説明

加圧保護を備えるガルバニ電池

本発明は、第1のハウジング側面部品(1)と、第2のハウジング側面部品(7)と、ハウジングフレーム(10)とから形成されているハウジングを備え、このハウジング内には、電解液及び電気的に作用する電極フィルムユニット(14)が配置されており、ハウジングが過圧保護(4)を有している個別セル(2)に関する。
本発明に基づき、第1のハウジング側面部品(1)は、少なくとも部分的に個別セル(2)の長さを上回るハウジング側面部品セグメント(3)を有し、このセグメントは第1のハウジング側面部品(1)に対してセル内側方向に折り曲げられ、このセグメント内には過圧保護(4)が配置されており、ハウジングフレーム(10)内には、過圧保護(4)の部分にベントポート(11)が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴に基づく電池の個別セル、請求項13の前提部分の特徴に基づく電池、及び請求項14の前提部分の特徴に基づく個別セルに使用するためのベントポートを備えるハウジングフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に説明されているように、従来技術から、非水電気化学電池の爆発保護構造及びその製造方法が知られている。非水電気化学電池には、電池ホルダの底面に複数の溝が形成されており、それらの溝では、電池ホルダ底面の材料の厚さが削減されている。これらの溝では、溝の少なくともある一点及び底部分が平坦に形成されているため、電池の内圧があらかじめ設定された圧力になると、この爆発保護構造が作動可能である。
【0003】
特許文献2では、電池セーフティバルブ及びそれを装備した電池が説明されている。電池には、陽極、陰極、電解液及びケースが含まれている。このケースには、バルブプレートと、このバルブプレート上に環状に形成された規定破断個所と、環状に形成されたこの規定破断個所によって取り囲まれている部分にある1つ又は複数の補助規定破断個所が含まれている。この補助規定破断個所は、補助規定破断個所部分のバルブプレートの厚さが、環状の規定破断個所部分よりも大きくなるように形成されている。補助規定破断個所の少なくとも一方の端部は、環状の規定破断個所に接続されている。この種のバルブプレートがセーフティバルブとして電池内に組み込まれている場合、このセーフティバルブは円滑に機能し、電池内に生じるガスを素早く排出することができる。
【0004】
特許文献3から、双極性電池とその製造方法が知られている。この双極性電池には、電解液を注入するための注入開口部を有するハウジングが含まれており、これらの開口部は、例えばハウジングのハウジングフレームに配置されている。このハウジングは、完全に密閉することもできるし、通気可能にすることもできる。
【0005】
特許文献4には、セーフティバルブを備えるフラットセルが説明されている。このフラットセルは、過充電、強過ぎる放電、又はオーバーヒートによって内部温度が上昇した場合、フラットセルハウジングの開放機構が作動して、強過ぎるセル内圧に起因する爆発又は発火を阻止するセーフティバルブを有している。このために、フラットセルの封鎖箇所には少なくとも1つの開放部品が配置されており、この樹脂製の開放部品は、フラットセルの封鎖箇所よりも低い融点を有している。
【0006】
特許文献5から、バルブを含む電池構造が知られている。一方向バルブは、積層膜を取り囲む保護カバーの中に組み込まれている。この保護カバーが閉められた後で、この電池構造は、このバルブによって真空にされる。この保護カバー内の圧力が保護カバー外部よりも高くなると、気体及び液体は、このバルブを介して保護カバーから外部へ流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0266541A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1321993A2号明細書
【特許文献3】米国特許第5,688,615号明細書
【特許文献4】米国特許第7,122,276号明細書
【特許文献5】国際公開第94/10708号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電池用の改良された個別セル、従来技術に比較して改良された電池、及び個別セルに使用するハウジングフレームの製造方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴を備える個別セルによって解決される。電池に関して、この課題は、請求項13に記載の特徴によって解決され、方法に関しては請求項14に記載の特徴によって解決される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態および発展形態は、従属請求項に示されている。
【0011】
