説明

加湿器

【課題】新たな水を追加することなく、長時間にわたって連続運転が可能な携帯用の加湿器を提供することである。
【解決手段】給水路14と蒸気発生部15とを有する本体基部2と、前記本体基部2に着脱可能に設けられた蒸気カバー4と、前記本体基部2に着脱可能に設けられた扁平状の給水タンク3と、を備えた加湿器1において、給水タンク3に膨出部3bを設けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加湿器に関し、特に、持ち運びに便利な携帯用の加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康管理の観点から、ユーザーが加湿器を生活必需品と考え、旅行先や出張先などの外出先に持参するケースが増えてきている。
【0003】
このため、持ち運びの際の利便性を考慮し、加湿器全体が扁平形状(平面視横長形状)となるように構成して、コンパクトにした携帯用の加湿器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許3714279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献に記載された加湿器においては、加湿器全体をコンパクトにするため、水を収納する給水タンクの形状も扁平形状で構成されている。このため、給水タンクの水収納容量が少なく、新たな水の追加をすることなく、加湿器を長時間にわたって連続運転させることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記のような問題点を考慮し、新たな水の追加をすることなく、長時間にわたって連続運転が可能な携帯用の加湿器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような目的を達成するためになされたものであり、この目的は、下記(1)〜(5)の発明によって達成される。
【0008】
(1)給水路と蒸気発生部とを有する本体基部と、
前記本体基部に着脱可能に設けられた蒸気カバーと、
前記本体基部に着脱可能に設けられた扁平状の給水タンクと、を備えた加湿器であって、
前記給水タンクには、膨出部が形成されていること
を特徴とする加湿器。
【0009】
(2)前記膨出部は、円筒形状に形成されていること
を特徴とする上記(1)に記載の加湿器。
【0010】
(3)前記本体基部の外周に沿って、前記給水タンクと嵌合するための外壁部を設けたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加湿器。
【0011】
(4)前記外壁部には、前記給水タンクの膨出部と嵌合するための嵌合部が形成されており、この嵌合部に切欠き部を設けたこと
を特徴とする上記(3)に記載の加湿器。
【0012】
(5)前記切欠き部の下方には、操作部が形成されていること
を特徴とする上記(4)に記載の加湿器。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る加湿器によれば、給水タンクの水収納容量を大きくしたので、水の追加をすることなく、長時間にわたって連続運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る加湿器を実施するための一実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る加湿器1の斜視図を示したものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る加湿器1は、本体基部2と、給水タンク3と、蒸気カバー4とから構成されている。
【0016】
本体基部2の全体は、長手方向と短手方向からなる横長形状を有しており、矩形部分21と円形部分22とから構成されている。矩形部分21には、外周に沿って外周壁部2aが形成されている。さらに、円形部分22の外周には、外周壁部2aに連続するように嵌合壁部2bが形成されている。嵌合壁部2bは、外側へ膨らむように曲面的に形成されている。
【0017】
給水タンク3は、扁平状のタンク部3aと、これに連続して形成された円筒形状の膨出部3bと、から構成されている。
【0018】
膨出部3bの円筒部分の直径は、本体基部2の短手方向の幅よりも大きくなるように形成されている。また、膨出部3bは、本体基部2の長手方向端部に位置するように配置されている。
【0019】
蒸気カバー4は、内部に空間を有するカバー壁4aにより構成されており、上部には蒸気放出口4bが形成されている。
【0020】
なお、本体基部2、給水タンク3及び蒸気カバー4は、それぞれ合成樹脂で構成されている。
【0021】
外周壁部2a及び嵌合壁部2bによって囲まれた部分には、給水タンク3及び蒸気カバー4が嵌合されている。このとき、給水タンク3の扁平状タンク部3a及び蒸気カバー4は外周壁部2aに嵌合し、給水タンク3の膨出部3bは嵌合壁部2bに嵌合されている。また、本体基部2に嵌合された給水タンク3と蒸気カバー4は、滑らかに連続した外郭面を形成している。
【0022】
このように、給水タンク3と蒸気カバー4とを本体基部2の長手方向に沿うように配置しているので、短手方向の幅を小さくして、加湿器全体をコンパクトにすることができる。
【0023】
本実施形態の加湿器によれば、給水タンク3に膨出部3bを形成したので、加湿器全体をコンパクトにした状態で、給水タンク3の収納水量を増加することができる。これにより、使用者は、給水タンク3に新たな水を追加することなく、長時間にわたって加湿器を連続運転することができる。
【0024】
