説明

加減算学習器

【課題】 本発明は、学習に使用する複数の玉と、控えの玉を紛失することなく扱うことができ、又学習する数の変更に対応でき、且つコンパクトに収納可能できる加減算学習器を提供する。
【解決手段】 アーチフレーム組立体2として、全ての玉をフレーム21に挿通した状態で、且つこのフレーム下端77、78に係止部材75、76を固定した構成とする。またこのアーチフレーム組立体2を起立状態とし、学習する数に対応する2つの玉群69を、アーチフレーム組み立て体2の上フレーム24の左右端部に配置し、これらの玉群の数を学習する。又上記複数の玉群69を上フレームの中央部に集め和算学習を行う。又予備玉18をアーチフレーム組み立て体2の左右側フレーム25、26の下端に配置し、この部をパネル100にて隠蔽するよう構成する。更に現状から次の学習に使用する玉群に変動がある場合、予備玉18と玉群69間でアーチフレーム21を挿通移動させて行うよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数の四則演算の学習用教材に係わり、特に加算、減算の学習に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
これまでの加減算学習器としては、例えば、基盤目状の多数の桁目に問いと答えを表示したものがある。また玉を数えて数を覚えるものや、そろばん玉を使って、足し算、引き算を学習するものが知られている。(特許文献1)
【0003】
また別の事例では問題と回答をそれぞれ表示手段に投影させて見るよう構成したものがある。(特許文献2)
【0004】
また、従来技術として示す別の実施例では、複数のサイコロの各面に数字を表記し、これらのサイコロを転動させた後、例えば上面の数同士を足し算させて学習するものがある。(特許文献3)
【0005】
又、問題の回答を回答表示板に水性ボールペンで書き換え可能に書かせて学習するものがある。(特許文献4)
【0006】
又、磁気吸着板で表示ボードを形成し、磁石を組み込んだ文字こまを使って回答させるものがある。(特許文献5)
【0007】
又、問題カード、回答カードを使い、その組み合わせで学習を行うものがある。(特許文献6)
【0008】
また、玉を使って複数の数を表示し、これらの玉を一箇所に並べて加算の学習を行う、学習器が示されている。(非特許文献1)
【0009】
【特許文献1】実開平07-43839号公報
【特許文献2】特開平07-281585号公報
【特許文献3】特開平09-2307812号公報
【特許文献4】特開昭61-50982号公報
【特許文献5】実開昭63-187168号公報
【特許文献6】実開平02-62581号公報
【非特許文献1】株式会社学習研究社_カタログ、P341、特別支援教育総合カタログ、平成19年度版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上説明した従来技術は、玉とかそろばん玉を使って具体的に数を覚えさせたり、複数の数を玉数で対応させて表示し、これらの加減算(この学習器を扱う業界では、加算のことを合成、減算のことを分解とも呼称している。ここでは以降加算の場合を例にとり説明する。)を学習するに当たり、これらの複数の数毎に玉数で表したものを使って、更にこれらの玉を一箇所に並べ換えたもので加算結果を学習させるもの(特許文献1、非特許文献1)とか、数という抽象概念で表示されたもの同士を加減算した結果を表示させ、回答の正誤を確認するもの(特許文献1から特許文献6)である。
【0011】
一方、数の加算の学習を行う上では、数の加算を玉等の具体的な事例で学ばせるだけでなく、数という抽象概念の加算を頭の中で構築することが極めて大切である。
【0012】
しかし、こうした具体的な事例による演習と、数を頭の中で加算すると言う抽象的な学習を一つの学習器で関連付けて学習することが数の加減算を学ぶ上で大切な勘所であるが、これを実現するものが、上記した複数の公知文献でも示す様に見当たらず、数の学習を行う上で問題を有していた。
【0013】