個別セル、特にフラットセルには、第1のハウジング側面部品と、第2のハウジング側面部品と、ハウジングフレームとから形成されているハウジングが含まれ、このハウジング内には、電解液及び電気化学的に作用する電極フィルムユニットが配置されており、ハウジングは過圧保護を備えている。
【0012】
本発明に基づき、第1のハウジング側面部品は、少なくとも部分的に個別セルの長さを上回るハウジング側面部品セグメントを有し、このセグメントは第1のハウジング側面部品に対してセル内側方向に曲げられ、セグメント内には過圧保護が配置されており、ハウジングフレーム内には、この過圧保護部分にベントポートが取り付けられている。
【0013】
電池の個別セル、特にリチウムイオン電池内では、例えばショート又は過充電などで個別電池が機能不良になると、個別電池に含まれる電気化学的に作用する質量、例えば酸化ニッケルなどが熱的に不安定になり、規定温度を上回る発熱反応によって不可逆的に分解するため、温度及びセル内圧が急激に上昇する。この分解プロセスにより、個別セルはさらに加熱され、セル内圧がさらに上昇する。これにより、このような個別セル又はこのような個別セルを備える電池が爆発及び/又は引火する可能性がある。
【0014】
これを防止するため、本発明に基づく解決方法によって、最大許容セル内圧を超過すると過圧保護が開き、気体及び/又は液体を、セル内部から制御的に漏出させるようになっている。本発明に基づく解決方法によって、この過圧保護は個別セルのハウジングフレームの範囲内に配置することが可能である。このことは、個別セルとして実施されているフラットセルの場合にとりわけ重要であるが、それは、電池内ではセルのハウジング側面部品が互いに圧迫し合う状態で配置されているため、過圧保護を側面に配置できないからである。しかし、ハウジングフレームが熱可塑性樹脂から製造されている場合、セル内圧の状態が様々に変化すると、温度に応じて過圧保護が作動するため、過圧保護をハウジングフレーム内に直接組み込むことができなくなる。本発明に基づく解決方法によれば、過圧保護がハウジングフレームの範囲内に配置されている場合でも、このことを防止することができるが、それは、この過圧保護が温度感受性材料から製造されていないハウジング側面部品セグメントの中に配置されているためである。これにより、個別セルの温度とは無関係に、セル内圧があらかじめ規定された値に達すると、過圧保護が作動するようになっている。ハウジングフレーム内のベントポートにより、過圧保護が作動した場合、気体及び/又は液体は、ハウジングフレームを通ってセル内部から制御的に漏出するようになっている。
【0015】
有利な場合には、この過圧保護が、ハウジング側面部品セグメントの材料をあらかじめ弱化すること、好ましくは規定破断個所を設けることによって形成されている。この方法では、セル内圧が最大許容圧を超過すると、ハウジングが規定箇所で前述の方法によって破断するため、簡単に実現可能かつコストのかからない方法により、気体及び/又は液体を制御的にセル内部から漏出させられるようになっている。このことにより、個別セルの爆発及び/又は引火、及びその結果生じる危険を有効に防止することができる。
【0016】
有利な実施形態では、ハウジング側面部品セグメントが直角に曲げられている。特に有利な実施形態では、ハウジング側面部品セグメントが、第1のハウジング側面部品の内側表面方向に数回折り曲げられている。とりわけ数回の折曲げにより、第1のハウジング側面部品をハウジングフレームに固定するためにハウジング側面部品セグメントを利用することもできるため、セル内圧が上昇しても、ハウジングの形状及び安定性が保たれる。この方法により、さらに、過圧保護の位置及び配置が一定になるため、過圧保護を正確に作動させ、気体及び/又は液体を制御的にセル内部から漏出させることが確実に行われる。
【0017】
ハウジング側面部品セグメントは、好ましくは開口部を有している。このことは、ハウジング側面部品セグメントが前述のように数回折り曲げられている場合は特に有利であり、それは、過圧保護が開いた場合、気体及び/又は液体を制御的にセル内部からこの開口部を通して漏出させることができるからである。このことにより、ハウジング側面部品セグメントが数回折り曲げられている場合も、ハウジング側面部品セグメントからの気体及び/又は液体の漏出が妨げられない、又はブロックされないようになっている。
【0018】
好ましい実施形態では、過圧保護が、セル内側に向けられたハウジングフレーム面に配置されているため、ハウジングフレームのベントポートをベントスペースとして利用することができ、それは、気体及び/又は液体が、まず過圧保護を通り、次に、流れの方向に向かってその後ろに配置されているハウジングフレームのベントポートを通って流れるからである。この種の配置により、ハウジングフレーム内のベントポートによってスペースが形成され、最大許容セル内圧を超過した場合には、過圧保護の部分でハウジングが制御的に破断するようになっているため、例えば電池ハウジング内に個別セルを取り付けた後も、セーフティバルブがブロックされないようになっている。さらに、このベントポートを適切な形状にすることより、流れの方向を、例えば電池ハウジングのベントスペース方向に設定することが可能である。このことにより、気体及び/又は液体が無制御に分配されることを防ぐことができる。
