説明

力計測デバイス用較正デバイス及び力計測デバイス

【課題】本発明は、力計測デバイス(1)用の、特に秤用の較正デバイス(40)であって、力計測デバイス(1)の力計測セル(10)に所定の力(F)を加えることができ、これにより力計測セル(10)が、加えられた力(F)と相関する計測信号(S)を発生するように力計測セル(10)に連結されるように設計された電気的に制御可能な力発生手段(41)を持ち、計測信号(S)を演算処理ユニット(60、PU)に伝達でき、この演算処理ユニットで計測信号(S)を所定の力(F)と関連して演算処理できる、較正デバイス(40)に関する。
【解決手段】較正デバイス(40)は、力計測デバイス(1)及び/又は較正デバイス(40)を特徴付ける少なくとも一つの所定のパラメータ(P)に連続的にアクセスする較正制御ユニット(CCU)を含み、この較正制御ユニット(CCU)は、演算処理ユニット(60、PU)と情報信号(SCD)の交換を行うため、通信リンク(52)によって演算処理ユニット(60、PU)に接続でき、較正制御ユニット(CCU)は、情報信号(SCD)及びパラメータ(P)に基づいて制御信号を発生し、これによって、力発生手段(41)を制御するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力計測デバイス用の、特に秤用の較正デバイス、及び較正デバイスに適した力計測デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
力計測デバイスは、通常は、力受け入れ部分、力伝達部分、力計測セル、及び計測信号の演算処理を行うためのデバイスを含む。力の計測を行うため、力受け入れ部分によって力を受け入れ、力伝達部分によって力を力計測セルに伝達する。力は、力計測セルで、力計測セルに入力される力として作用する。例えば計量デバイスでは、計測されるべき力は、被計量物の加重力によって形成され、力受け入れ部分(計量パンの形態をなしている)に加えられ、力伝達部分(リンクの形態をなしている)を通して伝達され、力計測セル、いわゆる計量セルに作用する。
【0003】
力計測セルは、機械−電気トランスジューサであり、入力された力を電気的計測信号に変換する。入力された力と対応するこの計測信号は演算処理ユニットに伝達され、ここで演算処理及び評価が行われる。演算処理の結果を計測値の形態でインジケータユニットに送るか或いは、別の演算処理ユニット、例えばより高レベルのコンピュータ又はシステム制御装置に送る。
【0004】
一貫して高い精度を確保するため、補正手順、いわゆる較正を時々行う必要がある。これには、所定の大きさの力を力計測セルに加えることが含まれる。その結果、力計測セルは、所定の力と対応する計測信号を発生し、これを演算処理ユニットに伝達する。所定の力と、これによって得られた計測値との間の相関に基づき、適当な補正を行うことができる。例えば演算処理ユニットの計算パラメータを調節できる。
【0005】
所定の力を発生する機能及びこの力を力計測セルに伝達する機能は、多くの場合いわゆる較正デバイスによって行われる。較正プロセス中、較正デバイス又はその少なくとも一部、例えば較正重りを力伝達連結部を通して力計測セルに連結し、これによって発生した力を力計測セルに伝達する。較正サイクルの完了時に連結を解除する。そのため、力計測セルがその通常の計測モードで作動している場合には、較正デバイスから分離される。
【0006】
いわゆる静荷重負荷マシンがDE10 2007 036 214 A1に開示されている。このマシンは、様々な力計測デバイスの較正に役立ち、例えば国立標準研究所で使用されている。ここに記載されたマシンは、較正されるべき力トランスジューサを支持できる圧力プレート並びに所定の重りが入ったラックを含む。これらの重りは、外部から力トランスジューサに個々に又は任意の組み合わせで連結できる。重りの装荷及び持ち上げは、空気圧アクチュエータエレメントシステムによって行われる。空気圧アクチュエータエレメントシステムは、詳細には、自動制御を行うことができる。このような構成では、力トランスジューサ、例えば力計測セルの電気出力は制御システムに接続される。自動制御は、メニュー選択式特定用途用ソフトウェアプログラムによって相互作用的に行われる。較正の開始前に、使用者は、力計測セル並びに較正手順に関するパラメータを入力する必要がある。重りの選択並びに結果の評及びを構成報告書の発行は、同様に、自動で行われる。
【0007】
必要な場合に力計測デバイスを較正するために力計測デバイスに割り当てられた較正デバイスは、従来技術で周知である。例えば、CH676 750 A2には、力計測セルに連結されたキャリヤ上に所定の較正重りを持ち上げデバイスによって下ろすことができる較正デバイスが開示されている。これによって、較正重りは力計測セルに連結される。較正重りは、較正サイクルの開始時に電気モータ及び回転スクリュースピンドルによって垂直方向下方に移動され、その後、較正の完了後に再び持ち上げられる。持ち上げデバイスは、自律的ユニットとして形成でき、様々な大きさの較正重りで使用するように適合できる。しかしながら、様々な力計測デバイス又は特定の要件に適合するためのこの較正デバイスの性能は限られている。しかし、較正デバイスが、その使用される用途の要件及び較正デバイスが設けられた力計測デバイスの要件に自在に且つ簡単に適合できるのが望ましい属性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE10 2007 036 214 A1
【特許文献2】CH676 750 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、様々な要件に対して簡単に適合できる力計測デバイス用較正デバイスを提供することである。別の目的は、形体及び作動が簡単であり且つ対費用効果に優れており、計測精度及び安定性に関する厳密な要件を満たす力計測デバイスを提供することである。
【0010】
