説明

加温装置及び飲料製品の製造方法

【課題】容器或いはその内容物である飲料をより一様に加温する。
【解決手段】加温装置200は、飲料が充填された容器を加温するように構成され、容器10に対してその上方から温水を吹き付ける第1噴射部20と、容器に対してその下方から温水を吹き付ける第2噴射部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料が充填された容器を加温する加温装置、及び、飲料製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料が充填された容器を加温する加温装置として、容器の結露を防止するための加温装置や、容器内の飲料を殺菌するための加温装置などが知られている。加温装置は、飲料が充填された容器に対して温水を吹き付けることによって該容器及びその内容物である飲料を加温する。
【特許文献1】特開平8−19386号公報
【特許文献2】特開2005−304431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の加温装置では、容器に対してその上方からのみ温水を吹き付ける。つまり、従来の加温装置では、容器の配置位置の上方に配置された噴射部から温水を噴射してこれを容器に吹き付ける。このような加温方法では、容器の上部は速やかに目標温度に達するが、容器の下部を目標温度まで昇温するためには長時間を要する。例えば、本出願人による実験結果によれば、5℃程度の飲料が充填された容器の結露を防止することを目的として45℃の温水を容器に対してその上方からのみ吹き付けた場合には、容器の表面の全体が40℃に達するまでに12分以上を要する。一方、容器の内容物の殺菌について考えると、容器内の液体の全体を目標温度まで加温しようとすると、容器内の昇温され易い部分の液体が長時間にわたって高温に維持されて過度な熱負荷を受けることになりうる。
【0004】
本発明は、上記のような課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、容器或いはその内容物である飲料をより一様に加温することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、飲料が充填された容器を加温する加温装置に係り、前記加温装置は、容器に対してその上方から温水を吹き付ける第1噴射部と、容器に対してその下方から温水を吹き付ける第2噴射部と備える。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記加温装置は、容器をその下方から支持する支持部材を更に備えうる。この場合において、前記支持部材は開口部を有し、前記第2噴射部から噴射された温水は前記支持部材の前記開口部を通して容器に吹き付けられうる。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記支持部材は、容器を搬送するためのテーブルトップチェーンコンベアのチェーンでありうる。前記第2噴射部は、上方に向けて温水を噴射するように前記チェーンの回転軌道の内側に配置されうる。前記第2噴射部から噴射された温水の一部は前記チェーンの開口部を通して容器に吹き付けられ、他の一部は前記チェーンに吹き付けられうる。該他の一部によって前記チェーンの清浄性が維持されうる。
【0008】
本発明の第2の側面は、容器に飲料が充填された飲料製品を製造する製造方法に係り、前記製造方法は、冷却された飲料を容器に充填する充填工程と、飲料が充填された容器を加温する加温工程と、加温された容器にラベルを貼付する貼付工程とを含み、前記加温工程では、飲料が充填された容器に対してその上方及び下方から温水を吹き付けて該容器を加温する。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記加温工程では、飲料が充填された容器をその下方から支持部材で支持し、該容器に対してその下方から温水を吹き付けるための噴射部から噴射された温水が前記支持部材に設けられた開口部を通して該容器に吹き付けられ。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記支持部材は、容器を搬送するためのテーブルトップチェーンコンベアのチェーンでありうる。前記噴射部は、上方に向けて温水を噴射するように前記チェーンの回転軌道の内側に配置されうる。前記噴射部から噴射された温水によって容器が加熱されるとともに前記チェーンの清浄性が維持されうる。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、前記製造方法は、前記噴射部から洗浄用液体を噴射して前記支持部材を洗浄する洗浄工程を更に含むことが好ましい。前記洗浄工程は、前記加温工程が実施されていない状態で実施されうる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のよれば、例えば、容器に対してその上方から温水を吹き付けるとともにその下方からも温水を吹き付けることにより、容器或いはその内容物である飲料をより一様に加温することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の好適な実施形態の製造設備の構成を概略的に示す図である。本発明の好適な実施形態の製造設備は、冷却された飲料を容器(例えば、瓶、PETボトル、缶等)に充填する充填装置(フィラー)100と、飲料が充填された容器を加温する加温装置(ウォーマー、パストライザー)200と、加温された容器にラベルを貼付する貼付装置(ラベラー)300とを備える。該製造設備は、その他に、例えば、入味検査装置、外観検査装置、ケーサー、パレタイザーなどを備えうる。
【0015】
この製造設備により、容器に飲料が充填された飲料製品が製造される。この製造方法は、冷却された飲料を充填装置100によって容器に充填する充填工程と、飲料が充填された容器を加温装置200によって加温する加温工程と、加温された容器に添付装置300によってラベルを貼付する貼付工程とを含む。加温工程により、容器の結露が防止され、又は、容器の内容物である飲料が殺菌される。
【0016】
図2は、本発明の好適な実施形態の加温装置200の構成を模式的に示す図である。図3は、図2に示す加温装置200の一部を示す図である。
【0017】
加温装置200は、飲料が充填された容器を加温するように構成され、冷却された飲料が充填された容器10に対してその上方から温水を吹き付ける第1噴射部20と、該容器10に対してその下方から温水を吹き付ける第2噴射部30とを備える。ここで、この明細書において、「加温」とは、対象物に対して常温よりも高い温度を与えることを言い、「加温」の概念には、「加熱」も含まれる。また、この明細書において、「温水」とは加温された水を主成分とする液体であり、「温水」の概念には、水道水などの水を加温したもののほか、それに対して薬剤等を添加したものも含まれる。
【0018】
容器10は、その下方から支持部材によって支持された状態で第1噴射部20及び第2噴射部30によって温水が吹き付けられて加温される。この実施形態では、支持部材は、容器10を搬送するためのテーブルトップチェーンコンベア(搬送装置)40のチェーン42である。容器10は、テーブルトップチェーンコンベア40によって搬送されながら加温されてもよいし、テーブルトップチェーンコンベア40を停止させた状態で加温されてもよい。なお、図2では、容器10が1つのみ示されているが、実際には、多数の容器10がテーブルトップチェーンコンベア40上に配列されて、それらが同時に加温されうる。