又複数の数を、玉の数で表示させる場合、前の問題が終了し次の問題に移行する際に玉の数を変更する必要があるが、煩雑な手順で玉を増減させたり、その際球形故に掴み損ない玉を落とし紛失するといった問題も想定された。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明は、上フレーム、左右側フレームを備え、且つ複数の玉を上記フレームに挿通状態で、且つ上記左右側フレーム下端部に該フレームが一部下方向に突出した状態で係止部材を配置した構成を備えたフレーム組立体と、本体とを備え、上記係止部材より下方向に突出しているフレームを、上記本体の上面にフレーム組立体を起立状態で挿着する装入穴を設けるように構成したものである。
【0015】
また本発明は、上記本体に上記フレーム組立体を挿着した手前に中央溝穴、左右溝穴を備えた複数の溝穴を設け、この溝穴の一部又は全てに、別に配置したパネルに設けた突部を挿着し、このフレーム組立体より手前に上記パネルを起立状態で配置する構造を有し、且つ上記左右側フレーム下端に配置した玉を予備玉と呼べば、この予備玉を上記パネルの背部に位置した構造を備えるようにしても良い。
【0016】
また本発明は、上記パネルの上下方向端で且つ左右の中央部上端に中央突部を、又上下方向端で中央突部のある側と反対端の左右端部に一対の左右突部を配置し、且つ上記本体に形成した左右溝穴に上記フレームの左右突部を挿着状態で、上記中央突部の背後に上記上フレームが位置すると共に、上記上フレームの左右端部に配置した一対の玉群が上記パネルに関し上記中央突部を除く上端部より上に位置する構造を備えるようにしても良い。
【0017】
また本発明は、上記請求項3項に示すパネルに対して、上下を代えたパネルの左右中央下端にある中央突部を、上記本体の中央溝穴に挿着状態で、上記上フレーム中央に配置した玉群が、上記パネルの左右突部を除く上端部より上に配置すると共に、上記左右側フレーム下端に配置した玉が、上記パネルの背部に位置する構造を備えるようにしても良い。
【0018】
また本発明は、片面に数字表示部を、別面に数式表示部を備えたパネルを配置するよう構成することも可能である。
【0019】
また本発明は、本体下面側に開口部を備えた内箱部を配置し、この内箱部にフレーム組立体とパネルを収納する構造を備えるようにしても良い。
【0020】
また本発明は、上記本体の内箱部にU溝を備えた複数のフレーム置き部材を備え、且つ上記U溝部に上記フレーム組立体のフレームを圧入状態で把持固定する構造を備えるようにしても良い。
【0021】
また本発明は、上記本体の内箱部の内壁で、且つ上記パネルに設けた中央突部、左右突部に対応する位置に該突部を挿入する挿入口を設け、この挿入口の下端に上記パネルを当接状態で、これら挿入口に隣接して配置した突部固定溝側に上記パネルを移設する構造を備え、且つこの突部固定溝にて、上記本体の内箱部に上記パネルを把持・固定する構造を備えるようにすることも可能である。
【0022】
また本発明は、上記パネルが中央_板部、右側_板部、左側_板部にて構成され、且つ本体に挿着状態で、上記中央_板部に対し、上記右側_板部、左側_板部が後ろ側に位置する様構成するようにしても良い。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては以下に列挙する効果が期待できる。
【0024】
(1) 本発明は、学習に使用する玉と、学習に使用しない予備玉とを、いづれも同一のフレームに挿通させた状態にて、このフレーム端部に係止部材を配置し、且つフレーム組立体は上フレームと左右側フレームを備えているので、上フレームの左右端部に配置した玉群を使って、2つの数をこれらの玉群で表示させ、又これらの玉群を上フレーム中央に集め一つの玉群とすることにより、この一つの玉群を使って、2つの数の和を学習することが出来る。
【0025】
更に現在の学習から次の学習に移行する際に上フレームに配置した玉に増減があった場合にも、左右側フレーム下端に配置した予備玉をフレームを挿通させた状態のまま移設するだけで、新たに別のところから持ってきた玉をフレームに通す作業が無いため、この学習に使用する玉の変更作業に関し、玉の脱落、紛失の恐れが無くこの作業を行うことが出来る。
【0026】
(2) また本発明は、本体にフレーム組立体を起立状態で挿着した、その前にパネルを起立状態で挿着し、且つ左右側フレーム下端に配置した予備玉を上記パネルの背後に位置させることが出来る。これにより本体手前にいる学習者側から見て、予備玉をパネルにて隠すことが出来る。
【0027】