このタスクは、独立項に記載の特徴を持つ較正デバイスによって解決される。本発明の有利な実施例は、従属項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、力計測デバイス、特に秤用の較正デバイスであって、力計測デバイスの力計測セルに所定の力を加えることができ、これにより力計測セルが、加えられた力と相関する計測信号を発生するように力計測デバイスの力計測セルに連結できる電気的に制御可能な力発生手段を持ち、計測信号を演算処理ユニットに伝達でき、この演算処理ユニットで計測信号を所定の力と関連して演算処理できる、較正デバイスに関する。較正デバイスは、力計測デバイス及び/又は較正デバイスを特徴付ける少なくとも一つの所定のパラメータに連続的にアクセスする較正制御ユニットを含み、較正制御ユニットは、演算処理ユニットと情報信号の交換を行うため、通信リンクによって演算処理ユニットに接続でき、較正制御ユニットは、情報信号及びパラメータに基づいて制御信号を発生し、これによって、力発生手段を制御するように形成されている。
【0012】
これにより、較正デバイスを力計測デバイスに交換設置することが大幅に容易になる。その結果、較正デバイスを最も広い要件に、例えば様々な種類の力計測デバイスに、又は特定の要件、特に較正デバイスが使用される用途の精度ファクタ、安定性ファクタ、又は費用ファクタに関して簡単に且つ自在に適合できる。
【0013】
本明細書中、「パラメータ」という用語は、任意の値、量、又は一群の値及び量としておおまかに理解されるべきである。このパラメータ又はパラメータ群には、力計測デバイス及び/又は較正デバイスを特徴付ける全ての重要な量又はこれらの量のサブセットが含まれる。本明細書中で考慮されるこれらの量は、例えば種類、型番、設計表示、又はバージョン数を含む一般的な性質を備えていてもよいと考えられる。しかしながら、特定の量、例えば力計測デバイス又は較正デバイスの作動挙動又は作動条件に関する特性値、又は力計測デバイスへの較正デバイスの連結に関する形状条件を含んでいてもよい。
【0014】
力発生手段の特定の機能及びその個々の構成要素が互いに作用する態様を中央で制御し、較正制御ユニットによって監視するのが特に有利である。これにより、システムと関連したばらつき、即ち特徴的作動シーケンス及び製造許容差を補正でき及び/又は局所的に即ち較正デバイス内で較正できる。こうしたばらつきは、例えば駆動モータの特性、その作動特性の相違により、又は較正重りの製造と関連した相違により生じる。この情報を較正制御ユニットで演算処理でき、又は演算処理ユニットに通信できる。演算処理ユニットでは、補正パラメータの計算でこうした相違を考慮に入れることができる。
【0015】
驚くべきことに、較正制御ユニットにより、力計測デバイスを広範な様々な要件に適合する上で高度の自在性を得ることができるということがわかった。例えば、力発生手段の作動挙動を較正制御ユニットにより直接的に制御及び/又は案内することによって、外部影響要因から高度に遮断できる。かくして、力発生デバイスのモデル変更が、関連した較正制御ユニットに及ぼす影響は僅かであり、しかもこれは演算処理ユニットによるものではない。
【0016】
更に、較正制御ユニットの追加により複雑さが高くなったにも関わらず、較正デバイスを全体として費用上の利点が得られるように実現できるということがわかった。この考えは、多数の同じ力計測デバイスを製造し販売するという対費用効果に優れた方法を提供する。次いで、これらの力計測デバイスを、最終的な船積みの僅かに前に特定の顧客用の要件に適合する。これにより、流通の補給管理及び組織化を大幅に節約する。
【0017】
更に、力発生手段及び較正制御ユニットを互いに対して直接的に割り当てることにより、これらの構成要素間の調節を最適にできる。かくして、較正制御ユニットは、制御信号を発生するとき、特に力発生手段の特性を考慮に入れることができる。例えば、力計測デバイスでの適合の必要なしに、力発生手段で全く異なる技術を使用できる。かくして、顧客に特定の要件に応じて、重力によって、又は例えば圧電効果を使用する別の原理によって所定の力を発生できる。
【0018】
更に、力発生手段を電気的に制御することにより、制御信号を力発生手段に最適に適合できる。例えば、電気モータによって較正重りを移動できる力発生手段では、制御信号を発生する上で電気モータの種類及び特性を考慮できる。更に、較正重りの変位間隔、最適の加速度及び速度等のパラメータを考慮に入れることができる。このようなパラメータは、任意の種類の数学的関数の形態、又は所与の時間的プロファイルの形態でも定義できる。
【0019】
更に、較正重りを移動するため、例えば空気圧駆動源又は圧電効果に基づくリフターデバイス等の他の機構を使用してもよい。各場合において、較正制御ユニットは、これらの駆動源の特徴的作動データを使用し、これらのデータを結び付け、制御信号を発生するプロセスにパラメータとして入力する。
【0020】
別の機能として、作動中、特に較正サイクル中にエラーが検出された場合、較正制御ユニットは、較正デバイスから演算処理ユニットに警報信号の形態のメッセージを伝達できる。この場合にも、エラーメッセージについて均等な構造を使用することによって、相互交換自在性を大幅に向上できる。
【0021】
本発明による較正デバイスは、特定の種類の力計測デバイスに限定されず、多くの様々な力計測デバイスと関連して広範に使用できる。較正デバイスは、詳細には、歪ゲージによって変形を計測する原理又は電磁力補償の原理に基づく力計測デバイスで使用できる。
【0022】
本発明の有利な実施例では、較正制御ユニットは、少なくとも一つのパラメータ及び情報信号を演算処理し、制御信号を発生するのに役立つ所定の固定プログラム又は変更可能なプログラムを含む。これにより、制御ユニットを新たなアプリケーションタスクに、及び信号演算処理システムの変化に自在に適合できる。プログラムは、好ましくは、演算処理ユニットの制御下で、変更、再プログラム、又は交換を行うことができる。
【0023】
別の有利な実施例では、較正制御ユニットは、パラメータを記憶するためのメモリーエレメントを含み、及び/又は較正制御ユニットは、演算処理ユニットから情報信号の交換により、パラメータを受信するように設計されている。これにより、少なくとも一つのパラメータを新たな作動条件に簡単に適合できる。例えば力計測デバイスの初期化工程において、力計測デバイスによってパラメータを決定でき、決定されたパラメータを較正制御ユニットに伝達でき、ここでメモリーエレメントに記憶できる。メモリーエレメントは、電力遮断時、例えば較正デバイスの交換中でもデータが失われないように、不揮発性メモリーとして形成されているのが有利である。