【0019】
もう1つの実施形態では、過圧保護がハウジングフレームのセル外側に配置されている。この実施形態は、ハウジング側面部品セグメントを数回折り曲げる必要がないため、簡単に製造することが可能である。しかしながら、この実施形態の場合、例えば電池ハウジングの中に個別セルを取り付けた後で、過圧保護が絶対にブロックされないようにしなければならない。
【0020】
有利な方法では、このハウジング側面部品セグメントが、ポジティブ結合、接着結合及び/又は摩擦結合によってハウジングフレームに接続されている。特に好ましい方法では、ハウジング側面部品セグメントが、少なくとも部分的にハウジングフレームの材料によって取り囲まれている。このことにより、セル内圧が上昇した場合でもハウジングの形状と安定性とは確実に保たれているため、セル内圧の増加におけるハウジングの早期かつ無制御な破損が防止される。さらに、このことにより、過圧保護の位置及び配置が確実に一定になるため、過圧保護を正確に作動させ、気体及び/又は液体を制御的にセル内部から漏出させることが確実に行われる。
【0021】
ハウジングの安定性と破裂強さとを確実なものにするため、好ましくは、ハウジング側面部品とハウジングフレームとがリベットで接続されている。もう1つの有利な実施形態では、ハウジング側面部品のエッジ部分が折り曲げられ、折り曲げられたエッジ部分がハウジングフレームを少なくとも部分的に取り囲むようになっている。このようなバリエーションにより、ハウジングの強力かつ耐圧密閉が確実なものになっている。
【0022】
電池には、電気的に直列及び/又は並列に相互接続されている多数の個別セルが含まれており、特にフラットセルである個別セルは、好ましくは、順番に並んで緊密に配置され、互いに平行に配置されている。このことにより、取付けスペースを最適に節約する個別セルの配置が達成されている。個別セルの極はハウジングのハウジング側面部品上にあるため、接触し合っているそれぞれ2つのハウジング側面部品が異なる極性を有し、好ましくは、それらのハウジング側面部品が互いに圧迫し合うことによって、個別セルを電気的に互いに直列接続することが可能である。この方法で、個別セルの最適な接続を達成することができ、電池の製造が極めて単純化される。
【0023】
個別セルに使用するための、ベントポートを備えるハウジングフレームの本発明に基づく製造方法では、第1のハウジング側面部品を射出成形金型の中に配置し、次に、この金型を閉じ、樹脂によって塗り固め、射出成形金型の可動成形部品を、折り曲げられているハウジング側面部品セグメントの過圧保護部分に配置する。この方法で、大量生産により簡単かつ低コストで個別セルのハウジングフレームを製造し、これを第1のハウジング側面部品に固定することができる。第1のハウジング側面部品、特にハウジング側面部品セグメントが少なくとも部分的にハウジングフレーム内に鋳込まれることにより、非常に強固なポジティブ結合が生じるため、ハウジングを強い衝撃に耐えられるように接続することができ、セル内圧が上昇した場合でも過圧保護は正確に位置決めされている。可動成形部品により、ハウジングフレーム内のベントポートが作られ、このベントポートは、過圧保護部分に正確に位置決めされている。この成形部品は可動であることから、ハウジングフレームの硬化後にこれを取り除くことができるため、第1のハウジング側面部品を、射出成形されたハウジングフレームと一緒に問題なく射出成形金型から取り出すことができる。
【0024】
好ましいのは、この成形部品が、折り曲げられたハウジング側面部品セグメントに、スプリング力によって押し付けられていることである。このスプリング力による圧迫により、第1のハウジング側面部品及びハウジング側面部品セグメントの製造許容誤差を補償することができる。これにより、この成形部品は、常に最適な形でハウジング側面部品セグメントに押し付けられているため、ベントポートはハウジングフレーム内に正確に位置決めされる。従って、ハウジングフレームの材料によって過圧保護が覆い隠され、ブロックされることはない。
【0025】
本発明の実施例を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1のハウジング側面部品の第1の斜視図である。
【図2】第1のハウジング側面部品の第2の斜視図である。
【図3】鋳型内での、ハウジングフレームを備える第1のハウジング側面部品図である。
【図4】ハウジングフレームを備える第1のハウジング側面部品の第1の斜視図である。
【図5】ハウジングフレームを備える第1のハウジング側面部品の第2の斜視図である。
