開口11と12の間の第一の変形可能な区域25を規定し、スロット23,24は開口11と13の間に第二の変形可能な区域26を規定する。二つの区域25,26はそれらのそれぞれの固定ボルト6に適用された力に従って二つの板2,4の回転中に反対方向に変形されること、即ちこれらの区域の一方が収縮されると他方が等しい量で長くされることがわかるだろう。
【0023】
各トルクセンサープレート10に形成されたスロット形成20はスロット対21,22及び23,24に対してそれぞれ90°に位置される二つのさらなる対の平行スロット31,32及び33,34を含む。従って、変形可能な区域35はスロット対31,32によって規定され、別の変形可能な区域36はスロット対33,34によって規定される。しかしながら、トルクセンサープレートの区域25及び26は収縮又は伸長によって変形可能であり、区域35及び36は曲げによって変形可能である。従って、センサー区域35及び36における曲げはセンサー区域25,26における収縮又は伸長を増大する。
【0024】
センサー区域25,26における収縮又は伸長は図4に示された追加のスロット、即ち平行なスロット21−24の外部端のそれぞれに形成された外方に延びる端スロット37−40、及び二対のスロット21−24を二対のスロット31−34と相互接続する接続スロット41−44によってさらに増大される。
【0025】
従って、各トルクセンサープレート10の区域25及び26の収縮又は伸長はフライホイール板2からクラッチ板4へそれぞれのトルクセンサープレート10を介して伝達されるトルクによって生成されたそれぞれの中央固定ボルト上の力に相当することがわかるだろう。センサー区域25,26の収縮又は伸張は通常の歪ゲージによって測定されてもよい。しかしながら、特に良好な結果はかかる変形が比較的小さい変形であっても極めて高い精度を達成することができる上で引用した米国特許第6621278号に記載された電気測定システムによって測定されるときに得られる。
【0026】
かかる電気測定システムは図4のボックス50によって概略的に示され、特に図5に示される。大ざっぱに言うと、トルクセンサープレート10の区域25,26の各々における変形は、周期的に繰り返すエネルギー波をそれぞれの区域の一方の側から他方の側に向かって伝送し、受信した波数が整数であるように周期的に繰り返すエネルギー波の伝送の周波数を連続的に変化し、周波数の変化を測定し、測定された周波数の変化を利用してそれぞれのセンサー区域25,26の変形の測定値を生成することによって測定される。
【0027】
従って、かかる測定値はエンジントルクによって生成されるそれぞれのトルクセンサープレートの固定ボルト6上の力からなるだろう。従って、全エンジントルク、即ちフライホイール板2とクラッチ板4の間で伝達される全トルクは三つの固定ボルト6a−6cによって二つの板を一緒に結合する三つのトルクセンサープレート10a,10b及び10cによって伝達されるトルクの合計であるだろう。
【0028】
図4に示されるように、各トルクセンサープレート10はその変形可能な区域25の一方の側で第一送信機51を与えられ、その変形可能な区域25の反対側で第一受信機52を与えられ、その変形可能な区域26の一方の側で第二送信機53を与えられ、その変形可能な区域26の反対側で第二受信機54を与えられる。記載された好ましい実施態様では、二つの送信機及び受信機はともに周期的に繰り返す音波を送信及び受信するための音波タイプのものである。
【0029】
トルクセンサープレート10a−10cのセンサー区域25及び26の伸長及び収縮を測定するための図4のブロック50内に示される電気測定システムは特に図5に示される。簡単のため、図5はトルクセンサープレート10a−10cの一つのセンサー区域25の伸張又は収縮を測定するための送信機51及び受信機52で作動される電気システムの回路だけを示す。しかしながら、システムはまた、それぞれのトルクセンサープレートのセンサー区域26の伸張又は収縮を感知するための送信機53及び受信機54で作動される同様の回路、並びにフライホイール板2からクラッチ板4へのトルクの伝達時に他の二つのトルクセンサープレートで生じる収縮及び拡張を感知するための同様の回路を含むことが認識されるだろう。
【0030】
従って、図5に示されているように、電気測定システム50は送信機からの音波が受信機52によって受信されるまでスイッチSWを介して送信機51を最初に駆動するための発振器55を含む。いったんかかる音波が受信機52によって受信されると、スイッチSWが開放され、従って受信機52によって受信された信号がその後送信機51の伝送の周波数を制御するために使用される。
【0031】
図5に示されるように、受信機52によって受信された信号はその入力56aを介して比較器56に供給される。比較器56は受信した信号の予め決められた基準又は参照点を検出するように予め決められたバイアスに接続された第二入力56bを含む。図5に示された例では、この予め決められた基準点は受信した信号の「0」クロスオーバー点であり、それゆえ入力56bはゼロバイアスである。他の参照点は受信した信号の前縁、最大ピーク、又は最小ピークの如き基準点として使用されることができる。