(3) また本発明は、パネルの左右下端に配置した左右突部を、本体の左右溝部に挿着した状態で、学習者側から見て、該パネルの左右中央上端に配置した中央突部にてその背後に位置するパネル組立体の上パネルを隠蔽することができ、且つこの中央突部を除くパネルの上端より上部に上フレームの左右に配置した玉群を配置することができる。これにより学習者側から見て、上フレームの左右に配置した玉群が一部隠れることなく完全な形で見ることができ、この玉群の玉数をカウントすることにより、2つの数と、この数に該当する数字を予め用意したパネルの数字表示欄に書き換え可能な形で表示することができ、これにより上フレームの左右に分けて配置した玉群に対応する数字を学習することが出きる。
【0028】
(4) また本発明は、上記(3)項で示したパネルに対して、上下を代えることにより、パネル下端に位置する中央突部を本体中央溝穴に挿着状態で、このパネルの左右上端に位置する左右突部を除いた状態で、上フレーム中央に集めた玉群をこのパネルより上に位置させることができる。これにより学習者側から見て上記玉群をパネルの上部に見ることができ、同時に左右側フレーム下端に配置した予備玉を、このパネルの背後に置くことが出来るので、学習者側から見て予備玉を隠蔽することができる。
【0029】
・ また本発明は、パネル両面のうち片側を使い数字表示欄を設け、別側で数式表示欄を設けることができる。
【0030】
(6) また本発明は、本体の下部に開口部を有する内箱部にフレーム組立体とパネルとを収納保管することができる。
【0031】
(7) また本発明は、本体の内箱部に複数設けたフレーム置き部材に配置したU溝にフレーム組立体のフレームを圧着固定することができる。
【0032】
(8) また本発明は、本体の内箱部の内壁に設けた突部挿入口より、パネルに設けた中央突部、左右突部を下方向に挿入でき、又この突部挿入口に連結して設けた突部固定溝に、上記中央突部、左右突部を把持固定することができる。
【0033】
(9) また本発明は、左右側フレーム下端に配置した予備玉を、左右側_板部で覆うことができるため、側面から加減算学習器を見ても、この予備玉を隠すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下この発明を実施するための最良の形態について、図を参照して詳細に説明する。
図1ないし図8に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、図1は、本体3の上板部材31上の後部の小穴115、116(図5に表示)に、上記学習に使用する玉と学習に使用しない予備玉18からなる全ての玉10をフレーム21に挿通させた状態で起立させたアーチフレーム組立体2と、仮想2点鎖線で示したパネル100とを本体3の所定位置に配置し、また上フレーム24に、学習に使用する2つの数に対応する玉数に揃えて左右に分けて配置した玉群69とを示す斜視図を、また図2は、上記図1にて上フレーム24の左右端部に分けていた玉を中央に集めた状態の斜視図を示す。
【0035】
図3は、上記図1において、学習者側66から見て中央上部に突起部102を配置した状態の表パネル101の平面図を、図4は、上記図2において、学習者側66から見て上端の左右突部103、104を配置した状態の裏パネル111の平面図を示す。ここで図3と図4に示すパネル100に関して、一方のパネルの上下と裏表とを逆にしたものが他方のパネルになるよう構成している。
【0036】
また図5は底面側から見た本体3と、本体3の内箱部35に収納されるアーチフレーム組立体2と、パネル100とを部品毎に展開した部品展開斜視図を、また図6は、図5に示す矢印79側から上記内箱部35を見た斜視図を、図7は、上記図5において、内箱部35の所定位置にアーチフレーム組立体2を挿着した状態の斜視図を、また図8は、上記図7の状態から更に上記内箱部35の所定位置に、更にパネル100を挿着した状態の斜視図を示す。
【0037】
本発明の最良の形態として示す加減算学習器1は、図1に示す様に、底面側に開口部を設けた内箱部35を備えた本体3、この本体3の上板部材31の後両端部に設けた小穴115、116(図5参照。)を設け、これらの小穴にアーチフレーム組立体の左右側下端77、78を起立状態で挿着されるよう構成している。またこれらの小穴115、116の手前の上板部材31に左右溝穴6,7、及び中央溝穴8を設け、これらの左右溝穴6,7に夫々左右突部103,104を挿着し、且つ中央突部102を左右中央上部として起立状態で配置した表パネル101が挿着する様に構成されている。ここで表パネル101については、この表パネルの背後の部品を示すために仮想2点鎖線で示した。この表パネル101の平面図を図3に示す。