【0024】
パラメータによって特徴付けられるとりわけ好ましい属性は、力計測デバイスの種類、又は力計測デバイスの機能的原理又は計測範囲又は計測精度又は計測安定性又は所期の適用領域である。パラメータは、更に、較正デバイスの種類又は機能的原理、特に力計測セルへの力発生手段の連結を決定する空間の少なくとも一つの寸法を特徴付ける。パラメータによって表現できる他の特徴には、力発生手段の種類、詳細には、その機能的原理又は発生されるべき力の大きさ又は力の変化速度又は変化の加速度又は変位間隔の長さが含まれる。
【0025】
勿論、一組の又は一群の様々なパラメータの形態の任意の組み合わせを同様に考えることができる。一組のパラメータは、上述のカテゴリー又はサブカテゴリーのうちの異なるものの組み合わせであってもよい。例えば、一組のパラメータには、力計測デバイスの計測範囲の幅、駆動モータのトルク、連結係合時の最大接触速度、及び許容可能な最大の振動障害の振幅が含まれていてもよい。
【0026】
本発明の有利な実施例では、較正制御ユニットは、アナログ制御信号を発生するように設計されている。発生されたアナログ制御信号は、力発生手段を制御するため、制御ラインを通して力発生手段に伝達される。制御信号は、情報信号と対応し、及び/又は較正デバイスによって確認された内部イベントと対応する。力発生手段を直接的に且つ特定的に制御するため、この制御構成により、包括的な及び/又は標準化された制御情報並びに内部で決定された情報を効率的に使用できる。
【0027】
別の有利な実施例では、較正制御ユニットは、デジタル及び/又はコーデッドフォーマット及び/又は双方向モード及び/又はデータパケットの形態の情報信号の交換を行い、及び/又はバスシステムに連結するように設計されている。これにより、情報信号の効率的伝達を行うことができる。これは、外乱に対して非常に強い。更に、力計測デバイスの別の構成要素は、同様に、制御ユニットを備えており、データ通信を、例えば光ゲート又はホールセンサによって同様に制御できる。従って、複数の参加者を持つ効率的な通信システムを実現できる。例えば二進コード又はアスキーコードで情報をエンコードすることによって、情報を汎用的な広く互換性のある形態でコンパクトに且つ効率的に伝達できる。
【0028】
好ましい実施例では、較正制御ユニットは論理インターフェースを含み、伝達された情報を、所定の標準化された仕様に従って交換でき、及び/又は較正制御ユニットは、通信プロトコル、特に標準化プロトコルに従って情報信号を交換するように設計されている。かくして較正制御ユニットは汎用構成要素として大量に及び従って好ましい価格で製造できる。更に、エラーの診断及び補正を行うのに利用できる試験プログラム等の標準化されたツールがある。
【0029】
較正制御ユニットは、好ましくは、力発生手段を支持するホルダ又はベースプレートに配置されており、及び/又は較正制御ユニットは、較正制御ユニットと力発生手段との間の空間的距離が、較正制御ユニットと演算処理ユニットとの間の空間的距離よりもかなり短いように配置されている。その結果、短く丈夫な制御ラインを持つ非常にコンパクトな設計が得られる。この構成では、較正制御ユニットと力発生手段との間の空間的距離は、数mm乃至最大数cmである。較正制御ユニットは、更に、例えば較正制御ユニットと力発生手段とを互いに直接的に接合することによって、力発生手段の直ぐ近くに配置されていてもよい。
【0030】
別の好ましい実施例では、較正デバイスは、電気的インターフェース、詳細には、通信リンクに接続するための標準化インターフェースを形成するコネクタエレメントを含む。コネクタエレメントは、分離可能なプラグ接続部として、又はコネクタ端子として設計される。これにより、例えばインピーダンスの適合等の費用のかかる電気的適合の必要なしに、較正デバイスを特に自在に交換できる。コネクタエレメントは、好ましくは、分離可能なプラグコネクタ又はコネクタ端子として形成されており、そのため較正デバイスの設置及び交換を迅速に且つ便利に行うことができる。
【0031】
別の好ましい実施例では、較正デバイスは、情報信号から指令を引き出す機能、所与の判断基準に基づいて指令を評価する機能、及び力発生手段を評価の結果に従って制御する機能を行うように設計されている。このような判断基準は、例えば、指令、尤もらしさ(plausibility)の限度、又は較正デバイスの状態を示すパラメータの所定の組によって与えられる。好ましくは、判断基準は、プログラムを実行することによって評価される。プログラムは、例えば、予めプログラムされた固定値として、又はメモリーユニットからプログラムによって読み取られる記憶された値等の所与の値及び/又は所与の指令の形態の判断基準を受け入れることができる。これらの値は、伝達によって、プログラムが利用可能にできる。
【0032】
本発明の特に好ましい実施例では、較正制御ユニットはプログラム可能であり、及び/又はデータ、計測値、又はプログラムを記憶できるメモリーエレメントを含む。これにより、較正制御ユニットを新たなタスクに、及び/又は変化した作動条件に自在に適合できる。データは、較正デバイスの作動及び監視並びに通信の制御に必要な情報に含まれていてもよい。メモリーエレメントに記憶できるデータの例には、較正本体の正確な重量又は製造許容差及び/又は駆動機構の負荷の変化が含まれる。これらのデータは、例えば較正デバイスの製造者が試験的計測によって確認でき、次いでメモリーに記憶する。かくして、この手順は、力計測デバイスの製造プロセスとは別個に行うことができる。
【0033】
記憶されたデータには、独自のIDナンバーが含まれていてもよい。これは、メッセージを較正制御ユニットにアドレスする上で、又は較正制御ユニットから来入するメッセージを同定する上でのベースとして役立つ。更に、較正デバイスの診断データ、例えば作動時間数、荷重限度を超えた場合の数、及び/又は制限温度を超えた記録がメモリーユニットに記憶されると考えることができる。
【0034】
メモリーユニットは、更に、プログラム、及び個々の構成要素、特に較正制御ユニット自体の作動パラメータを記憶するのに役立つ。メモリーユニットには、更に、個々の構成要素のシリアルナンバー、バージョンナンバー、プログラムのバージョンナンバー、及び/又は較正データのバージョンナンバーが記憶されていてもよい。これらのデータは、一方では較正制御ユニットがアクセスできるが、演算処理ユニットもアクセスできる。ストレージを中央から排除することにより、特に較正デバイスの交換を行う場合、この情報の管理を大幅に簡略化する。