【0032】
比較器56の出力は増幅器57に供給され、それは受信機53によって受信した信号における各基準点(「0」クロスオーバー点)のために出力波又は信号の生成を引き起こす。増幅器57からの信号はORゲートを介して送信機52に供給される。ORゲート58はまた、スイッチSWが閉じられるとき発振器55から出力を受ける。
【0033】
スイッチSWは送信機52が増幅器57からORゲート58を介して信号の連続流れを受信するときに開放される。スイッチSWが開放されるとき、送信機52は増幅器57を制御するために比較器56によって検出されかつ受信機53によって受信された信号における基準点によって決定された周波数で送信するだろう。従って、送信機52による送信の周波数は送信機51から送信されかつ受信機52によって受信される周期的に繰り返すエネルギー波の波数が整数であるようなものであるだろう。
【0034】
従って、送信機52の周波数がセンサー区域25の伸長又は収縮によって生じるような、送信機52と受信機53の間の距離の変化を伴って変化している間、送信機52から送信された信号の波数は整数のままであることがわかるだろう。これは上で説明したように、送信機52の送信が受信機53によって受信される信号の基準点(「0」クロスオーバー点)によって制御されるためである。送信機52による周波数のこの変化は送信機と受信機の間の波数を整数に維持しながら送信機と受信機の間の距離の正確な決定を行うことを可能にする。即ち、下記のように知られている:

F=C/λ

式中、F及びCはそれぞれ、各媒体における周期的に繰り返すエネルギー波の周波数及び速度であり、λは波長である。
【0035】
送信機52の周波数を制御するために使用される、比較器56において検出される「0」クロスオーバー点はまた、「N」回カウントされるためにカウンタ60に与えられ、出力はクロック62によって制御された別のカウンタ61に与えられる。カウンタ61は測定された伸長及び収縮に従ってエンジントルクの計算を行うマイクロプロセッサ63、及びマイクロプロセッサの出力を表示するディスプレイ64に出力を生成する。
【0036】
マイクロプロセッサ63の出力は測定されたトルクを表す。それは燃料のエンジンへの供給又は燃料の点火を制御するために65で示されるように制御信号として適用されてもよい。それはエンジントルク出力、エンジン状態(例えば修理又はオーバーホールの必要性)、又はエンジントルク出力に関する他の情報又は制御の連続的表示を与えるために使用されてもよい。
【0037】
図5に示された測定システムに関するさらなる詳細は上で引用した米国特許第6621278号において入手可能であり、その内容は参考としてここに組み入れられる。トルクセンサープレートにおける上記変形を測定するためのかかる測定システムを使用することは極めて高い精度のトルク測定値を生成することが見出された。それゆえかかる測定システムは好ましいが、トルクセンサープレートにおける変形を測定するための他の電気測定システム、例えば従来の歪ゲージを使用してもよい。
【0038】
また、一つの区域において伸張を受け、別の区域において相補的な収縮を受けるトルクセンサーを使用することは、トルクの高精度な測定値だけでなく、温度又は角速度変数に比較的敏感でない測定値を生成することが見出された。従って、温度の影響は拡張信号と収縮信号の間において同じであり、それゆえ一方の信号を他方の信号から減算することは温度の影響を除去する。さらに、記載された好ましい実施態様では、感知される力は半径方向の力よりむしろ回転軸に対して接線方向の力であるので、生成される出力信号は回転速度によって比較的影響されず、それは半径方向(遠心)力を生成する。
【0039】
記載されたトルクセンサーのさらなる利点はそれが存在する車両のトランスミッションシステムに都合良く組み込まれかつ過酷な環境に耐えうる簡単かつコンパクトな構成を与えることである。
【0040】
トルクセンサープレートは記載された車両の実施態様では比較的小さい伸長及び収縮を生成する金属であることが好ましいが、他の実施態様ではそれらは良好な超音波伝導性を有しかつより大きな伸長及び収縮を生成するプラスチック又は弾性材料からなってもよい。センサープレート10a−10cの各々の伸長及び収縮は全トルクの正確な測定値を生成するために上記のように独立して測定されてもよい。あるいは、一つだけのセンサープレートの伸長及び収縮を実際に測定してもよく、かかる測定によって表されるトルクに対してかかるプレートの数(3)を掛けて全トルクの近似値を得てもよい。センサーの出力はスリップリング、ワイヤレス送信機などを介して電気測定システムに与えられてもよい。
【0041】