【図6】個別セルの展開図である。
【図7】過圧保護部分の個別セルの垂直断面図である。
【図8】電池の斜視図である。
【0027】
互いに対応する部品は、全ての図の中で同一の記号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び2は、個別セル2の第1のハウジング側面部品1の斜視図を示している。第1のハウジング側面部品1は、個別セル2の長さを上回るハウジング側面部品セグメント3を有し、このセグメントは第1のハウジング側面部品1の内側表面方向に折り曲げられている。このハウジング側面部品セグメント3は、セル内側に向けられた面に、ハウジング側面部品セグメント3の材料をあらかじめ弱化した過圧保護4を有している。ここに示されている実施例では、ハウジング側面部品セグメント3の材料は、環状になっている規定破断個所5によって弱化されている。さらに、ハウジング側面部品セグメント3は開口部6を有しているため、過圧保護4は、ハウジング側面部品セグメント3によって覆い隠されていない。過圧保護4が作動すると、気体及び/又は液体は、過圧保護4及びハウジング側面部品セグメント3の開口部6を通ってセル内部から漏出することができる。
【0029】
さらに、個別セル2の第1のハウジング側面部品1及び同様に第2のハウジング側面部品7は、それぞれ、冷却プレート8に向けられた面上に少なくとも部分的に個別セル2の長さを上回るハウジング側面部品セグメント9を有し、このセグメントはそれぞれのハウジング側面部品1、7に対してセル内側方向に折り曲げられている。この方法により、個別セル2の損失熱は、折り曲げられているハウジング側面部品エレメント9を介してハウジング側面部品1、7から冷却プレート8に伝達可能であるため、個別セル2を最適な形で冷却プレート8に熱接続することができる。
【0030】
個別セル2に使用するための、ベントポート11を備えるハウジングフレーム10の製造方法では、図3に示されているように、好ましくは熱可塑性の樹脂からハウジングフレーム10を製造し、このハウジングフレームと第1のハウジング側面部品1、とりわけハウジング側面部品セグメント3とをポジティブ結合によって接続するため、第1のハウジング側面部品1が射出成形金型12の中に入れられる。過圧保護4がハウジングフレーム10によって塞がれないように、樹脂を射出成形金型12の中に注入する前に、射出成形金型12の可動成形部品13が、過圧保護4部分の、折り曲げられているハウジング側面部品セグメント3に、好ましくはスプリング力によって押し付けられる。このスプリング力による圧迫により、例えば、第1のハウジング側面部品1又はハウジング側面部品セグメント3に製造許容誤差が発生している場合でも、成形部品13は、確実に、過圧保護4部分のハウジング側面部品セグメント3に接触している。
【0031】
この成形部品13は、過圧保護4が樹脂又はハウジングフレーム10によって覆い隠され、それによって過圧保護が正常に機能しなくなることを防止している。射出成形金型12が閉じられ、樹脂が射出成形金型12の中に注入されることにより、ハウジングフレーム10が形成されるが、ここに示されている実施形態では、ハウジング側面部品セグメント3が、少なくとも部分的にハウジングフレーム10の中に鋳込まれることによって、ポジティブ結合によりハウジングフレーム10に固定される。次に、射出成形金型12が開けられ、成形部品13が取り除かれ、第1のハウジング側面部品1が、射出成形されたハウジングフレーム10と一緒に射出成形金型12から取り出される。
【0032】
射出成形された樹脂製のハウジングフレームを備えるこのような第1のハウジング側面部品1が、第1と第2の斜視図によって図4及び5に示されている。しかし、過圧保護部分のハウジング側面部品セグメント3に押し付けられている成形部品13は、ハウジングフレーム10の過圧保護4の部分でベントポート11を形成し、このベントポートによって、過圧保護4の作動後、気体及び/又は液体をセル内部から制御的に漏出させることができるようになっている。
【0033】
図6は、個別セル2の展開図を示している。個別セル2には、電気化学的に作用する電極フィルムユニット14と、図示されていない電解液と、射出成形されているハウジングフレーム10を備える第1のハウジング側面部品1及び第2のハウジング側面部品7からなるハウジングと、が含まれている。電極フィルムユニット14のセル極P1、P2は、個別セル2を1つにまとめた後でそれぞれ1つのハウジング側面部品1、7と接続されることにより、これらの極は個別セル2の極接点を形成する。電池15内では、取付けスペースの有効利用のために、これらの複数の個別セル2が好ましくは緊密に順番に並べられ、互いに平行に配置されているため、互いに接触し合っているそれぞれ2つのハウジング側面部品1、7が異なる極性を有し、それらのハウジング側面部品が互いに圧迫し合うことによって、個別セル2を電気的に互いに直列接続することが可能になっている。この方法で、個別セル2の最適な接続を達成することができ、電池15の製造が極めて単純化される。