【0035】
メモリーエレメントは、好ましくは不揮発性メモリーとして形成されており、そのため、電力供給の中断中でも、記憶されたデータが保存される。更に、メモリーエレメントは較正制御ユニットとともにマイクロプロセッサに組み込まれていてもよい。
【0036】
更に発展した好ましい実施例では、較正を行おうとする場合、力を加える速度を力発生手段の位置に応じて制御できる。例えば、力計測セルに連結されたキャリヤに較正重りを下ろすと、所定の速度プロファイルを辿る。このことは、極めて高感度の重量センサにとって重要である。これは、所定の力を正確に且つ特定的に加えることを確実にするためである。
【0037】
好ましい実施例の較正デバイスは、較正デバイスの挙動の経時的制御、例えばイベントの登録又は欠陥の検出に役立つクロックを含み、特定のイベント又は欠陥の発生を較正制御ユニットのメモリーのログファイルに時間マーカーとともに入力できる。
【0038】
本発明の別の実施例では、力発生手段は、所定の力を発生するのに役立つ較正重りを備えており、この較正重りは、その位置を変えることによって力計測セルに連結できるように、移動できるように構成されている。較正重りの重量に変化が全く加わらない、又は経時的に非常に僅かした変化しないため、この較正により一定の安定した力を発生できる。従って、これによって行うことができる較正は、経時的変化による影響をほとんど受けない。
【0039】
別の好ましい実施例では、力発生手段は、駆動ユニット、特に電気モータを含む。駆動ユニットは、特に較正本体の位置変化を生じる駆動ユニットの性能により、発生される力を伝達するのに役立つ。これにより、対費用効果に優れた方法で力発生手段を形成でき且つ作動できる。
【0040】
別の実施例では、較正デバイスは、少なくとも一つの機械的インターフェースを持つモジュール式ユニットとして形成される。機械的インターフェースは、詳細には、少なくとも一つの所与の設置寸法及び/又はガイド軌道の一部及び/又は所与のファスニング位置によって決定される。かくして、高度の相互交換自在性を得ることができ、交換を行う上での機械的適合についての費用及び労力をなくすことができ、又は少なくとも大幅に低減する。
【0041】
較正デバイスは、別の実施例では、較正制御ユニットに連結された少なくとも一つのセンサを含む。このセンサは、力発生手段の制御に使用できる電気信号を発生する。その結果、追加の影響要因(influence facters) に対する良好な応答を得ることができる。センサの信号は、更に、演算処理ユニットに情報として伝達される。
【0042】
好ましくは、センサは、一方では、作動条件の決定、詳細には、負荷が変化する状態での遊隙、位置変化、温度、又は電流/電圧の供給の決定を行うのに役立ち、他方では、周囲環境の外部からの影響、特に周囲温度及び/又は機械的外乱及び/又は振動を決定するのに役立つ。これによって、これらの多くの種類の影響要因及び外乱を検出でき、力発生手段の制御を行う上で適当な方法で考慮に入れることができる。
【0043】
例えば、負荷が変化する状態で遊隙を計測するためのセンサは、負荷が変化する状態で経時的変化又は磨耗と関連した遊隙の増大を決定するのに役立つ。この情報に基づき、較正デバイスの力計測セルへの位置決め及びかくして連結、又は力を加える上での時間的プロファイルを情報に従って適合できる。このような展開を演算処理ユニットに報告でき、演算処理ユニットによって登録できる。次いで、例えば保守及び修復作業の計画でこの種の情報を使用できる。
【0044】
位置変化を決定するためのセンサは、接触スイッチ又は光ゲートとして形成されていてもよい。これにより、力発生手段が終位置に達した場合に較正制御ユニットに信号を送出できる。力発生手段が終位置に達したことは、主として、較正デバイス内で局所的に明らかになる。この場合、これらは特定の方法で作用できる。
【0045】
好ましい実施例では、較正制御ユニットは、力発生手段の制御に関し、利用可能な情報に基づいて自律的決定、即ち使用者の如何なる入力とも独立した決定を行うことができるように形成されている。これにより、全体が内蔵された独立した自律的ユニットとしての較正デバイスが迅速に効率的に且つ現在置かれている状況に対して特定的に、必要になった場合に較正を実行することによって応答するという目的が達成される。
【0046】
本発明による別の実施例は、力計測セル及び上文中に説明した較正デバイスを含む、一つのユニットに合併した力計測デバイスにおいて、較正サイクル中、力計測セルに所定の力を加えるため、力計測セルに連結されており、力計測セルは、力計測セルが発生した計測信号を演算処理するために計測信号を演算処理ユニットに伝達するため、特に通信リンクによって演算処理ユニットに接続されている、力計測デバイスに関する。この工程中、力発生手段が発生した力を力計測セルに加える。かくして、較正デバイスは、力計測デバイス内で機能的ユニットを形成する。これにより較正デバイスの交換及び顧客に特定の要件への較正デバイスの適合を容易にする。
【0047】
好ましい実施例では、演算処理ユニットは、パラメータを決定及び/又は計算し、及び/又はこれを較正制御ユニットに伝達し、及び/又は較正制御ユニットからパラメータを読み取る性能を持つように設計されている。かくして、演算処理ユニットでパラメータ又はパラメータ組を演算処理及び/又は評価又はチェックできる。これにより、較正デバイスと力計測デバイスとの間で個々に最適化された自在の相互適合を行うことができる。
【0048】
好ましい実施例では、通信リンクは、双方向通信及び/又はデジタル通信を行うように、及び/又はバスシステム及び/又はパケットの形態のデータを交換するためのシステムとして形成される。通信リンクをこのように使用することによって、情報を自在に且つ対費用効果に優れた方法で交換できる。特にバスシステムに関し、ケーブル接続の費用及び複雑さを低くしておくことができる。更に通信リンクは、力計測デバイスの他の構成要素、例えば別の計測センサにも使用できる。
【0049】
別の実施例では、較正デバイスは移動自在の較正本体を有する。そのため、較正デバイスを力計測セルに連結するため、較正本体を移動することによって力計測セルの着座位置で接触を達成できる。これにより、一方では、較正中に力伝達連結を達成でき、他方では、通常の計測モードでの作動中に力計測セルの外乱の可能性を排除する。