図6はそこでは一般に10で示されるトルクセンサープレートの変更例を示す。トルクセンサープレート110はまた、金属から作られ、図4の開口11,12及び13に対応する111,112及び113で示される三つの固定開口で形成される。しかしながら、この場合において、各開口は一連のウェブ111cによって中断された円形スロット(例えば111b)によってセンサープレートの残りに浮動可能に装着されたソケット111a,112a,113aによって規定される。全てのスロット111b、及び開口112及び113に対して形成された対応するスロットは遮音材料、好ましくはエポキシ樹脂で充填され、それはセンサープレートに生成される音波反射を吸収する傾向を有する。
【0042】
図6に示されたセンサープレート110では、そこで125及び126で示された音波伝送路(図4の伝送路25及び26のそれぞれに相当)はまた、図4のスロット41−44のそれぞれに相当する複数のスロット141−144によって規定される。しかしながら、この場合において、スロットは狭い伝送路125,126、及びトルクセンサープレートの中央部分を外周部分に装着する狭いウェブ135,136を生成するようにずっと幅広い。
【0043】
図4に関して上で記載したように、伝送路125,126の各々は図4の送信機及び受信機51−54に相当する要素151−154によって示されるようにその対向端に送信機及び受信機を含む。
【0044】
全ての他の点で、図6に示されたトルクセンサープレート110は実質的に同じ構成を有し、図1〜5に対して上で記載されたトルクセンサープレート10と実質的に同じ方法で操作する。
【0045】
本発明はその特定の実施態様と結合して記載されたが、多くの代替例、変更例及び修正例が当業者に明らかであることは明白である。例えば、本発明は他の力、例えば重量などを感知又は測定するための方法及び装置で実施されてもよく、ボルトなどの他の形の接続部材に適用された力を感知してもよい。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にあるかかる代替例、変更例及び修正例の全てを包含することを意図される。この明細書に述べた全ての出版物、特許、特許出願は、あたかも各個々の出版物、特許、特許出願が参照としてここに組み入れられることを特別にかつ個々に示されているのと同程度に明細書に全体を参照として組み入れられる。さらに、この出願の参照における引用又は識別はかかる参照が本発明の従来技術として利用可能であるという承認として見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に従って構成されたトルク測定装置を示す分解した三次元図である。
【図2】図1のトルク測定装置をその三つのトルクセンサープレートとともに概略的に示す端面図である。
【図3】図1の一つのトルクセンサープレートを示す拡大欠切断面図である。
【図4】図1及び3のトルクセンサープレートの拡大図である。
【図5】図4の電気的測定システムを示すブロック図である。
【図6】図4に示されたトルクセンサープレートにおける変形を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含む、体に適用される力を測定する方法:
前記体上の第一位置から前記体上の第二位置までの前記体における伝送路を通って周期的に繰り返す音波を伝送する;
前記第一位置から前記第二位置までの前記伝送路を通る前記音波の通過時間を測定する;そして
前記測定された通過時間を利用して前記力の測定値を生成する。
【請求項2】
前記体は第一部材を第二部材に接続する接続体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続体は前記第一部材を前記第二部材に固定する固定プレートであり、前記接続体は前記伝送路を通る周期的に繰り返す音波の測定された通過時間が歪の測定値、従って前記固定プレートに適用された力の測定値を表すように前記固定プレートに適用された前記力によって歪まされる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一及び第二部材は測定された力が第一回転部材によって第二回転部材に適用されるトルクであるように前記固定プレートによる回転の共通軸のまわりに一緒に回転するために固定された第一及び第二回転部材である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記固定プレートは第一固定点で前記第一回転部材に、そして第二固定点で前記第二回転部材に固定され、固定プレートの前記伝送路は周期的に繰り返すエネルギー波の前記測定された通過時間が前記第一と第二固定点の間の前記伝送路における固定プレートの歪の測定値を表すように前記第一と第二固定点の間である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第二固定点は前記第一と第二固定点の間の固定プレートの区域が前記回転部材の回転方向に依存して拡張又は収縮されることによって変形されるように前記第一固定点から前記回転軸までの半径方向の線に実質的に垂直な接線方向の線に沿って前記第一固定点から離間される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固定プレートはまた、第三固定点で前記第二回転部材に固定され、前記