【0038】
以上図1にて説明した状態にて、学習者側66から見て、左右側フレーム25、26の下端に配置した予備玉18は表パネル101の裏に隠れて見えないよう構成されている。又数に対応した玉数を揃えたものを玉群69と呼べば、上フレーム24の左右に分けて配置された一対の玉群69は表パネル101の上端部89より上にあり、且つ上フレーム24が中央突部102に遮られ、且つ学習者側66からみて中央突部102にて、これらの玉群69が分離された状態で、且つ玉群69の一部が表パネル101に隠れることなく完全に見える形で配置されるよう構成されている。
【0039】
本発明の最良の形態として示す加減算学習器1は、以上説明した構成とすることにより、左右に分けた玉群69を用いて、左右の玉群69毎の玉の数を学習することが出来る。また、学習した玉数に相当する数字を左右に分けて配置している数字表示部105、106に、水性ボールペン等で書き換え可能に表示可能としている。
【0040】
本発明の最良の形態を以上説明した構成とすることにより、上フレーム24に左右に分けて配置した玉群69を用いて、玉数に対応した2つの数と、この数に対応した数字とを学習することが可能である。
【0041】
更に、上記した上フレーム24に左右に分けて配置した玉群69を上フレーム24の中央部に寄せ集めたひとつの玉群49とし、且つ上記図1に示した表パネル101に関して上下及び裏表を変えて裏パネル111とし、この状態で中央突部102を本体3の上板部材31に設けた中央溝穴8に挿着する。この状態を図2に示す。
【0042】
以上図2に示した状態にて、学習者側66から見て、上フレーム24の中央に集めて配置された玉群49は裏パネル111の上端部119より上にあり、且つ左右フレーム25、26に配置した予備玉18は裏パネル111にて遮られ、又上フレーム24にある玉群49が完全に見える形で配置されるよう構成されている。
【0043】
一方、本発明の最良の形態として示す加減算学習器1では、以上説明した構成とすることにより、左右に分けて示した玉群69及び上フレーム24の中央に集めた玉群49を用いて、左右に分かれて示されている玉群69にある玉の数として一対の数と、玉群49にある玉の数として前記一対の数の和を示す数を学習することが出来る。また、左右に分けて配置した玉群69の玉数に相当する数字の和を示す数式とこの数式の回答とを数式表示部107に水性ボールペン等で書き換え可能に表示可能としている。
【0044】
本発明を実施するための最良の第1の形態において、取り上げたアーチフレーム組立体2に関して、更に図5の中央の部品図を用いて説明する。
アーチフレーム組立体2は、アーチフレーム21、複数の玉10がこのアーチフレームに挿通された状態(以下アーチフレーム組立体2を図1に示す如く起立した状態として説明する。)で、該アーチフレームの下側の端部77、78部に一部アーチフレーム21が下方向に突出する形で係止部材75、76を配置している。これらの係止部材は学習時、収納保管時に外れないよう構成されている。本例にては詳しく図示しないが、アーチフレーム下端77、78に係止部材75、76を締結固定する構成としている。但し圧着したり、係止部材の配置部に円周方向に細溝を形成し、この細溝にEリング等により弾性的に係止部材を止めるよう構成することも可能である。
【0045】
更に、このアーチフレーム組立体2のトラブルに備えこの係止部材75、76をアーチフレームの下端部77、78部から着脱可能に構成することが望ましいが、そうしたトラブルを想定しない場合は係止部材75、76をアーチフレーム下端77、78の所定位置に接着固定することも勿論可能である。
【0046】
これらの係止部材75、76より下端側に突出しているアーチフレーム下端部77、78間の寸法と、本体3の上板部材31の後部左右端部に形成した一対の小穴115、116間の寸法を同じ寸法に設定している。これによりアーチフレーム組立体2を起立状態でフレーム下端部77、78を、本体3に設けた小穴115、116に挿着することが出来る。
【0047】