【0034】
図7は、過圧保護4部分における個別セル2の垂直断面を示している。個別セル2のハウジングは、両方のハウジング側面部品1、7及びハウジングフレーム10を、例えばホットプレス法によって接合することにより密閉されている。ハウジングの破裂強度を高めるため、ハウジング側面部品1、7は、選択的又は追加的に、例えばハウジングフレームの材料から形成された樹脂製のリベットによって、ハウジングフレーム10にリベット留めすることができる。ここに図示されていない、もう1つの有利な実施形態では、ハウジング側面部品1、7のエッジ部分が折り曲げられ、折り曲げられたエッジ部分がハウジングフレーム10を少なくとも部分的に取り囲んでいるため、ハウジングの破裂強度を同様に強化することができる。電極フィルムユニット14の第1のセル極P1は、第1のハウジング側面部品1と電気的に接続されており、電極フィルムユニット14のもう一方の、ここでは図示されていないセル極P2は、第2のハウジング側面部品7と電気的に接続されている。
【0035】
ハウジング側面部品セグメント3が、第1のハウジング側面部品1の内側表面方向に3重に折り曲げられていることにより、過圧保護4はセル内側に向けられたハウジングフレーム10の面部分に配置され、この過圧保護4は、環状になっている規定破断個所5によってハウジング側面部品セグメント3の材料をあらかじめ弱化して形成されている。このハウジング側面部品セグメント3は、部分的にハウジングフレーム10の材料に鋳込まれていることにより、ポジティブ結合によってこのフレームに接続されている。ハウジングフレーム10内のベントポート11は、過圧保護4の部分に位置決めされている。例えばショート又は過充電などで個別電池が機能不良になると、個別セル2のセル内圧が急激に上昇し、ハウジングは規定破断個所5に沿って破れ、これにより、気体及び/又は液体をセル内部から制御的に漏出させることができる。
【0036】
これらの気体及び/又は液体は、ハウジングフレーム10内のベントポート11及びハウジング側面部品セグメント3の開口部6を通り、スムーズに個別セル2から流出するため、個別セル2の爆発及び/又は引火を防ぐことができる。ハウジングフレーム10とハウジング側面部品セグメント3とがポジティブ結合によって接続されていることにより、セル内圧が上昇した場合でも個別セル2は変形しないため、過圧保護4の位置及び配置は、ハウジングフレーム10のベントポート11に関して一定に保たれており、過圧保護4が作動すると、気体及び/又は液体は、スムーズにハウジングフレーム10を通ってこのベントポート11から外部へ流れ出ることができる。このベントポート11を適切な形状にすることより、流れの方向を、例えば電池ハウジングのベントスペース方向に規定することが可能である。このことにより、気体及び/又は液体が無制御に分配されることを防ぐことができる。
【0037】
図8は、電池15の斜視図を示している。電池15内では、取付けスペースを有効に利用するため、複数の個別セル2が緊密に順番に並べられ、互いに平行に配置されている。互いに接触し合うそれぞれ2つのハウジング側面部品1、7は異なる極性を有していることから、個別セル2のハウジング側面部品1、7が互いに圧迫し合うことにより、個別セルを電気的に互いに直列接続することが可能である。この方法で、個別セル2の最適な接続を達成することができ、電池15の製造が極めて単純化される。
【0038】
個別セル2は、冷却剤が流れる冷却プレート8の上に配置されており、この冷却プレートは冷却剤接続部16から、車両の冷却回路などに接続されている。電気的絶縁及び熱伝導を改善するため、個別セル2と冷却プレート8との間には、ここには図示されていない熱伝導フォイルが配置されている。この方法で、個別セル2の損失熱は、冷却プレート8に伝達することが可能となり、冷却剤によって電池15から排出することができる。
【0039】
過圧保護4及び各個別セル2のハウジングフレーム10内の過圧保護4部分に配置されているベントポート11を通して、機能不良などによって過圧が生じても、気体及び/又は液体は、故障した個別セル2のセル内部から、ここでは図示されていない電池ハウジングなどに制御的に漏出することができる。この方法により、個別セル2の爆発及び/又は引火、及びその結果生じる危険を防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 第1のハウジング側面部品
2 個別セル
3 側面部品セグメント
4 過圧保護
5 規定破断個所
6 開口部
7 第2のハウジング側面部品
8 冷却プレート
9 側面部品エレメント
10 フレーム
11 ベントポート
12 射出成形金型
13 成形部品
14 電極フィルムユニット
15 電池
16 冷却剤接続部