【0050】
本発明による別の実施例では、力計測セルの可動部分は、自由端に着座位置を持つ力伝達アームにしっかりと連結されている。較正デバイスは、着座位置で力計測セルに連結できる。この力伝達アームにより、力計測セル及び較正デバイスの配置における更に大きな設計上の自由を得ることができる。
【0051】
好ましくは、交換を行う場合に高度の自由を確保するため、較正デバイスの電源接続部もまた、標準的な電気的インターフェースの形態で実現されるということに言及しなければならない。
【0052】
本発明による較正デバイス及びこの種の較正デバイスが交換自在のモジュール式ユニットの形態で割り当てられた力計測デバイスの詳細並びに本発明による方法は、添付図面に示す実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明による力計測デバイスの図であり、力計測デバイスは、例示の実施例では秤の形態であり、加えられた力Fが力受け入れ部分30及びインジケータユニット70とともに象徴的に示してある。
【図2】図2は、力計測セル10に所定の力Fを加えるため、較正デバイス40を力計測セル10に連結できる、秤の概略断面図である。
【図3】図3は、較正デバイス40を力計測デバイス1に二つの機械的インターフェース44a及び44bによって連結でき、及びかくして交換可能なモジュール式ユニットを構成する、図2による力計測セル10の実施例の別の例を示す概略図である。
【図4】図4は、較正デバイス40の較正制御ユニットCCUと演算処理ユニットPUとの間で情報信号SCDを交換するための通信リンク52を持つ、図2による秤のブロックダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、例示の実施例の秤の形態の力計測デバイス1を示す。この図には、計量パンの形態の力受け入れ部分30に作用する加えられた力Fが象徴的に示してある。この力Fを力計測デバイス1で計測し、インジケータユニット70、例えば液晶ディスプレーを通して計測結果が使用者に伝えられる。
【0055】
図2は、秤の形態の力計測デバイス1の簡略化した概略断面図である。秤は、内部空間内に力計測セル10が配置されたハウジング20を有する。
力計測セル10は定置部分11及び可動部分12を有し、これらの部分は、中間部分13を通して、可撓性移行部(flexible transitions)によって互いに連結されている。力計測セル10は、更に、計測センサ14を含む。計測センサ14は、可動部分12の移動を計測し、移動と対応する計測信号Sに変換する。簡略化を図る目的のため、計測センサ14が一つしかない力計測セル10を示す。代表的には、四つの計測センサ14が使用され、これらのセンサは、各々、中間部分13が定置部分11及び可動部分12を結ぶ可撓性移行部に一つづつ配置される。計測センサ14は、好ましくは歪ゲージである。
【0056】
力計測セル10の定置部分11は、ハウジングをベースとした支持体21によってハウジング20にしっかりと連結されている。ハウジングの外側に配置された計量パンの形態の力受け入れ部分30が、ロッド31を通して、内部空間内に配置された力計測セル10の可動部分12に連結されている。ロッド31は、ハウジングパススルー22によって、ハウジング20と接触することなくハウジングを通過している。パススルー22は、塵埃の侵入をできるだけなくす、即ち少なくとも大幅に減少するように設計されている。
【0057】
計測センサ14は、計測センサ14が発生した計測信号Sを演算処理ユニット60に伝達するため、計測信号ライン15を通して演算処理ユニット60に接続されている。演算処理ユニット60は、演算処理ユニット60によって決定された計測値をインジケータユニット70に伝達するため、別の接続ラインを通してインジケータユニット70に接続されている。
【0058】
較正デバイス40が力計測セル10と近接してハウジング20の内部空間内に配置されている。較正デバイス40は別のハウジングを有し、このハウジング内に較正重り41が移動が制限されるように配置されている。較正重り41は、駆動エレメント43によって上下できる。駆動エレメント43は電気モータMとして形成されている。電気モータMの方向は、適当な制御信号、例えばステッパパルスによって、又は電源を適当に制御することによって定められる。
【0059】
本発明によれば、較正デバイス40は較正制御ユニット50を含む。較正制御ユニット50にはメモリー素子が配置されており、ここにパラメータPの値を記憶できる。かくして、較正制御ユニット50は、制御信号を出すための所定値として、パラメータPを利用できる。パラメータPは、力計測デバイス1の特徴並びに較正デバイス40の特徴を決定できる。メモリー素子は不揮発性メモリーとして形成されており、そのため、較正デバイス40の交換を、データを損失することなく簡単に行うことができる。
【0060】
較正制御ユニット50は、一方では、接続ラインを通してコネクタエレメント53に接続されている。コネクタエレメント53は、コネクタラインを通して演算処理ユニット60に接続されている。これらのコネクタラインが通信リンクを形成し、これは、この例において、通信リンク52として形成されている。この構成により、較正制御ユニット50と演算処理ユニット60との間で情報信号SCDを双方向で交換できる。
【0061】
較正制御ユニット50は、他方では、制御ライン51によって電気モータMに接続されている。その結果、電気モータMを制御信号によって制御できる。この構成では、制御信号は、較正制御ユニット50によって、情報信号SCD及びパラメータPに基づいて発生される。
【0062】
力計測セル10の可動部分12に力伝達アーム32の第1端がしっかりと取り付けられている。力伝達アーム32の第2端即ち遠位端が座33を形成し、この座を通して所定の力Fを較正デバイス40から力計測セル10に導入できる。次いで、この力Fを力伝達アーム32を通して力計測セル10に直接的に伝達する。かくして、計量パンに置かれた被計量物の加重力(Weight force)Fと同様に、力計測セル10に所定の力Fが作用する。この例では、座33に作用する較正デバイス40の較正重り41の加重力によって所定の力Fを発生する。