又、本発明の最良の形態として示す加減算学習器1においては、以上説明したアーチフレーム組立体2、パネル100を、本体3の内箱部35に収納保管するよう構成している。この内容を図5〜図8を用いて説明する。
図5は、底側から見た本体3の上方向に、アーチフレーム組立体2及びパネル100を部品展開したものである。また、この内箱部35にアーチフレーム組立体2を収納するため、本体3に設けた内箱部35には上フレーム24を受ける上フレーム置き部材86、左右フレーム_下端部77、78を受ける左右フレーム置き部材87、88を設けている。
【0048】
その為、左右フレーム下端部77、78の間隔と、左右フレーム_置き部材87、88に設けたU溝の間隔とを同一寸法に設定している。又、アーチフレーム組立体2の左右略中央部の上フレーム24を上記上フレーム_置き部材86に搭載した状態で、左右フレーム下端部77、78が左右フレーム置き部材87、88に搭載されるような適当な値に寸法が設定されている。
【0049】
ここで本発明の最良の形態として示す本例では、樹脂成型された上フレーム_置き部材86、左右フレーム_置き部材87、88に設けたU溝の幅寸法は何れもアーチフレーム21を圧入固定するよう構成している。ここで上記のフレームが固定できるのであればU溝を別の形状としたり、別に固定部材で置き換えても良いし、又樹脂成形に拘らず他の材質とすることも勿論可能である。
【0050】
また複数の置き部材86〜88に関して、この状態でアーチフレーム組立体2の上フレーム24、及び左右フレーム下端部77、78が、夫々上フレーム_置き部材86、左右フレーム_置き部材87、88に設けたU溝の底部に当接状態で挿着した状態で、玉10が内箱部35の底部118に当接しない寸法関係を持たせている。この状態を図7に示す。
【0051】
しかし当接しても良いと考える場合は、この寸法関係に拘らず上記置き部材86、87、88のU溝底部にアーチフレームを当接させた状態で、例えば該アーチフレームに挿通されている玉10が底面118に当接させる様にU溝を配置するように構成しても良い。
以上説明したように、複数の置き部材86〜88のU溝の所定位置にアーチフレーム21を挿着することにより、この部に外部から大きな力がかからない限り、この状態が維持されるよう構成している。
【0052】
図7に示した本体3の内箱部35の所定位置にアーチフレーム組立体2を挿着した状態で、先ず図5に示すパネル100の姿勢を保った状態でこのパネルの左右突部103、104を本体3の内箱部35内壁に設けた左右突部_挿入口121、123に夫々対応させた状態で、又このパネル100の中央突部102を本体3の内箱部35内壁に設けた中央突部_挿入口108に対応させるよう構成している。
【0053】
この状態で、つまり上記3個の挿入口108、121、123にパネル100の突部102、103、104を対応させた状態で、これらのパネル100の突部102、103、104を挿入口108、121、123の下端127、128、129まで移動させる。更に図8に示す固定溝109、122、124側にパネル100の突部102、103、104を移設する。この状態を図8に示す。
【0054】
本発明の最良の形態として示す本例にては、図8に示す様に、本体3の内箱部35にアーチフレーム組立体2を挿着した後、パネルの突部102、103、104を、夫々これらの突部_固定溝109、122、124に挿着し、この部で上記パネル100を本体3に挟持固定している。
従って本発明の最良の形態として説明した例では、この図8に示した状態で加減算学習器に使う部材を全て本体の内箱部に収納した状態で、必要な部品を紛失することなく保存することが出来る。
【0055】
以上説明した本発明に対し、近い公知例を図12に示す。このものは本発明で示したものと同様、複数の玉を使った加算の学習が出来るものであり、右側フレーム25、左側フレーム26の下端に加算に使う数に相当する玉を配置し、該当する数を書いた数字札14を本体3の右札置き72、左札置き73に置く様構成している。
【0056】
また左右に配置した複数の玉を上フレーム24に移設し、これらの玉の総数を
カウントし、回答を中央札立て71に立てるよう構成している。
以上説明した従来例では、玉を使った具体例を使った加算の学習を目的としており、ここでは玉の数、加算結果を単に数字に置き換えているだけであり、肝心の頭の中で抽象概念としての加算式を使った思考による学習ができないと言う問題がある。