第三固定点は前記接線方向の線上であるが前記第一固定点に対して前記第二固定点とは反対の側上にあり、前記第一固定点から前記第二固定点と等間隔で離間され、かくして前記駆動シャフトの回転時に前記最初に述べた伝送路とは反対方向に変形される固定プレートにおける別の伝送路を前記第一と第三固定点の間に生成し;前記固定プレートの変形はまた、測定されて前記トルクの測定値を生成するように利用される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固定プレートは前記駆動シャフトの回転時に変形を受ける固定プレートにおける前記第一及び第二伝送路を規定するスロット形成で形成される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固定プレートは金属からなり、音波における反射を最小にするために遮音材料を充填されたスロットによって前記固定プレートに浮動自在に装着されたソケットに受容された金属固定手段によって前記第一及び第二回転部材に固定される請求項5に記載の方法。
【請求項10】
二つの回転部材は回転部材の回転軸のまわりで偏心的に等間隔で離間された複数の前記固定プレートによって一緒に結合される請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第一回転部材は車両の駆動シャフトであり、前記第二回転部材は車両の被駆動シャフトである請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記第一位置から前記第二位置までの前記周期的に繰り返す音波の通過時間は下記工程によって測定される請求項1に記載の方法:
前記第二位置で受信した周期的に繰り返す音波における予め決められた基準点を検出する;
受信した波数が整数であるように各受信した音波の検出された基準点に従って周期的に繰り返す音波の伝送の周波数を連続的に変化する;そして
測定された周波数の変化を利用して前記第一位置から前記第二位置までの周期的に繰り返す音波の前記通過時間の測定値を生成する。
【請求項13】
下記工程を含む、回転の共通軸に沿って駆動シャフトによって被駆動シャフトへ適用されたトルクを測定する方法:
少なくとも一つのトルクセンサープレートを前記回転の共通軸に対して偏心した第一固定点で前記シャフトの一方に、そして前記第一固定点から離間された第二固定点で前記シャフトの他方に固定することによって前記シャフトを一緒に結合する;
前記トルクセンサープレートの変形を前記第一と第二固定点の間のその区域において測定する;そして
前記測定された変形を利用して前記トルクの測定値を生成する;
但し、前記第二固定点は前記第一固定点から前記回転の軸までの半径方向の線に実質的に垂直な接線方向の線に沿って前記第一固定点から離間され、かくして前記第一と第二固定点の間のトルクセンサープレートの変形された区域が前記駆動シャフトの回転方向に依存して拡張又は収縮される。
【請求項14】
前記トルクセンサープレートはまた、第三固定点で前記シャフトの前記他方に固定され、前記第三固定点は前記接線方向の線上にあるが前記第一固定点に対して前記第二固定点とは反対の側上にあり、前記第一固定点から前記第二固定点と等間隔で離間され、かくして前記駆動シャフトの回転時に前記最初に述べた区域とは反対方向に変形されるトルクセンサープレートの別の区域を前記第一と第三固定点の間に生成し;前記トルクセンサープレートの変形はまた、測定されて前記トルクの測定値を生成するように利用される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二つのシャフトはシャフトの回転軸のまわりで偏心的に等間隔で離間された複数の前記トルクセンサープレートによって一緒に結合される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第一と第二固定点の間の区域における前記トルクセンサープレートの変形は下記工程によって測定される請求項13に記載の方法:
前記区域の一方の側から前記区域の他方の側に向かって周期的に繰り返すエネルギー波を伝送する;
前記区域の他方の側で周期的に繰り返すエネルギー波を受信する;
受信した周期的に繰り返すエネルギー波における予め決められた基準点を検出する;
受信した波数が整数であるように各受信した波の検出された基準点に従って周期的に繰り返すエネルギー波の伝送の周波数を連続的に変化する;
周波数の変化を測定する;そして
測定された周波数の変化を利用して前記第一と第二固定点の間の前記区域におけるトルクセンサープレートの変形の測定値、従って前記トルクの測定値を生成する。
【請求項17】
前記トルクセンサープレートが金属からなり、音波における反射を最小にするために遮音材料を充填された前記トルクセンサープレートに浮動自在に装着されたソケットに受容された金属固定手段によって前記第一及び第二回転部材に固定される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動シャフトは車両のエンジンの出力シャフトである請求項13に記載の方法。