P1、P2 セル極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジング側面部品(1)と、第2のハウジング側面部品(7)と、ハウジングフレーム(10)とから形成されているハウジングを備え、該ハウジング内には、電解液及び電気的に作用する電極フィルムユニット(14)が配置されており、前記ハウジングが過圧保護(4)を有している個別セルであって、
前記第1のハウジング側面部品(1)が、少なくとも部分的に前記個別セル(2)の長さを上回るハウジング側面部品セグメント(3)を有し、該セグメントは前記第1のハウジング側面部品(1)に対してセル内側方向に折り曲げられ、前記セグメント内には前記過圧保護(4)が配置されており、前記ハウジングフレーム(10)内には、前記過圧保護(4)部分にベントポート(11)が取り付けられていることを特徴とする個別セル(2)。
【請求項2】
前記過圧保護(4)が、前記ハウジング側面部品セグメント(3)の材料をあらかじめ弱化することによって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項3】
前記過圧保護(4)が、規定破断個所(5)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項4】
前記ハウジング側面部品セグメント(3)が、直角に折り曲げられていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項5】
前記ハウジング側面部品セグメント(3)が、前記第1のハウジング側面部品(1)の内側表面方向に数回折り曲げられていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項6】
前記ハウジング側面部品セグメント(3)が、開口部(6)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項7】
前記過圧保護(4)が、前記セル内側に向けられた前記ハウジングフレーム(10)面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項8】
前記過圧保護(4)が、前記ハウジングフレーム(10)のセル外側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項9】
前記ハウジング側面部品セグメント(3)が、ポジティブ結合、接着結合及び/又は摩擦結合によって前記ハウジングフレーム(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項10】
前記ハウジング側面部品セグメント(3)が、少なくとも部分的に前記ハウジングフレーム(10)の材料によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項11】
前記ハウジング側面部品(1、7)が、前記ハウジングフレーム(10)にリベット留めされていることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項12】
前記ハウジング側面部品(1、7)のエッジ部分が折り曲げられ、折り曲げられた前記エッジ部分が前記ハウジングフレーム(10)を少なくとも部分的に取り囲んでいることを特徴とする、請求項1に記載の個別セル(2)。
【請求項13】
電気的に直列及び/又は並列に相互接続されている多数の個別セル(2)を備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電池(15)。
【請求項14】
第1のハウジング側面部品(1)を射出成形金型(12)の中に配置し、次に、前記金型を閉じ、樹脂によって塗り固め、前記射出成形金型(12)の可動成形部品(13)を、過圧保護(4)部分の、折り曲げられているハウジング側面部品セグメント(3)に配置することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の個別セル(2)に使用するための、ベントポート(11)を備えるハウジングフレーム(10)の製造方法。
【請求項15】
前記成形部品(13)が、折り曲げられた前記ハウジング側面部品セグメント(3)に、スプリング力によって押し付けられていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−501311(P2013−501311A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521991(P2012−521991)
【出願日】平成22年7月3日(2010.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004048
【国際公開番号】WO2011/012208
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】