【0057】
次に一つの問題が終わり次の問題を開始するにあたりその準備作業として行う、玉の数を変更する手順について説明する。
この準備作業について、先に従来技術を図12を使って説明する。
この図では、数を2種類の色玉で表現しており、例えば前の学習として左に赤玉3個、右に黄玉3個の加算を学習したとして、次の学習で赤玉5個、黄球2個の問題を学習する場合は、この学習を行うため、本体3の左右突起81,82に着脱可能に挿着しているアーチフレーム21を、これらの突起81、82から外し、別に設けた玉・札入れ箱13に保管している予備玉83のうち赤球2個を取り出し、左側フレーム26の下端部からこの2個の赤玉を挿入すると共に、アーチフレーム21に挿入されている黄玉1個をこのアーチフレーム21から外すと言う煩雑な作業を行った後、再び左右突起81、82にアーチフレーム21を挿着するようしている。
【0058】
このため、上記した本体3の左右突起81、82からアーチフレーム21を外した際に、該アーチフレーム21に挿入されている球形の玉10が抜け落ち、転がり飛散し紛失することが想定される。それだけでなく球形をなす玉をつかみ損ね落としたり、赤玉を入れる作業時に誤って黄玉が抜け落ちると言ったトラブルも想定される。
【0059】
この部に相当するアーチフレーム組立体2について図5を使って以下説明する。本発明は、上記した従来技術で想定された玉10の着脱時におけるトラブルを回避するため、予めアーチフレーム組立体2に、予備玉18を含めて全ての玉をフレーム21に挿入状態とし、この状態で左右側フレーム25、26の下端部77、78に一部アーチフレーム21が突出状態で係止部材75、76を設けることで、通常学習時にもアーチフレーム組立体2から玉10が外れないよう構成している。
【0060】
この演習に使う玉数の変更手順を図1を用いて以下に示す。本例にては予備玉18は、左右側フレーム25、26の下端部に、該フレームに挿入状態で配置されている。この状態で上フレーム24上で左右に分けて配置されている数に相当する玉群69に関して、次の演習で球数に変動があった場合、不足分の玉は予備玉18から上フレーム24側に移設し、又不要となった玉は予備玉18側に移設するよう構成している。
【0061】
以上示した手順で、上フレーム24の左右端部に次の演習で使用予定の数に相当する玉群69を再編成することが出来る。更に図2に示す如く、これらの2つの玉群69を、上フレーム24の中央部に寄せ集めひとつの玉群49とすることにより、これら2つの数の和を、この玉群49を使って学習することが出来る。
【0062】
本発明の最良の形態として示す本例においては、以上説明した様に、学習に使用しない予備玉18をアーチフレーム組み立て体2の左右側フレーム25、26の下端に配置でき、この状態を学習者側66から見てパネル100にて隠蔽でき、また学習に使用する玉を上フレーム24の左右端に配置できるだけでなく、次の学習で数に変更のあった場合は、図1に示す状態のままで、左右側フレーム下端に配置した予備玉18から上フレーム24に自由に移設することにより、玉を落としたり紛失することなく、玉群69の玉数を容易に変更することが可能である。
【0063】
次に本発明の別の実施例を図9、図10を使って説明する。
本発明の最良の形態として前記で説明したものでは、本体3に起立状態で挿着固定されたアーチフレーム組立体2の上フレーム24に関して、2つの数をこの上フレーム24の左右端に分けて配置した玉群69で表示する。又、パネル130を中央_板部135、左右側_板部136、137にて構成すれば、図9に示す様に、中央_板部135に対して、左右側_板部136、137を後ろ側に傾斜状態で配置している。
【0064】
また図9において、図11に示すパネル130に関して上下を逆にした状態で本体の左右溝穴6、7に挿入している。この挿入について以下詳説する。
左右突部133、134が、本体3の上板部材31の所定位置に左右溝穴6、7が傾斜した状態で配置されている。これにより中央突部132を左右中央の上端に配置し、また下端の左右突部133、134を、夫々左右溝穴6、7に挿着するよう構成している。この状態で、このパネル表面に左右一対の数字表示部138、139に水性ボールペン等で書き換え可能に数字を記載するように、又学習者側66から見て上フレーム24の左右に配置した玉群69が全て学習者側66から見えるよう、且つ中央突部132にて、上フレーム24が遮られて見えないように構成している。