また、本実施形態の加湿器によれば、本体基部2の外周に沿って外周壁部2aを形成したので、水の入った状態の給水タンク3を確実に保持することができ、加湿器を安定した状態で運転することができる。また、外周壁部2aで囲まれた部分は、給水タンクを本体基部2に嵌合させる際のガイド機能を有しているので、使用者は、確実に給水タンク3を本体基部2に嵌合することができる。
【0025】
また、外周壁部2aに連続して嵌合壁部2bを形成したので、膨出部3bにより収納できる水量を増やした給水タンク3であっても、確実に保持することができ、安定した状態で運転することができる。また、嵌合壁部2bで囲まれた部分はガイド機能も有するので、膨出部3bを有する複雑な形状の給水タンクであっても、使用者は、確実に給水タンク3を本体基部2に嵌合することができる。
【0026】
嵌合壁部2bの上端部は、本体基部2の長手方向先端部に向かうに連れて低くなるように形成されており、これにより、本体基部2の長手方向端部には切欠き部5が形成されている。使用者は、切欠き部5を通じて、給水タンク3の膨出部3bに残存する水の量を視認することができ、給水タンク3内の残水量を確認できる。
【0027】
また、切欠き部5の最下端部の下方には、操作部6であるスイッチキー61が形成されている。すなわち、スイッチキー61は、本体基部2の長手方向の端部に形成されている。なお、スイッチキー61の上方には、給水ランプ等のパイロットランプ62が形成されている。
【0028】
本実施形態の加湿器によれば、嵌合壁部2bに切欠き部5を設けたので、使用者は給水タンク3内の残水量の確認を容易に行なうことができる。また、給水タンク3内の残水量が少ない状態であっても、確実に視認することができる。
【0029】
また、本実施形態の加湿器によれば、切欠き部5の下方に操作部6を設けたので、使用者は、給水タンク3内の残量を確認しながら、スイッチ等の操作を行なうことができる。
【0030】
なお、切欠き部5及び操作部6は、本体基部2の長手方向端部に設けられているので、使用者が、例えば加湿器を本棚等の隙間に挿入し、短手方向の部分しか見えないような状態で使用した場合であっても、加湿器を引き出すことなく、スイッチ等の操作を行なうことができる。また、スイッチ等の操作を行なう際に使用者から加えられる力は、加湿器の長手方向に加わることになるので、スイッチ操作の際に加湿器が転倒するような事態を防ぐことができる。
【0031】
また、本実施の形態では、切欠き部5及び操作部6は、本体基部2の長手方向端部に形成されているが、切欠き部5と操作部6との配置が対応する関係であれば、本体基部2の短手方向端部に形成されていてもよい。
【0032】
図2は、本発明の一実施の形態に係る給水タンクと蒸気カバーの斜視図である。
図2(a)は、本発明の一実施形態に係る給水タンク3の斜視図である。
図2(a)に示すように、給水タンク3は、扁平状のタンク部3aと、これに連続して形成された円筒形状の膨出部3bとによって構成されている。また、タンク部3aの上面と膨出部3bの上面とは、滑らかに連続した外郭面を形成している。
【0033】
膨出部3bの底部の中央には、給水口部10が形成されている。給水口部10には、バネ等によって常に閉じるように付勢された逆止弁が設けられている。これにより、給水タンクを逆さまにしても、収容されている水が流出することはない。また、給水口部10は、嵌め込み等によって給水タンク3の底部に装着されている。
【0034】
図2(b)は、本発明の一実施形態に係る蒸気カバー4の斜視図である。
図2(b)に示すように、蒸気カバー4は、角柱形状を備えたカバー壁4aにより構成されている。蒸気カバー4の下端は、本体基部2に設けられた蒸気発生部を覆うように開口されており、蒸気カバー4は、本体基部2に対して着脱可能に構成されている。また、蒸気カバー4の上部には、蒸気発生部で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気放出口4bが形成されている。
【0035】
また、給水タンク3と蒸気カバー4とは、互いに着脱可能な構成とされている。これにより、加湿器1は、本体基部2と、給水タンク3と、蒸気カバー4との3つの部品に分解して、個別に取扱い収納することができるので、使用者は、容易に持ち運びすることができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、給水タンク3と蒸気カバー4とが互いに分離できるように構成されているが、給水タンク3と蒸気カバー4とが一体となるように構成してもよい。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態に係る加湿器の本体基部の上面図である。
図3に示すように、外周壁部2aに囲まれた本体基部2の上面部23には、受水部13と、給水路14と、蒸気発生部15と、本体基部2の長手方向に沿って形成されている。受水部13と蒸気発生部15は、給水路14によって連接されている。受水部13の中心には、給水タンク3の給水口部10を嵌め込むための突起13aが形成されている。このように、本体基部2の長手方向に沿って、受水部13、給水路14及び蒸気発生部15のそれぞれが、一方向に並んで配置されているので、本体基部2の短手方向の幅を小さくすることができ、加湿器1全体をコンパクトにすることができる。
【0038】
図4は、本発明の一実施の形態に係る加湿器の斜視図である。図4において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、本体基部2の底部の中央部付近には、樹脂性のスタンド脚20が回動可能に取り付けられている。スタンド脚20は、本体基部2の短手方向の幅よりも長くなるように構成されている。