【0063】
較正デバイス40のハウジングのハウジング壁には適当な開口部が設けられており、較正重り41の加重力を受け取るため、力伝達アーム32の第2端即ち遠位端がこれらの開口部を通ってハウジングの内部空間内に延びている。しかしながら、較正重り41の部分又はその延長部が、ハウジング壁の開口部、例えば細長い穴を通って較正デバイス40のハウジングの外側に延び、これによって、ハウジングの外側に配置された力伝達アーム32に較正重り41を連結できる構成も可能である。
【0064】
以下に較正サイクルを簡単に説明する。較正サイクルの進行中、力受け入れ部分30には力Fは作用していてはならない。従って、較正サイクルの開始時に力計測セル10に作用する力があってはならない。
【0065】
較正サイクルの開始時に較正重り41を電気モータMによって座33に下ろす。これによって二つの機能が実行される。即ち、較正デバイス40を力計測セル10に連結する機能及び所定の力F即ち較正重り41の加重力を力計測セル10に加える機能を実行する。
【0066】
次の工程で、力計測セル10が発生した計測信号Sを演算処理ユニット60に伝達し、この演算処理ユニット60で信号を所定の値に変換し、この値を較正重り41の所定の力Fと比較する。次いで、演算処理で得られた結果により、演算処理ユニット60の計算パラメータを計量結果を決定する関数に対して最適化する。しかしながら、これらの結果をインジケータユニット70又は他の演算処理ユニットに伝達してもよい。
【0067】
較正サイクルを完了するため、較正重り41を電気モータMで持ち上げることによって座33から取り外す。この工程により、較正デバイス40を力計測セル10から外し、その通常の作動モードで力計測セル10が較正デバイス40に影響を及ぼさないようにする。これに続いて通常の計測モードで作動するとき、最適化した計算パラメータを使用することによって被計量物の計測値を評価する。
【0068】
実施例の別の例として、図3は、図2による力計測セル10を示す。この力計測セル10では、力伝達アーム32は、窪み形態の座33を持つ細長いアームとして形成されている。較正重り41はバーベル形状であり、そのシャフトを座33の適合する窪みに下ろすことができる。力受け入れ部分30は、計量パンを所定の場所に保持できるファスニングポストとして形成されている。
【0069】
較正デバイス40は、更に、図3に二重破線で示す機械的第1インターフェース44a及び機械的第2インターフェース44bを有する。機械的第1インターフェース44aは、力計測セル10に関し、所定寸法に従って較正デバイス40の構成を形成する。機械的第1インターフェース44aは、所定の設置寸法及び/又はガイド軌道の一部及び/又はファスニング位置の形態で与えられてもよい。更に、較正デバイス40は、そのハウジングにモジュール式ユニットとして取り付けられてもよく、その場合、ハウジングは、所与の設置寸法及び/又は所与のファスニング位置と適合するように設計されている。
【0070】
機械的第2インターフェース44bは、較正重り用の座33と機械的第1インターフェース44aとの間の垂直方向距離を決定するのに役立つ。この垂直方向距離は、所定値と一致する。二つの機械的インターフェース44a及び44bにより、較正デバイス40は、別の較正デバイス40との交換が容易なモジュール式ユニットを構成する。
【0071】
較正制御ユニットCCUが較正重り41の直ぐ下に配置されている。このように近接して配置されているため、較正デバイス40をコンパクトで場所をとらないユニットとして形成できる。その結果、このユニット(図3に一点鎖線で示す)を、コンパクトな独立したアッセンブリユニットに簡単に組み込むことができる。好ましくは、このユニットは、較正制御ユニットCCU及び較正重り41をその休止位置で受け入れる座が設けられたホルダ又はベースプレート上に配置される。このアッセンブリユニットは、更に、力計測デバイスのハウジング20とは別個のこのユニット自体のハウジングに設置されてもよい(図2参照)。
【0072】
図4は、力計測デバイス1の様々な機能的ユニットを互いに接続する通信リンク52を持つ、図2による秤の概略ブロックダイヤグラムを示す。機能的ユニットは、この例では、演算処理ユニットPU、較正制御ユニットCCU、インジケータユニットDISP、第1センサS1に接続された第1センサ制御ユニットCUS1、及び第2センサS2に接続された第2センサ制御ユニットCUS2である。第1センサS1は、例えば、加えられた力を決定するための計測センサであってもよく、その計測信号は第1センサ制御ユニットCUS1で評価され、演算処理ユニットPUに伝達される。第2センサS2は、温度センサであってもよく、その信号は第2センサ制御ユニットCUS2で評価され、同様に演算処理ユニットPUに伝達される。センサ及び関連した制御ユニットは、任意の他の組み合わせで配置されていてもよい。更に、直接的信号ラインを通して演算処理ユニットPUに接続された計測センサSが(図1に従って)設けられていてもよい。更に、インジケータユニットDISP及び比較的高レベルのコンピュータの形態の別の演算処理ユニットを通信リンク52に接続してもよい。
【0073】
較正制御ユニットCCUは、標準的な電気コネクタエレメント53を通して通信リンク52に接続される。この構成では、コネクタエレメント53は、更に適合を行うことなく様々な較正デバイス40を通信リンク52に接続できる電気的インターフェースを構成する。コネクタエレメント52は、この例では、別のプラグ接続部として象徴的に示してある。かくして、較正デバイス40の交換を特に簡単に行うことができる。
【0074】
通信リンク52は、この例では、デジタル情報信号を個々の機能的ユニット間で双方向で交換できるデジタルバスシステムとして形成されている。このバスシステムは、複数のパラレル導体を含む。しかしながら、通信リンク52は様々な形態で、例えば、シリアル導体、無線接続部、又は光接続部の形態で実施できる。情報信号SCDは、好ましくは、較正制御ユニットCCUと演算処理ユニットPUとの間でデジタル形態で交換される。この場合、情報信号SCDは、好ましくは、標準的通信プロトコルに従って伝送される。
【0075】