【0065】
更にこれら2つの数の和については、上記した上フレーム24上の左右端部に配置した玉群69を、上フレーム24の中央部に寄せ集めた玉群49となし、且つ上記した図9に示すパネル130の上下を逆にした状態で、つまり図11に示す状態で、このパネル130の左右中央下端に配置した中央突部132を、本体3の上板部材31に設けた中央溝穴8に挿着するよう構成している。
【0066】
この状態で本発明の最良の形態で説明したのと同様に、学習者側66から見て、上フレーム24の中央部に集めた玉群49の全体が見え、又中央_板部135の上部に数式表示部131が来るよう構成している。本例ではこの数式表示部131部に2つの数の和を示す数式と、和算の回答を書き換え可能に表記するよう構成している。ここでは数式表示部131、数字表示部138、139を区別するため、中央_板部135に図11に示す様に3つの枠を設ける事例として示したが、これらの枠を設けず、全体に何の記載も無いボードとし、このボードに水性ボールペン等で書き換え可能な部材で形成した中央_板部としても本公報で説明したのと同様な効果を構築することが出来る。
【0067】
本発明の最良の形態の加減算学習器1の収納保管として図8を使って、本体底部に設けた内箱部にアーチフレーム組立体2とパネル100とを実装保管する1例を示したが、ここで取り上げた本発明の別の実施例にても本体3の内箱部35に対して、アーチフレーム組立体2を図8に示すのと同様に複数のフレーム置き部材でフレームを圧着状態で把持固定し、次に中央_板部135に対して、左右_板部135、137を該内箱部35の奥側に来るよう構成し、例えば図示しない別部材で内箱部にフタをするよう構成することができるが、ここでは詳述しない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は教育学習を補助する学習器を開発供給する産業で、好適には数の四則演算を行うのに使用する学習器として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の最良の第一の形態として示す加減算学習器1において、パネル100の左右上端に設けた中央突部102で上フレーム24を遮り、この中央突部で左右2つの玉群69に分けて示す全体斜視図。
【図2】上記図1にて示した上フレーム左右上端に配置した玉群69を、上フレーム中央に集めた一つの玉群49とした状態を示す全体斜視図。
【図3】上記図1に示す状態で本体3に挿着される表パネル101の平面図。
【図4】上記図2に示す状態で本体3に挿着される裏パネル111の平面図。
【図5】底面側から見た本体、この本体の内箱部に収納される、アーチフレーム組立体2、及びパネル100に分けて示した分解斜視図。
【図6】上記図5にて矢印79側から見た本体3の内箱部35の斜視図。
【図7】上記図5にて、本体3の内箱部35の所定位置に、アーチフレーム組立体2を挿着した状態を示す斜視図。
【図8】上記図7において、更にパネル100を挿着保持した状態を示す斜視図。
【図9】本発明の最良の形態として示す別の実施例のうち上フレーム24の左右端に玉群69を配置した全体斜視図。
【図10】上記図9に示す本発明の最良の形態として示す別の実施例に対して、パネル130の上下を代えて、本体3の所定位置に挿着した全体斜視図。
【図11】上記図9、10に示す本発明の最良の形態として示す別の実施例に使用するパネル130の斜視図。
【図12】従来技術の1例を示す全体斜視図。
【符号の説明】
【0070】
1 加減算学習器
2 アーチフレーム組立体
3 本体
6 右溝穴
7 左溝穴
8 中央溝穴
9 中央溝穴_A
10 玉
13 玉・札入れ箱
14 数字札
15 アーチフレーム左端部
18 予備球
21 アーチフレーム
24 上フレーム
25 右側フレーム
26 左側フレーム
31 上板部材
35 内箱部
49 玉群
66 学習者側
69 玉群
71 中央札立て
72 右札置き
73 左札置き
75 係止部材_右
76 係止部材_左
77 右フレーム下端部
78 左フレーム下端部
79 矢印
81 突起
82 突起
83 予備玉
86 上フレーム_置き部材