【請求項19】
下記のものを含む、体に適用される力を測定するための装置:
周期的に繰り返す音波を前記体中の伝送路を通って前記体上の第二位置に伝送するための前記体上の第一位置の送信機;
前記周期的に繰り返す音波を受信するための前記体上の前記第二位置の受信機;及び
前記第一位置から前記第二位置までの前記伝送路を通る周期的に繰り返す音波の通過時間を測定し、前記測定された通過時間を利用して前記力の測定値を生成するための電気的システム。
【請求項20】
前記体は第一部材を第二部材に接続する接続体である請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記接続体は前記第一部材を前記第二部材に固定する固定プレートであり、前記接続体は前記伝送路を通る周期的に繰り返す音波の測定された通過時間が歪の測定値、従って前記固定プレートに適用された力の測定値を表すように前記固定プレートに適用された前記力によって歪まされる請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第一及び第二部材は測定された力が第一回転部材によって第二回転部材に適用されるトルクであるように前記固定プレートによる回転の共通軸のまわりに一緒に回転するために固定された第一及び第二回転部材である請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記固定プレートは第一固定点で前記第一回転部材に、そして第二固定点で前記第二回転部材に固定され、固定プレートの前記伝送路は周期的に繰り返すエネルギー波の前記測定された通過時間が前記第一と第二固定点の間の前記伝送路における固定プレートの歪の測定値を表すように前記第一と第二固定点の間である請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第二固定点は前記第一と第二固定点の間の固定プレートの変形された区域が前記回転部材の回転方向に依存して拡張又は収縮されるように前記第一固定点から前記回転軸までの半径方向の線に実質的に垂直な接線方向の線に沿って前記第一固定点から離間される請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記固定プレートはまた、第三固定点で前記第二回転部材に固定され、前記第三固定点は前記接線方向の線上であるが前記第一固定点に対して前記第二固定点とは反対の側上にあり、前記第一固定点から前記第二固定点と等間隔で離間され、かくして前記駆動シャフトの回転時に前記最初に述べた伝送路とは反対方向に変形される固定プレートにおける別の伝送路を前記第一と第三固定点の間に生成し;前記固定プレートの変形はまた、測定されて前記トルクの測定値を生成するように利用される請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記固定プレートは前記駆動シャフトの回転時に変形を受ける固定プレートにおける前記第一及び第二伝送路を規定するスロット形成で形成される請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記固定プレートは金属からなり、音波における反射を最小にするために遮音材料を充填されたスロットによって前記固定プレートに浮動自在に装着されたソケットに受容された金属固定手段によって前記第一及び第二回転部材に固定される請求項23に記載の装置。
【請求項28】
二つの回転部材は回転部材の回転軸のまわりで偏心的に等間隔で離間された複数の前記回転部材固定プレートによって一緒に結合される請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記第一回転部材は車両の駆動シャフトであり、前記第二回転部材は車両の被駆動シャフトである請求項23に記載の装置。
【請求項30】
前記電気システムは下記工程によって前記通過時間を測定する請求項19に記載の装置:
前記第二位置で受信した周期的に繰り返す音波における予め決められた基準点を検出する;
受信した波数が整数であるように各受信した音波の検出された基準点に従って周期的に繰り返す音波の伝送の周波数を連続的に変化する;そして
測定された周波数の変化を利用して前記第一位置から前記第二位置までの周期的に繰り返す音波の前記通過時間の測定値を生成する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−517213(P2007−517213A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546480(P2006−546480)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001190
【国際公開番号】WO2005/062719
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501415637)ネクセンス リミテッド (2)