バスシステムについて、例えば、IC、プロフィバス(Profibus)、又はイーサネット(Ethernet)として周知の標準の一つに従って使用できる。情報信号には、バイナリデータ、コーデッド指令及びメッセージ、又は通常のテキストの形態の情報が含まれる。好ましくは、指令及びメッセージのサイズは、適切なしかし十分な方法で必要事項に制限される。そのため、これらは、較正制御ユニットCCUの最も広い多様性によって一般的に実行できる。指令は、例えば「下方に毎分10mmの速度で移動せよ」であり、戻しメッセージは、「下方移動完了」である。
【0076】
較正制御ユニットCCUは、更に、データ、計測値、又はプログラムを記憶するのに役立つメモリー素子MEMを含む。更に、パラメータPをメモリー素子MEMに記憶する。その結果、較正制御ユニットCCUは、読み取りモード並びに書き込みモードでパラメータPの値にアクセスできる。データには、較正デバイス40の作動及び監視並びに通信を制御するのに必要な全ての情報が含まれる。メモリー素子からのデータの読み取り及びメモリー素子へのデータの書き込みは、較正制御ユニットCCUによる直接的アクセスによって、並びに演算処理ユニットPUによる通信リンク52を介した遠隔制御によって行うことができる。メモリー素子MEMは、好ましくは、不揮発性メモリーとして形成されており、マイクロプロセッサの形態で較正制御ユニットCCUと組み合わせて実施されてもよい。
【0077】
この情報には、例えば、電気モータの種類及びその特性が含まれる。動的挙動、特に加速度及び速度の時間的プロフィールを決定するデータが含まれていてもよい。更に、較正デバイス40の診断データ、例えば過負荷状態、磨耗の兆候、作動温度、又は周囲条件についての情報を提供するデータを記憶することが考えられる。データには、更に、通信中に較正デバイス40にアドレス及び/又はこれを同定するのに役立つ一つ又はそれ以上のIDコードが含まれていてもよい。
【0078】
較正制御ユニットCCUには、更に、電気モータM及びかくして較正重りの速度及び/又は加速度を制御するのに役立つクロックCLが含まれる。クロックCLは、例えば較正デバイス40の挙動の制御又は特定のイベントに合わせる等の追加のタスクにも使用できる。
【0079】
較正デバイス40は、更に、較正制御ユニットCCUに接続されたセンサSiを含む。かくして、センサSiが発生した信号は較正制御ユニットCCUに伝達され、ここでこれらの信号を使用して電気モータMを制御する。センサSiは、この場合、較正重りが終位置に達したとき、較正制御ユニットCCUに信号を提供する光ゲートとして形成される。センサは、例えば、電気モータの回転角度を決定するため、電気モータの直ぐ近くに配置されていてもよい(破線参照)。更に、追加のセンサSe(破線で示す)が較正デバイスに設けられていてもよい。このセンサは、同様に、較正制御ユニットCCUに情報、例えば振動の発生を伝達する。この場合、重りを力計測セルに連結するプロセスで力計測セルに過負荷が加わらないように、電気モータの速度を例えば50%減少する。
【0080】
較正デバイス40及び力計測デバイス1を好ましい実施例で説明し且つ例示した。力計測デバイスを秤1の形態で説明した。しかしながら、本発明は、重量計測デバイス、計量モジュール、ロードセル、及び計測センサ等の他の力計測デバイスでも使用できる。これは、幾つかの場合において、秤の部分を形成できる。更に、これらのデバイスは、勿論、構成要素の特定の選択、形体群、及び用途に限定されない。
【符号の説明】
【0081】
1 力計測デバイス
10 力計測セル
11 定置部分
12 可動部分
13 中間部分
14 計測センサ
15 計測信号接続部
20 ハウジング
21 支持体
22 ハウジングのパススルー
30 力受け入れ部分
31 ロッド、リンク
32 力伝達アーム
33 座
40 較正デバイス
41 較正本体
43 駆動エレメント
44a、44b 機械的インターフェース
50 較正制御ユニット
51 制御ライン
52 通信リンク、通信ライン
53 コネクタエレメント
60 演算処理ユニット
61 コネクタライン
70 インジケータユニット
CCU 較正制御ユニット
CL クロック
CUS1、CUS2 センサ制御ユニット
CW 較正重り
P パラメータ
PU 演算処理ユニット
DISP インジケータユニット
FW 加えられた力
FC 所定の力
M 電気モータ
MEM メモリー
SCD 情報信号
SF 計測信号
S S1 S2 Si Se センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力計測デバイス(1)用の、特に秤用の較正デバイス(40)であって、前記力計測デバイス(1)の力計測セル(10)に所定の力(F)を加えることができ、これにより前記力計測セル(10)が、加えられた力(F)と相関する計測信号(S)を発生するように前記力計測セル(10)に連結されるように設計された電気的に制御可能な力発生手段(41)を持ち、前記計測信号(S)を前記力計測セルの演算処理ユニット(60、PU)に伝達でき、この演算処理ユニットで前記計測信号(S)を前記所定の力(F)と関連して演算処理できる、較正デバイス(40)において、
前記較正デバイス(40)は、前記力計測デバイス(1)及び/又は前記較正デバイス(40)を特徴付ける少なくとも一つの所定のパラメータ(P)に連続的にアクセスする較正制御ユニット(50、CCU)を含み、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記演算処理ユニット(60、PU)と情報信号(SCD)の交換を行うため、通信リンク(52)によって前記演算処理ユニット(60、PU)に接続でき、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記情報信号(SCD)及び前記パラメータ(P)に基づいて制御信号を発生し、これによって、前記力発生手段(41)を制御するように形成されている、ことを特徴とする較正デバイス(40)。
【請求項2】