87 右フレーム_置き部材
88 左フレーム_置き部材
89 上端部
100 パネル
101 表パネル
102 中央突部
103 右突部
104 左突部
105 数字表示部_右
106 数字表示部_左
107 数式表示部
108 中央突部_挿入口
109 中央突部_固定溝
111 裏パネル
115 小穴_右
116 小穴_左
118 底部
119 上端部
121 右突部_挿入口
122 右突部_固定溝
123 左突部_挿入口
124 左突部_固定溝
125 中央突部_固定溝
127〜129 下端
130 パネル
131 数式表示部
132 中央突部
133 右突部
134 左突部
135 中央_板部
136 右側_板部
137 左側_板部
138 数字表示部_右
139 数字表示部_左

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上フレーム、左右側フレームを備え、且つ複数の玉を上記フレームに挿通状態で、且つ上記左右側フレーム下端部に該フレームが一部下方向に突出した状態で係止部材を配置した構成を備えたフレーム組立体と、本体とを備え、上記係止部材より下方向に突出しているフレームを、上記本体の上面にフレーム組立体を起立状態で挿着する挿入穴を設けた構成を有する加減算学習器。
【請求項2】
上記本体に上記フレーム組立体を挿着した手前に中央溝穴、左右溝穴を備えた複数の溝穴を設け、これらの溝穴の一部又は全てに、別に配置したパネルに設けた突部を挿着し、このフレーム組立体より手前に上記パネルを起立状態で配置する構造を有し、且つ上記左右側フレーム下端に配置した玉を予備玉と呼べば、この予備玉を上記パネルの背部に位置した構造を備えた請求項1項記載の加減算学習器。
【請求項3】
上記パネルの上下方向端で且つ左右の中央部上端に中央突部を、又上下方向端で中央突部のある側と反対端の左右端部に一対の左右突部を配置し、且つ上記本体に形成した左右溝穴に上記フレームの左右突部を挿着状態で、上記中央突部の背後に上記上フレームが位置すると共に、上記上フレームの左右端部に配置した一対の玉群が上記パネルに関し上記中央突部を除く上端部より上に位置する構造を備えた請求項1項記載の加減学習器。
【請求項4】
上記請求項3項に示すパネルに対して、上下を代えたパネルの左右中央下端にある中央突部を、上記本体の中央溝穴に挿着状態で、上記上フレーム中央に配置した玉群が、上記パネルの左右突部を除く上端部より上に配置すると共に、上記左右側フレーム下端に配置した玉が、上記パネルの背部に位置する構造を備えた請求項1項記載の加減学習器。
【請求項5】
片面に数字表示部を、別面に数式表示部を備えたパネルを配置した請求項1項ないし4項記載の加減学習器。
【請求項6】
本体下面側に開口部を備えた内箱部を配置し、この内箱部にフレーム組立体とパネルを収納する構造を備えた請求項1項ないし5項記載の加減学習器。
【請求項7】
上記本体の内箱部にU溝を備えた複数のフレーム置き部材を備え、且つ上記U溝部に上記フレーム組立体のフレームを圧入状態で把持固定する構造を備えた請求項6項記載の加減学習器。
【請求項8】
上記本体の内箱部の内壁で、且つ上記パネルに設けた中央突部、左右突部に対応する位置に該突部を挿入する挿入口を設け、この挿入口の下端に上記パネルを当接状態で、これら挿入口に隣接して配置した突部固定溝側に上記パネルを移設する構造を備え、且つこの突部固定溝にて、上記本体の内箱部に上記パネルを把持・固定する構造を備えた請求項6項、7項記載の加減学習器。
【請求項9】
上記パネルが中央_板部、右側_板部、左側_板部にて構成され、且つ本体に挿着状態で、上記中央_板部に対し、上記右側_板部、左側_板部が後ろ側に位置する様構成されていることを特徴とする請求項1項ないし8項記載の加減学習器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−222877(P2009−222877A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65754(P2008−65754)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000152228)株式会社内田洋行 (105)
【出願人】(000134800)株式会社ナナミ (16)