【0039】
使用者が加湿器1を持ち運ぶ場合には、スタンド脚20は、本体基部2の底部に収納されている。また、使用者が加湿器1を使用する場合には、スタンド脚20を回動し、本体に対して90度の位置で止めて、図4に示すように、本体基部2の底部から一部を突出させた状態で加湿器1を設置する。これにより、加湿器1の転倒を防止し、安定した状態で使用することができる。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る加湿器の全体構成を示す断面図である。
図5に示すように、加湿器の本体基部2の上面部23には、給水タンク接続部12に対応する受水部13、給水路14及び蒸気発生部15が一体的に成形されている。
【0041】
受水部13には、給水タンク3がタンク接続部12に接続されたときに、給水口部10のバネ10bの付勢力に打ち勝って逆止弁10aを押し開くための突起13aが一体に成形されている。
【0042】
また、タンク接続部12の下方の空間には、電気装備部16が設けられている。電気装備部16が収納されている近傍の本体基部2には、操作部6であるスタートキー61が設けられている。
【0043】
給水口部10をタンク接続部12に接続すると、給水口部10が、突起13aに押される。これにより、逆止弁10aが、バネ10bの付勢力に打ち勝って全開となり、給水タンク3内の水が、受水部13に流れ込む。受水部13に流れ込んだ給水タンク3の水は、給水路14を通って蒸気発生部15に供給される。
【0044】
使用者がスタートキー61を押すことにより、加湿器の図示しない加熱源がオンとなり、パイロットランプ62の加湿ランプが点灯する。その後、蒸気発生部15に供給された水は、蒸気発生部15の下方に設けられた加熱源により加熱されて蒸気となる。蒸気は、蒸気カバー4の蒸気発生口4bを通じて、外部に放出されて周囲を加湿する。また、給水路14の途中には、空焚きを防止するための検知センサ(図示なし)が設けられている。
【0045】
蒸気発生部15で蒸気が発生することによって水が消費されて、水位が低下すると、給水タンク3内に外気が吸い込まれ、再び、受水部13に給水タンク3内の水が流れ出る。この繰り返しにより、給水を過不足無く行なうことができる。なお、給水タンク3内の水が少なくなると、加熱源への通電が自動的に止まり、パイロットランプ62の給水ランプが点灯する。
【0046】
なお、本発明の加湿器は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料、構成等において、本発明の構成を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る加湿器の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る加湿器に使用する給水タンクと蒸気カバーの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る加湿器の本体基部の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る加湿器の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る加湿器の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・加湿器、2・・本体基部、2a・・外壁部、2b・・嵌合部、3・・給水タンク、3a・・膨出部、3b・・膨出部、4・・蒸気カバー、4a・・筒壁、4b・・蒸気放出口、5・・切欠き部、6・・操作部、10・・給水口部、10a・・逆止弁、10b・・ばね、12・・給水タンク接続部、13・・受水部、13a・・突起部、14・・給水部、15・・蒸気発生部、16・・電気装備部、20・・スタンド脚、21・・矩形部分、22・・円形部分、23・・上面部、61・・スタートキー、62・・パイロットランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路と蒸気発生部とを有する本体基部と、
前記本体基部に着脱可能に設けられた蒸気カバーと、
前記本体基部に着脱可能に設けられた扁平状の給水タンクと、を備えた加湿器であって、
前記給水タンクには、膨出部が形成されていること
を特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記膨出部は、円筒形状に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記本体基部の外周に沿って、前記給水タンクと嵌合するための外壁部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記外壁部には、前記給水タンクの膨出部と嵌合するための嵌合壁部が形成されており、この嵌合壁部に切欠き部を設けたこと
を特徴とする請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
前記切欠き部の下方には、操作部が形成されていること
を特徴とする請求項4に記載の加湿器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−32297(P2008−32297A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205037(P2006−205037)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】