【0019】
支持部材としてのチェーン42は複数の開口部42aを有し、第2噴射部30から噴射された温水は開口部42aを通して容器10に吹き付けられうる。なお、例えば容器10をその幅よりも狭い支持部材で下方から支持するとともに側方からも他の支持部材で支持する場合のように、容器10の下部の一部が下方に露出した状態で搬送される場合には、必ずしも支持部材に開口部を設けてその開口部を通して容器10に温水を吹き付ける必要はない。つまり、容器は、その下方の露出部分(支持部材がない部分)に温水が吹き付けられて加温されうる。
【0020】
第2噴射部30は、上方に向けて温水を噴射するようにチェーン42の回転軌道の内側に配置されうる。第2噴射部30から噴射された温水の一部34はチェーン42の開口部42aを通して容器10に吹き付けられ、他の一部36はチェーン42に吹き付けられ、該他の一部36によってチェーン42の清浄性が維持されうる。第2噴射部30は、典型体には、複数の噴射ノズル32を配列して構成されうる。
【0021】
第2噴射部30は、容器10の加温工程の実施時は、容器10の加温のほかチェーン42(支持部材)の清浄性の維持のために利用されうるが、チェーン42の洗浄を主目的とする洗浄工程においても利用されうる。洗浄工程は、典型的には、加温工程が実施されていない状態において実施され、この洗浄工程において、チェーン42の洗浄のために洗浄用液体が第2噴射部30から噴射されうる。この洗浄液液体は、温水でもよいが、他の液体でもよい。
【0022】
この実施形態の加温装置200において、5℃程度の飲料が充填された容器の結露を防止することを目的として45℃の温水を容器に対してその上方から第1噴射部20により吹き付けるとともにその下方から第2噴射部30によって吹き付けたところ、容器の表面の全体が40℃に達するまでに要した時間は10分未満であった。
【0023】
なお、第2噴射部30からの温水の噴射を停止させて第1噴射部20からのみ温水を噴射させた場合には、10分間の加温後の容器10を手で触れて確かめたところ、上部は暖かく下部は冷たかく、上部と下部との間に大きな温度差が認められた。
【0024】
以上のように、この実施形態によれば、容器に対してその上方から温水を吹き付けるとともにその下方からも温水を吹き付けることにより、容器或いはその内容物である飲料をより一様に加温することができる。しかも、容器に対してその下方から温水を吹き付けるように噴射部を配置することにより、容器を支持部材によって下方から支持するような一般的な構造においてその支持部材の清浄性を維持し、又は、その支持部材を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好適な実施形態の製造設備の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の加温装置200の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2に示す加温装置200の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
100 充填装置
200 加温装置
300 貼付装置
10 容器
20 第1噴射部
30 第2噴射部
32 噴射ノズル
34、36 温水
40 テーブルトップチェーンコンベア(搬送装置)
42 チェーン
42a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が充填された容器を加温する加温装置であって、
容器に対してその上方から温水を吹き付ける第1噴射部と、
容器に対してその下方から温水を吹き付ける第2噴射部と、
を備えることを特徴とする加温装置。
【請求項2】
容器をその下方から支持する支持部材を更に備え、
前記支持部材は開口部を有し、前記第2噴射部から噴射された温水は前記支持部材の前記開口部を通して容器に吹き付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の加温装置。
【請求項3】
前記支持部材は、容器を搬送するためのテーブルトップチェーンコンベアのチェーンである、ことを特徴とする請求項2に記載の加温装置。
【請求項4】
前記第2噴射部は、上方に向けて温水を噴射するように前記チェーンの回転軌道の内側に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の加温装置。
【請求項5】
前記第2噴射部から噴射された温水の一部は前記チェーンの開口部を通して容器に吹き付けられ、他の一部は前記チェーンに吹き付けられ、該他の一部によって前記チェーンの清浄性が維持されることを特徴とする請求項4に記載の加温装置。
【請求項6】
容器に飲料が充填された飲料製品を製造する製造方法であって、
冷却された飲料を容器に充填する充填工程と、
飲料が充填された容器を加温する加温工程と、
加温された容器にラベルを貼付する貼付工程とを含み、
前記加温工程では、飲料が充填された容器に対してその上方及び下方から温水を吹き付けて該容器を加温する、
ことを特徴とする飲料製品の製造方法。
【請求項7】
前記加温工程では、飲料が充填された容器をその下方から支持部材で支持し、該容器に対してその下方から温水を吹き付けるための噴射部から噴射された温水が前記支持部材に設けられた開口部を通して該容器に吹き付けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項8】
前記支持部材は、容器を搬送するためのテーブルトップチェーンコンベアのチェーンである、ことを特徴とする請求項7に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項9】
前記噴射部は、上方に向けて温水を噴射するように前記チェーンの回転軌道の内側に配置されている、ことを特徴とする請求項8に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項10】
前記噴射部から噴射された温水によって容器が加熱されるとともに前記チェーンの清浄性を維持することを特徴とする請求項9に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項11】
前記噴射部から洗浄用液体を噴射して前記支持部材を洗浄する洗浄工程を更に含み、前記洗浄工程は、前記加温工程が実施されていない状態で実施される、ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の飲料製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−12798(P2009−12798A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174537(P2007−174537)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(399101463)オリオンビール株式会社 (6)
【出願人】(390016218)株式会社富山鉄工所 (1)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】