請求項1に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記少なくとも一つのパラメータ(P)及び前記情報信号(SCD)を演算処理し、前記制御信号を発生するのに役立つ所定の固定プログラム又は変更可能なプログラムを含む、較正デバイス(40)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記パラメータ(P)を記憶するのに役立つ不揮発性メモリーエレメント(MEM)を含み、及び/又は前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記演算処理ユニット(60、PU)から前記情報信号(SCD)の交換により、前記パラメータ(P)を受信するように設計されている、較正デバイス(40)。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の較正デバイス(40)において、
前記パラメータ(P)は、前記力計測デバイス(1)の種類、又は前記力計測デバイス(1)の機能的原理又は計測範囲又は計測精度又は計測安定性又は所期の適用領域を特徴付ける、較正デバイス(40)。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記パラメータ(P)は、前記較正デバイス(40)の前記種類又は前記機能的原理、特に前記力計測セル(10)への前記力発生手段(41)の連結を決定する空間の少なくとも一つの寸法を特徴付ける、較正デバイス(40)。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記パラメータ(P)は、前記力発生手段(41)の種類、詳細には、その機能的原理又は発生されるべき力の大きさ又は力の変化速度又は変化の加速度又は変位間隔の長さを特徴付ける、較正デバイス(40)。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、デジタル及び/又はコーデッドフォーマット及び/又は双方向モード及び/又はデータパケットの形態の前記情報信号(SCD)の交換を行い、及び/又はバスシステムに連結するように設計されている、較正デバイス(40)。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は論理インターフェースを含み、伝達された情報を、所定の標準化された仕様に従って交換でき、及び/又は前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記情報信号(SCD)を通信プロトコルに従って交換するように設計されている、較正デバイス(40)。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正デバイス(40)は、前記較正デバイスの挙動の経時的制御、詳細にはイベントの登録又は欠陥の検出に役立つクロック(CL)を含み、前記特定のイベント又は欠陥の発生を前記較正制御ユニットの前記メモリーのログファイルに時間マーカーとともに入力できる、較正デバイス(40)。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記力発生手段(41)は、所定の力(F)を発生するのに役立つ較正重り(41)を含み、この較正重り(41)は、その位置を変えることによって前記力計測セル(14)に連結できるように、移動できるように構成されている、較正デバイス(40)。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記力発生手段(41)を支持するホルダ又はベースプレートに配置されており、及び/又は前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記較正制御ユニット(50、CCU)と前記力発生手段(41)との間の空間的距離が、前記較正制御ユニット(50、CCU)と前記演算処理ユニット(60、PU)との間の空間的距離よりもかなり短いように配置されている、較正デバイス(40)。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正デバイス(40)は、前記較正制御ユニット(50、CCU)に接続された少なくとも一つのセンサ(Si、Se)を含み、前記センサは、前記力発生手段(41)の制御に使用できる電気信号を発生し、前記センサ(Si、Se)は、一方では、作動条件、特に負荷が変化する状態での遊隙、位置変化、温度、又は電流/電圧の供給を決定するのに役立ち、他方では、周囲環境の外部からの影響、特に周囲温度及び/又は機械的外乱及び/又は振動を決定するのに役立つ、較正デバイス(40)。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)において、
前記較正制御ユニット(50、CCU)は、前記力発生手段(41)の制御に関し、利用可能な情報に基づいて自律的決定を行うことができるように形成されている、較正デバイス(40)。
【請求項14】
力計測セル(10)及び請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の較正デバイス(40)を含む力計測デバイス(1)において、
較正サイクル中、前記力計測セル(10)に所定の力(F)を加えるため、前記力計測セル(10)に連結されており、前記力計測セル(10)は、前記力計測セル(10)が発生した前記計測信号(S)を演算処理するために前記計測信号(S)を演算処理ユニット(60、PU)に伝達する目的のため、特に通信リンク(52)によって前記演算処理ユニット(60、PU)に接続されている、力計測デバイス(1)。
【請求項15】
請求項14に記載の力計測デバイス(1)において、
前記演算処理ユニット(60、PU)は、パラメータ(P)を決定及び/又は計算し、及び/又はこれを較正制御ユニット(CCU)に伝達し、及び/又は前記較正制御ユニット(CCU)から前記パラメータ(P)を読み取る性能を持つように設計されている、力計測デバイス(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−517010(P2012−517010A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548689(P2011−548689)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051391
【国際公開番号】WO2010/089358
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland